JP4014529B2 - インクジェット記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録材料に関し、特にフォトライクな高い光沢と発色性を有し、保存時の画像滲みの少ないインクジェット記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式に使用される記録材料として、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
【0003】
例えば、特開昭55−51583号、同56−157号、同57−107879号、同57−107880号、同59−230787号、同62−160277号、同62−184879号、同62−183382号、及び同64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水系バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
【0004】
また、特公平3−56552号、特開平2−188287号、同平10−81064号、同平10−119423号、同平10−175365号、同10−203006号、同10−217601号、同平11−20300号、同平11−20306号、同平11−34481号、同2000−211235号公報等には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと記す)を用いた記録材料が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、特開昭62−174183号、特開平2−276670号、特開平5−32037号、特開平6−199034号公報等にアルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている(特許文献2)。
【0006】
アルミナ水和物、アルミナ、および気相法シリカは、一次粒子の平均粒径が数十nm以下の超微粒子であり、高い光沢と高いインク吸収性が得られるという特徴がある。しかしながら、光沢性との風合いの観点から、支持体として紙の表面にポリエチレン等の樹脂を被覆した紙支持体(樹脂被覆紙)を用いた場合、色材受容層にそのまま高沸点溶媒が残存し、印画後、高温高湿環境下に長時間保存されると、インク受容層中で該溶媒が染料と共に拡散して、画像の滲み(以降、高湿滲みと記す)を生じるという問題があった。
【0007】
一方、インクジェット記録材料には、インク中の染料成分を固定化する目的でアミノ基やアンモニウム塩を有する化合物、特にこれらを有する高分子化合物を添加することが提案されている。例えば、特開昭60−83882号公報、同64−75281号公報、同59−20696号公報等に記載されるジアリルアンモニウム塩誘導体の(共)重合体、特開2002−274024号公報(特許文献3)、特開昭61−61887号公報、同61−72581号公報等に記載されるアリルアミン塩(共)重合体、特開平8−108618号公報(特許文献4)、特開平6−340163号公報、同4−288283号公報、同9−300810号公報、同8−318672号公報、同10−272830号公報、特開昭63−115780号公報等に記載のアンモニウム塩を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド系(共)重合体、ビニルベンジルアンモニウム塩(共)重合体等のビニル(共)重合体など多くの化合物が知られている。
【0008】
また、特開平10−44588号公報等に記載の変性ポリビニルアルコール(PVA)、特開平6−234268号公報、同11−277888等に記載のアミン・エピクロルヒドリン重付加体、特開平10−119418号公報等に記載のジハライド・ジアミン重付加体、特開平11−58934号公報、同11−28860等に記載のポリアミジン、同12−71603号公報などに記載のアリルアミン塩酸塩、アリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等の重合体など多くの化合物が提案されている。また、特開昭63−280681号公報には、炭素数2〜3のヒドロキシアルキルが置換されたポリアミン類を用いたインクジェット記録材料が示されている。
【0009】
しかしながら、前述した気相法シリカあるいはアルミナ水和物を用いた高い空隙率を持つインク受容層はインク吸収性及び光沢性に優れるが、高湿滲み、発色性、及び耐光性を同時に充分に満足するまでには至っていなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−211235号公報(第2頁〜第4頁)
【特許文献2】
特開平6−199034号公報(第2頁〜第3頁)
【特許文献3】
特開2002−274024号公報(第2頁〜第6頁)
【特許文献4】
特開平8−108618号公報(第2頁〜第4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は高光沢で発色性に優れ、かつ染料インクで印字後、保存中に発生する滲みの少ない、耐光性に優れたインクジェット記録材料を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、支持体上に、無機微粒子を主体に含有するインク受容層を有するインクジェット記録材料において、前記支持体が、基紙の両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙であり、前記インク受容層が少なくとも2層からなり、下層のインク受容層が、カチオン性基として1〜3級アミンの酸付加物を有するカチオン性ポリマー(A)と、カチオン性基として4級アンモニウム基を有するカチオン性ポリマー(B)とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料によって達成された。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるカチオン性ポリマー(A)の好ましいものは、下記一般式(1)を繰り返し単位とするカチオン性ポリマーである。
【0014】
【化1】
【0015】
但し、式中、R1は水素又はメチル基を表し、L1は連結基を表す。R2及びR3は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、水素あるいはアルキル基を表し、HXは酸を表す。詳細にはL1の連結基としてはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基、COO、NHCOO、NHCOOCH2CH2、またはCONHなどの単独もしくは複合からなる連結基が挙げられる。R2及びR3のアルキル基としてはC1〜C4の直鎖もしくは分岐のアルキル基が挙げられる。
【0016】
カチオン性ポリマー(A)の具体的な繰り返し単位を以下に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明のカチオン性ポリマー(A)は、上記の繰り返し単位のみからなるホモポリマーであっても、他の共重合可能なモノマーとのコポリマーであってもよい。コポリマーの場合には、上記繰り返し単位はコポリマー100質量部に対して50質量部以上含まれていることが好ましい。
【0019】
本発明のカチオン性ポリマー(A)として、好ましくは、アリルアミン塩酸塩水溶液からラジカル重合により得られるポリアリルアミン塩酸塩が挙げられ、例えば、PAA−HCL(日東紡績(株))として市販されている。
【0020】
本発明に用いられるカチオン性ポリマー(B)の好ましいものは、下記一般式(2)を繰り返し単位とするカチオン性ポリマーである。
【0021】
【化3】
【0022】
但し、式中、R4は水素又はメチル基を表し、L2は連結基を表す。R5、R6及びR7は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、置換、無置換の、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基を表し、X-は陰イオンを表す。詳細にはL2の連結基としてはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、アラルキレン基、COO、NHCOO、NHCOOCH2CH2、CONHまたはCOOCH2CH(OH)CH2などの単独もしくは複合からなる連結基が挙げられる。R5、R6及びR7のアルキル基あるいはアルケニル基としてはC1〜C4の直鎖もしくは分岐のもの、アリール基としてはフェニル基等、アラルキル基としてはベンジル基等が挙げられる。X-の陰イオンとしてはハロゲンイオン(特に塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)、硫酸イオン、アルキル硫酸イオン(特にメチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン)、アルキルあるいはアリールスルホン酸イオン、酢酸イオンを表す。特に好ましいポリマーは、R5、R6及びR7の少なくとも1つはアラルキル基である。
【0023】
カチオン性ポリマー(B)の具体的な繰り返し単位を以下に示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
【化4】
【0025】
本発明のインクジェット記録材料は無機微粒子を主体に含有するインク受容層を少なくとも1層有する。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層における全固形分に対して無機微粒子を50質量%以上含有することであり、より好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは65質量%以上であり、上限は95質量%程度である。また、インク受容層における無機微粒子の乾燥塗布量の合計は12〜45g/m2であり、好ましくは15〜35g/m2である。上記範囲は、インク吸収性及びインク受容層の強度の面で好ましい。
【0026】
本発明に用いられる無機微粒子は、光沢性と透明性からは平均一次粒径が100nm以下の無機微粒子、例えば、合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等が挙げられる。好ましくは、合成シリカ、アルミナ、及びアルミナ水和物が使用される。特に好ましくは、平均一次粒径が5〜50nmの気相法シリカ、湿式法シリカ、アルミナ、およびアルミナ水和物の少なくとも1種が使用される。
【0027】
本発明に用いられる合成シリカには、湿式法によるものと気相法によるものがある。通常シリカ微粒子といえば湿式法シリカを指す場合が多い。湿式法シリカとしては、▲1▼ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾル、または▲2▼このシリカゾルを加熱熟成して得られるコロイダルシリカ、▲3▼シリカゾルをゲル化させ、その生成条件を変えることによって数μmから10μm位の一次粒子がシロキサン結合をした三次元的な二次粒子となったシリカゲル、更には▲4▼シリカゾル、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等を加熱生成させて得られるもののようなケイ酸を主体とする合成ケイ酸化合物等がある。
【0028】
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
【0029】
本発明において好ましく用いられる気相法シリカの平均一次粒径は50nm以下でかつ平均二次粒子径は500nm以下である。更に好ましくは平均一次粒径は3〜30nmでかつ平均二次粒子径は300nm以下である。気相法シリカは高圧ホモジナイザー等の分散装置で水系分散することによって微粒子化できる。
【0030】
気相法シリカの分散工程は、分散媒に気相法シリカを添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液を分散装置で分散する二次分散工程からなる。
【0031】
一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。二次分散工程に用いられる分散装置としては、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、ボールミル等が用いられる。特に、二次分散工程に用いられる分散装置としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機が好ましく、例えば特開平10−310416号、特開2000−239536号、特開2001−207078号公報に記載されている圧力式分散方法を用いることができる。
【0032】
本発明において、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で分散するのが好ましい。カチオン性化合物の存在下で分散するとは、少なくとも二次分散工程における分散時には、カチオン性化合物が存在すること意味する。好ましくは、二次分散工程の開始前にカチオン性化合物を添加することであり、より好ましくは、一次分散工程で用いられる分散媒に予めカチオン性化合物を添加しておくことである。更に好ましくは、一次分散工程において、カチオン性化合物を含有する分散媒中に、気相法シリカを粉体の状態で添加し混合することである。分散媒に粉体の気相法シリカを混合する装置としては、フロー式連続吸引混合攪拌機を用いることができる。上記した気相法シリカの分散方法を用いることによって、気相法シリカの濃度が18質量%以上、更には19質量%以上の高濃度シリカスラリーの製造が可能となる。
【0033】
気相法シリカの分散に用いられる分散媒は水を主体とするが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0034】
上記した気相法シリカの分散工程では、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含まない状態で分散するのが好ましい。気相法シリカが分散された後は、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤を添加して再度高圧ホモジナイザー等で分散してもよい。
【0035】
上記のようにして分散され微粒子化された気相法シリカは、数nm〜数十nmの一次粒子が網目構造あるいは鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在する。この凝集粒子の平均粒径(平均二次粒子径)は、前述したように500nm以下が好ましく、特に300nm以下が好ましい。下限の粒子径は30nm程度である。ここで、凝集粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。
【0036】
湿式法シリカは、製造方法によって更に沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類されるが、本発明に好ましく用いられる湿式法シリカは、沈降法シリカあるいはゲル法シリカである。
【0037】
沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造される。製造過程で粒子成長したシリカ粒子は、凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。沈降法シリカとしては、例えば日本シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシール、ファインシールとして市販されている。
【0038】
ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。この場合、熟成中に小さなシリカ粒子が溶解し、大きな粒子の一次粒子間に一次粒子どうしを結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。例えば、水澤化学(株)からミズカシルとして、グレースジャパン(株)からサイロジェットとして市販されている。
【0039】
上記した湿式法シリカの平均二次粒子径は通常1μm以上であるので、平均二次粒子径が500nm以下まで粉砕して用いるのが好ましい。更に、300nm以下まで粉砕して用いるのが好ましい。下限は30nm程度である。
【0040】
湿式法シリカの粉砕は、分散媒にシリカ微粒子を添加し混合(予備分散)する一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液中のシリカを粉砕する二次分散工程からなる。一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ撹拌、歯状ブレード型分散機、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌、超音波撹拌等で行うことができる。湿式法シリカの粉砕方法としては、分散媒中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機等を使用することができるが、本発明では特にビーズミル等のメディアミルが好ましく用いられる。
【0041】
本発明において、湿式法シリカをカチオン性化合物の存在下で粉砕するのが好ましい。カチオン性化合物の存在下で粉砕するとは、少なくとも粉砕工程(二次分散工程)には、カチオン性化合物が存在すること意味する。好ましくは、粉砕工程の開始前にカチオン性化合物を添加することであり、より好ましくは、一次分散工程で用いられる分散媒に予めカチオン性化合物を添加しておくことである。更に好ましくは、一次分散工程において、カチオン性化合物を含有する分散媒中に、湿式法シリカを粉体の状態で添加し混合することである。分散媒に粉体の湿式法シリカを混合する装置としては、フロー式連続吸引混合攪拌機を用いることができる。
【0042】
湿式法シリカの分散に用いられる分散媒は水を主体とするが、少量の有機溶剤(エタノール等の低級アルコールや酢酸エチル等の低沸点溶剤)を含んでもよい。その場合、有機溶剤は全分散媒に対して20質量%以下、更には10質量%以下であることが好ましい。
【0043】
上記した湿式法シリカの粉砕工程では、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤(硬膜剤)は含ませないのが好ましい。湿式法シリカが粉砕された後は、ポリビニルアルコールのような親水性バインダーやホウ酸等の架橋剤を添加して再度高圧ホモジナイザー等で分散してもよい。
【0044】
本発明に用いられる湿式法シリカは、平均粒子径(平均二次粒子径)が5μm以上のものが好ましい。比較的大きな粒子径のシリカを粉砕することによって、より高濃度での分散が可能となる。本発明に用いられる湿式法シリカの平均粒子径の上限は特に制限されないが、通常湿式法シリカの平均粒子径は200μm以下である。
【0045】
本発明において湿式法シリカとしては、沈降法シリカが好ましい。前述したように、沈降法シリカは、その二次粒子が緩やかな凝集粒子であるので、粉砕するのに好適である。
【0046】
前述した合成シリカを分散もしくは粉砕して微粒子化する際に用いられるカチオン性化合物としては、例えばカチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーの分子量は、5,000〜5万程度が好ましい。
【0047】
上記カチオン性ポリマーの中でも、特にポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有するカチオン性ポリマーが好ましく、下記一般式(3)、(4)、(5)又は(6)で表される構造を構成単位とするカチオン性ポリマーである。これらのカチオン性ポリマーは、シャロールDC902P(第一工業製薬(株))、ジェットフィックス110(里田化工(株))、ユニセンスCP−101〜103(センカ(株))、PAS−H(日東紡績(株))として市販されている。
【0048】
【化5】
【0049】
【化6】
【0050】
【化7】
【0051】
【化8】
【0052】
一般式(3)、(4)、(5)及び(6)において、R8及びR9は各々、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、またはヒドロキシエチル基等の置換アルキル基を表し、Yはラジカル重合可能なモノマー(例えば、スルホニル、アクリルアミド及びその誘導体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等)を表す。また、一般式(5)及び(6)において、n/m=9/1〜2/8、l=5〜10000である。X-は陰イオンを表す。
【0053】
一般式(5)又は(6)で示されるポリジアリルアミンの誘導体の具体的な例としては、特開昭60−83882号公報記載のSO2基を繰り返し単位に含む もの、特開平1−9776号公報に記載されているアクリルアミドとの共重合体等が挙げられる。
【0054】
カチオン性化合物としての水溶性多価金属化合物は、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられる。カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。中でも透明性、耐水性改良効果の高いジルコニウム系化合物が好ましい。
【0055】
また、水溶性アルミニウム化合物として、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が挙げられる。塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式7、8又は9で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0056】
[Al2(OH)nCl6-n]m ・・一般式7
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・一般式8
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・一般式9
【0057】
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
【0058】
上記したカチオン性化合物の使用量は、合成シリカの分散工程あるいは粉砕工程において、合成シリカに対して1〜10質量%が好ましく、特に好ましくは2〜7質量%である。
【0059】
前述した本発明のカチオン性ポリマー(A)あるいはカチオン性ポリマー(B)を、上記したカチオン性化合物として用いても良い。
【0060】
本発明のアルミナとしては酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用出来る。
【0061】
本発明で好ましく使用されるアルミナ水和物は、Al2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
【0062】
本発明の無機微粒子の平均粒径は、分散された粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒径として求めた。本発明のアルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は、平板状の場合は平面状態で測定される。
【0063】
本発明のインク受容層は、皮膜としての特性を維持するためと、透明性が高くインクのより高い浸透性が得られる親水性バインダーが用いられる。親水性バインダーの使用に当たっては、親水性バインダーがインクの初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い親水性バインダーが好ましく用いられる。ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース等やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい親水性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。インク受容層の親水性バインダーの含有量は好ましくは無機微粒子の5〜30質量%、特に好ましくは5〜25質量%である。
【0064】
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
【0065】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
【0066】
本発明において、無機微粒子を主体に含有するインク受容層は単一層であっても、2層以上の複数層で構成されていてもよい。インク受容層が複数層の場合は、本発明のカチオン性ポリマー(A)及び(B)は、同一層に含有させても、別々の層に分けて含有させても良いが、好ましくは同一層に含有させることである。本発明において、インク受容層が複数層から成るのが好ましい。以下に複数層の構成について詳細に説明する。
【0067】
本発明において好ましい態様は、下層のインク受容層が平均粒子径が500nm以下まで分散あるいは粉砕された合成シリカを主体に含有し、上層のインク受容層がアルミナあるいはアルミナ水和物を主体に含有する構成であり、本発明のカチオン性ポリマー(A)及び(B)は、下層のインク受容層に含有させることが好ましい。アルミナあるいはアルミナ水和物を主体に含有する上層のインク受容層にはカチオン性ポリマー(A)及び(B)は実質的に含有させないことが好ましい。上層のインク受容層にカチオン性ポリマー(A)及び(B)含有させる場合は、下層の含有量に対して1/10以下であることが好ましい。また、下層のインク受容層に用いられる合成シリカとしては、特に気相法シリカが好ましい。
【0068】
本発明のカチオンポリマー(A)及び(B)の含有量は無機微粒子に対して各々1〜10質量%、好ましくは2〜7質量%である。また、カチオンポリマー(A)とカチオンポリマー(B)の含有比率は、2:1〜1:2が好ましく、特に1:1〜1:2が好ましい。
【0069】
本発明のインクジェット記録材料は、インク受容層上にコロイダルシリカと親水性バインダーを含有する保護層を設けて耐傷性を改良してもよい。本発明ではインク受容層はインクの染料等の色剤を保持する機能を有するのに対し、保護層は主として耐傷性を向上する機能を有するものであるが、保護層が両者の機能を有する場合もある。
【0070】
保護層のコロイダルシリカに対する親水性バインダーの固形分質量比は0.01〜3、保護層の固形分塗布量は0.1〜5g/m2の範囲が好ましい。
【0071】
本発明において、インク受容層には更に水溶性の多価金属化合物を含有させてもよい。水溶性の多価金属化合物としては、前述したものを用いることができる。
【0072】
本発明において好ましくは、インク受容層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
【0073】
本発明において、インク受容層には、親水性バインダーと共に硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸、ほう砂およびほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受容層を構成する親水性バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
【0074】
本発明において、インク受容層には、更に、各種界面活性剤、硬膜剤の他に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0075】
