JP2005007649A - インクジェット記録方法、記録システム及びプリンタドライバ - Google Patents
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Abstract
【課題】高画質・高品位の記録物を安定して提供し得るインクジェット記録方法、記録システム及びプリンタドライバを提供すること。
【解決手段】インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用いるインクジェット記録方法において、該インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、該反応液を吐出させるための記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されていない反応液用第1記録データを用い、該インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、該反応液を吐出させないか、又は吐出させる場合にはその記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されておらず且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データを用いる。
【選択図】 図5
【解決手段】インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用いるインクジェット記録方法において、該インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、該反応液を吐出させるための記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されていない反応液用第1記録データを用い、該インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、該反応液を吐出させないか、又は吐出させる場合にはその記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されておらず且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データを用いる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びプリンタドライバに関し、詳しくは、インク凝集能を有する反応液を使用し、画像濃度が高く、にじみ、スジ、くすみ、ムラなどのない高品位の記録物を提供し得るインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びプリンタドライバに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録方法は、記録ヘッドの吐出口からインクの液滴を吐出させ、紙などの記録媒体にインクを付着させて画像を記録する印刷方式である。従来から、インクと、該インクを瞬間的に凝集させる物質を含有させた反応液(処理液、記録性向上液などとも呼ばれる)とを使用し、これらを記録ヘッドから吐出させて記録媒体上で接触させることにより、画像濃度が高く、にじみやムラのない高品位の記録物を得る技術が知られている。
【0003】
上記技術においては、従来、記録媒体上の画像形成領域全体に亘って反応液を付着させ、その後にインクを付着させていた。しかしこの方法では、大量の反応液を使用するため、装置の大型化、ランニングコストの増大が避けられない。また画質の点においては、使用する記録媒体の種類によっては、特に画像濃度の高い箇所で色のくすみやにじみが発生し、複数のインクを使用したカラー画像においては、異色の境界部分で色がにじんだり不均一に混ざり合ったりする、いわゆるブリードが発生するという問題がある。さらにインクジェット信頼性の点においては、大量の反応液を連続的に吐出させるため、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微小な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因する吐出口の汚れが生じやすく、吐出口の目詰まりやインク滴の飛行曲がりを起こしやすいという問題がある。
【0004】
そこで、反応液を画像形成領域の最適な位置に選択的に適量だけ付着させることにより、上記のような問題を回避して、反応液の機能を最大限に発揮させるようにした技術が開発されている。このような技術として、例えば、1)記録媒体上に形成される記録ドットの分布状態に応じて、処理液用ヘッドによる処理液ドットの形成位置を制御するインクジェット記録装置(特許文献1参照)、2)被プリント材上へ少なくとも1回以上有色インクのプリントを行った後、当該有色インクプリント画像領域上に少なくとも1回以上プリント性向上液を付与し、かつ当該画像領域に少なくとも1回以上有色インクのプリントを行うインクジェットプリント方法(特許文献2参照)、3)画像を構成する複数の画素に対応した入力画像データに応じて、被記録材上の画像が形成される領域が、記録性向上液およびインクが吐出される領域とインクのみが吐出される領域とに分かれるようにして、インク中の染料を不溶化または凝集させるための記録性向上液を画像データに応じて本来のデータよりも減らして吐出させるインクジェット記録方法(特許文献3参照)、4)プリントヘッドに吐出を行わせるための駆動データを格納するための記憶手段と、当該格納された駆動データを順次読み出す読出手段と、当該読み出された駆動データに基づいて、インク吐出を実際に行わせるデータのみを抽出し、当該抽出したデータに対してのみ複数の識別符号を順次割り振る手段と、前記複数の識別符号のうち所定の符号が割り振られたデータに対応して処理液が吐出されるように処理液用ヘッドを制御する手段と、前記割り振られる複数の識別符号の種類を複数選択可能にするための手段とを具えたことを特徴とするインクジェットプリント装置(特許文献4参照)などが知られている。
【0005】
しかしながら、上記1)〜4)の技術を用いて得られる画像は、画像濃度(発色性)の点ではまずまずであるものの、全体的にスジが目立ち、また、特に画像濃度の濃い領域においてくすみやムラが目立ち、画像品位に問題があった。さらに、記録完了後から画像が完全に乾くまでに長時間を要する場合があり、出力画像の乾燥性の点においても問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、装置の大型化、ランニングコストの増大、インクジェット信頼性の低下、出力画像の乾燥性の低下などの弊害を招くことなく、高発色で、にじみ、ムラ、くすみ、スジのほとんど見られない高品位の記録物を安定して提供し得るインクジェット記録方法、記録システム及びプリンタドライバを提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−52867号公報
【特許文献2】
特開平8−281933号公報
【特許文献3】
特開平8−281974号公報
【特許文献4】
特開2002−127382号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インク凝集能を有する反応液を使用したインクジェット記録において、スジやくすみやムラのない高品位の画像を得るべく種々検討した結果、上記1)〜4)の技術において画質劣化を招いた主たる原因が、反応液用の記録データとして、インク用記録データと所定のマスクパターンとのAND処理により生成したデータを用いた点にあるとの知見を得た。このAND処理により生成したデータについて、以下に説明する。
【0009】
図8(a)に示す如きインク用記録データ60があるとする。この記録データ60は、YMCK各色インクそれぞれのインク用記録データの論理和を演算(OR処理)することにより生成されたもので、記録媒体の記録領域が8×8のセルに分割されており、図中の1〜8の数字は記録ヘッドの主走査方向における記録位置を示し、A〜Hは副走査方向における記録位置を示している。図中の白丸が付されたセルは、インクが吐出されるセルである。
【0010】
また、図8(b)に示す如きマスクパターン70を予め用意しておく。このマスクパターン70は、ディザ法などの公知の画像処理技術により生成されており、図中の斜線が付されたセルは、反応液が吐出されるセルである。そして、上記インク用記録データ60に対し、このマスクパターン70をANDする(インク用記録データとマスクパターンとの論理積を演算する)。これにより、マスクパターン70からデータが間引きされ、図8(c)に示す如き反応液用記録データ80が得られる。この記録データ80は、インクを吐出する領域にのみ選択的に反応液を吐出するように構成されており、反応液の使用量は、所定領域全体に吐出される各色インクの総量(インク用記録データ60における白丸の数)に対して50%である。上記の従来技術においては、この記録データ80の如きデータを、反応液用の記録データとして使用していた。
【0011】
本発明者は、このようなインク用記録データと所定のマスクパターンとのAND処理により得られた記録データを用いて反応液を吐出させても、画像品位などに問題が残ることに鑑み、さらに検討した結果、反応液用記録データとして、誤差拡散法により生成され且つインク用記録データが全く加味されていない記録データと、該記録データと同様に生成され且つ該記録データよりも記録デューティーが低い記録データとの2種類の記録データを用意し、これらを所定領域に実際に吐出されるインクの総量(総記録デューティー)に応じて使い分けることにより、スジやムラやくすみを大幅に低減することができるとの知見を得た。
【0012】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行うインクジェット記録方法において、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液を吐出させるための記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されていない所定の記録デューティーの反応液用第1記録データを用い、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出させないか、又は該反応液を吐出させる場合にはその記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されておらず且つ上記反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データを用いることを特徴とするインクジェット記録方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0013】
