JP2016052786A - 画像記録方法、画像記録システム - Google Patents

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Abstract

【課題】にじみが抑制された高画質な画像が得られる画像記録方法を提供する。【解決手段】基材1上に下地層形成用インク組成物により下地層24を記録する第一の工程と、下地層24の揮発成分残存量が5〜50質量%となった状態で、下地層24にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層25を記録する第二の工程と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、にじみが抑制された高画質な画像を与える画像記録方法およびその記録物に関する。また、本発明は、にじみが抑制された高画質な画像を与える画像記録システムに関する。
従来、記録用紙などに対するカラー印刷方法としては、インクジェット法によるカラー印刷が多用されている。これに対して、プラスチック製品や金属製品などといった下地の色が白色とは限らない媒体に対して模様をカラーで付す方法としては、下地の色が白と限らないので、下地の色の影響が出ないように、かなり厚手にインクを塗布可能なカラー塗装という方法に限られている。
そこで本出願人は、下地の色が白色とは限らない媒体に対しても細かな模様や文字をカラーで付すのに適したカラー印刷物品の製造方法を提供することを目的とし、媒体の被印刷面に対して白色の下地層を形成した後、インクジェット方式の記録ヘッドから各色のインク滴を吐出して前記下地層の上にカラー印刷を行う技術を提案している(特許文献1参照)。
しかしながら、従来技術においては、下地層を形成した後にプロセスカラーインクにより画像を形成しようとすると、得られるカラー画像ににじみが生じやすく、満足のいく画質が得られないという問題点があった。
一方、特許文献2には、非吸収性基板上に無色又は白色の湿潤下塗り層を形成し、該下塗り層が湿潤している間に該下塗り層上に湿潤インク液滴のパターンを付与し、次いで該下塗り層と付与したインク液滴を乾燥状態に変換することからなり、該下塗り層の厚さを付与するインク液滴のパターンに応じて場所的に変化させて、該下塗り層の厚さを局所領域に付与する該インク液滴の数と逆比例的に変え、該湿潤下塗り層及び湿潤インク液滴がUV硬化性又はホットメルト下塗り材又はインクであることを特徴とする非吸収性基板上へのインクジェット印刷方法が開示されている。
しかしながら特許文献2には、下記で説明する本発明の主要な見地、すなわち下地層に残存する揮発成分量と、その上に形成されるカラー画像のにじみ具合との関係については、何ら開示または示唆されていない。
特開2000−141708号公報 特許4059629号公報
本発明は、にじみが抑制された高画質な画像を与える画像記録方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、にじみが抑制された高画質な画像を与える画像記録システムを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、非吸収性や低吸収性の基材上に下地層とカラー画像層とを積層させて画像記録する場合において、カラー画像のにじみ具合は下地層に残存する揮発成分量に依存することを知見した。特に、このカラー画像のにじみは、揮発成分が略揮発した状態(即ち、下地層が略乾燥した状態)でカラー画像を形成した場合でも生じることが判った。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、即ち、下記の通りである。
(1) 基材上に下地層形成用インク組成物により下地層を記録する第一の工程と、前記下地層の揮発成分残存量が5〜50質量%となった状態で、前記下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録する第二の工程と、を有することを特徴とする画像記録方法。
(2) 前記第一の工程において下地層を形成してから前記第二の工程によってカラー画像層を形成するまでの間に前記下地層を乾燥させるための乾燥工程を有することを特徴とする上記(1)に記載の画像記録方法。
(3) 前記下地層形成用インク組成物が、金属顔料を含有する光輝性インク組成物、または、金属化合物および中空樹脂粒子の何れかを白色色材として含む白色インク組成物であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の画像記録方法。
(4) 前記下地層形成用インク組成物およびプロセスカラーインク組成物の主溶媒が水であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(5) 前記下地層形成用インク組成物の固形分量が3〜20質量%であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(6) 前記第二の工程において、前記下地層に残存する揮発成分量が10〜25質量%となった状態で、前記下地層に前記プロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録することを特徴とする上記(1)〜(5)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(7) 前記第二の工程の後、基材上に形成された下地層とカラー画像層とを乾燥する工程を更に有することを特徴とする上記(1)〜(6)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(8) 前記基材がインク非吸収性または低吸収性であることを特徴とする上記(1)〜(7)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(9) 前記画像記録方法が、複数のノズルからなるノズル列を有する記録ヘッドと、前記基材を主走査方向に交差する副走査方向へ搬送する被記録材搬送手段と、を備えた記録装置を用いて行なわれ、
前記下地層形成用インク組成物および前記プロセスカラーインク組成物は、前記基材に対向して設けられる記録ヘッドから基材に対して吐出され、前記記録ヘッドは前記下地層形成用インク組成物を前記基材に対して吐出してから所定の時間の後、前記プロセスカラーインク組成物を前記基材に対して吐出することを特徴とする上記(1)〜(8)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(10) 前記下地層形成用インク組成物の吐出は、前記プロセスカラーインク組成物の吐出よりも、前記基材の搬送方向における上流側において行なわれることを特徴とする上記(9)に記載の画像記録方法。
(11) 前記記録装置は、前記記録ヘッドを搭載して前記主走査方向へ往復移動するキャリッジを備え、
前記基材の搬送が停止された状態で、前記キャリッジの往復移動に伴って前記下地層形成用インク組成物が前記記録ヘッドから前記基材に対して吐出された後、さらに前記キャリッジの往復移動に伴って前記プロセスカラーインク組成物が前記記録ヘッドから前記基材に対して吐出されることを特徴とする上記(9)に記載の画像記録方法。
(12) 前記記録装置が更に前記基材を加熱する手段を備え、