本発明において、インク受容層の塗布方法は特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ケッドバーコーティング方式、バーコター方式、ブレードコーテイング方式、ディップ方式等がある。
【0076】
本発明の支持体としては、基紙の両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙が好ましい。樹脂被覆紙を構成する基紙に使用されるパルプは、例えばLBKP、NBKP、LBSP、NBSP、LUKP、NUKP、LUSP、NUSP等の化学パルプ、GP、TMP等の機械パルプ等のバージンパルプ、新聞古紙、雑誌、オフィス古紙等からの再生パルプが使用される。
【0077】
基紙には填料として、平均粒径が0.3〜10μmの白色顔料、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、硫酸バリウム等の少なくとも1種を全パルプの固形分に対して2〜30質量%、好ましくは4〜30質量%使用される。平均粒径が0.3μmより小さい白色顔料は抄造時に紙への歩留まりが悪く、10μmより大きい白色顔料は紙の地合が悪くなる。特にJIS−M8016で規定される白色度が88%以上の白色顔料が好ましく用いられる。白色顔料が基紙の2質量%より少ないと充分な白さの基紙が得られにくく、30質量%より多くなると、製造工程で汚れ等の問題や基紙の強度低下が発生する。この基紙には一般に製紙で用いられている各種サイズ剤、紙力増強剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
【0078】
さらに、基紙には、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
【0079】
また、基紙の厚さは、70〜200μmが好ましい。紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどして厚さを調整する。表面平滑性の良いものが好ましいが、圧縮しすぎると白色度が低下しやすい。
【0080】
使用される樹脂としては、密度が0.91〜0.93g/cm3の低密度ポリエチレン、密度が0.94〜0.96g/cm3の高密度ポリエチレン、中間密度の中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であるポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。特に取り扱い性からポリオレフィン樹脂が好ましく使用され、特に密度が0.91〜0.93g/cm3の低密度ポリエチレンを該樹脂被覆層の全樹脂固形分の50質量%以上含有させることが好ましい。
【0081】
また、樹脂被覆紙の少なくともインク受容層を設ける側の樹脂被覆層中には、平均粒径が0.1〜1μmである、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の白色顔料の少なくとも1種を全樹脂の固形分に対して5〜20質量%、好ましくは7〜15質量%含有させることができる。平均粒径が0.1μmより小さい白色顔料は隠蔽効果が小さく、1μmより大きいと樹脂層の表面性が低下する。特にJIS−M8016で規定される白色度が88%以上の白色顔料が好ましく用いられる。白色顔料が樹脂の固形分に対して5質量%より少ないと、特に基紙の厚さが薄い場合、樹脂被覆紙の不透明度が不十分となる。20質量%より多いと樹脂層表面が傷の発生等により不均一になりやすいほか強度が低下するので操業時に紙切れ等が発生しやすくなる。その他の添加剤としてステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加える。
【0082】
樹脂被覆紙の主な製造方法としては、走行する基紙上に熱可塑性樹脂を加熱溶融した状態で流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、基紙が樹脂により被覆される。また、樹脂を基紙に被覆する前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。裏面の樹脂被覆層は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。
【0083】
樹脂被覆紙のインク受容層側である表側樹脂層は、主として原紙の片面に熱可塑性樹脂を押出機で加熱溶融し、基紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際、クーリングロールは樹脂コーティング層の表面形状の形成に使用され、樹脂層の表面はクーリングロール表面の形状により鏡面、微粗面、またはパターン化された絹目状やマット状等に型付け加工することができる。
【0084】
樹脂被覆紙の裏側樹脂層も樹脂を押出機で加熱溶融し、基紙とクーリングロールとの間にフィルム状に押出し、圧着、冷却して製造される。この際プリンターでの搬送性からは好ましくはクーリングロールはJIS−B−0601に規定されるRaが0.8〜5μmになるようにクーリングロール表面の形状により微粗面、またはパターン化された、例えば絹目状やマット状等に型付け加工することが好ましい。
【0085】
基紙に樹脂被覆層を設ける方法は、加熱溶融樹脂を押し出して塗設する以外に電子線硬化樹脂を塗設後、電子線を照射する方法や、ポリオレフィン樹脂エマルジョンの塗液を塗設後乾燥、表面平滑化処理を施す方法等が有る。いずれも凹凸を有する熱ロール等での型付けを行うことで本発明に適応可能な樹脂被覆紙が得られる。