また、本発明は、インクを吐出するインク吐出用ヘッド、及び該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドを備えたインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置に電気的に接続されたホスト装置とを備え、該ホスト装置から転送される記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行う記録システムにおいて、上記ホスト装置は、入力された多値画像データに基づいて上記インク用の2値記録データ(インク用記録データ)を生成するインク用データ生成手段と、該多値画像データとは無関係に予め生成された上記反応液用の複数の2値記録データを保存するデータ保存手段とを備え、該データ保存手段には、該2値記録データとして、誤差拡散法により生成された所定の記録デューティーの反応液用第1記録データと、誤差拡散法により生成され且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データとが保存されており、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液用第1記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから上記反応液を吐出すると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出し、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出しないか、又は上記反応液用第2記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから該反応液を吐出すると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出することを特徴とする記録システムを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行うインクジェット記録装置に接続又は内蔵されたコンピュータを、入力された多値画像データに基づいて上記インク用の2値記録データ(インク用記録データ)を生成するインク用データ生成手段と、該多値画像データとは無関係に予め生成された上記反応液用の複数の2値記録データを保存するデータ保存手段とを備え、該データ保存手段には、該2値記録データとして、誤差拡散法により生成された所定の記録デューティーの反応液用第1記録データと、誤差拡散法により生成され且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データとが保存されており、且つ上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液用第1記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから上記反応液を吐出させると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出させ、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出させないか、又は上記反応液用第2記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから該反応液を吐出させると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出させる装置、として動作させることを特徴とするプリンタドライバを提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示した斜視図である。このインクジェット記録装置(プリンタ)1は、図示しない紙送りモータで駆動される紙送りローラ2によって、用紙スタッカ3から記録媒体Mを巻き取ってプラテン4位置に搬送し、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6により記録を行った後、矢標Yで示す方向(副走査方向)に記録媒体Mを搬送するようになしてある。キャリッジ5は、キャリッジモータ7によって駆動されるタイミングベルト8に連結されており、2本のガイドレール9によって、矢標X1又はX2方向(記録媒体Mの搬送方向Yと直交する主走査方向X)に往復走査可能に案内支持されている。キャリッジ5には、記録ヘッド6にインクや反応液を供給するインクタンクを含む記録ヘッドユニット12が搭載されている。本実施形態では、インクとして、イエロー(Y)、ブラック(K)、マゼンタ(M)及びシアン(C)及びの4色の水性顔料インクが用いられている。
【0017】
また、キャリッジ5が移動可能な領域の一端側は、記録ヘッド6のホームポジションとなっており、その下部には、吐出不良を起こした記録ヘッドの吐出回復や吐出不良を未然に防止するために利用される回復ユニット10が配置されている。回復ユニット10は、キャップ部11により、記録ヘッド6の吐出口形成面(記録媒体Mと対向する面)を覆い、図示しない吸引ポンプを作動させて、吐出口から増粘あるいは固化したインクや埃などの異物や気泡などを強制的に排出させ、図示しない廃液タンクにこれらを貯蔵するようになっている。また、回復ユニット10には、記録ヘッド6の吐出口形成面に付着した不要なインクやゴミなどを掃除するクリーニング動作に使用する、ゴムなどの弾性材料で形成されたワイパー部材が設けられている(図示せず)。この回復ユニット10自体の構成は、この種のインクジェット記録装置における回復ユニットと同様である。
【0018】
図2は、記録ヘッド6の吐出口形成面(記録媒体Mと対向する面)の概略構成図である。記録ヘッド6は、上記YKMCの4色のインクをそれぞれ吐出する4つのインク吐出用ヘッド6Y、6K、6M、6Cと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する2つの反応液吐出用ヘッド6R1、6R2とが、主走査方向Xに並列に集積配置された構成のいわゆるマルチヘッドである。各ヘッドは、それぞれ、主走査方向Xと直交する副走査方向Yに配列された複数の吐出口Nzを有し、各吐出口Nzからインク又は反応液を吐出する。
【0019】
6つの上記各ヘッドは、それぞれ基本的にこの種のインクジェット記録装置における記録ヘッドと同様に構成されており、インク供給路、該インク供給路の一部に設けられるエネルギー作用部、該エネルギー作用部にあるインク又は反応液に作用させる液滴形成エネルギーを発生するエネルギー発生手段(何れも図示せず)等を備えている。本実施形態では、エネルギー発生手段として、電気−機械変換素子を備えている。電気−機械変換方式の記録ヘッドは、他の方式の記録ヘッドに比して、顔料インクの吐出安定性に優れるため、顔料インクを用いたインクジェット記録に特に好適である。電気−機械変換素子としては、ピエゾ素子が好ましく用いられる。ピエゾ素子は、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギーの変換を行う素子(圧電素子)である。上記各ヘッドの内部の適当な位置に配置されたピエゾ素子に、所定の時間幅の電圧を印加することにより、該ピエゾ素子が電圧の印加時間だけ伸張し、これによりインク供給路の容積が収縮して、この収縮分に相当するインク又は反応液が液滴となって吐出口Nzから高速吐出される。
【0020】
尚、上記各ヘッドは、上記主走査方向Xに並列に配置されていればよく、各ヘッドの配置順序は特に限定されるものではないが、好ましい配置順序は、上記反応液により凝集され易いインクを吐出するインク吐出用ヘッドほど、上記反応液吐出用ヘッドから離間するような配置順序である。各ヘッドをこのような順序で配置することにより、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微小な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因する吐出口の汚れを有効に防止することができ、信頼性のより高いインクジェット記録が可能となる。例えば、後述する水溶性多価金属塩含有タイプの反応液を使用する場合、Y、K、M、Cの4色の水性顔料インクでは、通常、C、M、K、Yの順に該反応液との反応性が高いので、この場合の各ヘッドの配置順序は、図2に示すように、記録ヘッド6の吐出口形成面の主走査方向Xの一端側に配置された反応液吐出用ヘッド(6R1、6R2)に近い方から順に、6Y、6K、6M、6Cとすることが好ましい。
【0021】
図3は、図1に示すプリンタ1を用いた記録システムの一実施形態の制御構成を示すブロック図である。この記録システム50は、プリンタ1と、該プリンタ1に電気的に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト装置30と、該ホスト装置30に電気的に接続された画像入力装置40とを備えている。画像入力装置40としては、例えば、取り込んだ多値のカラー画像データをパーソナルコンピュータ等に送信できる装置として、スキャナ、デジタルカメラ、デジタルビデオ等が挙げられる。
【0022】
ホスト装置30は、インストールされたプリンタドライバのプログラムコードに従ってプリンタ1に記録処理を実行させる装置として機能するもので、記録システム50全体を実質的に制御するマイクロコンピュータ等のCPU31と、CPU31により実行される制御プログラムや各種データ等の必要な固定情報を格納したROM32と、CPU31による処理の実行時におけるワークエリアとして使用されるRAM33などを備えている。34は、画像入力装置40から転送される多値の文字や画像のデータ(画像データ)を2値化する色処理回路、35は、2値化された画像データを格納する画像メモリ、36は、画像入力装置40や図示しない操作パネルなどとのデータの入出力を行う入出力バッファ、37は、プリンタ1へ記録データを転送する入出力バッファである。
【0023】
ここで、例えば、画像入力装置40から多値のカラー画像データが転送された場合、このカラー画像データは入出力バッファ36に一旦格納され、色処理回路34で必要な色データに分解され、さらにγ(ガンマ)補正、UCR処理、中間調処理等の必要な処理が施されて、2値のカラー画像データに変換される。この2値のカラー画像データは、記録データとして画像メモリ35に格納され、1走査で記録する分のデータを読み出して入出力バッファ37を介してプリンタ1へ転送される。このような2値の記録データの生成・供給処理は、上記プリンタドライバに従って実行される。換言すれば、上記プリンタドライバは、ホスト装置30を、多値の入力画像データから2値の記録データを生成してプリンタ1に供給する記録データ生成・供給手段を備える装置として、動作させるものと言える。尚、プリンタドライバは、通常、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、CD−ROMなどの記憶媒体に格納された状態で、あるいはインターネットを利用したダウンロードにより、ユーザーに提供される。
【0024】
プリンタ1に転送されてきた2値の記録データは、記録媒体の種別を示す情報その他の各種指示情報等と共に、入出力バッファ15に一時的に格納される。一方、入出力バッファ15からは、記録データの転送確認データの他、プリンタ1の動作状態を示すデータなどがホスト装置30に転送される。入出力バッファ15に格納された記録データは、制御部16によって読み出され、その内部で展開される。
【0025】
制御部16は、プリンタ1全体を制御するもので、マイクロコンピュータ等のCPU17、CPU17により実行される必要な固定情報を格納したROM18、ワークエリアとして使用されるRAM19などを備えている。20は、上記紙送りローラ2を駆動させるための紙送りモータ21を駆動するモータドライバ、23は、上記キャリッジ5をX1又はX2方向に走査させるための上記キャリッジモータ7を駆動するモータドライバ、24は、制御部16からの信号に基づいて記録ヘッド6を構成する上記各ヘッド6R1、6R2、6Y、6K、6M、6Cを駆動するヘッドドライバである。
【0026】
次に、この記録システム50における記録データの生成処理について説明する。
【0027】
図4は、上記プリンタドライバに従って行われるホスト装置30内部での記録データの生成処理を機能的に示すブロック図である。例えば、画像入力装置40から転送されてきたRGB8ビットの多値入力画像データ(RGB画像データ)は、色変換部301で、変換テーブル302を用いてYMCKの8ビットの多値画像データ(YMCK画像データ)に変換され、γ補正部303に転送される。この変換テーブル302は、8ビットのRGB値(24ビットのデータ)に8ビットのYMCK値(32ビットのデータ)を対応づけたテーブルである。
【0028】
γ補正部303は、このYMCK画像データに対し、予め定めた特性に従って入力階調から出力階調に変換するγ補正を施す。このとき、インク量補正テーブル304を用いて出力階調をインク滴吐出量に変換することで、YMCK各色のインク滴吐出量が最適化され、多数のインク量指示値からなる吐出量最適化画像データを出力する。尚、このγ補正後の画像データに対してUCR処理を施すこともある。
【0029】
中間調処理部305は、γ補正部303からのYMCK各色インクの吐出量最適化画像データに対して、ディザ法、誤差拡散法、濃度パターン法などの面積階調法による疑似中間調処理を施し、2値のインク用記録データ(例えば、ビットマップデータ)を生成する。ディザ・マトリクスを用いるディザ法は、安価で高速に処理することができるが、生成される2値画像にはディザ・マトリクスの大きさの周期的なテクスチャが生じることが多く、その分画質が劣化しやすい。これに対し、誤差拡散法は、ディザ法のように固定のパターンを用いずに、変換後の2値画像における各画素における輝度値と、原画像における輝度値との誤差を周囲の画素に分散させる手法であり、階調性の高い画像を形成することができる。
【0030】
本実施形態では、このような誤差拡散法の特長に着目し、インク滴サイズ毎に誤差拡散を行う方式を採用している。即ち、中間調処理部305が参照可能な変換テーブル306は、小サイズ、中サイズ、大サイズのインク滴に関する3種の値を読み出せるテーブルとなっており、記録データ生成時には、この変換テーブル306から読み出した3種の値と他画素に関する誤差とに基づき、その画素の記録に最も適したインク滴サイズの決定が行なわれる。これにより、YMCK各色インクの8ビットの吐出量最適化画像データ(多数のインク量指示値からなるデータ)は、各ヘッドに吐出させるインク滴のサイズ(あるいはインク滴を吐出しないこと)を指定する1ビットの2値データに変換される。
