JP2004202710A - インクジェット画像形成方法 - Google Patents

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秀信 大屋
Shinichi Suzuki
眞一 鈴木
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誠 加賀
Teruyuki Fukuda
輝幸 福田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、インクジェット記録装置内での搬送時の折り割れが改良され、高速画像形成適性を有し、高い光沢と画像保存性を有した画像を得ることのできるインクジェット画像記録方法を提供することである。
【解決手段】熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するロール状のインクジェット記録媒体へ、記録ヘッドよりインクを吐出する印字工程と、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、皮膜化する後処理工程を有し、搬送経路における最小RをR(mm)、該インクジェット記録媒体の巻き芯部の直径をr(mm)、該支持体の厚さをhb(μm)、全インク吸収層の膜厚をhi(μm)としたとき、指数Xが、5.0以上であることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
指数X=R2/(r×hi2×hb)×106
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なインクジェット画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
【0003】
一方、インクジェット記録速度も、プリンタ技術の向上により年々高速化し、それに用いられるインクジェット記録媒体も、高速印字プリンタに適応できるようインク吸収性も向上してきている。インクジェット記録媒体としては、一般に、シリカあるいはアルミナ等の無機微粒子とバインダーを主成分に空隙を構成した空隙型インクジェット記録媒体が、インク吸収速度が速く高速印字には適している。しかしながた、空隙型インクジェット記録媒体は、柔軟性に乏しく、折り割れに弱い欠点を有している。
【0004】
上記課題に対し、例えば、特開平7−101142号、同11−188968号、特開2001−96898号、同2002−144720号、同2002−225427号、同2002−264472号、同2002−274014号等の各公報に、折り割れ耐性を向上するための種々の方法が提案されている。
【0005】
一方、インクジェットプリンタを用いたプリントサービスなどの商用利用が提案されており、この場合には、ホームプリンタに対し、高速出力が必要となる。しかしながら、上記提案されている各方法では、必要とされるプリント速度に対して、インクジェット記録媒体が充分なインク吸収速度を有していないのが現状である。
【0006】
また、上記課題に加えて、プリントサービスなどの商用利用においては、銀塩写真のプリントと同等の画質、光沢感、画像保存性が要求されるが、上記公報で開示されている技術では、それらを十分に満足できるレベルには至っていないのが現状である。
【0007】
一方、熱可塑性微粒子と無機顔料からなる表層を有する記録媒体に、顔料インクを用いて印字し、その後加熱加圧処理を行う画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、上記の高速画像形成の適性を有し、また、得られた画像は高い光沢と画像保存性を有している。該明細書の画像形成方法は、該明細書に記載されている図1で示される様に、インクジェット記録装置は、ロール状のインクジェット記録媒体を、搬送ローラで引き出し、印字、カッティング、加熱加圧処理を行う構成となっている。しかしながら、本発明者らが詳細に検討を進めた結果、インクジェット記録装置を、よりコンパクトにするためには、プリンタ内でのインクジェット記録媒体の搬送工程で、方向転換のために比較的小さな曲率半径(R)を有する搬送ローラ等を設ける必要があり、この場合、搬送されるインクジェット記録媒体を、例えば、直角以上の鋭角で方向を変える際には、強い加重がインクジェット記録媒体に掛かり、加えて搬送速度や温湿度条件(特に、低温低湿環境)によっては、インクジェット記録媒体に設けたインク吸収層表面にひび割れ等が生じることがあり、早急な改良が求められている。
【0008】
【特許文献1】
欧州特許第1,228,891号明細書 (特許請求の範囲、図面)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、第1の目的は、インクジェット記録装置内での搬送時の折り割れが改良されたインクジェット画像形成方法を提供することである。また、第2の目的は、商用利用に適応可能で、高速画像形成に適したインクジェット画像記録方法を提供することである。また、第3の目的は、高い光沢画像を得ることのできるインクジェット画像記録方法を提供することである。更に、第4の目的は、高い画像保存性を有した画像を得ることのできるインクジェット画像記録方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0011】
1.支持体上に少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するロール状のインクジェット記録媒体へ、インクジェット記録ヘッドよりインクを吐出して画像を形成する印字工程と、印字した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、もしくは皮膜化する後処理工程とを有するインクジェット画像形成方法であって、該印字工程及び後処理工程の各搬送経路における最小RをR(mm)、該インクジェット記録媒体の巻き芯部の直径をr(mm)、該支持体の厚さをhb(μm)、該表層を含む全インク吸収層の膜厚をhi(μm)としたとき、下式(1)で定義される指数Xが、5.0以上であることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
【0012】
式(1)
指数X=R2/(r×hi2×hb)×106
2.前記最小Rが、25mm以上であることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0013】
3.前記巻き芯部の直径r(mm)が、40mm<r<100mmであることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0014】
4.前記全インク吸収層の膜厚hi(μm)が、46μm以下であることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0015】
