JP2010111474A - 画像形成装置及び記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法 - Google Patents

画像形成装置及び記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ドラムなどの搬送機構に保持されて搬送される記録媒体の浮き上がりによる記録ヘッドとの接触を防止する。
【解決手段】記録媒体(114)を搬送する搬送手段(126c)と、搬送手段(126c)によって搬送される記録媒体(114)上に画像を形成する記録ヘッド(140C、140M、140Y、140K)と、記録ヘッド(140C、140M、140Y、140K)よりも記録媒体(114)の搬送方向の上流側に配置され、搬送手段(126c)からの記録媒体(114)の浮き上がりを規制するガイド部材(506)と、ガイド部材(506)よりも搬送方向の上流側に配置され、記録媒体(114)の浮き上がりを検出する検出手段(504)と、検出手段(504)により浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が記録ヘッドに到達する前に搬送手段(126c)を停止させる強制停止手段と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は画像形成装置に係り、特に、記録ヘッドと記録媒体の相対的な移動によって記録媒体上に描画を行う装置における記録ヘッドと記録媒体との接触を防止する技術に関する。
画像形成装置として広く利用されているインクジェット記録装置は、複数のノズルを有するインクジェットヘッド(記録ヘッド)に対して記録媒体を相対的に移動させながら、入力画像データに応じて各ノズルから記録媒体に向かってインク液滴を各々吐出することによって、記録媒体上に画像を記録する。
特許文献1には、円柱面形状の外周面を有するドラム(円筒)に記録シートを保持させ、当該円筒を回転させながらプリントヘッドよりインク滴を吐出する構成において、記録シートの先端部に浮き上がりが生じた場合に、ヘッドのインク吐出面への干渉防止と、当該保持不良記録シートの機外排出を容易にする観点から、ヘッドより上流側に、円筒から浮き上がった記録シートを排出する排出手段を設ける構成が開示されている。
また、特許文献2には、ドラムからの記録媒体の浮き又は剥がれを検出した際に、剥離爪をドラムに近づけ、当該記録媒体を先端部から剥離して、記録ヘッドのインク吐出面下への記録媒体の搬送を遮断し、インク吐出面を保護する構成が開示されている。
特開2000−190582号公報 特開2007−176062号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の構成は、主に、記録媒体の先端部の浮きに対処する技術であり、記録媒体をヘッドのインク吐出面下に供給搬送する手前で、当該記録媒体の先端から剥離・排出を行うものであるため、ヘッド上流側で発生した用紙の中間部及び後端部の用紙浮きに対して対処することができない。
例えば、特許文献1において記録シートの先端が保持不良記録シート排出手段を通過した後の記録シートの中間部又は後端部に用紙の浮きが発生した場合、或いは、特許文献2において記録媒体先端部が剥離爪を通過した後の記録媒体の中間部又は後端部に用紙の浮きが発生した場合など、特許文献1、2に記載の技術では対処できない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ドラムなどの搬送機構に保持されて搬送される記録媒体と記録ヘッドの接触を確実に防止することができる画像形成装置及び記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体上に画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドよりも前記搬送手段による前記記録媒体の搬送方向の上流側において前記搬送手段の媒体保持面から所定の距離に配置され、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを規制するガイド部材と、前記ガイド部材よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを検出する検出手段と、前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記記録ヘッドに到達する前に前記搬送手段を停止させる強制停止手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、搬送手段の媒体保持面からの記録媒体の浮き上がりに対して、当該浮き上がり発生部が記録ヘッドに接触することを防止することができる。特に、本発明によれば、記録媒体の先端部に限らず、中間部、後端部で発生した浮き上がりに対しても、ヘッドへの接触を確実に防止することができる。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置100の概略構成を示す全体構成図である。図1に示すインクジェット記録装置100(「画像形成装置」に相当)は、記録媒体114の片面に複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を記録するオンデマンド方式の画像記録装置(片面機)であり、インク及び処理液(凝集処理液)を用いて、枚葉紙からなる記録媒体114(便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)上に画像形成を行う2液凝集方式が適用された記録装置である。
このインクジェット記録装置100は、記録媒体114を供給する給紙部102と、記録媒体114に対して浸透抑制処理を行う浸透抑制処理部104と、記録媒体114に処理液を付与する処理液付与部106と、記録媒体114に色インクを付与して画像形成を行う印字部(インク打滴部)108と、記録媒体114に透明UVインクを付与する透明UVインク付与部110と、画像が形成された記録媒体114を搬送して排出する排紙部112とから主に構成される。
図示は省略するが、記録媒体114の搬送機構を構成する各圧胴126a〜126d、及びこれらに隣接して設けられる各渡し胴124a〜124dには、それぞれ、記録媒体114の先端を保持する保持爪(グリッパー)が1又は複数形成されており、圧胴及び渡し胴の各保持爪間で記録媒体114の受け渡しが行われる。
給紙部102には、記録媒体114を積載する給紙台120が設けられている。給紙台120の前方(図1において左側)にはフィーダボード122が接続されており、給紙台120に積載された記録媒体114は1番上から順に1枚ずつフィーダボード122に送り出される。フィーダボード122に送り出された記録媒体114は、図1における時計回り方向に回転可能に構成された渡し胴124aを介して、浸透抑制処理部104の圧胴126aの表面(周面)に給紙される。
〔浸透抑制処理部〕
浸透抑制処理部104は、処理液及びインクに含まれる水及び親水的な有機溶剤の記録媒体114への浸透を抑制する浸透抑制剤を付与する。浸透抑制剤としては、溶液中に樹脂をエマルジョンの形で分散、もしくは樹脂を溶解させたものを用いる。溶媒としては、有機溶剤または水を用いる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、石油類、等が好適に用いられる。記録用紙の温度T1を樹脂の最低造膜温度Tf1より高くしておく。Tf1とT1との差はおよそ10〜20℃が好ましい。これにより、樹脂が記録媒体114に付着後、即座に良好な膜を形成し、後から記録媒体114に付与されるインク及び処理液の溶媒の記録媒体114内部への浸透を良好に抑制することができる。記録媒体114の温度の調整は、圧胴126a内部にヒータ等の発熱体を設置するという方法や、記録媒体114の表面(上面)から熱風を当てる方法、赤外線ヒータ等を用いた加熱等があり、これらを組み合わせても良い。
記録媒体114のカールが発生しにくい場合は、浸透抑制処理部104を省略することも可能である。例えば、記録媒体114の種類に応じて浸透抑制剤の付与量(浸透抑制剤を付与しない場合を含む)を制御するようにしてもよい。
浸透抑制処理部104には、圧胴126aの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126aの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132がそれぞれ設けられている。
用紙予熱ユニット128及び浸透抑制剤乾燥ユニット132には、それぞれ所定の範囲で温度制御可能なヒータが設けられる。圧胴126aに保持された記録媒体114が、用紙予熱ユニット128や浸透抑制剤乾燥ユニット132に対向する位置を通過する際、これらユニットのヒータによって加熱される。
浸透抑制剤ヘッド130は、圧胴126aに保持される記録媒体114に対して浸透抑制剤を打滴するものであり、後述する印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kと同一構成が適用される。
本例では、記録媒体114の表面に対して浸透抑制処理を行う手段として、インクジェットヘッドを適用したが、浸透抑制処理を行う手段については特に本例に限定されるものではない。例えば、スプレー方式、塗布方式などの各種方式を適用することも可能である。
本例では、浸透抑制剤として、熱可塑性樹脂ラテックス溶液が好適に用いられる。もちろん、浸透抑制剤は、熱可塑性樹脂ラテックス溶液に限定されるものではなく、例えば、平板粒子(雲母等)や撥水剤(フッ素コーティング剤)などを適用することも可能である。
〔処理液付与部〕
浸透抑制処理部104の後段(記録媒体114の搬送方向下流側)には、処理液付与部106が設けられている。浸透抑制処理部104の圧胴126aと処理液付与部106の圧胴126bとの間には、これらに対接するようにして渡し胴124bが設けられている。かかる構造により、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持された記録媒体114は、浸透抑制処理が行われた後に、渡し胴124bを介して処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。
処理液付与部106には、圧胴126bの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126bの表面に対向する位置に、用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138がそれぞれ設けられている。
処理液付与部106の各部(用紙予熱ユニット134、処理液ヘッド136、及び処理液乾燥ユニット138)については、上述した浸透抑制処理部104の用紙予熱ユニット128、浸透抑制剤ヘッド130、及び浸透抑制剤乾燥ユニット132とそれぞれ同様の構成が適用されるため、ここでは説明を省略する。もちろん、浸透抑制処理部104と異なる構成を適用することも可能である。
本例で用いられる処理液は、後段の印字部108に配置される各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kから記録媒体114に向かって吐出されるインクに含有される色材を凝集させる作用を有する酸性液である。
処理液乾燥ユニット138のヒータの加熱温度は、圧胴126bの回転方向上流側に配置される処理液ヘッド136の吐出動作によって記録媒体114の表面に付与された処理液を乾燥させて、記録媒体114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層(処理液が乾燥した薄膜層)が形成されるような温度に設定される。
ここでいう「固体状又は半固溶状の凝集処理剤層」とは、以下に定義する含水率が0〜70%の範囲のものを言うものとする。
Figure 2010111474
また、「凝集処理剤」は、固体状又は半固溶状のものだけでなく、それ以外の液体状のものも含む広い概念で用いるものとし、特に、含溶媒率を70%以上として液体状にした凝集処理剤を「凝集処理液」と称する。
凝集処理剤の含溶媒率の算出方法としては、所定の大きさ(例えば100mm×100mm)の用紙を切り出し、処理液付与後の総重量(用紙+乾燥前処理液)と処理液乾燥後の総重量(用紙+乾燥後処理液)をそれぞれ測定し、これらの差分から乾燥による溶媒減少量(溶媒蒸発量)を求める。また、乾燥前の処理液中に含まれる溶媒量は、処理液の調製処方から求められる計算値を用いればよい。これらの計算結果から含溶媒率を得ることができる。
ここで、記録媒体114上の処理液(凝集処理剤層)の含溶媒率を変化させたときの色材移動についての評価結果を表1に示す。
Figure 2010111474
表1に示すように、処理液の乾燥を行わなかった場合(実験1)、色材移動による画像劣化が発生する。
これに対し、処理液の乾燥を行った場合(実験2〜5)において、処理液の含溶媒率が70%以下となるまで処理液を乾燥させたときには色材移動が目立たなくなり、更に50%以下まで処理液を乾燥させると目視による色材移動の確認ができないほど良好なレベルとなり、画像劣化の防止に有効であることが確認された。
このように記録媒体114上の処理液の含溶媒率が70%以下(好ましくは50%以下)となるまで乾燥を行って、記録媒体114上に固体状又は半固溶状の凝集処理剤層を形成することにより、色材移動による画像劣化を防止することができる。
本例の如く、記録媒体114上に処理液が付与される前に、用紙予熱ユニット134のヒータによって記録媒体114を予備加熱する態様が好ましい。この場合、処理液の乾燥に要する加熱エネルギーを低く抑えることが可能となり、省エネルギー化を図ることができる。
〔印字部(インク打滴部)〕
処理液付与部106の後段には印字部108が設けられている。処理液付与部106の圧胴126bと印字部108の圧胴126c(「搬送手段」、「ドラム」に相当)との間には、これらに対接するようにして、渡し胴124cが設けられている。かかる構造によって、処理液付与部106の圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された後に、渡し胴124cを介して印字部108の圧胴126cに受け渡される。
