JP4277479B2 - 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法 - Google Patents

着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4277479B2
JP4277479B2 JP2002119150A JP2002119150A JP4277479B2 JP 4277479 B2 JP4277479 B2 JP 4277479B2 JP 2002119150 A JP2002119150 A JP 2002119150A JP 2002119150 A JP2002119150 A JP 2002119150A JP 4277479 B2 JP4277479 B2 JP 4277479B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
colored fine
particle size
fine particle
particle dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002119150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003313475A (ja
Inventor
英隆 二宮
敦 朝武
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2002119150A priority Critical patent/JP4277479B2/ja
Priority to EP03008728A priority patent/EP1357157B1/en
Priority to DE60308437T priority patent/DE60308437T2/de
Priority to US10/418,779 priority patent/US20030199613A1/en
Publication of JP2003313475A publication Critical patent/JP2003313475A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4277479B2 publication Critical patent/JP4277479B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水性インクに関し、特に光沢性、色再現性にすぐれた着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インク及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンタ、印刷機、マーカー、筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料にも脱溶剤化、水性化が求められてきている。特にインクジェット記録に用いられる水性の記録材料としては水溶性染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体としたもの等が広く用いられている。
【0003】
水溶性染料を用いた水性インクとしては主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力の調整のための界面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが用いられている。これら水溶性染料を用いた水性インクは、筆先、あるいはプリンターでの目詰まりに対する高い信頼性から、最も一般的に用いられているが、記録紙上でにじみやすく、使用用途の限定、記録品位の低下を余儀なくされている。即ち、記録紙に単に浸透し、乾燥固着しているだけの水溶性染料は「染着」しているとはいい難く、耐光堅牢度は非常に低い。
【0004】
又、水溶性染料を用いた水性インクの耐水性、耐光堅牢性が低いという問題を解決するために油溶性染料ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色する提案が、例えば特開昭55−139471号、特開昭58−45272号、特開平3−250069号、特開平8−253720号、特開平8−92513号、特開平8−183920号、特開2001−11347号等になされている。
【0005】
又、油溶性染料ないし疎水性染料により水分散性樹脂を着色するのみでなく、色材及びこれを被覆した樹脂からなる着色微粒子、又、着色材と樹脂からなる色材粒子を更に皮膜形成性樹脂で被覆した着色微粒子を用いる試みもなされている。
【0006】
一方、顔料の微分散体を主体とした顔料インクにおいても、濃度がのらない、又、ブロンジング等の色再現性の問題が起こりやすくなる等の問題を軽減するため、又、更に耐光性向上、分散安定性、吐出安定性等を向上させる目的で、例えば、特開平8−269374号、特開平9−151342号、特開平10−88045号、特開平10−292143等に開示されたように、皮膜形成性樹脂により顔料の表面を被覆する試みがなされている。
【0007】
しかしながら、これらの油溶性染料や疎水性染料による水分散性樹脂を着色した粒子や顔料等の色材の微小粒子を樹脂と混合した粒子或いはこれらの粒子を更に樹脂により被覆した着色微粒子を作製する場合、染料や顔料等の色材及び樹脂の有機溶剤に対する溶解性または親和性等が不十分なために高濃度の色材を含有する微粒子分散体を安定に製造できない場合が多く、溶解或いは分散しても染料が析出し易かったり、又、顔料と樹脂とが混和しにくかったり、又、染料或いは顔料等の色材が粒子表面に存在する(樹脂で完全に被覆されない)等のために、着色微粒子そのものの分散安定性が損なわれ、インクジェット用インクに必要な分散安定性、吐出安定性等の諸性能を高めることが難しかったり、耐光性の向上等の効果が減じられたりという問題があった。
【0008】
一般に分散粒子の粒径が小さいほど、液としての透明性が上がるため、下記公知文献にも微粒子の記載が見られる。
【0009】
