JP2009226851A - インクジェット記録装置及び画像記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体にカール等の異常が発生することなく、好ましい画像記録が行われるインクジェット記録装置及び画像記録方法を提供する。
【解決手段】用紙16に浸透抑制剤1を打滴し、用紙16上に浸透抑制剤層1Aを形成する。次に、浸透抑制剤層1A上にインク中の色材を凝集させる(または、インクドットを増粘させる)処理液2を打滴するとともに、処理液2を乾燥させて処理液層2Aを形成する。処理液層2Aが形成された後に画像データに応じてCMYKの各色インク3を打滴する。インク3は、28(MPa)1/2以下のSP値を有する高沸点有機溶剤を10%以上95%以下の比率で含有するので用紙16に浸透せず、用紙16のカールが防止される。高沸点有機溶剤の含有比率を10%以上90%以下とすると、処理液と反応したインク(色材)の移動が抑制され、好ましい画像記録を行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明はインクジェット記録装置及び画像記録方法に係り、特に画像記録後の記録媒体に発生するカール等を防止する画像記録技術に関する。
一般の印刷等で用いられる、アート紙やコート紙等の「塗工紙」や、上質紙等の「非塗工紙」に水性のインクジェットを用いて印刷を行うと、用紙のセルロース繊維間の水素結合の切断、再結合により、「カール」と呼ばれる紙の変形が発生する、という問題が知られている。「カール」の防止策としては、インクに糖類等のカール防止剤を添加する方法や、搬送部の紙抑え機構を強力なものとして強制的にカールを抑える機構を持つ方式などがあるが、いずれも十分にカールを抑えることはできていない。
特許文献1には、インク記録に先立って紙にアルコールを付与し、記録位置では紙が実質的に乾燥した状態に至らしめ、その後に画像を記録する記録装置が開示されており、特許文献1では、セルロース繊維間の水素結合による結合点に存在する水酸基にアルコール液の水酸基が結合することによって、後から水がやってきてもアルコール液の疎水基部分により水分子が排除され繊維同士の結合点に到達できないため、紙が乾燥する過程で、繊維間の結合点の移動が起こりにくくなり、用紙のカールが抑制されるという効果を得ている。
また、特許文献2には、水溶性有機溶剤のうち最も多く含有する水溶性有機溶剤のSP値(溶解度パラメータ)が16.5(MPa)1/2以上24.6(MPa)1/2未満であり、更に、該SP値が16.5(MPa)1/2以上24.6(MPa)1/2未満の水溶性有機溶剤の含有量が全インク質量の30質量%以上である水系インクジェットインクを固定長尺インクジェット記録ヘッドに供給し、減圧吸引手段によって搬送テーブルに保持されて搬送される普通紙に該インクジェット記録ヘッドから該水系インクジェットインクを出射して1パスで印字する方法が開示されている。かかる構成によって水系のインクジェットインクを用いた場合にもコックリングを防止し得る旨が記載されている。
特開2004−136458号公報 特開2007−175922号公報
しかしながら、特許文献1に記載された紙カール抑制方法及び記録装置では、アルコールを水性インク打滴前に紙に付与するため、インクのハジキや画像のにじみが出るという問題があることが分かった。この問題を解決するために、アルコール液を紙に付与した後に紙表面を乾燥させるとよいが、アルコール液を付与した後の紙表面を乾燥させてしまうと、その後にインクを打滴した際にカールが発生してしまうという問題があることも分かった。
一方、特許文献2には、SP値が16.5(MPa)1/2以上24.6(MPa)1/2未満の水溶性有機溶剤の含有量が、全インク質量の30質量%以上である水系インクジェット用インクを使用することによりカールを抑制することが記載されているが、インクジェット用普通紙や印刷用の汎用コート紙を使用する場合にはカールを十分に抑制することが出来ないということがわかった。また、凝集処理液剤を付与した後にインクを打滴し、色材を凝集させることによって、インクのにじみ等の画像異常の発生を防止する画像形成方法を適用する場合には、例えば、1パスで高速画像記録を行うときのように、凝集処理液剤付与からインク打滴までの時間が短い場合には(記録媒体上に液体状の凝集処理液が存在する場合には)、凝集処理液剤を付与した後にインクを打滴すると、凝集処理液中で凝集した色材が浮遊し、所望の位置に留まらず、結果として出力画像が所望の画像と比べて大きく乱れてしまうという新たな問題が発生することが判明した。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、記録媒体にカール等の異常が発生することなく、好ましい画像記録が行われるインクジェット記録装置及び画像記録方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るインクジェット記録装置は、記録媒体上に色材を含有するインクを用いて画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録媒体に対して液体が浸透することを抑制する機能を有する第1の処理剤を前記記録媒体に付与する第1処理剤付与手段と、入力画像データをドットデータに変換する画像処理手段と、前記画像処理手段で変換されたドットデータに従って、28(MPa)1/2以下のSP値を有する水溶性高沸点有機溶剤を10%以上95%以下の比率で含有するインクを前記記録媒体に打滴するインク打滴ヘッドと、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、インクの記録媒体への浸透を抑制する浸透抑制剤を付与するため、記録媒体へのインクの浸透がより抑制され、更に、記録媒体に画像を形成するインク中にSP値が28(MPa)1/2以下の高沸点有機溶剤を10%以上95%以下の比率で含有するので、インクが記録媒体に浸透した場合でも、記録媒体のセルロース繊維間の水素結合の切断、再結合を防止される。したがって、記録媒体へのインクの浸透抑制効果がより高くなり、インクの浸透による記録媒体のカールが防止される。また、本発明は様々な種類の記録媒体に対して適用可能であり、様々な記録媒体を使用することが可能となる。
即ち、第1の処理剤によって記録媒体へのインクの浸透はある程度抑制されるものの、記録媒体の種類やインクの打滴量を考慮すると、第1の処理剤の機能のみでは記録媒体へのインクの浸透を完全に抑えることは困難である。しかし、インク中に含有する高沸点有機溶剤のSP値を28(MPa)1/2以下とするとともに、当該高沸点有機溶剤の含有量を10%以上95%以下とすることで、記録媒体へのインクの浸透抑制機能をより高くすることができる。
本発明における「媒体」とは、インクによって所望の画像が形成される部材であって、少なくとも紙などの浸透性を有する媒体が含まれている。また、「画像」には立体形状や模様、パターンを含む広い概念の画像を含んでいる。
「インク」とは、少なくとも色材を含有し、媒体上に定着して画像を構成する液体である。
「高沸点有機溶剤」とは、インク打滴工程におけるインクの温度において実質的に乾燥しない溶媒であり、なおかつ、インク中に樹脂粒子が分散又は溶解している場合に、樹脂の溶解又は分散を阻害しない溶媒である。具体的にはインク打滴工程におけるインクの温度における飽和蒸気圧が1kPa以下である溶媒であり、好ましくは飽和蒸気圧が0.1kPa以下である溶媒である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記記録媒体を所定の方向に搬送する搬送手段と、前記第1の処理剤付与手段の記録媒体搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体上の溶媒を除去する第1の溶媒除去手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、第1の処理剤の溶媒成分を除去することで、第1の処理剤(溶媒成分)の記録媒体への浸透が抑制される。
第1の溶媒除去手段は、第1の処理剤が付与された記録媒体を加熱する加熱手段を含んでいてもよいし、第1の処理剤が付与された記録媒体に風(乾燥風)を付与する送風手段を含んでいてもよい。更に、加熱手段と送風手段の両方を備える態様(例えば、温風を送風する態様)がより好ましい。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、インク中の色材を凝集させる機能又はインクドットを増粘させる機能を有する第2の処理剤を前記記録媒体に付与する第2の処理剤付与手段を備えたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、第2の処理剤上にインクを打滴したときに発生するインクドットの移動を防止することができる。また、インクを凝集又は増粘させる機能を有する第2の処理剤を用いることで、記録媒体上におけるインクの打滴干渉が防止される。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第2の処理剤付与手段の記録媒体搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体上の溶媒を除去する第2の溶媒除去手段を備えたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、第2の処理剤の記録媒体への浸透が抑制されるので、記録媒体のカール抑制効果がより高くなる。
請求項2に記載した第1の溶媒除去手段と同様に、第2の溶媒除去手段は、第2の処理剤が付与された記録媒体を加熱する加熱手段を含んでいてもよいし、第2の処理剤が付与された記録媒体に風(乾燥風)を付与する送風手段を含んでいてもよいし、加熱手段と送風手段の両方を備えてもよい。
請求項2に記載した第1の溶媒除去手段と第2の溶媒除去手段を共通化して、前記第2の処理剤付与手段の記録媒体搬送方向下流側に設ける態様も好ましい。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤付与手段による第1の処理剤の付与を制御する第1の処理剤付与制御手段と、前記第2の処理剤付与手段による第2の処理剤付与を制御する第2の処理剤付与制御手段と、を備え、前記第1の処理剤付与制御手段は、前記第2の処理剤の付与領域及び前記第2の処理剤の付与領域の周囲領域に前記第1の処理剤を付与するように前記第1の処理剤付与手段を制御し、前記第2の処理剤付与制御手段は、前記インクの打滴領域及び前記インク打滴領域の周囲領域に前記第2の処理剤を付与するように前記第2の処理剤付与手段を制御することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、第1の処理剤が存在する領域に第2の処理剤を付与するので、第1の処理剤の機能による第2の処理剤の記録媒体への浸透が抑制される。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤付与手段は第1の処理剤を液滴化して打滴する第1の処理剤打滴ヘッドを含み、前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御する第1の処理剤打滴制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、インクドットが形成される領域又は第2の処理剤が付与される領域に対して第1の処理剤を選択的に付与することができ、第1の処理剤の消費量低減化に寄与するとともに、記録媒体上に付与される液体の全体量の低減化に寄与する。記録媒体上に付与される液体の全体量が低減化されると、記録媒体のカール抑制効果がより高くなる。
打滴ヘッドの構成として、液体を吐出する吐出口と、吐出口と連通する液室と、液室内の液体を加圧する加圧手段と、を備える態様が挙げられる。
請求項7に記載の発明は、請求項3乃至6うち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第2の処理剤付与手段は第2の処理剤を液滴化して打滴する第2の処理剤打滴ヘッドを含み、前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御する第2の処理剤打滴制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、第2の処理剤をインクドットが形成される領域に対して選択的に付与することができ、第2の処理剤の消費量低減化に寄与するとともに、記録媒体上に付与される液体の全体量の低減化に寄与する。記録媒体上に付与される液体の全体量が低減化されると、記録媒体のカール抑制効果がより高くなる。
請求項8に記載の発明は、請求項7記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤打滴制御手段は、前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴点及び前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴点に隣接する打滴点を含む周囲の打滴点に前記第1の処理剤を打滴するように前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、効果的に記録媒体のカールを防止するとともに、記録画像の高画質形成を実現可能である。
第2の処理剤打滴制御手段は、インク打滴ヘッドの打滴点及びインク打滴ヘッドの打滴点に隣接する打滴点を含む周囲の打滴点に第2の処理剤を打滴するように第2の処理剤打滴ヘッドを制御する態様が好ましい。
請求項9に記載の発明は、請求項7記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤打滴制御手段は、前記第2の処理剤打滴ヘッドによって第2の処理剤が打滴された打滴点と同一打滴点に対して、当該打滴点における第2の処理剤のドットよりも大きいサイズを有する第1の処理剤のドットを形成するように前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御することを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、第1の処理剤のドットのサイズを第2の処理剤のドットのサイズよりも大きくすることで、効果的なカール防止と高画質形成を実現可能である。
第2の処理剤付与制御手段は、インク打滴ヘッドによってインクが打滴された打滴点と同一打滴点に対して、当該打滴点におけるインクのドットよりも大きいサイズを有する第2の処理剤のドットを形成するように前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御し、第1の処理剤のドット、第2の処理剤のドット、インクのドットの順にドットサイズを小さくする態様がより好ましい。
