JP2009220527A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録媒体上に打滴された処理液滴同士の着弾干渉を防止し、高品質な画像形成を可能とする。
【解決手段】 色材を含有するインクと、前記色材を凝集又は前記インクを増粘させる成分を含有する処理液とを用いて、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録媒体上に撥液剤を付与して、前記記録媒体の表面を撥液化する撥液剤付与手段と、前記撥液剤が付与された前記記録媒体上に前記処理液を液滴化して打滴する処理液打滴手段と、前記処理液が打滴された前記記録媒体上に前記インクを液滴化して打滴するインク打滴手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供することにより、前記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は画像形成装置及び画像形成方法に係り、特に、インク及び処理液を用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
インクジェット記録方式は、インクジェットヘッドに形成される複数のノズルからインク液滴を記録媒体に向かって吐出することにより記録を行う方式であり、記録動作時の騒音が低く、ランニングコストが安く、高解像、高品質な画像記録が可能である。インクの吐出方式には、圧電素子の変位を利用した圧電方式や、発熱素子で生じる熱エネルギーを利用したサーマル方式などがある。
インクジェット記録方式においては、記録媒体上に打滴されたインク液滴によって形成されるドット(以下、「インクドット」という。)がにじみ、描画性が著しく低下するという問題がある。このような問題に対して、インク中の色材(顔料や染料)と反応し、色材を凝集若しくはインク自体を増粘させる成分を含有する液体(処理液)を記録媒体に予め付与した後にインク液滴を打滴するという技術が広く知られている。処理液を付与する方式としては、塗布ローラなどを用いて処理液を塗布する方式と、インクジェットヘッドを用いて処理液滴を打滴する方式とに大別することができる。後者の方式は、インク液滴が打滴される位置(インク打滴位置)に処理液滴を選択的に打滴することができるため好適である。
しかしながら、インクジェット記録方式により処理液滴を打滴する場合、記録媒体上に打滴された処理液滴によって形成されるドット(以下、「処理液ドット」という。)同士が記録媒体表面で互いに合一してしまい、記録媒体上に処理液のムラが発生してしまうという問題がある。処理液のムラが発生すると、インクとの反応が不均一となり、画像品質が劣化する要因となる。
これに対し、特許文献1には、インク(第1の液体組成物)及び処理液(第2の液体組成物)を用いて記録媒体上に画像を形成する方法において、処理液の表面張力を大きくし、記録媒体上の処理液ドット同士が互いに接しないように処理液滴を間引いて打滴する技術が開示されている。
特開2004−142291号公報
しかしながら、特許文献1記載の従来の技術には、以下の(1)〜(3)に示す問題がある。
(1)まず、処理液滴を間引いて打滴すると、反応剤(処理液)の量が減少してしまうため、インクとの反応性が悪くなるという問題がある。例えば、斜め方向のラインを描画する場合には、ライン端部に相当する画素には処理液滴が全く打滴されなくなり、ラインのにじみが激しくなる。
図14は、従来の技術による処理液及びインクの打滴位置の一例を示した説明図である。ここでは、インクの打滴密度に対して処理液の打滴密度を1/2に間引いて打滴する場合(例えば、インクの打滴密度を1200dpi、処理液の打滴密度を600dpiとする場合)について説明する。即ち、図14に示す全画素がインク液滴の打滴位置となる場合には、網掛けで示した画素(網掛け画素)が処理液滴の打滴位置となる。そして、このような処理液滴の打滴位置(網掛け画素)にインクの打滴データ(インクドットデータ)が存在する場合に処理液滴が打滴されるものとする。このような打滴条件において、図14に示すような斜め方向のラインを形成する場合、ライン中央部のインクドット900(塗りつぶしドット)の位置には処理液滴が打滴されるが、ライン端部のインクドット902(白抜きドット)の位置には処理液滴が打滴されない。このため、ライン端部に打滴されたインク液滴は処理液滴と反応することができず、その結果としてライン端部がにじんでしまい、画像品質が劣化してしまう。
このように処理液滴を単に間引いて打滴するだけでは、画像によっては不具合が発生する。これを回避するには、例えば、インクドットデータからエッジ部を抽出して処理液のドットデータを作成しなければならず、システムの負荷が増大してしまう。
(2)また、従来の技術では、処理液の表面張力をインクの表面張力より大きくしているが、処理液の表面張力とインクの表面張力が異なると、打滴時の吐出波形を処理液及びインクのそれぞれについて準備しなければならず、システムの複雑化やコストアップを招く要因となる。
(3)更に、図15に示すように、記録媒体910上に処理液の液体層(処理液層)912が存在すると、打滴されたインク液滴914が処理液層912内で浮遊してインク色材(インクドット)916が移動してしまい、結果として出力画像が所望の画像と比べて大きく乱れてしまうという問題がある。特に、表面がコーティングされている記録媒体(例えば印刷用コート紙やアート紙など)が用いられる場合や、処理液滴を打滴してからインク液滴を打滴するまでの時間(インターバル)が記録媒体に対する処理液の浸透時間に比べて短い場合には、上記問題はより深刻となる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、インク及び処理液を用いた2液凝集方式において、記録媒体上に打滴された処理液滴同士の着弾干渉を防止し、高品質な画像形成を可能とする画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、色材を含有するインクと、前記色材を凝集又は前記インクを増粘させる成分を含有する処理液とを用いて、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録媒体上に撥液剤を付与して、前記記録媒体の表面を撥液化する撥液剤付与手段と、前記撥液剤が付与された前記記録媒体上に前記処理液を液滴化して打滴する処理液打滴手段と、前記処理液が打滴された前記記録媒体上に前記インクを液滴化して打滴するインク打滴手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、処理液滴の打滴が行われる前に記録媒体の表面を撥液化することにより、記録媒体上に着弾した処理液滴(処理液ドット)の濡れ広がりを抑制することができ、処理液滴同士の着弾干渉を防止することができる。この結果、処理液滴を間引くことなく、インク液滴と同一の打滴密度で処理液滴を打滴することも可能となり、画像にじみのない高品質な画像を実現することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記インクの打滴が行われる前に、前記記録媒体上に打滴された前記処理液を乾燥させて、該処理液を固体状又は半固溶状にする処理液乾燥手段を更に備えたことを特徴とする。
本発明において、記録媒体の表面上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液を乾燥させた薄膜層)を形成してからインク液滴を打滴する態様が好ましい。色材移動による画像劣化を防止することができ、高品質な画像形成が可能となる。
本明細書において、「固体状又は半固溶状の凝集処理剤(凝集処理剤層)」とは、凝集処理剤(凝集処理剤層)の含溶媒率が0〜70%の範囲であるものを指す。なお、「含溶媒率」は、凝集処理剤の単位面積あたりの重量X[g/m]に対する凝集処理剤中に含まれる溶媒の単位面積あたりの重量X[g/m]の比(即ち、X/X)と定義する。
また、「凝集処理剤」は、固体状又は半固溶状のものだけでなく、それ以外の液体状のものも含む広い概念で用いるものとし、特に、含溶媒率を70%以上として液体状にした凝集処理剤を「凝集処理液」と称する。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記処理液打滴手段により前記記録媒体上に形成される処理液ドットは、少なくとも1方向に隣接する他の処理液ドットとは互いに接触しないことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、記録媒体上の処理液ドット同士が2次元的に合一することがないので、処理液のムラを低減することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記処理液打滴手段により前記記録媒体上に形成される処理液ドット同士は互いに接触しないことを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、記録媒体上に打滴された処理液滴(処理液ドット)同士の着弾干渉を防止することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記処理液打滴手段が打滴する処理液のドットデータは、前記インク打滴手段が打滴する各色インクのドットデータの論理和であることを特徴とする。
請求項5に記載の態様によれば、処理液のドットデータの作成に要するシステムの負荷を低減することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記撥液剤付与手段による前記撥液剤の付与量を制御する撥液剤付与制御手段を更に備えたことを特徴とする。
請求項6に記載の態様によれば、記録媒体上に着弾した処理液滴(処理液ドット)の状態(特に処理液ドット径)の最適化を図ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記撥液剤付与制御手段は、前記記録媒体上に打滴された前記処理液によって形成される処理液ドット同士が互いに接触しないように前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、記録媒体上の処理液滴同士の着弾干渉を防止することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記撥液剤付与制御手段は、前記記録媒体の種類に応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、記録媒体の種類に左右されることなく、処理液滴同士の着弾干渉を防止することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記記録媒体に対する前記処理液の濡れ性を規定する濡れ性パラメータを入力する濡れ性パラメータ入力手段を更に備え、前記撥液剤付与制御手段は、前記濡れ性パラメータに応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする。