例えば、特開平9−67958号には染料を封入したポリエステルの平均粒径0.005〜0.5μmのサスペンションが、特開平10−67958号には、最大粒径が1000nm以下で、平均粒径が5〜700nmのポリマー粒子と分子中にポリマー粒子との結合基を有する染料に記載が、特開2000−474440には平均粒径25nmの例が記載されている。
【0010】
しかし、これらの特許では平均粒径に関する記載はあるものの、ピーク粒径、粒径分布、吸収と散乱との関係は記載されていず、またそれらの数値と光沢性や色再現性については何ら知見がなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、印字後の光沢性が良好で、色再現性に優れた着色微粒子分散体インクを供給することにあり、該インクをインクジェット用水性インクとして用いた画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
【0013】
(1)色材と樹脂を含有する着色微粒子分散体インクにおいて、ピーク粒径が5〜50nmであり、かつ
ピーク比=(ピーク粒径%)/(ピーク粒径の2倍の粒径%)≧1.5
であることを特徴とする着色微粒子分散体インク。
但し、200℃以上の高沸点有機溶媒を含有する着色微粒子分散体インクを除く。
【0014】
(2)最大吸収波長における吸光度が100となるように希釈したとき、850nmにおける吸光度が2.5以下であることを特徴とする(1)記載の着色微粒子分散体インク。
【0015】
(3)着色微粒子の色材が染料であり、かつコアシェル構造であることを特徴とする(1)又は(2)記載の着色微粒子分散体インク。
【0016】
(4)着色微粒子又はインクの製造時、35℃以上の加熱処理を行うことを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項記載の着色微粒子分散体インク。
【0017】
(5)前記(1)〜(4)の何れか1項記載の着色微粒子分散体インクがインクジェット用であることを特徴とするインクジェット用水性インク。
【0018】
(6)デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより(5)記載の水性インクを液滴として吐出させインク受容媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
【0019】
(7)インク受容媒体が空隙型であることを特徴とする(6)記載の画像形成方法。
【0020】
即ち、通常着色微粒子を含有するインクを用いた場合、粒子が有るためにメディア表面に積み重なり凹凸が出やすく、顔料よりも固形分が多くなりやすいので、光沢性や色再現性には不利であった。しかしながら、ピーク粒径が50nm以下の場合、同じ固形分でも散乱への影響が出にくく、またピーク粒径とピーク粒径の2倍の存在比を適正にコントロールすることにより、インク中の溶剤や水分が吸収されるときに細密充填により更に散乱が小さくなることが分かった。
【0021】
最大吸収波長と赤外領域の吸光度比を大きくすることによりインクとしての透明性が向上し、安定で光沢性、色再現性に優れたインクが得られた。
【0022】
上記特性の着色微粒子を作製するためには適正な樹脂を用いて、コアシェル化を行うこと、更に着色粒子作製後、又はインク作製後に加熱処理(エージング)することにより、散乱の小さい着色微粒子が得られることが分かった。
【0023】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いられる樹脂(ポリマー)としては、その数平均分子量が500〜100,000、特に1,000〜30,000であることが、印刷後の製膜性、その耐久性及びサスペンションの形成性の点から好ましい。
【0024】
ポリマーのTgとしては、各種用いることが可能であるが、用いるポリマーのうち、少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
【0025】
本発明に用いられるポリマーとしては、一般に知られているポリマーを使用可能であるが、重合性エチレン性不飽和二重結合を有するビニルモノマーのラジカル重合によって得られたポリマーが好ましく用いられ、例えば、アクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル、酢酸ビニル−アクリル酸エステル等の共重合体等が挙げられる。
【0026】
上記のポリマーを与える、具体的なモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、2−フェノキシエチルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル等、アセトアセトキシエチルメタクリレート、メタクリル酸グリシジルの大豆油脂肪酸変性品(ブレンマーG−FA:日本油脂社製)等が挙げられる。
【0027】
より好ましい組み合わせとしては、スチレン、またはメタクリル酸メチルを主成分としてアセトアセトキシエチルメタクリレート、メタクリル酸グリシジルの大豆油脂肪酸変性品(ブレンマーG−FA:日本油脂社製)、及びアクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等の長鎖(メタ)アクリル酸エステルから選ばれるもの少なくとも一種を加え、更に物性改良のために必要に応じてアクリロニトリル、ジビニルベンゼン、ジエチレングリコールジメタクリレート等を加えて作られる共重合体を挙げることができる。
【0028】
上記のポリマーは、置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造をとっていてもよい。また、上記の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば1つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
【0029】
本発明の着色微粒子水分散体は、上記のような樹脂(複数用いてもよいが)と染料(或いは顔料)とを有機溶剤中に溶解(或いは分散)し、水中で乳化後有機溶剤を除去する方法により形成することによって得られる。或いは、例えば、乳化重合により予め樹脂微粒子水分散体を形成し、この樹脂微粒子水分散体に、染料を溶解した有機溶媒溶液を混合し、あとから樹脂微粒子中に染料を含浸する等の方法等、種々の方法により得ることができる。
