JP2005225114A - インクジェット記録方法、プリンタドライバ及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インクと凝集反応を起こす反応液を用い、画像濃度が高く、ブリードのない高品位のカラー画像を提供することができるインクジェット記録方法、プリンタドライバ及びインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】 インク吐出用ヘッドと、インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、記録データに基づいて記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法において、上記記録媒体上のインクドットが形成される領域に対し、反応液ドットを、ドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成する。上記領域のうち、少なくともインクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成することが好ましい。
【選択図】 図8
【解決手段】 インク吐出用ヘッドと、インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、記録データに基づいて記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録方法において、上記記録媒体上のインクドットが形成される領域に対し、反応液ドットを、ドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成する。上記領域のうち、少なくともインクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成することが好ましい。
【選択図】 図8
Description
本発明は、インク凝集能を有する反応液を使用するインクジェット記録方法、プリンタドライバ及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、記録ヘッドの複数のノズルからインクの液滴を吐出させ、紙などの記録媒体にインクを付着させて画像を記録する印刷方法である。従来から、画像濃度が高く、ブリードのない高品位のカラー画像が得られるインクジェット記録方法として、インクと、インクを瞬間的に凝集させる物質(インク凝集剤)を含有させた反応液(処理液、プリント性向上液などとも呼ばれる)との2液を用いる方法が知られている。この2液を用いる方法は、特に、インクジェット記録方式に適合した特性を付与されていない一般事務用紙やオフセット用塗工印刷用紙などのいわゆる普通紙に対して有効であり、この方法によれば、高価で特殊なインクジェット専用紙を用いなくても、比較的安価な普通紙で高品位のカラー画像を得ることができる。反応液としては、インク凝集剤としてマグネシウム塩などの多価金属塩を使用したものや、ポリアリルアミンなどのカチオン系高分子を含有させたものなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記の2液を用いるインクジェット記録方法においては、従来、インクドットの有無に拘わらず、記録媒体上の画像形成領域全体に亘って反応液を付着させていたため、ランニングコストの高騰や、記録装置の大型化、複雑化が問題となっていた。また、必要以上の反応液によって、特にインク付与量の多い画像形成領域で色がくすんだり、多色インクを使用するカラー記録の場合にはブリードと呼ばれる、異色の境界部分で色がにじんだり不均一に混ざり合ったりする現象が発生するなど、画質的にも問題が生じるおそれがある。
そこで、反応液を画像形成領域の最適な位置に適量だけ付着させて、反応液の機能を最大限に発揮させるようにした改良技術が提案されている。例えば、記録媒体上に形成される記録ドット(インクドット)の分布状態に応じて、処理液(反応液)用ヘッドによる処理液ドットの形成位置を制御する制御手段を備えたインクジェット記録装置がある(特許文献2参照)。このインクジェット記録装置は、記録ドットよりも処理液ドットの径を大きくする(処理液ドットの形成は低解像度の記録データを用いて行い、記録ドットの形成は高解像度の記録データを用いて行う)ことにより、複数の記録ドットの形成範囲を1つの処理液ドットでカバーできるようにしてあり、少ない処理液で効果を最大限発揮できるようになされている。
特開平10−120956号公報
特開平8−52867号公報
特許文献2に開示されているインクジェット記録装置は、反応液を効率よく使用する点に重点が置かれている反面、画質的には問題がある。即ち、反応液の使用を必要以上に抑えた結果、反応液によるブリード防止効果が低減し、特にインクの打ち込み量が多い高画像濃度領域において、混色による画質低下が起こるおそれがあった。
従って、本発明の目的は、インクの定着性などを向上させるための反応液を記録媒体上の最適な位置に適量だけ付着させることで、画像濃度が高く、ブリードのない高品位のカラー画像を提供することができるインクジェット記録方法、プリンタドライバ及びインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明者等は、反応液による画質向上効果を最大限に引き出すべく種々検討した結果、反応液ドットを、ドットの大きさ(ドットサイズ)を均一に揃えて記録デューティー100%で形成することにより、インクの滲みやブリードを効果的に防止し得ることを知見した(知見A)。
但し、インクの付与量が多い高画像濃度領域に対して上記のように反応液ドットを記録デューティー100%で形成すると、記録媒体の種類によってはインクや反応液が記録媒体上に溢れ出す可能性がある。この問題の対応策として、高画像濃度領域については反応液ドットの記録デューティーを100%より減らすことが考えられるが、これでは滲みやブリードの防止効果が低減してしまう。本発明者等は、より有効な対応策について種々検討した結果、反応液ドットのドットサイズを均一に揃えて記録デューティー100%で形成することに加えて、該反応液ドットを出来る限り小さくすることにより、インク吸収能に乏しい記録媒体であっても高画像濃度領域でインクや反応液を溢れ出させずに、インクの滲みやブリードを効果的に防止し得ることを知見した(知見B)。