濡れ性パラメータとしては、記録媒体に対する処理液滴の接触角、記録媒体上に着弾した処理液滴の直径(処理液ドット径)、処理液滴の広がり率(飛翔中の処理液滴を真球換算したときの直径に対する記録媒体上に着弾した処理液滴の直径の比)などがある。
請求項10に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記撥液剤付与制御手段は、前記処理液打滴手段が打滴する処理液のドットデータに応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、処理液のドットデータに応じて撥液剤の付与量を最適化することができ、記録媒体上の処理液のムラを低減することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置の一態様に係り、前記撥液剤付与制御手段は、前記処理液のドットデータの単位面積あたりにおける隣接画素に打滴される処理液ドットの組数に応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、撥液剤の付与量の制御を簡素化することが可能となる。
また、前記目的を達成するために、方法発明を提供する。即ち、本発明に係る画像形成方法は、色材を含有するインクと、前記色材を凝集又は前記インクを増粘させる成分を含有する処理液とを用いて、記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、前記記録媒体上に撥液剤を付与して、前記記録媒体の表面を撥液化する撥液剤付与工程と、前記撥液剤が付与された前記記録媒体上に前記処理液を液滴化して打滴する処理液打滴工程と、前記処理液が打滴された前記記録媒体上に前記インクを液滴化して打滴するインク打滴工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、処理液滴の打滴が行われる前に記録媒体の表面を撥液化することにより、記録媒体上に着弾した処理液滴(処理液ドット)の濡れ広がりを抑制することができ、処理液滴同士の着弾干渉を防止することができる。この結果、処理液滴を間引くことなく、インク液滴と同一の打滴密度で処理液滴を打滴することも可能となり、画像にじみのない高品質な画像を実現することができる。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の画像形成方法の一態様に係り、前記インクの打滴が行われる前に、前記記録媒体上に打滴された前記処理液を乾燥させて、該処理液を固体状又は半固溶状にする処理液乾燥工程を更に含むことを特徴とする。
本発明において、記録媒体の表面上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液を乾燥させた薄膜層)を形成してからインク液滴を打滴する態様が好ましい。色材移動による画像劣化を防止することができ、高品質な画像形成が可能となる。
本発明によれば、処理液滴の打滴が行われる前に記録媒体の表面を撥液化することにより、記録媒体上に着弾した処理液滴(処理液ドット)の濡れ広がりを抑制することができ、処理液滴同士の着弾干渉を防止することができる。この結果、処理液滴を間引くことなく、インク液滴と同一の打滴密度で処理液滴を打滴することも可能となり、画像にじみのない高品質な画像を実現することができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
まず、本発明で用いられる撥液剤、凝集処理液(以下、単に「処理液」という。)、及びインクについて説明し、次いで、本発明に係る画像形成装置について説明する。
〔撥液剤〕
本発明に係る撥液剤としては、シリコン系、フッ素系、ワックス系など、任意のものを用いることができる。
撥液剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子(株)製)、TSW8251((株)タナック製)、等を挙げることができる。これらの撥液剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
〔処理液〕
本発明に係る処理液は、インクの色材(顔料又は染料)を凝集若しくは増粘させる成分を含有する。
色材を凝集若しくは増粘させる方法としては、具体的には、インクと反応してインク中の色材を析出或いは不溶化させる方法、インク中の色材を含む半固体状の物質(ゲル)を生成する方法などが挙げられる。
インクと処理液との反応を引き起こす方法としては、インク中のアニオン性の色材と処理液中のカチオン性の化合物を反応させる方法、互いにpHの異なるインクと処理液を混合させることでインクのpHを変化させてインク中の顔料の分散破壊を起こし凝集させる方法、処理液中の多価金属塩との反応によりインク中の顔料の分散破壊を起こし顔料を凝集させる方法などがある。
本発明に係る凝集処理液(処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、本発明に係る処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明に係る処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
本発明に係る処理液の中における、インクの顔料およびポリマー微粒子を凝集させる成分の添加量としては、液体の全重量に対し、0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.01重量%以下の場合は処理液とインクが接触時に、濃度拡散が十分に進まずpH変化による凝集作用が十分に発生しないことがある。また20重量%以上であると、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
本発明に係る処理液は、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水、その他添加剤溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水、その他添加剤溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
水、その他添加剤溶性有機溶媒の含有量は処理液の全重量に対し、60重量%以下であることが好ましい。60重量%以上よりも多い場合は処理液の粘度が増加し、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分をさらに含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合、ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
樹脂成分としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ビニル系、スチレン系等が考えられる。定着性向上といった機能を充分に発現させるには、比較的高分子のポリマーを高濃度1重量%〜20重量%に添加することが必要である。しかし、上記材料を液体に溶解させて添加しようとすると高粘度化し、吐出性が低下する。適切な材料を高濃度に添加し、かつ粘度上昇を抑えるには、ラテックスとして添加する手段が有効である。ラテックス材料としては、アクリル酸アルキル共重合体、カルボキシ変性SBR(スチレン−ブタジエンラテックス)、SIR(スチレン−イソプレン)ラテックス、MBR(メタクリル酸メチル−ブタジエンラテックス)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンラテックス)、等が考えられる。ラテックスのガラス転移点Tgはプロセス上、定着時に影響の強い値で、常温保存時の安定性と加熱後の転写性を両立するために、50℃以上120℃以下であることが好ましい。さらに最低造膜温度MFTはプロセス上、定着時に影響の強い値で、低温で充分な定着を得る為に100℃以下、さらに好ましくは50℃以下である。
インクと逆極性のポリマー微粒子を処理液に含ませ、インク中の顔料及びポリマー微粒子と凝集させることによってさらに凝集性を高めてもよい。
また、インクに含まれるポリマー微粒子成分に対応した硬化剤を処理液に含有し、二液が接触後、インク成分中の樹脂エマルジョンが凝集するとともに架橋又は重合するようにして、凝集性を高めてもよい。
本発明に係る処理液は、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて記録媒体上でのぬれ性を高めるのに効果がある。また、インクを先立って打滴する場合においてもインク上でのぬれ性を高め、二液の接触面積の増加により効果的に凝集作用がすすむ。
本発明に係る処理液の表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、浸透性記録媒体への浸透性、液滴の微液滴化、及び吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明に係る処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線、吸収剤、等も添加することができる。
〔インク〕
本発明で用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/mであることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
マイクロカプセル顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1,000〜100,000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、又はインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。
前記樹脂は、自己分散能あるいは溶解するものであっても、又はその機能が何らかの手段によって付加されたものであってもよい。例えば、有機アミンやアルカリ金属を用いて中和することにより、カルボキシル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基等のアニオン性基を導入されてなる樹脂であってもよい。また、同種または異種の一又は二以上のアニオン性基が導入された樹脂であってもよい。本発明にあっては、塩基をもって中和されて、カルボキシル基が導入された樹脂が好ましくは用いられる。