【0030】
この様な着色微粒子水分散体は、これを用いてインクジェットインクを形成することができるが、更に長期に亘って該着色微粒子分散体の凝集を防止し、微粒子のインクサスペンションとしての安定性を向上させ、メディアに印画したときの画像の色調や光沢、更に耐光性等、画像に堅牢性を付与するために、該着色微粒子をコアとして、更に有機ポリマーからなるシェルを形成するのが好ましい。
【0031】
シェルを形成する方法としては、有機溶剤に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時に該着色微粒子コア表面に吸着させる方法などもあるが、本発明においては、色材と樹脂を含有したコアとなる着色微粒子を形成した後、重合性不飽和二重結合を有するモノマーを添加し活性剤の存在下、乳化重合を行い、重合と同時にコア表面に沈着させシェルを形成する方法が好ましい。この方法で形成した場合においても、例えば色材として染料を用いた場合等にみられるが、コア/シェル界面での幾分かの相の混合がありシェルにおける色材含有率は必ずしも零とはならないが、混合は少ない方が好ましく、シェルにおける色材含有率(濃度)は、コア/シェル化を行っていないコアにおける色材含有率(濃度)の0.8以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5以下である。
【0032】
色材粒子をシェルとして被覆するポリマーを形成する重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸等、アクリルアミド類等から選ばれる化合物、特スチレンや(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が好ましいが、これらのモノマーに加えて、分子内にヒドロキシル基を含有する重合性不飽和モノマー、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の様なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステルをシェルを形成する原料モノマー全体の最大50%、その他のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーと混合して用いるのが好ましい。また、シェルの安定性を増す等の理由から、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を含有するモノマー或いはスルホン酸を含有するモノマー等、pKa値で3〜7の解離性基を含有するエチレン性不飽和モノマーを10%以下、前記ヒドロキシル基を含有するモノマーよりも少ない量で用いてもよい。これらのヒドロキシル基を含有するモノマー成分をシェル形成に用いることによって、当該コア/シェル着色微粒子の水分散体の安定性は格段に向上する。
【0033】
更に、酢酸エチルに50質量%以上溶解するものがコアポリマーとして好ましい。
【0034】
(コアシェル化の評価)
実際にコアシェル化されているかを評価することは重要である。本発明においては、個々の粒子径が200nm以下と非常に微小であるため、分析手法は分解能の観点から限られる。このような目的に沿う分析手法としては、TEMやTOF−SIMSなどが適用できる。TEMによりコアシェル化した微粒子を観察する場合、カーボン支持膜上に分散液を塗布、乾燥させ観察することができる。TEMの観察像は、有機物であるポリマーの種類のみではコントラスト差が小さい場合があるため、コアシェル化されているかどうかを評価するために、微粒子を、4酸化オスミウム、4酸化ルテニウム、クロロスルホン酸/酢酸ウラニル、硫化銀等を用いて染色することが好ましい。コアだけの微粒子を染色しそのTEM観察を行い、シェルを設けたものと比較する。さらに、シェルを設けた微粒子と設けていない微粒子を混合後、染色し、染色度合いの異なる微粒子の割合がシェルの有無に一致しているかの確認を行う。
【0035】
TOF−SIMSような質量分析装置では、粒子表面にシェルを設けることで表面近傍の色材量がコアだけの時よりも減少していることを確認する。色材にコアシェルのポリマーに含有されていない元素がある場合、その元素をプローブとして色材含有量の少ないシェルが設けられたかを確認することができる。
【0036】
そのような元素がない場合、適当な染色剤を用いてシェル中の色材含有量をシェルを設けていないものと比較することができる。例えば、コアシェル粒子をエポキシ樹脂内に埋胞し、ミクロトームで超薄い切片を作製、染色を行うことでコアシェル化をより明瞭に観察できる。上記のように、ポリマーや、色材にプローブとなりうる元素がある場合、TOF−SIMSやTEMによってコアシェルの組成、色材のコアとシェルへの分布量を見積もることもできる。
【0037】
本発明の着色微粒子において、必要な粒子径を得るには、処方の最適化と、適当な乳化法の選定が重要である。処方は用いる色材、ポリマーによって異なるが、水中のサスペンションであるので、コアを構成するポリマーよりシェルを構成するポリマーの方が一般的に親水性が高いことが必要である。また、シェルを構成するポリマーに含有される色材は、前記のようにコアを構成するポリマー中より少ないことが好ましく、色材もシェルを構成するポリマーよりも親水性の低いことが必要である。親水性、疎水性は、例えば前記の溶解性パラメーター(SP)を用いて見積もることができる。
【0038】
本発明における、着色微粒子分散体水性インクに用いられる色材含有コア/シェル着色微粒子は、ピーク粒径が5nm〜50nmであり、かつ
ピーク比=(ピーク粒径%)/(ピーク粒径の2倍の粒径%)≧1.5
であることを特徴とする。
【0039】
即ち、ピーク粒径を5〜50nm、好ましくは5〜30nmとし、ピーク粒径よりも大きい領域の粒径分布を少なくすることにより、粒径分布をシャープにすること、そのためにはコア/シェル構造とすることや着色微粒子を形成した後若しくはインク調製時に35℃以上の加熱処理を加えることにより粒径分布をシャープとすることができ、インクの光沢性、色再現性に優れたインクが得られたものである。加熱処理の上限は特にないが、100℃以下の温度である。
【0040】