本発明は、上記知見Aに基づきなされたもので、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、インク用記録データ及び反応液用記録データに基づいて記録媒体上にインクドット及び反応液ドットを形成することで画像を記録するインクジェット記録方法において、上記記録媒体上の上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットを、ドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成することを特徴とするインクジェット記録方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記知見Bに基づきなされたもので、上記インクジェット記録方法において、上記領域のうち、少なくとも上記インクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成することを特徴とする。
また、本発明のプリンタドライバは、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体上にインクドット及び反応液ドットを形成することで画像を記録するインクジェット記録装置に接続又は内蔵されたコンピュータを、入力画像データからインク用記録データを生成し、生成された該インク用記録データに基づいて反応液用記録データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段は、上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットがドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成されるように該反応液用記録データを生成する装置、として動作させることを特徴とする。
また、本発明のプリンタドライバは、上記プリンタドライバにおいて、上記データ生成手段は、上記領域のうち、少なくとも上記インクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成するように上記反応液用記録データを生成することを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体上にインクドット及び反応液ドットを形成することで画像を記録するインクジェット記録装置において、入力画像データからインク用記録データを生成し、生成された該インク用記録データに基づいて反応液用記録データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段は、上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットがドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成されるように該反応液用記録データを生成することを特徴とする。
また、本発明のインクジェット記録装置は、上記インクジェット記録装置において、上記データ生成手段は、上記領域のうち、少なくとも上記インクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成するように上記反応液用記録データを生成することを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法、プリンタドライバ及びインクジェット記録装置によれば、反応液ドットのドットサイズを均一にして記録デューティー100%で記録媒体上に形成することにより、インクの滲みやブリードを効果的に防止することができ、反応液の機能を最大限に発揮させた高画質、高品位のカラー画像を提供することができる。さらに、反応液ドットのドットサイズを、反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズにすることにより、普通紙のようなインク吸収能に乏しい記録媒体であっても、インク付与量の多い高画像濃度領域においてインクや反応液を溢れ出させずに、インクの滲みやブリードを効果的に防止することが可能となる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、上記インク用記録データ及び上記反応液用記録データの解像度が同じであることを特徴とする。
上記インク用記録データ及び上記反応液用記録データを同解像度とすることにより、プリンタドライバの作業負担が軽減され、印刷速度の低下を防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、上記反応液用記録データの方が上記インク用記録データよりも解像度が高いことを特徴とする。
上記反応液用記録データを上記インク用記録データよりも高解像度とすることにより、反応液ドットの分布の均一性が増し、ブリード防止効果、画質が一層向上する。
また、本発明のインクジェット記録方法は、上記領域内で上記インクドットを形成する前に上記反応液ドットを形成することを特徴とする。
上記インクドットを形成する前に上記反応液ドットを形成することで、よりブリードの少ない画像を形成することが可能となる。
また、本発明のインクジェット記録方法は、上記インクが少なくとも色材として顔料を含む水性インクであり、上記反応液が少なくとも水溶性多価金属塩及び水を含有することを特徴とする。
