JP2005097347A - インクジェット用水性インクセットおよびインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用水性インクセットおよびインクジェット記録方法 Download PDF

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圭 工藤
Kenichi Okubo
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高い画像濃度が得られ、且つ画像透明性を維持できため、更には2次色が出やすく広い色再現域を達成でき、ブロンジングの発生がないインクジェット用水性インクセットを得ることにある。
【解決手段】 油溶性染料と樹脂を含有する着色微粒子分散体を用いたインクジェット用水性インクセットにおいて、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上であることを特徴とするインクジェット用水性インクセット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット用水性インクセットおよびインクジェット記録方法に関し、特に、油溶性染料と樹脂を含有する着色微粒子分散体を用いたインクジェット用水性インクセットおよびインクジェット記録方法に関し、詳しくは発色がよく、透明で、2次色の再現がよいインクジェット用インクセットおよびインクジェット記録方法に関する。
インクジェットプリントにおいては、高い印字画像濃度が求められている。
印字画像濃度を高めるためには、インク打ち込み量を増やす、インク中の色材量を増やす、メディア上での発色性をあげる等、技術手段が幾つか考えられる。
しかし、単にインク打ち込み量を増やすことでは、メディア(記録媒体)のインク吸収が追いつかず、インク溢れが起きてしまう。
また、メディア上での発色性を向上させるためには、発色性のよい色材の選択する、また、インク中の色材量を増やす等の方法が考えられる。しかし、発色性のよい色材の選択は、実際にはインクジェットに適したその他諸性能と両立させねばならないため、染料の選択肢が非常に限られてしまい汎用性に乏しい。
また、単にインク中の色材量を増やしても、実際には最大濃度があるレベルで飽和してしまい、濃度向上の効果には限界があるのが現状である。
最大濃度が飽和してしまう原因としては、メディア上での色材の凝集が考えられる。色材が凝集することにより色材自身の透明性が低下して、その結果、メディア上に存在する色材のうち最上層付近に定着している色材のみが発色に寄与することとなり、その下にある色材は上層の色材によって遮蔽されてしまうので、発色に寄与できなくなる。従って、幾らメディア上に色材を乗せても上層付近の色材以外は発色に寄与できずに、濃度としては飽和してしまい頭打ちになってしまう。特に顔料については、色材の透明性がもともと固体の分散系であるために、不足していることから、染料に比べ早い段階で濃度が頭打ちになってしまう。更に、色材種によっては、凝集によりブロンジングが発生し、さらに画質を劣化させてしまう。
加えて、色材の透明性の低下により、グリーン、ブルーやレッドなどの混合によって作り出される2次色、3次色の色相について再現性も悪化させる。例えば、グリーンは、イエローとシアンとを主に用い再現されるが、イエロー色材の透明性が低下するとシアン色材の上に存在するイエロー色材によりシアン色材が遮蔽されることにより、(または色材の上下関係が逆の場合においても)色の重なりがわるくなりその結果、吸収波形がブロードとなり、色が濁ってしまい彩度の高いグリーンが再現できないこととなる。
特許文献1、また特許文献2をはじめとしてポリマー樹脂と染料からなる微粒子を用いるインクについて様々な出願は多くあるが、特に染料/顔料に対して高い画像濃度を得ることが出来、また画像透明性に優れたインクについての示唆はこれまで一切ない。
特開平9−286939号公報 特開平10−338829号公報
本発明の目的は、高い画像濃度が得られ、且つ画像透明性を維持できるインクジェット用水性インクセット、更には2次色が出やすく広い色再現域を達成でき、ブロンジングの発生が抑制されたインクジェット用水性インクセットおよびそれを用いたインクジェット記録方法を得ることにある。
本発明上記目的は以下の手段によって達成される。
(請求項1)
油溶性染料と樹脂を含有する着色微粒子分散体を用いたインクジェット用水性インクセットにおいて、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上であることを特徴とするインクジェット用水性インクセット。
(請求項2)
油溶性染料と樹脂からなる着色微粒子分散体を用いたインクジェット用水性インクセットにおいて、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上であり、任意の2色を重ね合わせたときの透明度が70%以上であることを特徴とするインクジェット用水性インクセット。
ここにおいて透明度とは、
任意の一色を単色で、光沢紙(Konica Photolike QP Paper)に、インク打ち込み量が20g/m2で印字した後、他の任意の一色を、単色で同様に、前記任意の一色に重ねて印字して、500nmの波長で測定した濃度値を取り出し(D3)、前記単色それぞれをインク打ち込み量が20g/m2で、単独で前記光沢紙に印字したときに、500nmの波長で測定したそれぞれの濃度値(D1、D2)との比(D3/(D1+D2))をとったものである。
(請求項3)
前記イエローインクの積算吸光度が30000以上、前記マゼンタインクの積算吸光度が28000以上、前記シアンインクの積算吸光度が40000以上、ブラックインクの積算吸光度が150000以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用水性インクセット。
(請求項4)
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いたことを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項5)
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いて、空隙型記録用紙に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
(請求項6)
請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いて普通紙に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