5.前記支持体の厚さhb(μm)が、245μm以下であることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0016】
6.前記支持体の厚さhbと前記全インク吸収層の膜厚hiの総計が、290μm以下であることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0017】
7.前記インクジェット記録媒体が、油滴分散物を含有することを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0018】
8.前記表層を除くインク吸収層の少なくとも1層が、ラテックスを含有することを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0019】
9.前記ロール状のインクジェット記録媒体が、前記表層を有する面側が外側になるように巻かれていることを特徴とする前記1項に記載のインクジェット画像形成方法。
【0020】
本発明発明者らは、少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する表層を有するインクジェット記録媒体(以降、単に記録媒体ともいう)の搬送性、特に、プリンタ内で特定の角度で搬送方向を変換する時に発生する記録媒体の表面割れについて鋭意検討したところ、ロール状の記録媒体が有するカールに逆らわずに搬送することにより、シート品に比べて割れが極端に少ないこと見い出し、更に検討を進めた結果、搬送経路の最小RをR(mm)、ロール状記録媒体の巻き芯部の直径をr(mm)、記録媒体支持体厚さをhb(μm)、記録媒体の表層を含む全インク吸収層膜厚をhi(μm)としたとき、前記式(1)で定義される指数Xが、5以上となる条件とすることにより、顕著に割れが軽減することを見出し、本発明に至った次第である。
【0021】
一般的に、記録媒体が強いカールを有していると、最終的に得られるプリントにもカールが残り、その結果、プリントがそったり、丸まったりして扱い性に不自由をきたす。しかし、本発明に係る少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子を含有する表層を有する記録媒体においては、驚くべきことに、後処理を施すことにより、記録媒体が有していたカールをほとんど取り除くことができることも併せて見出し、上記2つの効果が相まって、プリント品質を損なうことなく、割れを軽減した新たなインクジェット画像形成方法を実現することができた。
【0022】
上記構成要件に加えて、支持体厚さ、表層を含むインク吸収層全体の厚さ、及び支持体と表層を含む全インク吸収層全体を加えた記録媒体の厚さを、画質や他の特性に影響を与えない範囲で適宜選択することより、割れを更に低減することを見い出した。更に、記録媒体に油滴分散物やラテックス(水不溶性樹脂微粒子)を添加することで、インク吸収速度の低下を伴わずに、割れを低減することを見い出した。また、ロール状の記録媒体については、表層を有する記録面側を外向きに巻くことで、割れ軽減効果がより一層大きいことを見い出した。
【0023】
以下、本発明の詳細について説明する。
はじめに、本発明のインクジェット画像形成方法に用いるインクジェット記録装置について、説明する。
【0024】
図1は、後工程で加熱加圧ローラを用いたインクジェット記録装置の主要構成の一例を示す概略図である。
【0025】
また、図2は、後工程で加熱加圧ベルトを用いたインクジェット記録装置の主要構成の一例を示す概略図である。
【0026】
インクジェット記録装置Aは、記録媒体3にインクを吐出し印字を行う印字工程Bと、後処理工程C、詳しくは、加熱処理、加圧処理、あるいはそれらを組み合わせた加熱加圧ローラあるいは加熱加圧ベルトにより、表層に含まれる熱可塑性樹脂を、溶融、軟化、もしくは皮膜化する工程とから主に構成され、その間を記録媒体を搬送、あるいは保持するための各形態のサポートローラ、搬送ガイド等が設けられている。
【0027】
図1、図2において、支持体上に少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有する記録媒体3は、好ましくは、表層塗設面側が外側になるように巻芯部材2上に積層して、ロール状元巻1を形成する。
【0028】
ロール状元巻1より繰り出された記録媒体3は、サポートローラ4により、全搬送経路中の最小Rで、搬送方向を直角に変更した後、搬送ガイド5を経て、印字工程Bに搬送される。
【0029】
印字工程Bは、主に、インクジェット記録ヘッド6と記録媒体保持部7とから構成されている。
【0030】
インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドあるいはヘッドともいう)はオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又、吐出方式としては、電気−機械変換方式(シングルキャビティ型、ダブルキャビティ型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)など何れの吐出方式を用いても構わないが、好ましくは、ピエゾ方式を用いたヘッドが好ましく、特にシェアモード方式が、長期間にわたり安定した吐出を行うことができるため好ましい。
【0031】
印字工程Bで、画像形成あるいは印字を行った記録媒体3は、カッター8により所定のサイズのシートにカッティングされた後、搬送ガイド5で搬送されながら後処理工程Cに送られる。
【0032】
後処理工程Cは、印字工程でインクジェット記録ヘッドによりインクを吐出した後、加熱処理及び/または加圧処理を施して、記録媒体の表層に含まれる熱可塑性樹脂を、溶融、軟化、もしくは皮膜化する。
【0033】
本発明に係る後工程においては、加熱処理と加圧処理とを同時に行う加熱加圧処理が好ましく、その条件としては、0.5〜15MPaの圧力と、50〜150℃の温度条件で加熱加圧定着処理を施すことが好ましく、より好ましくは5〜12MPaの圧力と、70〜130℃の温度条件である。
【0034】
本発明で用いることのできる加熱加圧定着方法としては、特に制限はないが、図1に記載のような一対の加熱加圧ローラ、あるいは図2に記載のような一対の加熱加圧ベルトからなる加熱加圧装置を用いることが好ましい。
【0035】
加熱加圧ローラ9としては、金属製の金属ローラでも、あるいは金属製の芯金の周囲に弾性体からなる被覆層および必要に応じて表面層(離型層ともいう)を形成したものであり、芯金10は、例えば、鉄製、アルミニウム製、SUS製等の円筒体で構成されている。芯金の表面には、被覆層が設けられている。被覆層としては、耐熱性の高い弾性体であれば用いることができ、例えば、ゴム硬度45°(JIS−A)のHTV(HighTemperature Vulcanization)シリコーンゴムが所望の厚さをもって形成することができ、また他の材料を使用することができる。被覆層のその上には離型層が設けられており、例えば、RTV(Room Temperature Vulcanization)シリコーンゴムの他に、Vitonなどのフッ素ゴムや、PFA(パーフルオロアルコキシビニールエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合樹脂)などのフッ素樹脂を被覆して用いることができる。
