JP2011189711A - 処理液、インクセット及び画像形成方法 - Google Patents

処理液、インクセット及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性、及び画像形成後のインクジェット記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能で、かつ、塗布性に優れる処理液を提供する。
【解決手段】有機酸性化合物及び無機酸性化合物から選択される少なくとも1種の酸性化合物と、含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含有し、25℃におけるpHが0.5〜2.0であって、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含むインク組成物中の分散粒子を凝集させる処理液。
【選択図】なし

Description

本発明は、処理液、インクセット及び画像形成方法に関する。
インクジェット記録用の被記録媒体としては、様々な記録媒体が検討されており、高品位の画像を形成し得る技術が求められている。また、インクにおいても、耐水性や耐光性等の観点から、種々のインク材料が検討されている。
例えば、インク材料の含有成分の1つである着色剤には、顔料が広く用いられており、顔料は水等の媒質中に分散されて用いられる。顔料を分散させて用いる場合、分散させたときの分散粒径や分散後の安定性、サイズ均一性等や、吐出ヘッドからの吐出性などが重要であり、これらを向上させる技術の検討が種々行なわれている。
その一方で、普通紙などに記録を行なうにあたって、発色濃度以外にも、定着性(例えば擦過耐性)、解像度、光沢ムラなどにおいて、充分な性能が得られていない場合がある。特に、インクジェット記録を高速化する場合が挙げられ、シャトルスキャン方式ではなく、1回のヘッド操作で記録可能なシングルパス方式で高速記録する場合の記録適性が求められるようになってきている。
上記に関連する技術として、記録媒体上に、表面張力と粘度の比が特定の値であって、インクと接触したときに凝集物を生じさせる液体組成物と、表面張力と粘度の比が特定の値であるインクとを用いるインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、良好な印刷品質が実現でき、保存安定性及び吐出安定性に優れるとして、多価金属塩と、アンモニアと、ベンゾトリアゾール又はベンゾトリアゾール誘導体を含む、インク組成物を凝集させる反応液が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、ヘッド部分を腐食させることなく、高品位の画像を形成できるとして、樹脂微粒子及びベンゾトリアゾールを含む、インク組成物を凝集させる処理液が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−10833号公報 特開2001−1627号公報 特開2003−341218号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録方法では、インクの凝集性が不十分であり、また、ドット径安定性、画像の耐傷性についても不十分であった。また、特許文献2、3に記載の処理液等は、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性及び記録媒体の搬送性及び、処理液の塗布性の点で、十分とは言えなかった。
本発明は、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性及び記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能で、かつ、塗布性に優れる処理液を提供することを課題とする。
また、本発明は、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性及び記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能で、かつ、塗布性に優れる処理液と、インク組成物とを含むインクセットを提供することを課題とする。
更に、本発明は、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性及び記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能な画像形成方法を提供することを課題とする。
<1> 有機酸性化合物及び無機酸性化合物から選択される少なくとも1種の酸性化合物と、含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含有し、25℃におけるpHが0.5〜2.0であって、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含むインク組成物中の分散粒子を凝集させる処理液。
<2> 前記有機酸性化合物が有機カルボン酸である<1>に記載の処理液。
<3> 前記有機酸性化合物と前記無機酸性化合物とを10:1〜1:10のモル比で含有する<1>又は<2>に記載の処理液。
<4> 前記有機カルボン酸が2価以上のカルボン酸である<2>又は<3>に記載の処理液。
<5> 前記酸性化合物を少なくとも2種含むと共に、前記酸性化合物の少なくとも1種は、カルシウム塩としたときの水100gへの溶解度(25℃)が0.1g以下であって、かつ、該酸性化合物の全酸性化合物質量に対する割合が1〜70質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の処理液。
<6> 前記pHが0.5〜1.5である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の処理液。
<7> 含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選ばれる少なくとも1種がベンゾトリアゾールである<1>〜<6>のいずれか1項に記載の処理液。
<8> 更に、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含有するインク組成物と、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の処理液と、を含むインクセット。
<9> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、インク組成物を記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有する画像形成方法。
<10> 前記処理液付与工程は前記処理液の付与をローラー塗布により行う<9>に記載の画像形成方法。
<11> 前記処理液付与工程後に、前記インク付与工程を有する<9>又は<10>に記載の画像形成方法。
本発明によれば、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性及び記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能で、かつ、塗布性に優れる処理液を提供することができる。
また、本発明によれば、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性及び記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能で、かつ、塗布性に優れる処理液と、インク組成物とを含むインクセットを提供することができる。
更に、本発明によれば、長期的に継続する画像形成において、耐傷性、ドット径安定性、及び記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能な画像形成方法を提供することができる。
≪処理液≫
本発明の処理液は、有機酸性化合物及び無機酸性化合物から選択される少なくとも1種の酸性化合物(以下、単に「酸性化合物」ともいう。)と、含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「本発明の化合物」ともいう。)と、を含有し、25℃におけるpHが0.5〜2.0であって、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含むインク組成物中の分散粒子を凝集させる特徴を有する。
かかる構成の処理液を用いることで、長期的に継続する画像形成において、
塗布性に優れる処理液とすることができ、かつ、耐傷性、ドット径安定性及びインクジェット記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能となる。
(酸性化合物)
本発明の処理液は、有機酸性化合物及び無機酸性化合物から選択される少なくとも1種の酸性化合物を含有する。
酸性化合物を含有することにより、インク組成物の凝集は進み、処理液の塗布面状の向上、作成された画像に発生するキズ発生の抑制、ドット均質性(特に、二次色ドット)、及び光沢ムラの抑制を抑制することができ、特に、処理液の塗布面状の向上、作成された画像に発生するキズ発生の抑制、ドット均質性(特に、二次色ドット)において顕著な効果を示す。
前記酸性化合物は、有機酸性化合物及び無機酸性化合物から選択されるが特に限定されることなく用いることができるが、中でも、凝集速度、キズ発生の抑制の観点から、有機酸性化合物を用いることが好ましい。
−有機酸性化合物−
有機酸性化合物はインク組成物を凝集させることができる。
前記有機酸性化合物としては、少なくとも1種の酸性基を有する有機化合物であれば特に制限はない。前記酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、およびカルボキシル基等を挙げることができる。本発明において酸性基は、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸基またはカルボキシル基であることが好ましく、カルボキシル基であることがより好ましい。