本発明に用いる顔料としては、特に限定はされないが、具体例としては、オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。 レッドまたはマゼンタ用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に係る着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まないポリマー微粒子を添加することが好ましい。ポリマー微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性のポリマー微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こすポリマー微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、ポリマー微粒子の種類によっては、ポリマー微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
ポリマー微粒子は、乳化剤を用いてポリマー微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型のポリマー微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
分散手法として、低分子量の界面活性剤を用いていないポリマー微粒子は、高分子量の界面活性剤を用いたポリマー微粒子、乳化剤を使用しないポリマー微粒子を含めてソープフリーラテックスと呼ばれている。例えば上記に記述した、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるブロックポリマー)を乳化剤として用いたポリマー微粒子もこれに含まれる。
本発明では、特にこのソープフリーラテックスを用いることが好ましく、ソープフリーラテックスは従来の乳化剤を用いて重合したポリマー微粒子にくらべ、乳化剤がポリマー微粒子の反応凝集や造膜を阻害したり、遊離した乳化剤がポリマー微粒子の造膜後に表面に移動し、顔料とポリマー微粒子の混合した凝集体と記録媒体との接着性を低下させる懸念がない。
インクにポリマー微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリマー微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
ポリマー微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、ポリマー微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
ポリマー微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、ポリマー微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
市販のポリマー微粒子の例としては、ジョンクリル537、7640(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー株式会社製)、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、ジュリマーET−410、FC−30(アクリル系樹脂エマルジョン、日本純薬株式会社製)、アロンHD−5、A−104(アクリル系樹脂エマルジョン、東亞合成株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、ザイクセンL(アクリル系樹脂エマルジョン、住友精化株式会社製)などが挙げられるが、これに限定するものではない。
顔料に対するポリマー微粒子添加量の重量比率は2:1から1:10が好ましい、より好ましくは1:1から1:3である。顔料に対するポリマー微粒子添加量の重量比率は2:1より少ないと、樹脂の融着による凝集体の凝集力が効果的に向上しない。また、添加量が1:10より多くてもインクの粘度が高くなりすぎ、吐出性などが悪化する。
インクに添加するポリマー微粒子の分子量は融着したときの付着力を鑑みて、5,000以上が好ましい。5,000未満だと、凝集したときのインク凝集体の内部凝集力向上や記録媒体に画像の定着性に効果が不足し、また画質改善効果が不足する。
ポリマー微粒子の体積平均粒子径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜500nmの範囲がより好ましく、20〜200nmの範囲が更に好ましく、50〜200nmの範囲が特に好ましい。10nm以下では、凝集しても画質の改善効果、転写性の向上に効果があまり期待できない。1μm以上では、インクのヘッドからの吐出性や保存安定性が悪化するおそれがある。また、ポリマー粒子の体積平均粒子径分布に関しては、特に制限は無く、広い体積平均粒子径分布を持つもの、又は単分散の体積平均粒子径分布を持つもの、いずれでもよい。
また、ポリマー微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明のインクには、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上でのぬれ性を高め、拡がり率を増加させることができる。
本発明のインクの表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、浸透性記録媒体への浸透性、液滴の微液滴化、及び吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明のインクの粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
〔画像形成方法〕
まず、本発明に係る画像形成方法について、図1を参照しながら説明する。
図1に示す画像形成装置10は、主として、記録媒体12の搬送方向(副走査方向)の上流側から順に、撥液剤付与部14、処理液打滴部16、処理液乾燥部18、インク打滴部20、インク乾燥部22、及び定着部24を備えて構成される。
撥液剤付与部14は、記録媒体12上に撥液剤を含有した溶液(以下、単に「撥液剤」という。)を付与して記録媒体12の表面を撥液化する。本発明において、撥液剤を付与する方式は特に限定されるものではなく、例えば、塗布ローラなどによる塗布方式、スプレー方式、インクジェット記録方式、その他各種方式を適用することができる。本例では、塗布ローラを用いて記録媒体12上に撥液剤の塗布が行われる。なお、撥液剤の付与制御方法については後で説明する。
処理液打滴部16は、インクジェット方式の記録ヘッド(以下、「処理液吐出ヘッド」という。)を備え、撥液化された記録媒体12の表面に対して処理液吐出ヘッドの各ノズルから処理液滴を打滴する。処理液の打滴データ(処理液ドットデータ)は、各色インク(CMYK)の打滴データ(インクドットデータ)の論理和をとることが好ましい。処理液の打滴データの作成に要するシステム負荷を少なくすることができる。
副走査方向上流側に配置される撥液剤付与部14によって記録媒体12の表面を撥液化しておくことにより、記録媒体12上に着弾した処理液滴(処理液ドット)の広がりを抑えることができる。これにより、図2に示すような処理液滴の配置パターンを実現することができる。図2(a)は、記録媒体12上で隣接する処理液ドット同士が合一しない場合である。一方、図2(b)は、記録媒体12上で副走査方向に隣接する処理液ドット同士は合一するものの、主走査方向に隣接する処理液ドット同士は合一せず、処理液が副走査方向に沿ったライン状となる場合である。例えば、2次元状(マトリクス状)に複数のノズルが配列されたマトリクス型ヘッド(図11参照)が用いられる場合には、記録媒体12上で副走査方向に隣接する処理液ドット同士は同一ノズルから打滴されるので、主走査方向に隣接する処理液ドット同士に比べて着弾時間差が短くなる。従って、図2(b)に示すように、記録媒体12上で副走査方向のみに隣接する処理液ドット同士が合一しやすくなる。また、図2(c)は、図2(b)に示した処理液滴の配置パターンを90度回転させたパターンに相当するものであり、記録媒体12上で主走査方向に隣接する処理液ドット同士は合一するものの、副走査方向に隣接する処理液ドット同士は合一せず、処理液が主走査方向に沿ったライン状となる場合である。例えば、主走査方向に沿って複数のノズルが1列に配列された記録ヘッドが用いられる場合には、主走査方向に隣接する処理液ドット同士の着弾時間差が最も短くなるため(理想的には同時に着弾するので)、図2(c)に示すように、記録媒体12上で主走査方向のみに隣接する処理液ドット同士が合一しやすくなる。図2に示したいずれの場合においても、記録媒体12上のインク液滴が打滴される位置(インクドットが形成される位置)の少なくとも一部分には処理液が付与される状態になるため、各インクドットは処理液と反応することが可能となる。また、図2(a)の場合は、各々の処理液ドットが互いに合一しないために処理液ドットのムラはなくなるが、図2(b)若しくは図2(c)の場合においても、処理液は1次元的にしか合一しないため、実質的なムラはほとんどなく、全てのインクドットが反応することができる。
ここで、上述した処理液の打滴配置となるための液物性について説明する。
まず、図2(a)に示した処理液滴の配置パターンを実現するためには、以下の式(1)を満たす必要がある。
Figure 2009220527
但し、処理液滴の吐出体積をV[μm]、処理液滴の打滴間隔(ドットピッチ)をPt[μm]、撥液化された記録媒体12に対する処理液滴の接触角をθ[度]とする。
処理液滴の吐出体積V=2000[μm](2pl)、処理液滴の打滴間隔Pt=21.2[μm](1200dpi)の場合、処理液滴の接触角θが約81[度]以上で式(1)を満たす。
一方、図2(b)や図2(c)に示した処理液滴の配置パターンを実現するための処理液滴の吐出体積V、打滴間隔Pt、接触角θの解析的な式は存在しないが、処理液滴の吐出体積V=2000[μm](2pl)、処理液滴の打滴間隔Pt=21.2[μm](1200dpi)の場合、処理液の接触角θを約70[度]以上にすればよい。
処理液打滴部16の副走査方向下流側には、処理液乾燥部18が隣接して配置される。処理液乾燥部18は、ヒータが内蔵された熱風乾燥機を備え、記録媒体12上に付与された処理液を乾燥させて、記録媒体12の表面上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)を形成する。