本発明は、顔料を含む水性インクと水溶性多価金属塩及び水を含有する反応液とを併用する場合に特に有効である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示した斜視図である。図1に示すインクジェット記録装置1は、紙送りモータ(図示せず)で駆動される紙送りローラ2によって、用紙スタッカ3から記録媒体Mを巻き取ってプラテン4位置に搬送し、キャリッジ5の下面に取り付けられた記録ヘッド6により記録を行った後、矢標Yで示す方向(副走査方向)に記録媒体Mを搬送するようになしてある。キャリッジ5は、キャリッジモータ7によって駆動されるタイミングベルト8に連結されており、2本のガイドレール9によって、矢標X1又はX2で示す、記録媒体Mの搬送方向Yと直交する方向(主走査方向)に往復動作可能に案内支持されている。また、キャリッジ5の上面には、記録ヘッド6にインクや反応液を供給するインクカートリッジ10が搭載されている。インクカートリッジ10は内部が6つのインク室に区画され、そのうちの4つのインク室にイエロー(Y)、ブラック(K)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の4種の水性顔料インクがそれぞれ収容され、残り2つのインク室にはそれぞれ反応液が収容されている。
搬送中の記録媒体Mの両端部より外側は、それぞれ記録が行われない非記録領域となっており、このうち一方の非記録領域にはキャッピング装置11が設けられている。このキャッピング装置11は、記録休止中に記録ヘッド6のノズルを封止することによりノズルの乾燥をできるだけ防ぐようになっている。また、キャッピング装置11の下部には吸引ポンプ(図示せず)が接続されており、クリーニング動作時には記録ヘッド6のノズルに負圧を与えて、ノズルからインクや埃などの異物や気泡などを強制的に吸引するようになっている。吸引されたインクなどは装置の下部に設けられた廃液タンク(図示せず)に貯蔵される。さらに、キャッピング装置11は、フラッシングによって記録ヘッド6から吐出されたインク滴を受ける容器としても機能する。
図2は、記録ヘッド6のノズル形成面(記録媒体Mと対向する面)の概略構成図である。記録ヘッド6は、YKMCの4色のインクをそれぞれ吐出する4つのインク吐出用ヘッド6Y、6K、6M、6Cと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する2つの反応液吐出用ヘッド6R1、6R2とが、記録ヘッド6の主走査方向に一列に集積配置された構成のいわゆるマルチヘッドである。各ヘッドは、それぞれ主走査方向と直交する副走査方向に沿って設けられた複数のノズルNzを有し、各ノズルNzからインク又は反応液を吐出する。
6つの上記各ヘッドは、それぞれ基本的にこの種のインクジェット記録装置における記録ヘッドと同様に構成されており、インク供給路、該インク供給路の一部に設けられるエネルギー作用部、該エネルギー作用部にあるインク又は反応液に作用させる液滴形成エネルギーを発生するエネルギー発生手段(何れも図示せず)等を備えている。本実施形態では、エネルギー発生手段として、電気−機械変換素子を備えている。電気−機械変換方式の記録ヘッドは、他の方式の記録ヘッドに比して、顔料インクの吐出安定性に優れるため、顔料インクを用いたインクジェット記録に特に好適である。電気−機械変換素子としては、ピエゾ素子が好ましく用いられる。ピエゾ素子は、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギーの変換を行う素子(圧電素子)である。上記各ヘッドの内部の適当な位置に配置されたピエゾ素子に、所定の時間幅の電圧を印加することにより、該ピエゾ素子が電圧の印加時間だけ伸張し、これによりインク供給路の容積が収縮して、この収縮分に相当するインク又は反応液が液滴となってノズルNzから高速吐出される。
尚、記録ヘッド6を構成する上記各ヘッドの配置順序は特に限定されるものではないが、上記反応液により凝集され易いインクを吐出するインク吐出用ヘッドほど、上記反応液吐出用ヘッドから離間するように配置されることが好ましい。各ヘッドをこのような順序で配置することにより、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微小な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因するノズルの汚れを有効に防止することができ、信頼性の高いインクジェット記録が可能となる。例えば、後述する水溶性多価金属塩含有タイプの反応液を使用する場合、Y、K、M、Cの4色の水性顔料インクでは、通常、C、M、K、Yの順に該反応液との反応性が高いので、この場合の各ヘッドの配置順序は、図2に示すように、記録ヘッド6の主走査方向の一端側に配置された反応液吐出用ヘッド(6R1、6R2)に近い方から順に、6Y、6K、6M、6Cとすることが好ましい。
図3は、本実施形態に係る記録システムの制御構成を示すブロック図である。この記録システム50は、図1に示すインクジェット記録装置1を用いたもので、該インクジェット記録装置1と、該インクジェット記録装置1に電気的に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト装置30とを備えている。
ホスト装置30は、インストールされた本発明のプリンタドライバのプログラムコードに従って、入力画像データからインクジェット記録装置1での処理に適した記録データを生成する装置として機能するもので、インク用データ生成手段31、反応液用データ生成手段32及び記録データ生成手段33を備える。
図4は、インク用データ生成手段31におけるインク用記録データの生成処理を機能的に示すブロック図である。例えばデジタルカメラで撮影することにより得られた赤(R)、緑(G)、青(B)からなるRGB入力画像データがあった場合、先ず、色変換部301で、Y、M、C、KからなるYMCK入力画像データに変換される。この変換の際には、図5(a)に示す変換テーブル51、及び図5(b)に示すインク量補正テーブル52が参照される。変換テーブル51は、RGB値にYMCK値を対応付けたテーブルである。インク量補正テーブル52における変換成分値は、CMYKイメージの各成分値に相当する。このインク量補正テーブル52は、記録データの生成処理の前(プリンタドライバの起動時)に、インクジェット記録装置1からホスト装置30に各インクについての補正指標値が送信された場合には、これらの補正指標値に応じた内容に更新される。そして、この更新されたテーブルが記録データの生成処理に利用される。