カルボキシル基を有する有機化合物(有機カルボン酸)としては、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸(好ましくは、DLリンゴ酸)、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、フタル酸、4−メチルフタル酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ピリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩(例えば多価金属塩)等の中から選ばれることが好ましい。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明における有機カルボン酸としては、インク組成物の凝集速度の観点から、2価以上のカルボン酸(以下、多価カルボン酸ともいう。)であることが好ましく、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、酒石酸、4−メチルフタル酸、およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、およびクエン酸から選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
−無機酸性化合物−
本発明における無機酸性化合物は、リン酸、硝酸、硫酸などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
上記無機酸性化合物の中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、リン酸が最も好ましい。
前記処理液における酸性化合物は有機酸性化合物のみであっても、無機酸性化合物のみであっても、更に、有機酸性化合物と無機酸性化合物の混合したものであっても、何れであってもよいが、中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、有機酸性化合物の2種以上、有機酸性化合物と無機酸性化合物の各1種以上、有機酸性化合物の1種が好ましく、酸性化合物の2種以上含有することがより好ましく、有機酸性化合物と無機酸性化合物の各1種以上を用いることが特に好ましい態様である。特に、2次色以上のインクの凝集に対して、ドットの重なり方向に対して酸性化合物が効率よく拡散する必要があるが、凝集性が強すぎると拡散する前に反応してしまう。凝集性と拡散性を最適化するため、2種以上の酸性化合物を併用することが好ましく、有機酸性化合物と無機酸性化合物の各1種以上を用いることが特に好ましい。
酸性化合物合計の含有率は、特に制限はないが、インク組成物の凝集速度の観点から、5〜35質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
本発明において、有機酸性化合物と無機酸性化合物とを併用する場合の含有比(モル比)としては、凝集速度、耐傷性、ドット径安定性、インクジェット記録媒体の搬送性の観点から、10:1〜1:10のモル比で含有することが好ましく、7:1〜1:7がより好ましく、5:1〜1:5が特に好ましい。
上記の中でも、前記酸性化合物を少なくとも2種含み、前記2種の酸性化合物の少なくとも1種はカルシウム塩としたときの水への溶解度(25℃)が0.1g/100g以下であって、全酸性化合物質量に対する割合が1〜70質量%であり、前記酸性化合物の他の少なくとも1種は、2価以上の多価カルボン酸である態様が好ましい態様である。
更に、画像部に発生する光沢ムラの発生を抑制する観点から、カルシウム塩の水への溶解度(25℃、g/水100g)が0.1以下の酸性化合物を全酸性化合物の1〜70質量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜50質量%である。
カルシウム塩の水への溶解度が0.1以下である酸性化合物を含有することがより好ましい。
1質量%未満であると光沢ムラの発生抑制効果が小さくなり、比率が70質量%を超えると、ドット均一性の観点から好ましくない。
本発明において、溶解度は、水100gに対して、25℃で溶解する酸性化合物の重量(g)である。カルシウム塩の水への溶解度が0.1g/100g以下の酸性化合物として以下のものが挙げられる。リン酸カルシウムの溶解度は0.0018、酒石酸カルシウムの溶解度は0.0023、クエン酸カルシウムの溶解度は0.085。この中で、酒石酸、リン酸が好ましく、リン酸が最も好ましい。
それ以外の有機酸カルシウムの溶解度として、マロン酸カルシウムの溶解度は0.35、DLリンゴ酸カルシウムの溶解度は0.92などが挙げられる。
(含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物)
本発明の処理液は、含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、本発明の化合物ともいう。)を含有して構成され、耐擦性、記録媒体の搬送性の観点から、含窒素ヘテロ環化合物を含有することが好ましい。
−含窒素ヘテロ環化合物−
含窒素ヘテロ環化合物の好ましい例は、含窒素5員環又は6員環構造が好ましく、中でも含窒素5員環が好ましい。
前記含窒素5員環又は6員環構造の中でも、好ましくは炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子及びセレン原子の少なくとも一種の原子から構成される5又は6員のヘテロ環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。尚、このヘテロ環は炭素芳香環または複素芳香環で縮合していてもよい。
ヘテロ環としては、例えばテトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環等があげられる。
これらの環は、置換基を有してもよく、置換基は、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)、メルカプト基、シアノ基、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、シアノエチルの各基)、アリール基(例えばフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジクロルフェニル、ナフチルの各基)、アルケニル基(例えばアリル基)、アラルキル基(例えばベンジル、4−メチルベンジル、フェネチルの各基)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル、p−トルエンスルホニルの各基)、カルバモイル基(例えば無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイルの各基)、スルファモイル基(例えば無置換スルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルの各基)、カルボンアミド基(例えばアセトアミド、ベンズアミドの各基)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドの各基)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシの各基)、スルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、ウレイド基(例えば無置換ウレイド、メチルウレイド、エチルウレイド、フェニルウレイドの各基)、アシル基(例えばアセチル、ベンゾイルの各基)、オキシカルボニル基(例えばメチキシカルボニル、フェノキシカルボニルの各基)、オキシカルボニルアミノ基(例えばメトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノの各基)、ヒドロキシル基などで置換されていてもよい。置換基は、一つの環に複数置換してもよい。
好ましい含窒素ヘテロ環化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
即ち、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾインダゾール、ベンゾトリアゾール、テトラゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピリジン、キノリン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、キノキサリン、モルホリンなどが挙げられ、これらは、上記記載のアルキル基、カルボキシル基、スルホ基、などの置換基を有してよい。
好ましい含窒素6員環化合物としては、トリアジン環、ピリミジン環、ピリジン環、ピロリン環、ピペリジン環、ピリダジン環、ピラジン環を有する化合物であり、中でもトリアジン環、ピリミジン環を有する化合物が好ましい。これらの含窒素6員環化合物は置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のアルキル基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
好ましい含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン環、ピリミジン、4−メチルピリミジン、ピリジン、ピロリンがあげられる。
−有機メルカプト化合物−
本発明における有機メルカプト化合物としては、アルキルメルカプト化合物や、アリールメルカプト化合物、ヘテロ環メルカプト化合物などが挙げられる。
