JP2002019261A - インクジェット画像および画像形成方法 - Google Patents

インクジェット画像および画像形成方法

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JP2002019261A
JP2002019261A JP2000204869A JP2000204869A JP2002019261A JP 2002019261 A JP2002019261 A JP 2002019261A JP 2000204869 A JP2000204869 A JP 2000204869A JP 2000204869 A JP2000204869 A JP 2000204869A JP 2002019261 A JP2002019261 A JP 2002019261A
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water
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pigment
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Hidenobu Oya
秀信 大屋
Makoto Kaga
誠 加賀
Atsushi Asatake
敦 朝武
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
Masaki Nakamura
正樹 中村
Tadahiro Nagasawa
忠広 長澤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 顔料画像でありながら染料画質に近い顔料の
インクジェット画像および画像形成方法を提供する。 【解決手段】 水、油に不溶の画像形成用着色物質を含
む可視画像を断面から観察し、該着色物質の存在位置を
測定した際、該着色物質の少なくとも一部が表面から5
μmの部位より深部に存在することを特徴とするインク
ジェット画像および画像形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットプ
リンターを用いた染料画質に近い顔料画像に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録液は染料系インクと
顔料系インクに大別される。染料系インクは鮮やかな発
色と写真に近い透明感ある画質であり、市場で高い評価
を得ている。特に近年、微小液滴を吐出できるフォトプ
リンターの出現や、専用の光沢紙の技術向上により、染
料系インクを使用すると写真に肉迫した高画質が得られ
るようになった。しかしながら、写真と比較して画像保
存性(特に耐光性、にじみ、耐水性等)についてはいま
だ満足のいくレベルではない。
【0003】顔料インクは染料インクに比べて高い画像
保存性を有するが、染料インクに対して画質で見劣りす
る。
【0004】このような状況下で顔料系インクジェット
画像の画質向上に対する期待は大きい。
【0005】特開平11−208097号には画像の耐
擦性、及び耐水性向上を目的に自己分散性のカーボンブ
ラック顔料を、熱可塑性樹脂層を表層に有するインク受
像層にインクジェットプリント後、加熱処理すること
で、最大5μmの深さに顔料を移動させた画像を形成し
ているが、画質向上がなされたとの記載はない。
【0006】また、特開平11−192775号には、
定着性と画像濃度改良を目的にした発明で、顔料は画像
表面近傍に存在することが好ましく、表面から深さ方向
5μm以内に配列することが好ましいとしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、顔料
画像でありながら染料画質に近い顔料のインクジェット
画像および画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0009】1.水、油に不溶の画像形成用着色物質を
含む可視画像を断面から観察し、該着色物質の存在位置
を測定した際、該着色物質の少なくとも一部が表面から
5μmの部位より深部に存在することを特徴とするイン
クジェット画像。
【0010】2.着色物質の存在位置を測定した際、該
着色物質の少なくとも一部が表面から10μmの部位よ
り深部に存在することを特徴とする前記1記載のインク
ジェット画像。
【0011】3.水、油に不溶の画像形成用着色物質を
含む可視画像を断面から観察し、該着色物質の存在位置
を測定した際、該着色物質がインク吸収層の20%以上
の部分に存在することを特徴とするインクジェット画
像。
【0012】4.着色物質の存在位置を測定した際、該
着色物質がインク吸収層の50%以上の部分に存在する
ことを特徴とする前記3記載のインクジェット画像。
【0013】5.着色物質の存在位置を測定した際、該
着色物質の少なくとも一部が表面から5μmの部位より
深部に存在することを特徴とする前記3又は4記載のイ
ンクジェット画像。
【0014】6.着色物質の存在位置を測定した際、該
着色物質の少なくとも一部が表面から10μmの部位よ
り深部に存在することを特徴とする前記5記載のインク
ジェット画像。
【0015】7.支持体上に少なくとも無機粒子を含有
するインク吸収層を少なくとも1層有する記録媒体に形
成されたことを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に
記載のインクジェット画像。
【0016】8.少なくとも、水、油に不溶の画像形成
用着色物質の前駆体を含有するインクを用いて記録した
ことを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のイ
ンクジェット画像。
【0017】9.記録中、もしくは記録後に記録済みの
記録媒体の少なくとも一部に10分未満の加熱処理を行
うことを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の
インクジェット画像。
【0018】10.少なくとも、水、油に不溶の画像形
成用着色物質の前駆体を含有するインクを用いて記録し
た後、該前駆体の水、油に不溶の画像形成用着色物質へ
の変換を促進する触媒の存在下で加熱処理を行うことを
特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジ
ェット画像。
【0019】11.水および少なくとも1種類の多価ア
ルコールを含有するインクを用いて記録したことを特徴
とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェッ
ト画像。
【0020】12.少なくとも界面活性剤を含有するイ
ンクを用いて記録したことを特徴とする前記1〜6のい
ずれか1項に記載のインクジェット画像。
【0021】13.記録前の記録媒体の60°鏡面光沢
度が20%以上である光沢媒体に記録したことを特徴と
する前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット
画像。
【0022】14.水、油に不溶の画像形成用着色物質
の少なくとも1つがイエロー、マゼンタ、シアン色の着
色物質であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1
項に記載のインクジェット画像。
【0023】15.電気−機械変換式のインクジェット
プリンターを用いて記録したことを特徴とする前記1〜
6のいずれか1項に記載のインクジェット画像。
【0024】16.前記1〜15のいずれか1項に記載
のインクジェット画像の画像形成方法。
【0025】以下に本発明を更に詳しく説明する。本発
明は、水、油に不溶の画像形成用着色物質を含む可視画
像を断面から観察し、該着色物質の存在位置と画質の関
連性を発見したことに基づくものである。