この圧胴126cの周囲には、圧胴126cの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、用紙抑えローラ502(「媒体抑え手段」に相当)と、用紙浮きセンサ504と、用紙ガイド506と、が配置される。用紙抑えローラ502は、渡し胴124cから受け渡された記録媒体114を当該圧胴126cの周面(「媒体保持面」に相当)に密着させるために記録媒体114を圧胴126c面に向けて抑え付ける部材である。用紙抑えローラ502は、圧胴126cに巻き付けられる記録媒体114の全面と接触し得る長さ(例えば、圧胴126cの媒体保持領域と同等の幅方向長さ)を有する。なお、用紙抑えローラ502は、一定径で軸方向に連続するストレートローラであってもよいし、グリッパーの部分を避けた串歯ローラであってもよい。
用紙浮きセンサ504は、圧胴126c周面からの記録媒体114の浮き上がりを検出する手段であり、詳細は後述するが、圧胴126cのドラム軸線方向に沿って投光器と受光器を対向配置させた構成からなる。
用紙ガイド506は、圧胴126c周面からの記録媒体114の浮き上がりを規制するガイド部材であり、記録媒体114のドラム軸線方向に沿って延在し、圧胴126c周面に対向して配置される。この用紙ガイド506と圧胴126cの周面との隙間(クリアランス)の範囲で記録媒体114の浮き上がりが規制される。
用紙ガイド506の後方(圧胴126cの回転方向に関して下流側)に、記録ヘッドに相当するインクヘッド140C、140M、140Y、140Kが配置される。即ち、印字部108には、圧胴126cの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126cの表面に対向する位置に、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(黒)の4色のインクにそれぞれ対応したインクヘッド140C、140M、140Y、140Kと、溶媒乾燥ユニット142a、142bがそれぞれ設けられている。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kは、それぞれのインク吐出面の垂線方向と圧胴126cの周面の法線方向が一致し、各ヘッド140C、140M、140Y、140Kのインク吐出面と圧胴126c上(記録媒体114上)の打滴位置と距離が各ヘッド140C、140M、140Y、140Kとも同一になるように各ヘッド140C、140M、140Y、140Kが配置されている。このように、各ヘッド140C、140M、140Y、140Kを圧胴126cの周囲に円弧状に配置することで、打滴距離に起因する着弾位置精度が確保され高品位画像の形成が可能となる。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kは、上述した浸透抑制剤ヘッド130や処理液ヘッド136と同様に、インクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)が適用される。即ち、各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kは、それぞれ対応する色インクの液滴を圧胴126cに保持された記録媒体114に向かって吐出する。
各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kは、それぞれ圧胴126cに保持される記録媒体114における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズル(図1中不図示、図2に符号161で図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kが圧胴126cの回転方向(記録媒体114の搬送方向)と直交する方向に延在するように固定設置される。
記録媒体114の画像形成領域の全幅をカバーするノズル列を有するフルラインヘッドがインク色毎に設けられる構成によれば、記録媒体114の搬送方向(副走査方向)について、記録媒体114と各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体114の画像形成領域に画像を記録することができる。
かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
また、本例では、CMYKの4色の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよいし、除いてもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成や、CMYKRGBの7色構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
溶媒乾燥ユニット142a、142bは、上述した用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138と同様に、所定の範囲で温度制御可能なヒータを含んで構成される。後述するように、記録媒体114上に形成された固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上にインク液滴が打滴されると、記録媒体114上にはインク凝集体(色材凝集体)が形成されるとともに、色材と分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が形成される。このようにして記録媒体114上に残った溶媒成分(液体成分)は、記録媒体114のカールだけでなく、画像劣化を招く要因となる。そこで、本例では、各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kからそれぞれ対応する色インクが記録媒体114上に打滴された後、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータによって加熱を行い、溶媒成分を蒸発させ、乾燥を行っている。
〔透明UVインク付与部〕
印字部108の後段には透明UVインク付与部110が設けられている。印字部108の圧胴126cと透明UVインク付与部110の圧胴126dとの間には、これらに対接するように、渡し胴124dが設けられている。これにより、印字部108の圧胴126cに保持された記録媒体114は、各色インクが付与された後に、渡し胴124dを介して透明UVインク付与部110の圧胴126dに受け渡される。
透明UVインク付与部110には、圧胴126dの回転方向(図1において反時計回り方向)に関して上流側から順に、圧胴126dの表面に対向する位置に、印字部108による印字結果を読み取る印字検出部(インラインセンサ)144、透明UVインクヘッド146、第1のUVランプ148a、148bがそれぞれ設けられている。
印字検出部144は、印字部108の印字結果(各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kの打滴結果)を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良や、打滴画像のムラ(濃度ムラ)をチェックする手段として機能する。
本例では、記録媒体114の画像記録領域又は非画像部にテストパターンを形成し、印字検出部144によってテストパターンを読み取り、その読取結果に基づいて、色情報の取得(測色)や濃度むらの検出、各ノズルについて吐出異常の有無の判定など、インライン検出が行われるように構成されている。
本例に適用される印字検出部144は、複数の検出画素(光電変換素子)が記録媒体114の幅方向に沿って一列又は複数列に並べられたラインCCD(又は、複数の検出画素が2次元状に配置されたエリアセンサ)と、ラインCCD(又は、エリアセンサ)によって記録媒体114の幅方向を一括して読取れるように配置されたレンズと、を含む構成である。なお、記録可能幅を一括読取可能な検査視野を持つラインセンサに代えて、これよりも狭い読取範囲のセンサを用い、読取位置を移動(走査)しながら読み取る態様も可能である。
透明UVインクヘッド146は、印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kと同一構成が適用され、各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kによって記録媒体114上に打滴された色インクに重なるように透明UVインクを打滴する。もちろん、印字部108の各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kと異なる構成を適用することも可能である。
第1のUVランプ148a、148bは、記録媒体114に透明UVインクが打滴された後、当該記録媒体114が第1のUVランプ148に対向する位置を通過する際に、記録媒体114上の透明UVインクにUV光(紫外光)を照射して、透明UVインクを硬化させる。
本例では、後述するプリント制御部182(図13参照)によって、UV光照射後の透明UVインクの層厚が5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは1〜3μm)となるように、透明UVインクヘッド146のノズルから吐出される液滴量(透明UVインクの打滴量)の制御が行われる。なお、図1において、「UV光照射後の透明UVインクの層厚」とは、後述する第2のUVランプ156によってUV光が照射された後の透明UVインクの層厚とする。即ち、複数のUVランプが設けられる場合は、記録媒体搬送方向に関して最下流側のUVランプによってUV光照射が行われた後の透明UVインクの層厚とする。
〔排紙部〕
透明UVインク付与部110の後段には排紙部112が設けられている。排紙部112には、透明UVインクが打滴された記録媒体114を受ける排紙胴150と、該記録媒体114を積載する排紙台152と、排紙胴150に設けられたスプロケットと排紙台152の上方に設けられたスプロケットとの間に掛け渡され、複数の排紙用グリッパーを備えた排紙用チェーン154とが設けられている。
また、これらのスプロケットの間には、第2のUVランプ156が排紙用チェーン154の内側に設けられている。第2のUVランプ156は、透明UVインク付与部110の圧胴126dから排紙胴150に受け渡された記録媒体114が排紙用チェーン154によって排紙台152に搬送されるまでの間に、記録媒体114上の透明UVインクにUV光(紫外光)を照射して、透明UVインクを硬化させる。
図1には、浸透抑制処理部104及び処理液付与部106を備える3液系のインクジェット記録装置100を例示したが、これらの処理ブロックは使用されるインクの性能に応じて適宜変更及び省略することができる。
〔ヘッドの構造例〕
次に、印字部108に配置されるインクヘッド140C、140M、140Y、140Kの構造について詳説する。なお、インクヘッド140C、140M、140Y、140Kの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号160によってインクヘッド(以下、単に「ヘッド」と称することもある。)を示す。
図2(a)はヘッド160の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)はその一部の拡大図であり、図2(c)はヘッド160の他の構造例を示す平面透視図である。また、図3は記録素子単位となる1チャネル分の液滴吐出素子(1つのノズル161に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2(a)、(b)中の3−3線に沿う断面図)である。
記録媒体114上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド160におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド160は、図2(a)、(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル161と、各ノズル161に対応する圧力室162等からなる複数のインク室ユニット163を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する主走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体114の搬送方向と略直交する方向に、記録媒体114の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a)の構成に代えて、図2(c)に示すように、複数のノズル161が2次元に配列された短尺のヘッドブロック160’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体114の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル161に対応して設けられている圧力室162は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル161と供給口164が設けられている。図3に示すように、各圧力室162は供給口164を介して共通流路165と連通されている。共通流路165はインク供給源たるインク供給タンク(図3中不図示、図4に符号170で図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは共通流路165を介して各圧力室162に分配供給される。
図3に示すように、圧力室162の一部の面(図3において天面)を構成し共通電極と兼用される振動板166には個別電極167を備えた圧電素子168が接合されており、個別電極167に駆動電圧を印加することによって圧電素子168が変形してノズル161からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路165から供給口164を通って新しいインクが圧力室162に供給される。