ここでいう「固体状または半固溶状の凝集処理剤層」とは、以下に定義する含溶媒率が0〜70%の範囲のものを言うものとする。
Figure 2009220527
含溶媒率の算出方法としては、所定の大きさ(例えば100mm×100mm)の用紙を切り出し、処理液付与後の総重量(用紙+乾燥前処理液)と処理液乾燥後の総重量(用紙+乾燥後処理液)をそれぞれ測定し、これらの差分から乾燥による溶媒減少量(溶媒蒸発量)を求める。また、乾燥前の処理液中に含まれる溶媒量は、処理液の調製処方から求められる計算値を用いればよい。これらの計算結果から含溶媒率を得ることができる。
図1に示す画像形成装置10では、処理液滴の打滴が行われる前に記録媒体12の表面が撥液化されるので、記録媒体12上に着弾した処理液滴(処理液ドット)の広がりを抑えることができる。これにより、処理液滴を間引いて打滴することなく、インク液滴と同一の打滴密度(記録密度)で処理液滴を打滴しても、記録媒体12上で処理液滴(処理液ドット)同士の着弾干渉を防止することができる。
その一方で、記録媒体12の表面が撥液化されていると、記録媒体12上に打滴された処理液滴は記録媒体12内部にすぐには浸透せず、記録媒体12の表面上に処理液の液体層(処理液層)が存在することなる。このような状態でインク液滴が打滴されると、処理液層中にインク色材(インクドット)が浮遊して移動してしまい、画像品質の劣化を招く要因となる(図15参照)。そこで、本発明では、色材移動(ドット浮遊)による画像劣化を防止するために、記録媒体12上にインクを打滴する前に、記録媒体12上の処理液を乾燥させて、記録媒体12上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層を形成する。
ここで、記録媒体12上の処理液(凝集処理剤層)の含溶媒率を変化させたときの色材移動についての評価結果を表1に示す。
Figure 2009220527
表1に示すように、処理液の乾燥を行わなかった場合(実験1)、色材移動による画像劣化が発生する。
これに対し、処理液の乾燥を行った場合(実験2〜5)において、処理液の含溶媒率が70%以下となるまで処理液を乾燥させたときには色材移動が目立たなくなり、更に50%以下まで処理液を乾燥させると目視による色材移動の確認ができないほど良好なレベルとなり、画像劣化の防止に有効であることが確認された。
インク打滴部20は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色インクに対応するインクジェット方式の記録ヘッド(以下、「インク吐出ヘッド」という。)20C、20M、20Y、20Kを備え、入力画像データに応じて各インク吐出ヘッド20C、20M、20Y、20Kの各ノズルからそれぞれ対応する色インクの液滴を打滴する。このとき、図3に示すように、記録媒体12の表面上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層30が形成されているので、各インク吐出ヘッド20C、20M、20Y、20Kから打滴されたインク液滴32は固体状又は半固溶状の凝集処理剤層30の表面に着弾すると瞬時にインク色材(インクドット)34が凝集し、色材移動(ドット浮遊)よる画像劣化を防止することができる。
インク乾燥部22は、処理液乾燥部18と同様に、ヒータが内蔵された熱風乾燥機を備え、記録媒体12上に打滴されたインクを乾燥させる。本例では、記録媒体12の表面側(図1の上側)から所定の温度に加熱された熱風を吹き付ける熱風乾燥方式が適用される。また、記録媒体12上部にIRヒータなどを配置して、輻射により熱を与えるようにしてもよい。また、記録媒体12の裏面側(図1の下側)から加熱手段(例えばヒータなど)によって記録媒体12上の処理液を加熱しつつ、記録媒体12の表面側から送風手段(例えば送風ファンなど)によって乾燥空気を供給して記録媒体12上部の水蒸気密度を下げる態様も好ましく、インク乾燥を促進することができる。また、インクを乾燥させる手段に代えて、又はこれと併用して、記録媒体12の表面に多孔質体のローラなどを接触させてインクの溶媒成分(液体成分)を除去する態様もある。
定着部24は、記録媒体12の表面(画像形成面)にローラ部材(加熱ローラ)を接触させながら加熱加圧することにより、記録媒体12上に形成された画像を定着させる。定着部24では、インクに含まれる樹脂(ラテックス)を溶融させ、インクと撥液剤及び撥液剤と記録媒体12との密着力を確保する。好ましくは、定着時の温度を樹脂のガラス転移温度より高くしておくことで、定着工程時に樹脂を溶融させることができる。また、定着ローラは複数設けてもよい。
〔評価実験〕
次に、本発明の効果を確認するために、本発明者が行った評価実験について説明する。
本評価実験で用いた撥液剤、処理液、及びインクを以下に示す。
<撥液剤の作製>
撥液剤1、2は、それぞれ以下の材料を混合して作製した。
(撥液剤1)
・フッ素系界面活性剤(アサヒガードAG710) 5質量部
・水 残部
(撥液剤2)
・シリコン系界面活性剤(TSW8251) 5質量部
・水 残部
<処理液の作製>
処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・グリセリン 15質量部
・マロン酸 10質量部
・界面活性剤1 1質量部
・イオン交換水 74質量部
なお、上記の界面活性剤1は次の化学式で表される。
Figure 2009220527
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された処理液のpHを測定したところ、pHは3.5であった。
<インクの作製>
チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR-122)10g、分散用ポリマー10.0g、グリセリン4.0g、及びイオン交換水26gを攪拌混合させて分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra-cell VC-750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前述の分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5s/休止1.0s)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20質量%顔料分散液とした。
これとは別に、下記の化合物を秤量攪拌混合して、混合液Iを調製した。
・ グリセリン 5.0g
・ オルフィンE1010(日信化学工業製) 1.0g
・ イオン交換水 11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%SBR分散液(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%、Tg30℃)23.0gにゆっくりと滴下して、攪拌混合し、混合液IIを調製した。また、この混合液IIを、上述の20%顔料分散液に、ゆっくりと滴下しながら攪拌混合して、マゼンタインクを100g調製した。
<評価方法>
まず、本評価実験では、記録媒体に対して所定の前処理を行ってから各種評価を行った。なお、記録媒体としては、ユーライト(マットコート紙)を用いた。
本発明の実施例では、記録媒体上に撥液剤をNo.3のコーティングロッドで塗布し、その後、シングルパス方式のインクジェットヘッド(処理液吐出ヘッド)を用いて主走査方向及び副走査方向の記録密度1200dpiで記録媒体の表面全体に処理液滴をベタ状に打滴した。更に、40℃のホットプレート上でドライヤーから熱風を吹き付けて処理液の乾燥を行った場合(実施例2、4)、及び処理液の乾燥を行わなかった場合(実施例1、3)について評価を実施した。
また、比較例として、撥液剤を塗布せずに処理液滴を実施例と同一条件で打滴して、更に処理液の乾燥を行わなかった場合について評価を実施した。
各評価項目の詳細を以下に示す。
[ラインにじみ(凝集性)]
所定の前処理が行われた記録媒体に対して、シングルパス方式のインクジェットヘッド(インク吐出ヘッド)を用いて処理液吐出ヘッドと同一記録密度(即ち、1200dpi)でインク液滴を打滴して、主走査方向や副走査方向のライン(複数のインクドットからなるライン)を形成した。ライン幅の不均一やラインの切れ、液だまりが認められた場合を×、それ以外を○とした。
[色材移動(ドット浮遊)]
所定の前処理が行われた記録媒体に対して、前記インク吐出ヘッドを用いて150dpi間隔の格子パターンをインク液滴で打滴し、ドット間距離が平均して5%以上(即ち、8.5μm以上)ずれた場合を×、3%以上5%未満(即ち、5.1μm以上8.5μm未満)ずれた場合を△、それ以外を○とした。
[ベタ形成性]
所定の前処理が行われた記録媒体に対して、前記インク吐出ヘッドを用いて処理液吐出ヘッドと同一記録密度(即ち、1200dpi)でインク液滴をベタ打滴した。その後、描画した画像を顕微鏡で撮影し、2値化処理を行い、ミクロな白抜け部の画像を解析した。その結果、ドット間の白抜けの割合が80%以上である場合を×、60%以上80%未満である場合を△、それ以外を○とした。
[処理液均一性]
所定の前処理が行われた記録媒体の表面を目視で観察し、処理液の均一付与性を確認した。目視でムラを観察できる場合を×、略均一である場合を○とした。
[処理液ドット状態]
所定の前処理が行われた記録媒体の表面を顕微鏡で観察し、処理液滴(処理液ドット)の着弾干渉を確認した。
なお、いずれの場合においても、インク及び処理液の液滴量(吐出量)は、2.5plである。また、前処理の完了からインク打滴までの時間は約1秒である。
<評価結果>
本評価実験の結果を表2に示す。
Figure 2009220527
表2から分かるように、本発明の実施例(実施例1〜4)では、比較例に比べて、今回評価した各項目(ラインにじみ、色材移動、ベタ形成性、処理液均一性、処理液ドット状態)について全体的に良好な結果が得られた。特に、処理液の乾燥を行った場合(実施例2、4)は、処理液の乾燥を行わなかった場合(実施例1、3)に比べて、色材移動やベタ形成性で優れた結果を得ることができた。
また、フッ素系の撥液剤1を用いた場合(実施例1、2)には、シリコン系の撥液剤2を用いた場合(実施例3、4)に比べて、記録媒体上に打滴された処理液滴(処理液ドット)同士の着弾干渉をより効果的に防止することができることを確認した。但し、実施例3、4の結果からも分かるとおり、処理液ドットの状態が搬送方向にライン状になった場合においても、描画性はドットが独立している場合(実施例1、2)と大差はなかった。
〔撥液剤の付与制御方法〕
次に、撥液剤の付与制御方法として、記録媒体の種類に応じた制御方法、及び処理液の打滴データ(処理液ドットデータ)に応じた制御方法の各方法について説明する。
(記録媒体の種類に応じた制御方法)
図4は、撥液剤の付与制御方法の一例として、記録媒体の種類に応じた制御方法を示したフローチャート図である。以下、図4に示すフローチャートに従って、本制御方法について説明する。
まず、記録媒体の種類に応じて決定される処理液の濡れ性パラメータとして、記録媒体上に打滴された処理液滴(処理液ドット)の直径(処理液ドット径)φ2を入力する(ステップS10)。本画像形成装置10で使用される記録媒体の種類毎に処理液ドット径φ2を予め求めておき、これらをデータテーブル化して所定のメモリに記憶しておき、記録媒体の情報を取得すると、当該メモリを参照して処理液ドット径φ2を読み取るようにしてもよい。
処理液ドット径φ2については直接測定するようにしてもよいが、一般的に処理液は透明であるため、その測定には困難を伴うことが想定される。このような場合には、記録媒体上に処理液滴が着弾する様子を横方向から撮影し、撮影映像から寸法を測定するという方法が簡便であり好ましい。但し、数ピコリットル程度という微量な処理液滴(体積をVとする)の着弾後のドット径を精度良く測定することは困難である。そこで、測定が容易なマイクロリットル程度の大滴(体積をV’とする)のドット径φ’を測定し、下記式(2)から処理液ドット径φ2を算出することが好ましい。
Figure 2009220527
また、処理液と粘度や表面張力が略同等であるように調整し、染料を少量溶解させた測定液を用意し、測定液のドット径を測定し、その値をφ2としてもよい。この測定方法では、数十μm程度の処理液ドットの直径φ2を精度よく測定することができる。
次に、処理液ドット径φ2と処理液の打滴間隔(ドットピッチ)Ptを比較する(ステップS12)。
上記比較において、φ2<Ptが成立するときには、撥液剤を付与しない(ステップS14)。このような場合には、記録媒体の表面を撥液化しなくても、図5(a)に示すように、記録媒体上に着弾した処理液滴(処理液ドット)同士は互いに接触しないので、撥液剤を付与する必要がない。逆に撥液剤を付与してしまうと、処理液ドットの直径φ2が小さくなりすぎてしまい、インクとの反応性が悪くなる。また、処理液ドットの界面のピニング力が小さくなりすぎてしまい、処理液乾燥時に処理液ドットが動いてしまうという問題が起きる。
一方、Pt≦φ2<√2×Ptが成立するときには、撥液剤を少量付与する(ステップS16)。このとき記録媒体の表面を撥液化しない場合には、図5(b)に示すように、記録媒体上で縦方向(主走査方向)及び横方向(副走査方向)に隣接する処理液ドット同士は互いに接触するが、斜め方向に隣接する処理液ドット同士は互いに接触しない状態となる。従って、このような場合には、大きな処理液のムラはできにくいので、撥液剤を少量付与する。
他方、√2×Pt≦φ2が成立するときには、撥液剤を大量付与する(ステップS18)。このとき記録媒体の表面を撥液化しない場合には、斜め方向だけでなく縦方向及び横方向に隣接する処理液ドット同士も互いに接触した状態となり、大きな処理液のムラができやすいので、撥液剤を大量に付与する。
このように記録媒体の種類に応じて撥液剤の付与を制御することにより、記録媒体に対する処理液の濡れ性にかかわらず(即ち、記録媒体の種類に左右されることなく)、記録媒体上の処理液のムラを低減することができ、その結果、インクと処理液が適切に反応するようになり、高品質な画像形成が可能となる。
図4に示した例では、記録媒体の種類に応じて決定される処理液の濡れ性パラメータとして、処理液ドット径φ2を用いたが、これに限らず、記録媒体に対する処理液滴の接触角θや、記録媒体上に着弾した処理液滴の広がり率S(飛翔中の処理液滴を真球換算したときの直径φ1に対する記録媒体上に着弾した処理液滴の直径φ2の比;S=φ2/φ1)などを用いることができる。
(打滴データに応じた制御)
図6は、撥液剤の付与制御方法の一例として、処理液の打滴データ(処理液ドットデータ)に応じた制御方法を示したフローチャート図である。以下、図6に示すフローチャートに従って、本制御方法について説明する。
まず、画像データを入力する(ステップS20)。
次に、入力画像データに基づいて、各色(CMYK)のインクの打滴データ(インクドットデータ)を作成する(ステップS22)。例えば、誤差拡散法などが適用された公知の画像処理手段を用いて、入力画像データを各色のインクドットデータに変換する。
次に、各色のインクドットデータから、処理液の打滴データ(処理液ドットデータ)を作成する(ステップS24)。このとき、各色のインクドットデータの論理和を処理液ドットデータとすることが好ましく、システム上の負荷を少なくすることができる。
次に、処理液ドットデータの単位面積あたりの隣接画素に打滴される処理液ドットの組数(ペア数)Nをカウントする(ステップS26)。ここで、「単位面積」とは、撥液剤の付与/未付与を選択的に行うことができる範囲をいう。例えば、図7に示すように、撥液剤の塗布ローラ14A〜14Cが主走査方向(記録媒体の幅方向)に複数に分割され、各塗布ローラ14A〜14Cが記録媒体12に対して接触及び離間可能に構成されている場合には、上記の「単位面積」は、主走査方向については各塗布ローラの塗布範囲に対応し、副走査方向については任意の範囲に設定することができる。また、スプレーなどのような非接触型塗布の場合には、スプレーの噴射範囲に応じて上記「単位面積」を任意に設定することができる。
処理液ドットの組数をカウントする場合の一例を図8(a)、(b)に示す。図8(a)では、縦方向及び横方向(主走査方向及び副走査方向)の隣接画素に打滴される処理液ドットの組数をカウントすると、N=5である。同様に、図8(b)では、N=18である。
処理液ドットの組数Nについては、縦方向や横方向の隣接画素に打滴される処理液ドット同士が存在する場合だけでなく、斜め方向の隣接画素に打滴される処理液ドット同士が存在する場合もカウントするようにしてもよい。
また、処理液ドットの組数をカウントする際、方向毎に重み付けをするようにしてもよい。この場合、隣接画素に打滴される処理液ドット同士の着弾時間差が短い方向に対する重み付けをより大きくすることが好ましい。例えば、マトリクス型ヘッドを用いてシングルパス方式で打滴が行われる場合、副走査方向の隣接画素に打滴される処理液ドット同士(即ち、同一ノズルから打滴される処理液ドット同士)の着弾時間差が最も短いため、副走査方向に対する重み付けを主走査方向に対する重み付けより大きくすることが好ましい。
方向毎に重み付けをして処理液ドットの組数をカウントする場合の一例を図9(a)、(b)に示す。本例では、副走査方向の隣接画素に打滴される処理液ドット同士が存在する場合には+2をカウントし、主走査方向の隣接画素に打滴される処理液ドット同士が存在する場合には+1をカウントする。この場合、図9(a)では、N=7であり、図9(b)では、N=26となる。
主走査方向及び副走査方向のどちらか1方向のみの隣接画素に打滴される処理液ドットの組数をカウントするという態様もある。この場合、隣接画素に打滴される処理液ドット同士の着弾時間差が短い方向のみをカウントする態様が好ましい。例えば、上述したようにマトリクス型ヘッドを用いてシングルパス方式で打滴が行われる場合には、副走査方向の隣接画素に打滴される処理液ドットの組数のみをカウントするようにすることが好ましい。
上記のようにして処理液ドットの組数Nを算出した後、処理液ドットの組数Nと閾値Nを比較する(ステップS28)。N≦Nの場合には、その領域には撥液剤を付与しない(ステップS30)。一方、N>Nの場合には、その領域に撥液剤を付与する(ステップS32)。
本制御方法によれば、処理液ドットデータの単位面積あたりにおける処理液ドットの総数を単にカウントするのではなく、隣接画素に打滴される処理液ドットの組数(ペア数)をカウントすることにより、簡便なフローで処理液ドットの重なり合いの状態を加味して、撥液剤の付与/未付与を選択的に行うことができる。これにより、処理液ドットの組数Nが少ない場合には、撥液剤が付与されないので記録媒体への処理液の浸透が抑止され、インクドットが小さくなりすぎて所望の濃度が出なくなるという問題を改善することができる。一方、処理液ドットの組数Nが多い場合には、撥液剤が付与されるので隣接画素に打滴される処理液ドット同士の着弾干渉を防止することができ、処理液のムラを確実に防止することができる。
また、図6に示した制御方法では、処理液の打滴データ(処理液ドットデータ)に応じて制御しているが、これに限らず、例えば、入力画像データの濃度から撥液剤の付与の有無を判断するという態様もある。入力画像データの濃度によって、インクドットの打滴のおおよその割合が決定するため、処理液ドットの打滴の割合がおおよそ決まり、それにより処理液ドットの大まかな重なり合いも決定される。従って、上記のような態様も処理液のムラを低減するのに有効な方法である。
〔画像形成装置〕
図10は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態としてインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。図10に示すインクジェット記録装置100は、インク及び処理液(凝集処理液)を用いて、記録媒体114上に画像形成を行う2液凝集方式が適用された記録装置である。
インクジェット記録装置100は、主として、記録媒体114を供給する給紙部102と、記録媒体114に対して撥液剤を付与する撥液剤付与部104と、記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114に色インクを打滴するインク打滴部(印字部)108と、記録媒体114上に形成された画像を定着させる定着部110と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112とを備えて構成される。
給紙部102には、記録媒体114を積載する給紙台120が設けられている。給紙台120の前方(図10において左側)にはフィーダボード122が接続されており、給紙台120に積載された記録媒体114は1番上から順に1枚ずつフィーダボード122に送り出される。フィーダボード122に送り出された記録媒体114は、渡し胴124aを介して撥液剤付与部104の圧胴(撥液剤ドラム)126aに受け渡される。
図示は省略するが、圧胴126aの表面(周面)には、記録媒体114の先端を保持する保持爪(グリッパ)と吸引口が形成されており、渡し胴124aから圧胴126aに受け渡された記録媒体114は、保持爪によって先端を保持されながら圧胴126aの表面に密着した状態(即ち、圧胴126a上に巻きつけられた状態)で圧胴126aの回転方向(図10において反時計回り方向)に搬送される。後述する他の圧胴126b〜126dについても同様な構成が適用される。