【0026】本発明において該着色物質は、記録媒体の
インク吸収方向(深さ方向)に対してなるべく広く存在
することと画質の関連性を発見したことに基づくもので
ある。
【0027】通常、該着色物質は表面から連続的に記録
媒体のインク吸収方向(深さ方向)に広がる。よって、
該着色物質の広がりは、表面からどの程度深くまで広が
っているかが重要である。
【0028】本発明において、該着色物質の少なくとも
一部が表面から5μmの部位より深部に存在することは
画質向上にとって好ましい。さらに、該着色物質の少な
くとも一部が表面から10μmの部位より深部に存在す
ることは画質向上にとって特に好ましい。
【0029】該着色物質の透明性、記録媒体のインク吸
収層の透明性にもよるが、必要以上に深部まで分布する
ことは、光学濃度低下をきたすため、好ましく無い。本
発明において、該着色物質が最も深い存在場所として
は、おおむね表面から20μmである。ただし、本発明
の観察方法では極微量存在する着色物質を観察するのは
誤差を含むおそれがあるため、明らかに非画像部に対し
て着色物質の存在が確認できる存在場所としては、表面
から20μmである。
【0030】また、本発明において該着色物質の深さ方
向の広がりを、インク吸収層の厚さ全体のどの程度に広
っがているかという観点で検討したところ、画質の関連
性を発見した。複数のインク吸収層がある場合は、複数
層の厚さ全体に対して検討した。本発明においてインク
吸収層全体の20%以上の部分に存在することが好まし
い。さらに、インク吸収層全体の50%以上の部分に存
在することが特に好ましい。
【0031】本発明は、画像における着色物質が、記録
媒体のインク吸収方向(深さ方向)に対してどれだけ広
がっているかを規定したものである。
【0032】画像中のシーンにより、着色物質の広がり
は一様ではない。例えば、赤の高濃度部と黄色の低濃度
部では、着色物質の広がりが違っていることがある。こ
れらの場合、1つの画像において、もっとも着色物質の
広がりが大きいところの値をもって、その画像の着色物
質の広がりと規定する。具体的には、着色物質の表面か
らの拡散距離については、もっとも大きい値をもって規
定する。インク吸収層中に分布する割合としては、もっ
とも大きい値をもって規定する。
【0033】本発明の表面とは記録時の記録媒体表面で
ある。ただし、記録媒体表面に可塑性物質を含み、記録
後の処理で可塑化処理により状態が変化した場合におい
ても、可塑化処理後の画像表面も本発明の表面に入る。
ただし、インクジェット記録後、新たに、外部から部材
により表面を覆うような処理がしてある画像において
は、処理後の表面は本発明の表面とは異なる。例えば、
顔料画像にラミネート処理をし、画像表面がラミネート
材料である場合である。これらの画像では、光沢は向上
しても、染料のような透明感ある画質が得られないた
め、この場合表面とはラミネートされる前の表面であ
る。
【0034】ただし、インクジェット記録後、新たに、
外部から部材により表面を覆うような処理がしてある画
像においても、該着色物質の少なくとも一部が、実質的
に記録時の最表面から5μmの部位より深部に存在する
場合、あるいは、該着色物質がインク吸収層の20%以
上の部分に存在する場合は、画質向上が見られるため本
発明の範囲である。
【0035】本発明のインク吸収層とは、着色剤により
着色された際に、有効に画像濃度に寄与する層を示す。
【0036】単に、インク中の水、有機溶媒などの媒体
を吸収する層は本発明ではインク吸収層と規定しない。
【0037】好ましくは、透明性を有するインク吸収層
である。本発明記載の画像の断面からの観察において、
インク吸収層はその透明性から他の層(例えば酸化チタ
ンなどを多量に含む層)や、支持体と明らかに区別がつ
けられる。
【0038】より具体的にインク吸収層を規定するなら
ば、本発明の断層からの観察で、通常表面から透明性の
高い層が20〜50μm存在し、次に、明らかに透明性
の異なる層(支持体、あるいは不透明層)が観察され
る。本発明においては、通常表面から20〜50μm連
続して続く、透明性の高い層をインク吸収層とすること
が好ましい。
【0039】水、油に不溶の画像形成用着色物質とは、
水及び有機溶媒(例えばトルエン)に対する溶解度がほ
とんどないもので、溶解度が3%未満、好ましくは1%
未満のものである。
【0040】水、油に不溶の画像形成用着色物質として
は、顔料、特に有機顔料が好ましい。有機顔料として
は、不溶性有機顔料、レーキ顔料が好ましく用いられ
る。カーボンブラック等の無機顔料もまた好ましくもち
いることができる。
【0041】不溶性顔料としては、特に限定するもので
はないが、例えばアゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニ
ルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アント
ラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソイ
ンドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チ
アジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、
ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0042】好ましく用いることのできる具体的顔料と
しては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッ
ド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、
C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッ
ド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメン
トレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.
ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド4
8:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.
ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド
122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピ
グメントレッド139、C.I.ピグメントレッド14
4、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメ
ントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、
C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメント
レッド222等が挙げられる。
【0043】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメ
ントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、
C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメント
イエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.
I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエ
ロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.
ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0044】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブ
ルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブ
ルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ
る。
【0045】顔料画像の顔料存在箇所を測定する具体的
手順は以下の通りである。測定に用いる顔料画像から光
学顕微鏡観察用断面試料(切片)を作製するのには、ウ
ルトラミクロトームが一般的に用いられる。ウルトラミ
クロトームにより光学顕微鏡観察用切片を作製する方法
はM.A.Hayat著、永野俊雄監訳「透過電子顕微
鏡生物試料作製ハンドブック」(丸善株式会社)を参考
にすることができる。
【0046】ウルトラミクロトーム切削前の処理とし
て、ウルトラミクロトームの切削性を良くするために、
画像サンプルの支持体を除去しておくことが好ましい。
【0047】画像サンプルはウルトラミクロトームのバ
イス型試料ホルダーに挟み、ガラスナイフを装着したウ
ルトラミクロトームにより切削面を整え、厚さ約2μm
の断面切片を作製する。切片を切り出す際、ウルトラミ
クロトームに装着するナイフはガラスナイフでも良い
が、光学顕微鏡観察用切片作製用ダイヤモンドナイフが
好ましい。
【0048】切り出した切片はスライドガラスの上に採
取し、油浸観察用オイルを滴下、カバーガラスを被せ
て、高解像度光学顕微鏡で透過観察を行う。
【0049】観察画像は光学顕微鏡撮影用のポラロイド
(登録商標)フィルムやネガフィルムに撮影し、フィル
ムスキャナーで画像解析用のコンピュータに入力しても
よいが、ネガフィルム、プリントなどの媒体を介さず、
データの定量性に優れているため、光学顕微鏡のCマウ
ントに取り付けたCCDカメラで撮影して、画像解析用
のコンピュータに入力するのが好ましい。
【0050】入力した画像はアドビシステムズ社製フォ
トレタッチソフトPhotoshopにより、切片の写
っていない観察画像との間の画像演算で光学顕微鏡の明
るさのムラ、画像取り込み時のムラを補正し、着色物質
の存在箇所を測定する。
【0051】本発明に係る着色物質の存在箇所を測定す
る断面図を図1に示す。図1において、画像表面1か
ら、着色物質の分布部位2とインク吸収層3を測定す
る。支持体もしくは不透明層4は濃度が異なるので容易
にインク吸収層3と区別できる。
【0052】次に、本発明の画像を形成する方法につい
て説明する。少なくともインクジェットプリンターを用
いて画像を形成する以外に方法を規定することはない
が、以下の好ましい実施態様で作製することができる。
【0053】本発明の画像を形成する好ましい実施形態
について説明する。好ましい第1の実施形態としては、
不溶性顔料を化学修飾し可溶性に変換したものを用いた
インクにより記録後、記録媒体上で、化学修飾基を化学
的手段、熱的手段、光分解的手段、及び放射線的手段か
ら選ばれた少なくとも一つの手段によって、不溶性顔料
に再度転換し、画像を形成する方法である。
【0054】可溶性前駆体としては、特に水溶性が好ま
しい。水溶性の前駆体にするための好ましい方法として
は、不溶性顔料上の化学修飾可能な窒素原子の少なくと
も一つを化学修飾すること、及び該化学修飾の際に導入
した基の少なくとも一つの基に水溶性基を導入すること
である。
【0055】化学修飾の際に導入する基としては、アシ
ル基、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、チオ
カルボニル基、スルフォニル基、アミノスルフォニル基
等が挙げられる。
【0056】水溶性基としては、アニオン性基(例えば
SO3X、COOX等、Xは水素原子もしくはカウンタ
ーカチオンを表し、具体的にはリチウム、ナトリウム、
カリウム等の金属イオン、もしくはアンモニウムイオン
を表す)、カチオン性基(4級アンモニウム塩基)、ノ
ニオン性基(ポリオキシアルキレン構造を有するもの、
多価アルコールのエステル構造を有するもの等)のいず
れでも良いが、好ましくはアニオン性基であり、更に好
ましくは、少なくとも一つのSO3Xで表される基を有
する場合である。前駆体の化合物例を以下に記す。
【0057】
【化1】
【0058】
【化2】
【0059】インクは水系、油系のいずれでもよいが、
水系均一インクもしくは、水、油性成分を分散したエマ
ルションインクが好ましく、特に水系均一インクが好ま
しい。水系均一インクには1種類以上の多価アルコール
を含有することが画質向上の観点からさらに好ましい。
多価アルコールとしては、後述するインクに添加するの
に好ましい多価アルコールを挙げることができる。ま
た、界面活性剤を添加することも画質向上の観点から好
ましい。
【0060】記録媒体上で前駆体を不溶性顔料に転換さ
せるには、化学的、熱的、光分解的、放射線的手段のい
ずれかの方法もしくは複数の方法の組み合わせで達成で
きる。
【0061】化学的手段としては、前駆体の不溶性顔料
への転換を開始もしくは促進する化合物(触媒)を何ら
かの方法でプリント媒体上で、前駆体と共存させること
である。
【0062】共存させる方法としては、あらかじめ前駆
体の不溶性顔料への転換を開始もしくは促進する化合物
を含有する専用プリント媒体を用いる方法、プリント前
後にプリント媒体上に前駆体の不溶性顔料への転換を開
始もしくは促進する化合物を供給する方法などがある。
【0063】この供給する方法としては、1)インクジ
ェットプリンターのヘッドから前駆体の不溶性顔料への
転換を開始もしくは促進する化合物の溶液を画像イメー
ジに重ねるようにプリントする方法、2)コーターを用
いて前記1)の溶液をプリント媒体に一様に塗布する方
法、3)前記1)の溶液の入った浴を用意し、プリント
媒体にディップする方法、4)前記1)の溶液をスポン
ジ状の媒体に吸収させ、そのスポンジをプリント媒体に
接触させる方法、5)噴霧器により前記1)の溶液をプ
リント媒体に噴霧する方法などがある。
【0064】前駆体の不溶性顔料への転換を開始もしく
は促進する化合物としては、酸、塩基、求核剤、親電子
剤、酸化剤、還元剤、配位性化合物などが挙げられ、酸
が特に好ましい。
【0065】酸としては、有機酸、無機酸のいずれでも
良い。有機酸としては酢酸、プロピオン酸、ラウリン
酸、アクリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル
酸、乳酸、シュウ酸等が挙げられる。無機酸としては、
塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。
【0066】塩基としては、有機塩基、無機塩基のいず
れでも良い。有機塩基としては、ピリジン、トリエチル
アミン、アミノエタノール、トリエタノールアミン、ジ
メチルアニリン、ルチジン等が挙げられる。
【0067】無機塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム等が
挙げられる。
【0068】熱的手段としてはプリント後のプリント物
を加熱することである。加熱温度は、50℃〜230℃
の範囲が好ましく、さらに好ましくは150〜190℃
である。加熱手段としては、熱ローラー(電子写真用熱
定着ローラー)、温風、赤外線ヒーター、などが挙げら
れる。加熱時間に制限はないが、A4サイズ1枚相当と
しては処理速度の観点で10分未満が好ましく、さらに
2分未満が好ましく、より好ましくは、20秒未満であ
る。
【0069】光分解的手段としては例えば、プリント後
のプリント物に紫外線、可視光、赤外線などを照射する
ことである。
【0070】記録媒体上で前駆体を不溶性顔料に転換さ
せる特に好ましい形態としては、化学的手段として酸ま
たは塩基を用いて、加熱を併用する方法である。
【0071】この形態で用いる記録媒体としては、イン
クジェット用の光沢専用紙を特に好ましく用いることが
できる。
【0072】第2の実施形態としては、超微分散した顔
料分散体をもちいて作製したインクを用いて、記録媒体
の空隙に顔料の少なくとも一部を埋め込むように記録し
た画像形成方法である。
【0073】超微分散した顔料分散体を得る方法として
は、公知のボールミル、サンドミル、アトライター、ロ
ールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミ
ル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェット
ミル、ペイントシェーカー等各種を用いて分散する方法
が挙げられる、さらに、顔料分散体の粗粒分を除去する
目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用
することが特に好ましい。
【0074】記録媒体の空隙径としては、インク中の顔
料の平均粒径に対して、1/3〜10倍であることが好
ましいが、あまり大きくても光沢低下をきたすため、1
/3〜5倍であることが好ましい。
【0075】第3の実施形態としては、レーキ顔料中の
アニオン性基のカウンターカチオンとしてアルカリ金属
イオンを含有する前駆体を含有するインクを用いて記録
し、記録媒体上で多価金属と塩交換しレーキ顔料を生成
する画像形成方法である。
【0076】利用できるレーキ顔料としては、C.I.
ピグメントイエロー61、61:1、100、115、
168、169、183、191、C.I.ピグメント
オレンジ17、46、C.I.ピグメントレッド48:
1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:
2、50:1、52:1、53:1、54、57、5
7:1、58:2、58:4、60:1、63:1、6
3:2、64:1、65、81:1、83、90:1、
151、172、174、193、243、243:
1、247、C.I.ピグメントブルー2、17:1、
18、24、62、C.I.ピグメントグリーン4、
C.I.ピグメントバイオレット1、3、39が挙げら
れる。
【0077】これらを、リチウム、ナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属、あるいは4級アンモニウム塩に
塩交換してもちいることができる。これらは、アルカリ
金属塩に塩交換するだけでは、十分な水溶性をえること
ができず、インク作製に制約をあたえることがある。そ
のような場合には、色素構造を部分変更し、可溶性基と
して、カルボキシル基あるいはスルフォン酸基を1つ導
入することで溶解性が向上し、インク作製の自由度が高
まる。カルボキシル基あるいはスルフォン酸基を1つ導
入する際には、色相の大きな変化、レーキ画像の堅牢性
の低下が大きくならないようにする必要がある。特に記
録媒体上で生成するレーキ顔料の水、および油への溶解
性が大きくならないように考慮する必要がある。
【0078】現在までにインクジェット用染料として実
用化されている酸性染料、直接性染料においても、多価
金属との塩交換により溶解度が低下するが、上記にあげ
た既存レーキ顔料に比べると溶解性が高く、また、堅牢
性も染料と大差ないことから、酸性染料、直接性染料の
多価金属塩は本発明のレーキ顔料、あるいは、水、油に
不溶の画像形成用着色物質には該当しない。
【0079】次に、本発明の画像を形成するための記録
媒体について説明する。記録媒体としては、支持体上に
インク吸収層を有するインクジェット専用のものが好ま