【0031】
中間調処理部305で生成されたYMCK各色インクの2値のインク用記録データは二分割され、一方は反応液用データ提供部307に転送され、他方は記録データ生成部320に転送される。
【0032】
反応液用データ提供部307は、予め用意された反応液用記録データを保存するデータ保存手段308を備えており、このデータ保存手段308には、多値入力画像データ(RGB画像データ)とは無関係に生成された2種類の反応液用記録データ(反応液用第1記録データ及び反応液用第2記録データ)が保存されている。これら2種類の反応液用記録データは、後述するように、所定領域に吐出されるインクの総量(総記録デューティー)に応じて使い分けられる。
【0033】
また、反応液用データ提供部307は、この2種類の反応液用記録データの使い分けを実行する手段として、中間調処理部305からの各色インクのインク用記録データに基づいて各色インクの記録デューティーを所定領域毎に計算するデューティー計算手段と、その計算結果に基づいてその領域に適用する反応液用記録データ(反応液用第1記録データ又は第2記録データのいずれか)を選択するデータ選択手段とを備えている。ここで、「記録デューティー」とは、各色(本実施形態ではY、M、C、Kの4色)についての、記録ヘッドの一方向(X1又はX2方向)への1回の走査で可能な最大の吐出回数に対する実際の吐出回数の割合(%)を意味する。例えば、1ドットが1回の吐出によって形成される態様にあっては、1回の走査領域で記録可能な画素数に対する実際に形成されるドット数の割合が、該記録デューティーに相当する。
【0034】
図5は、上記反応液用データ提供部307における反応液用記録データの準備の流れを示すフローチャートである。先ず、中間調処理部305からYMCK各色インクの2値のインク用記録データを受信し(S1)、この受信した記録データに基づき、上記デューティー計算手段により、所定領域毎に各色インクの記録デューティーをそれぞれ計算し(S2)、求めた各色インクの記録デューティーを合計して、領域毎にインクの総記録デューティーを求める(S3)。
【0035】
次に、上記ステップS3で求めたインクの総記録デューティー(%)が、予め定められた基準値よりも大きいか否かを判断する(S4)。その結果、総記録デューティーが基準値以上であれば、その領域に対して上記反応液用第1記録データを適用することとし、上記データ保存手段308からこれを読み出す(S5)。一方、総記録デューティーが基準値未満であれば、その領域に対して上記反応液用第2記録データを適用することとし、上記データ保存手段308からこれを読み出す(S6)。このような処理を、受信したインク用記録データの全てについて繰り返し行い、読み出された複数の領域毎の反応液用記録データ(第1記録データ又は第2記録データ)をOR処理(論理和演算)して、反応液用記録データの準備が完了する(S7)。
【0036】
以下、反応液用第1記録データ及び第2記録データについて説明する。
【0037】
反応液用第1記録データは、上述したようにインクの総記録デューティーが所定の基準値以上の領域に対して適用されるもので、誤差拡散法により生成され且つ上記インク用記録データが加味されていない(入力された多値画像データとは無関係に生成された)データである。即ち、この反応液用第1記録データは、所定のマスクデータを用いて常法通り誤差拡散法により生成されたデータそのものであり、該データと上記インク用記録データとをAND処理(論理積演算)あるいはOR処理(論理和演算)して生成されるデータとは異なる。尚、誤差拡散法については、この種の画像処理分野では公知技術であるので、詳細は省略する。このように、吐出インク量が比較的多い領域に対しては、反応液用記録データとして、インク用記録データとは無関係に誤差拡散法により生成されたデータ(反応液用第1記録データ)を用いることにより、インク用記録データにANDあるいはORして生成されるデータを反応液用記録データとして用いる場合に比して、画像濃度の濃い領域における色のくすみが大幅に低減されると共に、記録媒体上での反応液の付着密度差が少なくなり、画像全体としてスジの極めて少ない高画質の画像を得ることができる。
【0038】
また、上記反応液用第1記録データは、所定量の反応液を使用(吐出)するように設定されており、所定の記録デューティーを持っている。この記録デューティーは、使用する記録媒体のインク吸収特性などを考慮し、なるべく少ない反応液で最大の効果が発揮されるように調整することが好ましく、好ましくは30〜60%、さらに好ましくは40〜50%である。
【0039】
一方、上記反応液用第2記録データは、上述したようにインクの総記録デューティーが所定の基準値未満の領域に対して適用されるもので、誤差拡散法により生成され且つ上記インク用記録データが加味されていない(入力された多値画像データとは無関係に生成された)データである点は、上記反応液用第1記録データと同様であるが、より低い記録デューティーに設定されている点で、該反応液用第1記録データと異なる。反応液用第2記録データの記録デューティーは、好ましくは5〜30%、さらに好ましくは5〜20%である。このように、吐出インク量が比較的少ない領域に対しては、反応液用記録データとして、誤差拡散法により生成された比較的低記録デューティーのデータ(反応液用第2記録データ)を用いることにより、反応液の使用量を必要最小限に抑えながらも、十分な画質向上効果を得ることが可能となり、吐出口の目詰まりやインク滴の飛行曲がりといったインクジェット信頼性の低下、記録直後の画像の乾燥性の低下、コストの増大などを防止し、画像全体としてくすみやスジの極めて少ない高画質の画像を得ることができる。
【0040】
2種類の上記反応液用記録データ(反応液用第1記録データ及び反応液用第2記録データ)は、上述したように、所定領域に実際に吐出されるインクの総量(総記録デューティー)に応じて使い分けられる。この使い分けの指標となる上記基準値(総記録デューティー)は、使用するインクや反応液、記録媒体の種類などによって変化するが、好ましくは40〜50%の範囲で、インク、反応液及び記録媒体の種類に応じて適宜選択される。
【0041】
尚、上記データ保存手段308には、2種類の上記反応液用記録データそれぞれについて、所定の記録デューティーに設定された1種類のデータのみを保存しておくこともできるし、記録デューティーの異なる複数のデータを保存しておくこともできる。後者の態様としては、例えば、記録デューティーの異なる複数の反応液用第1記録データ(いずれも記録デューティー30〜60%に設定)からなるデータ群(第1データ群)と、記録デューティーの異なる複数の反応液用第2記録データ(いずれも記録デューティー5〜30%に設定)からなるデータ群(第2データ群)とを用意し、これらを上記データ保存手段308に予め保存しておいて、記録媒体の種別情報に基づいて、各記録データ群からそれぞれ適切なデータを1つずつ自動的に選択する態様が考えられる。一般に、インクの浸透性が高い記録媒体に対しては比較的多量の反応液を使用することが好ましく、また、インクの浸透性が低い記録媒体に対しては比較的少量の反応液を使用することが好ましいので、各記録データ群からのデータの選択に際しては、予め作成した、使用する記録媒体のインク浸透性に反応液の使用量(吐出量)を対応づけたテーブルを参照するようにすることにより、種々の記録媒体に対して良好な画像を形成することが可能となる。
【0042】
以上のような手順により反応液用データ提供部307で準備された2値の反応液用記録データは、記録データ生成部320へ転送される。記録データ生成部320では、この反応液用記録データ及び中間調処理部305からのYMCK各色インクの2値のインク用記録データに対して、変換テーブル321を用いて、上記各ヘッド6R1、6R2、6Y、6K、6M、6Cの駆動波形の駆動電圧を最適化する処理を施し、これらからプリンタ1に転送する記録データを最終的に生成する。
【0043】
尚、本発明においては、インク及び反応液の吐出順序は特に限定されず、反応液を先に吐出させてもよいし、インクを先に吐出させても構わないが、インクと反応液との記録媒体上における接触が、一方の液滴(反応液又はインク)を吐出した後300ms以内に達成されるように、他方の液滴(インク又は反応液)を吐出させるよう、上記駆動波形を生成することが好ましい。このように両液の吐出間隔を制御することで、インク浸透性の低い記録媒体に対しては勿論のこと、インク浸透性の高い記録媒体に対しても、その表層でインク凝集反応を起こさせることが可能となるので、記録媒体の種類によらず発色性の高い画像を形成することができる。
【0044】
以上のようにして生成された記録データは、上述したようにホスト装置30内部の画像メモリ35に一旦格納され、入出力バッファ37を介してプリンタ1へ転送されることになる。
【0045】
以下、本発明に係るインク及び反応液について説明する。
【0046】
本発明に係るインクとしては、インクジェット記録で使用可能な水性インクであればよく、特に制限されないが、反応液による画質向上効果を最大限発揮させる観点から、水性顔料インクが好ましい。一般に、インクジェット記録用の水性顔料インクには、顔料系色材及び水の他に、印字品質の向上、乾燥防止などを目的として、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの界面活性剤や、グリコール類、グリコールエーテル類などの各種有機溶剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤などが含有されている。顔料系色材の含有量は、インク中、通常、0.5〜30重量%程度である。尚、使用可能なインクの色種は、上記実施形態のようなYMCKの4色に限定されるものではなく、YMCの減法混色の3原色の組み合わせを用いてもよく、さらに、ライトマゼンタ、ライトシアンなどの所望の色のインクを組み合わせた5色以上のインクの組み合わせを用いてもよい。
【0047】
上記顔料系色材としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどの無機系顔料;アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機系顔料などが挙げられる。
【0048】
また、上記顔料系色材は、界面活性剤等の分散剤が無添加あるいはごく少量添加の水性媒体中に分散及び/又は溶解が可能ないわゆる自己分散型顔料(表面改質顔料などとも呼ばれる)でもよく、自己分散型ではない通常の顔料でもよい。自己分散型顔料は、一般に、顔料表面にカルボキシル基などのアニオン性基が結合されている。また、自己分散型ではない通常の顔料を使用する場合は、分散剤として、高級脂肪酸塩や高級アルコール硫酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、あるいはポリアクリル酸塩などのアニオン性高分子が顔料と共に併用される。本発明に係る反応液中の凝集化剤(水溶性多価金属塩など)は、このようなアニオン性基を有する自己分散型顔料やアニオン性分散剤とイオン的相互作用により会合体を形成する。
【0049】
また、本発明に係る反応液としては、水性インクと接触してその分散又は溶解状態を破壊し、該インクを凝集させ得るものであればよく、例えば、金属塩又は有機系カチオン物質等を凝集化剤とし、該凝集化剤を水に溶解又は分散させたものを用いることができる。特に好ましい反応液は、少なくとも水溶性多価金属塩及び水を含有するものである。水溶性多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンとこれに結合する陰イオンとから構成される水に可溶な塩であり、無水物でもよく、水和物でもよい。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Fe2+、Zr2+等などの二価金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+、Zr3+、Zr4+などの三価金属イオンが挙げられる。一方、陰イオンの具体例としては、Cl−、NO3 −、I−、Br−、ClO3 −、CH3COO−、F−、SO4 2−、SO3 2−などが挙げられる。なかでも、Mg2+より構成される金属塩、とりわけ、硫酸マグネシウム(MgSO4)は、得られる記録物の品質、記録ヘッドに対する影響(腐食性)、安全性(毒性)、コストという4つの観点から、好適な結果を与える。水溶性多価金属塩の反応液中における含有量は、印字品質、吐出安定性、記録ヘッドの腐食防止などを考慮して適宜調整すればよいが、好ましくは0.5〜20重量%程度である。