本発明のインクセットを用いることにより高い画像濃度と画像透明性を達成できた。
以下に、本発明実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
本発明において、積算吸光度は以下のように定義する。
各インクの分光吸収スペクトルから、400nmの吸光度をd400、405nmの吸光度をd405、410nmでd410と5nm毎に取り出し(分光吸光度)、700nmでのd700までを加算した値を積算吸光度と定義する。吸光度測定は、光路長を1cmとして測定した。吸光度測定は日立分光光度計U−4100を用いて行った。
即ち、
積算吸光度=d400+d405+d410+・・・・・・・+d700
であり、この測定を、各イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各インクに対しておこない、それぞれ上記に従って積算吸光度を算出する。
本発明によれば、積算吸光度として高い値を有し(即ち発色がよく濃度が高い)、しかも透明度が高いインクジェット用水性インクセットが得られる。
本発明に係わるインクセットは、水性のイエローインク、マゼンタインク、シアンインクおよびブラックインクからなり、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上という、高い値を有しており、同時に、任意の2色、特にイエロー、マゼンタ、シアンから選ばれるインクのうち任意の2つを重ね合わせたときの透明度が高いことから、従来のインクセットに比較して、メディア上での各インクの発色性を向上させたときに、最大濃度があるレベルで飽和してしまう、またブロンジングを起こしてしまうといった欠点を大きく緩和し、高濃度域での発色がよく、且つ、中間色(2次色、3次色)の再現性がよい、優れた色再現性を実現するインクジェット用水性インクセットである。
このような、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上であり透明度の高いインクジェット用水性インクセットは、好ましくは、油溶性染料と樹脂からなる着色微粒子分散体を用いて形成したインクジェット用水性インクセットによって実現されるものである。
油溶性染料と樹脂を含有する着色微粒子分散体を用いたインクは、例えば、油溶性染料および樹脂(ポリマー)を有機溶媒中に均一に混合し、互いに相溶させ、水相中に乳化分散後、更に有機溶媒を除去する方法等によって作製した着色微粒子分散体に後述する各種の添加剤を加えることで製造される。また、樹脂と油溶性染料はそれぞれ複数用いてもよく、必要であれば乳化剤、分散剤を用い、粒径等を調整する。
樹脂と、油溶性染料が均一に混合した着色微粒子分散体を形成するには、染料と樹脂の溶解パラメータ値(SP値)或いはlogP値等が比較的近く、親和性が高いことが好ましい。
油溶性染料と樹脂との親和性が低いと、有機溶剤に染料及び樹脂を溶解した段階では均一であっても、微粒子形成した後に染料が樹脂から分離し析出し易く、樹脂との混合が不均一となる。
このようにして作製された乳化粒径が5nm〜150nmの範囲にある着色微粒子分散体によって形成されるインクは、前記高い積算吸光度をそれぞれもち、特に任意の2色を重ねたときに透明度が高く、従来の顔料分散インク、或いは染料水溶液を用いた染料インクにおいて、通常濃度を高めると発生しがちな、例えば凝集によるブロンジング現象等がない、透明性の高いインクである。
油溶性染料と樹脂を含有する着色微粒子分散体を用いたインクにおいて、好ましくは、前記積算吸光度を有すると共に、下記により定義される透明度が70%以上であり、80%以上であることがさらに好ましい。
本発明において、透明度とは、任意の一色を単色で、インク打ち込み量20g/m2としてインクジェット用光沢紙(Konica Photolike QP Paper)に印字した後、他の任意の一色を、単色で、同様にインク打ち込み量20g/m2として、前記任意の一色に重ねて印字して、500nmの波長で測定した濃度値を取り出し(D3)、前記単色それぞれを、同様にインク打ち込み量20g/m2として単独で印字したときに、500nmの波長で測定したそれぞれの濃度値(D1、D2)との比(D3/(D1+D2))をとったものであり、濃度低下の少ないものほど透明性の高いインクということになる。濃度測定にはX−Rite分光側色濃度計939を用いる。
これら高い積算吸光度と透明度という特性を同時に満たすことは従来のインクによって達成されない。
本発明における高い積算吸光度をもつこのような油溶性染料と樹脂からなる着色微粒子分散体を用いるインクは、ポリマーに染料を溶解させていることから染料色素分子同士が直接会合しないため、メディア上での凝集が起きにくく、画像透明性を維持でき、高い画像濃度を得ることが出来、更には2次色が出やすく広い色再現域を達成できると考えられる。
また、上記、着色微粒子分散体は、後述するように、着色微粒子分散体中の着色微粒子をコアとして、これを更にポリマーからなるシェルで被覆してコア/シェル構造としたものが更に好ましい。コア/シェル構造とすることで、分散安定性を高めると同時に、染料を樹脂によって、より被覆して、高濃度で透明性に優れた着色微粒子とすることができるため、インクとして安定性がよいと同時に、更に印字が高濃度で、ブロンジング発生が抑制された色調に優れたインクとなる。
このように、油溶性染料および樹脂によって形成される着色微粒子は、染料が樹脂によって被覆された状態を有するため、高い吸光度(濃度)と、透明性を両立できる。
油溶性染料および樹脂を含有する着色微粒子分散体により形成したインクジェット用水性インクを用いたインクジェット用水性インクセットは、更に、イエローインクの積算吸光度が30000以上、マゼンタインクの積算吸光度が28000以上、シアンインクの積算吸光度が40000以上、ブラックインクの積算吸光度が150000以上であることが好ましい。このようなより高い積算吸光度を有するインクセットであっても、任意の2色を重ね合わせたときの前記透明度で、70%以上という値を有する、高濃度域での発色、2次色の再現に優れたインクジェット用水性インクセットを構成できる。
各色インクの積算吸光度は大きければいいが、実際に樹脂と染料との均一な混合或いは溶解が透明性のよいインクには必要であることから、実用上は、積算吸光度がイエローインクにおいては50,000以下、マゼンタインクにおいては50,000以下、シアンインクにおいては60,000以下、また、ブラックインクにおいては230,000以下の値であることが好ましい。
また、前記透明度については、100%迄の値が可能であり、70%以上、100%以下の値であるが、より好ましくは80%以上、95%以下の値である。