光散乱法を用いた粒径分布の測定としては、例えば、大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製ゼータサイザーを用いて求めることが出来る。
【0041】
本発明に用いられる色材の色相としてはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各染料である。油溶性染料は通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料であるが、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られている。油溶性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、オリエント化学工業株式会社製Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、OilYellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製Kayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta312、Kayaset Blue K−FL、Kayaset Pink FN、Kayaset RedA−5B、有本化学工業株式会社製FS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、83、82、79、56、29、19、16、14、04、03、02、01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、218、132、73、72、51、43、27、24、18、01、C.I.Solvent Blue 70、67、44、40、35、11、02、01、C.I.Solvent Black 43、70、34、29、27、22、7、3、C.I.Solvent Violet 3、C.I.Solvent Green 3及び7、Plast Yellow DY352、Plast Red 8375、三井化学社製MS Yellow HD−180、MS Red G、MSMagenta HM−1450H、MS Blue HM−1384、住友化学社製ES Red 3001、ES Red 3002、ES Red 3003、TS Red 305、ES Yellow 1001、ES Yellow 1002、TS Yellow 118、ES Orange 2001、ES Blue 6001、TS Turq Blue 618、Bayer社製MACROLEX Yellow 6G、Ceres Blue GNNEOPAN Yellow O75、Ceres Blue GN、MACROLEX Red Violet R等が挙げられる。また、特開平9−277693号、同10−20559号、同10−30061に示されるような、金属錯体色素も好ましく用いらる。
【0042】
油溶性染料として分散染料を用いることができ、分散染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
【0043】
その他、油溶性染料として、フェノール、ナフトール類、又、ピラゾロン、ピラゾロトリアゾール等の環状メチレン化合物、或いは、開鎖メチレン化合物等のいわゆるカプラーに、p−フェニレンジアミン類或いはp−ジアミノピリジン類等、アミノ化合物を酸化カップリングさせ得られるアゾメチン色素、インドアニリン色素等も好ましい。特にマゼンタ染料として、ピラゾロトリアゾール環を有するアゾメチン色素は好ましい。
【0044】
本発明に係わる着色微粒子分散体、また、更に好ましいコア/シェルの形態を有する着色微粒子は、ポリマー量として本発明の水性インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上記ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、サスペンションの水性インクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘やサスペンションの凝集が起こることによってプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0045】
一方、上記染料及び顔料等の色材としては、該インク中に1〜30質量%配合されることが好ましく、1.5〜25質量%配合されることが更に好ましい。上記色材の配合量が1質量%に満たないと印字濃度が不十分であり、30質量%を超えるとサスペンションの経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0046】
本発明の水性インクは水を媒体とし、上記色材を封入したポリマーのサスペンジョンからなり、該サスペンションには従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調整剤又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0047】
ここで、上記湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイドの一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記水性インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。但し、200℃以上の高沸点有機溶媒を除く。
【0048】
又、インクの粘度を安定に保つため、発色をよくするために、インク中に無機塩を添加してもかまわない。無機塩としてはたとえば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
【0049】
また、乳化剤、分散剤としては特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、効果の発現の点からみて或いはサスペンションの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。
【0050】
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。
【0051】