本例では、ヘッド160に設けられたノズル161から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子168を適用したが、圧力室162内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット163を図2(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズル配置が実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット163を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル161が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、記録媒体の幅方向(主走査方向)の長さに満たない短尺のヘッドを記録媒体の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると記録媒体の幅方向と直交する方向(副走査方向)に所定量だけ移動させて、次の印字領域の記録媒体の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して記録媒体の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
〔インク供給系の構成〕
図4はインクジェット記録装置100におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インク供給タンク170はヘッド160にインクを供給する基タンクである。インク供給タンク170の形態には、インク残量が少なくなった場合に不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図4に示すように、インク供給タンク170とヘッド160の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ171が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図4には示さないが、ヘッド160の近傍又はヘッド160と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置100には、ノズル161の乾燥防止又はノズル161近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ172と、ヘッド160のインク吐出面の清掃手段としてクリーニングブレード173が設けられている。キャップ172は、不図示の移動機構によってヘッド160に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド160下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ172は、図示せぬ昇降機構によってヘッド160に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ172を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド160に密着させることにより、ノズル面をキャップ172で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル161の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、圧電素子168(図3参照)が動作してもノズル161からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(圧電素子168の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)圧電素子168を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ172(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
また、ヘッド160内(圧力室162内;図3参照)のインクに気泡が混入した場合、圧電素子168が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合にはヘッド160にキャップ172を当て、吸引ポンプ174で圧力室162内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク175へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室162内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
なお、ヘッド160を圧胴126c(「ドラム」と呼ぶ場合がある。)の直上の画像形成位置(印字位置)から所定のメンテナンス位置に移動させた後に、ヘッド160のメンテナンスを実行するように構成されている。
〔印字部の要部構成〕
図5は、本例のインクジェット記録装置100における印字部108の要部側面図である。図6は、用紙浮きセンサ504の構成を示す平面図である。
図5に示すように、用紙浮きセンサ504は、圧胴126cの回転方向に関し、用紙抑えローラ502と用紙ガイド506の間に配置される。かかる配置形態により、記録媒体114の先端から後端の全領域について安定して用紙の浮き上がりを検出することができる。
また、用紙ガイド506は、インクヘッド140Cの手前(上流側)に配置される。圧胴126c表面から用紙ガイド506の先端までの距離は、記録媒体114の浮き上がりによって記録媒体114が用紙ガイド506に当接した状態で停止した際にも記録媒体114がインクヘッド160に接触しないように、所定の距離(クリアランス)に管理される。目安として、用紙ガイド506と圧胴126cの隙間は、0.5mm〜5mm程度である。具体的には、記録媒体114の先端をグリッパーで固定し、後端を用紙ガイド506で抑えたときに、記録媒体114がインクヘッド160と接触しない隙間とする。
用紙ガイド506は図示せぬ高さ調整機構によってドラム法線方向に高さ位置を調整可能であり、記録媒体114の厚みに応じて用紙ガイド506の高さ位置が制御される。これにより、厚みの異なる記録媒体114に対して同じクリアランスを保つことができる。
なお、用紙ガイド506は、圧胴126cの外周面に近い位置に配置されることにより、当該部材がヘッド周囲空間における空気の循環を阻害する仕切り部材となり得る。このため、ヘッド周囲の湿度が上昇し、打滴後のインクが乾燥し難い場合も想定される。
かかる課題に対し、用紙ガイド506を浮き上がりの規制位置から、さらに離れた退避位置に退避可能な構成とし、通常に印刷できているときには、用紙ガイド506を退避位置に退避させておき、ヘッド周辺の通気性を向上させるものとし、用紙浮きセンサ504によって用紙浮きを検出した際に、退避位置からドラム外周面に接近させ、所定の規制位置へと移動させる態様も好ましい。かかる態様によれば、安定した温度・湿度で印刷することができる。
圧胴126cの構成について、図示は省略するが、圧胴126cの周面には多数の吸引穴が所定の配置パターンにしたがって配置され、多数の吸引穴が配置される領域が記録媒体を吸引保持する記録媒体保持領域として機能する。吸引穴は、圧胴126cの内部に設けられた吸引流路と連通するとともに、吸引流路を介して外部の吸引装置(ポンプ)に接続される。なお、上述した負圧吸引方式に代わり、静電気により圧胴126cの記録媒体保持領域に記録媒体114を保持する静電吸着方式を適用してもよい。負圧吸着又は静電吸着によって記録媒体114を保持することにより搬送が安定するため搬送不良が低減できる。ただし、吸着不良や記録媒体114の吸湿など、様々な要因によって用紙の浮き上がりは発生する。
用紙浮きセンサ504は、図6のように、投光器512と受光器514の対から構成される。投光器512と受光器514は、圧胴126cを挟んで左右に配置され、片側(図6の例では左)が投光器、他方が受光器である。なお、投光器512と受光器514の配置関係を入れ換える形態も可能である。投光器512には、LED、レーザなど各種の発光素子を用いることができる。受光器514には、受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子を用いることができる。
投光器512から出射される検査光の光軸は、圧胴126cの軸線方向(ドラム軸線方向)と略平行であり、記録媒体114(用紙)が保持される圧胴126cの表面近くを検査光の光束が通過する。
記録媒体114が圧胴126cから浮き上がることによって、検査光の一部が遮られ、受光器に入射する光量(受光量)が減少するため、受光器から得られる信号によって記録媒体114の浮き上がりを検出することができる。
図6中、符号520、522は、圧胴126cを回転自在に支持する支持枠体である。投光器512と受光器514は、それぞれ位置及び角度の調整機構(図5及び図7の符号530)を介して支持枠体520(又は522)に取り付けられている。
図7は受光器514(又は投光器512)の取付部分を拡大した斜視図である。同図では、片側しか示さないが、図7と反対側に同じ構造が設けられている。
調整機構530は、ドラム軸線方向(X軸方向)、ドラム接線方向(Y軸方向)、ドラム法線方向(Z軸方向)の各位置と、それぞれの軸周りの回転角度を調整することができる機構を備える。
<高精度検出のための工夫>
本例の受光器514の受光面及び投光器512の発光面の手前には、それぞれ図8に示すように、検査光の通過範囲を規制するスリット540が配置されている。このスリット540は、圧胴126cの周方向における検査光の通過位置(受光位置)でのドラム接線方向(図7のY方向)と略同一方向に長細い開口のスリットである。このように、ドラム接線方向に長いスリットを配置する形態を、便宜上「スリット横」と呼ぶことにする。
また、比較のために、図9に示すように、ドラム法線方向に長細いスリット544を配置する形態を「スリット縦」と呼ぶことにする。
受光器514の受光面、投光器512の発光面の手前に配置するスリットの向き(長手方向)によって検出精度が大きく異なることが実験的に確かめられた。実験によれば、横方向のスリットの方が光軸ずれに対して非常に安定した検出が可能である。
<複数種類の用紙厚への対応>
本例のインクジェット記録装置100は、圧胴126cの表面に対するヘッド160の高さ(ドラム法線方向の高さ位置)を変更し得るヘッド高さ調整機構(不図示)を備えており、使用される記録媒体114の厚みに合わせてヘッド160の高さが変更される。用紙種の選択に連動してヘッド高さを制御してもよいし、記録媒体114の搬送路中に媒体の厚さを測定する測定手段を設け、記録媒体114の厚さを実際に測定して得た厚さ情報からヘッドの高さを制御してもよい。これにより、記録媒体114の厚さによらず、記録媒体114の印字面とヘッド160のノズル面との間隔(クリアランス)を一定に保つことができる。
また、厚さの異なる記録媒体114に対して、同じ浮き上がり量を検出できるようにするために、使用する記録媒体の厚みによって、用紙浮きを検出する検出光量(判定用の閾値)を変化させる。
これにより、投光器512受光器514の高さ位置を変更することなく、厚みの異なる記録媒体114について、検出する浮き上がり量を一定に保つことができる。
用紙厚に応じて閾値を変更する態様に変えて、検出高さの異なる複数の投光器、受光器を設置する態様も可能である。即ち、ドラム法線方向について、検出高さの異なる投光器、受光器の対を複数設け、使用する記録媒体の厚みに応じて使用するセンサ対を選択する。薄い記録媒体のときは、下側のセンサを用い、厚い記録媒体のときは上側のセンサを用いる。これにより、異なる厚みの用紙に対して、同じ浮き上がり量で検出することが可能である。
<スリットの組み合わせについて>
上述の説明では、投光器512の投光面、及び受光器514の受光面にそれぞれ同じ形態のスリットを配置したが、スリットはいずれか一方にのみ設けた場合でも相応の効果が得られる。なお、いずれか一方のみにスリットを設置するという条件の場合、投光器512にのみスリットを設けるよりも、受光器514にのみスリットを設ける方が好ましい。
<圧胴(搬送ドラム)の構造の説明>
次に、印字部108において、記録媒体114を保持・搬送する手段として機能する圧胴126cの構造例について説明する。なお、図1に図示する圧胴126a〜126dは共通の構造を有しているので、以降、圧胴126a〜126dを総称して搬送ドラム300として説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る搬送ドラム300の斜視図である。同図に示すように、搬送ドラム300は、円筒(ドラム)形状を有し、回転軸302が長手方向の両端部において軸受304で支持され、回転軸302を回転させることで、外周面306に保持された記録媒体(不図示)は所定の方向に搬送される。
搬送ドラム300の外周面306には複数の凹部が設けられるとともに、各凹部には記録媒体の先端部を保持固定する端部保持部が設けられている。図10には、搬送ドラム300の回転軸を挟んで対称となる位置に2つの凹部308,310が設けられる態様を例示する。なお、図1に示す印字部108の圧胴126cのように、外周面を3等分する位置に(各凹部のなす角度が120°となる位置に)、3つの凹部を備える態様も可能である。図1に示す態様では、渡し胴124a〜124dの2ヶ所に記録媒体114の先端部を保持する機構を備えるとともに、上流側の圧胴から下流側の圧胴へ記録媒体114を受け渡す受け渡し構造を備え、渡し胴124a〜124dが1周すると、圧胴126a,126b,126dは1/2周、圧胴126cは1/3周して記録媒体114を順次受け渡すように構成されている。つまり、圧胴126cが1回転(一周)する前に、記録媒体114は圧胴126cから離れていく。
凹部308(310)には、搬送ドラム300の長手方向に沿って記録媒体の先端部が固定される端部固定面312を有する用紙先端ガイド314が設けられ、更に、用紙先端ガイド314の端部固定面312との間に記録媒体の先端部を挟みこんで挟持する複数のグリッパー316が搬送ドラム300の長手方向に沿って所定間隔(図10の例では等間隔)に設けられている。
記録媒体を渡し胴124cから圧胴126cに受け渡す際に、グリッパー316を開いて記録媒体の先端部をグリッパー316と端部固定面312との間に導き、グリッパー316を閉じると記録媒体の先端部は用紙先端ガイド314に挟持される。