アルキルメルカプト化合物としては、システインやチオリンゴ酸などが挙げられ、アリールメルカプト化合物としては、チオサリチル酸などが挙げられ、ヘテロ環メルカプト化合物としては、2−フェニル−1−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトピリミジン、2,4−ジメルカプトピリミジン、2−メルカプトピリジンなどが挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、などの置換基を有してよい。
上記の中でも、本発明の化合物としては、長期的に継続する画像形成におけるドット径安定性、画像形成後の搬送性の観点から、ベンゾトリアゾール、5−メチルベンゾトリアゾール、5−アミノベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、テトラゾール、5−アミノテトラゾール、5−メチルテトラゾール、5−フェニルテトラゾールが特に好ましく、ベンゾトリアゾールが最も好ましい。
本発明の化合物は単独あるいは複数種併用して用いることができる。
本発明の化合物の添加量は、特に限定されないが、好ましい添加量は、1リットル中、0.0001〜1.0molの濃度、好ましくは0.001〜0.5molの濃度、より好ましくは0.005〜0.5molの濃度、さらに好ましくは0.01〜0.5molの濃度、特に好ましくは0.01〜0.3molの濃度、最も好ましくは0.05〜0.3molの濃度である。0.0001mol以上の添加量であると本発明の効果が見られなくなることが無くなり、1.0mol以下とすると溶解し切れず析出が発生したりすることが無くなり好ましい。
−水溶性有機溶剤−
本発明の処理液は、水溶性有機溶剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。前記酸性化合物に対する水溶性有機溶剤の含有率は質量基準で0.15〜0.70であるが、0.20〜0.60であることが好ましく、0.25〜0.50であることがよりに好ましい。
有機酸性化合物に対する水溶性有機溶剤の含有率が前記範囲内であることで、ドット径安定性、耐傷性が良好になる。また処理液を塗布で付与する場合に、処理液の塗布性が良好になり、均一な塗布面状を得ることができる。
本発明における水溶性有機溶剤としては、20℃で100gの水に5g以上溶解する有機溶剤であれば特に制限はない。具体的には、後述するインク組成物が含むことができる水溶性有機溶剤を、処理液においても同様に用いることができる。中でも、カール抑制の観点から、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体であることが好ましく、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
水溶性有機溶剤の処理液における含有率としては、酸性化合物に対する含有率が前記範囲内である限り特に制限はされないが、塗布性、ドット径安定性、耐傷性、の観点から、処理液全体に対して3〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
本発明の処理液は水溶性有機溶剤として、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体を、前記有機酸性化合物に対する含有率が0.15〜0.70であって、処理液全体に対して3〜20質量%含むことが好ましく、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体を、前記有機酸性化合物に対する含有率が0.20〜0.60であって、処理液全体に対して5〜15質量%含むことがより好ましい。
前記構成であることによりドット径安定性、耐傷性がより効果的に向上する。
−その他の添加剤−
本発明の処理液は、酸性化合物、本発明の化合物、および水溶性有機溶剤に加えて、その他の添加剤を含んで構成することができる。処理液におけるその他の添加剤としては、後述するインク組成物におけるその他の添加剤と同様である。
−界面活性剤−
本発明の処理液は、界面活性剤の少なくとも1種を含んでもよい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いることができる。表面張力調整剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
中でも、インク組成物の凝集速度の観点から、ノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤であることが好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられる。
前記処理液における界面活性剤の添加量としては特に制限はないが、処理液の表面張力が30mN/m以上となるような添加量であることが好ましく、35〜60mN/mとなるような添加量であることがより好ましく、40〜50mN/mとなるような添加量であることがさらに好ましい。
本発明の処理液は、25℃における表面張力が30mN/m以上であるが、35〜60mN/mであることが好ましく、40〜50mN/mであることがより好ましい。処理液の表面張力が前記範囲内であることにより、記録媒体におけるカールの発生をより効果的に抑制することができる。
処理液の表面張力は、例えば、界面活性剤を添加することで調整することができる。また処理液の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP-Z(協和界面科学株式会社製)を用い、プレート法により25℃の条件下で測定されるものである。
また本発明の処理液は、インク組成物の凝集速度の観点から、pH(25℃±1℃)が0.5〜2.0である。
処理液のpHが0.5未満であるとインク組成物の凝集速度が速すぎて、1次色と2次色のドット径均一性が悪化し、また、耐擦性が悪化する。また、2.0を超えると凝集速度が遅すぎて、ドットの合一が発生し粒状性が悪化する。
上記pHは特に0.5〜1.5が好ましい。
また処理液の粘度としては、インク組成物の凝集速度の観点から、0.5〜10mPa・sの範囲が好ましく、1〜5mPa・sの範囲がより好ましい。なお、粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃の条件下で測定されるものである。
本発明の処理液は、インク組成物の凝集速度、白地光沢、ドット径安定性、画像の耐傷性の観点から、有機酸性化合物として2価以上の多価カルボン酸を10〜35質量%含み、水溶性有機溶剤としてポリアルキレングリコールまたはその誘導体を有機酸性化合物に対する含有率で0.15〜0.70含むことが好ましく、有機酸性化合物として2価以上の多価カルボン酸を15〜30質量%含み、水溶性有機溶剤としてポリアルキレングリコールまたはその誘導体を有機酸性化合物に対する含有率で0.20〜0.60含むことがより好ましい。
≪インクセット≫
本発明のインクセットは、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含有するインク組成物と、本発明の処理液と、を含んで構成される。
本発明のインクセットは、前記インク組成物と本発明の処理液を含んで構成することにより、長期的に継続する画像形成において、耐傷性及びドット径安定性に優れ、かつ、画像形成後のインクジェット記録媒体の搬送性に優れた画像の形成が可能とすることができる。
(インク組成物)
本発明におけるインク組成物は、水、並びに色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含み、必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤およびその他の添加剤を含んで構成することができる。
本発明におけるインク組成物は水を含有するが、含有する水の量には特に制限はない。本発明において水の好ましい含有量は、10〜99質量%であり、より好ましくは30〜80質量%であり、更に好ましくは50〜70質量%である。
−色材−
本発明におけるインク組成物は、色材の少なくとも1種を含有する。前記色材は水不溶性色材であることが好ましい。水不溶性色材を含有することで、インク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
水不溶性色材とは、水に殆ど不溶であるか、又は難溶である色材をいい、具体的には、25℃の水に溶解する量が0.5質量%以下であることをいう。
水不溶性色材を構成する色材成分としては、公知の染料、顔料等を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、各種顔料、分散染料、油溶性染料、J会合体を形成する色素等を挙げることができ、顔料がより好ましい。
本発明においては、水不溶性の顔料自体、又は分散剤で表面処理された水不溶性の顔料を水不溶性色材として含有することができる。
前記顔料としては、その種類に特に制限はなく、従来公知の有機及び無機顔料を用いることができる。例えば、アゾレーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、ジケトピロロピロール顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、酸化チタン、酸化鉄系、カーボンブラック系等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても、水相に分散可能であればいずれも使用できる。更に、前記顔料を界面活性剤や高分子分散剤等で表面処理したものや、グラフトカーボン等も使用可能である。
これら顔料のうち、特に、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、カーボンブラック系顔料が好ましい。
本発明に用いられる有機顔料の具体的な例を以下に示す。