次いで、YMCK入力画像データは、吐出量決定部302で、YMCK各色のインク滴吐出量が最適化された吐出量最適化画像データに変換される。この変換の際には、図5(c)に示す配分情報テーブル53が参照される。配分情報テーブル53は、記録ヘッド6が吐出可能な小サイズ、中サイズ、大サイズのインク滴に関する3種の値を読み出せるテーブルである。吐出量決定部302では、この配分情報テーブル53から読み出した3種の値と他画素に関する誤差とに基づき、その画素の記録に最も適したインク滴サイズが決定される。
次いで、吐出量最適化画像データは、2値化処理部303で2値化される。一般的な2値化法として、ディザ法、誤差拡散法、濃度パターン法などがあるが、本発明では2値化法は特に限定されない。
このようにして生成されたYMCK各色についてのインク用記録データは二分割され、その一方は反応液用データ生成手段32に転送され、他方は記録データ生成手段33に転送される。
反応液用データ生成手段32は、先ず、受信したYMCK各色インクのインク用記録データの論理和を演算(OR処理)して、図6(a)に示す如きインク用記録データ60を生成する。図6(a)中、正方形状のセルは、該記録データを構成する最小単位である画素(ピクセルともいう)を示し、斜線部は、各色インクのいずれかによるインクドットを示し、1〜8の数字は、記録ヘッドの主走査方向における記録位置を示し、A〜Hは副走査方向における記録位置を示す。尚、図6(a)では、説明の簡略のため、記録データの画素数は(8×8=)64個となっているが、実際には記録データの画素数はその解像度に対応しており、例えば解像度720dpi×720dpi(dot per inch)の記録データの場合、その画素数は1平方インチ当たり(720×720=)518400個である。
次に、反応液用データ生成手段32は、このインク用記録データ60に基づいて、単位領域毎にインクドットの有無を判定する。そして、判定の結果、単位領域にインクドットが存在する場合は、その単位領域における反応液ドットの記録デューティーを100%とし、且つそれらのドットサイズが均一に揃うようにデータ生成処理を行う。ここで、「記録デューティー」とは、記録データのある単位領域を構成する最小単位である画素の総数に対する該単位領域中のインクあるいは反応液のドット数を意味する。従って、反応液ドットの記録デューティーを100%にするということは、その単位領域を構成する各画素の全てに対して反応液ドットを形成することを意味する。
例えば、上記単位領域の大きさを2画素×2画素とした場合、先ず、インク用記録データ60のA1〜B2から構成される4画素の単位領域にはインクドットが1つ存在する(インクドットの記録デューティー25%)ので、該単位領域を構成する4画素全てに同じ大きさの反応液ドットを形成する。次に、A3〜B4から構成される4画素の単位領域にはインクドットが2つ存在する(インクドットの記録デューティー50%)ので、この単位領域についても4画素全てに同じ大きさの反応液ドットを形成する。次に、A5〜B6及びA7〜B8からそれぞれ構成される各4画素の2つの単位領域にはインクドットが存在しない(インクドットの記録デューティー0%)ので、これらの単位領域には反応液ドットは形成しない。尚、単位領域の大きさは2画素×2画素に限定されず、任意に設定することができる。
以上のような処理をインク用記録データ60の全画素について行うことで、図6(b)に示す如き反応液用記録データ70が生成される。図6(b)中、白丸は、反応液ドットを示す。
尚、本実施形態では、プリンタドライバの作業負担を軽減し、印刷速度の低下を防止する観点から、インク用記録データ60と反応液用記録データ70とで解像度を同じに設定している。しかし、印刷速度よりも画質が重要視される場合は、反応液記録用データの解像度をインク用記録データの解像度よりも高くした方が好ましい。例えば、インク用記録データが720dpi×720dpiであるのに対し、反応液用記録データを1440dpi×1440dpiとするのである。このようにすることで、記録媒体上における反応液ドットの分布の均一性が増し、ブリード防止効果、画質の一層の向上が期待できる。
上記反応液ドットの大きさは、特に限定されるものではないが、少なくともインクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成することが好ましい。例えば、画像記録に使用する反応液吐出用ヘッドが、大、中、小3種類のドットサイズの形成が可能である場合、高画像濃度領域には小サイズの反応液ドットを形成するのである。このようにすることで、インクや反応液の溢れを効果的に防止することが可能になる。即ち、ただでさえインクの付与量が多い高画像濃度領域に対し、上記のようにさらに多量の反応液を付与すると、例えば普通紙のようなインク吸収能に乏しい記録媒体を使用している場合には、該記録媒体上にインクや反応液が溢れ出すおそれがあるが、反応液ドットを出来る限り小さくすることでこのような問題を解消することが可能となり、インクジェット専用紙のみならず普通紙にも本発明をより一層好適に適用することができるようになる。尚、高画像濃度領域のみならず、他の記録領域に対しても、高画像濃度領域と同様に反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成してもよい。
また、インクや反応液の溢れを一層確実に防止する観点から、上記の「反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドット」は、使用する記録媒体の反応液(インク)吸収量の上限(付与された反応液又はインクを溢れ出さずに吸収できる量の上限)をDmg/inch2、反応液用記録データの解像度をx dpi×y dpi(画素数xy)とした場合、D/xy(単位mg)以下の液滴量で形成されることが好ましい。