本発明において油溶性染料と共に着色微粒子を形成する樹脂(ポリマー)としては、その数平均分子量が500〜100,000、特に1,000〜30,000であることが、印字(プリント)後の透明性や、プリント後の製膜性、その耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。
ポリマーのTgとしては、各種用いることが可能であるが、用いるポリマーのうち、少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
本発明においては、一般に知られている樹脂(ポリマー)を使用可能であるが、好ましい樹脂(ポリマー)としては、主な官能基としてアセタール基を含有するポリマー、炭酸エステル基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマーおよびエステル基を有するポリマーなどであり、特にアセタール基を含有するポリマー、中でもポリビニルブチラールが好ましい。
上記のポリマーは、置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造をとっていてもよい。また、上記の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば1つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
また、重合性エチレン性不飽和二重結合を有するビニルモノマーのラジカル重合によって得られたポリマーも好ましく用いられる。エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸等、アクリルアミド類等のラジカル重合によって得られるポリマー、例えば、スチレン/アクリル酸エチル、或いはアクリル酸ブチル等の共重合体ポリマー、また、スチレン/メタアクリル酸エチルヘキシル等の共重合体ポリマー、更にはスチレン/メタクリル酸エチルヘキシル/ヒドロキシエチルアクリレート等の共重合体ポリマー等が例としてあげられる。
本発明において特に好ましいポリマーとしてはアセタール基を含有するポリマー(ポリビニルアセタール)であり、このうち特にポリビニルブチラールが染料および顔料等の色材に対する溶解性や親和性等の相互作用の点で好ましく、本発明において複数の樹脂が用いられる場合、そのうち1つはポリビニルブチラールであることが好ましく、これらに加えて前記のポリマーのうち1つ以上をポリビニルブチラールと異なった樹脂成分として混合して用いることが好ましい。
本発明に用いる着色微粒子の分散体は、上記のような樹脂(複数用いてもよいが)と油溶性染料とを有機溶剤(例えば酢酸エチル等)中に溶解、水中で乳化分散後、有機溶剤を除去する方法により形成することによって得られる。必要であれば乳化剤、分散剤を用いることが出来るが、乳化剤、分散剤としては特に制限されるものではないが、好ましくは陰イオン性界面活性剤又は高分子界面活性剤であり、陰イオン性界面活性剤が特によい。例えば、そのHLB値が8〜18であることが、サスペンションの粒子径の増大抑制効果があることから好ましい。界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。
或いは、また、乳化重合により予め樹脂微粒子の分散体を形成し、それに染料を溶解した有機溶媒溶液を混合し、あとから樹脂微粒子中に染料を含浸する等の方法等も用いることが出来、特に着色微粒子分散体を得る方法に限定はないが、染料が、樹脂(ポリマー)によって被覆された、着色微粒子の水性分散体が得られる方法であることが好ましい。
この様な、色材及び樹脂を含有する、樹脂(ポリマー)によって被覆された着色微粒子の水性分散体は、凝集が少なく、分散安定性がよく、該着色微粒子を含有するインクジェットインクを形成するために有利に用いることができるが、更に該着色微粒子の水性分散体の凝集を防止し、微粒子のサスペンションとしての安定性を向上させ、メディアに印画したときの画像の色調や光沢、更に耐光性等、画像に堅牢性を付与するために、前記のように、該着色微粒子をコアとして、更に有機ポリマーからなるポリマーシェルを形成することは好ましい。
本発明に係わる着色微粒子の水性分散体における水性乃至水性媒体とは、水を主要な媒体とし、水が少なくとも50%以上、好ましくは70%以上含有する媒体をさし、例えばアルコール類、多価アルコール類等、他の有機溶剤が含有されていてもよいが、水が最も好ましい。
前記のような油溶性染料を樹脂中に含有させた着色微粒子の分散体に、従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調整剤又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を必要に応じて添加し本発明の水性インクは形成される。
本発明において、着色微粒子の水性分散体中に含有される油溶性染料と樹脂の相溶性を向上させ、本発明のインクのように積算吸光度を高めるには、前記のように、使用される色材と樹脂との溶解性パラメータ(SP)値が、近い値にあるように選択することが、好ましい。
溶解性パラメータは有機溶剤に対する非電解質の溶け易さを評価する際によく用いられるHildebrandの溶解性パラメータにより得られる値である。この溶解性パラメータについてはJ.H.Hildebrand,J.M.Prausnitz.R.L.Scott著“Regular and Related Solutions”,Van Nostrand−Reinhold,Princeton(1970年)、「高分子データハンドブック基礎編」高分子学会を参照。
また、本発明においては、前記のように、油溶性染料及び樹脂を含有する着色微粒子の分散体について、該着色微粒子をコアとして、コア/シェル構造を有する着色微粒子を形成して、コア/シェル型着色微粒子の水性分散体とすることが好ましい。前記樹脂および油溶性染料から形成した着色微粒子分散体について、更に、これをコアとして、シェルを形成するためのシェルポリマー乃至シェルポリマー形成のためのモノマー等について説明する。
シェルを形成する方法としては、有機溶剤に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時に該着色微粒子コア表面に吸着させる方法などもあるが、本発明においては、前記油溶性染料と樹脂を含有したコアとなる着色微粒子を形成した後、重合性不飽和二重結合を有するモノマーを添加し活性剤の存在下、乳化重合を行い、重合と同時にコア表面に沈着させポリマーシェルを形成する方法が好ましい。この方法で形成した場合においても、例えば色材として染料を用いた場合等には、コア/シェル界面での幾分かの相の混合がありシェルにおける色材含有率は必ずしも零とはならないが、混合は少ない方が好ましく、シェルにおける色材含有率(濃度)は、コア/シェル化を行っていないコアにおける色材含有率(濃度)の0.8以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5以下である。
