JP2002234248A - インクジェット画像記録媒体、インクジェット画像形成方法、及びインクジェットプリント - Google Patents

インクジェット画像記録媒体、インクジェット画像形成方法、及びインクジェットプリント

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JP2002234248A
JP2002234248A JP2001035237A JP2001035237A JP2002234248A JP 2002234248 A JP2002234248 A JP 2002234248A JP 2001035237 A JP2001035237 A JP 2001035237A JP 2001035237 A JP2001035237 A JP 2001035237A JP 2002234248 A JP2002234248 A JP 2002234248A
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ink
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ink jet
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JP2001035237A
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English (en)
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Atsushi Asatake
敦 朝武
Hidenobu Oya
秀信 大屋
Makoto Kaga
誠 加賀
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
Shuji Kida
修二 木田
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Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吸収速度と、画質及び画像保存性に優
れ、且つ、これらの性能を両立させることができるイン
クジェット画像記録媒体、インクジェット画像形成方
法、及びインクジェットプリントを提供すること。 【解決手段】 支持体上に無機微粒子を含有する二層以
上の多孔質層からなるインクジェット画像記録媒体にお
いて、最表層の多孔質層がカチオン性の無機顔料微粒子
と、カチオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子と
から形成されていることを特徴とするインクジェット画
像記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット画像
記録媒体に関し、支持体上に無機微粒子を含有する二層
以上の多孔質層からなるインクジェット画像記録媒体に
関する。又本発明は上記画像記録媒体にインクジェット
画像記録を行い、インクジェット画像を形成する画像形
成方法に関する。更に本発明はインクジェット記録画像
に関し、上記画像記録媒体にインクジェット画像記録を
行うことにより得られたインクジェットプリントに関す
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は比較的簡単な
装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速
な発展を遂げている。広範囲の分野でインクジェット記
録方式を採用したプリンタが製造されており、又その使
用用途に応じてインクや記録媒体の種類も多岐に及んで
いる。
【0003】近年、風景画やポートレート等、高い画質
を要求される画像の形成を目的とした、いわゆる写真画
質を訴求したインクジェットプリンタやインク・記録媒
体を用いた画像形成方法が開発されている。
【0004】例えば二つの色材濃度の異なる同色インク
を用いたインクジェットプリンタ(以下、濃淡インクを
用いるインクジェットプリンタとも言う)では、色材濃
度の低いインクを多量に記録媒体上に打ち込むことで、
濃度を維持しつつ粒状感の低減に成功している。
【0005】又高画質化を目的として、インクジェット
ヘッドより吐出されるインク液滴の液量を減少させる技
術が開発されている。これは一つ々の液滴を小さくする
ことでインクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体と
もいう)上でのドット径を小さくし、それにより粒状感
を減少させようとするものである。更にこれら二種の技
術を組み合わせることにより、ハイライト部分の階調を
忠実に再現することが可能となった。
【0006】又近年、シリカやアルミナなどの無機顔料
微粒子とバインダーとして少量の水溶性高分子とを組み
合わせ、多孔質層を形成させたインクジェット画像記録
媒体が開発されている。本記録媒体においては、層内部
に大きな空隙部分を有しているため、インクがその空隙
部分に毛細管現象により急速に吸収されること、多量の
インクを内部の空隙部分に保持することができること、
の二点の特徴を有する。これにより乾燥性に優れ、又急
速にインクが吸収されることからドット形状が真円に近
い状態に保たれ、画像の鮮明さに優れる、という長所を
生み出す。更に防水性の支持体と組み合わせることによ
り、高い光沢を与えることができる。
【0007】これらの技術を組み合わせることにより、
画質に非常に優れたインクジェット画像が得られるよう
になった。これらの画像は、従来のハロゲン化銀写真感
光材料を用いる画像形成方法により形成される画像と同
等或いはそれ以上の画質を達成するに至っている。
【0008】しかしながら染料インクをこれらの技術と
組み合わせた場合、耐光性やにじみといった画像保存性
に劣る欠陥が生じてしまう。これは空隙部分に染着され
ている染料が、外部からの光、酸素、水などの成分と容
易に接触できてしまうため、光や酸素或いは大気中の酸
化物質により染料が酸化分解されたり、染着していた染
料が水分中に再溶解・移動・再染着を起こしてしまうた
めであると推測されている。
【0009】又これらの技術と顔料インクを組み合わせ
た場合、前記の耐光性やにじみにおいては問題とならな
いものの、画質・耐擦過性・耐水性において劣る欠点を
有していた。顔料インク中の色材粒子は、記録媒体の細
孔の孔径よりも大きいため、顔料色材粒子は内部に浸透
することができず媒体表面に固着して画像を形成する。
そのため、外部からの力や水分との接触により容易に表
面より脱着してしまい、画像の耐擦過性や耐水性に劣っ
ている。又顔料粒子の表面反射が顔料粒子の存在しない
未印字部と較べ大きく異なるため、光沢が画像の部分に
よって異なるという画像の均一性を大きく損ない、画質
を大きく低下させてしまう。更には顔料表面の状態によ
っては金属光沢を与える、いわゆるブロンジング現象も
発生し、一層、画質を劣化させることになる。
【0010】このような染料インク及び顔料インクによ
り形成された画像の欠陥を改善するため、記録媒体の最
表層に熱可塑性樹脂粒子から形成される多孔質層を設け
たインクジェット画像記録媒体が知られている。この媒
体を用い、印字後、加熱及び加圧処理を行うことで樹脂
粒子層を成膜・透明化させ、表面を保護することで染料
インクの画像保存性を向上することができる。又顔料イ
ンクを用いた場合でも、加熱及び加圧処理により軟化し
た樹脂粒子層中に顔料粒子が埋め込まれるため、耐擦過
性・耐水性・画質の欠陥が改善できることが知られてい
る。
【0011】例えば特公平2−31673号、特開平7
−237348号、同11−5362号、特開2000
−280603、同2000−280604には、無機
顔料微粒子層の上部に熱可塑性樹脂粒子からなる層を設
けたインクジェット画像記録媒体に対し、染料インクに
より印字後、加熱等の手段により熱可塑性樹脂粒子層を
成膜し、画像の保存性を改善することが記載されてい
る。
【0012】又特開平11−192775号及び特開2
000−158803には、同様の無機顔料微粒子層と
熱可塑性樹脂粒子層を有するインクジェット画像記録媒
体上に顔料インクにより印字した後、加熱などの手段に
より熱可塑性樹脂粒子層を成膜化し、保存性を改善する
ことが記載されている。
【0013】これらの技術は画像面の保護に非常に有効
であるが、インク吸収速度に劣るという欠点を有してい
た。熱可塑性樹脂粒子からなる層を形成する場合、粒子
同士は最密充填されるため、その空隙率は最大でも23
〜25%程度にとどまる。これは上記無機顔料微粒子と
水溶性高分子バインダーから形成される多孔質層におけ
る空隙率が50〜70%であるのに較べて非常に小さな
値であり、そのためインク吸収が遅くなってしまう。こ
のような最表層に熱可塑性樹脂粒子層を含有する記録媒
体と、前記の濃淡インクを用いたインクジェットプリン
タを組み合わせた場合、このインク吸収速度の問題が重
要となる。濃淡インクを用いたインクジェットプリンタ
の場合、数多くのインク液滴を吐出しなければならない
ため、必然的に画像形成速度が大きく低下してしまい、
画像形成に多大なる時間を必要とする。近年その改良の
ため、画像形成速度を向上させる手段が講じられている
が、そのためより大きいインク吸収速度が要求され、こ
の最表層に熱可塑性樹脂粒子層を含有する記録媒体では
もはや対処しきれない状況となっていた。
【0014】このようなインク吸収速度の問題を解決す
るため、熱可塑性樹脂粒子に無機顔料微粒子を混合する
ことで、空隙率を向上させる試みがなされている。例え
ば前記の特開平7−237348号、特開2000−2
80603、同2000−280604には、最表層の
熱可塑性樹脂粒子層に、更に無機顔料微粒子を混合した
例が開示されている。確かにインク吸収速度において若
干の改善は見られるものの、未だ要求されるレベルには
到達していない。
【0015】又一方、特開昭57−191083号、同
58−16884号、特開平7−101142号、同9
−101164号には、最表層の無機顔料微粒子層に熱
可塑性樹脂粒子を加えた例が開示されている。これらは
無機顔料微粒子層の柔軟性を確保するため添加されてい
るものであり、添加量自体はそれ程多くなく、一定のイ
ンク吸収速度は確保されている。しかしながらこれらの
中には、記録後、無機顔料微粒子層に熱を加え、緻密化
して保護層とする思想は開示されていない。本発明者ら
がこれらの記録媒体を形成し、記録後、加熱・加圧して
みたが、画像表面を保護できるだけの樹脂膜が形成でき
なかないことが判明した。
【0016】これらの記録媒体において、熱可塑性樹脂
粒子層に多量の無機顔料微粒子を添加したり、無機顔料
微粒子層に多量の熱可塑性樹脂粒子を加えることで、イ
ンク吸収速度と、記録後の加熱成膜による画像保護を両
立できることが容易に想像できる。しかしながら単純に
無機顔料微粒子と熱可塑性樹脂粒子を混合すると、粒子
間で凝集が起こり、かえってインク吸収速度が低下する
ばかりか、塗布液の段階で凝集がひどく、塗布できなく
なってしまう。
【0017】一般にインク中の色材はスルホン酸などの
酸性基を有することで水溶性を付与されている。これを
染着・保持するために、無機顔料微粒子としてはカチオ
ン性のアルミナ水和物が広く用いられている。又シリカ
も無機顔料微粒子として広く用いられているが、シリカ
は表面に負に荷電しやすいシラノール基を多数有してい
るため、シリカ自身はアニオン性の性質を有する。色材
染着のため、インクジェット記録媒体においてはシリカ
に対してカチオン性ポリマーを共存させ、表面をカチオ
ン性にして用いられている。
【0018】一方、熱可塑性樹脂粒子は構成モノマー成
