JP5655322B2 - 画像記録方法および画像記録装置 - Google Patents
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Description
そこで本出願人は、下地の色が白色とは限らない媒体に対しても細かな模様や文字をカラーで付すのに適したカラー印刷物品の製造方法を提供することを目的とし、媒体の被印刷面に対して白色の下地層を形成した後、インクジェット方式の記録ヘッドから各色のインク滴を吐出して前記下地層の上にカラー印刷を行う技術を提案している(特許文献1参照)。
しかしながら特許文献2には、下記で説明する本発明の主要な見地、すなわち下地層に残存する揮発成分量と、その上に形成されるカラー画像のにじみ具合との関係については、何ら開示または示唆されていない。
また、本発明は、にじみが抑制された高画質な画像を与える画像記録装置を提供することを目的とする。
白色隠蔽層が乾燥した状態であると、白色色材である金属化合物顔料や中空樹脂粒子を分散させるための分散樹脂が前記色材の周囲を被覆して固化および密集した状態となる。そして、この状態の白色隠蔽層にプロセスカラーインク組成物を付着させると、該プロセスカラーインク組成物の溶剤成分が白色隠蔽層内部へ吸収されずに表層部に留まり、これによりカラー画像のにじみが生じるものと推測される。
今般、本発明者は、プロセスカラーインク組成物を白色隠蔽層上に付着させる前に、該白色隠蔽層のカラー画像が形成される所定の領域をクリアインク組成物で湿潤状態とすることでこのにじみを抑制できることを知見するに至った。本発明者の知見によれば、クリアインク組成物によって白色隠蔽層上に形成される湿潤樹脂層の揮発成分残存量が50質量%を超えてしまうと、該湿潤樹脂層が湿潤し過ぎるためにカラー画像ににじみが顕著に発生し、一方、湿潤樹脂層の揮発成分の残存量を5質量%以上とすればカラー画像のにじみを抑制することができる。
さらに本発明者は、下地が白色隠蔽層でなく乾燥した被記録面である場合であって、例えば基材等にカラー画像層を直接記録する場合にも、カラー画像層を記録する前に、前記カラー画像層を記録する所定領域に揮発成分残存量が5〜50質量%の湿潤樹脂層を形成することで、上記と同様にカラー画像層のにじみを抑制できることを知見するに至った。
(2) 前記湿潤樹脂層を記録する工程の前に、前記基材上の少なくとも前記所定領域に、白色インク組成物によって白色隠蔽層が記録されており、
前記湿潤樹脂層を形成する際の前記白色隠蔽層の揮発成分残存量が5質量%未満であることを特徴とする、上記(1)記載の画像記録方法。
(3) 前記湿潤樹脂層を記録する工程が、前記白色隠蔽層上にクリアインク組成物を付着させる工程と、前記付着されたクリアインク組成物を揮発成分残存量が5〜50質量%となるまで乾燥させる工程とを有することを特徴とする、上記(2)記載の画像記録方法。
(4) 前記白色インク組成物が金属化合物または中空樹脂粒子を白色色材として含むことを特徴とする、上記(2)または(3)記載の画像記録方法。
(5) 前記白色インク組成物、前記クリアインク組成物および前記プロセスカラーインク組成物の主溶媒が水であることを特徴とする、上記(2)〜(4)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(6) 前記基材がインク非吸収性または低吸収性であることを特徴とする、上記(1)〜(5)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(7) 前記湿潤樹脂層の揮発成分残存量が10〜25質量%であることを特徴とする、上記(1)〜(6)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(8) 基材上にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録するカラー画像形成手段と、
前記カラー画像層を記録する前に、前記基材上の前記カラー画像層を記録する所定領域に、樹脂を含有するクリアインク組成物により揮発成分残存量が5〜50質量%の湿潤樹脂層を記録する湿潤樹脂層形成手段と、を有することを特徴とする画像記録装置。
前記クリアインク組成物および前記プロセスカラーインク組成物は、前記基材に対向して設けられる前記記録ヘッドから前記基材に対して吐出され、
前記記録ヘッドは、前記基材上の少なくとも白色隠蔽層に対して前記クリアインク組成物を吐出してから所定時間の後、前記クリアインク組成物により形成された湿潤樹脂層に対して前記プロセスカラーインク組成物を吐出することを特徴とする上記(2)〜(7)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(10) 前記記録装置は、前記記録ヘッドを搭載して前記主走査方向へ往復移動するキャリッジを備え、
前記基材の搬送が停止された状態で、前記キャリッジの往復移動に伴って前記クリアインク組成物が前記記録ヘッドから前記基材上の少なくとも白色隠蔽層に対して吐出され、次いで、前記キャリッジの往復移動に伴って前記プロセスカラーインク組成物が前記記録ヘッドから前記湿潤樹脂層に対して吐出されることを特徴とする上記(9)に記載の画像記録方法。
(11) 前記記録装置が更に前記基材を加熱する手段を備え、
前記クリアインク組成物を前記白色隠蔽層に付着させる付着時および/または付着後、前記基材を加熱することを特徴とする上記(9)〜(10)の何れか一項に記載の画像記録方法。
(12) インクジェット記録方式により行なわれることを特徴とする、上記(1)〜(11)の何れか一項に記載の画像記録方法。
本発明の画像記録方法は、基材上にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録する工程と、
前記カラー画像層を記録する前に、前記基材上の前記カラー画像層を記録する所定領域に、樹脂を含有するクリアインク組成物により揮発成分残存量が5〜50質量%の湿潤樹脂層を記録する工程と、を有することを特徴とする。
また、「揮発成分」とはインク組成物から固形成分を除いたその他の成分を意味する。一般的に、インク組成物における揮発成分は、溶媒(有機溶媒および水)、あるいは添加物としての有機溶剤(溶媒が水の場合は水溶性有機溶剤)等が挙げられる。一方、一般的にインク組成物における固形成分としては、顔料等の色材(クリアインク組成物である場合には色材は含有されない)、分散剤としての樹脂あるいはレベリング剤として機能する添加剤としての樹脂、界面活性剤等が挙げられる。尚、揮発成分残存量は、印刷面に記録されたインク組成物の重量から算出することができる。
湿潤樹脂層のより好ましい揮発成分残存量は、8〜40質量%であり、特に好ましくは10〜25質量%である。かかる本発明の画像記録方法によれば、市販されるようなクリアインク組成物を用いて、簡便に、白色隠蔽層上ににじみがない高精細なカラー画像を形成することが可能となる。また、本発明の画像記録方法によれば、基材上に白色隠蔽層を介さずに直接カラー画像を形成する場合にも、カラー画像層を形成する前に上記湿潤樹脂層を記録することで、にじみがない高精彩なカラー画像を形成することが可能となる。
以下、白色インク組成物について説明する。
本発明における白色インク組成物は、白色色材として金属化合物および中空樹脂粒子から選ばれる少なくとも1種と、前記色材を定着する樹脂成分とを含むことが望ましい。
上記金属化合物の含有量は、白色インク組成物の全質量に対して、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは5〜15質量%である。金属酸化物の含有量が20質量%を超えると、インクジェット式記録ヘッドの目詰まりなど信頼性を損なうことがある。一方、1質量%未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向にある。
これらの定着樹脂の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜3質量%である。
次に、カラー画像を形成するためのプロセスカラーインク組成物について説明する。
本発明におけるプロセスカラーインク組成物は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)またはK(ブラック)の色材を含むものであればよく、白色以外を呈するカラーインク組成物である。本発明におけるプロセスカラーインク組成物は特に限定されることなく、市販のプロセスカラーインク組成物を使用することができる。
カラー色材としては、顔料系および染料系のいずれでも良く、例えば、特開2003−192963号、特開2005−23253号公報、特開平9−3380号公報、特開2004−51776号公報に記載されたカラーインク組成物を好適に使用することができる。