このように、記録媒体の先端を圧胴126cとの間で挟持することにより、用紙先端外れを防止することができ、確実に用紙浮きを検出することができる。
<圧胴(搬送ドラム)の真空流路の説明>
次に、搬送ドラム300の真空流路について詳述する。図10に示す搬送ドラム300の外周面306のうち、記録媒体を保持する記録媒体保持領域414(ドットハッチで図示した領域)には、吸着穴が所定の配置パターンで複数設けられている。更に、搬送ドラム300の軸方向の略中央部は、周方向の全周にわたって吸着穴が設けられていない非開口部416となっている。なお、図10において個々の吸着穴の図示は省略し、図11に符号450を付して個々の吸着穴を図示する。
吸着穴は、搬送ドラム300内部の吸着管路(図11、図12に詳細を図示)と連通し、該吸着管路は搬送ドラム300内部の真空管路(不図示)と連通し、更に、該真空管路は搬送ドラム300の側面部に設けられる連結部320、吸引ホース322、マニホールド324の側面に設けられる連結部326と連通し、ポンプ(図10中不図示)と接続されている。
図10に示す4本の吸引ホース322(連結部320,326)は、本体部356の外周面356Aに設けられる4本のドラム吸着溝426(図10には1本のみ図示)のそれぞれに対応している。
記録媒体を記録媒体保持領域414に保持した状態でポンプを動作させ、上述した搬送ドラム300内の真空流路、吸着管路を介して外周面306の吸着穴に真空(負圧)を発生させることで、記録媒体保持領域414に記録媒体を真空吸着することができる。
また、図10に示すように、搬送ドラム300は、多数の吸着穴が設けられている吸着シート420と、各吸着穴と連通する複数の吸着溝422(開口を有する流路形成部)が所定の配列パターンに従って設けられている中間シート424と、を含み、更に、各吸着溝422に設けられる絞り部(図10中不図示、図11に符号434で図示)と連通するドラム吸着溝426を備えた本体部356を含んで構成されている。
更にまた、本体部356に設けられたドラム吸着溝426の端部には、本体部356の内部に設けられる不図示の真空流路を介して吸引ホース322と連通するドラム吸着穴428(吸着管路)が設けられている。
搬送ドラム300は、本体部356のドラム吸着溝426と中間シート424の絞り部の位置合わせがされ、本体部356の外周面に中間シート424を巻きつけて密着させて固定するとともに、吸着シート420に設けられる吸着穴が中間シート424のいずれかの吸着溝422と連通するように、中間シート424の吸着溝422と吸着シート420の吸着穴の位置合わせがされ、中間シート424の上に吸着シート420を巻きつけて密着させて固定した構造を有している。
吸着シート420に設けられる吸着穴の配置パターンは、中間シート424の吸着溝422のパターンに対応していることが好ましい。なお、吸着穴のうち、吸着溝422と連通しないものがあってもよい。
図11及び図12には、吸着穴450と、吸着溝422及びドラム吸着溝426、ドラム吸着穴428(吸着管路)と、の配置関係を図示する。図11は搬送ドラムの外周面側から見た平面図であり、図12は図11のB−B線に沿う断面図である。ただし、図12は理解を容易にするため、深さ方向に拡大している。
図11に示すように、吸着溝422の幅(図11における上下方向の長さ)は、複数の吸着穴に対応する長さを有し、図11は、吸着溝422の幅が吸着穴450の直径(長軸方向の長さ)の略4倍となる態様を示す。
また、ドラム吸着溝426の幅(図11における左右方向の長さ)は、絞り部434の長さ(図11における左右方向の長さ)よりも短くなっており、図11には、ドラム吸着溝426の幅が絞り部434の長さの略1/2となる態様を示す。更に、絞り部434は、ドラム吸着溝426を超える位置に達する長さ(図11におけるドラム吸着溝426の左側に突出した部分がある構造)を有している。
図11に示すように、絞り部434の幅(図11における上下方向の長さ)は吸着溝422の幅(図11における左右方向の長さ)よりも狭くなっており、また、図12に示すように、絞り部434及び吸着溝422の深さは略同一となっている。即ち、絞り部434の断面積は、吸着溝422の断面積よりも小さくなっており、このような絞り部434の構造によって吸着溝422に流れる流量が制限される。
なお、図12に示すように、吸着シート420の厚みは中間シート424の厚みよりも厚くなっており、図12には吸着シート420の厚みに対する中間シート424の厚みが略1/2となる態様を図示する。
〔システム制御系の説明〕
図13は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置100は、通信インターフェース176、システムコントローラ177、メモリ178、モータドライバ179、ヒータドライバ180、定着処理制御部181、プリント制御部182、画像バッファメモリ183、ヘッドドライバ184、ポンプドライバ195、メンテナンス処理制御部197等を備えている。
通信インターフェース176は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース176にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース176を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦メモリ178に記憶される。
メモリ178は、通信インターフェース176を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ177を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ178は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ177は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ177は、通信インターフェース176、メモリ178、モータドライバ179、ヒータドライバ180等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、メモリ178の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189、ポンプ196を制御する制御信号を生成する。
メモリ178には、システムコントローラ177のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ178は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ178は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
プログラム格納部190には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ177の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部190はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部190は動作パラメータ等の記憶手段(不図示)と兼用してもよい。
モータドライバ179は、システムコントローラ177からの指示にしたがってモータ188を駆動するドライバである。図13には、装置内の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号188で図示されている。例えば、図13に示すモータ188には、図1の圧胴126a〜126d(図10の搬送ドラム300)や渡し胴124a〜124d、排紙胴150を駆動するモータ、用紙ガイド506の高さを調整するためのモータ、用紙ガイド506を退避位置と規制位置の間で移動させるためのモータ、などが含まれている。
ヒータドライバ180は、システムコントローラ177からの指示にしたがって、ヒータ189を駆動するドライバである。図13には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヒータを代表して符号189で図示されている。例えば、図13に示すヒータ189には、図1に示す用紙予熱ユニット128、134や浸透抑制剤乾燥ユニット132、処理液乾燥ユニット138、溶媒乾燥ユニット142a、142bのヒータなどが含まれている。
図13の定着処理部110は、図1では透明UVインク付与部110として図示されている。即ち、図1では、図13の定着処理部110の一態様として、画像の表面に透明UVインク層を形成する態様を例示した。なお、定着処理部110は、透明UVインクの層を形成する態様に限定されず、ヒータ等の加熱手段により画像形成後の記録媒体を加熱する態様や、加圧ローラ等の加圧手段によって記録媒体に形成された画像を加圧する態様、ヒータを内蔵した加圧ローラによる加熱及び加圧を併用する態様などを適用してもよい。
定着処理制御部181は、図1の第1のUVランプ148a、148bのUV光照射量やUV光照射タイミングを制御するUV光照射制御部として機能する。記録媒体114の種類や透明UVインクの種類ごとに、各UVランプ148a、148b、156の最適な照射時間や照射間隔、照射強度が予め求められ、データテーブル化されて所定のメモリ(例えば、メモリ178)に記憶され、定着処理制御部181は記録媒体114の情報や使用インクの情報を取得すると、当該メモリを参照して各UVランプ148a、148b、156の照射時間や照射間隔、照射強度を適宜制御する。
各UVランプ148a、148b、156の照射時間や照射間隔、照射強度を制御することによって、画像の光沢感(表面形状)を制御することができ、異なる光沢感の画像を実現することができる。例えば、第1のUVランプ148a、148bで記録媒体114との界面付近の透明UVインクを高粘度化して記録媒体114への透明UVインクの浸透を抑制しつつ、第2のUVランプ156によって透明UVインクの内部から表面まで硬化させることができる。各UVランプ148a、148b、156の照射時間や照射間隔、照射強度を制御するのに代えて(或いは、これらの制御とともに)、記録媒体114が搬送される速度を制御するようにしてもよいし、各UVランプ148a、148b、156の位置を変化させるようにしてもよい。また、第1のUVランプ148a、148bと第2のUVランプ156の間に乾燥ユニットを追加して、透明UVインクの打滴が行われた後、第1のUVランプ148a、148bによって記録媒体114への透明UVインクの浸透を抑制しつつ、乾燥ユニットによって透明UVインク中の溶媒を除去してから、第2のUVランプ156によって透明UVインクを硬化させるようにしてもよい。
なお、定着処理制御部181は、定着処理部110の構成によって制御対象が適宜決められる。
ポンプドライバ195は、ポンプ196のオンオフ及び発生圧力等の制御を行う。図13のポンプ196には、図4の吸引ポンプ174や圧胴126cにおける吸引吸着のためのポンプなど、装置内の各部に設けられたポンプ類が含まれている。
例えば、図1に示す装置構成において、所定の処理を終えた記録媒体114が印字部108の圧胴126cに供給されると、圧胴126cの真空流路と接続されたポンプを動作させて、記録媒体114の種類やサイズ、曲げ剛性に応じた真空(負圧)を発生させる。
即ち、システムコントローラ177が記録媒体114の種類の情報を取得すると、当該記録媒体114の情報が図13のポンプドライバ195に送られる。ポンプドライバ195は、当該記録媒体114の情報に応じて吸着圧力を設定し、その設定に従ってポンプ196のオンオフ及び発生圧力を制御する。
薄紙等の標準の曲げ剛性よりも曲げ剛性の低い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定し、厚紙等の標準の曲げ剛性よりも曲げ剛性の高い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定する。また、記録媒体114の厚みに応じて、標準厚みよりも厚い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を高く設定し、標準厚みよりも薄い記録媒体114を用いる場合には、標準よりも吸着圧力を低く設定する。なお、記録媒体114の種類(厚み、曲げ剛性)と吸着圧力を対応付けしてデータテーブル化しておき、所定のメモリ(例えば、図13のメモリ178)に記憶しておくとよい。
なお、図1に示す装置構成では、圧胴126a〜126dや渡し胴124a〜124dのそれぞれに吸着力発生用のポンプを備えてもよいし、制御弁などの切換手段を真空流路の途中に設け、1つのポンプを選択的に切り換えて、複数の圧胴126a〜126d及び複数の渡し胴124a〜124dに対応してもよい。
メンテナンス処理制御部197は、システムコントローラ177から送られる制御信号に基づいて、ヘッド160や圧胴126a〜126dなどの装置各部のメンテナンスを実行するメンテナンス処理部198を制御する機能ブロックである。
図13では、メンテナンス処理部198を1つの機能ブロックとして図示したが、ヘッド160のメンテナンス処理部、圧胴126a〜126dのメンテナンス処理部のように、メンテナンス処理部198はメンテナンスの対象ごとに別々に構成される。また、メンテナンス処理制御部197は、メンテナンス処理部ごとに設けられる。図13のメンテナンス処理部198には、モータ188やポンプ196などが含まれる。
プリント制御部182は、システムコントローラ177の制御に従い、メモリ178内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。プリント制御部182において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッドドライバ184を介してヘッド160の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
なお、図13には、インクジェット記録装置100に備えられる複数のヘッド(インクジェットヘッド)を代表して符号160で図示されている。例えば、図13に示すヘッド160には、図1の浸透抑制剤ヘッド130、処理液ヘッド136、インクヘッド140C、140M、140Y、140K、透明UVインクヘッド146が含まれている。