前記下地層を形成した後、前記基材を加熱することを特徴とする上記(9)〜(11)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(13) インクジェット記録方式により行なわれることを特徴とする、上記(1)〜(12)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(14) 上記(1)〜(13)の何れか一項に記載の画像記録方法により得られることを特徴とする、記録物。
(15) 基材上に下地層形成用インク組成物により下地層を記録する下地層形成手段と、前記下地層の揮発成分残存率が5〜50質量%となった状態で、前記下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録するカラー画像層形成手段と、を有することを特徴とする画像記録システム。
本発明の画像記録方法によれば、にじみが抑制された高画質な画像が得られる。
印刷評価試験−2で用いる評価試験装置の部分概略図を示す。 印刷評価試験−2における、記録ヘッドに配置されたノズル列と走査との関係を説明する概念図である。 印刷評価試験−3における画像記録方法の各工程を示す概略図である。 印刷評価試験−3における、記録ヘッドに配置されたノズル列と走査との関係を説明する概念図である。 揮発残存率と乾燥時間の乾燥温度曲線である。
[画像記録方法]
本発明の画像記録方法は、基材上に下地層形成用インク組成物により下地層を記録する第一の工程と、前記下地層の揮発成分残存量が5〜50質量%となった状態で、前記下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録する第二の工程と、を有することを特徴とする。
本明細書では、「揮発成分残存量」とは、下地層形成用インク組成物に含有される揮発成分の初期含有量から揮発した量を差し引いた値を意味する。また、「揮発成分」とはインク組成物から固形成分を除いたその他の成分を意味する。一般的に、インク組成物における揮発成分は、溶媒(有機溶媒および水)、あるいは添加物としての有機溶剤(溶媒が水の場合は水溶性有機溶剤)等が挙げられる。一方、一般的にインク組成物における固形成分としては、顔料等の色材、分散剤としての樹脂あるいはレベリング剤として機能する添加剤としての樹脂、界面活性剤等が挙げられる。
尚、残存する揮発成分量は、印刷面に記録されたインクの重量から算出することができる。
下地層中の揮発成分の残存量が50質量%を超えている段階で、下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像を形成すると、下地層が湿潤し過ぎるため、カラー画像ににじみが顕著に発生する。一方、下地層中の揮発成分の残存量が5質量%未満となった段階で、下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像を形成すると、下地層は揮発成分が略揮発した状態であるにもかかわらず、カラー画像ににじみが顕著に発生する。より好ましい上記揮発成分の残存量は、8〜40質量%であり、特に好ましくは10〜25質量%である。
以下、本発明の画像形成方法について詳細に説明する。
1.下地層形成用インク組成物
まず、本発明に使用される下地層形成用インク組成物について説明する。本発明においては下地層形成用インク組成物は特に限定されることはなく、好ましくは金属顔料を含有する光輝性インク組成物、または、金属化合物および中空樹脂粒子の何れかを白色色材として含有する白色インク組成物が挙げられる。
本発明において、下地層形成用インク組成物の固形分量は、本発明の効果の点から、3〜20質量%であるのが好ましく、5〜15質量%であるのが更に好ましい。
また、本発明において使用される下地層形成用インク組成物および下地層にカラー画像層を形成するプロセスカラーインク組成物は、共に主溶媒として水を含有することが好ましい。水であれば、揮発を制御させやすく、またインク中に添加している記録媒体表面で皮膜する機能を有する樹脂など設計もしやすい。また、揮発分が主に水(水蒸気)であるため、特別な排気装置を設けることもなく簡単な機構とすることが可能である。
以下、光輝性インク組成物および白色インク組成物について説明する。
1−1.光輝性インク組成物
本発明における光輝性インク組成物は、金属顔料を含有する。
前記金属顔料(メタリック顔料ともいう)は、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす金属顔料であることが好ましい。
「平板状粒子」とは、略平坦な面(X−Y平面)を有し、かつ、厚み(Z)が略均一である粒子をいう。平板状粒子は金属蒸着膜を破砕して作成されたものであるため、略平坦な面と、略均一な厚みの金属粒子を得ることができる。従って、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZと定義することができる。
「円相当径」は、メタリック顔料の平板状粒子の略平坦な面(X−Y平面)を、当該メタリック顔料の粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、メタリック顔料の平板粒子の略平坦な面(X−Y平面)が多角形である場合、その多角形の投影面を円に変換して得られた当該円の直径を、そのメタリック顔料の平板粒子の円相当径という。
前記平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は光輝性、印字安定性の観点から0.5〜3μmであることがより好ましく、0.75〜2μmであることが更に好ましい。
また、前記円相当径の50%平均粒子径R50と厚みZとの関係においては高い光輝性を確保する観点からは、R50/Z>5であることが好ましい。
前記メタリック顔料は、コストの観点及び光輝性を確保する観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。アルミニウム合金を用いる場合、アルミニウムに添加されうる別の金属元素または非金属元素としては、光輝性を有するものであれば特に限定されるものではないが、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、銅等を挙げることができ、これらの単体又はこれらの合金及びこれらの混合物の少なくとも一種が好適に用いられる。
前記メタリック顔料の製造方法は、例えば、シート状基材面に剥離用樹脂層と金属又は合金層とが順次積層された構造からなる複合化顔料原体の前記金属又は合金層と前記剥離用樹脂層の界面を境界として前記シート状基材より剥離し粉砕し微細化して平板状粒子を得る。そして、得られた平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすものを分取する。
前記メタリック顔料(平板状粒子)の平面上の長径X、短径Y及び円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、シスメックス株式会社製のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000Sを利用することができる。
前記金属又は合金層は、真空蒸着、イオンプレーティング又はスパッタリング法によって形成されることが好ましい。
前記金属又は合金層の厚さは、20nm以上100nm以下で形成される。これにより、平均厚みが20nm以上100nm以下の顔料が得られる。20nm以上にすることで、反射性、光輝性に優れ、メタリック顔料としての性能が高くなり、100nm以下にすることで、見かけ比重の増加を抑え、メタリック顔料の分散安定性を確保することができる。