請求項10に記載の発明は、請求項7記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記画像処理手段は、前記第1の処理剤の打滴密度が前記第2の処理剤の打滴密度よりも小さくなるよう前記第1の処理剤のドットデータ及び前記第2の処理剤のドットデータを生成することを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、第2の処理剤の打滴位置に対して第1の処理剤によるドットを打滴することができ、効果的なカール防止と高画質形成が実現可能である。
請求項11に記載の発明は、請求項6乃至10のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤付与制御手段は、前記インク打滴ヘッドによってインクが打滴される打滴点及び当該打滴点の前記記録媒体の搬送方向下流側の打滴点に第1の処理剤を打滴するように前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、インクジェット方式では最初の打滴において打滴異常が発生しやすいので、インクの打滴に先立ち第1の処理剤及び第2の処理剤を打滴することで、第1の処理剤及び第2の処理剤の最初の打滴に打滴異常が発生したとしても第1の処理剤を第2の処理剤の打滴エリアに対して確実に打滴することができる。
第2の処理剤付与制御手段は、前記インク打滴ヘッドによってインクが打滴される打滴点よりも前記記録媒体の搬送方向下流側の打滴点に第2の処理剤を打滴するように前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御すると、第2の処理剤打滴ヘッドの最初の打滴に打滴異常が発生したとしても、第2の処理剤をインクの打滴領域に対して確実に打滴することが可能となる。
請求項12に記載の発明は、請求項5乃至11のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、記録媒体の種類を判断する記録媒体判断手段を備え、前記第1の処理剤付与制御手段は、カールが発生しにくい記録媒体を使用する場合には、カールが発生しやすい記録媒体を用いる場合よりも第1の処理剤の付与量を減らすように第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする。
請求項12に記載の発明によれば、記録媒体の種類に応じて第1の処理剤の付与量が最適化されるので、記録媒体のカールを効果的に防止することができるとともに、インクにじみのない高品質の画像記録が実現される。
請求項13に記載の発明は、請求項5乃至12のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、第2の処理剤の付与量を算出する第2の処理剤付与量算出手段と、インクの付与量を算出するインク付与量算出手段と、を備え、前記第1の処理剤付与制御手段は、前記第2の処理剤の付与量及び前記インクの付与量の総量が所定のしきい値以上の場合には第1の処理剤を付与し、前記第2の処理剤の付与量及び前記インクの付与量の総量が前記しきい値未満の場合には、第1の処理剤を付与しないように前記第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、第2の処理剤の付与量及びインクの付与量の総量が少量であり、記録媒体にカールが発生する可能性が低い場合には、第1の処理剤を付与しないように第1の処理剤付与を制御するので、第1の処理剤の消費量が低減されるとともに、記録媒体の質感の変化が低減される。
請求項14に記載の発明は、請求項13記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第2の処理剤付与量算出手段は、前記画像処理手段によって変換された第2の処理剤のドットデータに基づいて第2の処理剤の付与量を算出することを特徴とする。
請求項14に記載の発明によれば、演算によって第2の処理剤の付与量を算出するので、第2の処理剤の付与量の実測が不要である。なお、第2の処理剤のドットデータは、インクのドットデータと同様の方法によって生成可能である。
インク付与量算出手段は、画像処理手段によって変換されたインクのドットデータに基づいてインクの付与量を算出する態様が好ましい。
請求項15に記載の発明は、請求項13又は14記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第2の処理剤付与量算出手段は、複数の領域に分割された前記記録媒体の領域ごとに第2の処理剤の付与量を算出するとともに、前記インク付与量算出手段は、前記領域ごとにインクの付与量を算出し、前記第2の処理剤付与制御手段は、前記領域ごとに第2の処理剤の付与を制御することを特徴とする。
請求項15に記載の発明によれば、画像領域を複数の領域に分割し、当該領域ごとに第2の処理剤の付与量を算出するので、必要な領域のみに第2の処理剤が付与され、第2の処理剤の消費量が低減されるとともに、非画像部の質感を維持することができる。
請求項16に記載の発明は、請求項13、14又は15記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記しきい値は、記録媒体ごとに設定されることを特徴とする。
請求項16に記載の発明によれば、記録媒体の種類に応じて最適な第1の処理剤の付与が行われる。
請求項17に記載の発明は、請求項5乃至16のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記インク打滴ヘッドの打滴異常を検出する異常検出手段を備え、前記第1の処理剤付与制御手段は、前記異常検出手段によって検出された打滴異常箇所に対応する記録媒体上の位置には前記第1の処理剤を付与しないように前記第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする。
請求項17に記載の発明によれば、インク打滴ヘッドの打滴異常によってインクが打滴されない位置には第1の処理剤を付与しないので、当該打滴異常の発生箇所の周辺に打滴されたインクがにじみ、打滴異常に起因するスジムラ等の画像異常の視認性を下げることができる。特に、隣接するドットが互いに重なり合うような高解像度の画像において、ドット被覆率が高い画像を記録する場合に効果を発揮する。
請求項18に記載の発明は、請求項17記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤付与制御手段は、前記異常検出手段によって検出された打滴異常箇所に対応する記録媒体上の位置及び前記打滴異常箇所に対応する記録媒体上の位置に隣接する位置には前記第1の処理剤を付与しないように前記第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする。
請求項18に記載の発明によれば、インク打滴ヘッドに打滴異常が発生しても、当該打滴異常に対応する位置の周辺のインクドットをにじませることで、画像異常の視認性を下げることができる。
請求項19に記載の発明は、請求項1乃至18のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤は、油性溶媒に樹脂粒子を分散させた液体若しくは、油性溶媒に樹脂を溶解させた液体を含むことを特徴とする。
請求項19に記載の発明によれは、第1の処理剤自身が浸透性を有する記録媒体に対して非浸透性または難浸透性を有するので、好ましい。
請求項20に記載の発明は、請求項1乃至18に記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記第1の処理剤は、ワックスを含むことを特徴とする。
請求項20に記載の発明によれば、第1の処理剤が記録媒体に浸透することなく、記録媒体の表面に好ましい第1の処理剤層が形成される。
また、本発明は上記目的を達成するための方法発明を提供する。請求項21に記載の発明に係る画像記録方法は、記録媒体上に色材を含有するインクを用いて画像を記録する画像記録方法であって、前記記録媒体に対して液体が浸透することを抑制する機能を有する第1の処理剤を前記記録媒体に付与する第1の処理剤付与工程と、前記第1の処理剤付与工程の後に、入力画像データから変換されたドットデータに従い前記第1の処理剤が付与された記録媒体にSP値が28(MPa)1/2以下の水溶性高沸点有機溶剤を10%以上95%未満含有するインクを打滴するインク打滴工程と、を含むことを特徴とする。
第1の処理剤を付与後に第1の処理剤の溶媒を除去する(乾燥させる)第1の溶媒除去工程(第1の乾燥工程)を含む態様が好ましい。
請求項22に記載の発明は、請求項21記載の画像記録方法の一態様に係り、前記第1の処理剤付与工程の後に、前記第1の処理剤が付与された記録媒体に前記インク中の色材を凝集させる機能或いはインクドットを増粘させる機能を有する第2の処理剤を付与する第2の処理剤付与工程を含むことを特徴とする。
第2の処理剤を付与後に第2の処理剤の溶媒を除去する(乾燥させる)第2の溶媒除去工程(第2の乾燥工程)を含む態様が好ましい。
本発明によれば、インクの記録媒体への浸透を抑制する浸透抑制剤を付与するため、記録媒体へのインクの浸透がより抑制され、更に、記録媒体に画像を形成するインク中にSP値が28(MPa)1/2以下の高沸点有機溶剤を10%以上95%以下の比率で含有するので、インクが記録媒体に浸透した場合でも、記録媒体のセルロース繊維間の水素結合の切断、再結合を防止される。したがって、記録媒体へのインクの浸透抑制効果がより高くなり、インクの浸透による記録媒体のカールが防止される。更に、適用可能な記録媒体の種類を拡大することが可能である。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔画像記録方法の説明〕
図1(a)〜(c)には、本発明の実施形態に係る画像記録方法を模式的に図示した。本例に示す画像記録方法は、図1(a)に図示する浸透抑制剤付与工程と、図1(b)に図示する処理液付与工程と、図1(c)に示すインク打滴工程と、を含んで構成されている。
図1(a)に示す浸透抑制剤付与工程は、用紙16(例えば、インクジェット用普通紙や印刷用のコート紙などの浸透性を有する媒体)に水及び親水的な有機溶剤の浸透を抑制する浸透抑制剤(第1の処理剤;液滴化された浸透抑制剤を符号1で図示)を付与する。浸透抑制剤としては、有機溶剤にラテックスを分散した溶液、有機溶剤にポリマーを溶解した溶液、ワックス等が好適に用いられる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、石油類等の非水性溶剤(溶剤自体が紙のカールを発生させないもの)が好適に用いられる。浸透抑制剤の付与方法としては、インクジェット方式による打滴や(ノズル51から浸透抑制剤を微液滴化して打滴する態様を図1(a)に図示)、スプレー塗布、ローラ塗布等が好適に用いられる。インクジェット方式を適用する場合には、浸透抑制剤を後述する色材入りインクの打滴箇所及びその周辺のみに選択的に付与することができ、好適である。更に、浸透抑制剤を付与した後に、加熱処理を施して浸透抑制剤の溶媒成分を蒸発させるとともに、樹脂成分(ラテックス、溶解ポリマーなど)を皮膜化させることが好ましい。
また、図1(b)に示す処理液(第2の処理剤)付与工程は、浸透抑制剤付与工程によって用紙16の表面に浸透抑制層1Aが形成された後に、後述の色材入りインク(図1(c)に符号3で図示)中の色材(顔料もしくは染料)を凝集若しくは増粘させる成分を持つ物質(処理液、第2の処理剤;図1(b)に微液滴化した処理液2を図示)を付与する。
処理液の具体例として、インクと反応してインク中の色材を析出あるいは不溶化させる処理液や、インク中の色材を含む半固体状の物質(ゲル)を生成する処理液等が挙げられる。そして、インクと処理液との反応を引き起こす方法として、インク中のアニオン性の色材と処理液中のカチオン性の化合物を反応させる方法や、互いにpHの異なるインクと処理液を混合させることでインクのpHを変化させてインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法、処理液中に含有する多価金属塩との反応によりインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法などが挙げられる。
処理液の付与方法としては、浸透抑制剤の付与方法同様に、インクジェット方式による打滴(ノズル51’から処理液を微液滴化して打滴する態様を図1(b)に図示)、スプレー塗布、ローラ塗布等が好適に用いられる。インクジェット方式を適用する場合には、処理液を後述する色材入りインクの打滴箇所及びその周辺のみに選択的に付与することができ、好適である。
上述したように浸透抑制剤を予め付与している場所(浸透抑制層1A上)に処理液を付与するため、処理液は用紙16の内部へ浸透しづらくなっている。なお、後述のインク中の色材成分が凝集した後に、用紙16(浸透抑制層1A)と接着せず処理液層2A中に浮遊してしまうことを防止するために、処理液を付与した後(処理液層2Aが形成された後)に処理液中の溶媒を乾燥(蒸発)させることが好ましい。
図1(c)には、インク打滴工程は、インクジェット方式で入力画像に対応したドット3Aを形成するために、ノズル51”からインク液滴3を打滴する。即ち、予め処理液層2Aが形成された領域に対して画像データに応じて(画像データを処理して変換されたドットデータに基づいて)インク液滴を打滴し、用紙16上に所望の画像を記録する。
本例に適用されるインクは、28.0(MPa)1/2以下のSP値を有する高沸点有機溶剤(HBS)を10%以上95%以下の比率で含有している。28.0(MPa)1/2以下のSP値を有する高沸点有機溶剤とは、例えば、1,2ヘキサンジオール(SP値27.4)やnCO(AO)10H(AO=EO又はPOで比率は1:1、SP値18.8)などが挙げられる。
上述した画像記録方法によれば、インク中に28.0(MPa)1/2以下のSP値を有する高沸点有機溶剤を含有するとともに、28.0(MPa)1/2以下のSP値を有する高沸点有機溶剤の含有比率を10%以上95%以下とすることで、インクが用紙に浸透した場合にも、用紙のセルロース繊維間の水素結合の切断、再結合を抑制することができる。即ち、インク自体により用紙16への浸透抑制効果を発揮し、用紙16のカール抑制効果を発揮する。
また、浸透抑制剤の機能によって処理液2の用紙16内への浸透が抑制され、処理液2が用紙16に浸透せずに用紙16の表面に保持されるので、用紙16(処理液層2A)に着弾したインク液滴3は用紙16の表面にすばやく定着し、インクのにじみ等の画像異常の発生が防止される。
