JP4051993B2 - 着色微粒子分散体、水性インク及び該水性インクを用いた画像形成方法 - Google Patents

着色微粒子分散体、水性インク及び該水性インクを用いた画像形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットインクに用いる着色微粒子分散体、該着色微粒子分散体を用いた水性インク及び該水性インクを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
色材と樹脂を混合し水に分散させ着色微粒子分散体を形成し、これをインクジェット用のインクとして用いる技術が幾つか提案されている。
【0003】
これらのうち、樹脂に特徴のあるものとして、特開2001−98194には、親水性重合連鎖部分と疎水性重合連鎖部分からなる共重合体樹脂をもちいるものが、特開2000−191968には、ビニルポリマー重合性不飽和酸モノマー、水酸基含有モノマー、スチレンマクロマー等を用いるものが、特開平9−157508号には、シクロヘキセンジカルボン酸を含むポリエステル樹脂を用いるものが開示されている。特に特開平9−157508号には、油性染料を溶解、乳化させた後、エチレン性不飽和単量体を更に重合させた複合着色微粒子の水分散体についても記載されている。しかしながら、前記の着色微粒子は、粒径が100nm前後で大きいことや、インク保存性、吐出安定性、又、プリント濃度が低い、発色や耐光性等の面で充分でないなど性能面で未だ充分なものは得られていない。
【0004】
特開2002−47440、同2002−88294、同2002−97395等には50nm以下の小粒径着色微粒子が記載されているが分散安定性が十分でなく保存性が低く、プリントしたときに2次凝集したり、微粒子の効果が不十分であり、又、コアシェル型については記載がない。特開2002−80746及び同2002−80772には高沸点の有機溶媒に溶解した油溶性染料を水性媒体中に分散した組成物が開示されているが、これらはゼラチンのような媒質がないと不安定でありインク吐出の安定性がない。
【0005】
従って、粒径が充分に小さく、分散安定性がよく、保存性、吐出安定性がよい、プリント濃度、色再現性、更には画像の耐光性等の面でも充分な性能を有する小粒径のインクは未だ得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、小粒径で、インクに用いたときに、保存性、吐出安定性に優れ、高いプリント濃度が得られ、光沢、色再現性の良好な画像を得ることができると共に、耐光性に優れた着色微粒子分散体を得ることにあり、該着色微粒子分散体を用いた水性インク及び画像形成方法を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下(1)〜(9)の手段によって達成される。なお、1〜9の手段は参考である。
(1)色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子分散体であって、樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが、重合性ビニル基を有し、かつビニル基1個当たり2〜4個のエステル構造を有するモノマーによる着色微粒子分散体に、更にポリマーシェルを被覆し、コアシェル構造としたことを特徴とする着色微粒子分散体。
(2) 樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが重合性ビニル基を有し、かつ少なくとも1つのβ−ジケトン構造を有するモノマーによることを特徴とする前記(1)に記載の着色微粒子分散体。
(3)樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが下記一般式(1)で表されるモノマーによることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の着色微粒子分散体。
【化A】
Figure 0004051993
1 、R 2 は独立に水素原子、またはアルキル基であり同時にアルキル基になることはない。Yは水素原子、−COOR 3 で表される基又は−COO−L−O−CO−CH 2 −CO−Zで表される基を表し、R 3 は水素原子或いはアルキル基を、Lは、直鎖、分岐の炭素数1〜6のアルキレン基、またはフェニレン基で表される2価の基であり、Zはアルキル基或いはヒドロキシル基を表す。
(4)樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが下記一般式(2)で表されるモノマーによることを特徴とする前記(1)に記載の着色微粒子分散体。
【化B】
Figure 0004051993
1 、R 2 は独立に水素原子、またはアルキル基であり同時にアルキル基になることはない。Yは水素原子、−COOR 3 で表される基又は−COO−L−CH(OCOR 4 )−Zで表される基を表し、R 3 は水素原子或いはアルキル基を、R 4 はアルキル基或いはアルケニル基を、Lは、直鎖、分岐の炭素数1〜6のアルキレン基、またはフェニレン基で表される2価の基であり、Zはアルキル基或いはヒドロキシル基を表す。
(5)前記着色微粒子の色材が染料であり、且つ、色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子が、色材と樹脂を有機溶媒に溶解して水中で乳化した後、有機溶媒を除去することで得られる着色微粒子であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体を含むことを特徴とする水性インク。
(7)着色微粒子のピーク粒径が50nm以下であることを特徴とする前記(6)に記載の水性インク。
(8)インクジェット用インクであることを特徴とする前記(6)または(7)に記載の水性インク。
(9)デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより前記(8)の水性インクを液滴 として吐出させインク受容媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
【0008】
1.色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子分散体において、樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが、重合性ビニル基を有し、かつビニル基1個当たり2〜4個のエステル構造を有するモノマーによることを特徴とする着色微粒子分散体。
【0009】
2.樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが重合性ビニル基を有し、かつ少なくとも1つのβ―ジケトン構造を有するモノマーによることを特徴とする前記1に記載の着色微粒子分散体。
【0010】
3.樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが前記一般式(1)で表されるモノマーによることを特徴とする前記1または2に記載の着色微粒子分散体。
【0011】
4.樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが前記一般式(2)で表されるモノマーによることを特徴とする前記1に記載の着色微粒子分散体。
【0012】