【0036】
また、表面層としては、シリコーンゴム以外にも、Vitonなどのフッ素ゴムや、PFA(パーフルオロアルコキシビニールエーテル共重合樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン六フッ化プロピレン共重合樹脂)などのフッ素樹脂を被覆してもよい。
【0037】
また、上記金属ローラの一方の芯金10内部には、発熱体が内蔵されており、ローラ間に記録媒体を通すことによって、加熱処理と加圧処理とを同時に施したり、あるいは必要に応じて、2つの加熱ローラを用いて記録媒体を挟んで加熱してもよい。加熱ローラ内には熱源として、例えば、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーター、ニクロム線等からなる発熱体が内蔵されている。
【0038】
本発明において、好ましい圧力(ニップ圧)を達成するには、例えば、加圧ローラー両端に、ニップ間隙を考慮して、所望のニップ圧が得られるように特定の張力を有するバネを選択して設置すればよい。この時のバネとしては、例えば、張力が0.2〜10MPaのものをローラー長さに応じて選択し使用することができる。
【0039】
ニップ圧の測定方法は、例えば、加圧ロールにかけている力を、感圧紙等で測定したニップ面積で除することにより求めることができ、あるいは加圧ローラ間に感圧紙からなる圧力測定紙をはさみ加圧して、その圧力測定紙の濃度よりニップ圧を求めることもできる。圧力測定紙としては、例えば、FPD301(富士フィルム社製)極超低圧用感圧紙を挙げることができる。
【0040】
加熱加圧ローラ、あるいは加熱加圧ベルトを用いる場合の記録媒体の搬送速度は、1〜15mm/秒の範囲が好ましい。これは、高速処理性の観点以外に、画質の観点からも好ましい。
【0041】
上記記載のインクジェット記録装置において、印字工程B及び後処理工程Cの各搬送経路における最小RをR(mm)、記録媒体3の巻芯部材2の直径をr(mm)、記録媒体の支持体の厚さをhb(μm)、表層を含む全インク吸収層の膜厚をhi(μm)としたとき、前式(1)で定義される指数Xが、5.0以上であることが特徴である。
【0042】
本発明において、指数Xとしては、好ましくは15以上、より好ましくは20以上であり、インクジェット記録装置の設計上の制約、あるいは記録媒体の特性から上限は100である。
【0043】
また、本発明において、搬送経路における最小Rとしては、25mm以上であることが好ましく、より好ましくは30mm以上、200mm以下である。
【0044】
特に、本発明では、最小R部が、ロール状元巻から記録媒体が繰り出されてから、印字工程Bまでの間の搬送路に存在している場合において、本発明の効果をより発揮することができる。
【0045】
また、本発明において、記録媒体3の巻芯部材2の直径r(mm)は、40mm<r<100mmであることが好ましく、後工程でのカールの除去のし易さから、70mm<r<100mmの範囲であることが好ましい。
【0046】
一方、詳細については後述する記録媒体において、全インク吸収層の膜厚hi(μm)が、46μm以下であることが好ましく、画質劣化をなくすためには、30〜46μmであることがより好ましく、特に好ましくは35〜46μmである。
【0047】
また、記録媒体の支持体の厚さhbは、245μm以下であることが好ましく、プリントとしての強度を維持する観点からは、100〜245μmであることがより好ましく、更に好ましくは190〜230μmである。
【0048】
次いで、本発明に係るインクジェット記録媒体について説明する。
本発明に係る記録媒体は、支持体上に、少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有していることが1つの特徴である。
【0049】
次いで、本発明に係る表層、インク吸収層の構成要素について説明する。
本発明に係る表層は、少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する。
【0050】
はじめに、本発明に係る熱可塑性樹脂について説明する。
本発明に係る表層で用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもスチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。熱可塑性樹脂は、モノマー組成及び、粒径、重合度が違う複数の重合体を混合して用いても良い。
【0051】
熱可塑性樹脂を選択するに際し、インク吸収性、加熱加圧による後処理工程後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性を考慮すべきである。
【0052】
インク吸収性については、熱可塑性微粒子の粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また10μmを越えると、支持体上に塗設する際にインク受容層に隣接する溶媒吸収層との接着性や、塗設乾燥後のインクジェット記録媒体の被膜強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑性樹微粒子径としては好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。さらに好ましくは、0.1〜1μmである。
【0053】
また、熱可塑性樹脂の選択の基準としてはガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tgが塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録媒体製造時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透過するための熱可塑性微粒子による空隙が消失してしまう。
【0054】
また、Tgが、支持体の熱による変性を起こす温度以上の場合は、顔料インクによるインクジェット記録後溶融成膜するために高温での定着操作が必要となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題となる。熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃である。また、最低造膜温度(MFT)としては、50〜150℃のものが好ましい。
【0055】
熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオン系分散剤を乳化剤として用いて乳化重合したタイプは好ましく用いることができる形態である。
【0056】