乳化剤或いは分散剤として、好ましくは陰イオン性界面活性剤又は高分子界面活性剤であり、陰イオン性界面活性剤が特によい。
【0052】
又、インクの表面張力調整用の活性剤としては好ましくはノニオン性界面活性剤である。
【0053】
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0054】
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0055】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0056】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえばエマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(たとえばニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。その他に、界面活性剤としては、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB、MS、N、SSL、ST、P(商品名)もあげられる。
【0057】
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることが出来、インク全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することが出来る。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。
【0058】
又、高分子界面活性剤として、以下の水溶性樹脂を用いることができ、吐出安定性の観点から好ましい。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。高分子界面活性剤の例として、その他に、アクリル−スチレン系樹脂であるジョンクリル等(ジョンソン社)が挙げられる。これらの高分子界面活性剤は、2種以上併用することも可能である。
【0059】
上記の各高分子界面活性剤の分散インク全量に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%である。配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンション安定性が低下し、ゲル化するおそれがある。
【0060】
防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(たとえばPreventol CMK、クロロメチルフェノール等)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばPROXEL GXL)などが挙げられるが、本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
【0061】
インク中を安定に保つために、インク中にpH調整剤を添加してもかまわない。pH調整剤としては、塩酸や酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を水など薄めたりそのまま使用したりできる。
【0062】
また、上記消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明の水性インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0063】
次に、本発明のインクの製造において用いられる乳化方法について説明する。本発明のインクは、例えばコアとなる色材粒子の製造において、又、直接顔料粒子とポリマーからコアシェル着色微粒子を製造する際等、各種の乳化法を用いることができる。乳化法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、染料コアの形成には超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。又、顔料用にはメディア分散機が好ましい。
【0064】
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、たとえば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としてもとめられる。超音波の照射時間は実際上は10000秒以下である。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。さらに好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
【0065】
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の255〜256ページに記載されているような、ディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターを有する装置の場合、攪拌翼とステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5m/S以上150m/S以内であれば本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/Sにするにはモーターの性能を極端に上げる必要があるからである。さらに好ましくは、20〜100m/Sである。
【0066】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は104kPa〜5×105kPaの範囲が好ましい。また、必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧力を5×105kPaにするためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。さらに好ましくは5×104kPa〜2×105kPaの範囲である。
【0067】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することが可能である。コロイドミルや、フロージェットミキサなども単独では本発明の目的を達成できないが、本発明の装置との組み合わせにより、短時間で乳化・分散を可能にするなど本発明の効果を高めることが可能である。