5.前記着色微粒子の色材が染料であり、且つ、前記着色微粒子がコアシェル構造を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
【0013】
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体を含むことを特徴とする水性インク。
【0014】
7.着色微粒子のピーク粒径が50nm以下であることを特徴とする前記6に記載の水性インク。
【0015】
8.インクジェット用インクであることを特徴とする前記6または7に記載の水性インク。
【0016】
9.デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより前記8の水性インクを液滴として吐出させインク受容媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
【0017】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、前記色材と樹脂を混合し水乃至水性媒体に分散させてなる着色微粒子分散体において、重合性ビニル基1個当たり2〜4個のエステル構造をその分子内に有するモノマーを、少なくとも重合成分の1つとして有する(即ちモノマー単位の少なくとも1つとして有する)樹脂を用いることにより著しく小粒径で、かつ安定な着色微粒子が得られることを見いだしたものである。
【0018】
尚、水性媒体とは水を主体とする媒体であって、例えば、アルコール、グリコール等の水可溶性有機溶剤や、水には完全に溶解しない例えば酢酸メチル等の有機溶剤を含んでいてもよいが、少なくとも水を50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは水を90%以上含有する媒体であり、分散等の挙動の上で水と同等に扱えるものをいう。
【0019】
安定な着色微粒子が得られる機構は必ずしも明らかではないものの、本発明において用いられる、モノマー単位の少なくとも1つとして、重合性ビニル基1個当たり2〜4個のエステル構造をその分子内に有するモノマーに由来する単位を有する樹脂は、用いられる色材、例えば油溶性染料等に対する溶解性が高いと同時に、溶剤、特に油溶性染料に対する溶剤として優れた酢酸エチル等の溶剤に対しても親和性が高いため、色材を溶剤に溶解して、これを水乃至水性媒体中に乳化・分散し、着色微粒子分散体とする際に、油溶性染料の溶解性がよく、析出を抑えることができるので、分散の進行が促進され、かつ溶媒留去操作中においても析出や凝集が起き難くなると考えられる。
【0020】
色材或いは溶剤等との親和性を維持するには、モノマー分子内のエステル構造の数としては、4以下であり、好ましくは2乃至3である。エステル構造の数が余り多くなると、これを用いて重合した樹脂のガラス転移点が低くなり、微粒子同士が融着しやすくなり、又、色材との親和性が低くなるため色材が析出したりして着色微粒子分散体の安定性も低下する。
【0021】
本発明に用いられる樹脂は、モノマー単位の少なくとも1つとして、重合性ビニル基1個当たり2〜4個のエステル構造をその分子内に有するモノマーを用いて重合させたものである。モノマー成分中に2〜4個のエステル構造を有していることにより、後述する油溶性染料に対する親和性を非常に高めることが出来る。又、油溶性染料を溶解して、水性媒体中に分散する際に、水性媒体及び油溶性染料の両者に適度な親和性を有し良好な溶媒となる酢酸エチル等のような溶媒に対しての親和性も高いので、本発明の色材を含有させた前記樹脂を水性媒体中に分散してなる着色微粒子分散体は、分散安定性が高く、これらの分散体を含んだインクを用いることによりインク安定性が高い、インク吐出安定性がよい等の本発明の効果を奏するものと考えられる。又、前記樹脂と色材からなる着色微粒子分散体をコアとして、これに更にポリマーシェルと被覆し、コアシェル構造とした着色微粒子分散体の製造安定性、更にこれらから形成されたインクの安定性も向上させることが出来る。
【0022】
本発明に係わる上記樹脂については、樹脂を構成するビニル基に由来するモノマー単位の少なくとも1つが2〜4個のエステル構造を有すると同時に少なくとも1つのβ−ジケトン構造を有することが更に好ましい。
【0023】
エステル基由来のカルボニル基の他に水素結合受容体となるカルボニル基を複数有する構造であることが好ましいものと考えられる。
【0024】
本発明においては、上記のモノマーのうち、前記一般式(1)で表されるモノマーを用いるのがより好ましい。
【0025】
式中、R1、R2は独立に水素原子または炭素原子数6以下のアルキル基であり、同時にアルキル基であることはない。アルキル基の例としては例えばメチル基エチル基である。
【0026】
Yは水素原子、−COOR3で表される基又は−COO−L−O−CO−CH2−CO−Zで表される基であり、R3は水素原子或いはアルキル基を表すが、アルキル基としては、炭素原子数6以下のアルキル基であり、好ましいものとしては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0027】
Lは2価の連結基であり、β−ジケトン構造とモノマー構造を連結する任意の2価の基を表すが、好ましい2価の基としては直鎖、分岐の炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基等であり、中でもメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が好ましい。
【0028】
Zはアルキル基或いはヒドロキシル基を表すが、アルキル基としては、置換、無置換のアルキル基でありメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、ヘキシル、カルボキシエチル基等であり好ましくはメチル基であり、ヒドロキシル基またはメチル基が特に好ましい。
【0029】
又、本発明の樹脂に用いられるもう一つの好ましいモノマーとしては、前記一般式(2)で表されるものである。
【0030】
式中、R1、R2、L及びZについては、前記一般式(1)におけるものと同様であり、Yは水素原子、−COOR3で表される基又は−CH(OCOR4)−Zで表される基であり、R3は前記一般式(1)におけるものと同様の基を表し、R4は置換、未置換のアルキル、アルケニル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、ヘキシル、オクタデシル等の基、アルキル基としてはパルミチン酸、ステアリン酸等からカルボキシル基を除いた残基も含む。又、アルケニル基としては環状になったものも含み、大豆油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ロジン、リノール酸、オレイン酸等からカルボキシル基を除いた構造残基を含む。
【0031】
好ましくはアルケニル基であり更に天然の脂肪酸とのエステル結合したものが染料溶解性の観点から好ましい。
【0032】
本発明の樹脂にモノマー単位として用いることの出来るモノマーの具体例を以下に例示するが本発明はこれらに限定されない。
【0033】
【化3】
Figure 0004051993
【0034】
【化4】
Figure 0004051993
【0035】
【化5】
Figure 0004051993
【0036】