【0086】
樹脂被覆紙の表側面には接着性を改良するために下引き層を設けても良い。この下引き層は、インク受容層が塗設される前に、予め支持体の樹脂層表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/m2が好ましく、20〜300mg/m2がより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。また、樹脂被覆紙に下引き層を塗布する前には、コロナ放電することが好ましい。
【0087】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。部は質量部を表す。
【0088】
参考例1
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100質量%の樹脂に対して、10質量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70質量部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
【0089】
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作成した。
【0090】
<下引き層>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
【0091】
上記のようにして作製した支持体の下引き層を設けた面に下記組成のインク受容層A−1塗布液を乾燥塗布量が30g/m2になるようにスライドビード塗布装置で塗布し乾燥した。塗布後の乾燥条件は、5℃で30秒間冷却後、全固形分濃度が90質量%までを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥した。
【0092】
<気相法シリカ分散液1の作製>
水 430部
変性エタノール 22部
カチオンポリマー(B) 3部
(ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー、第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、平均分子量9000)
気相法シリカ 100部
(平均一次粒径7nm、BET法による比表面積300m2/g)
【0093】
分散媒の水と変性エタノールの中にジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーを添加し、次いで気相法シリカを添加し予備分散して粗分散液を作製した。次にこの粗分散液を高圧ホモジナイザーで2回処理して、シリカ濃度が20質量%の気相法シリカの分散液を作製した。気相法シリカの平均粒子径は100nmであった。
【0094】
<インク受容層A−1塗布液>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオンポリマー(A) 1部
(化2で例示したA−1の繰り返し単位からなるホモポリマー)
界面活性剤 0.1部
【0095】
参考例2
参考例1のインク受容層A−1の塗布液を下記インク受容層A−2塗布液に変えた以外は参考例1と同様にして参考例2のインクジェット記録材料を得た。
【0096】
<インク受容層A−2塗布液>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオンポリマー(A) 1部
(化2で例示したA−1の繰り返し単位からなるホモポリマー)
カチオンポリマー(B) 2部
(化4で例示したB−1の繰り返し単位からなるホモポリマー)
界面活性剤 0.1部
【0097】
比較例1
<気相法シリカ分散液2の作製>
参考例1の気相法シリカ分散液1の作製において、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマーを除いた以外は同様にして気相法シリカ分散液2を作製した。
【0098】
参考例1のインク受容層A−1塗布液を下記インク受容層A−3塗布液に変えた以外は参考例1と同様にして比較例1のインクジェット記録材料を得た
【0099】
<インク受容層A−3塗布液>
気相法シリカ分散液2 (気相法シリカの固形分として)100部
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオンポリマー(A) 6部
(化2で例示したA−1の繰り返し単位からなるホモポリマー)
界面活性剤 0.1部
【0100】
比較例2
参考例1のインク受容層A−1塗布液を下記インク受容層A−4塗布液に変えた以外は参考例1と同様にして比較例2のインクジェット記録材料を得た。
【0101】
<インク受容層A−4塗布液>
気相法シリカ分散液2 (気相法シリカの固形分として)100部
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオンポリマー(B) 6部
(化4で例示したB−1の繰り返し単位からなるホモポリマー)
界面活性剤 0.1部
【0102】
比較例3
参考例1のインク受容層A−1塗布液を下記インク受容層A−5塗布液に変えた以外は参考例1と同様にして比較例3のインクジェット記録材料を得た。
【0103】
<インク受容層A−5塗布液>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として)100部
ほう酸 1部
ポリビニルアルコール 25部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