撥液剤付与部104には、圧胴126aの回転方向(図10において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、撥液剤塗布ローラ130、及び撥液剤乾燥ユニット132がそれぞれ設けられている。
用紙予熱ユニット128及び撥液剤乾燥ユニット132には、それぞれ所定の範囲で温度や風量を制御可能な熱風乾燥機が設けられる。圧胴126aに保持された記録媒体114が、用紙予熱ユニット128や撥液剤乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、熱風乾燥機によって加熱された空気(熱風)が記録媒体114の表面に向かって吹き付けられる構成となっている。
撥液剤塗布ローラ130は、圧胴126aに保持される記録媒体114に対して撥液剤を含有した溶液(以下、単に「撥液剤」ともいう。)を塗布する。本例では、記録媒体114の表面に対して撥液剤を付与する手段として、ローラ塗布方式を適用したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
撥液剤付与部104に続いて処理液付与部106が設けられている。撥液剤付与部104の圧胴(撥液剤ドラム)126aと処理液付与部106の圧胴(処理液ドラム)126bとの間には、これらに対接するようにして渡し胴124bが設けられている。これにより、撥液剤付与部104の圧胴126aに保持された記録媒体114は、撥液剤が付与された後、渡し胴124bを介して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図10において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液吐出ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138がそれぞれ設けられている。
用紙予熱ユニット134は、撥液剤付与部104の用紙予熱ユニット128と同一構成が適用されるため、ここでは説明を省略する。もちろん、異なる構成が適用されてもよい。
処理液吐出ヘッド136は、圧胴126bに保持される記録媒体114に対して処理液を打滴するものであり、後述するインク打滴部108の各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bと同一構成が適用される。
本例で用いられる処理液は、後段のインク打滴部108に配置される各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bから記録媒体114に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液である。
処理液乾燥ユニット138には、所定の範囲で温度や風量を制御可能な熱風乾燥機が設けられており、圧胴126bに保持された記録媒体114が処理液乾燥ユニット138の熱風乾燥機に対向する位置を通過する際、熱風乾燥機によって加熱された空気(熱風)が記録媒体114上の処理液に吹き付けられる構成となっている。本例では、80℃の熱風によって処理液の乾燥が行われる。
熱風乾燥機の温度や風量は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液吐出ヘッド136により記録媒体114上に付与された処理液を乾燥させて、記録媒体114の表面上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような値に設定される。
本例の如く、記録媒体114上に処理液が付与される前に、用紙予熱ユニット134によって記録媒体114を予備加熱する態様が好ましい。この場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えることが可能となり、省エネルギー化を図ることができる。
処理液付与部106に続いてインク打滴部108が設けられている。処理液付与部106の圧胴(処理液ドラム)126bとインク打滴部(描画ドラム)108の圧胴126cとの間には、これらに対接するようにして渡し胴124cが設けられている。これにより、処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを介してインク打滴部108の圧胴126cに受け渡される。
インク打滴部108には、圧胴126cの回転方向(図10において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、CMYKRGBの7色のインクにそれぞれ対応したインク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bが並んで設けられており、更に、その下流側に溶媒乾燥ユニット142a、142bが設けられている。
各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、上述した処理液吐出ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)が適用される。即ち、各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、それぞれ対応する色インクの液滴を圧胴126cに保持された記録媒体114に向かって吐出する。
インク貯蔵/装填部(不図示)は、各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bにそれぞれ供給するインクを各々貯蔵するインクタンクを含んで構成される。各インクタンクは所要の流路を介してそれぞれ対応するヘッドと連通されており、各インク吐出ヘッドに対してそれぞれ対応するインクを供給する。インク貯蔵/装填部は、タンク内の液体残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
インク貯蔵/装填部の各インクタンクから各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bにインクが供給され、画像信号に応じて各140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bから記録媒体114に対してそれぞれ対応する色インクが打滴される。
各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bは、それぞれ圧胴126cに保持される記録媒体114における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図10中不図示、図11に符号161で図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bが圧胴126cの回転方向(記録媒体114の搬送方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
記録媒体114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)について、記録媒体114と各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体114の画像形成領域に1次画像を記録することができる。これにより、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドが適用される場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
本例のインクジェット記録装置100は、最大菊半サイズの記録媒体(記録用紙)までの記録が可能であり、圧胴(描画ドラム)126cとして、記録媒体幅720mmに対応した直径810mmのドラムが用いられる。インク打滴時のドラム回転周速度は、530mm/secである。また、各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bのインク吐出体積は2plであり、記録密度は主走査方向(記録媒体114の幅方向)及び副走査方向(記録媒体114の搬送方向)ともに1200dpiである。
また、本例では、CMYKRGBの7色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
溶媒乾燥ユニット142a、142bは、上述した用紙予熱ユニット128、134や撥液剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138と同様に、所定の範囲で温度や風量を制御可能な熱風乾燥機を含んで構成される。後述するように、記録媒体114の表面上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク液滴が打滴されると、記録媒体114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されるとともに、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして記録媒体114上に残った溶媒成分(液体成分)は、記録媒体114のカールだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで、本例では、各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bからそれぞれ対応する色インクが記録媒体114上に打滴された後、溶媒乾燥ユニット142a、142bの熱風乾燥機によって70℃に加熱された熱風を吹き付けることにより、溶媒成分を蒸発させ、乾燥を行っている。
インク打滴部108に続いて定着部110が設けられている。インク打滴部108の圧胴(描画ドラム)126cと定着部110の圧胴(定着ドラム)126dとの間には、これらに対接するように渡し胴124dが設けられている。これにより、インク打滴部108の圧胴126cに保持された記録媒体114は、各色インクが付与された後に、渡し胴124dを介して定着部110の圧胴126dに受け渡される。
定着部110には、圧胴126dの回転方向(図10において反時計回り方向)の上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置に、インク打滴部108による印字結果を読み取る印字検出部144、加熱ローラ148a、148bがそれぞれ設けられている。