なお、図1(b)に示す処理液2の付与を省略する態様も可能である。即ち、図1(a)に示す浸透抑制層1A上に図1(c)に示すインク液滴3を直接打滴してもよい。図1(a)に示す浸透抑制層1A上にインク液滴3を打滴すると、浸透抑制層1A上に着弾したインク液滴3は浸透抑制層1Aの浸透抑制機能によって用紙16への浸透が抑制され、更に、インク液滴3自体の用紙16への浸透抑制機能によって更なる浸透抑制効果を発揮し、用紙16のカールが防止される。
なお、処理液2の付与を省略する態様では、用紙16上のインク液滴(ドット)3の溶媒を除去する手段(工程)、及びインク液滴3を固化させる固化手段を備える態様が好ましい。固化手段としては、加熱によりインクを固化(増粘)させる態様や、紫外線硬化型インクを用いる場合の紫外線光源などが挙げられる。溶媒を除去する手段(工程)には、吸収ローラ等の吸収部材を接触させる態様や、多数の吸引口を有する吸引部材を接触又は近接させてポンプで吸引する態様が挙げられる。
また、用紙16に浸透抑制剤及び処理液を付与した後に、用紙16上の溶媒成分を除去する溶媒除去工程を含む態様が好ましい。処理液付与工程とインク打滴工程の間に溶媒除去工程を行うように構成する態様が好ましい。
〔高沸点有機溶剤の説明〕
次に、本発明に適用される高沸点有機溶剤について説明する。
<記録媒体の種類とカールの発生>
下記〔表1〕は、本発明に係る画像記録方法に適用可能な記録媒体(用紙16)の代表的なものを例示する。
Figure 2009226851
上記〔表1〕に示す記録媒体の単位面積あたりの質量(記録媒体の厚みの指標)は、特菱アート(商品名、三菱製紙社製)が84.9(g/m)、OKトップコート+(商品名、王子製紙社製)が73.3(g/m)、ユーライト(商品名、日本製紙社製)が84.9(g/m)、オーロラL(商品名、日本製紙社製)が64.0(g/m)、キンマリHi−L(商品名、北越製紙社製)が73.3(g/m)である。
下記〔表2〕には、上記〔表1〕に列挙した記録媒体の違いによるカールの発生の有無を調べた実験結果を示す。本評価実験では、浸透抑制層(図1(a)参照)が形成された記録媒体上にベタ画像を記録し、カールの有無、カールの程度を評価した。
インクには、グリセリンを15%含有したもの、高沸点有機溶剤を含有しないもの、GP−250を15%含有したものを用いた。インク打滴量は10(g/m)であり、浸透抑制剤を付与した後に送風乾燥(120℃、5秒間)による乾燥処理を行った。
本評価実験では、カールの指標C(=10/R、但し、Rはカールの曲率半径)を導入し、C<1の場合は評価○、1≦C≦2.5の場合は評価△、C>2.5の場合は評価×とした。即ち、カール指標Cの値が小さいほどカールの程度が小さく、カール抑制効果が大きいといえる。
Figure 2009226851
上記〔表2〕に示すように、特菱アート(三菱製紙社製)を用いた場合には、グリセリン(SP値=40.97(MPa)1/2)を含有するインクを用いると(水準11,12:比較例)、浸透抑制層の有無にかかわらずカール評価は×であり、許容範囲を超えたカールが発生してしまう。一方、GP−250(SP値=24.6(MPa)1/2、トリオキシプロピレングリセリルエーテル、三洋化成工業(株)製)を用いると(水準18:本発明)、カール評価は○であり、カール抑制効果が高いといえる。なお、特菱アートを用い、高沸点有機溶剤を含有しないインクを用いると(水準13:比較例)、カール評価は○となった。
他の記録媒体(浸透抑制層あり)に高沸点有機溶剤を含有しないインクを付与すると(水準14〜17:比較例)、OKトップコート+(王子製紙社製)はカール評価が○となり(水準14)、ユーライトは(日本製紙社製)はカール評価が△となるが(水準15)、オーロラL(日本製紙社製)、キンマリHi−L(北越製紙社製)はカール評価が×となってしまう(水準16,17)。
即ち、比較的厚みが薄い(単位面積あたりの質量が小さい)記録媒体は、高沸点有機溶剤を含有しないインクを用いるとカールが発生しやすいといえる。
これに対して、GP−250を含有するインクを用いると、上記〔表1〕に挙げたすべての記録媒体でカール評価は○(水準18〜21:本発明)又は△(水準22:本発明)となった。即ち、SP値が24.6(MPa)1/2のGP−250は、インクに含有する高沸点有機溶剤として好適である。
<高沸点有機溶剤の種類とカールの発生>
下記〔表3〕には、インク中に含有する高沸点有機溶剤(HBS種)の違いによる記録媒体のカールの有無を調べた評価実験の結果を示す。本評価実験では、記録媒体にはユーライトを用い、下記〔表3〕に示す9種類の高沸点有機溶剤を15%含有したインクを用いた。なお、本評価実験の打滴条件及び乾燥条件は、上述した「記録媒体の種類とカールの発生」の評価実験と同一である。また、下記〔表3〕に示したインク粘度は20℃環境下において計測した値である。
Figure 2009226851
上記〔表3〕中の高沸点有機溶剤の符号A〜Gの意味は以下のとおりである。
A:ジエチレングリコール
B:1,2ヘキサンジオール
C:ジプロピレングリコール
D:トリプロピレングリコール
E:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
F:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
G:nCO(AO)10H(但し、AO=EO又はPOで比率は1:1)
上記〔表3〕に示すように、グリセリンを含有するインクを用いる場合と(水準31:比較例)、SP値が30.62(MPa)1/2の高沸点有機溶剤Aを含有するインクを用いる場合には(水準32:比較例)、カール評価は×であり、許容範囲よりも大きなカールが発生してしまう。
一方、高沸点有機溶剤B〜G(SP値:18.8(MPa)1/2〜27.4(MPa)1/2)及びGP−250を含有するインクを用いる場合には(水準33〜39:本発明)カール評価は○であり、記録媒体のカール抑制効果を発揮しているといえる。
即ち、インクに含有される高沸点有機溶剤の好ましいSP値は27.4(28.0)以下である。
(高沸点有機溶剤とカール及び色材浮遊の発生)
下記〔表4〕には、インクに含有する高沸点有機溶剤の含有比率(含有量)の違いによるカール発生の有無及び色材浮遊の有無を調べた評価実験の結果を示す。
本評価実験では、高沸点有機溶剤として、GP−250及びジエチレングリコールモノエチルエーテル(E)の含有比率をそれぞれ5%〜95%の範囲で変えた。また、記録媒体としてユーライトを用い、打滴条件及び乾燥条件は先の評価実験と同一である。なお、色材浮遊を評価する際には、記録媒体上に格子状(線間が10ドットおき)の画像を形成し、顕微鏡により当該画像を拡大して線間隔のズレを計測した。
「色材浮遊」とは、記録媒体上でインクを凝集又は増粘させる機能を持つ処理液とインクを反応させて記録媒体にインクを定着させる2液方式の画像記録において、液体状の処理液にインクを打滴するとインク(ドット)が記録媒体の表面に達する前に処理液中で凝集(増粘)してしまい、当該インクが記録媒体上の所定の着弾位置に定着せずに移動してしまう現象である。
色材浮遊の評価は、所定の着弾位置にドットが形成される場合(色材浮遊が起こらない場合)を評価○、ドットの移動が1ドット未満の場合を評価△、ドットの移動が1ドット以上の場合を評価×とした。
Figure 2009226851
上記〔表4〕に示すように、高沸点有機溶剤の含有比率が5%の場合には(水準41,50:比較例)カール評価は×であり、記録媒体に許容範囲を超えたカールが発生してしまう。一方、高沸点有機溶剤の含有比率が10以上90%以下の場合には(水準41〜48、51〜57:本発明)、記録媒体にはカールが発生しない。
なお、高沸点有機溶剤の含有比率が95%の場合には(水準49,58:比較例)、記録媒体にカールは発生しないものの、色材浮遊が発生してしまう。したがって、カール抑制の観点では、高沸点有機溶剤の含有比率は10%以上95%以下が好ましく、カールを抑制するとともに2液方式における色材浮遊を防止するという観点では、高沸点有機溶剤の含有比率は10%以上90%以下が好ましい。
上述した評価実験の結果をまとめると、インクに含有する高沸点有機溶剤のSP値は27.4(28.0)(MPa)1/2以下が好ましく、含有比率は10%以上90以下が好ましい。より好ましい高沸点有機溶剤の含有比率は10%以上30以下である。
上記の如く構成された画像記録方法によれば、インク中に含有する高沸点有機溶剤のSP値を28.0(MPa)1/2以下とするとともに、含有比率を10%以上95%以下とすることで、インクが用紙16に浸透した場合でも、用紙16のセルロース繊維間の水素結合の切断、再結合を抑制することができ、用紙16へのインクの浸透を抑制し、用紙16のカールが防止される。また、高沸点有機溶剤の含有比率を10%以上90%以下とすることで、インクを凝集又は増粘させる機能を有する処理液をインクに先立ち用紙16に付与した場合に起こるインク浮遊を防止することができる。更に、高沸点有機溶剤の含有比率を10%以上30以下(カール評価、色材浮遊評価がともに○評価)とするとより好ましい。
〔装置構成〕
次に、図1(a)〜(c)に示した画像記録方法が適用される画像記録装置(インクジェット記録装置)について説明する。図2は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置10の全体構成図である。
図2に示すように、インクジェット記録装置10は、CMYK各色に対応するヘッド12C,12M,12Y,12Kを含むインク打滴部12から、用紙搬送部14によって所定の用紙搬送方向Aに搬送される用紙16に対して、CMYK各色のインクを打滴して所望のカラー画像を記録するオンデマンド方式の画像記録装置である。
インクジェット記録装置10は、浸透抑制剤(図1(a)参照)を用紙16に付与する浸透抑制剤付与部18と、浸透抑制剤中の溶媒を乾燥させる浸透抑制剤乾燥部20と、乾燥処理が施された浸透抑制剤層(図1(a),(b)参照)に処理液を付与する処理液付与部22と、処理液中の溶媒を乾燥させる処理液乾燥部24と、上述したインク打滴部12と、インク中の溶媒を乾燥させるインク乾燥部26と、インク色材を用紙16に定着させる処理を施す定着加圧部28と、を含んで構成されている。
即ち、用紙搬送部14に保持された用紙16は図2における左から右へ搬送され、先ず浸透抑制剤付与部18から浸透抑制剤が付与され、浸透抑制剤付与部18の用紙搬送方向下流側に設けられる浸透抑制剤乾燥部20によって乾燥処理が施される。その後、浸透抑制剤乾燥部20の用紙搬送方向下流側に設けられる処理液付与部22から処理液が付与され、更に、処理液付与部22の用紙搬送方向下流側に設けられる処理液乾燥部24によって乾燥処理が施される。
なお、浸透抑制剤に樹脂粒子を分散又は溶解させた場合には(樹脂粒子を含有する場合には)、浸透抑制剤付与部18の浸透抑制剤付与領域にヒータ等の加熱手段を備え、用紙16に付与された浸透抑制剤を樹脂粒子の最低造膜温度(当該樹脂の少なくとも一部が皮膜化する温度)を超える温度に加熱し、用紙16に付与された浸透抑制剤を皮膜化する態様も好ましい。
即ち、用紙16の温度Tと樹脂粒子の最低造膜温度Tとの関係が、次式(1)を満たすことが好ましい。
>T …(1)
また、浸透抑制剤乾燥部20の乾燥温度の乾燥温度T及び処理液乾燥部24の温度T’と樹脂粒子のガラス転移点温度Tg1との関係が、次式(2)、(3)を満たすことが好ましい。
<Tg1 …(2)
’<Tg1 …(3)
即ち、浸透抑制剤乾燥部20の乾燥温度の乾燥温度T及び処理液乾燥部24の温度T’が樹脂粒子のガラス転移点温度Tg1未満の温度とすることで、浸透抑制剤の乾燥処理時及び処理液の乾燥処理時に浸透抑制剤層に亀裂等の劣化が生じることを防止する。
次に、処理液乾燥部24の用紙搬送方向下流側に設けられるインク打滴部12から画像データに応じてインク液滴が打滴され、インク打滴部12の用紙搬送方向下流側に設けられるインク乾燥部26によって乾燥処理が施される。
用紙搬送部14には、複数のローラに巻き掛けられた無端状のベルトの表面に用紙16を保持して搬送するベルト搬送や、ドラムの外周面に用紙16を保持し、ドラムを所定の回動方向に回動させてドラムの外周面上で用紙16を搬送するドラム搬送などの方式が好適に用いられる。また、用紙搬送部14に用紙16を保持する方式には、エアの吸引によるエア吸着、静電気による静電吸着、用紙の端部をニップ保持する方式などの様々な方式を適用することができる。
本例の浸透抑制剤付与部18及び処理液付与部22にはインクジェット方式(インクジェットヘッド)が好適に用いられる。もちろん、インクジェット方式に代わり、塗布ローラ等の塗布部材による塗布方式やスプレー方式などの方式を適用してもよい。
本例の各乾燥部には共通の構成が適用される。即ち、本例に示す各乾燥部では、媒体上方から(用紙16の画像記録面側から)乾燥処理が施される。乾燥処理は赤外線乾燥と乾燥風の併用が好ましい。また、インク中の溶媒の乾燥に代わり、もしくは乾燥と併用して、多孔質ローラによる溶媒吸収を行ってもよい。また、用紙16を保持する構造体(例えば、ベルトやドラムの内部)にヒータを内蔵する態様を適用することも可能である。
インクの打滴量は浸透抑制剤の打滴量や処理液の打滴量よりも多くなるので、インク打滴部12の後段に設けられるインク乾燥部26は、他の乾燥処理部よりも容量を大きくし、強力に乾燥させるように構成する態様が好ましい。
インク乾燥部26の用紙搬送方向下流側に設けられる定着加圧部28では、色材凝集体に対して、0.01〜2.0MPa程度の圧力と40〜100℃程度の加熱をかけ、インク中の分散ポリマーを溶融させ、用紙16(図1(a),(b)に図示する浸透抑制層1A)との密着を強化することが好ましい。また、定着加圧部28に代わって、用紙16の表面(画像記録面)ラミネート処理を施してもよい。
なお、浸透抑制剤に樹脂粒子を含有する場合には、定着温度Tと浸透抑制剤に含有する樹脂粒子のガラス転移点温度Tg1との関係が、次式(4)を満たすことが好ましい。
>Tg1 …(4)
即ち、定着工程における定着温度(定着処理時の用紙16の温度)Tを浸透抑制剤に含有する樹脂粒子のガラス転移点温度Tg1を超える温度とすることで、用紙16上の画像(インク色材)と浸透抑制層(樹脂膜)との密着性が向上する。
また、インク中に樹脂粒子を含有する場合には、定着温度Tとインク中に含有する樹脂粒子のガラス転移点温度Tg2との関係が、次式(5)を満たすことが好ましい。
>Tg2 …(5)
即ち、定着温度Tをインク中に含有する樹脂粒子のガラス転移点温度Tg2を超える温度とすることで、定着工程時にインクに含有する樹脂粒子が溶融(軟化)し、画像全体の強度が向上する。
定着加圧部28の用紙搬送方向には、センサ30が設けられている。センサ30は、用紙16に記録された画像を撮像する撮像素子(CCD)を含んで構成される。本例のインクジェット記録装置10では、センサ30による撮像結果に基づいて、インク打滴部12の色ごとに異常(インクの吐出異常)の有無が判断される。