しい。
【0080】記録媒体については、エレクトロニクス・
材料シリーズ「インクジェットプリンター技術と材料」
(シーエムシー発行)に記載されている技術を利用した
記録媒体をもちいることができる。
【0081】記録媒体として特に好ましいのは光沢系の
専用紙である。好ましい記録媒体の60°鏡面光沢度と
しては、20%以上であることが好ましい。
【0082】光沢系専用紙として好ましく用いることが
できるのは、膨潤型と空隙型である。膨潤型としては、
写真用原紙をポリエチレンでラミネートした支持体の上
に親水性バインダーとして、ゼラチン、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイ
ド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層
としたものである。
【0083】空隙型としては、微粒子及び、親水性バイ
ンダーを混合して塗布したもので特に光沢性のあるもの
が好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカ
が好ましく、特に粒径0.1μ以下のシリカを用いたも
のが好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエ
チレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ま
しい。光沢専用紙としては、空隙型を特に好ましく用い
ることができる。
【0084】以下に空隙型について詳しく説明する。空
隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集に
より形成されるものである。
【0085】従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は
種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有
する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれ
らのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方
法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを
含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インク
ジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する
液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方
法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有す
る塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて
皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水
性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多
孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性
バインダーに対して概ね等量以上(好ましくは1.0倍
以上)の容積を有する固体微粒子及び/または微粒子油
滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗
布して固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られ
ている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が10
0nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによ
って形成されることが特に好ましい。
【0086】上記の目的で使用される無機微粒子として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサ
イト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができ
る。
【0087】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあ
るいは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で
観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその
単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々
の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したと
きの直径で表したものである。
【0088】固体微粒子としてはシリカ及びアルミナま
たはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いるこ
とが好ましく、シリカがより好ましい。
【0089】シリカとしては、通常の湿式法で合成され
たシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された
シリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に
好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダル
シリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好まし
く、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い
空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で
用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに粗大凝
集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナま
たはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であっ
てもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任
意の形状のものを使用することができる。
【0090】微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する
前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態である
のが好ましい。
【0091】無機微粒子は、その粒径が100nm以下
であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリ
カの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一
次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、
100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜
50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0092】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均
粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリ
カとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが
市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に例
えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム
インダクターミキサーなどにより容易に吸引分散するこ
とで比較的容易に一次粒子まで分散することが出来る。
【0093】親水性バインダーとしては、例えばポリビ
ニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、
カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水
溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これ
らの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0094】本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は
ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いら
れるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水
分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、
末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオ
ン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の
変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0095】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは平均重合度が1,000以上のものが
好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,
000のものが好ましく用いられる。
【0096】ケン化度は70〜100%のものが好まし
く、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0097】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば特開昭61−10483号に記載されている
ような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を
上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有する
ポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエ
チレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン
化することにより得られる。
【0098】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えばトリメチル-(2−アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)ア
ンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−
ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0099】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%であ
る。
【0100】アニオン変性ポリビニルアルコールは例え
ば、特開平1−206088号公報に記載されているよ
うなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開
昭61−237681号公報、および同63−3079
799号公報に記載されているような、ビニルアルコー
ルと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特
開平7−285265号公報に記載されているような水
溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられ
る。
【0101】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号公報に記載さ
れているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルア
ルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導
体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基
を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック
共重合体等が挙げられる。
【0102】ポリビニルアルコールは重合度や変性の種
類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0103】インク吸収層に用いられる無機微粒子の添
加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、
無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存する
が、一般には記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、
好ましくは10〜25gである。
【0104】また、インク吸収層に用いられる無機微粒
子と水溶性樹脂の比率は質量比で通常2:1〜20:1
であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0105】分子内に第四級アンモニウム塩基を有する
カチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インク
ジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好
ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0106】光沢性に優れ、高い空隙率を皮膜の脆弱性
を劣化させずに得るために、前記水溶性樹脂が硬膜剤に
より硬膜されていることが好ましい。
【0107】硬膜剤は、一般的には前記水溶性樹脂と反
応し得る基を有する化合物あるいは水溶性樹脂が有する
異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水
溶性樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0108】硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキ
シ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオー
ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロ
ヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキ
シアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グ
リセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系
硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性
ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ
−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合
物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−
s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル
等)、ほう酸およびその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙
げられる。
【0109】特に好ましい水溶性樹脂としてポリビニル
アルコールおよびまたはカチオン変性ポリビニルアルコ
ールを使用する場合には、ほう酸およびその塩又はエポ
キシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好まし
い。最も好ましいのは、ほう酸およびその塩から選ばれ
る硬膜剤である。
【0110】ほう酸またはその塩としては、ほう素原子
を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具
体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう
酸、五ほう酸、八ほう酸およびそれらの塩が含まれる。
【0111】上記硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、
硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や水溶性樹脂に対する
比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5
〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0112】上記硬膜剤は、インク吸収層形成用水溶性
塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、
あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支
持体上に、インク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布して
も良い。また、インク吸収層形成用水溶性塗布液(硬膜
剤非含有)を塗布・乾燥した後で硬膜剤溶液をオーバー
コートするなどして供給することができるが、かれらの
中で、好ましくは製造効率の観点から、インク吸収層形
成用水溶性塗布液中に硬膜剤を添加して塗布する方法が
好ましい。
【0113】空隙層において、空隙の総量(空隙容量)
は記録用紙1m2当り20ml以上であることが好まし
い。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のイ
ンク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるも
のの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収され
ず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの
問題が生じやすい。
【0114】インク保持能を有する空隙層において、固
形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明にお
いて、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚
を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好まし
い。
【0115】本発明に関る支持体としては、従来からイ
ンクジェット記録媒体に用いられている支持体、例え
ば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート
紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリ
オレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた
複合支持体を用いることができる。
【0116】上記支持体と空隙層の接着強度を大きくす
る等の目的で、空隙層の塗布に先立って、支持体にコロ
ナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。さら
に、本発明の記録用紙は必ずしも無色である必要はな
く、着色された記録用紙であってもよい。
【0117】原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネ
ートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質
に近く、しかも低コストで高品質の画像が得られるため
に特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネート
した紙支持体について以下に説明する。
【0118】紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを
主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロ
ピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステ
ルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとし
てはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LD
P、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いること
が出来るが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBS
P、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%
以上、70質量%以下が好ましい。
【0119】上記パルプには不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも
有用である。
【0120】原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテン
ダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化
チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことが出来る。
【0121】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSF
の規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後