前記複合化顔料原体における剥離用樹脂層は、前記金属又は合金層のアンダーコート層であるが、シート状基材面との剥離性を向上させるための剥離性層である。この剥離用樹脂層に用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、ポリビニルブチラール、アクリル酸重合体又は変性ナイロン樹脂が好ましい。
上記の一種又は二種以上の混合物の溶液を記録媒体に塗布し、乾燥等を施して層が形成される。塗布後は粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
前記剥離用樹脂層の塗布は、一般的に用いられているグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布、ディップ塗布、スピンコート法等により形成される。塗布・乾燥後、必要であれば、カレンダー処理により、表面の平滑化を行う。
剥離用樹脂層の厚さは、特に限定されないが、0.5〜50μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。0.5μm未満では分散樹脂としての量が不足し、50μmを超えるとロール化した場合、顔料層と界面で剥離しやすいものとなってしまう。
前記シート状基材としては、特に限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、66ナイロン、6ナイロン等のポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセテートフィルム、ポリイミドフィルム等の離型性フィルムが挙げられる。好ましいシート状基材としては、ポリエチレンテレフタレートまたはその共重合体である。
これらのシート状基材の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmが好ましい。10μm以上であれば、工程等で取り扱い性に問題がなく、150μm以下であれば、柔軟性に富み、ロール化、剥離等に問題がない。
また、前記金属又は合金層は、特開2005−68250号公報に例示されるように、保護層で挟まれていてもよい。該保護層としては、酸化ケイ素層、保護用樹脂層が挙げられる。
酸化ケイ素層は、酸化ケイ素を含有する層であれば特に制限されるものではないが、ゾル−ゲル法によって、テトラアルコキシシラン等のシリコンアルコキシド又はその重合体から形成されることが好ましい。
上記シリコンアルコキシド又はその重合体を溶解したアルコール溶液を塗布し、加熱焼成することにより、酸化ケイ素層の塗膜を形成する。
前記保護用樹脂層としては、分散媒に溶解しない樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドまたはセルロース誘導体等が挙げられるが、ポリビニルアルコール又はセルロース誘導体から形成されることが好ましい。
上記樹脂一種または二種以上の混合物の水溶液を塗布し、乾燥等を施した層が形成される。塗布液には粘度調節剤等の添加剤を含有させることができる。
上記酸化ケイ素および樹脂の塗布は、上記剥離用樹脂層の塗布と同様の手法により行われる。
上記保護層の厚さは、特に限定されないが、50〜150nmの範囲が好ましい。50nm未満では機械的強度が不足であり、150nmを超えると強度が高くなりすぎるため粉砕・分散が困難となり、また金属又は合金層との界面で剥離してしまう場合がある。
また、前記「保護層」と「金属又は合金層」との間に色材層を有していてもよい。
色材層は、任意の着色複合顔料を得るために導入するものであり、本発明に使用するメタリック顔料の光輝性に加え、任意の色調、色相を付与できる色材を含有できるものであれば特に限定されるものではない。この色材層に用いる色材としては、染料、顔料のいずれでもよい。また、染料、顔料としては、公知のものを適宜使用することができる。
この場合、色材層に用いられる“顔料”は、一般的な顔料化学の分野で定義される、天然顔料、合成有機顔料、合成無機顔料等を意味し、本発明の“複合化顔料”等の、積層構造に加工されたものとは異なるものである。
この色材層の形成方法としては、特に限定されないが、コーティングにより形成することが好ましい。
また、色材層に用いられる色材が顔料の場合は、色材分散用樹脂を更に含むことが好ましく、該色材分散用樹脂としては、顔料と色材分散用樹脂と必要に応じてその他の添加剤等を溶媒に分散又は溶解させ、溶液としてコーティングで均一な液膜を形成した後、乾燥させて樹脂薄膜として作成されることが好ましい。
なお、前記複合化顔料原体の製造において、上記の色材層と保護層の形成がともにコーティングにより行われることが、作業効率上好ましい。
前記複合化顔料原体としては、前記剥離用樹脂層と金属又は合金層との順次積層構造を複数有する層構成も可能である。その際、複数の金属又は合金層からなる積層構造の全体の厚み、即ち、シート状基材とその直上の剥離用樹脂層を除いた、金属又は合金層−剥離用樹脂層−金属又は合金層、又は剥離用樹脂層−金属又は合金層の厚みは5000nm以下であることが好ましい。5000nm以下であると、複合化顔料原体をロール状に丸めた場合でも、ひび割れ、剥離を生じ難く、保存性に優れる。また、顔料化した場合も、光輝性に優れており好ましいものである。
また、シート状基材面の両面に、剥離用樹脂層と金属又は合金層とが順次積層された構造も挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記シート状基材からの剥離処理法としては、特に限定されないが、前記複合化顔料原体を液体中に浸漬することによりなされる方法、また液体中に浸漬すると同時に超音波処理を行い、剥離処理と剥離した複合化顔料の粉砕処理を行う方法が好ましい。
上記のようにして得られる顔料は、剥離用樹脂層が保護コロイドの役割を有し、溶剤中での分散処理を行うだけで安定な分散液を得ることが可能である。また、該顔料を用いたインク組成物においては、前記剥離用樹脂層由来の樹脂は紙等の記録媒体に対する接着性を付与する機能も担う。
本発明における光輝性インク組成物は、上記メタリック顔料を、溶媒に分散・含有させたものである。本発明における光輝性インク組成物に用いられる主溶媒は、水であっても有機溶媒系のものであってもよいが、本発明においては水であることが好ましい。
前記メタリック顔料のインク組成物中の濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましい。
前記有機溶剤としては、好ましくは極性有機溶媒、例えば、アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、又はフッ化アルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、又はプロピオン酸エチル等)、又はエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン等)等を用いることができる。
特に、前記有機溶剤は、常温常圧下で液体であるアルキレングリコールエーテルを1種類以上含むことが好ましい。
アルキレングリコールエーテルは、メチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、ヘキシル、そして2−エチルヘキシルの脂肪族、二重結合を有するアリル並びにフェニルの各基をベースとするエチレングリコール系エーテルとプロピレングリコール系エーテルがあり、無色で臭いも少なく、分子内にエーテル基と水酸基を有しているので、アルコール類とエーテル類の両方の特性を備えた、常温で液体のものである。また、片方の水酸基だけを置換したモノエーテル型と両方の水酸基を置換したジエーテル型があり、これらを複数種組み合わせて用いることができる。