センサ30は、カラー画像を読み取り可能に構成されている。例えば、RGBの各色に対応したフィルタRGBの各色に対応したセンサを別個に備えてもよいし、所定の配列で並べられたRGBの各色に対応したカラーフィルタを備える構成でもよい。また、撮像素子を1列に並べたラインセンサを用いてもよいし、撮像素子を2次元状に並べたエリアセ ンサを用いてもよい。
図示は省略するが、インクジェット記録装置10には、用紙搬送部14に用紙16を供給する給紙部が設けられている。複数種類の用紙(記録媒体)を利用可能な構成にした場合(用紙16が収容されるマガジンを複数備える場合)、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体を各マガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出及び処理液付与、浸透抑制剤の付与を実現するようにインク吐出制御及び処理液付与制御、浸透抑制剤付与制御を行うことが好ましい。
なお、ロール状に巻かれた長尺の連続用紙等を用いる場合には、浸透抑制剤付与部18の前段に用紙16を所定の長さにカットするカッターが設けられている。裁断用のカッターの構成例を挙げると用紙16の幅以上の長さを有する固定刃と、該固定刃に沿って移動する丸刃とから構成され、印字裏面側に固定刃が設けられ、用紙16の搬送路を挟んで印字面側に丸刃が配置される構成が挙げられる。
また、図示は省略するが、インクジェット記録装置10には、インク打滴部12の各ヘッド12C,12M,12Y,12Kにインクを供給するインク貯蔵/装填部を備えている。インク貯蔵/装填部は、各ヘッド12C,12M,12Y,12Kに対応する色のインクを貯蔵するインク供給タンク(図7に符号60で図示)を有し、各色のインクは所要のインク流路を介して各ヘッド12C,12M,12Y,12Kと連通されている。また、インク貯蔵/装填部は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有する部材が用いられる。
なお、上述したインク貯蔵/装填部と同様に、浸透抑制剤付与部18に対して浸透抑制剤を供給する構成を備えるとともに、処理液付与部22に対して処理液を供給する構成を備えている。また、本例に示すインクジェット記録装置10は上述した構成以外にも、用紙搬送部14の用紙を保持する面の汚れを除去するクリーニング処理部や、用紙搬送路上における用紙16の位置を検出する位置検出センサ、インク打滴部12の周辺など装置各部の温度を検出する温度センサ、画像記録後の用紙16を装置外部に排出する排紙部、上述した各部を用紙搬送路上と所定の退避位置との間を移動させる移動機構などを備えている。
〔印字部の説明〕
次に、インク打滴部12について詳説する。図3に示すように、インク打滴部12の各ヘッド12C,12M,12Y,12Kは、用紙16における画像記録領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像記録領域の全幅にわたりインク吐出用のノズル(図4に符号51で図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
ヘッド12C,12M,12Y,12Kは、用紙16の搬送方向(副走査方向;符号Aで図示)に沿って上流側から黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12C,12M,12Y,12Kが用紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に延在するように固定設置される。
用紙16の全幅をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッドを各色インクに対してそれぞれ設ける構成によれば、用紙搬送方向について、用紙16とインク打滴部12の各ヘッド12C,12M,12Y,12Kとを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち、1回の副走査で)、用紙16の画像記録領域に画像を形成することができる。これにより、ヘッド12C,12M,12Y,12Kが用紙搬送方向と直交する主走査方向に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッド12C,12M,12Y,12Kの構造について詳説する。ヘッド12C,12M,12Y,12Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示す。なお、浸透抑制剤付与部18に含まれるインクジェットヘッド(浸透抑制剤ヘッド)及び処理液付与部22に含まれるインクジェットヘッド(処理液ヘッド)にもヘッド50と同様の構成を適用することができるので、本例のインクジェット記録装置10に含まれるインクジェットヘッドについて、ヘッド12C,12M,12Y,12Kを用いて説明する。
図4(a)はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図4(b)はその一部の拡大図である。また、図4(c)はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図5はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図4(a),(b)中の5−5線に沿う断面図)である。
用紙16上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図4(a),(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(副走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
主走査方向に用紙16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図4(a)の構成に代えて、図4(c)に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで用紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドモジュールを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。図5に示すように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインク供給タンク(図5中不図示、図7に符号60で図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは図5の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される振動板56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図6に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙16の幅方向(用紙16の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図4(a),(b)に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11、51-12、51-13、51-14、51-15、51-16を1つのブロックとし(他にはノズル51-21、…、51-26を1つのブロック、ノズル51-31、…、51-36を1つのブロック、…として)、用紙16の搬送速度に応じてノズル51-11、51-12、…、51-16を順次駆動することで用紙16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙16とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるラインまたは複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、用紙16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する用紙16の幅方向が主走査方向ということになる。なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。
また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表される圧電素子58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、用紙16の幅方向の長さに満たない短尺のヘッドを用紙16の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると用紙16を幅方向と直交する方向に所定量だけ移動させて、次の印字領域の用紙16の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して用紙16の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
〔供給系の構成〕
図7はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インク供給タンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、先に説明したインク貯蔵/装填部に含まれる。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図7に示すように、インク供給タンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図7には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ヘッド50のインク吐出面の清掃手段としてクリーニングブレード66が設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニット(メンテナンス手段)は、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、圧電素子58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(圧電素子58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)圧電素子58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ64(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、圧電素子58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合にはヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード66はゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面に摺動可能である。インク吐出面にインク液滴または異物が付着した場合、クリーニングブレード66をインク吐出面に摺動させることでインク吐出面を拭き取り、インク吐出面を清掃する。
〔制御系の説明〕
図8は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システム制御部72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、定着加圧制御部79、プリント制御部80、画像バッファメモリ(不図示)、ヘッドドライバ84、浸透抑制剤付与制御部90、処理液付与制御部92、演算部94等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像やセンサ30によって読み取られた画像の読取データ、演算部94による演算後のデータ(画像処理後の画像)等を一旦格納する記憶手段であり、システム制御部72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システム制御部72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システム制御部72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
画像メモリ74には、システム制御部72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。また、システム制御部72等を構成するプロセッサ類に内蔵されるメモリを画像メモリ74として用いてもよい。
モータドライバ76は、システム制御部72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。図8には、装置内の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号88で図示されている。例えば、図8に示すモータ88には、図1の用紙搬送部14の駆動源として機能するモータや、各部の移動機構のモータ、図7のクリーニングブレード66を移動させる機構のモータなどが含まれる。
ヒータドライバ78は、システム制御部72からの指示にしたがって、ヒータ89を駆動するドライバである。図8には、インクジェット記録装置10に備えられる複数のヒータを代表して符号89で図示されている。例えば、図8に示すヒータ89には、図1の浸透抑制剤乾燥部20のヒータや、処理液乾燥部24のヒータ、インク乾燥部26のヒータなどが含まれている。
プリント制御部80は、システム制御部72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84及び浸透抑制剤付与制御部90、処理液付与制御部92に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。また、当該画像データに基づいて浸透抑制剤付与制御部90を介して浸透抑制剤付与部18の浸透抑制剤付与量や付与タイミングが制御されるとともに、処理液付与制御部92を介して処理液付与部22の処理液付与量や付与タイミングが制御される。