本発明に係わる樹脂は重合性ビニル基1つあたり2〜4個のエステル基を有するビニルモノマー、一般式(1)乃至(2)で表されるビニルモノマー等から選ばれるモノマー及び後述の共重合ビニルモノマーを公知の方法でラジカル重合させて得られるものである。得られた樹脂は必ずしも、単独の重合体である必要はない。共重合体を形成する好ましい共重合ビニルモノマーの具体例としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル、2−フェノキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、トリエチレングリコールメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、スチレン、α−メチルスチレン、マレイン酸、アクリロニトリル等のビニルモノマーが挙げられる。
【0037】
共重合比については、本発明に係わるエステル基を2以上有するビニルモノマーが少なくとも5質量%以上、好ましくは10質量%以上含まれるのがよい。本発明に係わるエステル基を2以上有するビニルモノマー単位のみで構成された樹脂でも構わないが、特に好ましいのは本発明に係わるエステル基を2以上有するモノマー単位を10〜50質量%の範囲で有し、前記共重合ビニルモノマーを90〜50質量%有する共重合体樹脂である。
【0038】
本発明において用いられる樹脂(ポリマー)としては、その数平均分子量が500〜100,000、特に1,000〜30,000であることが、印刷後の製膜性、その耐久性及び分散体の形成性の点から好ましい。
【0039】
ポリマーのTgとしては、各種用いることが可能であるが、用いるポリマーのうち、少なくとも1種以上はTgが10℃以上であるものを用いる方が好ましい。
【0040】
本発明においては、色材と混合し、着色微粒子分散体を形成する際には、一般に知られている樹脂(ポリマー)を、互いに層分離する等によって分散安定性に影響を及ぼさない限り、混合して使用することも可能である。
【0041】
本発明の着色微粒子水分散体は、上記のモノマー成分を有する樹脂(複数用いてもよいが)と色材(染料或いは顔料)とを有機溶剤中に溶解(或いは分散)し、水中で乳化後、有機溶剤を、例えば減圧により除去する等の方法によって得られる。
【0042】
或いは、例えば、乳化重合により予め樹脂微粒子水分散体を形成し、この樹脂微粒子水分散体に、染料を溶解した有機溶媒溶液を混合し、あとから樹脂微粒子中に染料を含浸する等の方法等公知の種々の方法により得ることができる。
【0043】
本発明に係わるビニル基1つあたり2〜4個のエステル構造を有するモノマー単位を有する樹脂を用いて形成した着色微粒子分散体は、前記のように、樹脂と色材(又溶媒との)との相溶性がよく、分散安定性が高い。
【0044】
この様な着色微粒子分散体は、これを用いてインクジェットインクを形成することができるが、更に長期に亘って着色微粒子分散体の凝集を防止し、微粒子のインクサスペンションとしての安定性を向上させ、メディアに印画したときの画像の色調や光沢、更に耐光性等、画像に堅牢性を付与するために、着色微粒子分散対中の着色微粒子をコアとして、更に有機ポリマーからなるシェルを形成するのが好ましい。
【0045】
シェルを形成する方法としては、有機溶剤に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時にコアとなる該着色微粒子の表面に吸着させる方法などもあるが、本発明においては、色材と樹脂を含有する着色微粒子を形成した後、重合性不飽和二重結合を有するモノマーを添加し活性剤の存在下、乳化重合を行って、重合と同時にコアとなる着色微粒子表面に沈着させポリマーシェルを形成する方法が好ましい。この方法で形成した場合においても、例えば色材として染料を用いた場合等にみられるが、コアシェル界面での幾分かの相の混合がありシェルにおける色材含有率は必ずしも零とはならないが、混合は少ない方が好ましく、シェルにおける色材含有率(濃度)は、コアシェル化を行っていないコアにおける色材含有率(濃度)の0.8以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5以下である。
【0046】
色材と樹脂からなる着色微粒子を被覆し、ポリマーシェルを形成する重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸等、アクリルアミド類等から選ばれる化合物、特スチレンや(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類等が好ましいが、これらのモノマーに加えて、分子内にヒドロキシル基を含有する重合性不飽和モノマー、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の様なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステルも好ましい。また、シェルの安定性を増す等の理由から、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を含有するモノマー或いはスルホン酸を含有するモノマー等、pKa値で3〜7の解離性基を含有するエチレン性不飽和モノマーを10%以下用いてもよい。これらのモノマー成分をシェル形成に用いることによって、当該コア/シェル着色微粒子の水分散体の安定性は格段に向上する。
【0047】
実際にコアシェル化されているかを評価することは重要である。本発明においては、個々の粒子径が200nm以下と非常に微小であるため、分析手法は分解能の観点から限られる。このような目的に沿う分析手法としては、TEMやTOF−SIMSなどが適用できる。TEMによりコアシェル化した微粒子を観察する場合、カーボン支持膜上に分散液を塗布、乾燥させ観察することができる。TEMの観察像は、有機物であるポリマーの種類のみではコントラスト差が小さい場合があるため、コアシェル化されているかどうかを評価するために、微粒子を、4酸化オスミウム、4酸化ルテニウム、クロロスルホン酸/酢酸ウラニル、硫化銀等を用いて染色することが好ましい。コアだけの微粒子を染色しそのTEM観察を行い、シェルを設けたものと比較する。さらに、シェルを設けた微粒子と設けていない微粒子を混合後、染色し、染色度合いの異なる微粒子の割合がシェルの有無に一致しているかの確認を行う。
【0048】
TOF−SIMSような質量分析装置では、粒子表面にシェルを設けることで表面近傍の色材量がコアだけの時よりも減少していることを確認する。色材にコアシェルのポリマーに含有されていない元素がある場合、その元素をプローブとして色材含有量の少ないシェルが設けられたかを確認することができる。
【0049】
そのような元素がない場合、適当な染色剤を用いてシェル中の色材含有量をシェルを設けていないものと比較することができる。例えば、コアシェル粒子をエポキシ樹脂内に埋胞し、ミクロトームで極く薄い切片を作製、染色を行うことでコアシェル化をより明瞭に観察できる。上記のように、ポリマーや、色材にプローブとなりうる元素がある場合、TOF−SIMSやTEMによってコアシェルの組成、色材のコアとシェルへの分布量を見積もることもできる。
【0050】