【0050】
上記反応液には、印字品質の向上、乾燥防止などを目的として、必要に応じ、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの界面活性剤や、グリコール類、グリコールエーテル類などの各種有機溶剤、トリエタノールアミン等のpH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤などを適宜含有させることができる。
【0051】
上記反応液は、記録媒体への適度な濡れ性及び吐出安定性の2つの観点から、表面張力20〜45mN/m、pH6.5〜10、液温20℃における粘度2〜10mPa・sであることが好ましい。インクについても、概ね、このような物性値を有することが好ましい。これらの物性値の調整は、上記の各成分の種類、含有量などを調整することで行うことができる。
【0052】
尚、本発明が適用可能な記録媒体については特に制限されるものではなく、基材上にシリカなどを主成分とするインク受容層を設けた構成のインクジェット専用紙は勿論のこと、このようなインクジェット記録方式に適合した特性が付与されていない普通紙も好適に用いることができる。例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、ボンド紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙(レジンコート紙)、バライタ紙、板紙、和紙、不織布;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム等が挙げられる。
【0053】
以上、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、記録ヘッドの構成、吐出口の配列パターン、使用するインクの種類や数などは、上記実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、記録デューティーの異なる2種類の反応液用記録データ(反応液用第1記録データ及び反応液用第2記録データ)を用意し、インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、記録デューティーがより低く設定された反応液用第2記録データを使用するようにしていたが、図6に示すように、該領域に対しては反応液を全く吐出しないようにしてもよい。図6に示すフローチャートは、ステップS4でインクの総記録デューティー(%)が基準値よりも大きいか否かを判断した結果、総記録デューティーが基準値未満の場合は、その領域に対しては反応液を吐出しないこととし、記録デューティーが0%のデータとして処理するようにした(S6)もので、このステップ6以外は、図5に示すフローチャートと同じである。使用する記録媒体の種類によっては、このようにして生成された反応液用記録データを用いても十分に高品位な記録物を得ることができ、しかも反応液の使用量を一層抑えることができるというメリットもある。
【0055】
また、本発明に適用可能な記録ヘッドは、上記記録ヘッド6の如き、複数のヘッドを1つに集積配置したマルチヘッドに限定されず、図7に示すような、複数のヘッドをその主走査方向Xに一定の間隔を置いて並列配置させた形態の記録ヘッドでもよい。このような形態の記録ヘッドにおいては、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微少な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因する吐出口の汚れが少なくなり、インクジェット信頼性が一層高まる。
【0056】
また記録ヘッドは、上記のような電気−機械変換方式のものに限定されず、電極などの静電気力発生手段を利用したものでも良く、ヒータなどの電気−熱変換素子を利用したもの(電気−熱変換方式)でもよい。後者の電気−熱変換方式は、電気−熱変換素子により液体中に気体(バブル)を発生させ、この力で該液体を吐出させるインク吐出方式であり、この方式の記録ヘッドとしては、例えば、キャノン社製のバブルジェット(登録商標)ヘッドが挙げられる。さらに記録ヘッドは、上記実施形態のような、記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドでもよく、記録ヘッドとは別に配置されたインクタンクからチューブなどを介してインク又は反応液を供給するタイプの記録ヘッドでもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、2値の記録データの生成・供給処理を行うプリンタドライバを、インクジェット記録装置に接続されたホスト装置にインストールしていたが、これを該インクジェット記録装置にインストールすることもできる。この場合、多値入力画像データ(RGB画像データ)を2値化するまでの過程(図4において中間調処理部305までで行われる過程)はホスト装置側で行うようにし、反応液用記録データを準備する過程を含む残りの過程はインクジェット記録装置側で行うようにさせることもできる。
【0058】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
【0059】
〔反応液の調製〕
下記の各成分を混合し、常温で30分攪拌した後、5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、下記組成の反応液を調製した。
【0060】
〔実施例〕
ピエゾ駆動型のマルチヘッドタイプの記録ヘッドを搭載した、市販の水性顔料インク対応のインクジェットプリンタ(PX−10000、セイコーエプソン製)において、その記録ヘッドにおける各ヘッドの配置を図2に示すような配置にし、その2つの反応液吐出用ヘッドに対応するインクカートリッジに、上記手順で調製した反応液を充填した。このインクジェットプリンタを用いて、記録媒体(OKトップコートN、王子製紙製)に対して、上述したインクジェット記録方法を実施し、解像度720dpi×720dpi、1440dpi×720dpiのカラー画像(人物画)を出力した。具体的には、インクの総記録デューティーが50%以上となる領域に対しては、誤差拡散法により生成された反応液用第1記録データ(記録デューティー40%)を用い、インクの総記録デューティーが50%未満となる領域に対しては、誤差拡散法により生成された反応液用第2記録データ(記録デューティー5%)を用いた。
【0061】
〔比較例1〕
実施例において、所定領域毎の反応液記録用データの使い分けを行わず、上記反応液用第1記録データ(記録デューティー40%)のみを用いて記録媒体に対して反応液を吐出した以外は実施例と同様にして、カラー画像を出力した。
【0062】
〔比較例2〕
実施例において、所定領域毎の反応液記録用データの使い分けを行わず、上記反応液用第2記録データ(記録デューティー5%)のみを用いて記録媒体に対して反応液を吐出した以外は実施例と同様にして、カラー画像を出力した。
【0063】
上記実施例及び各比較例で得られたカラー画像を目視で観察したところ、実施例で得られたカラー画像は、画像濃度が高く、また、インクにじみ、印刷ムラ、くすみ、スジがほとんど見られず、高品位の画像であった。またこの画像は、出力後の乾燥性の点においても問題がなかった。これに対し、比較例1のカラー画像は、画像濃度は高いものの、特にハイライト部において粒状感が目立ち、画像品位に問題の残る結果となった。また、比較例2のカラー画像は、ハイライト部における粒状感は少ないものの、画像濃度が低く、全体的にスジが目立ち、また、特に画像濃度の濃い領域においてくすみやムラが目立つ結果となり、比較例1と同様に画像品位に問題の残る結果となった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、インクを凝集させる性質を有する反応液を所定のパターンで吐出させることにより、装置の大型化、ランニングコストの増大、インクジェット信頼性の低下、出力画像の乾燥性の低下などの弊害を招くことなく、高発色で、にじみ、ムラ、くすみ、スジのほとんど見られない高品位の記録物を安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示す記録ヘッドの吐出口形成面の概略構成図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置を用いた記録システムの制御構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す記録システムにおける記録データの生成処理を機能的に示すブロック図である。
【図5】反応液用記録データの準備の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】反応液用記録データの準備の流れの別の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る記録ヘッドの別の実施形態を示す図2相当図である。
【図8】従来の反応液用記録データの生成手順の説明図である。
【符号の説明】
1…プリンタ
2…紙送りローラ
3…用紙スタッカ
4…プラテン
5…キャリッジ
6…記録ヘッド
6Y、6K、6M、6C…インク吐出用記録ヘッド
6R1、6R2…反応液吐出用記録ヘッド
7…キャリッジモータ
8…タイミングベルト
9…ガイドレール
10…回復ユニット
11…キャップ部
12…記録ヘッドユニット
Nz…吐出口
M…記録媒体
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びプリンタドライバに関し、詳しくは、インク凝集能を有する反応液を使用し、画像濃度が高く、にじみ、スジ、くすみ、ムラなどのない高品位の記録物を提供し得るインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びプリンタドライバに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録方法は、記録ヘッドの吐出口からインクの液滴を吐出させ、紙などの記録媒体にインクを付着させて画像を記録する印刷方式である。従来から、インクと、該インクを瞬間的に凝集させる物質を含有させた反応液(処理液、記録性向上液などとも呼ばれる)とを使用し、これらを記録ヘッドから吐出させて記録媒体上で接触させることにより、画像濃度が高く、にじみやムラのない高品位の記録物を得る技術が知られている。
【0003】
上記技術においては、従来、記録媒体上の画像形成領域全体に亘って反応液を付着させ、その後にインクを付着させていた。しかしこの方法では、大量の反応液を使用するため、装置の大型化、ランニングコストの増大が避けられない。また画質の点においては、使用する記録媒体の種類によっては、特に画像濃度の高い箇所で色のくすみやにじみが発生し、複数のインクを使用したカラー画像においては、異色の境界部分で色がにじんだり不均一に混ざり合ったりする、いわゆるブリードが発生するという問題がある。さらにインクジェット信頼性の点においては、大量の反応液を連続的に吐出させるため、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微小な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因する吐出口の汚れが生じやすく、吐出口の目詰まりやインク滴の飛行曲がりを起こしやすいという問題がある。
【0004】
そこで、反応液を画像形成領域の最適な位置に選択的に適量だけ付着させることにより、上記のような問題を回避して、反応液の機能を最大限に発揮させるようにした技術が開発されている。このような技術として、例えば、1)記録媒体上に形成される記録ドットの分布状態に応じて、処理液用ヘッドによる処理液ドットの形成位置を制御するインクジェット記録装置(特許文献1参照)、2)被プリント材上へ少なくとも1回以上有色インクのプリントを行った後、当該有色インクプリント画像領域上に少なくとも1回以上プリント性向上液を付与し、かつ当該画像領域に少なくとも1回以上有色インクのプリントを行うインクジェットプリント方法(特許文献2参照)、3)画像を構成する複数の画素に対応した入力画像データに応じて、被記録材上の画像が形成される領域が、記録性向上液およびインクが吐出される領域とインクのみが吐出される領域とに分かれるようにして、インク中の染料を不溶化または凝集させるための記録性向上液を画像データに応じて本来のデータよりも減らして吐出させるインクジェット記録方法(特許文献3参照)、4)プリントヘッドに吐出を行わせるための駆動データを格納するための記憶手段と、当該格納された駆動データを順次読み出す読出手段と、当該読み出された駆動データに基づいて、インク吐出を実際に行わせるデータのみを抽出し、当該抽出したデータに対してのみ複数の識別符号を順次割り振る手段と、前記複数の識別符号のうち所定の符号が割り振られたデータに対応して処理液が吐出されるように処理液用ヘッドを制御する手段と、前記割り振られる複数の識別符号の種類を複数選択可能にするための手段とを具えたことを特徴とするインクジェットプリント装置(特許文献4参照)などが知られている。