プリント制御部80には不図示の画像バッファメモリが備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリに一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステム制御部72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられる画像データに基づいてヘッド12C,12M,12Y,12Kの圧電素子58に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子58に印加して圧電素子58を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図8に示すヘッドドライバ84には、ヘッド50の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システム制御部72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGBのラスターデータをKCMYの4色のドットデータに変換するRIP処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、不図示の画像バッファメモリに蓄えられる。なお、浸透抑制剤のドットデータや処理液のドットデータも同様に生成される。
演算部94は、センサ30から得られた検出信号に所定の信号処理を施す機能を有するブロックである。例えば、センサ30の読取信号からドットの欠陥(形状の異常、位置の異常)の情報を生成し、当該吐出異常情報をプリント制御部80に提供する。プリント制御部80では、当該吐出異常情報に基づいて画像データ(ドットデータ)の補正が行われる。
不図示のプログラム格納部には各種制御プログラムが格納されており、システム制御部72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部は動作パラメータ等の記憶手段(不図示)と兼用してもよい。
〔浸透抑制剤及び処理液の付与方法の説明〕
次に、浸透抑制剤及び処理液の付与方法について詳述する。前述のように、浸透抑制剤および処理液はローラ塗布等のような全面塗布でもよいが、本例ではインクジェット方式を適用することで、インクに対してドットオンドットで処理液を打滴することができ、更に、処理液に対してドットオンドットで浸透抑制剤を打滴することができるので、非画像部(インクのドットが配置されない部分)の質感を変えることなく維持することができ、また、処理液及び浸透抑制剤の消費量の低減化にも寄与する。
更に、以下に示す打滴方法では、処理液及び浸透抑制剤を色材入りインクの打滴箇所及びその周辺のみに選択的に付与する方式を適用している。図9(a)〜(c)には、インク及び処理液、浸透抑制剤の付与例を模式的に図示する。
図9(a)に示すドット配置100には、インクによるドット102の配置を表している。インクドットはCMYK各色の論理和であり、CMYK各色のうち1色でもドットが存在する場合にはドットが配置されるとしている。また、図9(b)に示すドット配置110は処理液によるドット112の配置を表し、図9(c)に示すドット配置120は浸透抑制剤によるドット122の配置を表している。
図9(a)〜(c)には、浸透抑制剤、処理液、インクの順に付与面積を小さくする態様を図示している。言い換えると、図9(a)に示すインク打滴領域(インクドット102が形成される領域)とその周辺に処理液を打滴し(図9(b)に示す処理液ドット112を形成し)、処理液打滴領域(処理液ドット112が形成される領域)とその周辺に浸透抑制剤を打滴する(浸透抑制剤ドット122を形成する)という構成が好ましい。
インク打滴領域の周辺に処理液を打滴する方法、処理液打滴領域の周辺に浸透抑制剤を打滴する方法として、図9(a)〜(c)にはインク打滴部(インクの打滴点、インクドット102が形成されている部分)とその上下左右に処理液を打滴し、さらに処理液打滴部(処理液の打滴点、処理液ドット112が形成されている部分)の上下左右に浸透抑制剤を打滴する例を示した。なお、上下左右に加え、右斜め上、左斜め上、右斜め下、左斜め下を加えてもよい。「打滴点」とは、画像上(用紙上)においてドットを形成し得る位置である。
即ち、図9(a)〜(c)に態様では、インクによるドット、処理液によるドット、浸透抑制剤によるドットの大きさを変えずに、インクの打滴点に隣接する打滴点を含む周囲の打滴点に処理液を打滴するように処理液の打滴点をインクの打滴点よりも増やすとともに、処理液の打滴点に隣接する打滴点を含む周囲の打滴点に浸透抑制剤を打滴するように、浸透抑制剤の打滴点を処理液の打滴点よりも増やして、インク、処理液、浸透抑制剤の打滴点を決める方法が挙げられる。
言い換えると、図9(a)〜(c)に示す態様では、インクドット102の周囲を囲むように処理液ドット112が形成されるとともに、処理液ドット112の周囲を囲むように浸透抑制剤ドット122が形成される。なお、図9(a)〜(c)にはインク打滴領域の外側に1ドット分の処理液打滴領域を設け、更に、処理液打滴領域の外側に1ドット分の浸透抑制剤打滴領域を設ける態様を例示したが、インク打滴領域の外側に2ドット分以上の処理液打滴領域を設けてもよいし、処理液打滴領域の外側に2ドット分以上の浸透抑制剤打滴領域を設けてもよく、記録画像(記録画像のインクドット密度)に応じて適宜決めるとよい。
図9(a)〜(c)に示す態様によれば、処理液の打滴領域を囲むように処理液に先立って浸透抑制剤を打滴するので、浸透抑制剤が存在しない領域に処理液が着弾することがなく、確実に用紙16のカールが防止される。また、インクの打滴領域を囲むようにインクに先立って処理液を打滴するので、処理液が存在しない領域にインクが着弾することがなく、確実にインクと処理液を反応させることができる。
図10(a)〜(c)には、インク、処理液、浸透抑制剤の順に打滴量を増やした場合のドット配置の例を示している。即ち、図10(a)〜(c)には処理液及び浸透抑制剤のドット数を変更せずに、処理液ドット132、浸透抑制剤ドット142の大きさを変更する態様を示す。図10(a)に示すドット配置100は、図9(a)に示すインクドット102のドット配置と同一であり説明は省略する。
図10(b)に示すドット配置130は処理液ドット132の配置を表し、処理液ドット132は、図10(a)に示すインクドット102と同一打滴点に形成されるとともに、インクドット102よりも大きいサイズを有している。また、図10(c)に示すドット配置140は、浸透抑制剤ドット142のドット配置を表し、浸透抑制剤ドット142はインクドット102及び処理液ドット132と同一打滴点に形成されるとともに、処理液ドット132によりも大きいサイズを有している。
なお、処理液ドット132のサイズをインクドット102のサイズよりも大きくするには、処理液の打滴量をインクの打滴量よりも多くする代わりに、処理液に含有する界面活性剤の含有量を調整して処理液をインクよりも濡れ広がるよう調整してもよい。更に、打滴量の調整と界面活性剤の含有量の調整を組み合わせてもよい。また、浸透抑制剤ドット142のサイズを処理液ドット132のサイズよりも大きくする方法にも同様の方法を適用することができる。
インクドット102の面積に対する処理液ドット132の面積は、1.2倍以上3.0倍以下が好ましく、より好ましくは1.5倍以上2.0倍以下である。また、処理液ドット132の面積に対する浸透抑制剤ドット142の面積は、1.2倍以上4.0倍以下が好ましく、より好ましくは1.5倍以上2.0倍以下である。
図10(a)〜(c)に示す態様によれば、インクのドット配置を浸透抑制剤のドット配置(処理液のドット配置)に利用でき、制御系の演算負荷の低減化に寄与する。
図11(a)〜(c)には、浸透抑制剤、処理液、インクの順に打滴密度を上げるという態様を図示する。図11(a)に示すドット配置100は、インクドット102のドット配置を表し、図9(a)及び図10(a)に図示したドット配置100と同一である。図11(b)に示すドット配置150は処理液ドット152のドット配置であり、図11(a)に示すインクドット102のドット配置100に対してドット密度が主走査方向及び副走査方向ともに1/2になっており、処理液ドット152の範囲内にインクドット102が1つでも存在する場合には、対応する処理液ドットが打滴される。
図11(c)に示すドット配置160は浸透抑制剤ドット162によるドット配置を表し、図11(b)に示す処理液ドット152のドット配置150に対して主走査方向及び副走査方向ともにドット密度が1/2になっており、浸透抑制剤ドット162の範囲内に処理液ドット152が存在する場合には、対応する浸透抑制剤ドット162が打滴される。例えば、インクドット102のドット密度が1200dpiの場合には、処理液ドット152のドット密度を600dpiとし、浸透抑制剤ドット162のドット密度を300dpiとする。
言い換えると、図11(a)〜(c)に示す態様では、インクに対して処理液の打滴密度を粗くするとともに、処理液に対して浸透抑制剤の打滴密度を更に粗くして、図11(a)に示すインクドット102の周囲に図11(b)に示す処理液ドット152を形成し、更に、処理液ドット152に対して図11(c)に示す浸透抑制剤ドット162を形成している。
図11(a)〜(c)に示す態様によれば、インク打滴用のヘッド12C,12M,12Y,12Kに対して、処理液付与部22(処理液打滴用ヘッド)および浸透抑制剤付与部18(浸透抑制剤打滴用ヘッド)のノズル密度を小さくすることができる(即ち、図6におけるノズルピッチPを大きくすることができる)ので、ヘッドの製造コストを下げることができる。また、インク打滴用のヘッド12C,12M,12Y,12Kに対して、処理液付与部22(処理液打滴用ヘッド)及び浸透抑制剤付与部18(浸透抑制剤打滴用ヘッド)の吐出周波数を下げることができるので、処理液付与部22(処理液打滴用ヘッド)及び浸透抑制剤付与部18(浸透抑制剤打滴用ヘッド)の制御部位の負荷を低減することができる。
図12(a)〜(c)には、インク打滴部の前2ドット分に浸透抑制剤及び処理液を打滴する画像パターンを図示する。図12(a)に示すドット配置100は、図9(a)等に示したインクドット102のドット配置である。図12(a)における符号Bで示す矢印線は、打滴方向(用紙16の搬送方向と反対方向)を示し、図12(a)の上側から下側に向かって順にインクドット102が打滴される。なお、図12(a)〜(c)の各打滴点に対して、同図中当該打滴点の上側に位置する打滴点を「下流側の打滴点」と呼ぶこととする。即ち、下流側の打滴点の方が先に打滴されることとなる。
図12(b)に示すドット配置170は処理液ドット172のドット配置であり、図12(a)に示すインクドット102の前側(先の打滴順側)の1ドット分には、図12(b)に示す処理液ドット172が打滴されている。また、図12(c)に示すドット配置180は浸透抑制剤ドット182のドット配置であり、図12(b)に示す処理液ドット172の前側の1ドット分には、図12(c)に示すように浸透抑制剤ドット182が打滴されている。
言い換えると、図12(a)〜(c)に示すドット配置では、インクドットの打滴点の1つ前の(1つ下流側の)打滴点とインクドットの打滴点には処理液ドットが打滴されるとともに、処理液ドットの打滴点の1つ前(1つ下流側の)の打滴点と処理液ドットの打滴点には浸透抑制剤ドットが打滴される。なお、浸透抑制剤及び処理液は略透明であるため、それらがインクドットの打滴点に対して下流側の打滴点に打滴されても、ほとんど視認されないため、このような制御を行うことによる画像の劣化はほとんど起こらない。
以上まとめると、図12(a)〜(c)に示す態様によれば、浸透抑制剤及び処理液の吐出不良、特に、始動時やインターバル後の最初の(1発目の)吐出における吐出不良を防止することができる。
〔浸透抑制剤塗布制御の説明〕
次に、本例の画像記録における浸透抑制剤の付与(処理液の付与)について詳述する。
<第1制御例>
図13は、第1制御例に係る浸透抑制剤付与の制御を示すフローチャートである。
画像記録中に当該浸透抑制剤付与処理が開始されると、先ず、画像記録に用いられる紙情報(用紙の種類)を取得する(ステップS10)。紙情報は、給紙トレイに取り付けられたICタグ(情報記録媒体)から自動的に取得してもよいし、オペレータによって入力してもよい。また、テストプリントを印刷し、実際に作業者がカールの状態を判断してもよい。
一方、画像記録において、画像データに基づきインクのドットデータ及び処理液のドットデータが生成され(ステップS100)、単位面積ごとのインクの打滴量及び処理液の打滴量が算出される(ステップS102)。浸透抑制剤を打滴する場合には、ステップS102において画像領域(インクが付与される領域)を複数の領域に分割し、領域ごとにインク及び処理液の打滴量が算出される。画像領域の分割方法として、各領域が等しい面積となるように分割する方法が挙げられる。
各画像領域の1辺の長さは、100mm以下が好ましく、50mm以下がさらに好ましい。また、浸透抑制剤をローラ等で塗布する場合には、画像領域を複数の領域に分割することはせず、画像領域全体に対して処理液及びインクの打滴量を算出する。言い換えると、浸透抑制剤をローラ等で塗布する場合には、画像領域全体を「単位面積」として扱う。
ステップS10において紙情報が取得されると、当該用紙はカールが発生する紙であるか否かが判断される(ステップS12)。「カールが発生しない紙」とは、OHPシートやプラスチック基材等のセルロースのない媒体、インクジェット専用紙等のセルロースの上に既に浸透遮断層が形成されている紙が挙げられる。ステップS12において使用される用紙はカールが発生しない紙であると判断されると(YES判定)、浸透抑制剤を付与せずに画像記録が実行される(ステップS16)。
ステップS12においてカールが発生する紙であると判断されると(NO判定)、当該用紙はカールが発生しやすい紙であるか否かが判断される(ステップS18)。「カールが発生しにくい紙」とは、段ボール、厚紙等の厚みが厚い紙、アート紙、コート紙等の溶媒の浸透が遅い紙(難浸透性媒体)が挙げられる。また、「カールが発生しにくい紙」とは、上質紙、微塗工紙等の溶媒の浸透が速い紙(浸透性媒体)が挙げられる。
ステップS18においてカールが発生しやすい紙であると判断されると(ステップS20)、ステップS102で求められた打滴量と予め設定されたしきい値(しきい値1)が比較される(ステップS22)。ステップS22において、打滴量が所定のしきい値1よりも小さい場合(カールが発生しない程度の打滴量の場合)には(NO判定)、ステップS16に進み、浸透抑制剤を付与せずに画像記録が行われる。一方、ステップS22において、打滴量がしきい値1よりも大きい場合(カールが発生する可能性がある打滴量の場合)には、通常の量の浸透抑制剤が付与され(ステップS24)、画像記録が行われる。
また、ステップS18においてカールしにくい紙であると判断されると(NO判定)、ステップS102で求められた打滴量と予め設定されたしきい値(しきい値2)が比較される(ステップS28)。ステップS28において、打滴量がしきい値2よりも小さい場合(カールが発生しない程度の打滴量の場合)には(NO判定)、ステップS16に進み、浸透抑制剤を付与せずに画像記録が行われる。一方、ステップS28において打滴量がしきい値2よりも大きい場合(カールが発生する可能性がある打滴量の場合)には、浸透抑制剤が少量付与され(ステップS30)、画像記録が行われる。