オレンジ又はイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・オレンジ31、C.I.ピグメント・オレンジ43、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー13、C.I.ピグメント・イエロー14、C.I.ピグメント・イエロー15、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー93、C.I.ピグメント・イエロー94、C.I.ピグメント・イエロー128、C.I.ピグメント・イエロー138、C.I.ピグメント・イエロー151、C.I.ピグメント・イエロー155、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が挙げられる。
マゼンタ又はレッド用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・レッド2、C.I.ピグメント・レッド3、C.I.ピグメント・レッド5、C.I.ピグメント・レッド6、C.I.ピグメント・レッド7、C.I.ピグメント・レッド15、C.I.ピグメント・レッド16、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド53:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド123、C.I.ピグメント・レッド139、C.I.ピグメント・レッド144、C.I.ピグメント・レッド149、C.I.ピグメント・レッド166、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド178、C.I.ピグメント・レッド222C.I.ピグメント・バイオレット19等が挙げられる。
グリーン又はシアン用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブルー15、C.I.ピグメント・ブルー15:2、C.I.ピグメント・ブルー15:3、C.I.ピグメント・ブルー15:4、C.I.ピグメント・ブルー16、C.I.ピグメント・ブルー60、C.I.ピグメント・グリーン7、米国特許4311775号明細書に記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
ブラック用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメント・ブラック1、C.I.ピグメント・ブラック6、C.I.ピグメント・ブラック7等が挙げられる。
〜分散剤〜
色材として顔料を含有する場合、分散剤によって水系溶媒に分散されていることが好ましい。分散剤としては、ポリマー分散剤でも低分子の界面活性剤型分散剤でもよい。また、ポリマー分散剤としては、水溶性の分散剤でも非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤(以下、「低分子分散剤」ということがある。)は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させることができる。ここでいう低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
前記低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
前記親水性基としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等を挙げることができる。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであれば特に制限はないが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基又はカルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの電荷を有するものであれば、特に制限はないが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンを含むカチオン性基であることがより好ましく、窒素を含むカチオン性基であることが更に好ましい。中でも、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
ノニオン性基は、マイナス又はプラスの電荷を有しないものであれば、特に制限はなく、例えば、ポリアルキレンオキシド、ポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
本発明においては、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、親水性基がアニオン性基であることが好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、そのpKaは3以上であることが好ましい。本発明における低分子分散剤のpKaは、テトラヒドロフラン−水=3:2(V/V)溶液に低分子分散剤1mmol/Lに溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。
理論上、低分子分散剤のpKaが3以上であれば、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点から、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
一方、前記疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等のいずれの構造を有するものであってもよいが、特に炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また、疎水性基は、1本鎖状構造、又は2本以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基が更に好ましい。
ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物を用いることができる。例えば、天然の親水性高分子化合物では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。
天然物を原料として化学修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。
また、合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、顔料の分散安定性と凝集性の観点から、カルボキシル基を含む高分子化合物が好ましく、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等のようなカルボキシル基を含む高分子化合物が特に好ましい。
ポリマー分散剤のうち非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
ポリマー分散剤の重量平均分子量としては、3,000〜200,000が好ましく、より好ましくは5,000〜100,000、更に好ましくは5,000〜80,000、特に好ましくは10,000〜60,000である。
また、顔料と分散剤との混合質量比(顔料:分散剤)としては、1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:2の範囲がより好ましく、更に好ましくは1:0.125〜1:1.5である。
着色材として染料を用いる場合には、染料を水不溶性の担体に保持したものを水不溶性色材として用いることができる。染料としては公知の染料を特に制限なく用いることができ、例えば、特開2001−115066号公報、特開2001−335714号公報、特開2002−249677号公報等に記載の染料を本発明においても好適に用いることができる。また、担体としては、水に不溶又は水に難溶であれば特に制限なく、無機材料、有機材料及びこれらの複合材料を用いることができる。具体的には、特開2001−181549号公報、特開2007−169418号公報等に記載の担体を本発明においても好適に用いることができる。
染料を保持した担体(水不溶性色材)は、分散剤を用いて水系分散物として用いることができる。分散剤としては上述した分散剤を好適に用いることができる。
色材は、画像の耐光性や品質などの観点から、顔料と分散剤とを含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことがより好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。中でも、水不溶性色材としては、凝集性、ひいてはインク定着性の観点から、色材(好ましくは顔料)が(好ましくはカルボキシル基を有する)ポリマー分散剤で被覆された水不溶性のものが好ましく、更には、顔料がアクリル系ポリマーで被覆された水不溶性のものが好ましい。アクリル系ポリマーとしては、例えば、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂等が好ましい。
更に、凝集性の観点から、後述するポリマー粒子(好ましくは自己分散性ポリマー粒子)の酸価に対して、ポリマー分散剤の酸価が大きいことが好ましい。
色材の平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。また、色材の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。また、単分散性の粒径分布を持つ色材を2種以上混合して使用してもよい。
なお、色材の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒子径を測定することにより求められるものである。