着色微粒子を被覆してポリマーシェルを形成する重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸等、アクリルアミド類等から選ばれる化合物、特スチレンや(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が好ましいが、これらのモノマーに加えて、分子内にヒドロキシル基を含有する重合性不飽和モノマー、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の様なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステルをシェルを形成する原料モノマー全体の最大50%、その他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと混合して用いるのが好ましい。また、シェルの安定性を増す等の理由から、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を含有するモノマー或いはスルホン酸を含有するモノマー等、pKa値で3〜7の解離性基を含有するエチレン性不飽和モノマーを10%以下、前記ヒドロキシル基を含有するモノマーよりも少ない量で用いてもよい。これらのヒドロキシル基を含有するモノマー成分をシェル形成に用いることは好ましい。
(コア/シェル化の評価)
実際にコア/シェル化されているかは、個々の粒子径が200nm以下と非常に微小であるため、分析手法は分解能の観点から限られるが、TEMやTOF−SIMSなどが適用できる。TEMによりカーボン支持膜上に分散液を塗布、乾燥させ観察する。TEMの観察像は、コントラスト差が小さい場合があるため、微粒子を、4酸化オスミウム、4酸化ルテニウム、クロロスルホン酸/酢酸ウラニル、硫化銀等を用いて染色することが好ましい。コアだけの微粒子を染色しそのTEM観察を行い、シェルを設けたものと比較する。さらに、シェルを設けた微粒子と設けていない微粒子を混合後、染色し、染色度合いの異なる微粒子の割合がシェルの有無に一致しているかの確認を行う。
TOF−SIMSような質量分析装置では、粒子表面にシェルを設けることで表面近傍の色材量がコアだけの時よりも減少していることを確認する。色材にコア/シェルのポリマーに含有されていない元素がある場合、その元素をプローブとして色材含有量の少ないシェルが設けられたかを確認することができる。
そのような元素がない場合、適当な染色剤を用いてシェル中の色材含有量をシェルを設けていないものと比較する。例えば、コア/シェル粒子をエポキシ樹脂内に埋胞し、ミクロトームで超薄い切片を作製、染色を行うことでより明瞭に観察できる。
本発明における、ポリマーエマルジョン型の水性インクに用いられる色材含有コア/シェル着色微粒子は、体積平均粒子径が5nm以下になると単位体積あたりの表面積が非常に大きくなるため、色材をコア/シェルポリマー中に封入する効果が小さくなる。一方、200nmを越えるほど大きな粒子では、ヘッドに詰まりやすく、またインク中での沈降が起き易く、停滞安定性が劣化する。従って着色微粒子の平均粒子径は5〜200nmであることが好ましく、10〜150nmがより好ましく、平均粒子径が150nmを越えると、水性インクとした場合、光沢メディアに記録した画像では光沢感、又透明性の劣化が起こり、トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著しい透明感の劣化が起こる。また、着色微粒子の平均粒径が10nm未満になると着色微粒子の安定性が悪くなり易く、インクの保存安定性が劣化し易くなる。10〜100nmが最も好ましい。
体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒径を、球形換算して求められる。体積平均粒子径とその標準偏差を求め、標準偏差を体積平均粒子径で割ることで変動係数を求められる。或いは、動的光散乱法を利用して変動係数を求めることも出来る。例えば、大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製ゼータサイザーを用いて求める事が出来る。
粒子径の変動係数は、粒子径の標準偏差を粒子径で割った値であるが、この値が大きいほど粒子径の分布が広い事を意味する。体積平均粒子径の変動係数が80%以上であると、粒径分布が非常に広くなり、コア/シェルの厚みが不均一となり易く、粒子間の表面物性にばらつきが生じ易くなる。表面物性のばらつきは粒子の凝集を招きやすく、インクジェットヘッドの詰まりを起こし易い。また、粒子の凝集はメディア上で、色材の光散乱を招き易く、画質の低下も招き易くする。変動係数は50%以下が好ましく、30%以下がさらに好ましい。
シェルに用いられるポリマー量がコアを形成する樹脂(ポリマー)とシェルに用いられるポリマーを両方合わせたポリマー総量の5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。5質量%より少ないとシェルの厚みが不十分で、色材を多く含有するコアの一部が粒子表面に現れ易くなる。また、シェルのポリマーが多すぎると、コアの色材保護能低下を起こし易い。さらに好ましくは10質量%以上90質量%以下である。
色材である油溶性染料の総量は総ポリマー量に対して20質量%以上1,000質量%以下であることが好ましい。色材量が総ポリマー量に比して少なすぎると、充分な積算吸光度が得られないため、インク吐出後の画像濃度が上がらず、また、色材質量が多すぎるとポリマーの保護能が十分に得られず、また、着色微粒子中での染料の析出等のため充分な透明性が得られない。
本発明に用いられる油溶性染料の色相としては、好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックである。油溶性染料は通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料であるが、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られている。油溶性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、オリエント化学工業株式会社製Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製Kayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta312、Kayaset Blue K−FL、有本化学工業株式会社製FS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504 、C.I.Solvent Yellow 88、83、82、79、56、29、19、16、14、04、03、02、01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、218、132、73、72、51、43、27、24、18、01、C.I.Solvent Blue 70、67、44、40、35、11、02、01、C.I.Solvent Black 43、70、34、29、27、22、7、3、C.I.Solvent Violet 3、C.I.Solvent Green 3及び7等が挙げられる。また、特開平9−277693号、同10−20559号、同10−30061に示されるような、金属錯体色素も好ましく用いられ、好ましい構造としては下記一般式(1)で表されるものである。
一般式(1)
M(Dye)l(A)m
式中、Mは金属イオンを表し、Dyeは金属と配位結合可能な色素を表す。Aは色素以外の配位子を表し、lは1ないし3、mは0、1,2,3を表す。mが0のときlは2または3を表し、その場合Dyeは同種でも異なっていてもよい。
Mで表される金属イオンとしては、周期律表の第I〜VIII族に属する金属、例えばAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Pt、Pd、Zr及びZnのイオンが挙げられる。色調、各種耐久性からNi、Cu、Cr、Co、Zn、Feのイオンが特に好ましい。特に好ましくはNiイオンである。
Dyeで表される金属と配位結合可能な色素としては種々の色素構造が考えられるが、共役メチン色素、アゾメチン色素、アゾ色素骨格に配位基を有するものが好ましい。
油溶性染料として分散染料を用いることができ、分散染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
その他、油溶性染料として、フェノール、ナフトール類、又、ピラゾロン、ピラゾロトリアゾール等の環状メチレン化合物、或いは、開鎖メチレン化合物等のいわゆるカプラーに、p−フェニレンジアミン類或いはp−ジアミノピリジン類等、アミノ化合物を酸化カップリングさせ得られるアゾメチン色素、インドアニリン色素等も好ましい。特にマゼンタ染料として、ピラゾロトリアゾール環を有するアゾメチン色素は好ましい。
ブラックについては、油溶性染料を用いた混合系ブラック染料各種、例えば、Ciba IGRASPERSE JETシリーズ、Black GR(染料粉体)等がある。
本発明に係わる着色微粒子の水性分散体、また、更に好ましい形態としてコア/シェル構造を有する着色微粒子の水性分散体は、樹脂・ポリマー合わせた量として本発明の水性インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上記樹脂・ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、サスペンションの水性インクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集が起こることによってプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
一方、上記油溶性染料は、染料によって異なるが、該インク中に1〜30質量%配合されることが好ましく、1.5〜25質量%配合されることが更に好ましく、前記積算吸光度を有するように配合される。積算吸光度が本発明の範囲に満たないと印字濃度が不十分であり、染料の配合量が多すぎて、前記範囲を超えるとサスペンションの経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
本発明の水性インクは水性媒体、特に水を媒体とし、上記油溶性染料を溶解して封入した着色微粒子の分散体を含有し、該サスペンションに、従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調整剤又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を必要に応じて添加し、水性インクを形成する。
ここで、上記湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイドの一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記水性インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
又、インクの粘度を安定に保つため、発色をよくするために、インク中に無機塩を添加してもかまわない。無機塩としてはたとえば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
また、乳化剤、分散剤としては特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、効果の発現の点からみて或いはサスペンションの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。
乳化剤或いは分散剤として、好ましくは陰イオン性界面活性剤又は高分子界面活性剤であり、陰イオン性界面活性剤が特によい。
又、インクの表面張力調整用の活性剤としては好ましくはノニオン性界面活性剤である。
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえばエマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(たとえばニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、 ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。その他に、界面活性剤としては、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB、MS、N、SSL、ST、P(商品名)もあげられる。
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることが出来、インク全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することが出来る。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。
又、高分子界面活性剤として、以下の水溶性樹脂を用いることができ、吐出安定性の観点から好ましい。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。高分子界面活性剤の例として、その他に、アクリル−スチレン系樹脂であるジョンクリル等(ジョンソン社)が挙げられる。これらの高分子界面活性剤は、2種以上併用することも可能である。
上記の各高分子界面活性剤の分散インク全量に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%である。配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンションの安定性が低下し、ゲル化するおそれがある。
防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(たとえばPreventol CMK、クロロメチルフェノール等)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばPROXEL GXL)などが挙げられるが、本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
インク中を安定に保つために、インク中にpH調整剤を添加してもかまわない。pH調整剤としては、塩酸や酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を水など薄めたりそのまま使用したりできる。
また、上記消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明の水性インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
次に、本発明のインクの製造において用いられる乳化方法について説明する。本発明に係わるインクは、例えば油溶性染料及び樹脂を有機溶剤(例えば酢酸エチル等低沸点(常圧において、100℃以下)有機溶剤)に溶解した溶液を水性媒体に分散し、乳化することで、着色微粒子分散体とし、これにインクとして必要な各種添加剤を添加して形成されるものであるが、これらの水性分散体を製造する際、また、これ以外の各種乳化法により着色微粒子分散体を製造する際に用いることのできる乳化法の例としては、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、染料及び樹脂を含有する着色微粒子コアの形成には超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。又、顔料用にはメディア分散機が好ましい。
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、たとえば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としてもとめられる。超音波の照射時間は実際上は10000秒以下である。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。さらに好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の255〜256ページに記載されているような、ディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターを有する装置の場合、攪拌翼とステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5m/S以上150m/S以内であれば本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/Sにするにはモーターの性能を極端に上げる必要があるからである。さらに好ましくは、20〜100m/Sである。
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は104kPa〜5×105kPaの範囲が好ましい。また、必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧力を5×105kPaにするためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。さらに好ましくは5×104kPa〜2×105kPaの範囲である。
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、短時間で乳化・分散を可能にするため必要に応じて組み合わせて使用することが可能である。
又乳化の後、濃縮等を適宜行って、着色微粒子の濃度を高めることで高濃度の分散体を形成してもよい。
本発明のインクジェット記録用水性インクセットを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
本発明のインクジェット用水性インクを用いた画像形成方法においては、例えば、インクジェット用水性インクを装填したプリンター等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッドよりインクを液滴として吐出させインク受容体に付着させることで、例えばインクジェット画像記録媒体上にインクジェット記録画像が形成されたインクジェットプリントが得られる。
インクジェット画像記録媒体としては、例えば、普通紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、光沢フィルム、OHPフィルムのいずれも使用することができ、高画質な画像を得るためには支持体の上に記録液受容層が塗布された記録媒体を用いてもよい。なかでも例えば多孔質層が形成されている所謂空隙層を有する被記録媒体であれば好ましい。
本発明に用いられる普通紙としては、安価であることによりコピー紙等事務用紙に代表される普通紙が好ましい。