印字検出部144は、インク打滴部108の印字結果(各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの打滴結果)を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
加熱ローラ148a、148bは、所定の範囲(例えば100℃〜180℃)で温度制御可能なローラであり、加熱ローラ148と圧胴126dとの間に挟みこまれた記録媒体114を加熱加圧しながら、記録媒体114上に形成された画像を定着させる。本例では、加熱ローラ148の加熱温度は110℃、圧胴126dの表面温度は60℃に設定される。また、加熱ローラ148a、148bのニップ圧力は1MPaである。加熱ローラ148a、148bの加熱温度は、処理液又はインクに含有されるポリマー微粒子のガラス転移点温度などに応じて設定することが好ましい。
定着部110に続いて排紙部112が設けられている。排紙部112には、画像が定着された記録媒体114を受ける排紙胴150と、該記録媒体114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパを備えた排紙用チェーン154とが設けられている。
次に、インク打滴部108に配置されるインク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの構造について詳説する。なお、インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号160によってインク吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」と称することもある。)を示すものとする。
図11(a)はヘッド160の構造例を示す平面透視図であり、図11(b)はその一部の拡大図であり、図11(c)はヘッド160の他の構造例を示す平面透視図である。また、図12はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図11(a)、(b)中のXII−XII線に沿う断面図)である。
記録媒体114上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド160におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド160は、図11(a)、(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル161と、各ノズル161に対応する圧力室162等からなる複数のインク室ユニット163を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体搬送方向と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体114の搬送方向と略直交する方向に記録媒体114の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図11(a)の構成に代えて、図11(c)に示すように、複数のノズル161が2次元に配列された短尺のヘッドブロック160’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体114の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル161に対応して設けられている圧力室162は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル161と供給口164が設けられている。各圧力室162は供給口164を介して共通流路165と連通されている。共通流路165はインク供給源たるインク供給タンク(不図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。
圧力室162の天面を構成し共通電極と兼用される振動板166には個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、個別電極167に駆動電圧を印加することによって圧電素子168が変形してノズル161からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
本例では、ヘッド160に設けられたノズル161から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子168を適用したが、圧力室162内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット163を図11(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット163を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル161が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録媒体114の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録媒体114の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録媒体114の幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録媒体114の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録媒体114の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
図13は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ174に記憶される。
メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、メモリ174の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
メモリ174には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ174は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
プログラム格納部190には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ172の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部190はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部190は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示にしたがってモータ188を駆動するドライバである。図13には、装置内の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号188で図示されている。例えば、図13に示すモータ188には、図10の圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124d、排紙胴150を駆動するモータなどが含まれている。
ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示にしたがって、ヒータ189を駆動するドライバである。図13には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヒータを代表して符号189で図示されている。例えば、図13に示すヒータ189には、図10に示す用紙予熱ユニット128、134、撥液剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138、溶媒乾燥ユニット142a、142bの熱風乾燥機に内蔵されるヒータなどが含まれている。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、メモリ174内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部180において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ184を介してヘッド192の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図13には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヘッド(インクジェットヘッド)を代表して符号192で図示されている。例えば、図10に示すヘッド192には、図10の処理液吐出ヘッド136、インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bが含まれている。なお、プリント制御部180は、処理液の打滴を制御する制御部を兼ねている。
また、プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられる画像データに基づいてヘッド192の圧電素子168に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子168に印加して圧電素子168を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図13に示すヘッドドライバ184には、ヘッド192の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
撥液剤塗布制御部185は、プリント制御部80からの指示に従って、撥液剤塗布ローラ130による撥液剤の塗布量を制御する。本例では、圧胴126aに保持される記録媒体114と撥液剤塗布ローラ130とを接触、離間可能に構成し、撥液剤塗布ローラ130を記録媒体114に接触させる時間を可変することで、撥液剤の塗布量を制御する。
印字検出部144は、図10で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録媒体114に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部144から得られる情報に基づいてヘッド192に対する各種補正を行う。
次に、本実施形態のインクジェット記録装置100の作用について説明する。