分を水などの媒体中に分散させ、重合により、小粒径の
樹脂粒子を形成させることで得られている。このモノマ
ー成分を分散させる際、アニオン性の界面活性剤が広く
用いられている。そのため、熱可塑性樹脂粒子としては
表面にアニオン性の電荷を有することになる。
【0019】この表面がカチオン性の無機顔料微粒子
と、表面がアニオン性の熱可塑性樹脂粒子を混合する
と、当然のことながら双方の粒子間で凝集が発生し、イ
ンク吸収速度が低下してしまう。このような状態ではイ
ンクジェット記録後、加熱・加圧しても、凝集が解消で
きず、そのため膜の成膜・透明性が低下し、画像の保護
効果が十分に得られなかったり、画質が改善できなかっ
たりしていた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みて為されたものであり、その目的は、インク吸収速度
と、画質及び画像保存性に優れ、しかもこれらの性能を
両立させたインクジェット画像記録媒体、インクジェッ
ト画像形成方法、及びインクジェットプリントを提供す
ることにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の諸問
題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、以下に示すインクジェ
ット画像記録媒体、インクジェット画像形成方法、及び
インクジェットプリントにより目的達成を可能にするに
至った。
【0022】1.支持体上に無機微粒子を含有する二層
以上の多孔質層からなるインクジェット画像記録媒体に
おいて、最表層の多孔質層がカチオン性の無機顔料微粒
子と、カチオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子
とから形成されていることを特徴とするインクジェット
画像記録媒体。
【0023】2.前記カチオン性の無機顔料微粒子がシ
リカとカチオン性ポリマーとから形成されていることを
特徴とする1記載のインクジェット画像記録媒体。
【0024】3.前記カチオン性の無機顔料微粒子がア
ルミナ水和物或いは酸化アルミニウムであることを特徴
とする1記載のインクジェット画像記録媒体。
【0025】4.前記最表層の多孔質層では、熱可塑性
樹脂粒子より無機顔料微粒子の含有量が多いことを特徴
とする1〜3の何れか1項記載のインクジェット画像記
録媒体。
【0026】5.1〜4の何れか1項記載のインクジェ
ット画像記録媒体上にインクジェット画像記録を行うこ
とを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【0027】6.インクジェット画像記録を行った後、
前記画像記録媒体に加熱及び加圧による処理を施すこと
を特徴とする5記載のインクジェット画像形成方法。
【0028】7.少なくとも水、インク溶剤、及び顔料
を有する水性顔料インクを吐出して画像形成を行うこと
を特徴とする5又は6記載のインクジェット画像形成方
法。
【0029】8.1〜4の何れか1項記載のインクジェ
ット画像記録媒体上にインクジェット画像記録を行うこ
とにより形成されたことを特徴とするインクジェットプ
リント。
【0030】9.インクジェット画像記録を行った後、
前記画像記録媒体に加熱及び加圧による処理が施される
ことを特徴とする8記載のインクジェットプリント。
【0031】10.少なくとも水、インク溶剤、及び顔
料を有する水性顔料インクにより記録されたことを特徴
とする8又は9記載のインクジェットプリント。
【0032】前記の通り、過去に提案されていた方法で
はインク吸収速度と、画質・画像保存性の両立は困難で
ある。その要因については前述のように、インク吸収速
度を担う無機顔料微粒子と、画質・画像保存性を担う熱
可塑性樹脂粒子をどちらも多量に混合できないことに起
因していた。例えこれらの粒子間で凝集が発生したとし
ても、加熱することで熱可塑性樹脂粒子が溶解し、画質
及び画像保存性改良に必要な成膜・透明化が行えること
が予想されるが、本発明者等の検討によれば、残念なが
ら十分な効果は得られなかった。無機顔料微粒子及び熱
可塑性樹脂粒子の混合により発生する凝集は非常に細か
く強固なもので、そのため熱可塑性樹脂粒子が溶解して
も十分な流動性が得られず、結果として成膜・透明化で
きないために、期待された効果が得られないものと推定
されている。
【0033】これに対し本発明者等が鋭意検討を加えた
ところ、二層以上の多孔質層からなり、最表層の多孔質
層がカチオン性の無機顔料微粒子と、カチオン性或いは
ノニオン性の熱可塑性樹脂粒子とから形成されているイ
ンクジェット画像記録媒体を用いれば、上述した問題は
解決され、インク吸収速度と、画質及び画像保存性を両
立して改善できることを見い出し、本発明に至ったもの
である。
【0034】即ち、カチオン性の無機顔料微粒子と、カ
チオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子とを混合
しても、粒子間で凝集することがないため、上述した問
題は解消される。
【0035】ここでカチオン性の無機顔料微粒子は、表
面が正に帯電しているアルミナ水和物はもちろんである
が、カチオン性ポリマーと同時に分散することで、表面
が正に帯電した、シリカであっても良い。
【0036】又、最表層の無機顔料微粒子の含有量を、
熱可塑性樹脂粒子の含有量よりも多くすることで、優れ
たインク吸収速度を維持することができ、更に加熱する
ことで十分な成膜・透明化が促進され、画質・画像保存
性においても改良できることが判明した。これは、無機
顔料微粒子と熱可塑性樹脂粒子との含有量を上記のバラ
ンスで添加した場合、塗布液での両者の混合・分散状態
が非常に細かなものになるためであると推定される。
【0037】以下に本発明について詳細に説明する。最
初にインクジェット画像記録媒体について説明する。
【0038】インクジェット画像記録媒体は、支持体上
に無機微粒子を含有する二層以上の多孔質層からなり、
最表層の多孔質層がカチオン性の無機顔料微粒子と、カ
チオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子とから形
成されている。
【0039】本発明のインクジェット画像記録媒体に
は、支持体上にインク溶媒保持能を有する空隙から成る
多孔質層が形成されていることが必要であり、該多孔質
層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集によ
り形成されるものである。
【0040】従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は
種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有
する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれ
らのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方
法、固体微粒子及び親水性又は疎水性バインダーを含有
する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェ
ット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に
浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、
皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗
布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜
中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バ
インダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質
微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バイ
ンダーに対して概ね等量以上(好ましくは1.0倍以
上)の容積を有する固体微粒子及び又は微粒子油滴と親
水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布して
固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている
が、本発明においては、空隙層に、平均粒径が100n
m以下の各種無機微粒子(単に、無機微粒子ともいう)
を含有させることによって形成されることが好ましい。
【0041】上記の目的で使用される無機微粒子として
は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサ
イト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができ
る。
【0042】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのもの或
いは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観
察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単
純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の
粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したとき
の直径で表したものである。
【0043】濃度の高い画像形成、鮮明な画像記録及び
低コストでの製造等の観点からすると、無機微粒子とし
てはシリカ及びアルミナ又はアルミナ水和物から選ばれ
た無機微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好
ましい。
【0044】シリカとしては、通常の湿式法で合成され
たシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された
シリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に
好ましく用いられるシリカとしては、コロイダルシリカ
又は気相法で合成された微粒子シリカ(以下、気相法微
粒子シリカともいう)が好ましく、中でも気相法微粒子
シリカは高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定
化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加した
ときに粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。又、
アルミナ又はアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶
質であってもよく、又不定形粒子、球状粒子、針状粒子
など任意の形状のものを使用することができる。
【0045】無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合
する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態で
あるのが好ましい。
【0046】本発明の効果を得るためには、支持体上の
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが
好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一
次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均
粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以
下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最
も好ましくは4〜20nmである。
【0047】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均
粒径が4〜20nmである気相法微粒子シリカとして
は、例えば、日本アエロジル社のアエロジル等が市販さ
れている。この気相法微粒子シリカは、水中に例えば、
三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダ
クターミキサーなどにより容易に吸引分散することで比
較的容易に一次粒子まで分散することが出来る。
【0048】又親水性バインダーとしては、例えばポリ
ビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアク
リルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリ
ン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラ
ン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられ
る。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能
である。
【0049】本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は
ポリビニルアルコールである。当該ポリビニルアルコー
ルには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常の
ポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性した
ポリビニルアルコール、ノニオン変性したポリビニルア
ルコール、或いはアニオン性基を有するアニオン変性ポ
リビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含
まれる。
【0050】ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られるポ
リビニルアルコールは平均重合度が1,000以上のも
のが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜
5,000のものが好ましく用いられる。
【0051】ケン化度は70〜100%のものが好まし
く、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0052】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば特開昭61−10483号に記載されている
ような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム塩基
を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有する
ポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエ
チレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン
化することにより得られる。
【0053】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)ア
ンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−
ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0054】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%であ
る。
【0055】アニオン変性ポリビニルアルコールは例え
ば、特開平1−206088号に記載されているような
アニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭6
1−237681号、及び同63−307979号に記
載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有
するビニル化合物との共重合体及び特開平7−2852
65号に記載されているような水溶性基を有する変性ポ
リビニルアルコールが挙げられる。
【0056】又、ノニオン変性ポリビニルアルコールと
しては、例えば、特開平7−9758号に記載されてい
るようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコー
ルの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開
平8−25795号に記載された疎水性基を有するビニ
ル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が
挙げられる。
【0057】ポリビニルアルコールは重合度や変性の種
類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0058】インク溶媒保持能を有する空隙から成る多
孔質層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求される
インク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、
水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般には記録用
紙1m2当たり通常5〜30g、好ましくは10〜25
gである。
【0059】又、インク溶媒保持に用いられる無機微粒
子と水溶性樹脂の比率は質量比で通常2:1〜20:1
であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0060】本発明のインクジェット画像記録媒体は、
光沢性に優れ、皮膜の脆弱性を劣化させずに高い空隙率
を得るために、前記水溶性樹脂が硬膜剤により硬膜され
ていることが好ましい。
【0061】硬膜剤は、一般的には前記水溶性樹脂と反
応し得る基を有する化合物或いは水溶性樹脂が有する異
なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶
性樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0062】硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキ
シ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオー
ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロ
ヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキ
シアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グ
リセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系
硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性
ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ
−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合
物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−
s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル
等)、ほう酸及びその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げ
られる。
【0063】特に好ましい水溶性樹脂としてポリビニル
アルコール及び又はカチオン変性ポリビニルアルコール
を使用する場合には、ほう酸及びその塩又はエポキシ系
硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0064】最も好ましいのはほう酸及びその塩から選
ばれる硬膜剤である。本発明で、ほう酸又はその塩とし
ては、硼素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のこ
とを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほ
う酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸及びそれらの塩が
含まれる。
【0065】上記硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、
硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や水溶性樹脂に対する
比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5
〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0066】上記硬膜剤は、本発明のインク保持能を有
する空隙から成る多孔質層を形成させるために用いる塗
布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、或
いは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体
上に、前記多孔質層を形成させるために用いる塗布液を
塗布しても良い。又、前記多孔質層を形成させるために
用いる塗布液(硬膜剤非含有)を塗布・乾燥した後で硬
膜剤溶液をオーバーコートするなどして供給することが
できるが、製造効率の観点から、これらの中で好ましい
のは、前記多孔質層を形成させるために用いる塗布液中
に硬膜剤を添加して塗布する方法が好ましい。
【0067】本発明に係るインクジェット画像記録媒体
には、得られる画像の耐水性を改良する目的で、カチオ
ン性ポリマーを添加することもできる。用いられるカチ
オン性ポリマーは、特に限定なく使用可能であるが、特
に好ましいものは、質量平均分子量が2,000〜10
0,000のものである。
【0068】カチオン性ポリマーは、好ましくは分子内
に第四級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特
に好ましくは第四級アンモニウム塩基を有するモノマー
の単独重合体又は他の共重合し得る一又は二以上のモノ
マーとの共重合体である。第四級アンモニウム塩基を有
するモノマーとしては、前記のカチオン性基を有するエ
チレン性不飽和単量体が挙げられる。
【0069】分子内に第四級アンモニウム塩基を有する
カチオン性のポリマー(水溶性)はインクジェット記録
用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.