の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッ
シュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が
30乃至70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質
量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0122】原紙の坪量は、30乃至250gが好まし
く、特に50乃至200gが好ましい。原紙の厚さは4
0乃至250μmが好ましい。
【0123】原紙は抄紙段階または抄紙後にカレンダー
処理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は
0.7乃至1.2g/m2(JIS−P−8118)が
一般的である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に
規定される条件で20乃至200gが好ましい。
【0124】原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良
く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズ
と同様のサイズ剤を使用できる。
【0125】原紙のpHは、JIS−P−8113で規
定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であ
ることが好ましい。
【0126】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレ
ンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)およ
び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが
他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用すること
が出来る。
【0127】特に、空隙層側のポリエチレン層は写真用
印画紙で広く行われているようにルチルまたはアナター
ゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度
および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含
有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好
ましくは4〜13質量%である。
【0128】ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いる
ことも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出
してコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って
通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を
形成した物も本発明で使用できる。
【0129】原紙の表裏のポリエチレンの使用量は空隙
層やバック層を設けた後で低湿および高湿下でのカール
を最適化するように選択されるが、通常空隙層側のポリ
エチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30
μmの範囲である。
【0130】更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以
下の特性を有していることが好ましい。
【0131】1.引っ張り強さ:JIS−P−8113
で規定される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1
乃至20kgであることが好ましい 2.引き裂き強度はJIS−P−8116による規定方
法で縦方向が10〜200g、横方向が20乃至200
gが好ましい 3.圧縮弾性率≧98.1MPa 4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定さ
れる条件で20秒以上が光沢面としては好ましいが、い
わゆる型付け品ではこれ以下であっても良い 5.表面粗さ:JIS−B−0601に規定された表面
粗さが、基準長さ2.5mm当たり最大高さは10μm
以下であることが好ましい 6.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法
で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ま
しい 7.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*
*、b*がL*=80〜95、a*=−3〜+5、b*
−6〜+2であることが好ましい 8.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される6
0度鏡面光沢度が10〜95%であることが好ましい 9.クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛
直度が50〜300cm2/100である支持体が好ま
しい 10.中紙の含水率:中紙に対して通常2〜100質量
%、好ましくは2〜6質量%である。
【0132】支持体上に塗布する方法は公知の方法から
適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、各層
を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られ
る。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、
特に全ての親水性バインダー層を一回の塗布で済ます同
時塗布が好ましい。
【0133】塗布方式としては、ロールコーティング
法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティン
グ法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法ある
いは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパ
ーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用
いられる。
【0134】具体的商品としては、コニカ(株)製フォ
トジェットペーパーQP、旭硝子(株)製ピクトリコ、
セイコーエプソン(株)製フォトプリント紙2、PM写
真用紙、富士写真フイルム(株)フォト光沢紙EX、キ
ヤノン(株)製フォト光沢紙が挙げられる。
【0135】本発明の画像を形成するためのインクにつ
いて説明する。インク組成物は、水系インク組成物、油
系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用い
ることができるが、水系インク組成物(例えばインク総
質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジ
ェット記録液等)を特に好ましく用いることができる。
【0136】水、油に不溶の画像形成用着色物質とは、
水及び有機溶媒(例えばトルエン)に対する溶解度がほ
とんどないもので、溶解度が3%未満、好ましくは1%
未満のものである。
【0137】水、油に不溶の画像形成用着色物質として
は、顔料、特に有機顔料が好ましい。有機顔料として
は、不溶性有機顔料、レーキ顔料が好ましく用いられ
る。カーボンブラック等の無機顔料もまた好ましくもち
いることができる。
【0138】不溶性顔料としては、特に限定するもので
はないが、例えばアゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニ
ルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アント
ラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソイ
ンドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チ
アジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、
ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0139】好ましく用いることのできる具体的顔料と
しては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッ
ド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、
C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッ
ド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメン
トレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.
ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド4
8:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.
ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド
122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピ
グメントレッド139、C.I.ピグメントレッド14
4、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメ
ントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、
C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメント
レッド222等が挙げられる。
【0140】オレンジまたはイエロー用の顔料として
は、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメ
ントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、
C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメント
イエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.
I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエ
ロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.
ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0141】グリーンまたはシアン用の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブ
ルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブ
ルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ
る。
【0142】これらの顔料は必要に応じて顔料分散剤を
使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例え
ば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫
酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフ
タレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシア
ルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、
ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミ
ド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、ス
チレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、
アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イ
タコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導
体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重
合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげること
ができる。
【0143】顔料の分散方法としては、ボールミル、サ
ンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘ
ンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザ
ー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカ
ー等各種を用いることができる。
【0144】本発明の顔料分散体の粗粒分を除去する目
的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用す
ることも好ましく用いられる。
【0145】着色剤として、水、油に不溶の画像形成用
着色物質の前駆体を用いることは、特に好ましい。好ま
しい前駆体は、水または、油に十分な溶解性を持つもの
であり、特に水に対して溶解性を持つものが好ましい。
これらの前駆体は記録中もしくは記録後、記録媒体上で
水、油に不溶の画像形成用着色物質に変換することがで
きる。
【0146】好ましい形態である水系インク組成物は、
水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0147】水溶性有機溶媒の例としては、アルコール
類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカ
ンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタ
ノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジル
アルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタン
ジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグ
リコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブ
チルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモ
ノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタ
ノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エ
チレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテ
トラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイ
ミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチ
ルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルム
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリ
ドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピ
ロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2
−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジ
メチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホ
ラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げら
れる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコー
ル類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アル
コールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0148】水溶性有機溶媒は単独もしくは複数を併用
しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量として
は、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜3
5質量%である。
【0149】インク組成物は必要に応じて吐出安定性、
プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定
性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、
粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成
剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を添加することもでき
る。
【0150】インク組成物は、その飛翔時の粘度として
40cps以下が好ましく、30cps以下であること
がより好ましい。
【0151】インク組成物は、その飛翔時の表面張力と
して20mN/m以上が好ましく、40〜60mN/m
であることが、より好ましい。
【0152】本発明の画像を形成するためのインクジェ
ットプリンターについて説明する。インクジェットプリ
ント方式において、特に制約はなく、コンティニュアス
方式及びオンデマンド方式のいずれでもよい。オンデマ
ンド型方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シ
ングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダ
ー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォ
ール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルイン
クジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)など
が挙げられる。
【0153】具体的には、セイコーエプソン社製(スー
パーカラリオPM−760C、PM−800C、PM2
200C、PM−770C、PM−760CS、PM−
3300C)キヤノン社製(WonderBJ BJ−
F300、BJ−F210、BJ−F850)、ヒュー
レットパッカード社製(Graphil Deskje
t 815C、955C)などを使用することができ
る。
【0154】本発明の画質向上のためのインクを安定
に、かつ正確に吐出するためには、電気−機械変換方式
のプリンターを用いることが特に好ましい。
【0155】
【実施例】実施例1 (インクの作製) (インク1) 前駆体2 3% ジエチレングリコール 10% トリエチレングリコールブチルエーテル 10% グリセリン 10% 水 66.9% サーフィノール465 0.1% (インク2) 前駆体2 3% ジエチレングリコール 16% トリエチレングリコールブチルエーテル 4% グリセリン 10% 水 66.9% サーフィノール465 0.1% (インク3) 前駆体2 4% ジエチレングリコール 7% トリエチレングリコールブチルエーテル 13% グリセリン 10% 水 66.9% サーフィノール465 0.1% (画像の作製)上記インク1〜3をインクジェットプリ
ンターPM770(電気−機械変換式)(セイコーエプ
ソン株式会社製)を用いてコニカ(株)製フォトジェッ
トペーパーQP厚手(60°鏡面光沢度:36.5%、
微粒子としてシリカを含有)に各々単色ウエッジ画像を
出力した。プリントに5%硫酸水溶液をスプレーし、市
販ラミネーターにて130℃にて加熱した。加熱は10
秒以内で行った。画像を水洗、乾燥し、画像1〜3を得
た。
【0156】得られた画像1〜3の反射スペクトルは、
比較で作製した、C.I.ピグメントレッド122の分
散体より作製したインクより作製したC.I.ピグメン
トレッド122顔料画像と一致したことから、画像1〜
3は、C.I.ピグメントレッド122顔料の画像であ
ることがわかる。
【0157】さらに、得られた、画像1〜3は、水、有
機溶媒に溶け出すことはなく、水、油に不溶の画像形成
用着色物質による画像であることがわかる。
【0158】さらに、画像1〜3を微粉砕し、さらにそ
こから着色剤を単離し、NMR等にて分析したところ、
C.I.ピグメントレッド122の化学構造を有してい
ることがわかった。
【0159】さらに画像1〜3の耐光性は顔料画像に相
当することからも、顔料の画像であることがわかる。
【0160】(インクの作製) (インク4) 前駆体4 3% ジエチレングリコール 10% トリエチレングリコールブチルエーテル 10% グリセリン 10% 水 66.9% サーフィノール465 0.1% (インク5) 前駆体4 3% N−メチル−2−ピロリドン 27% 水 66.9% サーフィノール465 0.1% (インク6) 前駆体4 3% ジエチレングリコール 18% N−メチル−2−ピロリドン 9% 水 70% (画像の作製)上記インク4〜6をインクジェットプリ
ンターPM770(セイコーエプソン株式会社製)を用
いてコニカ(株)製フォトジェットペーパーQP厚手
(60°鏡面光沢度:36.5%)に単色ウエッジ画像
を出力した。プリントに10%炭酸カリウム水溶液をス
プレーし、市販ラミネーターにて100℃にて加熱し
(加熱は10秒以内)、画像4〜6を得た。
【0161】得られた画像4〜6の反射スペクトルは、
比較で作製した、インジゴの分散体より作製したインク