即ち、本例に示す浸透抑制剤の付与制御では、インク及び処理液の打滴量を算出した領域ごとに打滴としきい値1,2が比較され、領域ごとに浸透抑制剤の付与の有無が判断され、領域ごとに浸透抑制剤の付与が制御される。
ステップS24における「通常量」とは、処理液の打滴量に対して処理液が浸透しない効果を発揮するために決められたドットサイズ及びドット数に応じて浸透抑制剤を付与することを意味し、ステップS30における「浸透抑制剤の少量付与」とは、前記「通常量」のドットサイズ及びドット数に対して、ドットを間引いたり液滴量を小さくしたりすることを意味する。
なお、本例で示した「カールが発生しない紙」、「カールが発生しにくい紙」、「カールが発生しやすい紙」といった分類は便宜的なものであって、紙(媒体)の種類ごとに浸透抑制剤を付与するものであるか、浸透抑制剤を付与するものについては少量付与とするか、通常付与とするかを予め実験等によって求めデータベース化して記憶しておき、紙情報の取得時に当該データベースを参照して浸透抑制剤の付与について判断することが好ましい。
このように構成された第1制御例における浸透抑制剤付与制御によれば、使用される用紙の種類に応じて、カールしない紙を用いる場合には浸透抑制剤を付与せずに画像記録を行い、カールしにくい紙を用いる場合には浸透抑制剤を通常量よりも少量付与し、更に、カールしやすい紙を用いる場合に浸透抑制剤を通常量付与するように構成されるので、紙(記録媒体)の種類に応じた好ましい浸透抑制剤の付与が行われる。
また、画像領域を複数に分割し、分割領域ごとに浸透抑制剤の付与を制御するので、画像の内容に応じたより好ましい浸透抑制剤の付与が行われる。
<第2制御例>
次に、浸透抑制剤付与制御の第2制御例について説明する。以下に説明する第2制御例では、インクの打滴不良(不吐出、打滴位置や打滴量のずれ)によって浸透抑制剤の吐出の有無を変更するように制御が行われる。
図2等に示すフルライン型ヘッドを用いたシングルパス方式の画像記録では、インクの打滴不良が起こると、その箇所(吐出不良ノズルに対応する画像上の位置)がスジムラとなって視認される。本例では、このようなスジムラを解消する方法として、予めテストパターン等によってスジムラが発生する箇所(吐出不良ノズル)を認識し、その箇所(吐出不良ノズルと認識されたノズルに対応する画像上の位置)にのみ(または、その箇所と周辺箇所に)浸透抑制剤を付与しないことにより、その箇所のインクがにじみ、スジムラの視認性を下げることができる。浸透抑制剤とともに処理液も付与しないという態様にしてもよい。
図14(a)〜(c)には、第2制御例におけるドット配置を示す。図14(a)〜(c)において中央のノズル51Aが不吐出になっているとすると、中央のノズル(不吐出ノズル)51Aに対応する打滴点(図14(a)に破線で図示したドットの打滴点)及びその左右に隣接する打滴点(図14(b)中破線で図示したドットの打滴点)へは浸透抑制剤、処理液を吐出しないように、浸透抑制剤及び処理液の打滴が制御される。
これにより、インクドットがにじみ(図14(c)には、符号102’で滲んで所定のサイズよりも大きくなったドットを図示)、スジムラの視認性を下げることができる。
なお、吐出異常の検出には以下に説明する方法が用いられる。
先ず、テストパターンの印字を行い、図1に示すセンサ30を用いて当該テストパターンを読み取り、ドット情報の取り込みを行う。取り込んだドット情報に基づいて各々のドットの濃度及び中心座標を算出する。当該テストパターンでは、すべてのノズルから同じ量のインク液滴を吐出させて、すべてのノズルに対応するドットが形成される。
なお、図4(a)に示すようにノズル51がマトリクス配置されている場合には、各々のドットが重ならないように離れた位置に打滴し、例えば、階段状のテストパターンを形成する。
このようにして求められた各ノズルにおけるドットの中心座標(ドットの位置)及びドットの濃度と理論上のドットの中心座標及びドットの濃度を比較して、各ノズルについて吐出異常(不吐出、ドット位置の異常、ドットの濃度の異常)の有無が判断される。なお、吐出異常の検出方法は、上述した方法以外の方法を用いることも可能である。
上述した第2制御例に係る浸透抑制剤付与制御によれば、インクの吐出異常を検出するとともに吐出異常が発生しているノズルを特定し、少なくとも吐出異常ノズルに対応する打滴点の用紙搬送方向と直交する方向の隣接打滴点には浸透抑制剤及び処理液を付与しないように浸透抑制剤の付与及び処理液の付与が制御されるので、吐出異常ノズルに隣接するノズルから吐出されたインクが用紙上でにじみ、当該インクによりドットが所定のサイズよりも大きくなることで、吐出異常ノズルに起因するスジムラの視認性を低減することができる。
〔他の装置構成例〕
次に、本発明に適用可能な他の装置構成例について説明する。
図15は、他の装置構成例に係るインクジェット記録装置200の概略構成図である。同図に示すインクジェット記録装置200は、図2に示すインクジェット記録装置10の用紙搬送部14に代わり、ドラム形状の搬送部材の周面に用紙16を固定して用紙16を搬送するドラム搬送方式が適用される。
図15に示すように、インクジェット記録装置200は、用紙(記録媒体)214の片面のみに印刷可能な片面機であり、用紙214を供給する給紙部202と、用紙214に対して浸透抑制処理(浸透抑制層形成)を行う浸透抑制処理部(浸透抑制剤付与部)204と、用紙214に処理液を付与する処理液付与部206と、用紙214に色インクを付与して画像記録を行う印字部(画像記録部、インク打滴部)208と、用紙214に記録された画像に定着処理を施す定着処理部210と、画像が形成された用紙214を搬送して排出する排紙部212とから主に構成される。
<給紙>
給紙部202には、用紙214を積載する給紙台220が設けられている。給紙台220の前方(図15において左側)にはフィーダボード222が接続されており、給紙台220に積載された用紙214(カット状のシート)は1番上から順に1枚ずつフィーダボード222に送り出される。フィーダボード222に送り出された用紙214は、渡し胴224aを介して、浸透抑制処理部204の圧胴226aの表面(周面)に給紙される。
なお、本例では用紙214としてマットコート紙(例えば、ユーライト(日本製紙社製商品名))を用いる場合について説明する。
<浸透抑制層形成>
浸透抑制処理部204には、圧胴226aの回転方向(図15において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴226aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット228、浸透抑制剤ヘッド230、及び浸透抑制剤乾燥ユニット232がそれぞれ設けられている。
用紙予熱ユニット228及び浸透抑制剤乾燥ユニット232には、それぞれ所定の範囲で温度制御可能なヒータが設けられる。圧胴226aに保持された用紙214が、用紙予熱ユニット228や浸透抑制剤乾燥ユニット232に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータ(赤外線ヒータ)によって加熱される。
浸透抑制剤ヘッド230は、圧胴226aに保持される用紙214に対して浸透抑制剤を打滴するものであり、後述する印字部208の各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bと同一構成が適用される。
本例では、用紙214の表面に対して浸透抑制処理を行う手段として、インクジェットヘッドを適用したが、浸透抑制処理を行う手段については特に本例に限定されるものではない。例えば、スプレー方式、塗布方式などの各種方式を適用することも可能である。
浸透抑制剤には、溶液中に樹脂をエマルジョンの形で分散、もしくは樹脂を溶解させた液体が適用される。浸透処理剤を用紙214に付与する際に、用紙214の表面の温度Tを樹脂の最低造膜温度Tf1より高くしておくと、浸透抑制剤に含まれる樹脂が用紙214に付着すると、即座に良好な樹脂膜(浸透抑制剤層)を形成し、その後、用紙214に付与されるインク中の溶媒の用紙214内部への浸透を良好に抑制する。TとTf1との差はおよそ10〜20℃が好ましい。
本例の浸透抑制剤として、例えば、熱可塑性樹脂ラテックス溶液が好適に用いられる。もちろん、浸透抑制剤は、熱可塑性樹脂ラテックス溶液に限定されるものではなく、例えば、平板粒子(雲母等)や撥水剤(フッ素コーティング剤)などを適用することも可能である。また、浸透抑制剤の溶媒としては、有機溶剤又は水を用いる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、石油類、等が好適に用いられる。
本例では、用紙214の温度調節に圧胴226aの表面に対向するヒータを用いる態様を例示したが、圧胴226の内部にヒータ等の発熱体を設置する態様や、用紙214の上面から熱風(乾燥風)を当てる態様を適用してもよい。また、これらを組み合わせてもよい。
<凝集処理液付与>
浸透抑制処理部204に続いて処理液付与部206が設けられている。浸透抑制処理部204の圧胴226aと処理液付与部206の圧胴226bとの間には、これらに対接するようにして渡し胴224bが設けられている。これにより、浸透抑制処理部204の圧胴226aに保持された用紙214は、浸透抑制処理が行われた後に、渡し胴224bを介して処理液付与部206の圧胴226bに受け渡される。
即ち、ドラム状の圧胴226(226a〜226d)上にて用紙214の先端部がグリッパー215で保持されて圧胴226の周面上を用紙214が(図15における半時計周りに)回転する。所定の処理が施された用紙214の先端部は、渡し胴224(224a〜224d)にて受け渡しが行われる。本例では、1個の圧胴226に2個のグリッパー215(215a,215b)が設けられており、渡し胴224には1個のグリッパー216が設けられている。
渡し胴224もドラム状となっており、用紙214の先端部を上流側の圧胴226から受け渡されて、グリッパー216にて用紙214の先端部を保持して(図15における時計周りに)回転し、下流側の圧胴226に用紙214を受け渡す。
処理液付与部206には、圧胴226bの回転方向(図15において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴226bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット234、処理液ヘッド236、及び処理液乾燥ユニット238がそれぞれ設けられている。
処理液付与部206の各部(用紙予熱ユニット234、処理液ヘッド236、及び処理液乾燥ユニット238)については、上述した浸透抑制処理部204の用紙予熱ユニット228、浸透抑制剤ヘッド230、及び浸透抑制剤乾燥ユニット232とそれぞれ同様の構成が適用されるため、ここでは説明を省略する。もちろん、浸透抑制処理部204と異なる構成を適用することも可能である。
本例で用いられる処理液(凝集処理剤)は、後段の印字部208に配置される各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bから用紙214に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液である。
処理液付与部206に搬送された用紙214には、処理液ヘッド236により全面に対して処理液が5μmの厚みで付与される。本例では、インクジョット方式を適用しているので、処理液を画像信号(画像データ)に応じて選択的に打滴する態様も可能である。かかる態様は、乾燥時間の短縮や加熱エネルギーの削減が可能となる。
一方、処理液をインクジェット方式ではなく、ローラなどの塗設装置によって塗設する態様も可能ある。塗設方式では、インクジェット方式を用いた場合よりも処理液を薄層で塗設することができ、かかる態様においても乾燥時間の短縮や加熱エネルギーの削減が可能となる。
処理液乾燥ユニット238のヒータの加熱温度は、圧胴226bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド236の吐出動作によって用紙214の表面に付与された処理液を乾燥させて、用紙214上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような温度(例えば、70℃)に設定される。更に、印字部208への渡し胴224cにおいて追加乾燥処理(例えば、60℃)を施してもよい。
なお、ヒータによる加熱に代わり、又はこれと併用して乾燥風を用いて乾燥処理を行う態様も好ましい、例えば、70℃の熱風にて1秒間乾燥させて、用紙214上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層を形成してもよい。
ここでいう「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、以下に定義する含水率が0〜70%の範囲のものを言うものとする。
Figure 2009226851
即ち、「含水率」は、処理液の単位面積あたりの重量X(g/m)に対する凝集処理剤中に含まれる水の単位面積あたりの重量X(g/m)の比(即ち、X/X)と定義する。
含水率の測定方法としては、100mm×100mmの大きさの用紙を切り出し、処理液付与後の総重量(用紙+乾燥前処理液)と乾燥後の総重量(用紙+乾燥後の処理液)を測定し、重量の減少分を測定することで、残水分量を計算した。また、乾燥前の水分量は処理液の調整処方からの計算値を用いた。
なお、液体状の処理液の上にインクを打滴すると、インクが処理液の液体層に着弾し、インクが凝集する際にインク(色材)が処理液中に浮遊(移動)してしまうことが判明した。このようなインク浮遊が発生すると、高画質化を追求する場合には画質が悪化してしまう。
処理液に対するインクの色材浮遊(移動)を防止するためには、処理液を付与した後、かつ、インクを打滴する前に、処理液を乾燥蒸発させて処理液を固体状または半固溶状にすることが有効であることが判明した。処理液の好ましい固体状又は半固溶状を処理液中の含水率で評価した結果、上記の〔数1〕で求められる処理液の含水率が70%以下になるように処理液を蒸発乾燥させると、インクの色材浮遊によるドット移動が目立たなくなる。
更に、処理液の含水率が50%以下になると、目視によるドット移動が確認できない程度に良好となり、インク浮遊による画像劣化の防止が可能である実験結果が得られた。下記〔表5〕に当該実験結果を示す。
Figure 2009226851