2〜5gの範囲で用いられる。
【0070】空隙層において、空隙の総量(空隙容量)
は画像記録媒体1m2当り20ml以上であることが好
ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時
のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であ
るものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収さ
れず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなど
の問題が生じやすい。
【0071】空隙容量の上限は特に制限されないが、空
隙層の膜厚を概ね70μm以下にすることが、ひび割れ
等の皮膜の物理特性を悪化させないために好ましい。
【0072】インク保持能を有する空隙層において、固
形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明にお
いて、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚
を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好まし
い。
【0073】本発明のインクジェット画像記録媒体に
は、前記の親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集によ
りインク溶媒保持能を有する空隙から成る多孔質層の上
部に、無機顔料微粒子と熱可塑性樹脂粒子から成る多孔
質層が形成される。
【0074】本発明における無機顔料微粒子としては、
例えば前記インク溶媒保持能を有する空隙から成る多孔
質層に用いられる無機顔料微粒子と同様のものが挙げら
れる。中でもシリカ或いはアルミナ水和物が好ましく、
特に気相法微粒子シリカが好ましい。
【0075】本発明における無機顔料微粒子と熱可塑性
樹脂粒子からなる多孔質層には、カチオン性ポリマーを
添加することもできる。特にシリカを無機顔料微粒子と
して用いる場合、カチオン性ポリマーを添加すること
で、粒子の表面状態をカチオン性にすることが必要であ
る。用いられるカチオン性ポリマーとしては、例えば前
記のインク溶媒保持能力を有する空隙層に用いられるカ
チオン性ポリマーと同様のものを挙げることができる。
【0076】本発明における熱可塑性樹脂粒子として
は、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリ
ル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル
酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル及びこ
れらの共重合体が挙げられる。塗布液形成の観点から
は、これら熱可塑性樹脂粒子は、水などの媒体中に分散
された状態にあることが望ましい。これら熱可塑性樹脂
粒子は、構成モノマー成分を水などの媒体中に分散さ
せ、重合させることで小粒径の分散状樹脂粒子を得るこ
とができる。又、予め溶液重合等で得られた樹脂を、水
などの媒体中で粉砕することにより、同じく小粒径の分
散状樹脂粒子を得ることができる。
【0077】本発明においては、上記の重合及び粉砕の
プロセスにおいて、カチオン性或いはノニオン性の分散
剤を併用させて、カチオン性或いはノニオン性の分散状
樹脂粒子を得ることが必要である。
【0078】カチオン性の分散剤としては、臭化テトラ
メチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム等の低分
子量のカチオン性化合物、或いは前記のカチオン変性ポ
リビニルアルコールや、カチオン性ポリマー等の高分子
化合物が挙げられる。
【0079】ノニオン性の分散剤としては、一般にノニ
オン性の親水性バインダーとして挙げられている化合物
が用いられ、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメ
チルセルロース、糖類等が挙げられる。
【0080】熱可塑性樹脂を選択するに当たり考慮すべ
き点は、インク受容性、加熱及び加圧による定着後の光
沢性、及び画像堅牢性等である。インク受容性について
は、熱可塑性樹脂粒子が小さい場合は、顔料インク中の
顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、実質的な吸収
速度の低下を招くことになる。又、大き過ぎる場合に
は、支持体上に塗設する際に隣接するインク保持能を有
する空隙から成る多孔質層との接着性や、塗設乾燥後の
膜強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可
塑性樹脂粒子径としては0.05〜10μm、より好ま
しくは0.1〜5μmの範囲である。
【0081】又、熱可塑性樹脂粒子の選択の基準として
は、ガラス転移点Tgが挙げられる。Tgが極端に低い
場合は、例えば、記録材料製造時の塗布乾燥温度が既に
Tgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性樹
脂粒子による空隙が消失してしまう。又、Tgが極端に
高い場合は、顔料インクによるインクジェット記録後、
溶融製膜するために高温での定着操作が必要となり、装
置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可
塑性樹脂粒子の好ましいTgは50〜150℃である。
【0082】又、画像形成後、記録画像はその経時保存
による画質劣化をできるだけ抑制する必要がある。顔料
インクを用いた場合は、染料インクの様な比較的短期間
での濃度低下や変色を気にする必要はないが、未印字部
の変色をできるだけ抑制する観点から、上記の種類の熱
可塑性樹脂粒子を選択する必要がある。
【0083】更に本発明のインクジェット画像記録媒体
へ画像記録した後、該画像記録媒体を加熱及び加圧し、
多孔層から形成される熱可塑性樹脂層を緻密化すること
が必要である。
【0084】加熱及び加圧の手段としては、加熱及び加
圧ローラーを用いる方法、加熱板上に圧着させる方法、
等種々の方法が挙げられる。ここでは、加熱及び加圧ロ
ーラーを用いる方法が、表面状態が最も均一に平滑化で
きるため光沢が向上しやすく、又粒状性の向上にもつな
がり本発明の目的から好ましい。
【0085】無機顔料微粒子と熱可塑性樹脂粒子からな
る多孔質層では、無機顔料微粒子と熱可塑性樹脂粒子の
含有量の比率は特に限定されないが、インク吸収速度と
画質・画像保存性を両立させるために5:1〜1:5程
度が好ましく、特に無機顔料微粒子の含有量の方が熱可
塑性樹脂粒子の含有量よりも多いことが好ましい。
【0086】本発明に関る支持体としては、従来からイ
ンクジェット記録媒体に用いられている支持体、例え
ば、普通紙、アート紙、コート紙及びキャストコート紙
などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオ
レフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複
合支持体を用いることができる。
【0087】上記支持体と空隙層の接着強度を大きくす
る等の目的で、空隙層の塗布に先立って、支持体にコロ
ナ放電処理や下引処理等を行うことが好ましい。
【0088】更に、本発明のインクジェット画像記録媒
体は必ずしも無色である必要はなく、着色されていても
よい。
【0089】本発明のインクジェット画像記録媒体では
原紙支持体の両面をポリエチレンでラミネートした紙支
持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、しか
も低コストで高品質の画像が得られるために特に好まし
い。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体
について以下に説明する。
【0090】紙支持体に用いられる原紙は木材パルプを
主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロ
ピレンなどの合成パルプ或いはナイロンやポリエステル
などの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとして
はLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、
NDP、LUKP、NUKPの何れも用いることが出来
るが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、N
DP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、
LBSP及び又はLDPの比率は10〜70質量%以下
が好ましい。
【0091】上記パルプには不純物の少ない化学パルプ
(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、又、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも
有用である。
【0092】原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテン
ダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化
チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白
剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散
剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加する
ことが出来る。
【0093】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSF
の規定で200〜500mlが好ましく、又叩解後の繊
維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ
残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30
〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は2
0質量%以下であることが好ましい。
【0094】原紙の坪量は、30〜250gが好まし
く、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40
〜250μmが好ましい。
【0095】原紙は抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処
理して高平滑性を与えることも出来る。原紙密度は0.