【0068】
本発明のインクジェット記録用水性インクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
【0069】
本発明のインクジェット記録用水性インクを用いた画像形成方法においては、例えば、インクジェット記録用水性インクを装填したプリンター等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッドよりインクを液滴として吐出させインク受容体に付着させることで、例えばインクジェット画像記録媒体上にインクジェット記録画像が形成されたインクジェットプリントが得られる。
【0070】
インクジェット画像記録媒体としては、例えば、普通紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、光沢フィルム、OHPフィルムのいずれも使用することができ、なかでも例えば多孔質層が形成されている所謂空隙層を有する被記録媒体であれば好ましい。上述した支持体の素材或いは形状に特に限定されるものではなく、例えばシート状に形成されたもの以外に立体的な構造を有するものであってもよい。
【0071】
本発明の水性インクは、インクジェット記録用のインクとして以外に、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明のサスペンションを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体は、電子写真のトナーなどにも使用可能である。
【0072】
【実施例】
以下に、合成例、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0073】
〔樹脂合成例〕
3リットルの四つ口フラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置及び還流冷却管を付し、酢酸エチル1000gを加熱還流した。表1記載の組成割合のモノマーを総量が1000gとなるように秤量し、更にN,N′−アゾビスイソバレロニトリル(AIVN)1gを前記モノマーに加えた混合液を2時間かけて滴下し、同温度にて5時間反応させた後、溶剤を減圧留去して表1記載の樹脂を得た。
【0074】
【表1】
Figure 0004277479
【0075】
ST:スチレン、SMA:メタクリル酸ステアリル、AAEM:メタクリル酸2−アセトアセトキシエチル(日本合成化学製)、GFA:グリシジルメタクリレートと大豆油脂肪酸との反応物モノマー(日本油脂製ブレンマーG−FA)
〔着色微粒子の製造〕
クレアミックスCLM−0.8S(エムテクニク(株)社製)のポットに12gのFSB1015/DY352(混合比1/9)(染料)、12gの樹脂P−1(樹脂)、及び120gの酢酸エチルを入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)3g(界面活性剤)を含む水溶液270gを添加後、回転速度20000rpmで5分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子を得た。着色微粒子を3頭のセパラブルフラスコに移し、フラスコ内をN2置換後、ヒーターを付して80℃に加温後、4.5gのスチレン(ST)、1.5gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)(シェルモノマー組成)及び0.3gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリル(AIVN)(開始剤)の混合液を1時間で滴下し、更に6時間反応させて表2のCP−1で表されるコアシェル型着色微粒子を得た。
【0076】
上記処方で、表2に示すように染料(使用量12g)、樹脂(使用量12g)、界面活性剤、シェルモノマー組成(トータルモノマー量は6g)、開始剤(使用量0.3g)を代えて他の着色微粒子CP−2〜4を製造した。
【0077】
〔比較製造例〕
更に樹脂を代えて表2に示す本発明外のピーク粒径とした比較の着色微粒子CP−5〜8を製造した。
【0078】
さらに、得られた各着色微粒子を40℃で6時間の加熱処理を行った。
【0079】
【表2】
Figure 0004277479
【0080】
熱処理前および熱処理後の着色微粒子のピーク粒径、ピーク粒径の2倍の粒径及びそのときの光散乱強度を、Malvern社製のZetasizer 1000HSを用いて測定し、それをもとにピーク比((ピーク粒径%)/(ピーク粒径の2倍の粒径%))を算出した。図1に、測定されたインク粒径分布のグラフと本発明内及び本発明外の典型例を示す。また透過型電子顕微鏡(TEM)でも粒径に間違いがないことを確認した。
【0081】
SDS:ラウリル硫酸ナトリウム塩、AIVN:N,N′−アゾビスイソバレロニトリル、KPS:過硫酸カリウム、HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
(染料)
FSY1015:FS Yellow 1015(有本化学製)
DY352:Plast Yellow DY−352(有本化学製)
PR8375:Plast Red 8375(有本化学製)
MRG:MS Red G(三井化学製)
FSB1504:FS Blue 1504(有本化学製)
OB860:Oil Black 860(オリエント化学製)
〔インク性能評価〕
〈インク作製〉
前記の方法で製造した着色微粒子を表3記載の溶剤、界面活性剤、及び防腐剤Proxel GX(Avecia社製)0.1質量%を加えて残りが純水になるように調整し100gづつインクを作製した。更に0.8μmのメンブレンフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してインクジェット用インクI−1〜12を得た。上記と同様にしてピーク粒径の測定を行い、ピーク比を算出した。
【0082】
また、最大吸収波長における吸光度を100となるようにインクを希釈したときの850nmにおける吸光度(ピーク吸光度100の850nm吸光度)を測定した。
【0083】
【表3】