水不溶性色材のインク組成物中における含有量としては、画像濃度の観点から、インク組成物に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
水不溶性色材は、1種単独で又は2種以上を組合わせて使用してもよい。
−水溶性有機溶剤−
本発明におけるインク組成物は、水を溶媒として含むものであるが、水溶性有機溶媒の少なくとも1種を更に含有することが好ましい。水溶性有機溶剤を含有することで、乾燥防止、浸透促進を図ることができる。水溶性有機溶剤を乾燥防止剤として用いる場合、インク組成物をインクジェット法で吐出して画像記録する際に、インク吐出口でのインクの乾燥によって発生し得るノズルの目詰まりを効果的に防止することができる。
乾燥防止のためには、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。乾燥防止に好適な水溶性有機溶剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体等が挙げられる。
中でも、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの水溶性有機溶剤は、インク組成物中に10〜50質量%含有されることが好ましい。
また、浸透促進のためには、インク組成物を記録媒体により良く浸透させる観点から水溶性有機溶剤が好適に用いられる。浸透促進に好適な水溶性有機溶剤の具体的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらは、インク組成物中に5〜30質量%含有されることで良好な効果が得られる。また、これらの水溶性有機溶剤は、印字・画像の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で用いられるのが好ましい。
また、水溶性有機溶剤は、上記以外にも粘度の調整に用いることができる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶剤の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。
なお、水溶性有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
−界面活性剤−
本発明におけるインク組成物は、界面活性剤の少なくとも1種を含有することが好ましい。界面活性剤は、表面張力調整剤として用いられる。表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。本発明においては、凝集速度の観点から、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤であることが好ましく、アニオン性界面活性剤であることがより好ましい。
界面活性剤は、インクジェット法で良好に打滴するために、インク組成物の表面張力を25mN/m以上40mN/m未満に調整できる量を含有するのが好ましい。中でも、界面活性剤の含有量は、表面張力を27〜37mN/mに調整できる量が好ましい。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&ChemicaLs社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号公報の第(37)〜(38)頁、リサーチディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等も挙げられ、耐擦過性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
−ポリマー粒子−
本発明におけるインク組成物は、ポリマー粒子の少なくとも1種を含んで構成することができる。これにより形成される画像の耐傷性がより効果的に向上する。
本発明におけるポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
本発明におけるポリマー粒子としては、吐出安定性及び既述の色材(特に顔料)を用いた場合の液安定性(特に分散安定性)の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマー粒子がより好ましい。自己分散性ポリマー粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルション)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。
本発明における水不溶性ポリマーにおいては、インク組成物としたときの凝集速度と定着性の観点から、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となりうる水不溶性ポリマーであることが好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
また、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶媒を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶媒とから構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。
前記水不溶性ポリマーの主鎖骨格としては、特に制限は無く、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)を用いることができる。その中で、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
また、縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性の観点から、親水性の構成単位と芳香族基含有モノマーに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
本発明における親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価(mgKOH/g)が25〜100であるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、25〜80であることがより好ましく、30〜65であることが特に好ましい。
特に、酸価は、25以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100以下であると凝集性が向上する。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
また前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
本発明における芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、例えば、芳香族基含有モノマーに由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI検出器を用いて行なう。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100であって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95であって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
以下に、自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの具体例として、例示化合物B−01〜B−19を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
B−01:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(50/45/5)
B−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(30/35/29/6)
B−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(50/44/6)
B−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(30/55/10/5)
B−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/59/6)
B−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(10/50/35/5)
B−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(55/40/5)
B−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸 共重合体(45/47/8)
B−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(5/48/40/7)
B−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸 共重合体(35/30/30/5)
B−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸 共重合体(12/50/30/8)
B−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸 共重合体(93/2/5)
B−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(50/5/20/25)
B−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(62/35/3)