本発明の着色微粒子において、必要な粒子径を得るには、処方の最適化と、適当な乳化法の選定が重要である。処方は、用いる色材、ポリマーによって異なるが、水性媒体中の分散体であり、コアを構成するポリマーよりシェルを構成するポリマーの方が一般的に親水性が高いことが必要である。また、シェルを構成するポリマーに含有される色材は、前記のようにコアを構成するポリマー中より少ないことが好ましく、色材もシェルを構成するポリマーよりも親水性の低いことが好ましい。
【0051】
水性インクに用いられる色材含有コアシェル着色微粒子は、体積平均粒子径が5nm以下になると単位体積あたりの表面積が非常に大きくなるため、色材をコアシェルポリマー中に封入する効果が小さくなり、一方、200nmを越えるほど大きな粒子では、インクジェット用インクとしたとき、記録ヘッドに詰まりやすく、またインク中での沈降が起き易いため、停滞安定性が劣化する。従って着色微粒子の平均粒子径は5〜200nmであることが好ましく、10〜150nmがより好ましく、平均粒子径が150nmを越えると、水性インクとした場合、光沢メディアに記録した画像では光沢感の劣化が起こり、トランスペアレンシーメディアに記録した画像では著しい透明感の劣化が起こる。また、着色微粒子のピーク粒子径が10nm未満になると着色微粒子の安定性が悪くなり易く、インクの保存安定性が劣化し易くなる。ピーク粒子径としては10〜50nmが最も好ましい。これら体積平均粒子径及びピーク粒子径等は大塚電子製レーザー粒径解析システムや、マルバーン社製ゼータサイザーを用いて求める事が出来る。
【0052】
体積平均粒子径分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)写真の投影面積(少なくとも100粒子以上に対して求める)の平均値から得られた円換算平均粒子径を、球形換算して求めることも出来る。
【0053】
本発明においては、シェルに用いられるポリマー量が総ポリマー量の5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。5質量%より少ないとシェルの厚みが不十分で、色材を多く含有するコアの一部が粒子表面に現れ易くなる。また、シェルのポリマーが多すぎると、コアの色材保護能低下を起こし易い。さらに好ましくは10質量%以上90質量%以下である。
【0054】
染料、顔料等の色材の総量は総ポリマー量に対して20質量%以上1000質量%以下であることが好ましい。色材量がポリマーに比して少なすぎると、吐出後の画像濃度が上がらず、また、色材質量が多すぎるとポリマーの保護能が十分に得られない。
【0055】
ポリマーによって封入される本発明に用いる色材について説明する。
本発明に用いる色材の色相としてはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いることができ、特に好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各染料である。
【0056】
本発明に好ましく用いられる色材としては、油溶性染料が挙げられる。油溶性染料は通常カルボン酸やスルホン酸等の水溶性基を有さない有機溶剤に可溶で水に不溶な染料であるが、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料と長鎖アミンとの造塩染料が知られている。
【0057】
油溶性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、オリエント化学工業株式会社製Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、OilYellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製Kayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta312、Kayaset Blue K−FL、有本化学工業株式会社製FS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504 、Plast Yellow DY352、Plast Red 8375、C.I.Solvent Yellow 88、83、82、79、56、29、19、16、14、04、03、02、01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、218、132、73、72、51、43、27、24、18、01、C.I.Solvent Blue 70、67、44、40、35、11、02、01、C.I.Solvent Black 43、70、34、29、27、22、7、3、C.I.Solvent Violet 3、C.I.Solvent Green 3及び7、三井化学工業株式会社製MS Yellow HD−180、MS Red G、MS Magenta HM−1450H、MS Blue HM−1384、住友化学工業株式会社製ES Red 3001、ES Red 3002、ES Red 3003、TS Red 305、ES Yellow 1001、ES Yellow 1002、TS Yellow 118、ES Orange 2001、ES Blue 6001、TS Turq Blue 618、Bayer社製 MACROLEX Yellow 6G、Ceres Blue GN、Ceres Blue GN、MACROLEX Red Violet R、BASF社製NEOPAN Yellow O75、日本化薬株式会社製KayasetPink FN、KayasetRedA−5B等が挙げられる。また、特開平9−277693号、同10−20559号、同10−30061に示されるような、金属錯体色素も好ましく用いられ、好ましい構造としては下記一般式(1)で表されるものである。
【0058】
一般式(1)
M(Dye)l(A)m
式中、Mは金属イオンを表し、Dyeは金属と配位結合可能な色素を表す。Aは色素以外の配位子を表し、lは1ないし3、mは0、1,2,3を表す。mが0のときlは2または3を表し、その場合Dyeは同種でも異なっていてもよい。
【0059】
Mで表される金属イオンとしては、周期律表の第I〜VIII族に属する金属、例えばAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Pt、Pd、Zr及びZnのイオンが挙げられる。色調、各種耐久性からNi、Cu、Cr、Co、Zn、Feのイオンが特に好ましい。特に好ましくはNiイオンである。
【0060】
Dyeで表される金属と配位結合可能な色素としては種々の色素構造が考えられるが、共役メチン色素、アゾメチン色素、アゾ色素骨格に配位基を有するものが好ましい。
【0061】
油溶性染料として分散染料を用いることができ、分散染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
【0062】
その他、油溶性染料として、フェノール、ナフトール類、又、ピラゾロン、ピラゾロトリアゾール等の環状メチレン化合物、或いは、開鎖メチレン化合物等のいわゆるカプラーに、p−フェニレンジアミン類或いはp−ジアミノピリジン類等、アミノ化合物を酸化カップリングさせ得られるアゾメチン色素、インドアニリン色素等も好ましい。特にマゼンタ染料として、ピラゾロトリアゾール環を有するアゾメチン色素は好ましい。
【0063】
顔料としては以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例として、カーボンブラック顔料としては三菱化成社製No.2300,No.900,MCF−88,No.33,No.40,No.45,No.52,MA7,MA8,MA100,No.2200B、コロンビア社製Raven 700,Raven 5750,Raven 5250,Raven 5000,Raven3500,Raven 1255、キャボット社製Regal 400R,Regal 330R,Regal 660R,Mogul L,Monarch700,Monarch 800,Monarch 880,Monarch900,Monarch 1000,Monarch 1100,Monarch 1300,Monarch 1400、デグサ社製Color Black FW1,Color Black FW2,Color Black FW2V,Color Black FW18,Color Black FW200,Color Black S150,Color Black S160,Color Black S170,Printex 35,Printex U,Printex V,Printex 140U,Printex 140V,Special Black 6,Special Black 5,Special Black 4A,Special Black 4、関西熱化学(株)社製マックスソーブ G−40、マックスソーブ G−15、マックスソーブ G−08等を使用することが出来る。
【0064】
イエロー顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1,C.I.Pigment Yellow 2,C.I.Pigment Yellow3,C.I.Pigment Yellow 12,C.I.PigmentYellow 13,C.I.Pigment Yellow 14,C.I.Pigment Yellow 16,C.I.Pigment Yellow 17,C.I.Pigment Yellow 73,C.I.Pigment Yellow 74,C.I.Pigment Yellow 78,C.I.Pigment Yellow 83,C.I.Pigment Yellow 93,C.I.Pigment Yellow 95,C.I.Pigment Yellow 97,C.I.Pigment Yellow 98,C.I.Pigment Yellow 114,C.I.Pigment Yellow 128,C.I.Pigment Yellow 129,C.I.Pigment Yellow 138,C.I.Pigment Yellow 154,
マゼンタ顔料としては、C.I.Pigment Red 5,C.I.Pigment Red 7,C.I.Pigment Red 12,C.I.Pigment Red 48(Ca),C.I.Pigment Red 48(Mn),C.I.Pigment Red 57(Ca),C.I.Pigment Red 57:1,C.I.Pigment Red 122,C.I.Pigment Red 123,C.I.Pigment Red 168,C.I.Pigment Red 184,C.I.Pigment Red202,
シアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1,C.I.Pigment Blue 2,C.I.Pigment Blue 3,C.I.Pigment Blue 15:3,C.I.Pigment Blue 15:34,C.I.Pigment Blue 16,C.I.PigmentBlue 22,C.I.Pigment Blue 60,C.I.Vat
Blue 4,C.I.Vat Blue 60等が挙げられる。
【0065】
本発明に係わる着色微粒子分散体、また、更に好ましいコアシェルの形態を有する着色微粒子は、ポリマー量として水性インク中に0.5〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜30質量%配合されることが更に好ましい。上記ポリマーの配合量が0.5質量%に満たないと、色材の保護能が十分でなく、50質量%を超えると、水性インクとしての保存安定性が低下したり、ノズル先端部でのインク蒸発に伴うインクの増粘や凝集が起こることによってプリンタヘッドの目詰りが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0066】
一方、上記染料及び顔料等の色材としては、該インク中に1〜30質量%配合されることが好ましく、1.5〜25質量%配合されることが更に好ましい。上記色材の配合量が1質量%に満たないと印字濃度が不十分であり、30質量%を超えると分散体としての経時安定性が低下し、凝集等による粒径増大の傾向があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0067】
本発明の水性インクは水を媒体とし、上記色材を封入したポリマーのサスペンジョンからなり、該サスペンションには従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、無機塩、界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、シリコーン系等の消泡剤、粘度調整剤又はEDTA等のキレート剤、又、亜硫酸塩等の酸素吸収剤等を必要に応じて添加してもよい。
【0068】
ここで、上記湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ジエチルカルビトール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、トリエタノールアミン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物類、ジメチルサルフォキサイドの一種又は二種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記水性インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
【0069】
又、インクの粘度を安定に保つため、発色をよくするために、インク中に無機塩を添加してもかまわない。無機塩としてはたとえば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫化マグネシウム等が挙げられる。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
【0070】
また、乳化剤、分散剤としては特に制限されるものではないが、そのHLB値が8〜18であることが、効果の発現の点からみて或いはサスペンションの粒子径の増大抑制効果がある点から好ましい。
【0071】
界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。
【0072】
乳化剤或いは分散剤として、好ましくは陰イオン性界面活性剤又は高分子界面活性剤であり、陰イオン性界面活性剤が特によい。
【0073】
又、インクの表面張力調整用の活性剤としては好ましくはノニオン性界面活性剤である。
【0074】
陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0075】
陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0076】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0077】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(たとえばエマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(たとえばニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。その他に、界面活性剤としては、例えば花王(株)製の分散剤デモールSNB、MS、N、SSL、ST、P(商品名)もあげられる。
【0078】
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることが出来、インク全量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することが出来る。本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。インクの長期保存安定性を保つため、防腐剤、防黴剤をインク中に添加してもかまわない。
【0079】
又、高分子界面活性剤として、以下の水溶性樹脂を用いることができ、吐出安定性の観点から好ましい。水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等を挙げることができる。高分子界面活性剤の例として、その他に、アクリル−スチレン系樹脂であるジョンクリル等(ジョンソン社)が挙げられる。これらの高分子界面活性剤は、2種以上併用することも可能である。
【0080】
上記の各高分子界面活性剤の分散インク全量に対する添加量としては、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量%である。配合量が0.01質量%に満たないとサスペンションの小粒径化が困難であり、10質量%を超えるとサスペンションの粒径が増大したりサスペンション安定性が低下し、ゲル化するおそれがある。
【0081】
防腐剤・防黴剤としては、芳香族ハロゲン化合物(たとえばPreventol CMK、 クロロメチルフェノール等)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(たとえばPROXEL GXL)などが挙げられるが、本発明を実施する場合、これらに限定されるものではない。
【0082】
インク中を安定に保つために、インク中にpH調整剤を添加してもかまわない。pH調整剤としては、塩酸や酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を水など薄めたりそのまま使用したりできる。
【0083】
また、上記消泡剤としては、特に制限なく、市販品を使用することができる。そのような市販品としては、例えば信越シリコーン社製のKF96、66、69、KS68、604、607A、602、603、KM73、73A、73E、72、72A、72C、72F、82F、70、71、75、80、83A、85、89、90、68−1F、68−2F(商品名)等が挙げられる。これら化合物の配合量に特に制限はないが、本発明の水性インク中に、0.001〜2質量%配合されることが好ましい。該化合物の配合量が0.001質量%に満たないとインク調製時に泡が発生し易く、又、インク内での小泡の除去が難しく、2質量%を超えると泡の発生は抑えられるものの、印字の際、インク内でハジキが発生し印字品質の低下が起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0084】
次に、本発明のインクの製造において用いられる乳化方法について説明する。本発明のインクは、例えばコアとなる色材粒子の製造において、又、直接顔料粒子とポリマーからコアシェル着色微粒子を製造する際等、各種の乳化法を用いることができる。乳化法としては、各種の方法を用いることができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、染料コアの形成には超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。又、顔料用にはメディア分散機が好ましい。
【0085】
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、たとえば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としてもとめられる。超音波の照射時間は実際上は10000秒以下である。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。さらに好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
【0086】
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の255〜256ページに記載されているような、ディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターを有する装置の場合、攪拌翼とステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5m/S以上150m/S以内であれば本発明の乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/Sにするにはモーターの性能を極端に上げる必要があるからである。さらに好ましくは、20〜100m/Sである。
【0087】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、試料にかけられる圧力に依存する。圧力は104kPa〜5×105kPaの範囲が好ましい。また、必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧力を5×105kPaにするためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。さらに好ましくは5×104kPa〜2×105kPaの範囲である。
【0088】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することが可能である。コロイドミルや、フロージェットミキサなども単独では本発明の目的を達成できないが、本発明の装置との組み合わせにより、短時間で乳化・分散を可能にするなど本発明の効果を高めることが可能である。
【0089】
本発明のインクジェット記録用水性インクを吐出して画像形成を行う際に、使用するインクジェットヘッドはオンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。又吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)等など何れの吐出方式を用いても構わない。
【0090】
本発明のインクジェット記録用水性インクを用いた画像形成方法においては、例えば、インクジェット記録用水性インクを装填したプリンター等により、デジタル信号に基づきインクジェットヘッドよりインクを液滴として吐出させインク受容体に付着させることで、例えばインクジェット画像記録媒体上にインクジェット記録画像が形成されたインクジェットプリントが得られる。
【0091】