また、用いる熱可塑性微粒子は臭気および安全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分質量に対して3%以下が好ましく、更に1%以下が好ましく、特には0.1%以下が好ましい。
【0057】
本発明に係る表層においては、上記熱可塑性樹脂と共に無機微粒子を用いることが特徴の一つである。
【0058】
本発明で用いることのできる無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
【0059】
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは表層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
【0060】
無機微粒子としては、シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好ましい。
【0061】
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られる。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
【0062】
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0063】
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーなどにより吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0064】
本発明に係る表層には、上記構成に加えて、水溶性バインダーを適宜含有することができる。
【0065】
水溶性バインダーとしては、熱可塑性樹脂の1〜10%の範囲で用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0066】
本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0067】
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
【0068】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0069】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0070】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
【0071】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報、同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0072】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
【0073】
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
【0074】
本発明においては、表層に無機微粒子及び熱可塑性樹脂を含む構成が特徴であるが、好ましい理由として以下の点を挙げることができる。
【0075】
1)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化が起こりにくく、高速印字適性を有している
2)画像表面強度が強い
3)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい
4)表層の塗布生産性に優れている
5)筆記性を有している
この場合、表層の熱可塑性樹脂と無機微粒子の固形分質量比としては、熱可塑性樹脂および無機微粒子や他の添加剤などにより個々に決めるのが好ましいが、本発明においては、熱可塑性樹脂(B)とフィラー(F)との比率(B/F)が、2/8〜8/2であることが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3であり、更に好ましくは4/6〜6/4である。
【0076】
本発明に係る表層には、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0077】
本発明に係る表層の膜厚としては、3〜15μmであることが好ましい。
表層の膜厚の測定方法としては、表層を設けた記録媒体断面を正確に垂直方向に切断した後、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて観察する方法を挙げることができる。
【0078】
本発明のインクジェット記録媒体においては、支持体と上記表層との間に、インク溶媒を吸収するインク吸収層を設けることが好ましい。
【0079】
記録媒体のインク吸収層としては、大きく別けて、膨潤型と空隙型とがある。膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
【0080】
空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
【0081】
連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
【0082】
以下、空隙型インク吸収層(空隙層ともいう)について更に詳細に説明する。空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
【0083】
上記の目的で使用される無機微粒子としては、前述の表層で用いられる無機微粒子と同様のものを用いることができる。
【0084】
また、親水性バインダーとしては、前述の表層で記載した水溶性バインダーと同様の化合物を挙げることができる。
【0085】
インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般にはインクジェット記録媒体1m2当たり、通常、5〜30g、好ましくは10〜25gである。
【0086】
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性樹脂の比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0087】
インク吸収層は、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0088】
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
【0089】
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
【0090】
上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
【0091】
本発明においては、インクジェット記録媒体のインク吸収層全体の平均空隙率が40〜70%であること、あるいは前述の表層の空隙率が30〜70%であることが好ましい。
【0092】
インク吸収能を有するインク吸収層全体、あるいは表層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率といい、一つの方法としては、以下の式に従って求めることができる。
【0093】
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/(全乾燥膜厚)〕
また、下記の方法によっても、インク吸収層全体、あるいは表層の空隙率を測定することができる。例えば、100μmポリエチレンテレフタレート上に、全インク吸収層あるいは表層のみを塗布し、ブリストー測定による飽和転移量、あるいは吸水量測定などによっても簡易に求めることができる。
【0094】
本発明においては、インクジェット記録媒体が、油滴分散物を含有することが好ましい。
【0095】
本発明において、油滴を形成する化合物としては、通常、室温で水に対する溶解度が0.1質量%以下が好ましく、特に好ましくは0.01質量%以下であって、融点が40℃以下の疎水性有機化合物であることが好ましい。
【0096】
疎水性有機化合物としては、例えば、フタル酸エステル類(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等)、リン酸エステル類(例えば、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート等)、脂肪酸エステル類(例えば、ステアリン酸ブチル、セバチン酸ビス(2−エチルヘキシル)、エチレングリコールジステアレート、グリセロールトリブチレート等)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルラウリルアミド、N,N−ジエチル−2−(2,5−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド等)、エーテル類(例えば、エチレングリコールジブチルエーテル、デシルエーテル、ジベンジルエーテル等)、シリコンオイル及び流動パラフィン等を挙げることができる。
【0097】
疎水性有機化合物は、高速ホモジナイザーや高圧ホモジナイザー等の乳化分散機を用いて、親水性バインダー中に、好ましくは界面活性剤の存在下で乳化分散されて、油滴分散物として調製することができる。この際、酢酸エチル、酢酸プロピル、メチルエチルケトン、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の低沸点有機溶媒等の存在下で乳化分散する方法が、より微小な油滴を得ることができ好ましい。
【0098】
また、この乳化分散時に、他の疎水性有機化合物、例えば、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、画像安定剤等で融点が40℃を越える有機化合物を併用することもできるが、好ましくは、油滴を形成する有機化合物の50質量%以上が、融点が40℃以下の化合物であることが好ましい。
【0099】
油滴の平均粒径は0.05〜0.5μmであることが好ましい。油滴のサイズが0.05μm以下である場合には、油滴が不安定になりやすくなったり、脆弱性の改良効果が得にくくなる。また、油滴のサイズが0.5μmを越える場合には光沢が低下しやすくなる。
【0100】
疎水性有機化合物の添加量としては、添加する層の全固形分に対し、1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%添加することが、塗膜に柔軟性を付与でき、折り割れ改良の観点から好ましい。また、同時に無機微粒子の5〜15質量%添加することが、インク吸収速度の観点からも好ましい。
【0101】
本発明においては、この油滴分散物を本発明に係る表層に添加することが特に好ましい。
【0102】
また、本発明に係る記録媒体においては、表層を除くインク吸収層の少なくとも1層が、ラテックスを含有することが好ましい。
【0103】
本発明においては、ラテックスとしては、ガラス転移温度が40℃以下のポリマーラテックスであることが好ましい。
【0104】
ガラス転移温度が40℃以下のポリマーラテックスは、乳化重合法で重合されたポリマーラテックスであり、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリアクリル酸エステル系ラテックス、ポリメタクリル酸エステル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル系ラテックス等が好ましく用いられる。
【0105】
上記の重合体ラテックスとしては、例えば、スチレン/ブタジエンラテックス(7/3)、ポリ酢酸ビニルラテックス、酢酸ビニル/エチレンラテックス(9/1)、酢酸ビニル/メタクリル酸エチルラテックス(5/5)、塩化ビニル/アクリル酸エチル(3/2)、アクリル酸エチル/アクリル酸メチル/HEMA(5/4/1)、スチレン/アクリル酸ブチル/HEMA(1/6/3)、シリコンラテックス等を挙げることができる。上記において、かっこ内の共重合比率はモル比を表し、HEMAはヒドロキシエチルメタクリレートを表す
ラテックスの平均粒径は、0.05〜0.5μmであることが好ましい。ラテックスのサイズが0.05μm以下である場合にはラテックスが不安定になりやすくなったり、脆弱性の改良効果が低減しやすくなる。また、ラテックスのサイズが0.5μmを越える場合には光沢が低下しやすくなる。
【0106】
ラテックスの添加量としては、添加するインク吸収層の全固形分に対し、1〜15質量%が好ましく、より好ましくは3〜10質量%添加するのが、インク吸収層に柔軟性を付与でき、折り割れ改良の観点から好ましい。更に、ラテックスは、無機微粒子に対し5〜15質量%相当添加することが、インク吸収速度の観点からも好ましい。
【0107】
本発明に係る記録媒体において、インク吸収層が2層以上で構成されている場合には、より下層にラテックスを添加することが特に好ましい。
【0108】
次いで、本発明に係るインクジェット記録媒体で用いる支持体について説明する。
【0109】
本発明で用いる支持体としては、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体を用いることができるが、本発明の効果をより発揮させる観点から、非透水性支持体を用いることが好ましい。
【0110】
本発明において用いられる非透水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。プラスチック樹脂フィルム支持体としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは、透明又は半透明なものも使用できる。
【0111】
本発明において、特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
【0112】
以下、本発明で特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
【0113】
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
【0114】
紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
【0115】
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
【0116】
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
【0117】
紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0118】
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
【0119】
紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9であることが好ましい。
【0120】
次に、この紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。
この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0121】
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。
紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0122】
特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
【0123】
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
【0124】
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。また、蛍光増白剤としては、前記インク吸収層で用いる蛍光増白剤と同様の化合物を挙げることができる。
【0125】
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率は、インク吸収層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は、厚みで概ね3/1〜1/3である。
【0126】
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下(1)〜(7)の特性を有していることが好ましい。
【0127】
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい。
【0128】
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい。
【0129】
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい。
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい。
【0130】
(5)白さは、JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい。
【0131】
(6)クラーク剛直度は、記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
【0132】
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
(8)インク吸収層を設ける面側の光沢度(75度鏡面光沢度)は、10〜90%が好ましい。
【0133】
本発明のインクジェット記録方法においては、インクとして、染料インク、顔料インク、分散インク等、公知の各種インクを用いることができるが、特に、顔料インクを用いることが好ましい。
【0134】
画像形成に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を、特に好ましく用いることができる。
【0135】
着色剤としては、本発明においては、画像保存性の観点から顔料用いることが好ましいが、顔料インク中の顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラックを好ましく用いることができる。
【0136】
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0137】
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0138】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0139】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0140】
これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
【0141】
顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0142】
本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
【0143】
顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮して選択するが、加えて本発明のインクジェット顔料画像の記録方法では、光沢向上、質感向上の観点からも粒径を選択するのが好ましい。本発明において、光沢向上、質感向上する理由は定かでは無いが、画像において顔料は熱可塑性微粒子が溶融した皮膜中に分散された状態にあることと関連していると推測している。高速処理を目的とすると、短時間で熱可塑性微粒子を溶融皮膜化し、更に顔料を充分に皮膜中に分散しなければならない。このとき顔料の表面積は大きく影響し、それゆえ平均粒径に最適領域が存在すると推測している。
【0144】
本発明に用いる顔料インクに含まれる顔料粒子の平均粒径は、300nm以下が好ましく、更に好ましくは30〜200nmであり、特に好ましくは30〜150nmである。
【0145】
顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
【0146】
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
【0147】
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
【0148】
本発明に用いる顔料インクは、アセチレン系界面活性剤を含有することが好ましい。該アセチレン系界面活性剤としては、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
【0149】
また、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物としては、Air Products社製サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等を好ましく用いられる。
【0150】
インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
【0151】
特に、熱可塑性微粒子を添加することは、本発明の効果を得るうえで好ましい。熱可塑性微粒子については、上記の記録媒体表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子の平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より好ましくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加する熱可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
【0152】
インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
【0153】
インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、30〜45mN/mであることが、より好ましい。
【0154】
インク中の顔料固形分濃度は、0.1〜10%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
【0155】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0156】
実施例1
《記録媒体の作製》
〔塗布液の調製〕
(シリカ分散液の調製)
一次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げた。
【0157】
次に、カチオンポリマーP−1を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、上記シリカ分散液の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液を調製した。
【0158】
【化1】
Figure 2004202710
【0159】
(下層用塗布液1の調製)
上記シリカ分散液600mlを40℃で攪拌しながら、以下の各添加剤を順次混合して下層用塗布液1を調製した。
【0160】
Figure 2004202710
(表層用塗布液1の調製)
上記下層用塗布液1を調製した後、43℃で30分撹拌した後、熱可塑性微粒子(アクリル系ラテックス、Tg76℃、個数平均粒子径145nm、固形分30%)を、熱可塑性微粒子/フィラー(シリカ)の固形分比が5/5になるように15分かけて添加して、表層用塗布液1を調製し、10μmのフィルターで濾過を行った後、塗布に使用した。
【0161】
〔記録媒体1の作製〕
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みhbが220μmで、インク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタン含有)に、支持体側から第1層とし上記下層用塗布液1、その上に第2層目として上記表層用塗布液1をスライドホッパーで同時塗布した後、乾燥して、幅が102mm、長さ80mの記録媒体1を作製した。なお、塗布は、下層はシリカの付量が18g/m2となるように、また表層はシリカの付量が3g/m2となるように行った。なお、下層と表層の総膜厚(hi)は45μm、支持体を含めた記録媒体の総膜厚(hb+hi)は265μmである。
【0162】
〔記録媒体2〜6の作製〕
上記記録媒体1の作製において、下層と表層の総膜厚(hi)、支持体の厚さ(hb)及び総膜厚(hi+hb)を表1に記載のように変更した以外は同様にして、記録媒体2〜6を作製した。なお、下層と表層の総膜厚(hi)の変更は、記録媒体2は下層のシリカの付き量が14.7g/m2、記録媒体3は下層のシリカの付き量が20.3g/m2、記録媒体6は下層のシリカの付き量が13.3g/m2となる様に、各下層の塗布条件を変更した。
【0163】
〔記録媒体7の作製〕
上記記録媒体1の作製において、表層に下記油滴分散物を固形分付き量として0.3g/m2になるように添加した以外は同様にして、記録媒体7を作製した。
【0164】
(油滴分散物の調製)
ジイソデシルフタレートの4.0gと、ゼラチンの0.8gとを、界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の適量を用いて、超音波分散機にて乳化して、固形分20質量%の油滴分散物を得た。
【0165】
〔記録媒体8の作製〕
上記記録媒体1の作製において、下層にスチレン/n−ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体(Tg<20℃)を、固形分付き量として0.7g/m2になるように添加した以外は同様にして、記録媒体8を作製した。
【0166】
Figure 2004202710
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
【0167】
Figure 2004202710
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
【0168】
Figure 2004202710
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
【0169】
Figure 2004202710
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散体1を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
【0170】
(顔料インクセットの調製)
〈イエロー濃インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0171】
〈イエロー淡インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は118nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0172】
〈マゼンタ濃インク1の調製〉
マゼンタ顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0173】
〈マゼンタ淡インク1の調製〉
マゼンタ顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は110nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
【0174】
〈シアン濃インク1の調製〉
シアン顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0175】
〈シアン淡インク1の調製〉
シアン顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.2質量%
イオン交換水 62.8質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmであり、表面張力γは33mN/mであった。
【0176】
〈ブラック濃インク1の調製〉
ブラック顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
【0177】
〈ブラック淡インク1の調製〉
ブラック顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 62.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
【0178】
《インクジェット画像形成》
〔ロール状元巻の作製〕
上記作製した幅が102mm、長さ80mの各記録媒体を、15℃、20%RHの雰囲気下で24時間調湿した後、表1に記載の巻芯径(mm)からなる紙製コアに、インク吸収層が外側になるように巻き付けて、ロール状元巻A〜Jを作製した。
【0179】
〔画像の印字及び後処理〕
15℃、20%RHの環境下で、図1に記載の印字工程Bと、加熱加圧処理を同時に行う加熱加圧ローラ対を有する後処理工程Cとからなるインクジェット記録装置Aを用い、インクジェット記録ヘッド6に上記調製した顔料インクセットをセットし、上記作製したロール状元巻A〜Jを、表1に記載の最小Rからなるサポートローラ4を経て、印字工程BでY、M、C、B、G、R、Bkのベタ画像を、紙送り速度が10mm/秒になるように調整して高速印字で画像を出力した。次いで、カッター8により、長さ298mmに断裁した後、後処理工程Cの加熱加圧定着器にて、定着器の表面温度を105℃、圧力10MPaで加熱加圧処理を行って、画像1〜12を作成した。以上のような画像の印字をロール状元巻の80mまで行った。
【0180】
なお、加熱加圧ローラ対のうち、記録媒体の表層に接す面側に配置した加熱加圧ローラは、表面粗さが100nmで、ハロゲンヒーターを内蔵し、被覆層を有する金属ローラを用いた。
【0181】
《各特性の評価》
〔搬送割れの評価〕
上記作製した画像1〜12について、ロール状元巻の先頭(1m)の試料、40m時点での試料及び巻き芯部(79.5m)の試料について、長さ298mm、幅102mm当たりの割れの本数を、50倍ルーペを用いて計測し、その平均値を算出した。
【0182】
以上により得られた結果を、表1に示す。
【0183】
【表1】
Figure 2004202710
【0184】
表1より明らかなように、インクジェット記録装置の搬送条件及び記録媒体の各特性値から求める指数Xが5.0以上である本発明のインクジェット画像形成方法は、比較例に対し、インク吸収層の搬送時の割れが少なく、高速画像形成に適していることが分かる。
【0185】
また、表1に記載はしていないが、本発明のインクジェット画像形成方法により作成した画像は、光沢としてC値が85以上であり、また、60°光沢も95%以上の高い光沢を有するプリントを得ることができた。また、各画像について、周知の方法に従い、耐光性、酸化性ガス耐性について評価を行った結果、本発明のインクジェット画像形成方法により作成した画像は、極めて良好な画像保存性を有していることを確認することができた。
【0186】
【発明の効果】
本発明により、インクジェット記録装置内での搬送時の折り割れが改良され、高速画像形成適性を有し、高い光沢と画像保存性を有した画像を得ることのできるインクジェット画像記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】後工程で加熱加圧ローラを用いたインクジェット記録装置の主要構成の一例を示す概略図である。
【図2】後工程で加熱加圧ベルトを用いたインクジェット記録装置の主要構成の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
A インクジェット記録装置
B 印字工程
C 後処理工程
1 ロール状元巻
2 巻芯部材
3 記録媒体
4 サポートローラ
5 搬送ガイド
6 インクジェット記録ヘッド
7 記録媒体保持部
8 カッター
9 加熱加圧ローラ
10 芯金
11 加圧ローラ
12 温度センサ
13 従動ローラ
14 加熱ベルト
15 下部圧着ベルト

Claims (9)

  1. 支持体上に少なくとも熱可塑性樹脂と無機微粒子とを含有する表層を有するロール状のインクジェット記録媒体へ、インクジェット記録ヘッドよりインクを吐出して画像を形成する印字工程と、印字した後、該熱可塑性樹脂を溶融、軟化、もしくは皮膜化する後処理工程とを有するインクジェット画像形成方法であって、該印字工程及び後処理工程の各搬送経路における最小RをR(mm)、該インクジェット記録媒体の巻き芯部の直径をr(mm)、該支持体の厚さをhb(μm)、該表層を含む全インク吸収層の膜厚をhi(μm)としたとき、下式(1)で定義される指数Xが、5.0以上であることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
    式(1)
    指数X=R2/(r×hi2×hb)×106
  2. 前記最小Rが、25mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  3. 前記巻き芯部の直径r(mm)が、40mm<r<100mmであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  4. 前記全インク吸収層の膜厚hi(μm)が、46μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  5. 前記支持体の厚さhb(μm)が、245μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  6. 前記支持体の厚さhbと前記全インク吸収層の膜厚hiの総計が、290μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  7. 前記インクジェット記録媒体が、油滴分散物を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  8. 前記表層を除くインク吸収層の少なくとも1層が、ラテックスを含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
  9. 前記ロール状のインクジェット記録媒体が、前記表層を有する面側が外側になるように巻かれていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成方法。
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