特に、前記有機溶剤は、アルキレングリコールジエーテル、アルキレングリコールモノエーテル、及びラクトンの混合物であることが好ましい。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
またラクトンとしては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
このような好適な構成とすることにより、本発明の目的をより一層達成することができる。
光輝性インク組成物に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリアクリルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
また、エマルジョン型ポリマー微粒子も樹脂として用いることができる。これはポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂等の微粒子が有機溶剤中に安定に分散している分散液のことである。例えば、ポリウレタン樹脂では、三洋化成工業社製の「サンプレンIB−501」、「サンプレンIB−F370」、三井化学ポリウレタン(株)社製の「W−6061」、大成ファイケミカル(株)社製の「WBR−022U」等が挙げられ、アクリルポリオール樹脂では、ハリマ化成社製の「N−2043−60MEX」、「N−2043−AF−1」等が挙げられる。
樹脂エマルジョンは、記録媒体への顔料の定着性を一層向上させるため、光輝性インク組成物中、0.1質量%〜10質量%添加することが好ましい。添加量が過剰であると印字安定性が得られず、過少であれば、定着性が不十分となる。
前記光輝性インク組成物は、少なくとも1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール、又は糖類を含むことが好ましい。これら1種類以上のグリセリン、ポリアルキレングリコール、又は糖類の合計量は、インク組成物中0.1質量%〜10質量%添加されることが好ましい。
このような好ましい構成とすることにより、インクの乾燥を抑え、目詰まりを防止しつつ、インクの吐出を安定化し、記録物の画像品質を良好にすることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、主鎖中にエーテル結合の繰り返し構造を有する線状高分子化合物であり、例えば環状エーテルの開環重合等によって製造される。
ポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体およびその誘導体等が挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体等のいずれの共重合体も用いることができる。
ポリアルキレングリコールの好ましい具体例として、下式で表されるものが挙げられる。
HO−(Cn2nO)m−H (上記式中、nは、1〜5の整数を表し、mは、1〜100の整数を表す)
なお、上記式中、(Cn2nO)mは、整数値nの範囲内において、一の定数または二種以上の数の組み合わせであってよい。例えば、nが3の場合は(C36O)mであり、nが1と4との組み合わせの場合は(CH2O−C48O)mである。また、整数値mは、その範囲内において、一の定数または二種以上の数の組み合わせであってよい。例えば、上記の例において、mが20と40との組み合わせの場合は(CH2O)20−(C24O)40であり、mが10と30の組み合わせの場合は(CH2O)10−(C48O)30である。更に、整数値nとmとは上記の範囲内で任意に組み合わせてもよい。
糖類としては、ペントース、ヘキトース、ヘプトース、オクトース等の単糖類、あるいは二糖類、三糖類、四糖類といった多糖類、またはこれらの誘導体である糖アルコール、デオキシ酸といった還元誘導体、アルドン酸、ウロン酸といった酸化誘導体、グリコセエンといった脱水誘導体、アミノ酸、チオ糖等が挙げられる。多糖類とは広義の糖を指し、アルギン酸やデキストリン、セルロース等の自然界に広く存在する物質も含む。
前記光輝性インク組成物は、少なくとも1種類以上のアセチレングリコール系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤を含むことが好ましい。該界面活性剤は、インク組成物中の顔料の含有量に対して、0.01質量%〜10質量%添加されることが好ましい。
このような好適な構成とすることにより、光輝性インク組成物の記録媒体へのぬれ性が改善され、速やかな定着性を得ることがきる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、サーフィノール(登録商標)465(商標)、サーフィノール104(商標)(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc.社製)、オルフィン(登録商標)STG(商標)、オルフィンE1010(商標)(以上商品名、日信化学社製)等が好適に挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3530、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン株式会社)が挙げられる。
前記光輝性インク組成物は、公知の慣用方法によって調製することができる。例えば、最初に、前述したメタリック顔料、分散剤、及び前記液媒を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、又はジェットミル等で顔料分散液を調製し、所望のインク特性を有するように調整する。続いて、バインダー樹脂、前記液媒、及びその他の添加剤(例えば、分散助剤や粘度調整剤)を撹拌下に加えて光輝性インク組成物を得ることができる。
その他、複合化顔料原体を、一旦液媒中で超音波処理して複合化顔料分散液とした後、必要なインク用液媒と混合しても良く、また、複合化顔料原体を直接インク用液媒中で超音波処理してそのまま光輝性インク組成物とすることもできる。
前記光輝性インク組成物の物性は特に限定されるものではないが、例えば、その表面張力は好ましくは20〜50mN/mである。表面張力が20mN/m未満になると、インク組成物がインクジェット記録用プリンタヘッドの表面に濡れ広がるか、又は滲み出してしまい、インク滴の吐出が困難になることがあり、表面張力が50mN/mを越えると、記録媒体の表面において濡れ広がらず、良好な印刷ができないことがある。
1−2.白色インク組成物
本発明における白色インク組成物は、白色色材として金属化合物および中空樹脂粒子から選ばれる少なくとも1種と、前記色材を定着する樹脂成分とを含むことが望ましい。
金属化合物としては、従来から白色顔料として用いられている金属酸化物、硫酸バリウムや炭酸カルシウムである。金属酸化物としては、特に制限されないが、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。本発明における金属化合物としては、二酸化チタン、アルミナが好ましい。
上記金属化合物の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは5〜15質量%である。金属酸化物の含有量が20質量%を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、1質量%未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。