インクジェット画像記録媒体としては、例えば、普通紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、光沢フィルム、OHPフィルムのいずれも使用することができ、なかでも例えば多孔質層が形成されている所謂空隙層を有する被記録媒体であれば好ましい。上述した支持体の素材或いは形状に特に限定されるものではなく、例えばシート状に形成されたもの以外に立体的な構造を有するものであってもよい。
【0092】
本発明の水性インクは、インクジェット記録用のインクとして以外に、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。本発明のサスペンションを乾燥し、微粒の粉体を得ることもできる。得られた粉体は、電子写真のトナーなどにも使用可能である。
【0093】
【実施例】
以下に、合成例、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0094】
〈樹脂合成例〉
3リットルの四つ口フラスコに滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置及び還流冷却管を付し、酢酸エチル1000gを加熱還流し、ステアリルメタクリレート200g、メチルメタクリレート500g及び2−アセトアセトキシエチルメタクリレート300g、N,N′−アゾビスイソバレロニトリル1gの混合液を2時間かけて滴下し、同温度にて15時間反応させて表1の樹脂R−1の酢酸エチル溶液を得た。
【0095】
以下同様にして表1に挙げた組成の樹脂を合成した。
【0096】
【表1】
Figure 0004051993
【0097】
表中の数値は質量%である
ST:スチレン、MMA:メタクリル酸メチル、SMA:メタクリル酸ステアリル、EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、BA:アクリル酸ブチル、AAEM:メタクリル酸2−アセトアセトキシエチル(日本合成化学製)、GFA:大豆油脂肪酸変性メタクリル酸グリシジル(日本油脂製)
〈着色微粒子分散体の製造例〉
(製造例1)コアシェル型のシアン染料着色微粒子分散体
4gの樹脂R−1を含む酢酸エチル溶液8g、4gのC.I.SolventBlue 70、及び40gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム1gを含む水溶液90gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散体を得た。フラスコ内をN2置換し、ヒーターを付して80℃に加温後、1.5gのスチレン、0.5gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル及び0.1gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリルの混合液を滴下しながら6時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散体を得た。ピーク粒子径:20nm(Malvern社製のZetasizer 1000HSで体積平均の分布を計算し、ピークを求めた)
(製造例2)コアシェル型のイエロー染料着色微粒子分散体
6gの樹脂R−6を含む酢酸エチル溶液12g、3gのC.I.Solvent Yellow 201、3gのC.I.Solvent Yellow 162及び80gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム2gを含む水溶液180gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散体を得た。フラスコ内をN2置換し、ヒーターを付して80℃に加温後、3gのスチレン、1gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル及び0.5gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリルの混合液を滴下しながら6時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散体を得た。ピーク粒子径:30nm(Malvern社製のZetasizer 1000HSで体積平均の分布を計算し、ピークを求めた)
(製造例3)コアシェル型のマゼンタ染料着色微粒子分散体
6gの樹脂R−6を含む酢酸エチル溶液12g、3gのMS Red G(三井化学社製)、3gのPlast Red 8375(有本化学社製)及び80gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム2gを含む水溶液180gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散体を得た。フラスコ内をN2置換し、ヒーターを付して80℃に加温後、3gのスチレン、1gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル及び0.5gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリルの混合液を滴下しながら6時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散体を得た。ピーク粒子径:35nm(Malvern社製のZetasizer 1000HSで体積平均の分布を計算し、ピークを求めた)
(製造例4)コアシェル型のブラック染料着色微粒子分散体
6gの樹脂R−5を含む酢酸エチル溶液12g、6gのOil Black 860(オリエント化学社製)、及び80gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、攪拌して染料を完全溶解させた。ラウリル硫酸ナトリウム2gを含む水溶液180gを滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、300秒間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、着色微粒子分散体を得た。フラスコ内をN2置換後、ヒーターを付して80℃に加温し、3gのスチレン、1gのメタクリル酸2−ヒドロキシエチル及び0.5gのN,N′−アゾビスイソバレロニトリルの混合液を滴下しながら6時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散体を得た。ピーク粒子径:40nm(Malvern社製のZetasizer 1000HSで体積平均の分布を計算し、ピークを求めた)
(比較製造例)
比較としてメタクリル酸メチル/ステアリルメタクリレート=30/70の樹脂(重量平均分子量;75,000)を合成し、この樹脂を用いた以外は製造例1〜4と全く同じに方法による比較製造例1〜4により比較の着色微粒子分散体を作製した。
【0098】
【表2】
Figure 0004051993
【0099】
〈性能評価試験〉
(試験1)