上記のように最小サイズの反応液ドットを形成すべき高画像濃度領域であるか否かを決定する上記基準値(当該領域におけるインクの記録デューティー)は、使用するインクや反応液、記録媒体の種類などによって変わってくるが、好ましくは15〜80%の範囲内から選択することが望ましい。本実施形態ではこの基準値が25%に設定されているところ、図6(a)において2画素×2画素の単位領域内にインクドットが1つ形成されていればインクの記録デューティーは25%であり、図6(a)に示した単位領域は全て該記録デューティーが25%以上であるので、図6(b)に示した反応液ドットは全て、反応液吐出用ヘッド6R1及び6R2が形成し得る最小サイズのドットとなっている。
以上のようにして反応液用データ生成手段32で生成された反応液用記録データは、記録データ生成手段33へ転送される。記録データ生成手段33は、この反応液用記録データ、及びインク用データ生成手段31から直接転送されてきたインク用記録データに対して、各ヘッド6R1、6R2、6Y、6K、6M、6Cの駆動波形の駆動電圧を最適化する処理を施す。これにより、インクジェット記録装置1での処理に適した記録データが生成される。この記録データは、入出力バッファ34を介してインクジェット記録装置1に転送される。
尚、上述の図3及び図4に示したホスト装置30の制御構成は、CPUを中心とした制御プロセッサで実現される。この制御プロセッサにはROMやRAMが備えられる。ROMには、CPUによる上述した一連の制御手順の実行に必要な固定情報が記憶させてあり、CPUは、この固定情報を適宜使用することにより、色変換処理、吐出量決定処理、2値化処理、反応液用記録データ生成処理などの上述した各種処理を行うことができる。RAMは、CPUが各種処理を実行するためのワークエリアとして使用されたり、各構成要素の制御のための一時記憶として使用される。
インクジェット記録装置1に転送されてきた記録データは、記録媒体の種別を示す情報その他の各種指示情報等と共に、入出力バッファ15に一時的に格納される。一方、入出力バッファ15からは、記録データの転送確認データの他、インクジェット記録装置1の動作状態を示すデータなどがホスト装置30に転送される。入出力バッファ15に格納された記録データは、制御部16によって読み出され、その内部で展開される。
制御部16は、インクジェット記録装置1の各種構成要素を制御するもので、CPUを中心としてROMやRAMなどから構成される。キャリッジドライバ17は、制御部16からの信号に基づいてキャリッジモータ7を駆動させることで、キャリッジ5をX1又はX2方向に走査させる。ヘッドドライバ18は、制御部16からの信号に基づいて記録ヘッド6を構成する6つの各ヘッドのエネルギー発生手段(圧電素子)に駆動電圧を印加して、ノズルNzからインクあるいは反応液の液滴を吐出させる記録動作を実行する。
尚、本発明においては、インク及び反応液の吐出順序は特に限定されず、反応液を先に吐出させてもよいし、インクを先に吐出させても構わないが、ブリードをより減少させる観点から、少なくとも記録媒体上のインクドットが形成される領域内においては、インクドットを形成する前に反応液ドットを形成することが好ましい。このような吐出順序の制御は、インクジェット記録装置1内部の制御部16を介して行うことができる。
以下、本発明に係るインク及び反応液について説明する。
本発明に係るインクとしては、インクジェット記録で使用可能な水性インクであればよく、特に制限されないが、反応液による画質向上効果を最大限に発揮させる観点から、水性顔料インクが好ましい。一般に、インクジェット記録用の水性顔料インクには、顔料(色材)及び水の他に、印字品質の向上や乾燥防止などのために、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの界面活性剤や、グリコール類、グリコールエーテル類などの各種有機溶剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤などが含有される。顔料の含有量は、通常、水性インクに対して0.5〜30重量%程度である。
上記顔料(色材)としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどの無機系顔料;アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機系顔料などが挙げられる。有機系顔料としては、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルー等の有彩色の色調の従来公知の有機系顔料を何ら区別することなく用いることができる。また、これら有彩色の有機系顔料は、複数混合して用いてもよい。
上記顔料は、水溶性樹脂等の分散剤が無添加あるいはごく少量添加の水性媒体中に分散及び/又は溶解が可能ないわゆる自己分散型顔料(表面改質顔料などとも呼ばれる)でもよく、自己分散型ではない顔料(樹脂分散型顔料)でもよい。自己分散型顔料は、顔料粒子表面にアニオン性基が結合されているものが好ましい。このアニオン性基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2(各式中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす)等が挙げられる。一方、樹脂分散型顔料を使用する場合は、該樹脂分散型顔料と共に、分散剤として、高級脂肪酸塩や高級アルコール硫酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、あるいはポリアクリル酸塩などのアニオン性高分子等のアニオン性基含有物質を併用することが好ましい。アニオン性基を持たない分散剤を使用する場合は、インク中にアニオン性化合物を含有させることが好ましい。勿論、分散剤としてアニオン性基含有物質を使用し、さらにこれ以外のアニオン性化合物を含有させてもよい。