金属化合物の平均粒子径(外径)は、好ましくは30〜600nmであり、より好ましくは200〜400nmである。外径が600nmを超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なうことがあり、またインクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、外径30nm未満であると、白色度が不足する傾向にある。
金属化合物の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
本発明における中空樹脂粒子としては、その内部に空洞を有しており、その外殻が液体透過性を有する樹脂から形成されていることが好ましい。かかる構成により、中空樹脂粒子が水性インク組成物中に存在する場合には、内部の空洞は水性媒質で満たされることになる。水性媒質で満たされた粒子は、外部の水性媒質とほぼ等しい比重を有するため、水性インク組成物中で沈降することなく分散安定性を保つことができる。これにより、インク組成物の貯蔵安定性や吐出安定性を高めることができる。
上記の中空樹脂粒子を含む白色インク組成物を、紙その他の記録媒体上に吐出させると、粒子の内部の水性媒質が乾燥時に抜けることにより空洞となる。粒子が内部に空気を含有することにより、粒子は屈折率の異なる樹脂層および空気層を形成し、入射光を効果的に散乱させるため、白色を呈することができる。
本発明で用いられる中空樹脂粒子は、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、米国特許第4,880,465号や特許第3,562,754号などの明細書に記載されている中空樹脂粒子を好ましく用いることができる。
中空樹脂粒子の平均粒子径(外径)は、好ましくは0.2〜1.0μmであり、より好ましくは0.4〜0.8μmである。外径が1.0μmを超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なうことがあり、またインクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、外径が0.2μm未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。また、内径は、0.1〜0.8μm程度が適当である。
中空樹脂粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置として、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
上記中空樹脂粒子の含有量(固形分)は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは5〜20質量%であり、より好ましくは8〜15質量%である。中空樹脂粒子の含有量(固形分)が20質量%を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、5質量%未満であると、白色度が不足する傾向にある。
上記中空樹脂粒子の調製方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を適用することができる。中空樹脂粒子の調製方法として、例えば、ビニルモノマー、界面活性剤、重合開始剤、および水系分散媒を窒素雰囲気下で加熱しながら撹拌することにより中空樹脂粒子エマルジョンを形成する、いわゆる乳化重合法を適用することができる。
ビニルモノマーとしては、非イオン性モノエチレン不飽和モノマーが挙げられ、例えば、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ビニルアセテート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、ビニルモノマーとして、二官能性ビニルモノマーを用いることもできる。二官能性ビニルモノマーとして、例えば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタン−ジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが挙げられる。上記単官能性ビニルモノマーと上記二官能性ビニルモノマーとを共重合させて高度に架橋することにより、光散乱特性だけでなく、耐熱性、耐溶剤性、溶剤分散性などの特性を備えた中空樹脂粒子を得ることができる。
界面活性剤としては、水中でミセルなどの分子集合体を形成するものであればよく、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
重合開始剤としては、水に可溶な公知の化合物を用いることができ、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウムなどが挙げられる。
水系分散媒としては、例えば、水、親水性有機溶媒を含有する水などが挙げられる。
本発明における白色インク組成物は、金属化合物や中空樹脂粒子を定着させる樹脂を含むことが望ましい。係る樹脂としては、アクリル系樹脂(例えば、アルマテックス(三井化学社製))、ウレタン系樹脂(例えば、WBR−022U(大成ファインケミカル社製))が挙げられる。
これらの定着樹脂の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明における白色インク組成物は、アルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。アルカンジオールやグリコールエーテルは、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
アルカンジオールとしては、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールなどの炭素数が4〜8の1,2−アルカンジオールであることが好ましい。この中でも炭素数が6〜8の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が特に高いため、より好ましい。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルを挙げることができる。この中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテルを用いると良好な記録品質を得ることができる。
これらのアルカンジオールおよびグリコールエーテルから選択される少なくとも1種の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
本発明における白色インク組成物は、アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤を含有することが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤またはポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体などの被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。
ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。