より作製したインジゴ顔料画像と一致したことから、画
像4〜6は、インジゴ顔料の画像であることがわかる。
【0162】さらに、得られた、画像4は、水、有機溶
媒に溶け出すことはなく、水、油に不溶の画像形成用着
色物質による画像であることがわかる。
【0163】さらに、画像4〜6を微粉砕し、さらにそ
こから着色剤を単離し、NMR等にて分析したところ、
インジゴの化学構造を有していることがわかった。
【0164】さらに画像4〜6の耐光性は顔料画像に相
当することからも、顔料の画像であることがわかる。
【0165】比較例1(比較画像の作製) C.I.ピグメントイエロー74 95g デモールC(花王(株)製) 65g エチレングリコール 100g イオン交換水 125g を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で5
0%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、イエ
ロー顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径
は150nmであった。
【0166】この顔料分散液を用いて下記組成でインク
を作製した。 (比較インク1) 顔料分散液 40g エチレングリコール 30g メトキシエタノール 10g ペレックスOT−P(花王(株)製) 2g プロキセルGXL(ゼネカ 製) 0.03g イオン交換水 120g 次に C.I.ピグメントレッド 122 65g ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製) 40g グリセリン 100g イオン交換水 130g を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で5
0%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼ
ンタ顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平均粒径
は135nmであった。
【0167】この顔料分散液を用いて下記組成でインク
を作製した。 (比較インク2) 顔料分散液 40g エチレングリコール 30g メトキシエタノール 10g ペレックスOT−P(花王(株)製) 2g プロキセルGXL(ゼネカ 製) 0.03g イオン交換水 120g 上記比較インク1、2を各々インクジェットプリンター
PM770(セイコーエプソン株式会社製)を用いてコ
ニカ(株)製フォトジェットペーパーQP厚手(60°
鏡面光沢度:36.5%)にプリントを行い、比較画像
1、2を各々得た。
【0168】(画像の評価)画像サンプル(反射濃度約
1.0のもの)は紙支持体を除去した後、ガラスナイフ
を装着したウルトラミクロトームにより切削面を整え、
ダイヤモンドナイフを装着したウルトラミクロトームに
より厚さ約2μmの断面切片を作製した。
【0169】切り出した切片はスライドガラスの上に採
取し、油浸観察用オイルを滴下、カバーガラスを被せ
て、Zeiss社製高解像度光学顕微鏡AxioPho
toで透過観察を行った。
【0170】観察画像は光学顕微鏡のCマウントに取り
付けた朋栄社製CCDカメラHMC−1010で撮影し
て、画像解析用のコンピュータに入力し、顔料存在箇所
を測定した。
【0171】撮影および、画像入力時の条件は以下のと
おりである。 対物レンズ:Zeiss Plan−APOCHROM
AT 40×/1.0 Oilフィルター:ND 0.05 開口度 :0.42 ランプ色温度 :3200K (画質評価)上記実施例で得た、本発明の画像を比較顔
料画像及び、比較染料画像(インクジェットプリンター
PM770(セイコーエプソン株式会社製)を用いてコ
ニカ(株)製フォトジェットペーパーQP厚手にY、
M、C単色ウエッジを作製)と比較評価した。
【0172】20人の一般評価者による目視評価を行っ
た。評価対象サンプルを比較染料サンプル、比較顔料サ
ンプルと比較評価した。 5 染料同等と評価した人が18人以上の場合 4 染料同等と評価した人が15−18人未満の場合 3 染料同等と評価した人が10−14人の場合 2 染料同等と評価した人が5−9人の場合 1 染料同等と評価した人が5人未満の場合 *表1中のそれぞれは、以下の通り A(μm):インク吸収層の内、画像表面からの顔料画
像の分布している距離 B(μm):インク吸収層の厚み A/B×100(%):インク吸収層中顔料画像の存在
率(%)
【0173】
【表1】
【0174】画像1の作製において、記録媒体をセイコ
ーエプソン(株)製PM写真用紙(60°鏡面光沢度4
0%)及び、キヤノン(株)製フォト光沢紙(60°鏡
面光沢度26%)に変えた以外は同じ条件で画像を作製
したところ、表面より、各々13μm、11μmまで
水、油に不溶の画像形成用着色物質が存在しており、画
像1と同様に、本発明の画質向上効果が得られた。
【0175】(耐光性評価)上記画像について反射濃度
約1.0のサンプルを、Xeフェードメーターで照射し
(70000Lx、400時間)反射濃度残存率((X
e照射後の反射濃度)/(Xe照射前の反射濃度)×1
00)を測定したところ、いずれの試料も90%以上で
あり、良好な耐光性を示した。
【0176】以上のように、本発明の水、油に不溶の画
像形成用着色物質の存在位置を規定したインクジェット
画像は、従来にない、大幅な画質向上とくに染料画像に
近い質感を得ることができる優れた特性を有することが
判った。
【0177】
【発明の効果】本発明により、顔料画像でありながら染
料画質に近い顔料のインクジェット画像および画像形成
方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る着色物質の存在箇所を測定する断
面図である。
【符号の説明】
1 画像表面 2 着色物質の分布部位 3 インク吸収層 4 支持体もしくは不透明層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41J 3/04 101Z (72)発明者 鈴木 眞一 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 中村 正樹 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 長澤 忠広 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2C056 EA13 FA04 FC02 FC06 HA46 2H086 BA02 BA05 BA15 BA33 BA41 BA44 BA52 BA55 BA59 4J039 AE07 BA04 BA29 BC07 BC09 BC12 BC16 BC19 BC20 BC33 BC36 BC39 BC50 BC51 BC54 BC56 BC60 BC65 BC69 BC79 BE01 BE12 BE22 CA06 EA15 EA16 EA17 EA19 EA42 GA24

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水、油に不溶の画像形成用着色物質を含
    む可視画像を断面から観察し、該着色物質の存在位置を
    測定した際、該着色物質の少なくとも一部が表面から5
    μmの部位より深部に存在することを特徴とするインク
    ジェット画像。
  2. 【請求項2】 着色物質の存在位置を測定した際、該着
    色物質の少なくとも一部が表面から10μmの部位より
    深部に存在することを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット画像。
  3. 【請求項3】 水、油に不溶の画像形成用着色物質を含
    む可視画像を断面から観察し、該着色物質の存在位置を
    測定した際、該着色物質がインク吸収層の20%以上の
    部分に存在することを特徴とするインクジェット画像。
  4. 【請求項4】 着色物質の存在位置を測定した際、該着
    色物質がインク吸収層の50%以上の部分に存在するこ
    とを特徴とする請求項3記載のインクジェット画像。
  5. 【請求項5】 着色物質の存在位置を測定した際、該着
    色物質の少なくとも一部が表面から5μmの部位より深
    部に存在することを特徴とする請求項3又は4記載のイ
    ンクジェット画像。
  6. 【請求項6】 着色物質の存在位置を測定した際、該着
    色物質の少なくとも一部が表面から10μmの部位より
    深部に存在することを特徴とする請求項5記載のインク
    ジェット画像。
  7. 【請求項7】 支持体上に少なくとも無機粒子を含有す
    るインク吸収層を少なくとも1層有する記録媒体に形成
    されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に
    記載のインクジェット画像。
  8. 【請求項8】 少なくとも、水、油に不溶の画像形成用
    着色物質の前駆体を含有するインクを用いて記録したこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のイ
    ンクジェット画像。
  9. 【請求項9】 記録中、もしくは記録後に記録済みの記
    録媒体の少なくとも一部に10分未満の加熱処理を行う
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    インクジェット画像。
  10. 【請求項10】 少なくとも、水、油に不溶の画像形成
    用着色物質の前駆体を含有するインクを用いて記録した
    後、該前駆体の水、油に不溶の画像形成用着色物質への
    変換を促進する触媒の存在下で加熱処理を行うことを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジ
    ェット画像。
  11. 【請求項11】 水および少なくとも1種類の多価アル
    コールを含有するインクを用いて記録したことを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェッ
    ト画像。
  12. 【請求項12】 少なくとも界面活性剤を含有するイン
    クを用いて記録したことを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載のインクジェット画像。
  13. 【請求項13】 記録前の記録媒体の60°鏡面光沢度
    が20%以上である光沢媒体に記録したことを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット
    画像。
  14. 【請求項14】 水、油に不溶の画像形成用着色物質の
    少なくとも1つがイエロー、マゼンタ、シアン色の着色
    物質であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項に記載のインクジェット画像。
  15. 【請求項15】 電気−機械変換式のインクジェットプ
    リンターを用いて記録したことを特徴とする請求項1〜
    6のいずれか1項に記載のインクジェット画像。
  16. 【請求項16】 請求項1〜15のいずれか1項に記載
    のインクジェット画像の画像形成方法。
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