【0005】
しかしながら、上記1)〜4)の技術を用いて得られる画像は、画像濃度(発色性)の点ではまずまずであるものの、全体的にスジが目立ち、また、特に画像濃度の濃い領域においてくすみやムラが目立ち、画像品位に問題があった。さらに、記録完了後から画像が完全に乾くまでに長時間を要する場合があり、出力画像の乾燥性の点においても問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、装置の大型化、ランニングコストの増大、インクジェット信頼性の低下、出力画像の乾燥性の低下などの弊害を招くことなく、高発色で、にじみ、ムラ、くすみ、スジのほとんど見られない高品位の記録物を安定して提供し得るインクジェット記録方法、記録システム及びプリンタドライバを提供することにある。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−52867号公報
【特許文献2】
特開平8−281933号公報
【特許文献3】
特開平8−281974号公報
【特許文献4】
特開2002−127382号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、インク凝集能を有する反応液を使用したインクジェット記録において、スジやくすみやムラのない高品位の画像を得るべく種々検討した結果、上記1)〜4)の技術において画質劣化を招いた主たる原因が、反応液用の記録データとして、インク用記録データと所定のマスクパターンとのAND処理により生成したデータを用いた点にあるとの知見を得た。このAND処理により生成したデータについて、以下に説明する。
【0009】
図8(a)に示す如きインク用記録データ60があるとする。この記録データ60は、YMCK各色インクそれぞれのインク用記録データの論理和を演算(OR処理)することにより生成されたもので、記録媒体の記録領域が8×8のセルに分割されており、図中の1〜8の数字は記録ヘッドの主走査方向における記録位置を示し、A〜Hは副走査方向における記録位置を示している。図中の白丸が付されたセルは、インクが吐出されるセルである。
【0010】
また、図8(b)に示す如きマスクパターン70を予め用意しておく。このマスクパターン70は、ディザ法などの公知の画像処理技術により生成されており、図中の斜線が付されたセルは、反応液が吐出されるセルである。そして、上記インク用記録データ60に対し、このマスクパターン70をANDする(インク用記録データとマスクパターンとの論理積を演算する)。これにより、マスクパターン70からデータが間引きされ、図8(c)に示す如き反応液用記録データ80が得られる。この記録データ80は、インクを吐出する領域にのみ選択的に反応液を吐出するように構成されており、反応液の使用量は、所定領域全体に吐出される各色インクの総量(インク用記録データ60における白丸の数)に対して50%である。上記の従来技術においては、この記録データ80の如きデータを、反応液用の記録データとして使用していた。
【0011】
本発明者は、このようなインク用記録データと所定のマスクパターンとのAND処理により得られた記録データを用いて反応液を吐出させても、画像品位などに問題が残ることに鑑み、さらに検討した結果、反応液用記録データとして、誤差拡散法により生成され且つインク用記録データが全く加味されていない記録データと、該記録データと同様に生成され且つ該記録データよりも記録デューティーが低い記録データとの2種類の記録データを用意し、これらを所定領域に実際に吐出されるインクの総量(総記録デューティー)に応じて使い分けることにより、スジやムラやくすみを大幅に低減することができるとの知見を得た。
【0012】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行うインクジェット記録方法において、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液を吐出させるための記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されていない所定の記録デューティーの反応液用第1記録データを用い、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出させないか、又は該反応液を吐出させる場合にはその記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されておらず且つ上記反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データを用いることを特徴とするインクジェット記録方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0013】
また、本発明は、インクを吐出するインク吐出用ヘッド、及び該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドを備えたインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置に電気的に接続されたホスト装置とを備え、該ホスト装置から転送される記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行う記録システムにおいて、上記ホスト装置は、入力された多値画像データに基づいて上記インク用の2値記録データ(インク用記録データ)を生成するインク用データ生成手段と、該多値画像データとは無関係に予め生成された上記反応液用の複数の2値記録データを保存するデータ保存手段とを備え、該データ保存手段には、該2値記録データとして、誤差拡散法により生成された所定の記録デューティーの反応液用第1記録データと、誤差拡散法により生成され且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データとが保存されており、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液用第1記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから上記反応液を吐出すると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出し、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出しないか、又は上記反応液用第2記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから該反応液を吐出すると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出することを特徴とする記録システムを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行うインクジェット記録装置に接続又は内蔵されたコンピュータを、入力された多値画像データに基づいて上記インク用の2値記録データ(インク用記録データ)を生成するインク用データ生成手段と、該多値画像データとは無関係に予め生成された上記反応液用の複数の2値記録データを保存するデータ保存手段とを備え、該データ保存手段には、該2値記録データとして、誤差拡散法により生成された所定の記録デューティーの反応液用第1記録データと、誤差拡散法により生成され且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データとが保存されており、且つ上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液用第1記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから上記反応液を吐出させると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出させ、上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出させないか、又は上記反応液用第2記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから該反応液を吐出させると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出させる装置、として動作させることを特徴とするプリンタドライバを提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示した斜視図である。このインクジェット記録装置(プリンタ)1は、図示しない紙送りモータで駆動される紙送りローラ2によって、用紙スタッカ3から記録媒体Mを巻き取ってプラテン4位置に搬送し、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6により記録を行った後、矢標Yで示す方向(副走査方向)に記録媒体Mを搬送するようになしてある。キャリッジ5は、キャリッジモータ7によって駆動されるタイミングベルト8に連結されており、2本のガイドレール9によって、矢標X1又はX2方向(記録媒体Mの搬送方向Yと直交する主走査方向X)に往復走査可能に案内支持されている。キャリッジ5には、記録ヘッド6にインクや反応液を供給するインクタンクを含む記録ヘッドユニット12が搭載されている。本実施形態では、インクとして、イエロー(Y)、ブラック(K)、マゼンタ(M)及びシアン(C)及びの4色の水性顔料インクが用いられている。
【0017】
また、キャリッジ5が移動可能な領域の一端側は、記録ヘッド6のホームポジションとなっており、その下部には、吐出不良を起こした記録ヘッドの吐出回復や吐出不良を未然に防止するために利用される回復ユニット10が配置されている。回復ユニット10は、キャップ部11により、記録ヘッド6の吐出口形成面(記録媒体Mと対向する面)を覆い、図示しない吸引ポンプを作動させて、吐出口から増粘あるいは固化したインクや埃などの異物や気泡などを強制的に排出させ、図示しない廃液タンクにこれらを貯蔵するようになっている。また、回復ユニット10には、記録ヘッド6の吐出口形成面に付着した不要なインクやゴミなどを掃除するクリーニング動作に使用する、ゴムなどの弾性材料で形成されたワイパー部材が設けられている(図示せず)。この回復ユニット10自体の構成は、この種のインクジェット記録装置における回復ユニットと同様である。
【0018】
図2は、記録ヘッド6の吐出口形成面(記録媒体Mと対向する面)の概略構成図である。記録ヘッド6は、上記YKMCの4色のインクをそれぞれ吐出する4つのインク吐出用ヘッド6Y、6K、6M、6Cと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する2つの反応液吐出用ヘッド6R1、6R2とが、主走査方向Xに並列に集積配置された構成のいわゆるマルチヘッドである。各ヘッドは、それぞれ、主走査方向Xと直交する副走査方向Yに配列された複数の吐出口Nzを有し、各吐出口Nzからインク又は反応液を吐出する。
【0019】
6つの上記各ヘッドは、それぞれ基本的にこの種のインクジェット記録装置における記録ヘッドと同様に構成されており、インク供給路、該インク供給路の一部に設けられるエネルギー作用部、該エネルギー作用部にあるインク又は反応液に作用させる液滴形成エネルギーを発生するエネルギー発生手段(何れも図示せず)等を備えている。本実施形態では、エネルギー発生手段として、電気−機械変換素子を備えている。電気−機械変換方式の記録ヘッドは、他の方式の記録ヘッドに比して、顔料インクの吐出安定性に優れるため、顔料インクを用いたインクジェット記録に特に好適である。電気−機械変換素子としては、ピエゾ素子が好ましく用いられる。ピエゾ素子は、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギーの変換を行う素子(圧電素子)である。上記各ヘッドの内部の適当な位置に配置されたピエゾ素子に、所定の時間幅の電圧を印加することにより、該ピエゾ素子が電圧の印加時間だけ伸張し、これによりインク供給路の容積が収縮して、この収縮分に相当するインク又は反応液が液滴となって吐出口Nzから高速吐出される。