また、本発明に係る反応液は、インクを凝集させる性質(インク凝集能)を有しており、このインク凝集能は凝集剤により発現される。凝集剤としては、インク中の色材や分散剤などの樹脂成分に含まれるアニオン性基とイオン的相互作用により瞬時に会合体を形成し得る水溶性物質が好ましく、例えば、多価金属塩、カチオン性基をもつ高分子化合物、オリゴマー類や界面活性剤等が用いられる。なかでも、ヘッドからの吐出安定性の点で、多価金属塩が好ましく、特に、硫酸マグネシウム(MgSO4)は、得られる記録物の品質、記録ヘッドに対する影響(腐食性)、安全性(毒性)、コストという4つの観点から、本発明で好ましく用いられる。
上記凝集剤(多価金属塩)の含有量は、所定の効果が得られるように適宜調整すればよく、好ましくは上記反応液に対して0.5〜20重量%である。多価金属塩の含有量が0.5重量%未満では、画像濃度などの画質面での改善効果に乏しく、20重量%超では、保存安定性や吐出安定性の低下、記録ヘッドの構成部品の腐食などを招くおそれがある。
上記反応液には、印字品質の向上、乾燥防止などを目的として、必要に応じ、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの界面活性剤や、グリコール類、グリコールエーテル類などの各種有機溶剤、トリエタノールアミン等のpH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤などを適宜含有させることができる。
上述したインク及び反応液は、記録媒体への適度な濡れ性及び吐出安定性の2つの観点から、それぞれ、表面張力20〜45mN/m、pH6.5〜10、液温20℃における粘度2〜10mPa・sであることが好ましい。これらの物性値の調整は、上記の各成分の種類、含有量などを調整することで行うことができる。
本発明においては、記録媒体としては、シリカなどの多孔質粒子を主体とするインク受容層を有する公知のインクジェット専用紙は勿論のこと、インクジェット記録方式に適合した特性が付与されていない普通紙も好適に使用することができる。本発明に使用可能な普通紙としては、例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、ボンド紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙(レジンコート紙)、バライタ紙、板紙、和紙、不織布や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム等が挙げられる。本発明は、インク吸収性に乏しいこれら普通紙に対しても、ドットの形成位置、形状、大きさなどに乱れを生じさせずに、良好な画質を実現することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、上記実施形態のように、インクジェット記録装置に接続されたホスト装置のコンピュータ(CPUやMPU)が、本発明のプリンタドライバのプログラムコードを読み出して実行する場合だけでなく、インクジェット記録装置に内蔵されたコンピュータが該プログラムコードを読み出して実行することによっても実施できる。この実施態様に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図を図7に示す。図7に示すインクジェット記録装置1’は、入出力バッファ15を介して入力画像データを直接受信し、この入力画像データに基づいて制御部16で上記実施形態と同様の手順で記録データを生成する点以外は、上記実施形態に係るインクジェット記録装置1と同様に構成されている。制御部16のデータ生成手段は、上記のインク用データ生成手段31、反応液用データ生成手段32及び記録データ生成手段33の各機能を備えたもので、その実体はCPUを中心とした制御プロセッサである。このような構成のインクジェット記録装置も本発明に含まれる。
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現される場合のみならず、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言う迄もない。
また、本発明のプリンタドライバは、インクジェット記録装置に接続又は内蔵されたコンピュータを、入力画像データからインク用記録データを生成し、生成された該インク用記録データに基づいて反応液用記録データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段は、上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットがドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成されるように該反応液用記録データを生成する装置、として動作させるものであればよく、例えば図3及び図4に示した制御構成に対応するプログラムコードから構成することができる。具体的には、RGB入力画像データをYMCK入力画像データに変換する色変換モジュール、吐出量を決定する吐出量決定モジュール、2値化処理を行う2値化処理モジュール、反応液用記録データを生成する反応液用記録データ生成モジュールなどから、本発明のプリンタドライバを構成することができる。このような要素から構成されるプリンタドライバは、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、CD−ROMなどの記憶媒体に格納された状態で、あるいはインターネット経由でダウンロードされることによりユーザーに提供される。ユーザーは、プリント作業を行う前に、提供されたプリンタドライバを記録システムあるいはインクジェット記録装置にインストールすればよい。