また、プリント制御部182には画像バッファメモリ183が備えられており、プリント制御部182における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ183に一時的に格納される。また、プリント制御部182とシステムコントローラ177とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース176を介して外部から入力され、メモリ178に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データがメモリ178に記憶される。メモリ178に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ177を介してプリント制御部182に送られ、該プリント制御部182において閾値マトリクスや誤差拡散法などを用いたハーフトーニング処理によってインク色(K,C,M,Y)ごとのドットデータ(2値データ又はドットサイズの情報を含んだ多値データ)に変換される。
こうして、プリント制御部182で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ183に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド160のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部182から与えられる画像データ(ドットデータ)に基づいてヘッド160の圧電素子168に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子168に印加して圧電素子168を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図13に示すヘッドドライバ184には、ヘッド160の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
印字検出部144は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録媒体114に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部182に提供する。
プリント制御部182は、必要に応じて印字検出部144から得られる情報に基づいてヘッド160に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
なお、図1の渡し胴124aの前段に印字検出部144と同様の構成(記録媒体検出用センサ)を設けて、当該記録媒体検出用センサを用いて記録媒体114の厚みや表面性を読み取り、その情報に基づいて記録媒体114の種類を判断する態様も好ましい。
図13中のセンサ185は、装置内の各部に設けられる各種センサ類を示している。センサ185には、温度センサ、位置検出センサ、圧力センサ等が含まれている。センサ185の出力信号はシステムコントローラ177に送られ、システムコントローラ177は該出力信号に基づいて装置各部に対して制御信号を送り、装置各部の制御が行われる。
また、本例では、用紙浮きセンサ504の信号から、システムコントローラ177を経由せずに、圧胴126cを含む用紙搬送系のモータ188を緊急停止させることができる電気回路構成を備えている。用紙浮きセンサ504によって規定量を超える用紙浮きが検出された際に、印刷を停止させる場合、システムコントローラ177の制御によってモータを停止させる構成も可能であるが、コンピュータ(CPU)の制御では、ある一定周期(サイクル)でセンサの状態を見て制御するため、制御遅れが生じ得る。かかる遅れによって、用紙の浮き部(例えば、後端)が用紙ガイド506を通過するまでの間にドラムを止めることが困難な場合もある。このような課題は、特に、高速印刷(トラムの高速回転)の場合に顕著となる。
したがって、本実施形態のインクジェット記録装置100では、コンピュータ(ここではシステムコントローラ177)の制御を介さずに、リレーなどの電気的な回路によって、用紙浮きセンサ504の信号から直ちにドラムを停止させる構成を採用している。
かかる構成によれば、用紙浮きを検出してからドラムが停止するまでの用紙搬送距離を短くすることができる。
<インクジェット記録装置による画像形成方法>
次に、上記のように構成されたインクジェット記録装置100による画像形成方法について説明する。
図1に示した給紙部102の給紙台120からフィーダボード122に記録媒体114が送り出される。記録媒体114は、渡し胴124aを介して、浸透抑制処理部104の圧胴126aに保持され、用紙予熱ユニット128によって予備加熱され、浸透抑制剤ヘッド130によって浸透抑制剤が打滴される。その後、圧胴126aに保持された記録媒体114は、浸透抑制剤乾燥ユニット132によって加熱され、浸透抑制剤の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。
こうして浸透抑制処理が行われた記録媒体114は、浸透抑制処理部104の圧胴126aから渡し胴124bを介して、処理液付与部106の圧胴126bに受け渡される。圧胴126bに保持された記録媒体114は、用紙予熱ユニット134によって予備加熱され、処理液ヘッド136によって処理液が打滴される。その後、圧胴126bに保持された記録媒体114は、処理液乾燥ユニット138によって加熱され、処理液の溶媒成分(液体成分)が蒸発し、乾燥する。これにより、記録媒体114上には固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成される。
処理液が付与されて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層が形成された記録媒体114は、処理液付与部106の圧胴126bから渡し胴124cを介して、印字部108の圧胴126cに受け渡される。圧胴126cに保持された記録媒体114には、入力画像データに応じて、各インクヘッド140C、140M、140Y、140Kからそれぞれ対応する色インクが打滴される。
凝集処理剤層上にインク液滴が着弾すると、飛翔エネルギーと表面エネルギーとのバランスにより、インク液滴と凝集処理剤層との接触面が所定の面積にて着弾する。インク液滴が凝集処理剤上に着弾した直後に凝集反応が始まるが、凝集反応はインク液滴と凝集処理剤層との接触面から始まる。凝集反応は接触面近傍のみで起こり、インク着弾時における所定の接触面積で付着力を得た状態でインク内の色材が凝集されるため、色材移動が抑止される。
このインク液滴に隣接して他のインク液滴が着弾しても先に着弾したインクの色材は既に凝集化しているので後から着弾するインクとの間で色材同士が混合せず、ブリードが抑止される。なお、色材の凝集後には、分離されたインク溶媒が広がり、凝集処理剤が溶解した液体層が記録媒体114上に形成される。
そして、圧胴126cに保持された記録媒体114は溶媒乾燥ユニット142a、142bによって加熱され、記録媒体114上でインク凝集体と分離した溶媒成分(液体成分)は蒸発し、乾燥する。この結果、記録媒体114のカールが防止されるとともに、溶媒成分に起因する画像品質の劣化を抑えることができる。
印字部108によって色インクが付与された記録媒体114は、印字部108の圧胴126cから渡し胴124dを介して、透明UVインク付与部110の圧胴126dに受け渡される。圧胴126dに保持された記録媒体114は、印字検出部144によって印字部108の印字結果が読み取られた後、透明UVインクヘッド146から記録媒体114上の色インクに重なるように透明UVインクが打滴される。
続いて、圧胴126dに保持された記録媒体114は、第1のUVランプ148a、148bに対向する位置を通過する際、第1のUVランプ148a、148bによってUV光が記録媒体114上の透明UVインクに対して照射される。これにより、記録媒体114上の透明UVインクは、記録媒体114との界面が高粘度化され、記録媒体114への透明UVインクの浸透が抑制される。
更に、その後、記録媒体114が圧胴126dから排紙胴150に受け渡され、排紙用チェーン154によって排紙台152まで搬送されるときに第2のUVランプ156に対向する位置を通過する際、第2のUVランプ156によってUV光が記録媒体114上の透明UVインクに対して照射される。これにより、記録媒体114上の透明UVインクは表面から内部まで硬化した状態となる。
透明UVインク付与部110において、記録媒体114上に透明UVインクが付与される際、UV光照射後の透明UVインクの層厚が5μm以下(好ましくは3μm以下、より好ましくは1〜3μm)となるように、透明UVインクヘッド146の打滴量が制御される。従って、第1のUVランプ148a、148b及び第2のUVランプ156によるUV光照射によって、記録媒体114上の色インクを覆うように透明UVインクから成る薄膜層(透明UVコート層)が形成され、オフセット印刷と同様の光沢感の画像が記録媒体114上に実現される。
このようにして画像形成が行われた記録媒体114は、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
<用紙浮きを検出した場合の動作制御例>
図14は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の用紙浮き検出時の動作例を示すフローチャートである。印刷ジョブの開始による記録媒体114の搬送に合わせて、用紙浮きセンサ504による用紙浮きの監視をスタートさせる(ステップS210)。通常の印刷モードにおいては、用紙浮きセンサ504により規定量を超える用紙浮きが検出されなければ(ステップS212にてNO)、そのまま印刷動作が継続される。一方、用紙浮きセンサ504の受光器514から得られる検出信号に基づき、規定量を超える用紙浮きが検出されると(ステップS212のYES)、このセンサ信号によって直ちに(システムコントローラ177による制御を経由せずに)、ドラム(圧胴126c)を停止させる(ステップS214)。
こうして、規定量を超える浮き上がりが検出された記録媒体114の部分が用紙ガイド506を通過する前に圧胴126cを停止させることにより、ヘッド160への記録媒体114の接触を確実に防止することができる。また、かかる作用効果を得るように、用紙ガイド506の設置位置(最上流のインクヘッド140Cからのドラム周方向の角度位置)と、用紙ガイド506の高さ(圧胴126c面とのクリアランスの量)は設計される。
例えば、記録媒体114の後端部が圧胴126cから浮き上がって停止したとしても、記録媒体114は用紙ガイド506に接触して、それ以上の浮き上がりが規制されるため、ヘッド160のノズル面への記録媒体114の接触を防止できる。
システムコントローラ177は、用紙浮き検出によってドラムが緊急停止した状態を検知すると(ステップS215でYES)、上記のとおりヘッド160に対する記録媒体114の接触を回避した状態で、ヘッド160を印字位置(圧胴126cに対向する位置)から、圧胴126c軸方向の圧胴126c外における所定のメンテナンス位置へ退避させる(ステップS216)。そして、ユーザに対し、ジャム用紙の除去を促す警告を報知する(ステップS218)。警告手段は、特に限定されないが、ホストコンピュータ186のディスプレイや、図示せぬコントロール装置におけるディスプレイなどの表示手段への警告メッセージの表示、音声出力手段による警告音の出力、警告メッセージの音声出力などの態様がある。
警告を出力後、ステップS220に進み、ジャム用紙除去作業が完了したか否かの判定を行う。ユーザ(オペレータ)による作業完了をセンサにより自動検出した場合、或いは、ユーザ(オペレータ)がジャム用紙を除去する作業を行い、作業完了後に所定の操作(例えば、作業完了ボタンの操作)を行うことにより、ステップS220がYES判定となり、ステップS222へ進む。
ステップS222では、装置内において搬送途中で止まっている他の用紙(記録媒体114)を排出する動作を行う。即ち、本例のインクジェット記録装置100は、用紙の浮き上がりを検出している状態でも圧胴126a〜126d及び渡し胴124a〜124dを回転させるモード(強制排紙モード)を有している。
ヘッド160が印字位置にない場合(メンテナンス位置に退避している場合)に限り、用紙の浮き上がりを検出している状態でも上記の強制排紙モードに移行できる。ジャム解除シーケンスにおいてこのモードに入り、装置内で止まった搬送中の用紙(記録媒体114)を強制的に排紙することができ、用紙浮き検出時からの復帰動作を迅速に行うことができる。
ステップS222において、装置内の搬送途中で停止していた用紙を全て排出し終えた後、ヘッド160を印字位置に移動させる(ステップS224)。こうして、印刷可能な状態に復帰し、印刷を再開するか否かの判断を行う(ステップS226)。ユーザ(オペレータ)による再開指示の入力、或いは、自動スタートのプログラム等によって、ステップS226でYES判定となると、印刷が再開され、ステップS212へ戻る。
その一方、ステップS226において、ユーザ(オペレータ)による印刷終了指示の入力、或いは、自動終了のプログラム等によってステップS226でNO判定となると、処理を終了する(ステップS230)。
本例のインクジェット記録装置100によれば、ヘッド160への記録媒体114の衝突を回避して、迅速にジャム復帰できる。
また、用紙浮きセンサ504の検出によって圧胴126cを停止させる信号伝達経路と、システムコントローラ177による搬送系の制御を行う信号伝達経路とを含む複数の回路系統を有し、通常の印刷モードと、ジャム解除モードとで、用紙浮きセンサ504からの信号伝達経路を切り替えることができる。
これにより、通常の印刷モードにおいて用紙浮きを検出した際に、コンピュータ制御を経由せずに、圧胴126cを直ちに停止させることができる。
<ドラムを停止させる手段について>
用紙浮き検出に基づき圧胴を停止させる制御を実現する手段として、ディスクブレーキ、回生ブレーキなどの制動装置を利用する態様、或いは、サーボモータを用いて制御する態様がある。
<実施形態の変形例1>