7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的
である。更に原紙剛度はJIS−P−8143に規定さ
れる条件で20〜200gが好ましい。
【0096】原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良
く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズ
と同様のサイズ剤を使用できる。
【0097】原紙のpHは、JIS−P−8113で規
定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であ
ることが好ましい。
【0098】原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレン
は、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/
又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のL
LDPEやポリプロピレン等も一部使用することが出来
る。
【0099】特に、空隙層側のポリエチレン層は写真用
印画紙で広く行われているようにルチル又はアナターゼ
型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及
び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量
は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好まし
くは4〜13質量%である。
【0100】ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いる
ことも、又、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出し
てコーティングする際にいわゆる型付け処理を行って通
常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形
成したものも本発明で使用できる。
【0101】原紙の表裏のポリエチレンの使用量は空隙
層やバック層を設けた後で低湿及び高湿下でのカールを
最適化するように選択されるが、通常空隙層側のポリエ
チレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μ
mの範囲である。
【0102】更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以
下の特性を有していることが好ましい。 1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される
強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20kgで
あることが好ましい 2.引き裂き強度はJIS−P−8116による規定方
法で縦方向が10〜200g、横方向が20〜200g
が好ましい 3.圧縮弾性率≧98.1MPa 4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定さ
れる条件で20秒以上が光沢面としては好ましいが、い
わゆる型付け品ではこれ以下であっても良い 5.表面粗さ:JIS−B−0601に規定された表面
粗さが、基準長さ2.5mm当たり最大高さは10μm
以下であることが好ましい 6.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法
で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ま
しい 7.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*
*、b*がL*=80〜95、a*=−3〜+5、b*
−6〜+2であることが好ましい 8.表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される6
0度鏡面光沢度が10〜95%であることが好ましい 9.クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛
直度が50〜300cm 2/100である支持体が好ま
しい 10.中紙の含水率:中紙に対して通常2〜100質量
%、好ましくは2〜6質量%である。
【0103】本発明のインクジェット画像記録媒体の空
隙層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種
の親水性層を支持体上に塗布する方法は公知の方法から
適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、各層
を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られ
る。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、
特に全ての親水性バインダー層を一回の塗布で済ます同
時塗布が好ましい。
【0104】塗布方式としては、ロールコーティング
法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティン
グ法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法或い
は米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使
用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられ
る。
【0105】本発明においては、少なくとも水、インク
溶剤、及び色材を含有する水性インクが用いられる。
【0106】ここでインク溶剤として、下記一般式
(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0107】一般式(1) A−B 式中、Aは親水性置換基を含む基を表し、Bは疎水性基
を表す。
【0108】ここでAで表される親水性置換基としては
ヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホキシド基、スル
ホン基、スルホン酸基、2−ケト−1−ピロリジニル基
等が挙げられる。中でもヒドロキシ基が好ましい。
【0109】Bは疎水性基を表し、好ましくは炭素原子
数3〜10の脂肪族或いは芳香族炭化水素基である。更
にBは炭素原子数4〜8の脂肪族基であることが好まし
い。
【0110】この一般式(1)で表される化合物は一般
的な界面活性剤と類似の構造を有しているが、界面活性
剤のような強力な界面活性作用を有さないことが好まし
い。一般的な界面活性剤は水溶液中で、低濃度でミセル
を形成する特徴を示す。上記一般式(1)で表される化
合物は、このようなミセル形成能力を有していないこと
が好ましい。これは強い界面活性作用を有する場合、分
子間の相互作用が強いため、1%を超え濃度が上昇する
と、インクの粘度を著しく増加させてしまう欠点がある
ためである。
【0111】上記一般式(1)で表される化合物のう
ち、好ましい例としては多価アルコールエーテル誘導体
及び炭素原子数4〜8の脂肪族1,2−ジオールが挙げ
られ、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチル
セロソルブ)、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチ
レングリコールモノフェニルエーテル、1,2−ヘキサ
ンジオール、或いは1,2−ペンタンジオールから選ば
れる化合物であることがより好ましい。更に好ましくは
トリエチレングリコールモノブチルエーテル或いは1,
2−ヘキサンジオールである。
【0112】本発明に使用できるインク溶剤としては水
溶性の有機溶媒が好ましく、具体的にはアルコール類
(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカン
ダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルア
ルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタン
ジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグ
リコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチ
レングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等)、
アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、
N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレン
ジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレ
ントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、
アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素
環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
リドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、2−オ
キサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノ
ン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシ
ド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、スルホ
ン酸塩類(例えば1−ブタンスルホン酸ナトリウム塩
等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられ
る。
【0113】本発明において用いられるインク溶剤で
は、上記一般式(1)で表される化合物を、該インク溶
剤の50%以上用いることが諸性能を向上させるために
必要である。ここで言う諸性能とは、例えばデキャップ
耐性(出力中にヘッド表面でインク溶媒が蒸発してしま
い、インク吐出速度が変動してしまう現象に対する耐
性)、ドット径(記録媒体表面での、記録ドットの直
径)等が挙げられる。
【0114】本発明において用いられるインク溶剤は、
上記一般式(1)で表される化合物を、インク溶剤の5
0%以上を用いることがデキャップ耐性やドット径を拡
大させて画質を向上させるために必要である。インク溶
剤量を増加すればデキャップ耐性を向上することがで
き、インク溶剤のインク中における構成比率を45%よ
りも大きくすることで実用上の問題を減少することがで
きる。ただしドット径を拡大させて画質を向上させるた
めには、一般式(1)で表されるインク溶剤を含有させ
ることが必要である。これらのインク溶剤は単独で用い
ても、又併用して用いても良い。
【0115】本発明において、顔料の分散安定性を向上
させるため、水性インクは界面活性剤を含有することが
必要である。水性インクに好ましく使用される界面活性
剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル
ナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性
界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチ
レングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプ
ロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性
剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等の
カチオン性界面活性剤が挙げられる。特にアニオン性界
面活性剤及びノニオン性界面活性剤を好ましく用いるこ
とができる。
【0116】本発明において使用できる色材としては、
酸性染料、直接染料、塩基性染料、及び顔料が挙げら
れ、酸性染料及び顔料が好ましく、特に顔料が好まし
い。
【0117】本発明に使用できる顔料としては、従来公
知の有機及び無機顔料が使用できる。例えばアゾレー
キ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料
等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペ
リレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、
ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリ
ノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性
染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニ
トロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光
顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙
げられる。
【0118】具体的な有機顔料を以下に例示する。マゼ
ンタ又はレッド用の顔料としては、C.I.ピグメント
レッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグ
メントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.
I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド1
5、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメン
トレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:
1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグ
メントレッド122、C.I.ピグメントレッド12
3、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメ
ントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメント
レッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.
I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0119】オレンジ又はイエロー用の顔料としては、
C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメント
オレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.
I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエ
ロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.
ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー
93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグ
メントイエロー138等が挙げられる。
【0120】グリーン又はシアン用の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブ
ルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブ
ルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ
る。
【0121】水性インクに用いられる顔料の含有量は、
インク全質量に対して1〜10質量%であるのが好まし
い。
【0122】本発明において、好ましくは一色以上で、
少なくとも二つの濃度の異なる同色水性インクから構成
されるインクジェット画像記録液セットを用いることが
望ましい。二色以上において、少なくとも二つの濃度の
異なる同色水性インクから構成される水性インクセット
を用いることがより好ましく、三色以上において少なく
とも二つの濃度の異なる同色水性インクから構成される
水性インクセットを用いることが更に好ましい。
【0123】これは低濃度の水性インクを用いること
で、粒状感を減少させ、いわゆる「ざらつき」のない高
画質画像を形成することが可能となるからである。ただ
し顔料インクを用いた場合、単純に低濃度の水性インク
を公知の記録媒体と組み合わせても粒状感の改善は未だ
不十分であり、前述の加熱及び加圧処理前後で該画像の
色再現域が拡大する記録媒体と組み合わせることによ
り、十分な粒状性が得られる。これは前述の通り顔料粒
子が熱可塑性樹脂粒子によりより小さな凝集状態にされ
ることで、顔料粒子とその周囲との屈折率の差が軽減さ
れ、結果として粒状性が目立たなくなるものと推定され
る。
【0124】ここで人間の視感度の高いマゼンタインク
或いはシアンインクにおいて濃度の異なる少なくとも二
つの水性インクを用いることが好ましい。
【0125】この濃度が異なる水性インクセットの濃度
比は任意な値として良いが、滑らかな階調再現を行うた
めには、高濃度インクと低濃度インクとの比[(低濃度
インクの濃度)/(高濃度インクの濃度)]は、0.1
〜1.0の間にあることが好ましく、0.2〜0.5の
間にあることが更に好ましく、0.25〜0.4の間に
あることが特に好ましい。
【0126】本発明においては必要に応じて顔料分散剤
を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例
えば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル
硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナ
フタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシ
アルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアル
キレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステ
ル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミド、アミンオキシド等の活性剤、或いはスチレン、ス
チレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、
アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イ
タコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導
体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重
合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることが
できる。
【0127】顔料の分散方法としては、ボールミル、サ
ンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘ
ンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザ
ー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカ
ー等各種を用いることができる。
【0128】前記顔料と顔料分散剤を用い、前記分散方
法によって得られた顔料分散体の粗粒分を除去する目的
で遠心分離装置を使用することも、フィルターを使用す
ることも好ましく用いられる。
【0129】水性インクに使用する顔料分散体の平均粒
径は10〜200nmであることが好ましく、10〜1
50nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ま
しい。顔料分散体の平均粒径が200nmを越えると光
沢メディアに記録した画像では光沢感の劣化が起こり、
トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著し
い透明感の劣化が起こる。又、顔料分散体の平均粒径が
10nm未満になると顔料分散体の安定性が悪くなりや
すく、インクの保存安定性が劣化しやすくなる。
【0130】顔料分散体の粒径測定は、光散乱法、電気
泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測
定機器により求めることが出来る。又、透過型電子顕微
鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対し
て行い、この像をImage−Pro(メディアサイバ
ネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理
を行うことによっても求めることが可能である。
【0131】本発明における水性インクは、ラテックス
を含有しても良い。本発明におけるラテックスとは媒質
中に分散状態にあるポリマー粒子のことを指す。ポリマ
ーの種類の例としてはスチレン−ブタジエン共重合体、
ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリ
コン−アクリル共重合体及びアクリル変性フッ素樹脂等
があるが、中でもアクリル酸エステル、ポリウレタン及
びシリコン−アクリル共重合体が好ましい。
【0132】ラテックスの製造に用いられる乳化剤とし
ては低分子量の界面活性剤が用いられるのが一般的であ
るが、中では高分子量の界面活性剤(例えば可溶化基が
ポリマーにグラフト結合しているタイプや可溶化基を持
つ部分と不溶性の部分を連結させたブロックポリマーの
タイプ等がある)を乳化剤として用いたり、或いは可溶
化基をラテックスの中心ポリマーに直接結合させること
により乳化剤を用いずに分散されているラテックスも存
在する。この乳化剤に高分子量の界面活性剤を用いるラ
テックス及び乳化剤を使用しないラテックスはソープフ
リーラテックスと呼ばれている。本発明に使用するラテ
ックスとしては乳化剤の種類、形態を問わないが、イン
クの保存安定性に優れるソープフリーラテックスを用い
ることがより好ましい。
【0133】又、最近は中心ポリマーが均一であるラテ
ックス以外にポリマー粒子の中心部と外縁部で組成を異
にしたコア・シェルタイプのラテックスも存在するが、
このタイプのラテックスも好ましく用いることができ
る。
【0134】本発明におけるラテックスの平均粒径は1
50nm以下が好ましく、50nm以下がより好まし
い。
【0135】ラテックスの平均粒子径は光散乱法式やレ
ーザードップラー法式を用いた市販の測定装置を使用し
て簡便に計測することが可能である。
【0136】本発明におけるラテックスの固形分添加量
はインクの全質量に対して0.1〜10質量%であり、
0.3〜5質量%以下であることが特に好ましい。添加
量0.1質量%未満では耐水性に関して十分な効果を発
揮することが難しく、又10質量%を越えると経時でイ
ンク粘度の上昇や顔料分散粒径の増大が起こりやすいな
どインク保存性の点で問題が生じることが多い。
【0137】本発明においては電気伝導度調節剤を用い
ることもでき、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウ
ム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム
などの無機塩や、トリエタノールアミン等の水性アミン
等が挙げられる。
【0138】本発明におけるインクにはこの他に防腐
剤、防黴剤、粘度調整剤等を必要に応じて含有しても良
い。
【0139】次に、インクジェット画像形成方法につい
て説明する。上述したインクジェット画像記録媒体上に
インクジェット画像記録を行うことにより、画像形成が
行われ、インクジェット記録画像が得られる。
【0140】インクジェット画像記録を行った後、前記
画像記録媒体に加熱及び加圧による処理を施すことが好
ましく、例えば加熱及び加圧の手段としては、上記の如
く、加熱及び加圧ローラーを用いる方法、加熱板上に圧
着させる方法、等種々の方法が挙げられる。本発明で
は、加熱及び加圧ローラーを用いる方法が、表面状態が
最も均一に平滑化できるため光沢が向上しやすく、又粒
状性の向上にもつながり本発明の目的から好ましい。
【0141】本発明では、少なくとも水、インク溶剤、
及び顔料を有する水性顔料インクを吐出して画像形成を
行うことが好ましく、使用するインクジェットヘッドは
オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わな
い。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例え
ば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、
ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアー
ドウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマ
ルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型
等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジ
ェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット
型等)などを具体的な例として挙げることができるが、
何れの吐出方式を用いても構わない。中でも電気−機械
変換方式が好ましい。
【0142】このようにして、インクジェット画像記録
媒体上にインクジェット記録画像が形成されたインクジ
ェットプリントが得られる。
【0143】本発明においてインクジェットプリントと
は、インクジェット画像記録媒体上にインクジェット画
像記録を行うことによりインクジェット記録画像が形成
されたものをいう。インクジェット画像記録媒体として
は、例えば本発明における多孔質層が形成されている被
記録媒体であれば、上述した支持体の素材或いは形状に
特に限定されるものではなく、例えばシート状に形成さ
れたもの以外に立体的な構造を有するものであってもよ
い。
【0144】得られたインクジェットプリントは、イン
ク吸収速度と、画質及び画像保存性に優れており、これ
らの性能を両立させることができるという従来にない効
果を奏する。
【0145】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。尚、実施例中では(%)は特に断りのない限り