【0020】
尚、上記各ヘッドは、上記主走査方向Xに並列に配置されていればよく、各ヘッドの配置順序は特に限定されるものではないが、好ましい配置順序は、上記反応液により凝集され易いインクを吐出するインク吐出用ヘッドほど、上記反応液吐出用ヘッドから離間するような配置順序である。各ヘッドをこのような順序で配置することにより、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微小な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因する吐出口の汚れを有効に防止することができ、信頼性のより高いインクジェット記録が可能となる。例えば、後述する水溶性多価金属塩含有タイプの反応液を使用する場合、Y、K、M、Cの4色の水性顔料インクでは、通常、C、M、K、Yの順に該反応液との反応性が高いので、この場合の各ヘッドの配置順序は、図2に示すように、記録ヘッド6の吐出口形成面の主走査方向Xの一端側に配置された反応液吐出用ヘッド(6R1、6R2)に近い方から順に、6Y、6K、6M、6Cとすることが好ましい。
【0021】
図3は、図1に示すプリンタ1を用いた記録システムの一実施形態の制御構成を示すブロック図である。この記録システム50は、プリンタ1と、該プリンタ1に電気的に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト装置30と、該ホスト装置30に電気的に接続された画像入力装置40とを備えている。画像入力装置40としては、例えば、取り込んだ多値のカラー画像データをパーソナルコンピュータ等に送信できる装置として、スキャナ、デジタルカメラ、デジタルビデオ等が挙げられる。
【0022】
ホスト装置30は、インストールされたプリンタドライバのプログラムコードに従ってプリンタ1に記録処理を実行させる装置として機能するもので、記録システム50全体を実質的に制御するマイクロコンピュータ等のCPU31と、CPU31により実行される制御プログラムや各種データ等の必要な固定情報を格納したROM32と、CPU31による処理の実行時におけるワークエリアとして使用されるRAM33などを備えている。34は、画像入力装置40から転送される多値の文字や画像のデータ(画像データ)を2値化する色処理回路、35は、2値化された画像データを格納する画像メモリ、36は、画像入力装置40や図示しない操作パネルなどとのデータの入出力を行う入出力バッファ、37は、プリンタ1へ記録データを転送する入出力バッファである。
【0023】
ここで、例えば、画像入力装置40から多値のカラー画像データが転送された場合、このカラー画像データは入出力バッファ36に一旦格納され、色処理回路34で必要な色データに分解され、さらにγ(ガンマ)補正、UCR処理、中間調処理等の必要な処理が施されて、2値のカラー画像データに変換される。この2値のカラー画像データは、記録データとして画像メモリ35に格納され、1走査で記録する分のデータを読み出して入出力バッファ37を介してプリンタ1へ転送される。このような2値の記録データの生成・供給処理は、上記プリンタドライバに従って実行される。換言すれば、上記プリンタドライバは、ホスト装置30を、多値の入力画像データから2値の記録データを生成してプリンタ1に供給する記録データ生成・供給手段を備える装置として、動作させるものと言える。尚、プリンタドライバは、通常、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−R、CD−ROMなどの記憶媒体に格納された状態で、あるいはインターネットを利用したダウンロードにより、ユーザーに提供される。
【0024】
プリンタ1に転送されてきた2値の記録データは、記録媒体の種別を示す情報その他の各種指示情報等と共に、入出力バッファ15に一時的に格納される。一方、入出力バッファ15からは、記録データの転送確認データの他、プリンタ1の動作状態を示すデータなどがホスト装置30に転送される。入出力バッファ15に格納された記録データは、制御部16によって読み出され、その内部で展開される。
【0025】
制御部16は、プリンタ1全体を制御するもので、マイクロコンピュータ等のCPU17、CPU17により実行される必要な固定情報を格納したROM18、ワークエリアとして使用されるRAM19などを備えている。20は、上記紙送りローラ2を駆動させるための紙送りモータ21を駆動するモータドライバ、23は、上記キャリッジ5をX1又はX2方向に走査させるための上記キャリッジモータ7を駆動するモータドライバ、24は、制御部16からの信号に基づいて記録ヘッド6を構成する上記各ヘッド6R1、6R2、6Y、6K、6M、6Cを駆動するヘッドドライバである。
【0026】
次に、この記録システム50における記録データの生成処理について説明する。
【0027】
図4は、上記プリンタドライバに従って行われるホスト装置30内部での記録データの生成処理を機能的に示すブロック図である。例えば、画像入力装置40から転送されてきたRGB8ビットの多値入力画像データ(RGB画像データ)は、色変換部301で、変換テーブル302を用いてYMCKの8ビットの多値画像データ(YMCK画像データ)に変換され、γ補正部303に転送される。この変換テーブル302は、8ビットのRGB値(24ビットのデータ)に8ビットのYMCK値(32ビットのデータ)を対応づけたテーブルである。
【0028】
γ補正部303は、このYMCK画像データに対し、予め定めた特性に従って入力階調から出力階調に変換するγ補正を施す。このとき、インク量補正テーブル304を用いて出力階調をインク滴吐出量に変換することで、YMCK各色のインク滴吐出量が最適化され、多数のインク量指示値からなる吐出量最適化画像データを出力する。尚、このγ補正後の画像データに対してUCR処理を施すこともある。
【0029】
中間調処理部305は、γ補正部303からのYMCK各色インクの吐出量最適化画像データに対して、ディザ法、誤差拡散法、濃度パターン法などの面積階調法による疑似中間調処理を施し、2値のインク用記録データ(例えば、ビットマップデータ)を生成する。ディザ・マトリクスを用いるディザ法は、安価で高速に処理することができるが、生成される2値画像にはディザ・マトリクスの大きさの周期的なテクスチャが生じることが多く、その分画質が劣化しやすい。これに対し、誤差拡散法は、ディザ法のように固定のパターンを用いずに、変換後の2値画像における各画素における輝度値と、原画像における輝度値との誤差を周囲の画素に分散させる手法であり、階調性の高い画像を形成することができる。
【0030】
本実施形態では、このような誤差拡散法の特長に着目し、インク滴サイズ毎に誤差拡散を行う方式を採用している。即ち、中間調処理部305が参照可能な変換テーブル306は、小サイズ、中サイズ、大サイズのインク滴に関する3種の値を読み出せるテーブルとなっており、記録データ生成時には、この変換テーブル306から読み出した3種の値と他画素に関する誤差とに基づき、その画素の記録に最も適したインク滴サイズの決定が行なわれる。これにより、YMCK各色インクの8ビットの吐出量最適化画像データ(多数のインク量指示値からなるデータ)は、各ヘッドに吐出させるインク滴のサイズ(あるいはインク滴を吐出しないこと)を指定する1ビットの2値データに変換される。
【0031】
中間調処理部305で生成されたYMCK各色インクの2値のインク用記録データは二分割され、一方は反応液用データ提供部307に転送され、他方は記録データ生成部320に転送される。
【0032】
反応液用データ提供部307は、予め用意された反応液用記録データを保存するデータ保存手段308を備えており、このデータ保存手段308には、多値入力画像データ(RGB画像データ)とは無関係に生成された2種類の反応液用記録データ(反応液用第1記録データ及び反応液用第2記録データ)が保存されている。これら2種類の反応液用記録データは、後述するように、所定領域に吐出されるインクの総量(総記録デューティー)に応じて使い分けられる。
【0033】
また、反応液用データ提供部307は、この2種類の反応液用記録データの使い分けを実行する手段として、中間調処理部305からの各色インクのインク用記録データに基づいて各色インクの記録デューティーを所定領域毎に計算するデューティー計算手段と、その計算結果に基づいてその領域に適用する反応液用記録データ(反応液用第1記録データ又は第2記録データのいずれか)を選択するデータ選択手段とを備えている。ここで、「記録デューティー」とは、各色(本実施形態ではY、M、C、Kの4色)についての、記録ヘッドの一方向(X1又はX2方向)への1回の走査で可能な最大の吐出回数に対する実際の吐出回数の割合(%)を意味する。例えば、1ドットが1回の吐出によって形成される態様にあっては、1回の走査領域で記録可能な画素数に対する実際に形成されるドット数の割合が、該記録デューティーに相当する。
【0034】
図5は、上記反応液用データ提供部307における反応液用記録データの準備の流れを示すフローチャートである。先ず、中間調処理部305からYMCK各色インクの2値のインク用記録データを受信し(S1)、この受信した記録データに基づき、上記デューティー計算手段により、所定領域毎に各色インクの記録デューティーをそれぞれ計算し(S2)、求めた各色インクの記録デューティーを合計して、領域毎にインクの総記録デューティーを求める(S3)。
【0035】
次に、上記ステップS3で求めたインクの総記録デューティー(%)が、予め定められた基準値よりも大きいか否かを判断する(S4)。その結果、総記録デューティーが基準値以上であれば、その領域に対して上記反応液用第1記録データを適用することとし、上記データ保存手段308からこれを読み出す(S5)。一方、総記録デューティーが基準値未満であれば、その領域に対して上記反応液用第2記録データを適用することとし、上記データ保存手段308からこれを読み出す(S6)。このような処理を、受信したインク用記録データの全てについて繰り返し行い、読み出された複数の領域毎の反応液用記録データ(第1記録データ又は第2記録データ)をOR処理(論理和演算)して、反応液用記録データの準備が完了する(S7)。
【0036】
以下、反応液用第1記録データ及び第2記録データについて説明する。
【0037】
反応液用第1記録データは、上述したようにインクの総記録デューティーが所定の基準値以上の領域に対して適用されるもので、誤差拡散法により生成され且つ上記インク用記録データが加味されていない(入力された多値画像データとは無関係に生成された)データである。即ち、この反応液用第1記録データは、所定のマスクデータを用いて常法通り誤差拡散法により生成されたデータそのものであり、該データと上記インク用記録データとをAND処理(論理積演算)あるいはOR処理(論理和演算)して生成されるデータとは異なる。尚、誤差拡散法については、この種の画像処理分野では公知技術であるので、詳細は省略する。このように、吐出インク量が比較的多い領域に対しては、反応液用記録データとして、インク用記録データとは無関係に誤差拡散法により生成されたデータ(反応液用第1記録データ)を用いることにより、インク用記録データにANDあるいはORして生成されるデータを反応液用記録データとして用いる場合に比して、画像濃度の濃い領域における色のくすみが大幅に低減されると共に、記録媒体上での反応液の付着密度差が少なくなり、画像全体としてスジの極めて少ない高画質の画像を得ることができる。
【0038】
また、上記反応液用第1記録データは、所定量の反応液を使用(吐出)するように設定されており、所定の記録デューティーを持っている。この記録デューティーは、使用する記録媒体のインク吸収特性などを考慮し、なるべく少ない反応液で最大の効果が発揮されるように調整することが好ましく、好ましくは30〜60%、さらに好ましくは40〜50%である。
【0039】
一方、上記反応液用第2記録データは、上述したようにインクの総記録デューティーが所定の基準値未満の領域に対して適用されるもので、誤差拡散法により生成され且つ上記インク用記録データが加味されていない(入力された多値画像データとは無関係に生成された)データである点は、上記反応液用第1記録データと同様であるが、より低い記録デューティーに設定されている点で、該反応液用第1記録データと異なる。反応液用第2記録データの記録デューティーは、好ましくは5〜30%、さらに好ましくは5〜20%である。このように、吐出インク量が比較的少ない領域に対しては、反応液用記録データとして、誤差拡散法により生成された比較的低記録デューティーのデータ(反応液用第2記録データ)を用いることにより、反応液の使用量を必要最小限に抑えながらも、十分な画質向上効果を得ることが可能となり、吐出口の目詰まりやインク滴の飛行曲がりといったインクジェット信頼性の低下、記録直後の画像の乾燥性の低下、コストの増大などを防止し、画像全体としてくすみやスジの極めて少ない高画質の画像を得ることができる。