図1では用紙抑え手段として、用紙抑えローラ502を用いたが、これに代えて、又はこれと併用して、記録媒体114にエアを吹き付けて、圧胴126cの外周面に記録媒体114を密着させてもよい。図15には、用紙抑え手段として、エア発生部562Aと噴射ノズル562Bを有するエア吹き付け装置562を備えた構成を示した。図15において図5と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。本例のエア発生部562Aは、圧胴126cのドラム軸線方向に沿って複数のファン(気流発生手段)が配列されて構成される。噴射ノズル562Bから記録媒体114の全幅領域に対して気流が吹き付けられ、そのエアの力によって記録媒体114が圧胴126c面に押し付けられる。
なお、図15で説明したファンによるエア吹き付け装置562に代えて、圧縮空気吹き付け装置を採用する態様も可能である。
<実施形態の変形例2>
用紙浮き検出手段としては、図5〜図8で説明したドラム軸線方向の光学式センサの他に、超音波センサ、反射型フォトインタラプタ、レバー(アクチュエータ)付き透過型フォトインタラプタなどを用いる態様も可能である。また、ドラム軸線方向にワイヤを張り、用紙接触によるワイヤの張力変化を検出する構成を採用することもできる。
具体的には、超音波センサとして、例えばオムロン株式会社製の超音波反射型センサ(商品名:E4C-UDA)などを適用できる。反射型フォトインタラプタとして、株式会社日本アレフ製の光変調方式反射型フォトセンサ(商品名:OH-117-A5)などを適用できる。アクチュエータ付き透過型フォトインタラプタは、用紙の浮き上がり部分に接触するレバー部材の動きによって光の通過・遮断がなされるセンサであり、例えば、株式会社日本アレフ製のアクチュエータ型フォトセンサ(商品名:OS-955A-H5)などを適用できる。
超音波センサ、反射型フォトインタラプタ、又は、アクチュエータ付き透過型フォトインタラプタは、ドラム軸線方向に少なくとも1つ、好ましくは複数配置される。図16にセンサの配置例を示す。ここでは、超音波センサ、反射型フォトインタラプタ、又は、アクチュエータ付き透過型フォトインタラプタを代表して、符号601〜605でセンサを表す。
図示の例では、用紙幅の異なる大小2種類の用紙について、用紙の中央部(符号601のセンサ位置)と、用紙の両端付近に対応した位置(符号602〜605のセンサ位置)に、センサが配置されている。
図16の符号612、613で示した二点鎖線は、第1の用紙幅を有する用紙(「用紙(小)」と記載)の左右の側端位置を示す線であり、当該側端位置の内側近傍にセンサ602、603が配置される。
同様に、符号614、615で示した二点鎖線は、第2の用紙幅を有する用紙(「用紙(大)」と記載)の左右の側端位置を示す線であり、当該側端位置の内側近傍にセンサが配置される。
なお、ここでは、大小2種類の用紙サイズに対応して、合計5つのセンサ601〜605を配置したが、ドラム軸線方向にセンサの数を増やすことにより、更に多種の用紙サイズに対応することも可能であり、検出精度の向上を図ることが出来る。
図17は、用紙浮き検出手段として、ワイヤの張力変化を検出する構成例である。図示のように、ドラム軸線方向にワイヤ620を張り、その一端をテンショナー(例えば、バネ)622に接続し、他端を張力測定器(例えば、歪みゲージをなど)624に接続する。
ワイヤ620は、圧胴126cの周面から一定の高さに張架されており、用紙の浮き部分がワイヤ620にあたると、ワイヤ620の張力が変化するため、この張力変化の検出により用紙浮きを検出することができる。このような、ワイヤ方式であれば、用紙サイズによらず、用紙の浮きを検出できる。
<実施形態の変形例3>
図1では、記録媒体114の片面のみに印刷を行うインクジェット記録装置100(片面機)を説明したが、本発明は両面印刷用の装置(両面機)にも適用可能である。
図18は、両面印刷用のインクジェット記録装置200の構成図である。なお、図18中、図1と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図18に示すインクジェット記録装置200は、記録媒体114の両面に印刷可能な両面機である。このインクジェット記録装置200は、記録媒体114の搬送方向(図18の右から左へ向かう方向)の上流側から順に、給紙部102と、第1の浸透抑制処理部104Aと、第1の処理液付与部106Aと、第1の印字部108Aと、第1の透明UVインク付与部110Aと、記録媒体114の記録面(画像形成面)の反転を行う反転部202と、第2の浸透抑制処理部104Bと、第2の処理液付与部106Bと、第2の印字部108Bと、第2の透明UVインク付与部110Bと、排紙部112とを備えている。つまり、反転部202の前後に、図1に示すインクジェット記録装置100の浸透抑制処理部104、処理液付与部106、印字部108、及び透明UVインク付与部110をそれぞれ配置した構成に相当するものである。
本例のインクジェット記録装置200では、まず、図1に示すインクジェット記録装置100と同様にして、給紙部102から給紙された記録媒体114の一方の面に対して、第1の浸透抑制処理部104A、第1の処理液付与部106A、第1の印字部108A、及び第1の透明UVインク付与部110Aによって、浸透抑制処理、処理液の打滴、色インクの打滴、透明UVインクの打滴などが順次行われる。
このようにして記録媒体114の一方の面に画像が形成された後、第1の透明UVインク付与部110Aの圧胴126dから渡し胴206を介して、記録媒体114が反転胴204に受け渡される際、記録媒体114の反転が行われる。なお、記録媒体114の反転機構は公知のものを適用すればよいため具体的な説明については省略する。また、反転胴204の表面に対向する位置には、第2のUVランプ156が設けられており、第1の透明UVインク付与部110Aの第1のUVランプ148a、148bとともに、記録媒体114上に付与された透明UVインクを硬化させる役割を果たしている。
反転後の記録媒体114は、反転胴204から渡し胴208を介して、第2の浸透抑制処理部104Bの圧胴126aに受け渡される。そして、記録媒体114の他方の面に対して、第2の浸透抑制処理部104B、第2の処理液付与部106B、第2の印字部108B、及び第2の透明UVインク付与部110Bによって、浸透抑制処理、処理液の打滴、色インクの打滴、透明UVインクの打滴などが順次行われる。
このようにして記録媒体114の両面に画像が形成された後、記録媒体114は、排紙用チェーン154によって排紙台152の上方に搬送され、排紙台152上に積載される。
<浸透抑制剤、インク、処理液の具体例について>
図1及び図18の実施形態で用いた浸透抑制剤、処理液、及びインクの具体例を以下に示す。
<浸透抑制剤>
下記構造の分散安定用樹脂〔Q−1〕10g、酢酸ビニル100g、及びアイソパーH(エクソン社商品名)384gの混合溶液を窒素気流下で攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤として、2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.V.N.)0.8gを加え、3時間反応した。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、反応温度は88℃まで上昇した。更に、該開始剤を0.5g加え、2時間反応した後、温度を100℃に上げ、2時間攪拌し、未反応の酢酸ビニルを留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好なラテックスであった。粒径はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転数1×104 r.p.m.、回転時間60分)にかけて、沈降した樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量平均分子量(Mw)とガラス転移点(Tg)、最低造膜温度(MFT)を測定したところ、Mwは2×105(ポリスチレン換算GPC値)、Tgは38℃、MFTは28℃であった。
このようにして作製した浸透抑制剤溶液を記録用紙上に、付与した。付与時にはドラムにより記録用紙を加熱し、付与後には熱風を送風してアイソパーHを蒸発させた。
Figure 2010111474
<インクについて>
本発明の実施に用いられるインクは、溶媒不溶性材料として、色材(着色剤)である顔料やポリマー微粒子などを含有する水性顔料インクが用いられる。
溶媒不溶性材料の濃度は、吐出に適切な粘度20mPa・s以下を考慮して1wt%以上20wt%以下であることが好ましい。より好ましくは画像の光学濃度を得るために4wt%以上の顔料濃度である。
インクの表面張力は、吐出安定性を考慮して20mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。
インクに使用される色材は、顔料あるいは染料と顔料とを混合して用いることができる。処理液との接触時における凝集性の観点から、インク中で分散状態にある顔料の方がより効果的に凝集するため好ましい。顔料の中でも、分散剤により分散されている顔料、自己分散顔料、樹脂により顔料表面を被覆された顔料(マイクロカプセル顔料)、及び高分子グラフト顔料が特に好ましい。また、顔料凝集性の観点から、解離度の小さいカルボキシル基によって修飾されている形態がより好ましい。
マイクロカプセル顔料の樹脂は、限定されるものではないが、水に対して自己分散能又は溶解能を有し、かつアニオン性基(酸性)を有する高分子の化合物であるのが好ましい。この樹脂は、通常、数平均分子量が1,000〜100,000範囲程度のものが好ましく、3、000〜50、000範囲程度のものが特に好ましい。また、この樹脂は有機溶剤に溶解して溶液となるものが好ましい。樹脂の数平均分子量がこの範囲であることにより、顔料における被覆膜として、又はインク組成物における塗膜としての機能を十分に発揮することができる。
前記樹脂は、自己分散能あるいは溶解するものであっても、又はその機能が何らかの手段によって付加されたものであってもよい。例えば、有機アミンやアルカリ金属を用いて中和することにより、カルボキシル基、スルホン酸基、またはホスホン酸基等のアニオン性基を導入されてなる樹脂であってもよい。また、同種または異種の一又は二以上のアニオン性基が導入された樹脂であってもよい。本発明にあっては、塩基をもって中和されて、カルボキシル基が導入された樹脂が好ましくは用いられる。
本発明に用いる顔料としては、特に限定はされないが、具体例としては、オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。レッドまたはマゼンタ用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
本発明に係る着色インク液には、処理液と反応する成分として、着色剤を含まないポリマー微粒子を添加することが好ましい。ポリマー微粒子は、処理液との反応によりインクの増粘作用、凝集作用を強め、画像品位の向上させることができる。特に、アニオン性のポリマー微粒子をインクに含有せしめることにより、安全性の高いインクが得られる。
処理液と反応して、増粘・凝集作用を起こすポリマー微粒子をインクに用いることにより、画像の品位を高めることができると同時に、ポリマー微粒子の種類によっては、ポリマー微粒子が記録媒体で皮膜を形成し、画像の耐擦性、耐水性をも向上させる効果を有する。
ポリマーインクでの分散方法はエマルジョンに限定するものではなく、溶解していても、コロイダルディスパージョン状態で存在していてもよい。
ポリマー微粒子は、乳化剤を用いてポリマー微粒子を分散させたものであっても、また、乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては、通常、低分子量の界面活性剤が用いられているが、高分子量の界面活性剤を乳化剤として用いることもできる。外殻がアクリル酸、メタクリル酸などにより構成されたカプセル型のポリマー微粒子(粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー微粒子)を用いることも好ましい。
分散手法として、低分子量の界面活性剤を用いていないポリマー微粒子は、高分子量の界面活性剤を用いたポリマー微粒子、乳化剤を使用しないポリマー微粒子を含めてソープフリーラテックスと呼ばれている。例えば上記に記述した、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるブロックポリマー)を乳化剤として用いたポリマー微粒子もこれに含まれる。
本発明では、特にこのソープフリーラテックスを用いることが好ましく、ソープフリーラテックスは従来の乳化剤を用いて重合したポリマー微粒子にくらべ、乳化剤がポリマー微粒子の反応凝集や造膜を阻害したり、遊離した乳化剤がポリマー微粒子の造膜後に表面に移動し、顔料とポリマー微粒子の混合した凝集体と記録媒体との接着性を低下させる懸念がない。
インクにポリマー微粒子として添加する樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ポリマー微粒子への高速凝集性付与の観点から、解離度の小さいカルボン酸基を有するものがより好ましい。カルボン酸基はpH変化によって影響を受けやすいので、分散状態が変化しやすく、凝集性が高い。
ポリマー微粒子のpH変化に対する分散状態の変化は、アクリル酸エステルなどのカルボン酸基を有する、ポリマー微粒子中の構成成分の含有割合によって調整することができ、分散剤として用いるアニオン性の界面活性剤によっても調整可能である。
ポリマー微粒子の樹脂成分は、親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。疎水性部分を有することで、ポリマー微粒子の内側に疎水部分が配向し、外側に親水部分が効率よく外側に配向され、液体のpH変化に対する分散状態の変化がより大きくなる効果があり、凝集がより効率よく行われる。
市販のポリマー微粒子の例としては、ジョンクリル537、7640(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、ジョンソンポリマー株式会社製)、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、ジュリマーET−410、FC−30(アクリル系樹脂エマルジョン、日本純薬株式会社製)、アロンHD−5、A−104(アクリル系樹脂エマルジョン、東亞合成株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、ザイクセンL(アクリル系樹脂エマルジョン、住友精化株式会社製)などが挙げられるが、これに限定するものではない。