質量%を示す。
【0146】実施例1 1.シリカ塗布液の調製 〈シリカ塗布液−1の調製〉 ・シリカ分散液−1の調製 1次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ
(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三
田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダ
クターミキサーTDSを用いて、硝酸でpH=2.5に
調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全
量を694Lに純水で仕上げた。 ・シリカ分散液−2の調製 カチオン性ポリマーとしてP−1を1.14kg、エタ
ノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する
水溶液(pH=2.3)18Lに、シリカ分散液−1の
69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸26
0gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加
し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g
添加した。
【0147】この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモ
ジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシ
リカ分散液−2を調製した。
【0148】ついで上記のようにして得られたシリカ分
散液−2を使用して、シリカ塗布液−1を調製した。
【0149】シリカ分散液−2の600mlに40℃で
攪拌しながら、以下の添加剤を順次混合した。
【0150】 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203) の10%水溶液 6ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) の7%水溶液 185ml 純水で全量を1000mlに仕上げる。 〈シリカ塗布液−2の調製〉上記シリカ塗布液−1の調
製において、気相法シリカとして一次粒子の平均粒径が
約0.007μmの気相法シリカ(日本アエロジル工業
社製:A300)を同質量、カチオンポリマーとしてP
−2を1.63kg用いた他は同様にしてシリカ塗布液
−2を調製した。
【0151】
【化1】
【0152】2.アルミナ水和物塗布液の調製 特開平11−1060号の実施例1に記載の方法に従っ
て、無機微粒子としてアルミナ水和物のコロイダルゾル
とポリビニルアルコール溶液を含有する、アルミナ水和
物塗布液を調製した。 3.熱可塑性樹脂粒子分散体の調製 ・熱可塑性樹脂粒子分散体−1の調製 スチレンとアクリル酸エステルを、質量比で80:20
となるように混合し、これを水中にて、ノニオン性の分
散剤を用いて分散、加熱重合し、固形分比率40%、平
均粒径248nmの熱可塑性樹脂粒子分散体−1を得
た。 ・熱可塑性樹脂粒子分散体−2の調製 熱可塑性樹脂粒子分散体−1の調製において、スチレン
とアクリル酸エステルの質量比を57:43に変更し、
更に分散剤としてカチオン性の分散剤に変更した以外は
同様にして加熱重合し、固形分比率40%、平均粒径1
35nmの熱可塑性樹脂粒子分散体−2を得た。 ・熱可塑性樹脂粒子分散体−3の調製 熱可塑性樹脂粒子分散体−1の調製において、スチレン
とアクリル酸エステルの質量比を68:32に変更し、
更に水分量を調節した以外は同様にして加熱重合し、固
形分比率30%、平均粒径228nmの熱可塑性樹脂粒
子分散体−3を得た。 ・熱可塑性樹脂粒子分散体−4の調製 熱可塑性樹脂粒子分散体−1の調製において、スチレン
とアクリル酸エステルの質量比を46:54に変更し、
更に水分量を調節した以外は同様にして加熱重合し、固
形分比率30%、平均粒径181nmの熱可塑性樹脂粒
子分散体−4を得た。 ・熱可塑性樹脂粒子分散体−5の調製 熱可塑性樹脂粒子分散体−1の調製において、スチレン
をメタクリル酸メチルに変更し、更に水分量を調節した
以外は同様にして加熱重合し、固形分比率45%、平均
粒径354nmの熱可塑性樹脂粒子分散体−5を得た。 ・熱可塑性樹脂粒子分散体−6の調製 市販のアニオン性熱可塑性樹脂粒子分散体(日信化学製
ビニフラン602;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;
固形分比率55.9%、平均粒径400nm)をそのま
ま用いた。 4.インクジェット画像記録媒体の作製 厚さ170g/m2の原紙の両面をポリエチレンで被覆
したポリエチレンコート紙(インク受容層側のポリエチ
レン中の8質量%のアナターゼ型酸化チタン含有;イン
ク受容層面側に0.05g/m2のゼラチン下引き層、
反対側にTgが約80℃のラテックスポリマーをバック
層0.2g/m2として有する)に、ポリエチレンコー
ト紙側からシリカ塗布液、シリカ塗布液と熱可塑性樹脂
粒子分散体を混合した塗布液を同時塗布し、約7℃に一
度冷却した後で20〜65℃の風を吹き付けて乾燥し、
インクジェット画像記録媒体を作製した。
【0153】ここで表層側のシリカ塗布液と熱可塑性樹
脂粒子分散体を混合した塗布液の種類と混合比率、各層
の湿潤膜厚を表1に示す通り変更し、インクジェット画
像記録媒体−1〜11を作製した。 5.インクの調製 1)イエローインクの調製 〈イエロー顔料分散液〉 C.I.ピグメントイエロー128 95g デモールC(花王(株)製) 65g エチレングリコール 100g イオン交換水 120g これらを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積
率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散
し、イエロー顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の
平均粒径は122nmであった。 〈イエローインク〉 イエロー顔料分散液 100g エチレングリコール 240g ジエチレングリコール 150g 1,2−ヘキサンジオール 50g オルフィン1010(日信化学製) 5g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌
した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機
を二度通過させ、イエローインクを得た。 2)マゼンタ濃色インクの調製 〈マゼンタ顔料分散液〉 C.I.ピグメントレッド122 105g ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製) 60g エチレングリコール 100g イオン交換水 130g これらを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積
率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散
し、マゼンタ顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の
平均粒径は85nmであった。尚、粒径測定はマルバー
ン社製ゼータサイザ1000により行った。 〈マゼンタ濃色インク〉 マゼンタ顔料分散液 113g エチレングリコール 240g ジエチレングリコール 150g 1,2−ヘキサンジオール 50g ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌
した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機
を二度通過させ、マゼンタ濃色インクを得た。 3)マゼンタ淡色インクの調製 〈マゼンタ淡色インク〉 マゼンタ顔料分散液 28g エチレングリコール 240g ジエチレングリコール 170g 1,2−ヘキサンジオール 50g ペレックスOT−P(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌
した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機
を二度通過させ、マゼンタ淡色インクを得た。 4)シアン濃色インクの調製 〈シアン顔料分散液〉 C.I.ピグメントブルー15:3 100g デモールC(花王(株)製) 68g ジエチレングリコール 100g イオン交換水 125g これらを混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積
率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散
し、シアン顔料分散液を得た。得られた顔料分散物の平
均粒径は105nmであった。 〈シアン濃色インク〉 シアン顔料分散液 98g エチレングリコール 240g ジエチレングリコール 150g 1,2−ヘキサンジオール 50g レベノールWX(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌
した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機
を二度通過させ、シアン濃色インクを得た。 5)シアン淡色インクの調製 〈シアン淡色インク〉 シアン顔料分散液 24.5g エチレングリコール 240g ジエチレングリコール 170g 1,2−ヘキサンジオール 50g レベノールWX(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌
した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機
を二度通過させ、シアン淡色インクを得た。 6)ブラックインクの調製 〈ブラックインク〉 Hostfine BlackT(クラリアント(株)製、平均粒子径50 nm) 167g エチレングリコール 240g ジエチレングリコール 170g 1,2−ヘキサンジオール 50g レベノールWX(花王(株)製) 3g プロキセルGXL(ゼネカ社製) 0.2g これをイオン交換水で1000gに仕上げ、十分に攪拌
した後に、孔径1ミクロンのミリポアフィルター濾過機
を二度通過させ、ブラックインクを得た。 6.インクジェット画像形成 得られたインクを吐出ノズル数=256、ノズル径=2
5μm、吐出周波数=30kHzであるピエゾ方式イン
クジェットヘッドを六機搭載したインクジェット試験機
を用い、画像記録媒体−1〜11上に1440×720
dpi(dpiとは2.54cm当たりのドットの数を
表す)の画素密度で画像を出力した。
【0154】尚、上記ノズルの駆動電圧を変化させ、液
滴速度が8m/秒となるように調整した。この時、吐出
されたインク液滴の量を測定したところ、6plであっ
た。
【0155】又低〜中濃度部域では低濃度インクジェッ
ト画像記録液を中心に、高濃度部域では高濃度のインク
ジェット画像記録液を中心に出力するよう、駆動条件を
設定した。更にインク付与後、試料を直径30mmφの
円柱状の鉄シリンダ(上ローラ)と、シリコンゴムロー
ラ(直径30mmφの下ローラ)が共に、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体に
より被覆され、鉄シリンダ内にヒータを内蔵されている
定着装置を用いて、線圧100N/cm、ニップ幅4.