B−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/51/4)
B−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/49/6)
B−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/48/7)
B−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/47/8)
B−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸 共重合体(45/45/10)
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの製造方法としては特に制限はなく、例えば、重合性界面活性剤の存在下に、乳化重合を行い、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、上記親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、共重合させる方法を挙げることができる。前記重合法の中でも、凝集速度とインク組成物としたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶媒を用いた溶液重合法がより好ましい。
本発明における自己分散性ポリマー粒子は、凝集速度の観点から、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が20〜100であって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着が無く、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。本発明の自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアニン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、本発明の自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、100モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)の平均粒子径は、体積平均粒子径で10〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましく、特に好ましくは10〜50nmの範囲である。10nm以上の平均粒子径であることで製造適性が向上する。また、400nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)のインク組成物中における含有量としては、画像の光沢性などの観点から、インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
−その他の添加剤−
本発明におけるインク組成物は、上記成分以外にその他の添加剤を更に含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インク組成物を調製後に直接添加してもよく、インク組成物の調製時に添加してもよい。
前記紫外線吸収剤を含有することにより、画像の保存性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載のベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載のベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載の桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載のトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載の化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
前記褪色防止剤を含有することにより、画像の保存性を向上させることができる。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載の化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載の代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
前記防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
前記pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から、インク組成物のpHが6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
本発明におけるインク組成物の粘度は、インクジェット法で吐出する場合の吐出安定性、及び後述の処理液を用いた際の凝集速度の観点から、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用い、インク組成物を25℃の条件下で測定されるものである。
≪画像形成方法≫
本発明の画像形成方法は、本発明の処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、インク組成物を記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有して構成される。
(処理液付与工程)
処理液付与工程は、インク組成物と接触したときに凝集体を形成可能な本発明の処理液を記録媒体上に付与する工程であって、インク組成物と処理液とを接触させて画像化する構成とすることができる。この場合、処理液が例えば顔料粒子を含有するインク組成物と接触したときには、インク組成物中の顔料粒子を含む分散粒子が凝集し、記録媒体上に画像が固定化される。
処理液の詳細及び好ましい態様については、既述の通りである。
処理液の付与は、塗布法、インクジェット法、浸漬法などの公知の方法を適用して行なうことができる。塗布法としては、バーコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができ、本発明においては、中でも、塗布均一性の観点から、塗布ローラーを用いたローラー塗布が好ましい。インクジェット法の詳細については、後述する。
前記ローラー塗布は、記録媒体へのインク描画の直前に処理液を、塗布ローラーを用いて媒体表面に塗設することで記録媒体上に処理液を付与することができる。
また、該塗布ローラーについては、特に限定されず、例えば、特開2009−61645号公報の図7に記載されている構造を有する液体塗布装置を用いて行うことができる。また、続く画像形成は、例えば、同公報の図1に記載されている構造を有する前記液体塗布装置を備えたインクジェット記録装置を用いて形成することができる。
処理液を付与する領域は、記録媒体全体に付与する全面付与であっても、インク付与工程でインクジェット記録が行なわれる領域に部分的に付与する部分付与であってもよい。本発明においては、処理液の付与量を均一に調整し、細線や微細な画像部分等を均質に記録し、画像ムラ等の濃度ムラを抑える観点から、塗布ローラー等を用いた塗布によって塗工紙全体に付与する全面付与が好ましい。
処理液の付与量を前記範囲に制御して塗布する方法としては、例えば、アニロックスローラーを用いた方法が挙げられる。アニロックスローラーとは、セラミックが溶射されたローラー表面をレーザーで加工しピラミッド型や斜線、亀甲型などの形状を付したローラーである。このローラー表面に付けられた凹みの部分に処理液が入り込み、紙面と接触すると転写されて、アニロックスローラーの凹みで制御された塗布量にて塗布される。
処理液付与工程は、インク付与工程の前後のいずれであってもよいが、インク組成物を用いたインク付与工程前に設けられることが好ましい。すなわち、記録媒体上に、インク組成物を付与する前に、予めインク組成物中の色材(好ましくは顔料)を凝集させるための処理液を付与しておき、記録媒体上に付与された処理液に接触するようにインク組成物を付与して画像化することができる。これにより、例えば、インクジェット方式による画像形成を高速化でき、高速記録しても濃度、解像度の高い画像が得られる。
また本発明においては、処理液を記録媒体上に付与した後、インク組成物が付与されるまでの間に、記録媒体上の処理液を加熱乾燥する加熱乾燥工程が更に設けられてもよい。インク付与工程前に予め処理液を加熱乾燥させることにより、にじみ防止などのインク着色性が良好になり、色濃度及び色相の良好な可視画像を記録できる。
加熱乾燥は、ヒーター等の公知の加熱手段やドライヤー等の送風を利用した送風手段、あるいはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体の処理液の付与面と反対側からヒーター等で熱を与える方法や、記録媒体の処理液の付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒーターを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
(インク付与工程)
インク付与工程は、既述のインク組成物を記録媒体上に付与して画像を形成する。
処理液が付与された記録媒体上にインク組成物を付与する方法としては、特に限定されないが、中でも、印字機構が簡単で、騒音が発生しない等の利点を有する点で、インクジェット法が好ましい。
本工程では、記録媒体上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の可視画像を形成できる。なお、インク組成物の詳細については既述の通りである。