【0040】
2種類の上記反応液用記録データ(反応液用第1記録データ及び反応液用第2記録データ)は、上述したように、所定領域に実際に吐出されるインクの総量(総記録デューティー)に応じて使い分けられる。この使い分けの指標となる上記基準値(総記録デューティー)は、使用するインクや反応液、記録媒体の種類などによって変化するが、好ましくは40〜50%の範囲で、インク、反応液及び記録媒体の種類に応じて適宜選択される。
【0041】
尚、上記データ保存手段308には、2種類の上記反応液用記録データそれぞれについて、所定の記録デューティーに設定された1種類のデータのみを保存しておくこともできるし、記録デューティーの異なる複数のデータを保存しておくこともできる。後者の態様としては、例えば、記録デューティーの異なる複数の反応液用第1記録データ(いずれも記録デューティー30〜60%に設定)からなるデータ群(第1データ群)と、記録デューティーの異なる複数の反応液用第2記録データ(いずれも記録デューティー5〜30%に設定)からなるデータ群(第2データ群)とを用意し、これらを上記データ保存手段308に予め保存しておいて、記録媒体の種別情報に基づいて、各記録データ群からそれぞれ適切なデータを1つずつ自動的に選択する態様が考えられる。一般に、インクの浸透性が高い記録媒体に対しては比較的多量の反応液を使用することが好ましく、また、インクの浸透性が低い記録媒体に対しては比較的少量の反応液を使用することが好ましいので、各記録データ群からのデータの選択に際しては、予め作成した、使用する記録媒体のインク浸透性に反応液の使用量(吐出量)を対応づけたテーブルを参照するようにすることにより、種々の記録媒体に対して良好な画像を形成することが可能となる。
【0042】
以上のような手順により反応液用データ提供部307で準備された2値の反応液用記録データは、記録データ生成部320へ転送される。記録データ生成部320では、この反応液用記録データ及び中間調処理部305からのYMCK各色インクの2値のインク用記録データに対して、変換テーブル321を用いて、上記各ヘッド6R1、6R2、6Y、6K、6M、6Cの駆動波形の駆動電圧を最適化する処理を施し、これらからプリンタ1に転送する記録データを最終的に生成する。
【0043】
尚、本発明においては、インク及び反応液の吐出順序は特に限定されず、反応液を先に吐出させてもよいし、インクを先に吐出させても構わないが、インクと反応液との記録媒体上における接触が、一方の液滴(反応液又はインク)を吐出した後300ms以内に達成されるように、他方の液滴(インク又は反応液)を吐出させるよう、上記駆動波形を生成することが好ましい。このように両液の吐出間隔を制御することで、インク浸透性の低い記録媒体に対しては勿論のこと、インク浸透性の高い記録媒体に対しても、その表層でインク凝集反応を起こさせることが可能となるので、記録媒体の種類によらず発色性の高い画像を形成することができる。
【0044】
以上のようにして生成された記録データは、上述したようにホスト装置30内部の画像メモリ35に一旦格納され、入出力バッファ37を介してプリンタ1へ転送されることになる。
【0045】
以下、本発明に係るインク及び反応液について説明する。
【0046】
本発明に係るインクとしては、インクジェット記録で使用可能な水性インクであればよく、特に制限されないが、反応液による画質向上効果を最大限発揮させる観点から、水性顔料インクが好ましい。一般に、インクジェット記録用の水性顔料インクには、顔料系色材及び水の他に、印字品質の向上、乾燥防止などを目的として、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの界面活性剤や、グリコール類、グリコールエーテル類などの各種有機溶剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤などが含有されている。顔料系色材の含有量は、インク中、通常、0.5〜30重量%程度である。尚、使用可能なインクの色種は、上記実施形態のようなYMCKの4色に限定されるものではなく、YMCの減法混色の3原色の組み合わせを用いてもよく、さらに、ライトマゼンタ、ライトシアンなどの所望の色のインクを組み合わせた5色以上のインクの組み合わせを用いてもよい。
【0047】
上記顔料系色材としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどの無機系顔料;アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機系顔料などが挙げられる。
【0048】
また、上記顔料系色材は、界面活性剤等の分散剤が無添加あるいはごく少量添加の水性媒体中に分散及び/又は溶解が可能ないわゆる自己分散型顔料(表面改質顔料などとも呼ばれる)でもよく、自己分散型ではない通常の顔料でもよい。自己分散型顔料は、一般に、顔料表面にカルボキシル基などのアニオン性基が結合されている。また、自己分散型ではない通常の顔料を使用する場合は、分散剤として、高級脂肪酸塩や高級アルコール硫酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、あるいはポリアクリル酸塩などのアニオン性高分子が顔料と共に併用される。本発明に係る反応液中の凝集化剤(水溶性多価金属塩など)は、このようなアニオン性基を有する自己分散型顔料やアニオン性分散剤とイオン的相互作用により会合体を形成する。
【0049】
また、本発明に係る反応液としては、水性インクと接触してその分散又は溶解状態を破壊し、該インクを凝集させ得るものであればよく、例えば、金属塩又は有機系カチオン物質等を凝集化剤とし、該凝集化剤を水に溶解又は分散させたものを用いることができる。特に好ましい反応液は、少なくとも水溶性多価金属塩及び水を含有するものである。水溶性多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンとこれに結合する陰イオンとから構成される水に可溶な塩であり、無水物でもよく、水和物でもよい。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Fe2+、Zr2+等などの二価金属イオン、Al3+、Fe3+、Cr3+、Zr3+、Zr4+などの三価金属イオンが挙げられる。一方、陰イオンの具体例としては、Cl−、NO3 −、I−、Br−、ClO3 −、CH3COO−、F−、SO4 2−、SO3 2−などが挙げられる。なかでも、Mg2+より構成される金属塩、とりわけ、硫酸マグネシウム(MgSO4)は、得られる記録物の品質、記録ヘッドに対する影響(腐食性)、安全性(毒性)、コストという4つの観点から、好適な結果を与える。水溶性多価金属塩の反応液中における含有量は、印字品質、吐出安定性、記録ヘッドの腐食防止などを考慮して適宜調整すればよいが、好ましくは0.5〜20重量%程度である。
【0050】
上記反応液には、印字品質の向上、乾燥防止などを目的として、必要に応じ、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの界面活性剤や、グリコール類、グリコールエーテル類などの各種有機溶剤、トリエタノールアミン等のpH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤などを適宜含有させることができる。
【0051】
上記反応液は、記録媒体への適度な濡れ性及び吐出安定性の2つの観点から、表面張力20〜45mN/m、pH6.5〜10、液温20℃における粘度2〜10mPa・sであることが好ましい。インクについても、概ね、このような物性値を有することが好ましい。これらの物性値の調整は、上記の各成分の種類、含有量などを調整することで行うことができる。
【0052】
尚、本発明が適用可能な記録媒体については特に制限されるものではなく、基材上にシリカなどを主成分とするインク受容層を設けた構成のインクジェット専用紙は勿論のこと、このようなインクジェット記録方式に適合した特性が付与されていない普通紙も好適に用いることができる。例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、ボンド紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙(レジンコート紙)、バライタ紙、板紙、和紙、不織布;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム等が挙げられる。
【0053】
以上、本発明を、その好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、記録ヘッドの構成、吐出口の配列パターン、使用するインクの種類や数などは、上記実施形態に限定されず適宜変更可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、記録デューティーの異なる2種類の反応液用記録データ(反応液用第1記録データ及び反応液用第2記録データ)を用意し、インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、記録デューティーがより低く設定された反応液用第2記録データを使用するようにしていたが、図6に示すように、該領域に対しては反応液を全く吐出しないようにしてもよい。図6に示すフローチャートは、ステップS4でインクの総記録デューティー(%)が基準値よりも大きいか否かを判断した結果、総記録デューティーが基準値未満の場合は、その領域に対しては反応液を吐出しないこととし、記録デューティーが0%のデータとして処理するようにした(S6)もので、このステップ6以外は、図5に示すフローチャートと同じである。使用する記録媒体の種類によっては、このようにして生成された反応液用記録データを用いても十分に高品位な記録物を得ることができ、しかも反応液の使用量を一層抑えることができるというメリットもある。
【0055】
また、本発明に適用可能な記録ヘッドは、上記記録ヘッド6の如き、複数のヘッドを1つに集積配置したマルチヘッドに限定されず、図7に示すような、複数のヘッドをその主走査方向Xに一定の間隔を置いて並列配置させた形態の記録ヘッドでもよい。このような形態の記録ヘッドにおいては、記録動作中に各ヘッドから発生するミスト(主液滴に続いて飛翔する微少な液滴)や吐出された液滴の記録媒体からの跳ね返りなどに起因する吐出口の汚れが少なくなり、インクジェット信頼性が一層高まる。
【0056】
また記録ヘッドは、上記のような電気−機械変換方式のものに限定されず、電極などの静電気力発生手段を利用したものでも良く、ヒータなどの電気−熱変換素子を利用したもの(電気−熱変換方式)でもよい。後者の電気−熱変換方式は、電気−熱変換素子により液体中に気体(バブル)を発生させ、この力で該液体を吐出させるインク吐出方式であり、この方式の記録ヘッドとしては、例えば、キャノン社製のバブルジェット(登録商標)ヘッドが挙げられる。さらに記録ヘッドは、上記実施形態のような、記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドでもよく、記録ヘッドとは別に配置されたインクタンクからチューブなどを介してインク又は反応液を供給するタイプの記録ヘッドでもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、2値の記録データの生成・供給処理を行うプリンタドライバを、インクジェット記録装置に接続されたホスト装置にインストールしていたが、これを該インクジェット記録装置にインストールすることもできる。この場合、多値入力画像データ(RGB画像データ)を2値化するまでの過程(図4において中間調処理部305までで行われる過程)はホスト装置側で行うようにし、反応液用記録データを準備する過程を含む残りの過程はインクジェット記録装置側で行うようにさせることもできる。
【0058】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。
【0059】
〔反応液の調製〕
下記の各成分を混合し、常温で30分攪拌した後、5μmのメンブランフィルターで濾過することにより、下記組成の反応液を調製した。
【0060】
〔実施例〕