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言う迄もない。例えば、記録ヘッドの構成、ノズルの配列パターン、使用するインクの種類や数などは適宜変更可能である。記録ヘッドは、上記実施形態のような電気−機械変換方式のものに限定されず、電極などの静電気力発生手段を利用したものでも良く、ヒータなどの電気−熱変換素子を利用したもの(電気−熱変換方式)でもよい。後者の電気−熱変換方式は、電気−熱変換素子により液体中に気体(バブル)を発生させ、この力で該液体を吐出させるインク吐出方式であり、この方式の記録ヘッドとしては、例えば、キャノン社製のバブルジェット(登録商標)ヘッドが挙げられる。
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
〔反応液の調製〕
下記の各成分を混合し、常温で30分攪拌した後、5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、下記組成の反応液を調製した。
反応液の組成
・硫酸マグネシウム六水和物(MgSO4・6H2O) 8重量%
・グリセリン(保湿剤) 15重量%
・トリエチレングリコール(保湿剤) 2重量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(浸透溶媒) 2重量%
・1,2−ヘキサンジオール(浸透溶媒) 2重量%
・ピロリジノン(浸透溶媒) 1重量%
・BYK348(界面活性剤、ビックケミージャパン製) 0.01重量%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学製) 0.05重量%
・トリエタノールアミン(pH調整剤) 0.01重量%
・ベンゾトリアゾール(腐食防止剤) 0.001重量%
・純水 バランス
計100重量%
下記の各成分を混合し、常温で30分攪拌した後、5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、下記組成の反応液を調製した。
反応液の組成
・硫酸マグネシウム六水和物(MgSO4・6H2O) 8重量%
・グリセリン(保湿剤) 15重量%
・トリエチレングリコール(保湿剤) 2重量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル(浸透溶媒) 2重量%
・1,2−ヘキサンジオール(浸透溶媒) 2重量%
・ピロリジノン(浸透溶媒) 1重量%
・BYK348(界面活性剤、ビックケミージャパン製) 0.01重量%
・オルフィンE1010(界面活性剤、日信化学製) 0.05重量%
・トリエタノールアミン(pH調整剤) 0.01重量%
・ベンゾトリアゾール(腐食防止剤) 0.001重量%
・純水 バランス
計100重量%
〔実施例〕
ピエゾ駆動型のマルチヘッドタイプの記録ヘッドを搭載した、市販の水性顔料インク対応のインクジェットプリンタ(PX−10000、セイコーエプソン製)において、その記録ヘッドにおける各ヘッドの配置を図2に示すような配置にし、その2つの反応液吐出用ヘッドに対応するインクカートリッジに、上記手順で調製した反応液を充填した。このインクジェットプリンタを用いて、普通紙(OKトップコートN、王子製紙製)に対して、反応液とYMCK各色インクを用いて、解像度720dpi×720dpiのカラー画像を記録した(インク用記録データ及び反応液用記録データ共に同解像度)。この画像記録動作においては、2画素×2画素からなる単位領域を設定し、単位領域内にインクドットが存在する場合には、該単位領域にドットサイズを均一にして記録デューティー100%で反応液ドットを形成した。また、その単位領域におけるインクの記録デューティーが25%以上の場合は、上記PX−10000が形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成するようにした。また、記録ヘッドによるある走査(パス)で反応液ドットを形成した後、次のパスでインクドットを形成するように吐出順序を制御し、先行する反応液ドット形成の1パス後にインクドットを形成するようにした。図8に、本実施例の記録結果の一部を示す。図8中、白丸は反応液ドットを表し、斜線部はインクドットを表す。
ピエゾ駆動型のマルチヘッドタイプの記録ヘッドを搭載した、市販の水性顔料インク対応のインクジェットプリンタ(PX−10000、セイコーエプソン製)において、その記録ヘッドにおける各ヘッドの配置を図2に示すような配置にし、その2つの反応液吐出用ヘッドに対応するインクカートリッジに、上記手順で調製した反応液を充填した。このインクジェットプリンタを用いて、普通紙(OKトップコートN、王子製紙製)に対して、反応液とYMCK各色インクを用いて、解像度720dpi×720dpiのカラー画像を記録した(インク用記録データ及び反応液用記録データ共に同解像度)。この画像記録動作においては、2画素×2画素からなる単位領域を設定し、単位領域内にインクドットが存在する場合には、該単位領域にドットサイズを均一にして記録デューティー100%で反応液ドットを形成した。また、その単位領域におけるインクの記録デューティーが25%以上の場合は、上記PX−10000が形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成するようにした。また、記録ヘッドによるある走査(パス)で反応液ドットを形成した後、次のパスでインクドットを形成するように吐出順序を制御し、先行する反応液ドット形成の1パス後にインクドットを形成するようにした。図8に、本実施例の記録結果の一部を示す。図8中、白丸は反応液ドットを表し、斜線部はインクドットを表す。
〔比較例〕
上記実施例と同一のインクジェットプリンタに上記実施例と同一のインク及び反応液を充填したが、反応液とYMCK各色インクとは同一サイズのドットを使用し、且つインクを付着させる位置に反応液を重ねて付着させることとした。但し、2画素×2画素からなる単位領域において、インク及び反応液の付着量が記録媒体のインク吸収量の上限を超える場合は、反応液ドットを適宜間引くようにした。即ち、単位領域中に存在するインクドットが2個以下の場合は、該単位領域中で反応液ドットとインクドットとが重なるようにし、該インクドットが3個以上の場合は、当該単位領域中で反応液ドットを1個だけ形成するようにした。図9に、本比較例の記録結果の一部を示す。図9中、左上がり斜線部は同一サイズの反応液ドットとインクドットとが重なった状態を表し、右上がり斜線部はインクドットを表す。