Figure 0004277479
【0084】
EG:エチレングリコール、Gly:グリセリン、E1010:オルフィンE1010(日信化学製)
本発明のインクは、ピーク粒径が5〜50nmで、ピーク比が1.5以上であり、ピーク吸光度を100としたときの850nmにおける吸光度が2.5以下と赤外吸収が低く抑えられている。
【0085】
〈プリント評価〉
インクI−1〜4及びI−7〜10を用いて純正カラーインクカートリッジに詰めてインクジェットプリンターCL−750(セイコーエプソン社製)でインクジェットペーパー フォトライクQP(コニカ(株)製)に濃度を0%から100%まで10段階に変化させた画像サンプル(ウェッジ)をプリンタドライバーを混色が生じないように設定してプリントした。
【0086】
また、光沢評価用に3cm×3cmの大きさで、各濃色インクを用い、濃度80%の単色パッチを作製した。
【0087】
最高濃度:X−Rite900(日本平板機材製)を用いて測色した各色濃度を記載した。
【0088】
色座標:X−Rite900(日本平板機材製)を用いて、プリントを測定し、a*、b*、C*で表した。
【0089】
光沢性:光沢チャートを用いて20人の被験者により目視評価を行い、以下の基準により点数をつけた。
【0090】
1:正面からみても、斜めから見ても十分な光沢感があると判断した人が10人以上(良好)
2:正面から見たときのみ十分な光沢感があると判断した人が10人以上(許容)
3:十分な光沢感がないと判断した人が10人以上
測定した結果を表4に示す。
【0091】
【表4】
Figure 0004277479
【0092】
本発明のインクを用いた試料は、彩度が高く、光沢度も良好であった。
〈画質評価〉
表5に示す各インクセットを純正インクカートリッジに詰め替えて、顔料インクジェットプリンターMC−2000(セイコーエプソン社製)でインクジェットペーパー フォトライクQP(コニカ(株)製)にプリンタドライバーを混色を生じないようにセットしてプリントした。更に比較顔料インクセットとして、純正インクMC2000を用いてプリントした。プリント画像は、光沢評価用に3cm×3cmの大きさで濃度80%の単色パッチ、及び色再現域を測定するチャートを使用した。
【0093】
光沢:光沢チャートを用いて20人の被験者により目視評価を行い、以下の基準により点数をつけ、全色の平均値を求めた。
【0094】
1:正面からみても、斜めから見ても十分な光沢感があると判断した人が10人以上(良好)
2:正面から見たときのみ十分な光沢感があると判断した人が10人以上(許容)
3:十分な光沢感がないと判断した人が10人以上
色再現域:明度50の色再現域を面積として求め純正顔料インクを100としたときの相対値で表した。
【0095】
【表5】
Figure 0004277479
【0096】
表5の結果から明らかなように本発明の着色微粒子分散体を用いたインクは光沢、色再現域に優れていることが分かる。この結果は本発明の着色微粒子が非常に小粒径で、かつ分散安定である性質を反映したものと考えられる。
【0097】
【発明の効果】
着色微粒子分散体インクをインクジェット用インクとして用いることにより光沢性、色再現性に優れた画像形成方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インク粒径分布のグラフを示す。

Claims (7)

  1. 色材と樹脂を含有する着色微粒子分散体インクにおいて、ピーク粒径が5〜50nmであり、かつ
    ピーク比=(ピーク粒径%)/(ピーク粒径の2倍の粒径%)≧1.5
    であることを特徴とする着色微粒子分散体インク。
    但し、200℃以上の高沸点有機溶媒を含有する着色微粒子分散体インクを除く。
  2. 最大吸収波長における吸光度が100となるように希釈したとき、850nmにおける吸光度が2.5以下であることを特徴とする請求項1記載の着色微粒子分散体インク。
  3. 着色微粒子の色材が染料であり、かつコアシェル構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の着色微粒子分散体インク。
  4. 着色微粒子又はインクの製造時、35℃以上の加熱処理を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の着色微粒子分散体インク。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の着色微粒子分散体インクがインクジェット用であることを特徴とするインクジェット用水性インク。
  6. デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより請求項5記載の水性インクを液滴として吐出させインク受容媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
  7. インク受容媒体が空隙型であることを特徴とする請求項6記載の画像形成方法。
JP2002119150A 2002-04-22 2002-04-22 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法 Expired - Fee Related JP4277479B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002119150A JP4277479B2 (ja) 2002-04-22 2002-04-22 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法
EP03008728A EP1357157B1 (en) 2002-04-22 2003-04-16 Water-based ink for ink-jet printing
DE60308437T DE60308437T2 (de) 2002-04-22 2003-04-16 Wässrige Tinte für den Tintenstrahldruck
US10/418,779 US20030199613A1 (en) 2002-04-22 2003-04-17 Water-based ink for ink-jet printing