顔料に対するポリマー微粒子添加量の重量比率は2:1から1:10が好ましい、より好ましくは1:1から1:3である。顔料に対するポリマー微粒子添加量の重量比率は2:1より少ないと、樹脂の融着による凝集体の凝集力が効果的に向上しない。また、添加量が1:10より多くてもインクの粘度が高くなりすぎ、吐出性などが悪化する。
インクに添加するポリマー微粒子の分子量は融着したときの付着力を鑑みて、5,000以上が好ましい。5,000未満だと、凝集したときのインク凝集体の内部凝集力向上や記録媒体に画像の定着性に効果が不足し、また画質改善効果が不足する。
ポリマー微粒子の体積平均粒子径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜500nmの範囲がより好ましく、20〜200nmの範囲が更に好ましく、50〜200nmの範囲が特に好ましい。10nm以下では、凝集しても画質の改善効果、転写性の向上に効果があまり期待できない。1μm以上では、インクのヘッドからの吐出性や保存安定性が悪化するおそれがある。また、ポリマー粒子の体積平均粒子径分布に関しては、特に制限は無く、広い体積平均粒子径分布を持つもの、又は単分散の体積平均粒子径分布を持つもの、いずれでもよい。
また、ポリマー微粒子を、インク内に2種以上混合して含有させて使用してもよい。
本発明のインクに添加するpH調整剤としては中和剤として、有機塩基、無機アルカリ塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましい。
本発明のインクは、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
水溶性有機溶媒としては、処理液の場合と同様に、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルフォラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることもできる。
本発明のインクには、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて固体状又は半固溶状の凝集処理剤層上でのぬれ性を高め、拡がり率を増加させることができる。
本発明のインクの表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、浸透性記録媒体への浸透性、液滴の微液滴化、及び吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明のインクの粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等も添加することができる。
<処理液について>
本発明の実施に際して用いる処理液(凝集処理液)として、インクのpHを変化させることにより、インクに含有される顔料およびポリマー微粒子を凝集させ、凝集物を生じさせるような処理液が好ましい。
処理液の成分として、ポリアクリル酸、酢酸、グリコール酸、マロン酸、リンゴ酸、マレイン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、スルホン酸、オルトリン酸、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等の中から選ばれることが好ましい。
また、本発明に係る処理液の好ましい例として、多価金属塩あるいはポリアリルアミンを添加した処理液を挙げることができる。これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
本発明に係る処理液はインクとのpH凝集性能の観点からpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることが特に好ましい。
本発明に係る処理液の中における、インクの顔料およびポリマー微粒子を凝集させる成分の添加量としては、液体の全重量に対し、0.01重量%以上20重量%以下であることが好ましい。0.01重量%以下の場合は処理液とインクが接触時に、濃度拡散が十分に進まずpH変化による凝集作用が十分に発生しないことがある。また20重量%以上であると、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
本発明に係る処理液は、乾燥によってインクジェットヘッドのノズルが詰まるのを防止する目的から、水、その他添加剤溶性有機溶媒を含有することが好ましい。このような水、その他添加剤溶性有機溶媒には、湿潤剤及び浸透剤が含まれる。
これらの溶媒は、水,その他添加剤と共に単独若しくは複数を混合して用いることができる。
水、その他添加剤溶性有機溶媒の含有量は処理液の全重量に対し、60重量%以下であることが好ましい。60重量%以上よりも多い場合は処理液の粘度が増加し、インクジェットヘッドからの吐出性が悪化することがある。
処理液には、定着性および耐擦性を向上させるため、樹脂成分を更に含有してもよい。樹脂成分は、処理液をインクジェット方式によって打滴する場合ヘッドからの吐出性を損なわないもの、保存安定性があるものであればよく、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどを自由に用いることができる。
樹脂成分としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ビニル系、スチレン系等が考えられる。定着性向上といった機能を充分に発現させるには、比較的高分子のポリマーを高濃度1重量%〜20重量%に添加することが必要である。しかし、上記材料を液体に溶解させて添加しようとすると高粘度化し、吐出性が低下する。適切な材料を高濃度に添加し、かつ粘度上昇を抑えるには、ラテックスとして添加する手段が有効である。ラテックス材料としては、アクリル酸アルキル共重合体、カルボキシ変性SBR(スチレン−ブタジエンラテックス)、SIR(スチレン−イソプレン)ラテックス、MBR(メタクリル酸メチル−ブタジエンラテックス)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンラテックス)、等が考えられる。ラテックスのガラス転移点Tgはプロセス上、定着時に影響の強い値で、常温保存時の安定性と加熱後の転写性を両立するために、50℃以上120℃以下であることが好ましい。更に最低造膜温度MFTはプロセス上、定着時に影響の強い値で、低温で充分な定着を得る為に100℃以下、更に好ましくは50℃以下である。
インクと逆極性のポリマー微粒子を処理液に含ませ、インク中の顔料及びポリマー微粒子と凝集させることによって更に凝集性を高めてもよい。
また、インクに含まれるポリマー微粒子成分に対応した硬化剤を処理液に含有し、二液が接触後、インク成分中の樹脂エマルジョンが凝集するとともに架橋又は重合するようにして、凝集性を高めてもよい。
本発明に係る処理液は、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
表面張力を下げて記録媒体上でのぬれ性を高めるのに効果がある。また、インクを先立って打滴する場合においてもインク上でのぬれ性を高め、二液の接触面積の増加により効果的に凝集作用がすすむ。
本発明に係る処理液の表面張力は、10〜50mN/mであることが好ましく、浸透性記録媒体への浸透性、液滴の微液滴化、及び吐出性の両立の観点からは、15〜45mN/mであることが更に好ましい。
本発明に係る処理液の粘度は、1.0〜20.0cPであることが好ましい。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線、吸収剤、等も添加することができる。
〔他の装置構成への適用例〕
上記の実施形態では画像形成装置の例として、インクジェット記録装置100、200を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、インクジェット方式だけでなく、レーザ記録方式や電子写真方式など他の方式の画像形成装置にも適用可能である。例えば、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
また、「画像形成装置」という用語の解釈においては、写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、レジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
<付記>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体上に画像を形成する記録ヘッドと、前記記録ヘッドよりも前記搬送手段による前記記録媒体の搬送方向の上流側において前記搬送手段の媒体保持面から所定の距離に配置され、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを規制するガイド部材と、前記ガイド部材よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを検出する検出手段と、前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記記録ヘッドに到達する前に前記搬送手段を停止させる強制停止手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、記録媒体の先端部、中間部、後端部のいずれの部分において浮き上がりが発生した場合でも、記録ヘッドへの接触を防止することができる。
本発明に係る画像形成装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するためのノズル(吐出口)及び吐出圧を発生させる圧力発生素子(圧電アクチュエータや加熱発泡用の発熱体)を含む液滴吐出素子(インク液室ユニット)を高密度に多数配置した液体吐出ヘッド(記録ヘッド)を備えるとともに、入力画像から生成されたインク吐出用データ(ドット画像データ)に基づいて前記液体吐出ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、ノズルから吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成する。
例えば、画像入力手段を介して入力された画像データ(印字データ)に基づいて色変換やハーフトーニング処理が行われ、インク色に応じたインク吐出データが生成される。このインク吐出データに基づいて、液体吐出ヘッドの各ノズルに対応する圧力発生素子の駆動が制御され、ノズルからインク滴が吐出される。
高解像度の画像出力を実現するためには、インク液を吐出するノズル(吐出口)と、該ノズルに対応した圧力室及び圧力発生素子とを含んで構成される液滴吐出素子(インク室ユニット)を高密度に多数配置した記録ヘッドを用いる態様が好ましい。
かかるインクジェット方式の記録ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の吐出口(ノズル)を配列させたノズル列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってヘッドを配置する態様もあり得る。
記録媒体と記録ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる態様、或いは、ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。なお、インクジェット方式の記録ヘッドを用いてカラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
「記録媒体」は、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
搬送手段の形態には、円筒形状を有し、所定の回転軸の周りを回転可能に構成された搬送ドラム(搬送ローラ)や、搬送ベルトなどの形態が挙げられる。
(発明2):発明1に記載の画像形成装置において、前記強制停止手段は、前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記ガイド部材を通過する前に前記搬送手段を停止させることを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、記録媒体の浮き上がり部分は、ガイド部材によってその浮き上がり量が規制されるため、記録ヘッドに記録媒体が接触しない。
(発明3):発明1又は2のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記搬送手段は前記記録ヘッドに対向して配置されたドラムであり、当該ドラムの周面に前記記録媒体が巻き付けられ、該ドラムの回転によって前記記録媒体が搬送されることを特徴とする画像形成装置。
ドラム周面(曲面)に沿って記録媒体を湾曲させて保持する形態の場合、記録媒体が元に戻ろうとする力によって用紙が浮き上がるという課題があるが、このような浮き上がりに対して本発明は効果的である。
(発明4):発明3に記載の画像形成装置において、前記ドラムに保持された前記記録媒体は、前記ドラムが一回転する前に当該ドラムから離脱することを特徴とする画像形成装置。
ドラムが一周する間に記録媒体がドラムを通過する構成について本発明を適用することが好ましい。
(発明5):発明1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記搬送手段の媒体保持面からの前記ガイド部材の高さを可変する高さ可変手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、厚みの異なる記録媒体に対して、同じクリアランスを保つことができる。