普通紙とは、非塗工用紙、特殊印刷用紙及び情報用紙の一部に属す、80〜200μmの非コート紙が望ましい。本発明の普通紙としては、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄様印刷紙、微塗工印刷用紙、色上質紙等特殊印刷用紙、フォーム用紙、PPC用紙、その他情報用紙等があり、具体的には下記する用紙及びこれらを用いた各種の変性/加工用紙があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。上質紙および色上質紙、再生紙、複写用紙・色もの、OCR用紙、ノーカーボン紙・色もの、ユポ60、80、110ミクロン、ユポコート70、90ミクロン等の合成紙、その他片面アート紙68kg、コート紙90kg、フォームマット紙70、90、110kg、発泡PET38ミクロン、みつおりくん(以上、小林記録紙)、OK上質紙、ニューOK上質紙、サンフラワー、フェニックス、OKロイヤルホワイト、輸出上質紙(NPP、NCP、NWP、ロイヤルホワイト)OK書籍用紙、OKクリーム書籍用紙、クリーム上質紙、OK地図用紙、OKいしかり、きゅうれい、OKフォーム、OKH、NIP−N(以上、新王子製紙)、金王、東光、輸出上質紙、特需上質紙、書籍用紙、書籍用紙L、淡クリーム書籍用紙、小理教科書用紙、連続伝票用紙、上質NIP用紙、銀環、金陽、金陽(W)、ブリッジ、キャピタル、銀環書籍、ハープ、ハープクリーム、SKカラー、証券用紙、オペラクリーム、オペラ、KYPカルテ、シルビアHN、エクセレントフォーム、NPIフォームDX(以上、日本製紙)、パール、金菱、ウスクリーム上質紙、特製書籍用紙、スーパー書籍用紙、書籍用紙、ダイヤフォーム、インクジェットフォーム(以上、三菱製紙)、金毯V、金毯SW、白象、高級出版用紙、クリーム金毯、クリーム白象、証券・金券用紙、書籍用紙、地図用紙、複写用紙、HNF(以上、北越製紙)しおらい、電話帳表紙、書籍用紙、クリームしおらい、クリームしおらい中ラフ、クリームしおらい大ラフ、DSK(以上、大昭和製紙)、せんだいMP上質紙、錦江、雷鳥上質、掛紙、色紙原紙、辞典用紙、クリーム書籍、白色書籍、クリーム上質紙、地図用紙、連続伝票用紙(以上、中越パルプ)、OP金桜(チューエツ)、金砂、参考書用紙、交換証用紙(白)、フォーム印刷用紙、KRF、白フォーム、カラーフォーム、(K)NIP、ファインPPC、紀州インクジェット用紙(以上紀州製紙製)、たいおう、ブライトフォーム、カント、カントホワイト、ダンテ、CM用紙、ダンテコミック、ハイネ、文庫本用紙、ハイネS、ニューAD用紙、ユトリロエクセル、エクセルスーパーA、カントエクセル、エクセルスーパーB、ダンテエクセル、ハイネエクセル、エクセルスーパーC、エクセルスーパーD、ADエクセル、エクセルスーパーE、ニューブライトフォーム、ニューブライトNIP(以上大王製紙製)、日輪、月輪、雲嶺、銀河、白雲、ワイス、月輪エース、白雲エース、雲岑エース(以上日本紙業製)、たいおう、ブライトフォーム、ブライトニップ(以上名古屋パルプ)、牡丹A、金鳩、特牡丹、白牡丹A、白牡丹C、銀鳩、スーパー白牡丹A、淡クリーム白牡丹、特中質紙、白鳩、スーパー中質紙、青鳩、赤鳩、金鳩Mスノービジョン、スノービジョン、金鳩スノービジョン、白鳩M、スーパーDX、はまなすO、赤鳩M、HKスーパー印刷紙(以上本州製紙製)、スターリンデン(A・AW)、スターエルム、スターメイプル、スターローレル、スターポプラ、MOP、スターチェリーI、チェリーIスーパー、チェリーIIスーパー、スターチェリーIII、スターチェリーIV、チェリーIIIスーパー、チェリーIVスーパー(以上丸住製紙製)、SHF(以上東洋パルプ製)、TRP(以上東海パルプ製)。被記録媒体としては、例えば、上質紙および色上質紙、インクジェット普通紙および専用紙、再生紙および伝票用紙等があげられる。通常普通紙として広範に使用される膜厚80〜200μmの用紙が本発明の目的に特に好ましい。
本発明に係わるインクインクジェット用水性インクセットは、各インクの積算吸光度が高く、且つ、透明度が高いので、発色がよく、ブロンジング等が発生せず、重ね合わせたときの色再現性(2次色の再現性)に優れている。
また、本発明に係わるインクインクジェット用水性インクセットに用いられる各インクは油溶性染料が樹脂により被覆されているため、普通紙に対しても発色がよいという特性を有する。上述した支持体の素材或いは形状に特に限定されるものではなく、例えばシート状に形成されたもの以外に立体的な構造を有するものであってもよい。
イエロー
《ポリマーの合成方法》
3リットルの4つ口フラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、攪拌装置および環流冷却器を付し、酢酸エチル1000gを加熱環流した。表1記載の割合でモノマー総量が1000gとなるように秤量し、さらにN,N′−アゾビスイソバレロニトリル20gを前記モノマーに加えた混合液を2時間かかけて滴下し、同温度にて時間反応させた後、固形分50質量%の表1記載のポリマーP−1〜2を得た。
Figure 2005097347
《着色微粒子の製造》
(コア微粒子の製造工程);コア着色微粒子分散体Y1の製造
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)社製)のポットに、イエロー染料としてY1を15g、固形分換算7.5gの前記ポリマーP−1、7.5gのポリビニルブチラールBL−S(積水化学製)および140gの酢酸エチルを入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。純水245gにアクアロンKH−05(第一工業製薬社製)9gを加え、これを染料溶液に添加後、回転数20000rpmで5分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、コア着色微粒子分散体Y1を得た。コア着色微粒子分散体M1、C1、K1についても表2の記載の処方に従い、同様の手法により作製した。
(コアシェル型着色微粒子の製造工程);コアシェル型着色微粒子分散体Y1の製造
コア着色微粒子分散体Y1260gを3頭のセパラブルフラスコに移し、フラスコ内をN2置換後、ヒーターを付して、80℃に加温した。6.7gのメタクリル酸メチルおよび0.5gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリルの混合液を1時間で滴下し、さらに6時間反応させてコアシェル型着色微粒子分散体Y1を得た。
表2の記載の処方に従い作製したコア着色微粒子分散体M1、C1、K1についても、同様に、メタクリル酸メチルおよびN,N′−アゾビスイソバレロニトリルの混合液を1時間で滴下し、さらに6時間反応させてコアシェル型着色微粒子分散体M1、C1及びK1を作製した。尚コアシェル型着色微粒子分散体C1およびK1についてはシェル形成後下記のように濃縮を行った。
(コアシェル型着色微粒子の濃縮工程);C1の製造例
コアシェル型着色微粒子分散体C1を250g、限外濾過装置RUM−2/C10−T(日東電工社製/限外濾過膜;NTU−3150)により、2.5倍の濃度に濃縮した。コアシェル型着色微粒子分散体K1についても表2に記載の濃縮率に従い、同様の手法により濃縮した。
Figure 2005097347
Figure 2005097347
FSB1504;FS Blue 1504(有本化学社製)
Oil Black 860;Oil Black 860(オリエント化学社製)
《インク作製》