更に、本発明における白色インク組成物は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などのその他の界面活性剤を含有することもできる。
上記界面活性剤の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
本発明における白色インク組成物は、第三級アミンを含有することが好ましい。第三級アミンは、pH調整剤としての機能を有し、白色インク組成物のpHを容易に調整することができる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
上記第三級アミンの含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%である。
本発明における白色インク組成物は、通常溶媒として水を含有することが好ましい。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
本発明における白色インク組成物は、必要に応じて、水溶性ロジンなどの定着剤、安息香酸ナトリウムなどの防黴剤・防腐剤、アロハネート類などの酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤などの添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもできるし、もちろん2種以上組み合わせて用いることもできる。
本発明における白色インク組成物は、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルターなどを用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
2.プロセスカラーインク組成物
次に、本発明の第二の工程で使用されるカラー画像を形成するためのプロセスカラーインク組成物について説明する。
本発明におけるプロセスカラーインク組成物は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)またはK(ブラック)の色材を含むものであればよく、白色以外を呈するカラーインク組成物である。本発明におけるプロセスカラーインク組成物は特に限定されることなく、市販のプロセスカラーインク組成物を使用することができる。
カラー色材としては、顔料系および染料系のいずれでも良く、例えば、特開2003−192963号、特開2005−23253号公報、特開平9−3380号公報、特開2004−51776号公報に記載されたカラーインク組成物を好適に使用することができる。
また、本発明における“カラー”とは特定の色領域ではなく一般的に色があると言われている領域全てを指す。つまり、“L***座標上でL*=100、a*=0、b*=0(理想的な白)以外の座標に位置する色”を示す。
本発明で用いられるプロセスカラーインク組成物は主溶媒として水を含むものであることが望ましい。
3.画像形成方法
3−1.インクジェット記録方式
本発明の画像記録方法においては、下地層およびカラー画像の形成は、下記で説明するインクジェット記録方式によりなされるのが好ましい。インクジェット記録方式以外にも種々のアナログ印刷、たとえばオフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などに適用することが可能である。
本発明におけるインクジェット記録方式は、インクジェットヘッドを駆動させてインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において、上述の各種インク組成物を用いて画像を形成するものである。
インク組成物を吐出する方法としては、以下に説明する方法が挙げられる。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子(ピエゾ素子)を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方法は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱起泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上のいずれの方法も本実施形態のインクジェット記録方式に使用することができるが、高速印刷対応の観点からは、インク組成物を吐出する方法が、非加熱方式であることが好ましい。即ち、上記第一の方法、第二の方法又は第三の方法を採用することが好ましい。
3−2.乾燥処理
本発明の画像形成方法では、上記揮発成分量を達成するために、第一の工程の直後に、形成された下地層を乾燥することが好ましい。乾燥方法は特に制限されないが、例えば、基材に熱源を接触させて加熱する方法、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長を持つ電磁波)などを照射し、または熱風を吹き付けるなど基材に接触させずに加熱する方法などが挙げられる。加熱温度は基材の種類や下地層の顔料種にもよるが、30〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。熱をかけないでファンなどによって風を送る方法もよく、自然乾燥も可能である。
また、本発明の画像形成方法では、よりにじみを抑制するために、当該下地層にプロセスカラーインクによってカラー画像を記録する第二の工程の後に、上記と同様の方法により、乾燥処理を行なうことも好ましい。
本発明の画像記録形成方法は、記録装置で予め第一の工程を頁単位で印刷し、その後、記録装置に再度通紙して第二の工程を行なっても良い。あるいは、第一の工程と第二の工程とを1回の通紙で、即ち、基材を記録装置へ通紙してから前記記録装置外へ排紙するまでの間に行なっても良い。後者の場合には、記録装置に基材を加熱する手段を配置し、前記第一の工程による下地層の形成途中あるいは形成後に前記基材を加熱することが望ましい。加熱によって乾燥時間が短縮されるため、例えば、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査させる際の移動時間や、基材の搬送時間等を乾燥時間とすることが可能である。
記録装置に基材を加熱する手段を設置する方法としては、例えば特開平10−86353号が挙げられる。
4.基材
本発明で用いられる基材とは、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体である。インク非吸収性および低吸収性の記録媒体とは、インクの吸収層を備えていない、あるいは、インクの吸収層が乏しい記録媒体をいう。より定量的には、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体とは、印字面が、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。また金属、ガラス等も挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙等が挙げられる。
[記録物]
本実施形態の記録物は、本発明の画像記録方法、好ましくは上記インクジェット記録方式を利用して記録が行われたものである。この記録物は、本発明の画像記録方法により得られるものであるので、カラー画像のにじみが抑制され、良質な画像を提供できる。
[画像記録システム]
本発明の画像記録システムは、基材上に下地層形成用インク組成物により下地層を記録する下地層形成手段と、前記下地層の揮発成分残存率が5〜50質量%となった状態で、前記下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録するカラー画像層形成手段と、を有することを特徴とする。かかる画像記録システムは、前記下地層形成手段と前記カラー画像層形成手段とが一体化された装置であってもよく、両者が別体となった装置(例えば、インクジェット記録装置で記録後、別体のインクジェット記録装置でカラー画像層を形成する)であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は下記例に制限されない。
(1)白色インク組成物の調製
表1に記載の組成に従って、金属化合物を色材として含む白色インク組成物(インク1)を調製した。尚、表中の数値は質量%である。
Figure 2016052786
金属酸化物は、表1に記載の市販品「NanoTek (R) Slurry」(シーアイ化成株式会社製)を用いた。NanoTek (R) Slurryは、平均粒子径36nmの二酸化チタンを固形分として15%の割合で含むスラリーである。
「BYK−348」(ビックケミー・ジャパン株式会社製)は、ポリシロキサン系界面活性剤である。
ウレタン樹脂は、「WBR−022U」(大成ファインケミカル社(製))を用いた。
(2)印刷評価試験
(2−1)印刷評価試験-1
評価には、インクジェットプリンタPX−A650(セイコーエプソン(株)製)を2台用いた。1台は、白色インク組成物の出力用(白出力用)とし、他の1台は、プロセスカラーインク組成物の出力用(カラー出力用)とした。白出力用は、黒用インクカートリッジに白色インク組成物を充填させ、これを通常黒用インクカートリッジが装着される部分に装着して使用した。カラー出力用は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)またはK(ブラック)の色材をそれぞれ含む、水系の純正のインクカートリッジ(ICBK31、ICC42、ICM42、ICY42)をそのまま用いた。
非吸収性基材として、リンテック(株)製のPET100(A)PLシン11BLを用いた。PET100(A)PLシン11BLは、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムであり、インクジェット用塗工層のような吸収層をもたないフィルムである。該フィルムをA4サイズにカットして本実施例に用いた。
まず、上記非吸収性基材に、白出力用を用いて白色インク組成物のベタ塗り記録を行ない、下地層を形成した。記録解像度は1440×720dpiとした。
続いて、下地層を自然乾燥させ、残存する揮発成分量が所定段階となったところで、カラー出力用を用いて任意のカラー画像を出力させた。記録解像度は1440×720dpiとした。尚、残存する揮発成分量は、印刷面に記録されたインクの重量から算出した。
得られたカラー画像に対し、にじみの評価を目視にて行なった。評価内容は以下のとおりである。結果を表2に示す。
A:カラー画像のにじみがまったく認められない。
B:カラー画像にわずかににじみ、特に黒色とその他のカラーとの境界付近にのみ認められる。
C:カラー画像のベタ部にムラやにじみが認められるが、実用レベルと判断できる。
D:カラー画像のにじみが激しく、画質に耐えられない。
Figure 2016052786
表2の結果から、下地層に残存する揮発成分量が5〜50質量%の範囲でカラー画像を形成した場合に、にじみが抑制された良好な画質が得られることが分かる。特に、下地層に残存する揮発成分量が10〜25質量%の時ににじみが顕著に抑制されていた。
これに対し、下地層に残存する揮発成分量が5〜50質量%の範囲外では、カラー画像ににじみが発生する。下地層の揮発残存成分量が少ない場合、換言すれば下地層が十分に乾燥している状態であっても、上記揮発残存成分量の範囲が外れると、カラー画像ににじみが発生するのは予測外の結果であった。尚、揮発残存成分量が5質量%程度であると、下地層に残存する揮発成分は略揮発しているのみも関わらず、白色インク組成物は指で簡単に流れてしまう程度の乾燥状態であった。一方、揮発残存成分量が50質量%程度であると全く乾燥していない状態であった。
(2−2)印刷評価試験-2
以下、印刷評価試験−2における画像記録方法の概略を図面に基づき説明する。
まず、インクジェットプリンタPX−A650(セイコーエプソン(株)製)において、基材1を固定するステージ11をプリントヘッド機構10に対向する位置に設置し、評価試験装置を作成した。図1に該評価試験装置の部分概略図を示す。ステージ11上には基材1の質量を測定可能な電子天秤12および基材1を加熱可能な加熱装置(ヒーター)13が設けられている。またヒーター13は温度センサ14によって制御されており、基材1を所定の温度に設定することが可能である。白色インク、プロセスカラーインクおよび基材1は印刷評価試験−1と同様のものを使用する。プリントヘッド機構10はインクを吐出する記録ヘッドとキャリッジ等を含んで構成されており、記録ヘッドは主走査方向xに沿って左右に走査される。
印刷評価試験−2では、印刷中、基材1が60℃となるように設定した。
図1の左右方向(主走査方向X)の1方に主走査(パス)させ、基材1上に白色インクによる下地層を形成する(第1記録)。続いて、当該パス(第1記録)後に前記白色インクにより形成された下地層上にプロセスカラーインクのみ記録するパス(第2記録)を行う。上記印刷を可能とするため、ノズル列は、図2に示すように全ノズルを使用するとともに、パスごとに白インクとプロセスカラーインクとが交互に印刷されるように配列する(即ち、ノズル列1〜8の各列の主走査方向の上流側に白色インク用ノズル(W(ホワイト))が(斜線部分)、各列の主走査方向の下流側にプロセスカラーインク用ノズル(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック))が配列される(ノズル列のノズルピッチ:180dpi、副走査方向の記録解像度:180dpi))。
ここで、第1記録から第2記録へキャリッジが走査移動する移動時間を保持することでプロセスカラーインクのにじみ具合を判断した。結果を表3に示す。評価基準は印刷評価試験−1と同様である。また、表3における時間は白インク吐出直後からの時間であり、揮発残存率は同じ評価を20回繰り返した際の平均値である。
揮発残存量は第1記録終了直後の基材1の質量と時間経過後の基材1の質量から求めた。尚、ヒーター13を停止させ基材1を加熱せず室温にて揮発残存量を求めることで、前記印刷評価試験−1を行なうことができる。室温の場合は、上記の移動時間保持は、より長時間となる。
Figure 2016052786
(2−3)印刷評価試験-3
以下、印刷評価試験−3における画像記録方法の概略を図面に基づき説明する。
図3は印刷評価試験−3における画像記録方法の各工程を示す概略図である。
図3に示すように、本試験では、インクジェットプリンタPX−A650(セイコーエプソン(株)製)の記録ヘッド23に対向する搬送路であるプラテン部分に、基材1の幅よりも大きい幅長を有するヒーター22を設置し、記録時に基材1の背面が全領域に亘って60℃に加熱されるようにする。
記録ヘッド23には、副走査方向yに沿って複数のノズルが配列したノズル列23aが形成されており、各インクは副走査方向yに沿って同色が並ぶように配列されている。
まず、基材1を副走査方向yに搬送し、ヒーター22を有するプラテン部分で停止させる。そして記録ヘッド23が搭載されたキャリッジを図3の左右方向(主走査方向X)の1方に主走査(パス)させ、基材1上に白色インクによる下地層24を形成する(第1記録(図3(a)))。
次いで、基材1を継続して停止させたまま、キャリッジの走査によってプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層25を記録するパス(第2記録)を行う(図3(b))。尚、本試験においてはカラー画像25として文字を記録している。次に基材1を副走査方向yへ搬送して次の第3記録(図3(c))に備える。
以後、上記の第1記録と第2記録を繰り返し行い(第3記録(図3(c))および第4記録(図3(d)))、プリンタから基材1を排出する。
即ち、上記印刷評価試験−3の印刷方法では、上記印刷を可能とするため、図4に示すように、ノズル列23aは全ノズルが使用されるとともに、パスごとに白インクとプロセスカラーインクとが交互に印刷できるように配列される(即ち、ノズル列1〜8(図2のノズル列23aに対応)の各列の主走査方向の上流側に白色インク用ノズル(W(ホワイト))が(斜線部分)、各列の主走査方向の下流側にプロセスカラーインク用ノズル(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック))が配列される(ノズル列のノズルピッチ:180dpi、副走査方向の記録解像度:180dpi))。そして、白インクのみ記録するパスと、当該パス後に前記白色インクにより形成された下地層上にプロセスカラーインクのみ記録するパスと、当該パス後の副走査方向yへの媒体搬送を順番に繰り返す。
印刷評価試験−2の結果(表3)を参照して、白インクが記録されてから同じ画素にプロセスカラーインクが重ねて記録されるまでのパス数と時間を1パスあたり4secとするとともに、基材1の温度を60℃に設定して上記のような印刷を行なったところ、にじみが少なく高精細な画像を形成することができた。
上記の結果から、記録装置に加熱手段を配置し下地層となる白色インクの乾燥時間を短縮させることで、キャリッジを走査させる際の移動時間でも所望の揮発残存量に制御可能であることが判る。
また、本発明においては、特開2000-141708号公報のように、白色インクを吐出する記録ヘッドを副走査方向の上流側に、プロセスカラーインクを吐出する記録ヘッドを下流側に配置することにより、白インクを媒体に記録してから同じ画素位置にカラーインクを重ねて記録するまでの時間差として1主走査以上設けることもでき、乾燥時間をより長くできる。また主走査の間に休止時間を設けてもよい。上記構成とすることで、60℃より低い温度に設定すれば時間差を実施例よりも長くした場合に揮発残存量を適切な範囲とすることができる。また、より高温に設定すれば、より短時間にした場合に揮発残存量を適切な範囲にすることができる。図5に前述の評価試験装置により確認した各温度における揮発残存率と乾燥時間の乾燥温度曲線を示す。
1…基材、10…ヘッド機構、11…ステージ、12…電子天秤、13、22…加熱装置(ヒータ)、14…温度センサ、23…記録ヘッド、23a…ノズル列、24…白色層、25…カラー画像、x…主走査方向、y…副走査方向(媒体搬送方向)。

Claims (15)

  1. 基材上に下地層形成用インク組成物により下地層を記録する第一の工程と、前記下地層の揮発成分残存量が5〜50質量%となった状態で、前記下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録する第二の工程と、を有することを特徴とする画像記録方法。
  2. 前記第一の工程において下地層を形成してから前記第二の工程によってカラー画像層を形成するまでの間に前記下地層を乾燥させるための乾燥工程を有することを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
  3. 前記下地層形成用インク組成物が、金属顔料を含有する光輝性インク組成物、または、金属化合物および中空樹脂粒子の何れかを白色色材として含む白色インク組成物であることを特徴とする請求項1または2記載の画像記録方法。
  4. 前記下地層形成用インク組成物およびプロセスカラーインク組成物の主溶媒が水であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像記録方法。
  5. 前記下地層形成用インク組成物の固形分量が3〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の画像記録方法。
  6. 前記第二の工程において、前記下地層に残存する揮発成分量が10〜25質量%となった状態で、前記下地層に前記プロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像記録方法。
  7. 前記第二の工程の後、基材上に形成された下地層とカラー画像層とを乾燥する工程を更に有することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の画像記録方法。
  8. 前記基材がインク非吸収性または低吸収性であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の画像記録方法。
  9. 前記画像記録方法が、複数のノズルからなるノズル列を有する記録ヘッドと、前記基材を主走査方向に交差する副走査方向へ搬送する被記録材搬送手段と、を備えた記録装置を用いて行なわれ、
    前記下地層形成用インク組成物および前記プロセスカラーインク組成物は、前記基材に対向して設けられる記録ヘッドから基材に対して吐出され、前記記録ヘッドは前記下地層形成用インク組成物を前記基材に対して吐出してから所定の時間の後、前記プロセスカラーインク組成物を前記基材に対して吐出することを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の画像記録方法。
  10. 前記下地層形成用インク組成物の吐出は、前記プロセスカラーインク組成物の吐出よりも、前記基材の搬送方向における上流側において行なわれることを特徴とする請求項9に記載の画像記録方法。
  11. 前記記録装置は、前記記録ヘッドを搭載して前記主走査方向へ往復移動するキャリッジを備え、
    前記基材の搬送が停止された状態で、前記キャリッジの往復移動に伴って前記下地層形成用インク組成物が前記記録ヘッドから前記基材に対して吐出された後、さらに前記キャリッジの往復移動に伴って前記プロセスカラーインク組成物が前記記録ヘッドから前記基材に対して吐出されることを特徴とする請求項9に記載の画像記録方法。
  12. 前記記録装置が更に前記基材を加熱する手段を備え、
    前記下地層を形成した後、前記基材を加熱することを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の画像記録方法。
  13. インクジェット記録方式により行なわれることを特徴とする、請求項1〜12の何れか一項に記載の画像記録方法。
  14. 請求項1〜13の何れか一項に記載の画像記録方法により得られることを特徴とする、記録物。
  15. 基材上に下地層形成用インク組成物により下地層を記録する下地層形成手段と、前記下地層の揮発成分残存率が5〜50質量%となった状態で、前記下地層にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録するカラー画像層形成手段と、を有することを特徴とする画像記録システム。
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