(発明6):発明1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記ガイド部材は、前記媒体保持面から前記所定の距離で前記搬送手段に接近する規制位置と、前記規制位置よりも前記媒体保持面から遠く離れた退避位置との間で移動可能であり、前記搬送手段の検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、前記ガイド部材を退避位置から前記規制位置に移動させることを特徴とする画像形成装置。
通常の記録動作時に、ヘッド周辺の通気性を向上させ、安定した温湿度で記録することができる。
(発明7):発明1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記検出手段よりも前記搬送方向の上流側に、前記記録媒体を前記搬送手段の媒体保持面に向けて抑え付ける媒体抑え手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
媒体抑え手段によって記録媒体を媒体保持面に抑え付けた後に、検出手段による用紙浮き検出を行うことにより、安定した検出が可能である。媒体抑え手段としては、ローラ部材、エア吹き付け手段などを適用できる。
(発明8):発明1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記搬送手段には、前記記録媒体の先端を挟持するグリッパーが設けられていることを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、記録媒体の先端外れを防止することができ、特に、記録媒体の中間部及び後端部の浮き上がりによるヘッドへの接触を防止することができる。
(発明9):発明1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記検出手段が前記浮き上がりを検出したことによって前記搬送手段を停止させた後、前記検出手段が前記浮き上がりを検出している状態でも前記搬送手段を駆動させる動作モードを有することを特徴とする画像形成装置。
かかる態様により、記録媒体の浮きを検出した時からの復帰動作を迅速に行うことができる。
(発明10):発明9に記載の画像形成装置において、前記記録ヘッドを画像形成位置から退避させた状態に限り、前記動作モードによる駆動が可能であることを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、ヘッドへの記録媒体の衝突を回避して、迅速にジャム復帰できる。
(発明11):発明1乃至10に記載の画像形成装置において、前記搬送手段の駆動を制御する中央演算処理装置(CPU)を含んだ制御回路と、前記制御回路を経由せずに前記検出手段からの信号を前記強制停止手段に伝達する信号伝達経路を形成する電気回路と、
を有し、前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、前記制御回路による制御を経由せずに、前記電気回路を介して前記検出手段からの信号を前記強制停止手段に伝達することにより、前記搬送手段を停止させることを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、CPUの制御遅れがなく、浮き上がりを検出してから搬送手段が停止するまでの記録媒体の移動距離を短くすることができる。
(発明12):発明1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記検出手段が前記浮き上がりを検出したことによって前記搬送手段を停止させた後、前記記録ヘッドを画像形成位置から退避させ、前記浮き上がりが検出された記録媒体の除去を促す警告を報知し、当該装置内で搬送途中の記録媒体を全て排出した後、前記記録ヘッドを前記画像形成位置に移動させる復帰動作を実行することを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、ヘッドへの記録媒体の衝突を回避して迅速にジャム復帰できる。
(発明13):発明1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記検出手段は、前記搬送方向と直交する前記記録媒体の幅方向に、前記記録媒体の全幅範囲を通過する検査光を照射する投光手段と、前記幅方向に前記記録媒体を挟んで前記投光手段と反対側に配置され、前記投光手段から照射された前記検査光を受光して受光量に応じた信号を出力する受光手段と、からなる光学式の検出手段であることを特徴とする画像形成装置。
かかる態様によれば、記録媒体の全領域の浮き上がりを精度よく検出することができ、浮き上がり発生部がヘッドに接触するのを防止することができる。
(発明14):発明1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、前記記録ヘッドは、前記記録媒体の記録可能幅に対応した長さの記録素子列を有するフルライン型の記録ヘッドであり、前記記録ヘッドに対する前記記録媒体の1回の相対移動によって前記記録媒体上に画像を形成するものであることを特徴とする画像形成装置。
本発明は、いわゆるシングルパス方式の画像形成装置への適用が効果的である。
(発明15):記録ヘッドに対して記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に描画を行う画像形成装置における記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法であって、前記記録ヘッドよりも前記搬送手段による前記記録媒体の搬送方向の上流側において前記搬送手段の媒体保持面から所定の距離に、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを規制するガイド部材を配置するとともに、前記ガイド部材よりも前記搬送方向の上流側に、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを検出する検出手段を配置し、前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記記録ヘッドに到達する前に前記搬送手段を停止させることを特徴とする記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法。
本発明によれば、記録媒体の先端部、中間部、後端部のいずれの部分において浮き上がりが発生した場合でも、記録ヘッドへの接触を防止することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示すヘッドの構成例を示す平面透視図 図2中3−3線に沿う断面図 図1に示すインクジェット記録装置のインク供給系の構成を示す概要図 本例のインクジェット記録装置における印字部の要部側面図である。 用紙浮きセンサの構成を示す平面図 受光器(又は投光器)の取付部分を拡大した斜視図 スリットの形態例を示す図 スリットの他の形態(比較例)を示す図 圧胴(搬送ドラム)の概略構造を示す斜視図 図10の一部拡大図 図11中のB−B線に沿う断面図 図1に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 本実施形態に係るインクジェット記録装置の用紙浮き検出時の動作例を示すフローチャート 本発明の他の実施形態を示す要部構成図 他の実施形態による用紙浮きセンサの配置例を示す平面図 用紙浮きセンサの他の構成例を示す平面図 本発明の他の実施形態に係るインクジェット記録装置(両面機)の構成図
符号の説明
100,200…インクジェット記録装置、140C,140M,140Y,140K,…ヘッド、114…記録媒体、126a〜126d…圧胴、502…用紙抑えローラ、504…用紙浮きセンサ、506…用紙ガイド、512…投光器、514…受光器、177…システムコントローラ

Claims (15)

  1. 記録媒体を搬送する搬送手段と、
    前記搬送手段によって搬送される前記記録媒体上に画像を形成する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドよりも前記搬送手段による前記記録媒体の搬送方向の上流側において前記搬送手段の媒体保持面から所定の距離に配置され、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを規制するガイド部材と、
    前記ガイド部材よりも前記搬送方向の上流側に配置され、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを検出する検出手段と、
    前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記記録ヘッドに到達する前に前記搬送手段を停止させる強制停止手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記強制停止手段は、前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記ガイド部材を通過する前に前記搬送手段を停止させることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記搬送手段は前記記録ヘッドに対向して配置されたドラムであり、当該ドラムの周面に前記記録媒体が巻き付けられ、該ドラムの回転によって前記記録媒体が搬送されることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項3に記載の画像形成装置において、
    前記ドラムに保持された前記記録媒体は、前記ドラムが一回転する前に当該ドラムから離脱することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記搬送手段の媒体保持面からの前記ガイド部材の高さを可変する高さ可変手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記ガイド部材は、前記媒体保持面から前記所定の距離で前記搬送手段に接近する規制位置と、前記規制位置よりも前記媒体保持面から遠く離れた退避位置との間で移動可能であり、前記搬送手段の検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、前記ガイド部材を退避位置から前記規制位置に移動させることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記検出手段よりも前記搬送方向の上流側に、前記記録媒体を前記搬送手段の媒体保持面に向けて抑え付ける媒体抑え手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記搬送手段には、前記記録媒体の先端を挟持するグリッパーが設けられていることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記検出手段が前記浮き上がりを検出したことによって前記搬送手段を停止させた後、前記検出手段が前記浮き上がりを検出している状態でも前記搬送手段を駆動させる動作モードを有することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項9に記載の画像形成装置において、
    前記記録ヘッドを画像形成位置から退避させた状態に限り、前記動作モードによる駆動が可能であることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至10に記載の画像形成装置において、
    前記搬送手段の駆動を制御する中央演算処理装置(CPU)を含んだ制御回路と、
    前記制御回路を経由せずに前記検出手段からの信号を前記強制停止手段に伝達する信号伝達経路を形成する電気回路と、
    を有し、
    前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、前記制御回路による制御を経由せずに、前記電気回路を介して前記検出手段からの信号を前記強制停止手段に伝達することにより、前記搬送手段を停止させることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記検出手段が前記浮き上がりを検出したことによって前記搬送手段を停止させた後、 前記記録ヘッドを画像形成位置から退避させ、
    前記浮き上がりが検出された記録媒体の除去を促す警告を報知し、
    当該装置内で搬送途中の記録媒体を全て排出した後、前記記録ヘッドを前記画像形成位置に移動させる復帰動作を実行することを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記検出手段は、前記搬送方向と直交する前記記録媒体の幅方向に、前記記録媒体の全幅範囲を通過する検査光を照射する投光手段と、
    前記幅方向に前記記録媒体を挟んで前記投光手段と反対側に配置され、前記投光手段から照射された前記検査光を受光して受光量に応じた信号を出力する受光手段と、
    からなる光学式の検出手段であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記記録ヘッドは、前記記録媒体の記録可能幅に対応した長さの記録素子列を有するフルライン型の記録ヘッドであり、前記記録ヘッドに対する前記記録媒体の1回の相対移動によって前記記録媒体上に画像を形成するものであることを特徴とする画像形成装置。
  15. 記録ヘッドに対して記録媒体を搬送し、前記記録ヘッドにより前記記録媒体上に描画を行う画像形成装置における記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法であって、
    前記記録ヘッドよりも前記搬送手段による前記記録媒体の搬送方向の上流側において前記搬送手段の媒体保持面から所定の距離に、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを規制するガイド部材を配置するとともに、
    前記ガイド部材よりも前記搬送方向の上流側に、前記搬送手段からの前記記録媒体の浮き上がりを検出する検出手段を配置し、
    前記検出手段により前記浮き上がりを検出した際に、当該浮き上がり部分が前記記録ヘッドに到達する前に前記搬送手段を停止させることを特徴とする記録ヘッドへの記録媒体の接触防止方法。
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