また、本発明における“カラー”とは特定の色領域ではなく一般的に色があると言われている領域全てを指す。つまり、“L*a*b*座標上でL*=100、a*=0、b*=0(理想的な白)以外の座標に位置する色”を示す。
本発明で用いられるプロセスカラーインク組成物は主溶媒として水を含むものであることが望ましい。
本発明におけるクリアインク組成物は、色材を含有せず、定着樹脂を含むものであれば良く、特に主溶媒として水を含むものであることが望ましい。クリアインク組成物に含まれる定着樹脂は、白色インク組成物による白色隠蔽層とプロセスカラーインク組成物によるカラー画像層との間を分離しつつ白色隠蔽層上に適度な湿潤状態を形成する。また、同様に、基材とカラー画像層との間を分離しつつ基材上に適度な湿潤状態を形成する。プロセスカラーインク組成物をこの湿潤樹脂層に付着させると、溶剤等の成分が速やかに湿潤樹脂層に吸収され、且つプロセスカラーインク組成物は湿潤樹脂層に含まれる樹脂によって表層に留まる。このためにじみが抑制され、高精細な画像を形成することが可能となる。
ピロリドンあるいはピロリドン誘導体の添加量は、インク組成物全量に対して、好ましくは2重量%〜25重量%、さらに好ましくは4〜25重量%である。
本発明で用いられる基材とは、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体である。インク非吸収性および低吸収性の記録媒体とは、インクの吸収層を備えていない、あるいは、インクの吸収層が乏しい記録媒体をいう。より定量的には、インク非吸収性および低吸収性の記録媒体とは、印字面が、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。インク非吸収性の記録媒体として、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。また金属、ガラス等も挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙等が挙げられる。
本発明の画像記録方法における白色隠蔽層、湿潤樹脂層およびカラー画像層の画像形成手段は、下記で説明するインクジェット記録方式であることが好ましい。インクジェット記録方式以外にも種々のアナログ印刷、たとえばオフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷などに適用することが可能である。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
乾燥方法は特に制限されないが、例えば、基材に熱源を接触させて加熱する方法、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長を持つ電磁波)などを照射し、または熱風を吹き付けるなど基材に接触させずに加熱する方法などが挙げられる。加熱温度は基材の種類にもよるが、30〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。熱をかけないでファンなどによって風を送る方法もよく、自然乾燥も可能である。
インクジェット記録装置(以下、記録装置という)に適用した場合における本発明の画像形成方法は、基材上にプロセスカラーインク組成物によるカラー画像を形成する前に、該基材上のカラー画像が形成されるべき所定の領域にクリアインク組成物で湿潤樹脂層を形成する工程を含むものであればその具体的な態様は特に限定されない。特に好ましくは、湿潤樹脂層が記録される前に、前記所定領域に白色インク組成物によって白色隠蔽層が記録されていることが好ましい。具体的な手段としては、例えば、記録装置で予め白色隠蔽層を全面にあるいは所望の部分のみに頁単位で印刷し、その後、当該記録装置に再度通紙して湿潤樹脂層の形成とカラー画像層の形成を1回の通紙で行なっても良いし、あるいは白色隠蔽層、湿潤樹脂層およびカラー画像層の形成を1回の通紙で、即ち、基材を記録装置へ通紙してから前記記録装置外へ排紙するまでの間に行なっても良い。
基材上に直接、あるいは基材上の白色隠蔽層にクリアインク組成物を付着させて湿潤樹脂層を形成する際には、クリアインク組成物は、自然乾燥あるいは加熱手段により揮発成分残存量が所定の値となるまで乾燥される必要がある。インクジェット記録方式のような高速印刷を行なう記録装置に本発明の画像形成方法を適用させる場合には、該記録装置に基材を加熱する手段を配置し、クリアインク組成物の付着による湿潤樹脂層の形成途中(付着時)および/または形成後(付着後)に前記基材を加熱することが望ましい。加熱によって乾燥時間が短縮されるため、例えば、記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査させる際の移動時間や、基材の搬送時間等をクリアインク組成物による湿潤樹脂層の乾燥時間とすることが可能である。記録装置に基材を加熱する手段を設置する方法としては、例えば特開平10−86353号が挙げられる。
この場合、基材の搬送が停止された状態で、キャリッジの往復移動に伴って前記クリアインク組成物が基材上に形成された白色隠蔽層に対して吐出され、次いで、同様のキャリッジの往復移動に伴ってプロセスカラーインク組成物がクリアインク組成物により形成された湿潤樹脂層上に吐出される。その際、記録装置に上述の加熱する手段を配置して、キャリッジを主走査させる移動時間をクリアインク組成物の乾燥時間に当て、クリアインクを媒体に記録してから同じ画素位置にカラーインクを重ねて記録するまでの時間差として1主走査以上設けることもでき、カラー画像層を形成するまでに湿潤樹脂層を所望の湿潤状態とすることが可能である。主走査の間に休止時間を設けてもよい。
本実施形態の記録物は、本発明の画像記録方法、好ましくは上記インクジェット記録方式を利用して記録が行われたものである。この記録物は、本発明の画像記録方法により得られるものであるので、カラー画像のにじみが抑制され、良質な画像を提供できる。
本発明の画像記録装置は、基材上にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録するカラー画像形成手段と、前記カラー画像層を記録する前に、前記基材上の前記カラー画像層を記録する所定領域に、樹脂を含有するクリアインク組成物により揮発成分残存量が5〜50質量%の湿潤樹脂層を記録する湿潤樹脂層形成手段と、を有することを特徴とする。また、本発明の画像記録装置は、前記湿潤樹脂層を記録する前に、前記基材上の前記カラー画像層を記録する所定領域に、白色インク組成物により白色隠蔽層を形成する白色隠蔽画像形成手段を備えていても良い。
かかる画像記録装置は、前記湿潤樹脂層形成手段と前記カラー画像層形成手段とが一体化された装置であってもよく、また、前記白色隠蔽層形成手段と前記湿潤樹脂層形成手段と前記カラー画像層形成手段とが一体化された装置であってもよい。また、それぞれが別体となった装置(例えば、白色隠蔽層をインクジェット記録装置で記録後、別体のインクジェット記録装置で湿潤樹脂層およびカラー画像層を形成する)であってもよい。
白色色材として二酸化チタン(市販品「NanoTek (R) Slurry」(シーアイ化成株式会社製)) 66.6質量%、定着樹脂としてWBR−022U(商品名、大成ファインケミカル社製(ウレタン樹脂、固形分濃度30質量%)) 5質量%、浸透性有機溶剤としてプロピレングリコール 15質量%、1,2−ヘキサンジール 3質量%、水性溶剤としてトリエタノールアミン 0.5質量%、界面活性剤としてBYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製(ポリシロキサン系界面活性剤)) 0.5質量%、イオン交換水 残量にて、白色インク組成物(インク1)を調整した。
尚、NanoTek (R) Slurryは、平均粒子径36nmの二酸化チタンを固形分として15質量%の割合で含むスラリーである。
樹脂エマルジョンとしてスチレンーアクリル酸共重合体((分子量55,000、酸価130、平均粒子径50nm、ガラス転移温度80℃) 5質量%、ワックスとしてAQUACER−515(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製) 0.5質量%、水溶性浸透溶剤として1,2−ヘキサンジオール 5質量%、界面活性剤としてBYK−348(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製のポリエーテル変性オルガノシロキサン)0.5質量%、水溶性溶剤として2−ピロリドン 5質量%、保湿剤としてプロピレングリコール 10質量%、純水 残量にて、クリアインク組成物(インク2)を調整した。
評価には、インクジェットプリンタPX−A650(セイコーエプソン(株)製)を2台用いた。1台目は、白色インク組成物の出力用(白出力用)とし、他の1台は、クリアインク組成物およびプロセスカラーインク組成物の出力用(カラー出力用)とした。白出力用は、黒用インクカートリッジに白色インク組成物(インク1)を充填させ、これを通常黒用インクカートリッジが装着される部分に装着して使用した。クリアインク出力用は、上記で作成したインク2を使用し、2台目のインクジェットプリンタPX−A650の黒用インクカートリッジにインク2のインク組成物を充填させ、これを通常黒用インクカートリッジが装着される部分に装着して使用した。カラー出力用は、C(シアン)またはM(マゼンタ)、Y(イエロー)の色材をそれぞれ含む、上記の水系の純正のインクカートリッジをそのまま用いた。
まず、上記非吸収性基材に、白出力用を用いて白色インク組成物(インク1)の記録を行ない、白色隠蔽層を形成した。図1(a)において、基材1上の文字部分が白色インク組成物により形成された白色隠蔽層2である。記録解像度は1440×720dpiとした。白色隠蔽層は、印刷後、揮発成分残存量が5質量%未満となるまで自然乾燥させた。尚、白色隠蔽層の揮発成分残存量(残存する揮発成分量)は、印刷面に記録されたインクの重量から算出した。
次いで、下記の方法によって白色隠蔽層上のカラー画像を形成すべき所定の領域、並びに、白色隠蔽層を形成していない文字の縁取り部領域に、クリアインク組成物(インク2)によって湿潤樹脂層3(図1(b)の点線部内)を形成し、当該湿潤樹脂層3上にカラー画像層4(図1(c)の斜線部)の形成を行なった。
以下、印刷評価試験−1における湿潤樹脂層およびカラー画像層を記録する方法の概略を図面に基づき説明する。
図2の左右方向(主走査方向X)の1方に主走査(パス)させ、基材1上にクリアインク組成物による湿潤樹脂層を形成する(第1記録)。続いて、当該パス(第1記録)後に前記クリアインクにより形成された湿潤樹脂層上にプロセスカラーインクのみ記録するパス(第2記録)を行う。上記印刷を可能とするため、ノズル列は、図3に示すように全ノズルを使用するとともに、パスごとにクリアインクとプロセスカラーインクとが印刷されるように印刷する。クリアインク用ノズル列(T(クリア))が(斜線部分)、クリアインク用ノズル列の主走査方向に並べてプロセスカラーインク用ノズル(C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)が配列される(ノズル列のノズルピッチ:180dpi、副走査方向の記録解像度:180dpi))。図3において、パス番号の下のノズルは当該パスにおいて印刷に使用されるノズルを示している。クリアインクとプロセスカラーインクは、図1の白色隠蔽層を形成した文字の部分に重ねて印刷を行なった。さらに、白色隠蔽層を形成していない文字の縁取り部にも、クリアインクとプロセスカラーインクの印刷を重ねて行なった。
揮発成分残存量は第1記録終了直後の基材1の質量と時間経過後の基材1の質量から求めた。尚、ヒーター13を停止させ基材1を加熱せず室温にて行なっても良い。室温の場合は、上記の移動時間保持は、より長時間となる。
得られたカラー画像に対し、にじみの評価を目視にて行なった。評価内容は以下のとおりである。カラー画像の評価は、白色隠蔽層を形成した領域にプロセスカラーインクを印刷した領域(文字の部分)と、白色隠蔽層を形成しない領域(文字の縁取り部)にプロセスカラーインクを印刷した領域とについて両方とも行なった。また、前述のシアンインクのノズル列にシアンインクに代えて黒色(K)の純正カートリッジのインクを充填させて前述と同様に印刷を行い、同様にカラー画像の評価を行なった。
B:カラー画像にわずかににじみ、特に黒色とその他のカラーとの境界付近にのみ認められる。
C:カラー画像のベタ部にムラやにじみが認められるが、実用レベルと判断できる。
D:カラー画像のにじみが激しく、画質に耐えられない。
これに対し、湿潤樹脂層の揮発成分残存量が5〜50質量%の範囲外では、カラー画像ににじみが発生した。また、揮発残存量が5%未満の白色隠蔽層を形成した領域(文字の部分)と、白色隠蔽層を形成していない領域(文字の縁取り部)とで、どちらも、カラー画像のにじみの程度が同じであったことから、湿潤樹脂層の揮発成分残存量を適切なものとすることで、カラー画像のにじみの抑制が可能であった。
尚、湿潤樹脂層を形成せずに、基材上および白色隠蔽層上に直接カラー画像層を形成した場合には、いずれもにじみが観測され、湿潤樹脂層の揮発成分残存量が5質量%未満の場合の評価と同程度であった。
以下、印刷評価試験−2における画像記録方法の概略を図面に基づき説明する。
図4は印刷評価試験−2における画像記録方法の各工程を示す概略図である。
記録ヘッド23には、副走査方向yに沿って複数のノズルが配列したノズル列23aが形成されており、各インクは副走査方向yに沿って同色が並ぶように配列されている。
基材1は、印刷評価試験−1と同様の記録媒体を用い、予め揮発成分残存量が5質量%未満の白色隠蔽層31(記録解像度は1440×720dpi)を部分的に形成したものである。
まず、基材1を副走査方向yに搬送し、ヒーター22を有するプラテン部分で停止させる。そして記録ヘッド23が搭載されたキャリッジを図4の左右方向(主走査方向X)の1方に主走査(パス)させ、基材1上のカラー画像を形成すべき領域(白色隠蔽層31上および白色隠蔽層31が形成されていない領域)にクリアインクによる湿潤樹脂層32を形成する(第1記録(図4(a))。
次いで、基材1を継続して停止させたまま、キャリッジの走査によってプロセスカラーインクによりカラー画像層33を記録するパス(第2記録)を行う(図4(b))。尚、本試験においてはカラー画像として文字部と縁取り部を記録している。文字部は白色隠蔽層を下地とし、縁取り部は白色隠蔽層を形成せずにカラー画像を形成する。
次に基材1を副走査方向yへ搬送して次の第3記録(図4(c))に備える。
以後、上記の第1記録と第2記録を繰り返し行い(第3記録(図4(c))および第4記録(図4(d)))、プリンタから基材1を排出する。
また、クリアインクが記録されてから同じ画素にプロセスカラーインクが重ねて記録されるまでの時間は、パス間休止時間、パスに要する時間、媒体搬送に要する時間によって調節可能であるし、クリアインクを記録するパスから同じ画素にプロセスカラーインクが重ねて記録されるまでのパス数によっても調整可能である。また、温度を変えることで、所望の揮発残存量にするまでの時間が変ることも見出された。そこで、所定の温度に設定し、当該温度における所望の揮発残存量に達する時間になるように、クリアインクが記録されてから同じ画素にプロセスカラーインクが重ねて記録されるまでの時間を調節することで、好ましいカラー画像の記録が可能である。
Claims (8)
- 基材上にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録する工程と、
前記カラー画像層を記録する前に、前記基材上の前記カラー画像層を記録する所定領域に、樹脂を含有するクリアインク組成物により記録した後、該組成物の揮発成分残存量が5〜50質量%になるまで時間を置く工程を有することを特徴とする、画像記録方法。 - 前記クリアーインク組成物を記録する工程の前に、前記基材上の少なくとも前記所定領域に、白色インク組成物によって白色隠蔽層が記録されており、
前記クリアーインク組成物を記録する際の前記白色隠蔽層の揮発成分残存量が5質量%未満であることを特徴とする、請求項1記載の画像記録方法。 - 前記クリアーインク組成物を記録する工程が、前記白色隠蔽層上にクリアインク組成物を付着させる工程と、前記付着されたクリアインク組成物をその揮発成分残存量が5〜50質量%となるまで乾燥させる工程とを有することを特徴とする、請求項2記載の画像記録方法。
- 前記白色インク組成物が金属化合物または中空樹脂粒子を白色色材として含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の画像記録方法。
- 前記白色インク組成物、前記クリアインク組成物および前記プロセスカラーインク組成物の主溶媒が水であることを特徴とする、請求項2〜4の何れか一項に記載の画像記録方法。
- 前記基材がインク非吸収性または低吸収性であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像記録方法。
- 前記クリアーインク組成物からなる樹脂層の揮発成分残存量が10〜25質量%になるまで時間をおくことを特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の画像記録方法。
- 基材上にプロセスカラーインク組成物によりカラー画像層を記録する画像記録手段と、
前記カラー画像層を記録する前に、前記基材上の前記カラー画像層を記録する所定領域に、樹脂を含有するクリアインク組成物により記録した後、該組成物の揮発成分残存量が5〜50質量%になるまで時間を置く工程を有する手段と、を有することを特徴とする、画像記録装置。
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