本例の如く、用紙214上に処理液が付与される前に、用紙予熱ユニット234のヒータによって用紙214を予備加熱する態様が好ましい。この場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えることが可能となり、省エネルギー化を図ることができる。
<画像記録(インク打滴、溶媒乾燥)>
処理液付与部206に続いて印字部208が設けられている。処理液付与部206の圧胴226bと印字部208の圧胴226cとの間には、これらに対接するようにして渡し胴224cが設けられている。これにより、処理液付与部206の圧胴226bに保持された用紙214は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴224cを介して印字部208の圧胴226cに受け渡される。
印字部208には、圧胴226cの回転方向(図15において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴226cの表面に対向する位置に、CMYKRGBの7色のインクにそれぞれ対応したインクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bと、溶媒乾燥ユニット242a、242bがそれぞれ設けられている。
各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bは、上述した浸透抑制剤ヘッド230や処理液ヘッド236と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)が適用される。即ち、各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bは、それぞれ対応する色インクの液滴を圧胴226cに保持された用紙214に向かって吐出する。
各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bは、それぞれ圧胴226cに保持される用紙214における画像記録領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像記録領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図15中不図示、図5参照)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bが圧胴226cの回転方向(用紙214の搬送方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
用紙214の画像記録領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、用紙214の搬送方向(副走査方向)について、用紙214と各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち、1回の副走査で)、用紙214の画像記録領域に1次画像を記録することができる。これにより、用紙214の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドが適用される場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
また、本例では、CMYKRGBの7色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
本例に示すインクジェット記録装置200に適用される用紙214の最大サイズは菊半サイズであり、印字部208は、菊半サイズの幅720mmに対応した直径810mmのドラム(圧胴226c)を有している。インク打滴時のドラム回転周速度は530mm/secであり、1回のインク吐出体積は2pl、記録密度は主走査方向、副走査方向ともに1200dpiである。
溶媒乾燥ユニット242a、242bは、上述した用紙予熱ユニット228、134や浸透抑制剤乾燥ユニット232、処理液乾燥ユニット238と同様に、所定の範囲で温度制御可能なヒータを含んで構成される。後述するように、用紙214上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク液滴が打滴されると、用紙214上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されるとともに、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして用紙214上に残った溶媒成分(液体成分)は、用紙214のカールだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで、本例では、各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bからそれぞれ対応する色インクが用紙214上に打滴された後、溶媒乾燥ユニット242a、242bのヒータによって加熱を行い、溶媒成分を蒸発させ、乾燥を行っている。
本例に示すインクジェット記録装置200の溶媒乾燥処理は、25℃の渡し胴224cに用紙214を保持し、70℃の熱風にて2秒間乾燥処理を行い、次に、50℃の圧胴226cに用紙214を保持し、70℃の熱風にて1秒間乾燥処理を行い、更に、60℃の圧胴226dに用紙214を保持し、70℃の熱風にて2秒間乾燥処理を行うように構成されている。
<定着処理>
印字部208に続いて定着処理部210が設けられている、印字部208の圧胴226cと定着処理部210の圧胴226dとの間には、これらに対接するように渡し胴224dが設けられている。これにより、印字部208の圧胴226cに保持された用紙214は、各色インクが付与された後に、渡し胴224dを介して定着処理部210の圧胴226dに受け渡される。
定着処理部210には、圧胴226dの回転方向(図15において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴226dの表面に対向する位置に、印字部208による印字結果を読み取る印字検出部244、加熱ローラ248a,248bがそれぞれ設けられている。
印字検出部244は、印字部208の印字結果(各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bの打滴結果)を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
画像記録された用紙214は、60℃の圧胴226dに保持され、110℃に設定された加熱ローラ248a,248bにより1MPaのニップ圧で加熱定着処理が施される。本例では、浸透抑制剤又はインクにポリマー樹脂(微粒子)を含有させておき、そのポリマー樹脂の溶解温度に応じて加熱温度を設定して当該樹脂粒子を溶解させることで、当該樹脂微粒子の結合力が強化されるとともに、用紙214と樹脂微粒子の結合力が強化される。
なお、加熱加圧処理に代わり、又はこれと併用して透明UVインクを用いて用紙214に画像を定着させる態様も好ましい。即ち、画像記録済みの用紙214に透明UVインクを付与する透明UVインクヘッドと、透明UVインクが付与された用紙214にUV光を照射するUVランプと、を備え、用紙214に透明UVインクが打滴された後、この用紙214が第1のUVランプ148に対向する位置を通過する際、用紙214上の透明UVインクにUV光(紫外光)を照射して、透明UVインクを硬化させるように構成する態様も好ましい。
透明UVインクヘッドは、印字部208の各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bと同一構成が適用され、各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bによって用紙214上に打滴された色インクに重なるように透明UVインクを打滴する。もちろん、印字部208の各インクヘッド240C、240M、240Y、240K、240R、240G、240Bと異なる構成を適用することも可能である。
かかる態様では、透明UVインク打滴量制御部(不図示)によって、UV光照射後の透明UVインクの層厚が5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは1〜3μm)となるように、透明UVインクヘッドのノズルから吐出される液滴量(透明UVインクの打滴量)を制御するとよい。なお「UV光照射後の透明UVインクの層厚」とは、UVランプによってUV光が照射された後の透明UVインクの層厚とする。即ち、複数のUVランプが設けられる場合は、記録媒体搬送方向に関して最下流側のUVランプによってUV光照射が行われた後の透明UVインクの層厚とする。
<排紙>
定着処理部210に続いて排紙部212が設けられている。排紙部212には、定着処理が施された用紙214を受ける排紙胴250と、該用紙214を積載する排紙台252と、排紙胴250に設けられたスプロケットと排紙台252の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパーを備えた排紙用チェーン254とが設けられている。
定着処理部210の圧胴226dから排紙胴250に受け渡された用紙214は排紙用チェーン254によって排紙台252に搬送される。
図15には、用紙214の片面に画像記録を行う片面機を図示したが、本発明は用紙214の両面に画像記録を行う両面機にも適用可能である。かかる両面機の構成としては、一方の面に画像が記録された用紙214の表裏を反転させる用紙反転機構と、表裏反転処理後の用紙214の他方の面に画像記録を行う構成(用紙214の一方の面に画像記録を行う構成と同一の構成を適用可能)と、備える態様が挙げられる。また、図15に示す処理液付与部206を省略する構成も可能である。
〔材料の説明〕
次に、本例に適用される浸透抑制剤、処理液(凝集処理剤)及びインクの材料について説明する。
<浸透抑制剤>
以下に、本例に適用される浸透抑制剤に用いられる材料について説明する。本例に適用される浸透抑制剤は熱可塑性樹脂を含有している。
本例の浸透抑制剤に用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tは、−10℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上70℃以下がさらに好ましく、30℃以上50℃以下が更に好ましい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tが低いと、吐出の際にノズル面近傍で皮膜を形成しやすくなってしまい、浸透抑制剤の吐出の安定性が低下するという問題がある。一方、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tが高いと皮膜を形成する際に多大な熱をかける必要が発生するという問題がある。また、熱可塑性樹脂の形態は、樹脂が後述する溶媒に溶解若しくは粒子状態で分散されている形態があるが、浸透抑制剤を吐出する場合には粒子状態で分散させた方が溶液全体の粘度を下げることができ、好ましい。粒子の場合には粒子径は、0.01μm異常5μm以下の範囲が好ましく、0.05μm異常1μm以下の範囲がさらに好ましい。粒子径が小さすぎると紙の内部に粒子が浸透してしまって表面で皮膜が形成できないという問題があり、粒子径が大きすぎると熱をかけても十分な皮膜を形成できず、吐出時にノズルに粒子が詰まるという問題がある。熱可塑性樹脂の重量パーセント濃度は、1wt%以上40wt%以下の範囲が好ましく、5wt%以上30wt%以下の範囲がさらに好ましく、10wt%以上20wt%以下の範囲がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の濃度が低いと熱可塑性樹脂同士が十分に皮膜を形成せず、一部に欠陥ができてしまうという問題があり、濃度が高いと液の保存安定性が悪く(樹脂が析出する)、粘度が高すぎるという問題がある。
本例で用いる熱可塑性樹脂は、上述したガラス転移温度T、粒子径、重量パーセント濃度の各条件を満たすものであればいずれでもよく、具体的には、オレフィン重合体及び共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、アルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体の重合体及び共重合体、オレフィン−スチレンオレフィン−不飽和カルボン酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタクリロニトリル共重合体、アルキルビニルエ−テル共重合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、複素環を含有する共重合体(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキセタン環等)、セルロース系樹脂、脂肪酸変性セルロース系樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
次に、上述した熱可塑性樹脂を溶解若しくは分散させる非水溶媒について述べる。本例に用いる非水溶媒としては、上述した熱可塑性樹脂を安定的に溶解若しくは分散させておくことができ、溶媒自身が紙に浸透してもカールを起こさない、若しくはカールが軽微であるものであればよい。具体的には、直鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン置換体を用いることができる。例えばオクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等を単独あるいは混合して用いることができる。
(浸透抑制剤の組成例)
以下に、浸透抑制剤の組成例を挙げる。
下記〔化1〕に示す構造の分散安定用樹脂〔Q−1〕10g、酢酸ビニル100g及びアイソパーH(エクソン社商品名)384gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤として2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)0.8gを加え、3時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。更に、該開始剤を0.5g加え、2時間反応した後、温度を100℃に上げ2時間攪拌し未反応の酢酸ビニルを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好なラテックスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
Figure 2009226851