カチオンポリマー(B) 3部
(化4で例示したB−1の繰り返し単位からなるホモポリマー)
界面活性剤 0.1部
【0104】
上記のようにして作成したインクジェット記録シートについて下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0105】
<白紙部光沢性>
記録材料の印字前の白紙部光沢感を斜光で観察し、下記の基準で評価した。
◎:カラー写真並の高い光沢感が有る。
○:高い光沢感はあるが、◎に比べやや劣る。
△:アート、コート紙並の光沢感が有る。
×:上質紙並の沈んだ光沢感が有る。
【0106】
<発色性>
市販のインクジェットプリンター(キヤノン社製、BJF−870)にてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色のベタ印字を行い、光学濃度をマクベス反射濃度計で測定し、各色の光学濃度の合計値を示した。数値が大きい方が発色性が良いことを意味する。
【0107】
<高湿滲み>
印字後、40℃80%の環境下に保管したサンプルを1週間後に目視にて観察し、下記の基準で判定した。
◎:滲みがない
○:僅かに滲みが認められる
△:滲みが認められる
×:著しく滲んでいる
【0108】
<耐光性>
印字後、南側の良く日光が当たる窓に印字面を外に向けてサンプルを貼り付け1週間後に目視にて観察し、下記の基準で判定した。
◎:退色がない
○:僅かに退色が認められる
△:退色が認められる
×:著しく退色している
【0109】
【表1】
【0110】
参考例1及び2のインクジェット記録材料は、インク受容層の光沢性、発色性、高湿滲み、耐光性に優れた結果であった。特に参考例2はカチオン性ポリマー(A)として一般式(1)を繰り返し単位に有するカチオン性ポリマーと、カチオン性ポリマー(B)として一般式(2)の繰り返し単位を有するカチオン性ポリマーを併用することによって、一段と高湿滲み、耐光性に優れた結果であった。比較例1は、インク受容層にカチオン性ポリマー(A)のみを含有する例であるが、耐光性が劣る結果であった。また、比較例2及び3はインク受容層にカチオン性ポリマー(B)のみを含有する例であるが、高湿滲み、耐光性が劣る結果であった。
【0111】
実施例1
支持体上に参考例1で用いたインク受容層A−1塗布液、及び下記インク受容層B塗布液を、乾燥塗布量がインク受容層A−1が20g/m2、インク受容層Bが15g/m2になるように、スライドビード塗布装置で同時塗布し、参考例1と同様に乾燥して実施例1のインクジェット記録材料を得た。インク受容層A−1が支持体に近い下層、インク受容層Bが上層である。
【0112】
<インク受容層B塗布液>
擬ベーマイト 100部
(平均一次粒径14nm、平均二次粒径160nm、角柱状粒子)
ほう酸 0.5部
ポリビニルアルコール 12部
(ケン化度88%、平均重合度3500)
界面活性剤 0.3部
【0113】
実施例2
実施例1の下層のインク受容層A−1塗布液を参考例2で使用したインク受容層A−2塗布液に変えた以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録材料を得た。
【0114】
比較例4
実施例1の下層のインク受容層A−1塗布液を比較例1で使用したインク受容層A−3塗布液に変えた以外は実施例1と同様にして比較例4のインクジェット記録材料を得た。
【0115】
比較例5
実施例1の下層のインク受容層A−1塗布液を比較例2で使用したインク受容層A−4塗布液に変えた以外は実施例1と同様にして比較例5のインクジェット記録材料を得た。
【0116】
比較例6
実施例1の下層のインク受容層A−1塗布液を比較例3で使用したインク受容層A−5塗布液に変えた以外は実施例1と同様にして比較例6のインクジェット記録材料を得た。
【0117】
上記のようにして作成したインクジェット記録シートについて参考例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0118】
【表2】
【0119】
本発明の実施例1及び2のインクジェット記録材料は、インク受容層の光沢性、発色性、高湿滲み、耐光性に優れた結果であった。特に実施例2はカチオン性ポリマー(A)として一般式(1)を繰り返し単位に有するカチオン性ポリマーと、カチオン性ポリマー(B)として一般式(2)の繰り返し単位を有するカチオン性ポリマーを併用することによって、一段と高湿滲みに優れた結果であった。比較例4は、下層のインク受容層にカチオン性ポリマー(A)のみを含有する例であるが、高湿滲み、耐光性が劣る結果であった。また、比較例5及び6は下層のインク受容層にカチオン性ポリマー(B)のみを含有する例であるが、やはり、高湿滲み、耐光性が劣る結果であった。
【0120】
【発明の効果】
本発明によれば、光沢性、発色性、高湿滲みが良好で、耐光性に優れたインクジェット記録材料が得られた。
Claims (1)
- 支持体上に、無機微粒子を主体に含有するインク受容層を有するインクジェット記録材料において、前記支持体が、基紙の両面に樹脂被覆層を設けた樹脂被覆紙であり、前記インク受容層が少なくとも2層からなり、下層のインク受容層が、カチオン性基として1〜3級アミンの酸付加物を有するカチオン性ポリマー(A)と、カチオン性基として4級アンモニウム基を有するカチオン性ポリマー(B)とを含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
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