前記の方法で製造した染料着色微粒子分散体(製造例1〜4、比較製造例1〜4)をそれぞれ、イエロー60g、マゼンタ60g、シアン68g、ブラック68gを秤量し、各々にエチレングリコール15g、グリセリン15g、サルフィノール465を0.5g、Proxel GXを0.1g加えて残りが純水になるように調整し各々100gづつインクを作製した。更に0.8μmのメンブレンフィルターによって濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してインクジェット用インク1〜8を得た。分散安定性、インク保存性を評価するために粒子径変化率、濾過性を評価した。
【0100】
更に各インクをインクジェットプリンター(エプソン社製 型番PM−830C)を用いて、コニカフォトジェットペーパー Photolike QP 光沢紙(コニカ株式会社製)にプリントし、吐出安定性及び得られた画像の最高濃度、耐光性を評価した。結果を表3に示す。
【0101】
【表3】
Figure 0004051993
【0102】
表3から明らかなように製造例1〜4による本発明の着色微粒子水分散体を用いたインク1〜4は粒径変化率、濾過性に優れ分散安定性、保存安定性に優れたインクであることが分かる。一方、本発明外のインク5〜8は強制劣化での粒子径増大も大きく安定性の劣るインクであった。プリンターでの試験では分散安定性を反映して本発明のインクは吐出安定性に全く問題がなく、最高濃度が高く、耐光性に優れる結果であったが、本発明外のインクは吐出安定性、最高濃度、耐光性に劣る結果であった。
【0103】
尚、上記の評価は以下の方法により行った。
粒子径変化率%:
インクを60℃で1週間保管し、加熱保管後の平均粒径/加熱前の平均粒径×100の値(%)を求めた。
濾過性:
インクを60℃で1週間保管した後に、5mlを採取し0.8μmのセルロースアセテートメンブランフィルター濾過を行い、全量濾過できたものを◎、半量以上濾過できたものを〇(許容レベル)、半量以上の濾過ができなかったものを×(不可レベル)とした。
吐出安定性:
プリンターで連続出射して10分以上ノズル欠が出ないものを○(許容レベル)、それ未満の時間でノズル欠がでるものを×(不可レベル)とした。
最高濃度:
X−Rite 900(日本平板機材製)を用いて測色した各色濃度を記載した。
耐光性:
濃度を段階的に変化させたサンプルを作製し、試験機として低温XeウェザーメータXL75(スガ試験機製)を用いて行った。濃度変化はX−Rite 900(日本平板機材製)を用いて測定した。プリント濃度1近辺での濃度変化を測定した。濃度が不足しているサンプルは最高濃度の部分の濃度変化を測定した。色材が染料の場合は1週間試験後、もとの濃度から70%以上残存しているものを◎、50%以上、70%未満残存しているものを○(許容レベル)、50%未満の残存率のものを×(不可レベル)とした。色材が顔料の場合は40日試験後、もとの濃度からみて90%以上残存しているものを○(許容レベル)、それ以下を×(不可レベル)とした。
【0104】
(試験2)
試験1で使用した本発明のインク1〜4を濃色インクとして用い、マゼンタとシアンについては濃色の1/4の染料濃度に、溶剤として各々エチレングリコール20g、グリセリン20gを加える以外は濃色インクと同様にして淡色インクを作製した。これらインク1〜4及び作製した淡色のインクによりインクセットを構成した。比較として本発明外のインク5〜8及び本発明の淡色インクと同様に比較の淡色インクを作製し、インク5〜8及び同様にして作製した淡色インクとで比較のインクセットを構成した。両方のインクセットを用いて、インクジェットプリンター(型番PM−830C)でコニカフォトジェットペーパー Photolike QP 光沢紙(コニカ株式会社製)にフルカラーのプリントを行った。
【0105】
【表4】
Figure 0004051993
【0106】
上記評価は以下のように行った。
平均面粗さ(Ra):
YMCベタ打ちでの表面粗さをAFMで測定した。
光沢:
モニター10人に目視で評価して貰った。
1:ざらざら感がある、
2:正面から見ると光沢はあるが、斜めから見るとざらざら感がある、
3:正面から、斜めから見ても光沢がある。
色再現域:
PM830Cの純正染料インクを用いて混色チャートをプリントし、明度50での色再現域をL***の面積として求め、それを100としたときの各インクセットのL***面積を相対的に求めた(%)
【0107】
【発明の効果】
保存性、吐出安定性に優れ、高いプリント濃度が得られると共に光沢、色再現性が良好で、耐光性に優れたインクジェット用水性インクを得ることが出来た。

Claims (9)

  1. 色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子分散体であって、樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが、重合性ビニル基を有し、かつビニル基1個当たり2〜4個のエステル構造を有するモノマーによる着色微粒子分散体に、更にポリマーシェルを被覆し、コアシェル構造としたことを特徴とする着色微粒子分散体。
  2. 樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが重合性ビニル基を有し、かつ少なくとも1つのβ−ジケトン構造を有するモノマーによることを特徴とする請求項1に記載の着色微粒子分散体。
  3. 樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが下記一般式(1)で表されるモノマーによることを特徴とする請求項1または2に記載の着色微粒子分散体。
    Figure 0004051993
    1、R2は独立に水素原子、またはアルキル基であり同時にアルキル基になることはない。Yは水素原子、−COOR3で表される基又は−COO−L−O−CO−CH2−CO−Zで表される基を表し、R3は水素原子或いはアルキル基を、Lは、直鎖、分岐の炭素数1〜6のアルキレン基、またはフェニレン基で表される2価の基であり、Zはアルキル基或いはヒドロキシル基を表す。
  4. 樹脂を構成するモノマー単位のうち少なくとも一つが下記一般式(2)で表されるモノマーによることを特徴とする請求項1に記載の着色微粒子分散体。
    Figure 0004051993
    1、R2は独立に水素原子、またはアルキル基であり同時にアルキル基になることはない。Yは水素原子、−COOR3で表される基又は−COO−L−CH(OCOR4)−Zで表される基を表し、R3は水素原子或いはアルキル基を、R4はアルキル基或いはアルケニル基を、Lは、直鎖、分岐の炭素数1〜6のアルキレン基、またはフェニレン基で表される2価の基であり、Zはアルキル基或いはヒドロキシル基を表す。
  5. 前記着色微粒子の色材が染料であり、且つ、色材と樹脂を混合し水に分散させてなる着色微粒子が、色材と樹脂を有機溶媒に溶解して水中で乳化した後、有機溶媒を除去することで得られる着色微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色微粒子分散体を含むことを特徴とする水性インク。
  7. 着色微粒子のピーク粒径が50nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の水性インク。
  8. インクジェット用インクであることを特徴とする請求項6または7に記載の水性インク。
  9. デジタル信号に基づきインクジェットヘッドより請求項8の水性インクを液滴として吐出させインク受容媒体に付着させることを特徴とする画像形成方法。
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