ピエゾ駆動型のマルチヘッドタイプの記録ヘッドを搭載した、市販の水性顔料インク対応のインクジェットプリンタ(PX−10000、セイコーエプソン製)において、その記録ヘッドにおける各ヘッドの配置を図2に示すような配置にし、その2つの反応液吐出用ヘッドに対応するインクカートリッジに、上記手順で調製した反応液を充填した。このインクジェットプリンタを用いて、記録媒体(OKトップコートN、王子製紙製)に対して、上述したインクジェット記録方法を実施し、解像度720dpi×720dpi、1440dpi×720dpiのカラー画像(人物画)を出力した。具体的には、インクの総記録デューティーが50%以上となる領域に対しては、誤差拡散法により生成された反応液用第1記録データ(記録デューティー40%)を用い、インクの総記録デューティーが50%未満となる領域に対しては、誤差拡散法により生成された反応液用第2記録データ(記録デューティー5%)を用いた。
【0061】
〔比較例1〕
実施例において、所定領域毎の反応液記録用データの使い分けを行わず、上記反応液用第1記録データ(記録デューティー40%)のみを用いて記録媒体に対して反応液を吐出した以外は実施例と同様にして、カラー画像を出力した。
【0062】
〔比較例2〕
実施例において、所定領域毎の反応液記録用データの使い分けを行わず、上記反応液用第2記録データ(記録デューティー5%)のみを用いて記録媒体に対して反応液を吐出した以外は実施例と同様にして、カラー画像を出力した。
【0063】
上記実施例及び各比較例で得られたカラー画像を目視で観察したところ、実施例で得られたカラー画像は、画像濃度が高く、また、インクにじみ、印刷ムラ、くすみ、スジがほとんど見られず、高品位の画像であった。またこの画像は、出力後の乾燥性の点においても問題がなかった。これに対し、比較例1のカラー画像は、画像濃度は高いものの、特にハイライト部において粒状感が目立ち、画像品位に問題の残る結果となった。また、比較例2のカラー画像は、ハイライト部における粒状感は少ないものの、画像濃度が低く、全体的にスジが目立ち、また、特に画像濃度の濃い領域においてくすみやムラが目立つ結果となり、比較例1と同様に画像品位に問題の残る結果となった。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、インクを凝集させる性質を有する反応液を所定のパターンで吐出させることにより、装置の大型化、ランニングコストの増大、インクジェット信頼性の低下、出力画像の乾燥性の低下などの弊害を招くことなく、高発色で、にじみ、ムラ、くすみ、スジのほとんど見られない高品位の記録物を安定して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のインクジェット記録装置の概略構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示す記録ヘッドの吐出口形成面の概略構成図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置を用いた記録システムの制御構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す記録システムにおける記録データの生成処理を機能的に示すブロック図である。
【図5】反応液用記録データの準備の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】反応液用記録データの準備の流れの別の例を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る記録ヘッドの別の実施形態を示す図2相当図である。
【図8】従来の反応液用記録データの生成手順の説明図である。
【符号の説明】
1…プリンタ
2…紙送りローラ
3…用紙スタッカ
4…プラテン
5…キャリッジ
6…記録ヘッド
6Y、6K、6M、6C…インク吐出用記録ヘッド
6R1、6R2…反応液吐出用記録ヘッド
7…キャリッジモータ
8…タイミングベルト
9…ガイドレール
10…回復ユニット
11…キャップ部
12…記録ヘッドユニット
Nz…吐出口
M…記録媒体
Claims (17)
- インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを用い、記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行うインクジェット記録方法において、
上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液を吐出させるための記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されていない所定の記録デューティーの反応液用第1記録データを用い、
上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出させないか、又は該反応液を吐出させる場合にはその記録データとして、誤差拡散法により生成され且つ該インクの記録データが加味されておらず且つ上記反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 上記基準値が40〜50%であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
- 上記反応液用第1記録データの上記記録デューティーが30%〜60%であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
- 上記インクと上記反応液との上記記録媒体上における接触が、一方の液滴を吐出した後300ms以内に達成されるように、他方の液滴を吐出させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 上記インクが、少なくともイエロー、マゼンタ及びシアンを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 上記インクが水性顔料インクであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 上記反応液が、少なくとも水溶性多価金属塩及び水を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
- 上記水溶性多価金属塩が硫酸マグネシウムであることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録方法。
- インクを吐出するインク吐出用ヘッド、及び該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドを備えたインクジェット記録装置と、該インクジェット記録装置に電気的に接続されたホスト装置とを備え、該ホスト装置から転送される記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行う記録システムにおいて、
上記ホスト装置は、入力された多値画像データに基づいて上記インク用の2値記録データ(インク用記録データ)を生成するインク用データ生成手段と、該多値画像データとは無関係に予め生成された上記反応液用の複数の2値記録データを保存するデータ保存手段とを備え、該データ保存手段には、該2値記録データとして、誤差拡散法により生成された所定の記録デューティーの反応液用第1記録データと、誤差拡散法により生成され且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データとが保存されており、
上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液用第1記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから上記反応液を吐出すると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出し、
上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出しないか、又は上記反応液用第2記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから該反応液を吐出すると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出することを特徴とする記録システム。 - 上記ホスト装置が、上記インク用記録データに基づいて所定領域における上記インクの記録デューティーを計算するデューティー計算手段と、その計算結果に基づいてその領域に適用する反応液用記録データを選択するデータ選択手段とを備えることを特徴とする請求項9記載の記録システム。
- 上記データ保存手段には、記録デューティーの異なる複数の上記反応液用第1記録データからなる第1データ群と、記録デューティーの異なる複数の上記反応液用第2記録データからなる第2データ群とが保存されており、上記記録媒体のインク浸透性に関する情報に基づいて、各該記録データ群からそれぞれ適切な記録データを1つずつ自動的に選択するようになしてあることを特徴とする請求項9又は10記載の記録システム。
- 上記インクと上記反応液との上記記録媒体上における接触が、一方の液滴を吐出した後300ms以内に達成されるように、他方の液滴を吐出することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の記録システム。
- 上記インク吐出用ヘッドとして、少なくともイエロー、マゼンタ及びシアンの各色インクに対応した複数のインク吐出用ヘッドを備えることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の記録システム。
- 上記インク吐出用ヘッド及び上記反応液吐出用ヘッドが、それぞれ、上記インク又は上記反応液の吐出に利用されるエネルギーを発生するエネルギー発生手段として、電気−機械変換素子を備えることを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の記録システム。
- インクを吐出するインク吐出用ヘッドと、該インクを凝集させる性質を有する反応液を吐出する反応液吐出用ヘッドとを備え、記録データに基づいて記録媒体に対して該インク及び該反応液をそれぞれ吐出させ、該記録媒体上で接触させることにより記録を行うインクジェット記録装置に接続又は内蔵されたコンピュータを、
入力された多値画像データに基づいて上記インク用の2値記録データ(インク用記録データ)を生成するインク用データ生成手段と、該多値画像データとは無関係に予め生成された上記反応液用の複数の2値記録データを保存するデータ保存手段とを備え、該データ保存手段には、該2値記録データとして、誤差拡散法により生成された所定の記録デューティーの反応液用第1記録データと、誤差拡散法により生成され且つ該反応液用第1記録データよりも記録デューティーが低い反応液用第2記録データとが保存されており、且つ
上記インクの総記録デューティーが所定の基準値以上である領域に対しては、上記反応液用第1記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから上記反応液を吐出させると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出させ、
上記インクの総記録デューティーが所定の基準値未満である領域に対しては、上記反応液を吐出させないか、又は上記反応液用第2記録データに基づいて上記反応液吐出用ヘッドから該反応液を吐出させると共に、該領域に対応する上記インク用記録データに基づいて上記インク吐出用ヘッドから該インクを吐出させる装置、
として動作させることを特徴とするプリンタドライバ。 - 上記装置が、上記インク用記録データに基づいて所定領域における上記インクの記録デューティーを計算するデューティー計算手段と、その計算結果に基づいてその領域に適用する反応液用記録データを選択するデータ選択手段とを備えることを特徴とする請求項15記載のプリンタドライバ。
- 上記データ保存手段には、記録デューティーの異なる複数の上記反応液用第1記録データからなる第1データ群と、記録デューティーの異なる複数の上記反応液用第2記録データからなる第2データ群とが保存されており、上記記録媒体のインク浸透性に関する情報に基づいて、各該記録データ群からそれぞれ適切な記録データを1つずつ自動的に選択するようになしてあることを特徴とする請求項15又は16記載のプリンタドライバ。
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