上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転数1×104 r.p.m.、回転時間60分)にかけて、沈降した樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量平均分子量(Mw)とガラス転移点(T)、最低造膜温度(MFT)を測定したところ、Mwは2×105 (ポリスチレン換算GPC値)、Tは38℃、MFTは28℃であった。
このようにして作製した浸透抑制剤溶液を用紙214上に付与した。付与時にはドラムにより用紙214を加熱し、付与後には熱風を送風してアイソパーHを蒸発させた。
<処理液(凝集処理剤)>
以下に、処理液の組成例を挙げる。
クエン酸(和光純薬製) :16.7%
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製) :20.0%
Zonyl FSN−100(デュポン社製) : 1.0%
イオン交換水 :62.3%
上記反応液の物性値を測定したところ、粘度4.9mPa・s、表面張力24.3mN/m、pH1.5であった。
<インク>
以下に、インクの組成例を挙げる。
(ポリマー分散剤P−1の調製)
攪拌機、冷却管を備えた1000mlの3口フラスコにメチルエチルケトン88gを加え窒素雰囲気下で72℃に加熱し、ここにメチルエチルケトン50gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.85g、ベンジルメタクリレート60g、メタクリル酸10g、メチルメタクリレート30gを溶解した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応した後メチルエチルケトン2gにジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート0.42gを溶解した溶液を加え、78℃に昇温し4時間加熱した。得られた反応溶液は大過剰量のヘキサンに2回再沈殿し、析出した樹脂を乾燥してポリマー分散剤P−1を96g得た。
得られた樹脂の組成は1H−NMRで確認し、GPCより求めた重量平均分子量(Mw)は44600であった。さらに、JIS規格(JISK0070:1992)記載の方法により、このポリマーの酸価を求めたところ、65.2mgKOH/gであった。
(シアン分散液の調製)
ピグメントブルー15:3(大日精化株式会社製 フタロシアニンブル−A220)を10部と、上記で得られたポリマー分散剤P−1を5部と、メチルエチルケトンを42部と、1mol/L NaOH水溶液を 5.5部と、イオン交換水87.2部とを混合し、ビーズミルで0.1mmΦジルコニアビーズを使い、2〜6時間分散した。
得られた分散物を減圧下55℃でメチルエチルケトンを除去し、さらに一部の水を除去することにより、顔料濃度が10.2質量%のシアン分散液を得た。
上記のようにして、色材としてのシアン分散液を調液した。
上記で得られた色材(シアン分散液)を用いて、下記インク組成となるように各成分を混合して、インク1(インクジェット記録液)を作製した。
(インクの組成例)
シアン顔料(ピグメントブルー15:3) :4%
ポリマー分散剤(上記、P−1) :2%
トリオキシプロピレングリセリルエーテル :15%
(サンニックスGP−250(三洋化成工業(株)製)
オルフィンE1010(日信化学製、界面活性剤) :1%
イオン交換水 :78%
なお、上記に挙げた各液体の組成はあくまでも一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることはいうまでもない。
本例では、記録媒体(用紙)上にカラー画像を記録するインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はインクジェット記録装置に限定されず、浸透性を有する記録媒体に対して液体を用いてパターンなどの形状を形成する画像記録装置(画像形成装置)や液体吐出装置などに広く適用することが可能である。
本発明に係る画像記録方法を説明する概念図 本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図2に示すインクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図 図2に示すヘッドの構成例を示す平面透視図 図6中5−5線に沿う断面図 図4に示すヘッドのノズル配列を示す拡大図 図2に示すインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成を示す概要図 図2に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本発明に係る画像記録方法におけるドット配置を示す概念図 図9に示すドット配置の他の態様を示す概念図 図9に示すドット配置の更に他の態様を示す概念図 図9〜図11に示すドット配置の更に他の態様を示す概念図 本発明の第1制御例に係る浸透抑制剤付与制御の流れを示すフローチャート 本発明の第2制御例に係る浸透抑制剤付与制御を説明する概念図 本発明の他の装置構成例に係るインクジェット記録装置の全体構成図
符号の説明
1…浸透抑制剤、2…処理液、3…インク液滴、10,200…インクジェット記録装置、12,208…印字部、16,214…用紙、18,206…浸透抑制剤付与部、22…処理液付与部、20…浸透抑制剤乾燥部、24…処理液乾燥処理部、30,244…センサ、72…システム制御部、74…画像メモリ、80…プリント制御部、84…ヘッドドライバ、90…浸透抑制剤ヘッドドライバ、92…処理液ヘッドドライバ、94…演算部、232…浸透抑制剤乾燥ユニット、236…処理液ヘッド、238…処理液乾燥ユニット

Claims (22)

  1. 記録媒体上に色材を含有するインクを用いて画像を記録するインクジェット記録装置であって、
    前記記録媒体に対して液体が浸透することを抑制する機能を有する第1の処理剤を前記記録媒体に付与する第1処理剤付与手段と、
    入力画像データをドットデータに変換する画像処理手段と、
    前記画像処理手段で変換されたドットデータに従って、28(MPa)1/2以下のSP値を有する水溶性高沸点有機溶剤を10%以上95%以下の比率で含有するインクを前記記録媒体に打滴するインク打滴ヘッドと、
    を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録媒体を所定の方向に搬送する搬送手段と、
    前記第1の処理剤付与手段の記録媒体搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体上の溶媒を除去する第1の溶媒除去手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. インク中の色材を凝集させる機能又はインクドットを増粘させる機能を有する第2の処理剤を前記記録媒体に付与する第2の処理剤付与手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第2の処理剤付与手段の記録媒体搬送方向下流側に設けられ、前記記録媒体上の溶媒を除去する第2の溶媒除去手段を備えたことを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第1の処理剤付与手段による第1の処理剤の付与を制御する第1の処理剤付与制御手段と、
    前記第2の処理剤付与手段による第2の処理剤付与を制御する第2の処理剤付与制御手段と、
    を備え、
    前記第1の処理剤付与制御手段は、前記第2の処理剤の付与領域及び前記第2の処理剤の付与領域の周囲領域に前記第1の処理剤を付与するように前記第1の処理剤付与手段を制御し、
    前記第2の処理剤付与制御手段は、前記インクの打滴領域及び前記インク打滴領域の周囲領域に前記第2の処理剤を付与するように前記第2の処理剤付与手段を制御することを特徴とする請求項3又は4記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第1の処理剤付与手段は第1の処理剤を液滴化して打滴する第1の処理剤打滴ヘッドを含み、
    前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御する第1の処理剤打滴制御手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記第2の処理剤付与手段は第2の処理剤を液滴化して打滴する第2の処理剤打滴ヘッドを含み、
    前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御する第2の処理剤打滴制御手段を備えたことを特徴とする請求項3乃至6うち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第1の処理剤打滴制御手段は、前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴点及び前記第2の処理剤打滴ヘッドの打滴点に隣接する打滴点を含む周囲の打滴点に前記第1の処理剤を打滴するように前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御することを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記第1の処理剤打滴制御手段は、前記第2の処理剤打滴ヘッドによって第2の処理剤が打滴された打滴点と同一打滴点に対して、当該打滴点における第2の処理剤のドットよりも大きいサイズを有する第1の処理剤のドットを形成するように前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御することを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記画像処理手段は、前記第1の処理剤の打滴密度が前記第2の処理剤の打滴密度よりも小さくなるよう前記第1の処理剤のドットデータ及び前記第2の処理剤のドットデータを生成することを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記第1の処理剤付与制御手段は、前記インク打滴ヘッドによってインクが打滴される打滴点及び当該打滴点の前記記録媒体の搬送方向下流側の打滴点に第1の処理剤を打滴するように前記第1の処理剤打滴ヘッドの打滴を制御することを特徴とする請求項6乃至10のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 記録媒体の種類を判断する記録媒体判断手段を備え、
    前記第1の処理剤付与制御手段は、カールが発生しにくい記録媒体を使用する場合には、カールが発生しやすい記録媒体を用いる場合よりも第1の処理剤の付与量を減らすように第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする請求項5乃至11のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  13. 前記第2の処理剤の付与量を算出する第2の処理剤付与量算出手段と、
    インクの付与量を算出するインク付与量算出手段と、
    を備え、
    前記第1の処理剤付与制御手段は、前記第2の処理剤の付与量及び前記インクの付与量の総量が所定のしきい値以上の場合には第1の処理剤を付与し、前記第2の処理剤の付与量及び前記インクの付与量の総量が前記しきい値未満の場合には、第1の処理剤を付与しないように前記第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする請求項5乃至12のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  14. 前記第2の処理剤付与量算出手段は、前記画像処理手段によって変換された第2の処理剤のドットデータに基づいて第2の処理剤の付与量を算出することを特徴とする請求項13記載のインクジェット記録装置。
  15. 前記第2の処理剤付与量算出手段は、複数の領域に分割された前記記録媒体の領域ごとに第2の処理剤の付与量を算出し、
    前記第2の処理剤付与制御手段は、前記領域ごとに第2の処理剤の付与を制御することを特徴とする請求項13又は14記載のインクジェット記録装置。
  16. 前記しきい値は、記録媒体ごとに設定されることを特徴とする請求項13、14又は15記載のインクジェット記録装置。
  17. 前記インク打滴ヘッドの打滴異常を検出する異常検出手段を備え、
    前記第1の処理剤付与制御手段は、前記異常検出手段によって検出された打滴異常箇所に対応する記録媒体上の位置には前記第1の処理剤を付与しないように前記第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする請求項5乃至16のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  18. 前記第1の処理剤付与制御手段は、前記異常検出手段によって検出された打滴異常箇所に対応する記録媒体上の位置及び前記打滴異常箇所に対応する記録媒体上の位置に隣接する位置には前記第1の処理剤を付与しないように前記第1の処理剤付与手段を制御することを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録装置。
  19. 前記第1の処理剤は、油性溶媒に樹脂粒子を分散させた液体若しくは、油性溶媒に樹脂を溶解させた液体を含むことを特徴とする請求項1乃至18のうち何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  20. 前記第1の処理剤は、ワックスを含むことを特徴とする請求項1乃至18に記載のインクジェット記録装置。
  21. 記録媒体上に色材を含有するインクを用いて画像を記録する画像記録方法であって、
    前記記録媒体に対して液体が浸透することを抑制する機能を有する第1の処理剤を前記記録媒体に付与する第1の処理剤付与工程と、
    前記第1の処理剤付与工程の後に、入力画像データから変換されたドットデータに従い前記第1の処理剤が付与された記録媒体にSP値が28(MPa)1/2以下の水溶性高沸点有機溶剤を10%以上95%未満含有するインクを打滴するインク打滴工程と、
    を含むことを特徴とする画像記録方法。
  22. 前記第1の処理剤付与工程の後に、前記第1の処理剤が付与された記録媒体に前記インク中の色材を凝集させる機能或いはインクドットを増粘させる機能を有する第2の処理剤を付与する第2の処理剤付与工程を含むことを特徴とする請求項21記載の画像記録方法。
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