まず、給紙部102の給紙台120からフィーダボード122に記録媒体114が送り出されると、その記録媒体114は、渡し胴124aを介して、撥液剤付与部104の圧胴126aに保持され、用紙予熱ユニット128によって予備加熱され、撥液剤塗布ローラ130によって撥液剤が塗布される。その後、圧胴126aに保持された記録媒体114は、撥液剤乾燥ユニット132によって加熱され、撥液剤の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。
こうして表面が撥液化された記録媒体114は、撥液剤付与部104の圧胴126aから渡し胴124bを介して、処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。圧胴126bに保持された記録媒体114は、用紙予熱ユニット134によって予備加熱され、処理液吐出ヘッド136によって処理液が打滴される。その後、圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液乾燥ユニット138によって加熱され、処理液の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。これにより、記録媒体114上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
このようにして記録媒体114の表面上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後、処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液付与部106の圧胴126bから渡し胴124cを介して、インク打滴部108の圧胴126cに受け渡される。圧胴126cに保持された記録媒体114には、入力画像データに応じて、各インク吐出ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bからそれぞれ対応する色インクが打滴される。
各ヘッド140C、140M、140Y、140K、140R、140G、140Bから打滴されたインク液滴は、記録媒体114上に形成された固体又は半固溶状の凝集処理剤層の表面に着弾する。このとき、飛翔エネルギーと表面エネルギーとのバランスにより、インク液滴と凝集処理剤層との接触面が所定の面積にて着弾する。インク液滴が凝集処理剤層上に着弾した直後に凝集反応が始まるが、凝集反応はインク液滴と凝集処理剤層との接触面から始まる。凝集反応は接触面近傍のみで起こり、インク着弾時における所定の接触面積で付着力を得た状態でインク内の色材が凝集されるため、色材移動が抑止される。
このインク液滴に隣接して他のインク液滴が着弾しても先に着弾したインクの色材は既に凝集化しているので後から着弾するインクとの間で色材同士が混合せず、ブリードが抑止される。なお、色材の凝集後には、分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が記録媒体114上に形成される。
続いて、圧胴126cに保持された記録媒体114は溶媒乾燥ユニット142a、142bによって加熱され、記録媒体114上でインク凝集体と分離した溶媒成分(液体成分)は蒸発し、乾燥する。この結果、記録媒体114のカールが防止されるとともに、溶媒成分に起因する画像品質の劣化を抑えることができる。
インク打滴部108によって色インクが付与された記録媒体114は、インク打滴部108の圧胴126cから渡し胴124dを介して、定着部110の圧胴126dに受け渡される。圧胴126dに保持された記録媒体114は、印字検出部144によってインク打滴部108の印字結果が読み取られた後、加熱ローラ148a、148bによる加熱加圧によって記録媒体114上に形成された画像の定着が行われる。
このようにして画像が定着された記録媒体114は、圧胴126dから排紙胴150に受け渡され、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
以上説明したように、本実施形態によれば、処理液滴の打滴が行われる前に記録媒体の表面を撥液化することにより、記録媒体上に着弾した処理液滴の濡れ広がりを抑制することができ、処理液滴同士の着弾干渉を防止することができる。この結果、処理液滴を間引くことなく、インク液滴と同一の打滴密度で処理液滴を打滴することも可能となり、画像にじみのない高品質な画像を実現することができる。
また、記録媒体の表面上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層を形成してからインク液滴を打滴することにより、色材移動(ドット浮遊)による画像劣化を防止することができる。
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
本発明に係る画像形成方法が適用された画像形成装置の一例の簡略的に示した構成図 処理液滴の配置パターンを示した図 固体状又は半固溶状の凝集処理剤層にインク液滴が着弾する様子を示した図 撥液剤の付与制御方法の一例として、記録媒体の種類に応じた制御方法を示したフローチャート図 処理液ドット径φ2と打滴間隔Ptの関係を示した図 撥液剤の付与制御方法の一例として、処理液の打滴データに応じた制御方法を示したフローチャート図 撥液剤の塗布ローラを副走査方向に沿って複数に分割した場合の一例を示した図。 処理液ドットの組数をカウントする場合の一例を示した図 方向毎に重み付けをして処理液ドットの組数をカウントする場合の一例を示した図 本発明に係る画像形成装置の一実施形態としてインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図 インク吐出ヘッドの構成例を示す平面透視図 インク室ユニットの立体的構成を示す断面図 図10に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 従来の技術に係る問題点として斜め方向のラインを形成する場合を示した図 処理液の液体層にインク液滴が着弾する様子を示した図
符号の説明
12…記録媒体、14…撥液剤付与部、16…処理液打滴部、18…処理液乾燥部、20…インク打滴部、22…インク乾燥部、24…定着部、100…インクジェット記録装置、102…給紙部、104…撥液剤付与部、106…処理液付与部、108…インク打滴部、110…定着部、112…排紙部、114…記録媒体、130…撥液剤塗布ローラ、136…処理液吐出ヘッド、138…処理液乾燥ユニット、140…インク吐出ヘッド、148…加熱ローラ、160…ヘッド、161…ノズル、162…圧力室、168…圧電素子、180…プリント制御部、185…撥液剤塗布制御部

Claims (13)

  1. 色材を含有するインクと、前記色材を凝集又は前記インクを増粘させる成分を含有する処理液とを用いて、記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
    前記記録媒体上に撥液剤を付与して、前記記録媒体の表面を撥液化する撥液剤付与手段と、
    前記撥液剤が付与された前記記録媒体上に前記処理液を液滴化して打滴する処理液打滴手段と、
    前記処理液が打滴された前記記録媒体上に前記インクを液滴化して打滴するインク打滴手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記インクの打滴が行われる前に、前記記録媒体上に打滴された前記処理液を乾燥させて、該処理液を固体状又は半固溶状にする処理液乾燥手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記処理液打滴手段により前記記録媒体上に形成される処理液ドットは、少なくとも1方向に隣接する他の処理液ドットとは互いに接触しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記処理液打滴手段により前記記録媒体上に形成される処理液ドット同士は互いに接触しないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
  5. 前記処理液打滴手段が打滴する処理液のドットデータは、前記インク打滴手段が打滴する各色インクのドットデータの論理和であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記撥液剤付与手段による前記撥液剤の付与量を制御する撥液剤付与制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記撥液剤付与制御手段は、前記記録媒体上に打滴された前記処理液によって形成される処理液ドット同士が互いに接触しないように前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記撥液剤付与制御手段は、前記記録媒体の種類に応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記記録媒体に対する前記処理液の濡れ性を規定する濡れ性パラメータを入力する濡れ性パラメータ入力手段を更に備え、
    前記撥液剤付与制御手段は、前記濡れ性パラメータに応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記撥液剤付与制御手段は、前記処理液打滴手段が打滴する処理液のドットデータに応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
  11. 前記撥液剤付与制御手段は、前記処理液のドットデータの単位面積あたりにおける隣接画素に打滴される処理液ドットの組数に応じて前記撥液剤の付与量を制御することを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 色材を含有するインクと、前記色材を凝集又は前記インクを増粘させる成分を含有する処理液とを用いて、記録媒体上に画像を形成する画像形成方法であって、
    前記記録媒体上に撥液剤を付与して、前記記録媒体の表面を撥液化する撥液剤付与工程と、
    前記撥液剤が付与された前記記録媒体上に前記処理液を液滴化して打滴する処理液打滴工程と、
    前記処理液が打滴された前記記録媒体上に前記インクを液滴化して打滴するインク打滴工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  13. 前記インクの打滴が行われる前に、前記記録媒体上に打滴された前記処理液を乾燥させて、該処理液を固体状又は半固溶状にする処理液乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項12に記載の画像形成方法。
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