前記コアシェル型着色微粒子分散体Y1、M1、C1及びK1を用いて、また、比較として以下に示した顔料分散体Y1、M1、C1及びK1、更に各色染料溶液、分散液を用いて、以下表3の処方に従って、エチレングリコール等、他のインク各成分を添加して各色インクを作製し、更に各Y、M、C、Kのインクを組み合わせインクセット1〜4を調製した。ここにおいてインク各成分の単位は質量%を表す。
Figure 2005097347
(染料インク)
インクセット3は染料水溶液を用いたインクであり、各染料については、
Ciba IRGASPERSE JET シリーズ
染料水溶液 Yellow RL
染料水溶液 Cyan
染料粉体 Magenta G
染料粉体 Black GR
を用いた。
(顔料インク)
又、インクセット4は顔料インクから構成されるインクセットで、顔料分散体Y1〜K1は、以下の処方により製造したものである。
(顔料分散体Y1)
C.I.ピグメントイエロー128 100g
デモールC(花王(株)製) 65g
グリセリン 100g
イオン交換水 120g
を混合し,1mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、イエロー顔料分散液Y1を得た。
(顔料分散体M1)
C.I.ピグメントレッド122 100g
デモールC(花王(株)製) 60g
グリセリン 100g
イオン交換水 130g
を混合し,1mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼンタ顔料分散液M1を得た。
(顔料分散体C1)
C.I.ピグメントブルー15:3 100g
デモールC(花王(株)製) 63g
グリセリン 100g
イオン交換水 125g
を混合し,1mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料分散液C1を得た。
(顔料分散体K1)
カーボンブラック顔料分散液(CAB−O−300、キャボット・スペシャリティケミカルズ・インク製)を用いた。
《評価方法》
各インクセット1〜4を用いて、以下の様にしてプリントを作製し、評価した。
プリントは、ノズル孔径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数各色64ノズル、同色間のノズル密度180dpi(dpi:2.54cmあたりのドット数をあらわす)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、最大記録密度400×400dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタを使用して、各インクセット1〜4をそれぞれヘッドに充填し、イエロー画像、マゼンタ画像、シアン画像、ブラック画像のウエッジパターンを光沢紙(Konica Photolike QP Paper)および普通紙(コニカコピーペーパーNR−A100)上にプリントした。各最大濃度におけるインク打ち込み量はそれぞれ20g/m2であった。また、透明性の測定のためにイエローインクでウエッジの最大濃度のベタ画像を光沢紙(Konica Photolike QP Paper)にプリントした後、その上にシアンインクで同様にベタ画像をプリントした。
〈最大濃度〉
プリントしたウエッジ画像を、X−Rite分光側色濃度計939により、測色を行った。
〈透明性(ConY)〉
イエローインクでウエッジの最大濃度(インク打ち込み量が20g/m2でのλmaxでの反射濃度)のベタ画像をプリント、その上にシアンインクで同様に最大濃度(同じくインク打ち込み量が20g/m2での反射濃度)のベタ画像をプリント、測色計にて次の3点、Yベタ、Cベタ、Y上のCベタの分光反射濃度を測定し、500nmでの値を取り出し次式で計算する。透明性が悪くなる程に濃度の加算性がなくなり数字は低くなる。全く遮蔽されない場合は100%となる。
ConY(%)=Y上のCベタ部分の値/(Y単独部分の値+C単独部分の値)×100
《評価結果》
表4に前記光沢紙を用いたときの最大濃度および透明性(ConY)、またプロンジング発生の有無および普通紙に印字したときの最大濃度を示した。
Figure 2005097347
本発明のインクセットは、同じ積算吸光度を有する比較のインクよりも最大濃度が高く、透明度もよく、またブロンジングの発生がない。また普通紙においても最大濃度が高い。

Claims (6)

  1. 油溶性染料と樹脂を含有する着色微粒子分散体を用いたインクジェット用水性インクセットにおいて、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上であることを特徴とするインクジェット用水性インクセット。
  2. 油溶性染料と樹脂からなる着色微粒子分散体を用いたインクジェット用水性インクセットにおいて、イエローインクの積算吸光度が20000以上、マゼンタインクの積算吸光度が20000以上、シアンインクの積算吸光度が30000以上、ブラックインクの積算吸光度が100000以上であり、任意の2色を重ね合わせたときの透明度が70%以上であることを特徴とするインクジェット用水性インクセット。
    ここにおいて透明度とは、
    任意の一色を単色で、光沢紙(Konica Photolike QP Paper)に、インク打ち込み量が20g/m2で印字した後、他の任意の一色を、単色で同様に、前記任意の一色に重ねて印字して、500nmの波長で測定した濃度値を取り出し(D3)、前記単色それぞれをインク打ち込み量が20g/m2で、単独で前記光沢紙に印字したときに、500nmの波長で測定したそれぞれの濃度値(D1、D2)との比(D3/(D1+D2))をとったものである。
  3. 前記イエローインクの積算吸光度が30000以上、前記マゼンタインクの積算吸光度が28000以上、前記シアンインクの積算吸光度が40000以上、ブラックインクの積算吸光度が150000以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用水性インクセット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いたことを特徴とするインクジェット記録方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いて、空隙型記録用紙に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いて普通紙に印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
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