3mm、線速10mm/秒、加熱温度130℃の条件で
加熱及び加圧処理を行った。
【0156】尚、上記インクジェット試験機のピエゾ方
式インクジェットヘッド1の構成は図1(a)のように
なっている。又ヘッド1のA−Aでの断面図を図1
(b)に示す。図1(a)では、説明のために5本の吐
出ノズルを有するヘッド1を例示しているが、実施例で
は128本のノズルを有するヘッドを用いた。ピエゾ素
子の変位によりインク液滴の吐出を行わせるピエゾ素子
2が各吐出ノズルに対応してヘッド上に設けられてい
る。又、ピエゾ素子に対して駆動信号や加熱用信号を供
給するドライバIC3がインク流路(インク溜まり)上
に配置されている。
【0157】又、ピエゾ素子近傍の吐出ノズル上にサー
ミスタ4が設けられていて、測温手段を備えてる。
【0158】ここで出力画像として、財団法人・日本規
格協会発行の、高精細カラーデジタル標準画像データ
「N5・自転車」(1995年12月発行)を用いた。
【0159】得られたインクジェットプリントのテーブ
ルクロスの部分、背後のカラーチャートの部分、及び果
物・野菜部分を目視にて判定し、以下の基準でインク吸
収性と画質の評価を行った。その後、画像保存性につい
ても評価を行った。 (評価) ・インク吸収性 A・・・時計部分・チャート部分の境界での色滲みが全
く認められない B・・・時計部分で僅かに境界の滲みが認められるが、
チャート部分では滲みがない C・・・時計部分で文字が殆ど潰れており、又チャート
部分の境界領域で滲みも約半数以下で認められる D・・・チャートの境界部分の大部分で境界色滲みが認
められる 尚、評価において、A及びBランクが実用上問題のない
レベルと判断した ・画質 a・・・何れも高い光沢を示し、全体が均一に見える b・・・カラーチャートの濃色部分(紺、濃青、黒部
分)、時計の文字盤、リンゴやロブスター・ワイン等の
濃赤色部分の光沢が向上しているが、カラーチャートの
淡色部(黄色部分や白〜グレー部分)、時計文字盤の周
囲部分、野菜・果物の黄色〜緑色の部分と差があり、全
体の光沢が不均一に見える c・・・カラーチャートの淡色部(黄色部分や白〜グレ
ー部分)、時計文字盤の周囲部分、野菜・果物の黄色〜
緑色の部分に高い光沢が見られる反面、カラーチャート
の濃色部分(紺、濃青、黒部分)、時計の文字盤、リン
ゴ、ロブスター、ワイン等の濃赤色部分では光沢が低
く、両者の間に明瞭な光沢の差が認識でき、全体の光沢
が不均一である 尚、評価において、aを実用上問題のないレベルと判断
した。 ・画像保存性 得られたインクジェットプリントをキセノンフェードメ
ーター(70,000lux、23℃、60%RH)中
で三ヶ月間光暴露させ、背後のカラーチャート部分の各
色の残存率から画像保存性を評価した。ここで残存率は
以下の式により与えられる光暴露前後の反射濃度から求
めた。評価基準は以下の通りである。
【0160】残存率(%)=(光暴露後の残存濃度/光
暴露前の初期濃度)×100 ○・・・何れの色においても残存率が70%以上 △・・・カラーチャートの1/3〜2/3の色において
残存率が70%以上 ×・・・残存率70%以上の色がカラチャート全体の1
/3未満 得られた結果を表1に示す。
【0161】
【表1】
【0162】表1から明らかなように、本発明のインク
ジェット画像記録媒体は優れたインク吸収性及び画質を
示していることが分かる。一方、比較例のインクジェッ
ト画像記録媒体8においては、シリカ塗布液と熱可塑性
樹脂粒子分散体を混合した時点で凝集がひどく、インク
ジェット画像記録媒体を形成することができなかった。
又比較例のインクジェット画像記録媒体9〜11ではイ
ンクジェット画像記録媒体自体は作製できたものの、何
れもインク吸収速度が遅いか、又は画質において劣って
おり、目標とする性能を満たすことはできなかった。
尚、インクジェット画像記録を行った後、前記画像記録
媒体に加熱及び加圧による処理を施すと、更に効果が期
待できることが表1から明らかとなった。
【0163】実施例2 染料インクを用いた場合の効果を説明するため、プリン
ターとしてエプソン社製PM900C、インクとして純
正インクを用い、実施例1で作製した各インクジェット
画像記録媒体上に、実施例1と同じ画像を出力し、同様
の評価を行った。実施例1で作製した比較例のインクジ
ェット画像記録媒体8はここでは使用しなかった。
【0164】尚、画像保存性の評価においては、同じキ
セノンフェードメーター中に三週間放置後の値を評価し
た。結果を表2に示す。
【0165】
【表2】
【0166】表2から明らかなように、染料インクを用
いた場合でも本発明のインクジェット画像記録媒体は優
れたインク吸収性及び画像保存性を示していることが分
かる。一方、比較例のインクジェット画像記録媒体9〜
11では、何れもインク吸収速度或いは画像保存性にお
いて劣っており、目標とする性能を満たすことはできな
かった。尚、染料インクを用いた場合でも、インクジェ
ット画像記録を行った後、前記画像記録媒体に加熱及び
加圧による処理を施すと、更に効果が期待できることが
表2から明らかとなった。
【0167】
【発明の効果】実施例によれば、インク吸収速度と、画
質及び画像保存性に優れ、特にこれらの性能を両立させ
ることができるという顕著に優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるピエゾ方式インクジェット
試験機のヘッドの一例を示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド 2 ピエゾ素子 3 ドライバIC 4 サーミスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 眞一 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 木田 修二 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2C056 EA05 FC06 HA45 HA46 2H086 BA05 BA16 BA33 BA34

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に無機微粒子を含有する二層以
    上の多孔質層からなるインクジェット画像記録媒体にお
    いて、最表層の多孔質層がカチオン性の無機顔料微粒子
    と、カチオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子と
    から形成されていることを特徴とするインクジェット画
    像記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記カチオン性の無機顔料微粒子がシリ
    カとカチオン性ポリマーとから形成されていることを特
    徴とする請求項1記載のインクジェット画像記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記カチオン性の無機顔料微粒子がアル
    ミナ水和物或いは酸化アルミニウムであることを特徴と
    する請求項1記載のインクジェット画像記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記最表層の多孔質層では、熱可塑性樹
    脂粒子より無機顔料微粒子の含有量が多いことを特徴と
    する請求項1〜3の何れか1項記載のインクジェット画
    像記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項記載のインク
    ジェット画像記録媒体上にインクジェット画像記録を行
    うことを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  6. 【請求項6】 インクジェット画像記録を行った後、前
    記画像記録媒体に加熱及び加圧による処理を施すことを
    特徴とする請求項5記載のインクジェット画像形成方
    法。
  7. 【請求項7】 少なくとも水、インク溶剤、及び顔料を
    有する水性顔料インクを吐出して画像形成を行うことを
    特徴とする請求項5又は6記載のインクジェット画像形
    成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜4の何れか1項記載のインク
    ジェット画像記録媒体上にインクジェット画像記録を行
    うことにより形成されたことを特徴とするインクジェッ
    トプリント。
  9. 【請求項9】 インクジェット画像記録を行った後、前
    記画像記録媒体に加熱及び加圧による処理が施されるこ
    とを特徴とする請求項8記載のインクジェットプリン
    ト。
  10. 【請求項10】 少なくとも水、インク溶剤、及び顔料
    を有する水性顔料インクにより記録されたことを特徴と
    する請求項8又は9記載のインクジェットプリント。
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