インクジェット法は、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
尚、前記インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
尚、前記インクジェット法により記録を行う際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、単尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを記録媒体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、記録媒体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に記録媒体を走査させることで記録媒体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と記録媒体との複雑な走査制御が不要になり、記録媒体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。本発明の画像形成方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
本発明におけるインク付与工程は、処理液付与工程の後、0.1秒以上10秒以内に開始されることが好ましい。これにより高速に画像を形成することができる。また本発明の画像形成方法においては、既述のインクジェット記録用インクセットを用いることで、高速に画像を記録した場合でも、着弾干渉が抑制され、高精細な画像を形成することができる。
ここで「処理液付与工程の後、0.1秒以上10秒以内に開始」とは、処理液の付与・乾燥終了から、最初のインク滴が記録媒体上に着滴するまでの時間が0.1秒以上10秒以内であることを意味する。
−記録媒体−
本発明の画像形成方法は、記録媒体上に画像を形成するものである。
記録媒体には、特に制限はないが、一般のオフセット印刷などに用いられる、いわゆる上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする一般印刷用紙を用いることができる。セルロースを主体とする一般印刷用紙は、水性インクを用いた一般のインクジェット法による画像記録においては比較的インクの吸収、乾燥が遅く、打滴後に色材移動が起こりやすく、画像品質が低下しやすいが、本発明の画像形成方法によると、色材移動を抑制して色濃度、色相に優れた高品位の画像の記録が可能である。
記録媒体としては、一般に市販されているものを使用することができ、例えば、王子製紙(株)製の「OKプリンス上質」、日本製紙(株)製の「しおらい」、及び日本製紙(株)製の「ニューNPI上質」等の上質紙(A)、王子製紙(株)製の「OKエバーライトコート」及び日本製紙(株)製の「オーロラS」等の微塗工紙、王子製紙(株)製の「OKコートL」及び日本製紙(株)製の「オーロラL」等の軽量コート紙(A3)、王子製紙(株)製の「OKトップコート+」及び日本製紙(株)製の「オーロラコート」等のコート紙(A2、B2)、王子製紙(株)製の「OK金藤+」及び三菱製紙(株)製の「特菱アート」等のアート紙(A1)等が挙げられる。また、インクジェット記録用の各種写真専用紙を用いることも可能である。
上記の中でも、色材移動の抑制効果が大きく、従来以上に色濃度及び色相の良好な高品位な画像を得る観点からは、好ましくは、水の吸収係数Kaが0.05〜0.5でmL/m・ms1/2の記録媒体であり、より好ましくは0.1〜0.4mL/m・ms1/2の記録媒体であり、更に好ましくは0.2〜0.3mL/m・ms1/2の記録媒体である。
水の吸収係数Kaは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No51:2000(発行:紙パルプ技術協会)に記載されているものと同義であり、具体的には、吸収係数Kaは、自動走査吸液計KM500Win(熊谷理機(株)製)を用いて接触時間100msと接触時間900msの水の転移量の差から算出されるものである。
本発明において、処理液の付与量、および水性インクの付与量は、必要に応じて調節することが好ましい。例えば、記録媒体に応じて、処理液と水性インクとが混合してできる凝集物の粘弾性等の物性を調節する等のために、処理液の付与量を変えてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」は質量基準であり、「重合度」は「平均重合度」を表す。
<実施例1>
〜インク組成物の調製〜
[顔料分散液の調製]
(ポリマー分散剤P−1の調製)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの三口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成はH−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(シアン分散液の調製)
ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)10部と、前記ポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトン42部と、1規定 NaOH水溶液5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルにより0.1mmφジルコニアビーズを用いて2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下、55℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去した後、更に、高速遠心冷却機7550(久保田製作所製)を用いて、50mL遠心菅を使用し、8000rpmで30分間遠心処理を行ない、沈殿物以外の上澄み液を回収した。その後、吸光度スペクトルから顔料濃度を求め、顔料濃度が10.2質量%の樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(シアン分散液)を得た。
(マゼンタ分散液の調製)
シアン分散物の調製において、ピグメント・ブルー15:3(フタロシアニンブル−A220、大日精化株式会社製)の代わりに、ピグメント・レッド122を用いた以外はシアン分散液の調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(マゼンタ分散液)を調製した。
(イエロー分散液の調製)
シアン分散液の調製において、シアン顔料ピグメント・ブルー15:3の代わりに、イエロー顔料ピグメント・イエロー74を用いた以外は、シアン分散液の調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(イエロー分散液)を調製した。
(ブラック分散液の調製)
シアン分散液の調製において、シアン顔料ピグメント・ブルー15:3の代わりに、カーボンブラック(デグッサ社製NIPEX160−IQ)を用いた以外は、シアン分散液の調製と同様にして、樹脂被覆顔料粒子(ポリマー分散剤で被覆された顔料)の分散物(ブラック分散液)を調製した。
(自己分散性ポリマー粒子の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン360.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。反応容器内温度を75℃に保ちながら、フェノキシエチルアクリレート180.0g、メチルメタクリレート162.0g、アクリル酸18.0g、メチルエチルケトン72g、及び「V−601」(和光純薬(株)製)1.44gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」0.72g、メチルエチルケトン36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.72g、イソプロパノール36.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は64000(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製))、酸価は38.9(mgKOH/g)であった。
次に、重合溶液668.3gを秤量し、イソプロパノール388.3g、1mol/L NaOH水溶液145.7mlを加え、反応容器内温度を80℃に昇温した。次に蒸留水720.1gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化せしめた。その後、大気圧下にて反応容器内温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保った後、反応容器内を減圧にし、イソプロパノール、メチルエチルケトン、蒸留水を合計で913.7g留去し、固形分濃度28.0%の自己分散性ポリマー微粒子(B−01)の水分散物(エマルジョン)を得た。
<インク組成物の調製>
上記で得られた各色の顔料分散液、及び自己分散性ポリマー微粒子を用いて、下記表1に示したインク組成(固形分)になるように各成分を混合してそれぞれインク組成物を調製した。調製したインク組成物をプラスチック製ディスポーサブルシリンジにて、PVDF5μmフィルター(ミリポア社製Millex SV、直径25mm)で濾過して完成インク組成物とした。
各色インク組成物について、東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGを用いてpH(25℃)を測定した。また、協和界面科学(株)製 FASE Automatic Surface Tensionmeter CBVP−Zにて、25℃における表面張力を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2011189711

<処理液の作成>
(処理液1)
以下の材料を混合して、処理液1を作成した。
・マロン酸 25g
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル 4g
・トリプロピレングリコールモノメチルエーテル 4g
・イオン交換水 全体で100gとなるように添加
東亜DDK(株)製pHメーターWM−50EGにて、pHを測定したところ、pH値は、1.1であった。協和界面科学(株)製 FASE Automatic Surface Tensionmeter CBVP−Zにて、表面張力を測定したところ、43.0mN/mであった。
(処理液2〜9、1−1、1−2、1−4、1−5の調製)
処理液1の調製において、下記の表2に示す本発明の化合物を、0.1mol/L添加し、pHを表2のようにした以外は、処理液1と同様に行って処理液2〜9、1−1、1−2、1−4、1−5を調製した。
<画像記録>
記録媒体としてA4サイズのOKトップコート(王子製紙(株)製)を用いて、上記のインク及び処理液を用いて、下記画像記録条件で画像を描画記録した。
尚、処理液付与工程の後、1秒以降にインク付与が開始されるようにした。
−処理液付与工程−
記録媒体へのインク描画の直前に表2に示す処理液を、塗布ローラーを用いて1.5g/mになる様に媒体表面に塗設した。
該塗布ローラーは特開2009−61645号公報の図7に記載されている構造を有する装置を用い、また、インクジェット記録装置は同公報の図1に記載されている構造の装置を用いた。
次いで下記条件で処理液が付与された記録媒体を乾燥した。
−−処理液用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:450mm(乾燥時間0.7秒)
−インク付与工程−
<打滴方式>
インク組成物として、上記で得られたシアン顔料インクC、マゼンタ顔料インクM、イエロー顔料インクY、黒色顔料インクKを用いて、下記の条件で、4色シングルパス画像形成を行った。
インクの各色の打滴順は、M−K−C−Yの順で行った。
処理液が付与された記録媒体上に下記条件で、インク組成物を付与した。
ヘッド :1,200dpi/20inch幅ピエゾフルラインヘッドを4色分配置した。
吐出液滴量:2.4pLの記録とした。
駆動周波数:30kHz(記録媒体搬送速度635mm/sec)
各インクの付与順は表1に示す順番で単色、或いは、2色の重ねでドット描画した。
次いで下記条件でインク組成物が付与された記録媒体を乾燥した。
−−インク用乾燥条件(送風乾燥)−−
風速 :15m/s
温度 :記録媒体の表面温度が60℃となるように記録媒体記録面背面から接触型平面ヒーターで加熱した。
送風領域:640mm(乾燥時間1秒間)
次いで下記条件で加熱定着処理を実施した。
−−定着−−
シリコンゴムローラ(硬度50°、ニップ幅5mm)
ローラ温度:90℃
圧力:0.8MPa
<評価>
500枚描画後、そのまま24時間放置した後、再び同様にして500枚描画を行い、以下の各評価を実施した。
1.処理液塗布面状評価
上記作成した処理液100gに対して上記マゼンタ顔料インクM1を1g添加して着色液とし、この着色液を記録媒体上に塗布して、塗布面状を目視観察した。塗布条件は上記の処理液付与工程と同じ条件とした。
(評価基準)
A:全体に色濃度ムラがなく均一。
B:僅かにスジ状の濃淡があるが、全体としては均質で実用上問題ないレベル。
C:スジ状の濃淡ムラ、及び、部分的にハジキ状ムラがあり、実用不可。
2.キズ発生(耐擦性)
上記描画作成した試料について目視にて搬送方向に発生するキズについて評価した。
(評価基準)
A:キズ発生なし。
B:僅かにキズ発生しているが、画像に損傷なく問題ないレベル。
C:極細い傷が発生しているが、許容内。
D:はっきりしたキズが発生し、実用上問題。
3.ドット均質性
上記2次色ドットについて、王子計測機器株式会社製のドットアナライザーDA−6000を用いてマゼンタベタ画像上に描画されたシアンドット(2次色ドット)の均質性を観察した。
(評価基準)
A:全体に揃ったドットサイズであって、ドットの形状も均質で良好なレベル。
B:よく観察すると場所により僅かにドットサイズのバラツキがあるが全体としては良好なレベル。
C:場所によりややドットサイズが異なり、僅かに欠損ドットが希に見られる実用上下限のレベル。
D:ドットサイズが場所により不均一で、明らかに円形でないドットが各所にある実用上問題あるレベル。
4.光沢ムラ
マゼンタとブラックの2次色ベタ画像を描画し、その画像に対し指触試験を行い指跡の光沢ムラを目視にて評価した。
評価基準
A:光沢ムラが見られない。
B:僅かに光沢ムラ発生しているが、問題ないレベル。
B’:光沢ムラ発生しているが、実用上許容内。
C:指跡状にはっきりした光沢ムラが発生し、実用上問題。
Figure 2011189711

以下に、実施例で用いられている表中の本発明の化合物の詳細を示す。
BT:ベンゾトリアゾール
MBT:5−メチルベンゾトリアゾール
ABT:5−アミノベンゾトリアゾール
CBT:5−クロロベンゾトリアゾール
TT:テトラゾール
ATT:5−アミノテトラゾール
MTT:5−メチルテトラゾール
PTT:5−フェニルテトラゾール
PMT:2−フェニル−1−メルカプトテトラゾール
表2から明らかな通り、本発明の化合物を用いている本発明の処理液は良好な結果を示しているのに対し、本発明の化合物を用いていない比較例の処理液1は何れの評価項目においても良好であることが判る。
(処理液2−1〜2−4の調製)
処理液2、3において、それぞれ本発明の化合物の添加量を表3に記載したようにした以外は、同様に行って評価した。
Figure 2011189711
表3から、本発明の中でも、ベンゾトリアゾールを用いた処理液が5−メチルベンゾトリアゾゾールを用いた処理液に比べて、添加量依存性が小さく好ましいことが分かる。
(処理液10〜26の調製)
処理液1、2において、本発明の化合物の種類、並びに酸性化合物の種類及び添加量、pHを表4に記載したようにした以外は、同様に行って評価した。処理液1、2、10〜26は全てpH0.5〜1.5の範囲にあった。
Figure 2011189711

表4から明らかな通り、本発明の中でも有機酸性化合物と無機酸性化合物を10:1〜1:10併用するとドット均一性が更に改良され、カルシウム塩溶解度が0.1以下の酸性化合物を1%以上含有すると光沢ムラがより改良されることが分かる。カルシウム塩溶解度が0.1以下の酸性化合物を70%より多く添加するとドット安定性が悪化傾向が見られる。
(処理液27〜32の調製)
処理液1、18において、水溶性有機溶剤の種及び添加量を下記表5に記載したように変更した以外は、同様にして行い評価した。
Figure 2011189711

以下に、実施例で用いられている表中の水溶性溶剤の種類の略称を示す。
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
DEGmEE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
DPG:ジプロピレングリコール
TPGmME:トリプトピレングリコーツモノメチルエーテル
GP−250:ポリオキシプロピレングリセリルエーテル(三洋化成ニューポールGP−250)
表5から明らかな通り、本発明の水溶性溶剤の種類を変更しても同様に本発明の効果が見られる。

Claims (11)

  1. 有機酸性化合物及び無機酸性化合物から選択される少なくとも1種の酸性化合物と、含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含有し、25℃におけるpHが0.5〜2.0であって、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含むインク組成物中の分散粒子を凝集させる処理液。
  2. 前記有機酸性化合物が有機カルボン酸である請求項1に記載の処理液。
  3. 前記有機酸性化合物と前記無機酸性化合物とを10:1〜1:10のモル比で含有する請求項1又は請求項2に記載の処理液。
  4. 前記有機カルボン酸が2価以上のカルボン酸である請求項2又は請求項3に記載の処理液。
  5. 前記酸性化合物を少なくとも2種含むと共に、前記酸性化合物の少なくとも1種は、カルシウム塩としたときの水100gへの溶解度(25℃)が0.1g以下であって、かつ、該酸性化合物の全酸性化合物質量に対する割合が1〜70質量%である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の処理液。
  6. 前記pHが0.5〜1.5である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の処理液。
  7. 含窒素ヘテロ環化合物及び有機メルカプト化合物から選ばれる少なくとも1種がベンゾトリアゾールである請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の処理液。
  8. 更に、色材及びポリマー粒子の少なくとも1種を含有するインク組成物と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の処理液と、を含むインクセット。
  9. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の処理液を記録媒体に付与する処理液付与工程と、インク組成物を記録媒体上に付与して画像を形成するインク付与工程と、を有する画像形成方法。
  10. 前記処理液付与工程は前記処理液の付与をローラー塗布により行う請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記処理液付与工程後に、前記インク付与工程を有する請求項9又は請求項10に記載の画像形成方法。
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