上記実施例と同一のインクジェットプリンタに上記実施例と同一のインク及び反応液を充填したが、反応液とYMCK各色インクとは同一サイズのドットを使用し、且つインクを付着させる位置に反応液を重ねて付着させることとした。但し、2画素×2画素からなる単位領域において、インク及び反応液の付着量が記録媒体のインク吸収量の上限を超える場合は、反応液ドットを適宜間引くようにした。即ち、単位領域中に存在するインクドットが2個以下の場合は、該単位領域中で反応液ドットとインクドットとが重なるようにし、該インクドットが3個以上の場合は、当該単位領域中で反応液ドットを1個だけ形成するようにした。図9に、本比較例の記録結果の一部を示す。図9中、左上がり斜線部は同一サイズの反応液ドットとインクドットとが重なった状態を表し、右上がり斜線部はインクドットを表す。
上記実施例及び上記比較例で得られた記録画像を目視で観察したところ、実施例の記録画像は、画像濃度が高く発色性に優れると共に、画像の輪郭が明確で、ブリードが効果的に抑制されていた。これに対し、比較例の記録画像は、発色性は良好であるものの、実施例に比して画像の輪郭が不明確で、ブリードが目立った。
1…インクジェット記録装置、2…紙送りローラ、3…用紙スタッカ、4…プラテン、5…キャリッジ、6…記録ヘッド、6Y,6K,6M,6C…インク吐出用ヘッド、6R1,6R2…反応液吐出用ヘッド、7…キャリッジモータ、8…タイミングベルト、9…ガイドレール、10…インクカートリッジ、11…キャッピング装置、30…ホスト装置、50…記録システム、Nz…ノズル、M…記録媒体
Claims (10)
- インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、インク用記録データ及び反応液用記録データに基づいて記録媒体上にインクドット及び反応液ドットを形成することで画像を記録するインクジェット記録方法において、
上記記録媒体上の上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットを、ドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 上記領域のうち、少なくとも上記インクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
- 上記インク用記録データ及び上記反応液用記録データの解像度が同じであることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
- 上記反応液用記録データの方が上記インク用記録データよりも解像度が高いことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
- 上記領域内で上記インクドットを形成する前に上記反応液ドットを形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 上記インクが少なくとも色材として顔料を含む水性インクであり、上記反応液が少なくとも水溶性多価金属塩及び水を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体上にインクドット及び反応液ドットを形成することで画像を記録するインクジェット記録装置に接続又は内蔵されたコンピュータを、
入力画像データからインク用記録データを生成し、生成された該インク用記録データに基づいて反応液用記録データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段は、上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットがドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成されるように該反応液用記録データを生成する装置、
として動作させることを特徴とするプリンタドライバ。 - 上記データ生成手段は、上記領域のうち、少なくとも上記インクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成するように上記反応液用記録データを生成することを特徴とする請求項7記載のプリンタドライバ。
- インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体上にインクドット及び反応液ドットを形成することで画像を記録するインクジェット記録装置において、
入力画像データからインク用記録データを生成し、生成された該インク用記録データに基づいて反応液用記録データを生成するデータ生成手段を備え、該データ生成手段は、上記インクドットが形成される領域に対し、上記反応液ドットがドットサイズを均一にして記録デューティー100%で形成されるように該反応液用記録データを生成することを特徴とするインクジェット記録装置。 - 上記データ生成手段は、上記領域のうち、少なくとも上記インクドットの記録デューティーが所定の基準値以上となる高画像濃度領域に対しては、上記反応液吐出用ヘッドが形成し得る最小サイズの反応液ドットを形成するように上記反応液用記録データを生成することを特徴とする請求項9記載のインクジェット記録装置。
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-
2004
- 2004-02-13 JP JP2004036753A patent/JP2005225114A/ja not_active Withdrawn
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