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002119150A JP4277479B2 (ja) 2002-04-22 2002-04-22 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003313475A JP2003313475A (ja) 2003-11-06
JP4277479B2 true JP4277479B2 (ja) 2009-06-10

Family

ID=29535795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002119150A Expired - Fee Related JP4277479B2 (ja) 2002-04-22 2002-04-22 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4277479B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200099014A (ko) 2019-02-13 2020-08-21 한국바이오켐제약 주식회사 실로스타졸의 제조방법 및 이를 포함하는 약학제제

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5116002B2 (ja) 2005-03-17 2013-01-09 株式会社リコー 水系顔料分散体の製造方法、水系顔料インクの製造方法、及び該インクを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成方法、それによる画像形成物
JP4990052B2 (ja) * 2007-07-11 2012-08-01 花王株式会社 インクジェット記録用水分散体の製造方法。
JP5353059B2 (ja) 2008-05-26 2013-11-27 株式会社リコー 画像形成方法
US9708499B2 (en) 2015-05-15 2017-07-18 Seiko Epson Corporation Ink composition for ink jet

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200099014A (ko) 2019-02-13 2020-08-21 한국바이오켐제약 주식회사 실로스타졸의 제조방법 및 이를 포함하는 약학제제

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003313475A (ja) 2003-11-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4524980B2 (ja) 着色微粒子の水性分散体、水性インク及び画像形成方法
JP2004189929A (ja) 水性分散液、インクジェット用インク及び画像形成方法
JP2006232887A (ja) 着色微粒子分散体、水性インクおよび画像形成方法
JP4154899B2 (ja) インクジェット画像記録方法
JP4281318B2 (ja) 着色微粒子分散体、水性インク及びそれを用いた画像形成方法
US20030199613A1 (en) Water-based ink for ink-jet printing
JP2005105227A (ja) インクジェット用水性インク
JP4277479B2 (ja) 着色微粒子分散体インク、インクジェット用水性インクおよび画像形成方法
JP4051993B2 (ja) 着色微粒子分散体、水性インク及び該水性インクを用いた画像形成方法
JP4492021B2 (ja) インクジェット用水性インク及び画像形成方法
JP2004067861A (ja) インクジェット用水性インクセット
JP3915472B2 (ja) インクジェット用インクとそれを用いたインクジェットカートリッジ、インクジェット画像記録方法及びインクジェット記録画像
JP2004059614A (ja) インクジェット用インク及びそれを用いたインクジェット画像形成方法及びインクジェット記録物
JP4389444B2 (ja) 着色微粒子分散体、水性インク及びそれを用いた画像形成方法。
JP2003238855A (ja) インクジェット用インク及び画像形成方法
JP2005082648A (ja) 着色微粒子分散インク、インクセット、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及び記録画像
JP2004051882A (ja) インクジェット記録用水性インクとその製造方法、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP2004123862A (ja) 着色微粒子分散体、その評価方法、インクジェット用水性インク及び画像形成方法
JP2003213182A (ja) 着色微粒子水分散体、水性インク及び画像形成方法
JP2004203908A (ja) 着色微粒子分散体、水性インクおよびこれを用いた画像形成方法
JP2005082601A (ja) 着色微粒子分散体、着色微粒子分散体インク及びインクジェット記録方法
JP2003238872A (ja) インクジェット用水性インク及び画像形成方法
JP2005097379A (ja) 着色微粒子を分散した水系インク、それを用いたインクセット、インクジェット記録装置
JP2005097347A (ja) インクジェット用水性インクセットおよびインクジェット記録方法
JP2004131673A (ja) 着色微粒子分散体、その評価方法、インクジェット用水性インク及び画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090217

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090302

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319

Year of fee payment: 5

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees