JP2007160799A - インクジェット記録体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持体に紙基材を用いたインクジェット記録体であり、インク受容層の塗工量を軽減しても、記録適正が優れ、コックリングも発生し難いインクジェット記録体を製造する方法を提供することにある。
【解決手段】紙支持体上に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以上、平均粒子径が700nm以下の微細顔料と接着剤を主成分とするインク受容層を塗布乾燥することにより形成するインクジェット記録体の製造方法において、該紙支持体が、紙基材のインク受容層を形成する面に、予め、顔料と結着剤を含有する塗工層を少なくとも1層形成し、カレンダー処理を施した塗工紙であり、且つ塗工層面のJIS P8140で規定するコッブ吸水度の30秒値が20.0g/m以上40.0g/m以下であることを特徴とする特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録体の製造方法に関するものである。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に向かって噴出し、その記録体表面上に画像を形成するインクジェット記録方式は、記録操作の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置よりも記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と、高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録体には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められ、さらに、デジタルカメラによる撮影画像の記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する、高い均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質を写真画像の品質により近づけるために、記録画像の色濃度及び光沢感の更なる向上が望まれている。
記録画像の色濃度及び光沢感の更なる向上を満足させるために、ポリオレフィン被覆層を表面に備えた不透明支持体(所謂RC紙。)に、平均一次粒子径10nm以下のシリカ微粒子と水溶性樹脂からなる層を形成したインクジェット記録体が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかし、ポリオレフィン被覆紙を用いているため、インク受容層のみで全インクを保持しなくてはならず、インク受容層の塗工量が増大し、高価なものとなるばかりか、製造の際にひび割れが発生しやすい問題があった。
一方、吸水性支持体に平均粒子径100nm以下のシリカ微粒子と親水性バインダーと硬膜剤を有するインク受容層を形成したインクジェット記録体が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、紙基材に直接インク受容層を形成するため、印字の際にコックリングが生じるという問題がある。
特開平8−174992号公報 特開平7−117334号公報 特開平11−78214号公報
本発明は、支持体に紙基材を用いたインクジェット記録体の製造方法であり、インク受容層の塗工量を軽減しても、記録適正が優れ、しかもコックリングも発生し難いインクジェット記録体を提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、紙基材に直接インク受容層を形成するのでなく、予め顔料と結着剤を含有する塗工層を少なくとも1層形成しておき、且つ該塗工層面のコッブ吸水度の30秒値を特定し、更にインク受容層を特定の微細顔料を用いることにより、達成することを見出し、本発明に至ったのである。
本発明は下記態様を含む。
[1]紙支持体上に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以上、平均粒子径が700nm以下の微細顔料と接着剤を主成分とするインク受容層を塗布乾燥することにより形成するインクジェット記録体の製造方法において、該紙支持体が、紙基材のインク受容層を形成する面に、予め、顔料と結着剤を含有する塗工層を少なくとも1層形成し、カレンダー処理を施した塗工紙であり、且つ塗工層面のJIS P8140で規定するコッブ吸水度の30秒値が20.0g/m以上40.0g/m以下であることを特徴とする特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
[2]紙支持体の塗工層中に含有する顔料が、カオリン、炭酸カルシウム、サチンホワイトから選ばれる1種を主成分とする[1]記載のインクジェット記録体の製造方法。
[3]紙支持体の塗工層面のJ.TAPPI No.5b法で規定する王研式平滑度が、100秒以下である[1]又は[2]記載のインクジェット記録体の製造方法。
本発明によれば、紙基材を用いたインクジェット記録体においても、高品位な記録が得られ、安価で製造できるインクジェット記録体の製造方法を提供することができる。
本発明は、紙基材上に顔料及び結着剤を含有する塗工層を形成し、且つ、該塗工層面のコッブ吸水度の30秒値が20g/m以上、40g/m以下となる層を形成した紙支持体を用い、該塗工層上に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以上、且つ平均粒子径が700nm以下の微細顔料と接着剤を主成分とするインク受容層を形成する。
通常、A4版サイズのインクジェット記録体に写真画像をインクジェット記録する場合、記録体の先端がインクを受容してから、記録体の終端がインクを受容するまでおおよそ30秒程度かかる。
本発明では、紙基材上にコッブ吸水度の30秒値が20g/m以上40g/m以下となるように塗工層を形成し、その上にインク受容層を形成することにより、このようなコックリングを抑制するものである。20g/m未満であると、インクの溶媒などが紙基材に浸透し難いので耐コックリング性は優れるものであるが、インク或いはインクを構成する溶媒がなかなか浸透しないので、インク受容層の塗工量を減らすことができず、40g/mを超えるとインク或いはインクを構成する溶媒が紙基材に浸透しやすくなり、耐コックリング適性が劣る傾向にある。好ましいコッブ吸水度は、21〜36g/m程度である。
なお、従来のポリオレフィン被覆紙を支持体に用いたインクジェット記録体は、インク或いはインクを構成する溶媒が支持体に浸透することはなく、コックリングの問題はない。一方、紙基材を用いたマットタイプのインクジェット記録体は、粒子径の大きい(数ミクロン程度)顔料をインク受容層に用いているため、インク受容層のインク吸収量が多く、また、インク或いはインクを構成する溶媒が紙基材に浸透しても、記録速度が速く設定されており、しかも、写真画像といった画質を要求される記録を行わないので、大きな問題にならない。しかし、紙基材に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以上、平均粒子径が700nm以下の微細顔料を含有するインク受容層を形成する場合、インク受容層のインク吸収量が少ないため、インクや溶媒の多くが紙基材に浸透することになる。また写真画質を出力するには適したインクジェット記録体とならない。
このような、コッブ吸水度を有する紙支持体は、紙基材を構成する材料の選択、紙基材の製造方法の選択、塗工層を構成する材料の選択、塗工層の製造方法の選択など、適宜調節することにより達成できる。
紙基材は、一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。上記コッブ吸水度にするためには、フリーネスは300〜500ml程度に調整することが好ましい。
填料は、不透明性等を付与する目的で配合し、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン等が適宜使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録用紙の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜30%程度が好ましいが、多すぎるとコッブ吸水度が高くなったり、紙力が弱くなったりする傾向にあるので、好ましい填料の含有率は5〜20%である。なお、焼成カオリンやシリカは、嵩高であり、コッブ吸水度が高くなりやすいため、焼成カオリンは1〜7%程度、シリカは1〜5%程度で含有するとよい。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、コッブ吸水度等を調整できる。
塗工層を形成する顔料としては、印刷用塗工紙などで使用できる公知の顔料が例示できる。例えば、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメントなどが例示できる。これらは、複数種を併用することもできる。顔料の粒子径は、特に限定しないが0.2μm以上10μm以下、好ましくは0.5μm以上5μm以下である。粒子径が大きいと、塗工層の面が粗くなり、インク受容層の厚みが均一にならず、記録物にムラが発生する傾向にあり、画質が損なわれてしまう。粒子径が小さいと、コッブ吸水度が大きくなる傾向にある。これらの顔料の中でも、特に、炭酸カルシウム、カオリン、サチンホワイトは、コックリングを抑制する適正に優れ、白色度の高い塗工層となるので好ましい。なお、インクジェット記録体のインク受容層用として好ましい材料である、無定形シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、ゼオライトなど吸水性に富んだ顔料や微細な顔料を、規定するコッブ吸水度の範囲において、併用してもよい。
塗工層を形成する結着剤としても、印刷用塗工紙などで使用できる公知の結着剤が使用でき、例えば、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、あるいは水分散性樹脂(例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等)などのような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。このなかで、水分散性樹脂がコックリング抑制効果に優れるので好ましく、特にアクリル系重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体エマルションは、更に経時における白紙の保存性が良好であるため好ましく選択される。また、結着剤のガラス転移温度は特に限定はないが、ガラス転移温度の低い結着剤が塗工層のコブ吸水度に調整し易くなるので好ましく、ガラス転移温度が−25〜+35℃程度のものが好ましく使用できる。
顔料と結着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般に顔料100質量部に対しバインダー3〜50質量部、好ましくは5〜40質量部の範囲で調節される。その他、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、着色剤、紫外線吸収剤等の各種助剤が適宜添加される。
塗工層を形成する方法としては、上記成分を含む塗工液を公知の塗工方法により塗布するとよい。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知の塗工装置により塗工するとよい。なお、塗工層を複数層積層してもよく、この場合、両塗工層の配合成分は異なっていてもよい。更に、抄紙機内に設置された塗工装置で塗工(所謂オンマシンコーティング)により形成しても構わない。
塗工層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に2〜30g/m程度であることが好ましく、より好ましくは4〜25g/mである。塗工量が過少であると、紙基材のインクジェット記録の際に、インク或いはインクを構成する溶媒がインク受容層及び該塗工層を透過し、紙基材に到達し、コックリングを発生するおそれがあり、塗工量が多すぎるとコックリングの抑制効果が飽和するばかりか、インク受容層のヒビ割れが生じやすくなる傾向にある。
該塗工層は、上記のコッブ吸水度を満足する範囲において、スーパーカレンダーやカレンダーにより塗工層表面の平滑化処理を行う必要がある。コッブ吸水度が所定の範囲であっても、カレンダー処理を施さない場合、塗工層の面が粗く、インク受容層を形成しても、インク受容層表面の面質が劣ることになる。インク受容層の塗工量を増やすことによりカバーすることはできるが、インク受容層の塗工量を減らすという本発明の課題を達成できない。
特に、塗工層面がJ.TAPPI No.5b法で規定する王研式平滑度が100秒以下であると、インク吸収性が優れるのでインク受容層の塗工量を減らすことができるので好ましい。
紙支持体の裏面(塗工層、インク受容層を形成しない面)には、表面側へのカールを矯正するためにコート層やラミネート層を設ける、銀塩写真の風合いを付与するためにポリオレフィン樹脂のラミネート層を設けるなど、裏面層を設けることが好ましい。また、裏面には、更に、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、帯電防止剤やブロッキング防止剤などで処理してもよい。裏面の処理は、インク受容層を形成する前でも後でも可能であるが、インク受容層を形成するよりも前に裏面を処理するほうが、インク受容層に傷が生じ難いので好ましい。
インク受容層は、BET法による細孔容積が0.5ml/g以上であり平均粒子径が700nm以下の微細顔料と接着剤を主成分として含有する。ここで主成分とは、微細顔料と接着剤の合計質量が、インク受容層全質量中の50質量%以上あればよい。特に、インク受容層全質量中の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。
平均粒子径が700nmより大きい顔料を使用すると印字濃度が低下する。700nm以下の粒子径に調節するために、たとえば機械的手段で強い力を施す方法、所謂breaking down法(塊状原料を細分化する方法)により製造することが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー、ナノマイザー等が挙げられる。粒子径を小さくする為に、分級と粉砕とを繰り返して施すことができる。一方、平均粒子径が30nmより小さいと、塗膜にひび割れが生じやすいため30nm〜700nmであることが好ましい。より好ましくは30nm〜500nmである。
また、BET法による細孔容積が0.5ml/gより小さいとインク吸収性が不足する。より好ましい細孔容積は0.8ml/g以上であり、特に好ましい細孔容積は1.0〜1.2ml/gである。
このような微細顔料としては、平均1次粒子径3nm〜40nmの一次粒子が凝集してなる二次粒子の分散体である微細顔料が好ましく、無定形シリカ、アルミナ、アルミナ水和物が好ましい顔料である。なかでも、塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点から、気相法による無定形シリカが最も好ましく使用される。
無定形シリカは、通常、製造法によって湿式シリカと乾式(気相法)シリカとに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流であり、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカなどがこれらに属する。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、前記気相法シリカとは、該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。
気相法シリカは、湿式シリカと表面のシラノール基の密度、細孔容積などに相違があり、異なった性質を示す。湿式シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nmで多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易いために細孔径が100nm以下における細孔容積は低めだが、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nmと少ないことから、疎な軟凝集(フロキュレート)となって細孔容積が高くなり、その結果、空隙率が高い三次元構造が形成される。
アルミナは、一般的に結晶性を有する酸化アルミニウムとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有するアルミナが挙げられる。光沢感やインク吸収性から、気相法アルミナ、γ、δ、θ結晶を有するアルミナが好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ(フュームドアルミナ)は特に好ましい。気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成される。
また、アルミナ水和物は特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,Amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918号公報)などが挙げられる。
インク受容層にバインダーとしては、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、あるいは水分散性樹脂(例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等)などのような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。
中でも、ポリビニルアルコールは、成膜性とインク吸収性とのバランスを良好にするために好ましく、2000以上の重合度を有するものがより好ましく、重合度3600〜5000のポリビニルアルコールが特に好ましい。
この場合、インク受容層における微細顔料と接着剤との乾燥固形分質量比率は、顔料100質量部に対し5〜30質量部の範囲であることが好ましい。インク吸収性と塗膜強度のバランスをさらに良くするためには10〜25質量部であることが好ましい。
インク受容層は、微細な顔料を含有するので、塗工の際にヒビが発生しやすい。このため、架橋剤を用いてヒビ割れを防ぐことができる。架橋剤は、インク受容層用の塗液に配合してもよく、インク受容層を形成後、架橋剤を付与してもよく、インク受容層を塗布する前に、架橋剤を有する塗液を塗布してもよく、紙支持体の塗工層に配合していてもよい。
架橋剤は、公知の材料が適宜使用でき、ポリビニルアルコールを例にすると、架橋剤としては、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できるが、なかでもホウ素化合物は塗料の増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。このなかで、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
インク受容層には、記録画像の耐水性や保存性を高めるために、カチオン性化合物を含有することが好ましい。カチオン性化合物としては、ポリアルキレンアミン化合物(例えばポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド重縮合物)、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO共重合体、ジアリルアミン−SO共重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体、アリルアミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体などのカチオン性高分子;シラン系、チタネート系、アルミニウム系またはジルコニウム系などのカチオン性カップリング剤;水溶性アルミニウム化合物(例えば、塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等の無機塩、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーであるポリ水酸化アルミニウム化合物等)、水溶性ジルコニウム化合物(例えば、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等)、水溶性チタン化合物(例えば塩化チタン、硫酸チタン等)、水溶性ランタノイド属化合物(例えば、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン等)などの水溶性多価金属塩等、カチオン性物質が例示でき、これらを単独或いは併用できる。
なお、カチオン性高分子は、分子量が5000より低いとインク吸収性を阻害するおそれがあるので、分子量5000以上のものを用いることが好ましい。カップリング剤としてはアンモニウム基を持つシランカップリング剤が好ましい。水溶性多価金属塩としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムがなどのアルミニウム化合物、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム化合物が好ましい。
一般的に、シリカの場合はシラノール基が表面に存在しているため電気的にマイナスを示し、カチオン性化合物と混合することにより凝集する。このため、シリカをカチオン性化合物で処理した複合粒子の形態で用いると、分散性が優れるほか、印字濃度、画像耐水性などにおいても優れ、銀塩写真に匹敵する優れた品質が得られる。
シリカをカチオン性化合物で処理する方法としては、公知の方法が採用できる。例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、およびポリ乳酸アルミニウムなどのポリアルミニウム塩のようなアルミニウムイオン等の多価金属イオンの化合物を反応させて、シリカの表面を被覆する方法、アンモニウム基を持つシランカップリング剤をシリカの表面に付加して変性する方法、シリカとカチオン性高分子を混合し、凝集させることによって得られたカチオン性高分子−シリカの凝集体粒子を、粉砕、分散してカチオン性高分子−シリカ複合粒子を製造する方法などが例示できる。
前記シリカと前記カチオン性化合物の混合物、もしくは凝集体を分散あるいは粉砕するには、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等が用いられる。
平均粒子径が1μmを超える場合は、ホモミキサーなどの弱い機械力で処理すれば十分分散するが、平均粒子径を1μm以下に粉砕するにはより強い機械力を加えることが効果的であり、圧力式分散方法を用いることが好ましい。圧力式分散方法である高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが挙げられるが、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−が好ましい。
インク受容層の乾燥固形分塗工質量には、制限はないが、一般に5〜30g/m程度であることが好ましく、より好ましくは7〜25g/mである。塗工量が過少であると、高精細且つ高速のプリンターではインク吸収性が不足するおそれがあり、塗工量が多すぎると塗膜のひび割れの制御が困難になることがある。
インク受容層は、1層であっても多層であっても構わない。多層の場合、層ごとに配合がことなっていても構わない。
インク受容層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スライドビードコーター等の各種塗工装置を用いることができる。
なお、インク受容層上に、ガラスビーズ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナなどのコロイド状物質を有する光沢発現層を形成してもよい。或いは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、三酸化二鉄、酸化アンチモン等の高屈折率微粒子を含有する表面層を形成してもよく、この場合、これらの微粒子をシリカやアルミナなどで表面被覆していてもよい。
なお、本発明でいう顔料の平均粒子径は、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径を、一次粒子のみの単分散状態の場合は一次粒子径を示していると考えられ、当該顔料が粉体状にあるか、又はスラリー状にあるかには関係ない。
測定方法は、顔料濃度が3質量%の水分散液200gを調製し、これをホモミキサーに供して1000rpm、30分間の攪拌分散処理を施した後、直ちにこの分散液を電子顕微鏡(SEMとTEM)観察に供して1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、写真中の5cm×5cm四方の面積中に存在する粒子のマーチン径を測定し平均したものである。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。
(BETによる細孔容積測定方法)
無機顔料、もしくは該無機顔料の分散液を105℃で乾燥し、測定用粉体試料を得た。この粉体試料の細孔容積を、窒素ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。また、細孔容積は細孔径3〜200nmの全細孔容積の値(窒素相対圧0.991)を使用した。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらにより限定されるものではない。まず、実施例及び比較例において使用する材料について説明する。
実施例1
[紙支持体の製造]
「紙基材の形成」
LBKP90部(フリーネス440ml/csf)、NBKP10部(フリーネス510ml/csf)からなるパルプスラリー中に、パルプ固形分に対して填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分で10%となるように添加し、さらに内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902、荒川化学工業社製)0.05%および硫酸アルミニウム0.5%をそれぞれ添加して紙料を調成した。このように調成された紙料を用いて、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って成紙(基紙)を得た。次いで、このようにして得られた基紙の両面に2本ロールサイズプレス装置を介して、6%濃度の酸化澱粉糊液(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面固形分換算で1.4g/mとなるように塗布、乾燥して米坪が75g/mの紙基材を得た。
「第1塗工層用塗被液の調製」
顔料として平均粒子径が0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)100質量%からなる顔料スラリーに、顔料100質量部に対して、モノマー比としてアクリロニトリルを17質量%含有し、平均粒子径が125nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T−2629M、ジェイエスアール社製)を8部、酸化澱粉糊液(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)を1部、(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度が64%の塗被液を調製した。
「第2塗工層用塗被液の調製」
平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)60質量%および平均粒子径0.3μmの微細カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)40質量%からなる顔料をコーレス分散機で水中に分散して顔料スラリーを得た。上記の顔料スラリーに、顔料100質量部に対して、モノマー比としてアクリロニトリルを21質量%含有し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PA2323、日本エイアンドエル社製)11部、酸化澱粉糊液(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)3部、(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が64%の塗被液を調製した。
「塗工層の形成」
前記の紙基材の両面に、上記第1塗工層用塗被液を、片面当りの乾燥重量が10g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って第1塗工層を設けた。次いで、上記第2塗工層用塗被液を片面当りの乾燥重量が10g/mとなるようにブレードコーターで片面ずつの塗工、乾燥を行って水分が5.0%の片面2度塗りの塗工紙を得た。このようにして得られた塗被紙をスーパーカレンダー(10ニップ、線圧250kg/cm、400m/分)に通紙して紙支持体を得た。
[インクジェット記録体の製造]
「シリカ微粒子分散液の調製」
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約8nm)を用い、ホモミキサーにより分散した後、平均二次粒子径が800nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
「カチオン性化合物による処理」
このシリカ微粒子分散液100質量部に対し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均二次粒子径が0.15μmの10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液を調製した。この複合粒子のBETによる細孔容積は1.1ml/gであった。
「インク受容層用塗被液の調製」
微細顔料として、上記カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
「インク受容層の形成」
紙支持体の塗工層面に、8%硼砂水溶液を塗布した後、上記組成のインク受容層用塗被液を塗工してハイドロゲル化させ、引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を、乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を作製した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は、21.5g/mであり、王研式平滑度は65秒であった。
実施例2
[紙支持体の製造]
「紙基材の形成」
米坪が135g/mとなるようにした以外は実施例1と同様にして紙基材を得た。
「第1塗工層用塗被液の調製」
実施例1と同様にして第1塗工層用塗被液を調製した。
「第2塗工層用塗被液の調製」
平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウムを60質量%から45質量%に、平均粒子径0.3μmの微細カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)を40質量%から55質量%に変更した以外は実施例1と同様にして第2塗工層用塗被液を調製した。
「塗工層の形成」
前記の紙基材の両面に、上記第1塗工層用塗被液を、片面当りの乾燥重量が10g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って第1塗工層を設けた。次いで、上記第2塗工層用塗被液を片面当りの乾燥重量が10g/mとなるようにブレードコーターで片面ずつの塗工、乾燥を行って水分が5.0%の片面2度塗りの塗工紙を得た。このようにして得られた塗被紙をスーパーカレンダー(10ニップ、線圧250kg/cm、400m/分)に通紙して紙支持体を得た。
[インクジェット記録体の製造]
得られた紙支持体を用い、実施例1と同様にして、インク受容層を形成した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は、20.6g/mであり、王研式平滑度は805秒であった。
実施例3
[紙支持体の製造]
「紙基材の形成」
米坪が135g/mとなるようにした以外は実施例1と同様にして紙基材を得た。
「塗工層用塗被液の調製」
平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)60質量%、平均粒子径0.6μmのカオリン(商品名:ウルトラホワイト90、エンゲルハード社製:米国)40質量%からなる顔料をコーレス分散機で水中に分散して顔料スラリーを得た。上記の顔料スラリーに、顔料100質量部に対して、モノマー比としてアクリロニトリルを21質量%含有し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PA2323、日本エイアンドエル社製)12部、酸化澱粉糊液(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)6部、(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が64%の塗被液を調製した。
「塗工層の形成」
前記の紙基材の両面に、上記塗工層用塗被液を、片面当りの乾燥重量が12g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って水分が5.0%の片面1度塗りの塗被紙を得た。このようにして得られた塗被紙を、スーパーカレンダー(線圧200KN/m)に通紙して紙支持体を得た。
[インクジェット記録体の製造]
得られた紙支持体を用い、実施例1と同様にして、インク受容層を形成した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は、34.6g/mであり、王研式平滑度は60秒であった。
比較例1
ポリオレフィン樹脂被覆紙に、8%硼砂水溶液(濡れ剤を含む)を塗布した後、実施例1と同じインク受容層用塗被液を塗工してハイドロゲル化させ、引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を、乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を作製した。インク受容層の乾燥塗工量は25g/mであった。
比較例2
ポリオレフィン樹脂被覆紙に、8%硼砂水溶液(濡れ剤を含む)を塗布した後、実施例1と同じインク受容層用塗被液を塗工してハイドロゲル化させ、引き続きこのハイドロゲル化した塗工液層を、乾燥機で乾燥してインクジェット記録体を作製した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
比較例3
[紙支持体の製造]
「紙基材の形成」
米坪が135g/mとなるようにした以外は実施例1と同様にして紙基材を得た。
「第1塗工層用塗被液の調製」
実施例1と同様にして、第1塗工層用塗被液を調製した。
「第2塗工層用塗被液の調製」
平均粒子径0.8μmの重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、備北粉化工業社製)10質量%、平均粒子径2μmの軽質炭酸カルシウム(商品名:タマパール121、奥多摩工業株式会社製)を10質量%添加し、平均粒子径0.3μmの微細カオリン(商品名:ミラグロス、エンゲルハード社製:米国)80質量%からなる顔料をコーレス分散機で水中に分散して顔料スラリーを得た。上記の顔料スラリーに、顔料100質量部に対して、モノマー比としてアクリロニトリルを21質量%含有し、平均粒子径が95nmのスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:PA2323、日本エイアンドエル社製)11部、酸化澱粉糊液(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)1部(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が64%の塗被液を調製した。
「塗工層の形成」
前記の紙基材の両面に、上記第1塗工層用塗被液を、片面当りの乾燥重量が12g/mとなるようにブレードコーターを使用して片面ずつの塗工、乾燥を行って第1塗工層を設けた。次いで、上記第2塗工層用塗被液を片面当りの乾燥重量が12g/mとなるようにブレードコーターで片面ずつの塗工、乾燥を行って水分が5.0%の片面2度塗りの塗工紙を得た。このようにして得られた塗被紙を、スーパーカレンダー(線圧250KN/m)に通紙して紙支持体を得た。
[インクジェット記録体の製造]
得られた紙支持体を用い、実施例1と同様にして、インク受容層を形成した。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は、18.7g/mであり、王研式平滑度は1380秒であった。
比較例4
[紙支持体の製造]
「紙基材の形成」
米坪が135g/mとなるようにした以外は実施例1と同様にして紙基材を得た。
「塗工層用塗被液の調製」
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−30、(株)トクヤマ製、平均二次粒子径3.2μm)100部、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R1115、クラレ(株)製)20部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA145、クラレ(株)製5部、蛍光染料(商品名:WhitexBPSH、住友化学(株)製)2部(いずれも固形分換算)および消泡剤、染料などの助剤を添加して、最終的に固形分濃度が64%の塗被液を調製した。
[インクジェット記録体の製造]
得られた紙支持体を用い、実施例1と同様にして、インク受容層を形成した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は、36g/mであり、王研式平滑度は75秒であった。
比較例5
[紙支持体の製造]
実施例1と同様にして紙支持体を得た。
[インクジェット記録体の製造]
「シリカ微粒子分散液の調製」
(a)活性ケイ酸水溶液の調製
SiO濃度:30質量%、SiO/NaOモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液(トクヤマ社製、商品名:三号珪酸ソーダ)に蒸留水を混合し、SiO濃度:4.0質量%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、水素型陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名:ダイヤイオンSK−1BH)が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。得られた活性ケイ酸水溶液中のSiO濃度は4.0質量%、pHは2.9であった。また、NaO換算濃度は0.1質量%以下であった。
(b)シード液の調製
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を1.5g/分の速度で合計450g添加し、シード液を調製した。
(c)シリカ微粒子分散液の調製
上記のガラス製反応容器中で、950gの上記シード液に対しアンモニア0.015モルを添加して安定化し、100℃に加温した。このシード液に対して、上記の活性ケイ酸水溶液合計550gを、1.5g/分の速度で添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱還流を行い、シリカ微粒子分散液を得た。この分散液をエバポレーターにて濃縮し、10質量%のシリカ微粒子分散液を調製した。
このシリカの粒子径は0.1μmであった。
「カチオン性化合物による処理」
このシリカ微粒子分散液100質量部に対し、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700M、分子量:3万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均二次粒子径が0.1μmの10質量%のカチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液を調製した。この複合粒子のBETによる細孔容積は0.4ml/gであった。
「インク受容層用塗被液の調製」
微細顔料として、上記カチオン性高分子−シリカ複合粒子分散液100質量部(固形分)に、バインダーとして重合度3500、ケン化度88.5%のポリビニルアルコール18質量部と、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.05質量部とを水中で混合して水分散液(濃度:15質量%)を調製した。
「インク受容層の形成」
上記インク受容層用塗被液を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。インク受容層の乾燥塗工量は18g/mであった。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は、21.5g/mであり、王研式平滑度は65秒であった。
比較例6
[紙支持体]
焼成カオリン10部を、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP:ろ水度440mlCSF)100部に添加し、カチオン澱粉1.0部、ロジン系サイズ剤0.7部、硫酸バンド2.0部添加し、十分に混合して抄紙原料とし、長網多筒式抄紙機を用いて抄紙し、水分を10%まで乾燥させ、サイズプレスで酸化澱粉の7%水溶液を両面あたり4g/m塗布、乾燥し、水分5.0%まで乾燥させて坪量190g/m、の紙支持体(塗工層無し)を得た。
[インクジェット記録体の製造]
得られた紙支持体を用い、実施例1と同様にして、インク受容層を形成した。
なお、紙支持体のインク受容層を塗布する面のコッブ吸水度(30秒値)は46.3g/mであり、王研式平滑度は8秒であった。
評価方法
得られたインクジェット記録体のインク吸収性、光沢、画質、耐コックリング適性を下記に示す方法で評価した。尚、評価には染料インクジェットプリンター(EPSON社製、商標:PM−G820、印字モード:EPSON写真用紙 きれいモード)を使用した。評価結果を表1に示す。
「インク吸収性」
供試された記録体にグリーン色インクをベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の4段階に評価した。印字斑は、先に打ち込まれたインクが、完全にインクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に表れる。
◎:印字斑は、全く見られない。
○:印字斑は、多少あるが、実用上問題がない。
△:印字斑が多く見られ、実用性が低い。
×:印字斑がひどく、実用性が低い。
「記録画像の色濃度」
各色インク、及び重色部をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Macbeth RD−920、マクベス社製)にて測定した。
「光沢」
供試された記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像を、記録体表面に対して傾斜している角度から目視し、下記の5段階に評価した。
5:銀塩写真と同レベルの光沢感がある。
4:銀塩写真より若干劣るが、充分な光沢感がある。
3:光沢紙としては、光沢感が足りないが、セミグロスの光沢感を有する。
2:マットより光沢は高めの感がある。
1:マットに近い光沢感。
「耐コックリング性」
供試された記録体に黒色をベタ印字し、ベタ印字画像中にコックリング(用紙の送り方向に平行な波打ち)があるかどうかを目視で観察し、下記の3段階に評価した。コックリングは、打ち込まれたインク中の水分で用紙が伸びようとすることによって生ずる現象である。
◎:コックリングは全く認められない。
○:コックリングがほとんど認められない。
△:コックリングが認められるが、実用上、問題はない。
×:コックリングがはなはだしく、実用に耐えない。
Figure 2007160799

Claims (3)

  1. 紙支持体上に、BETによる細孔容積が0.5ml/g以上、平均粒子径が700nm以下の微細顔料と接着剤を主成分とするインク受容層を塗布乾燥することにより形成するインクジェット記録体の製造方法において、該紙支持体が、紙基材のインク受容層を形成する面に、予め、顔料と結着剤を含有する塗工層を少なくとも1層形成し、カレンダー処理を施した塗工紙であり、且つ塗工層面のJIS P8140で規定するコッブ吸水度の30秒値が20.0g/m以上40.0g/m以下であることを特徴とする特徴とするインクジェット記録体の製造方法。
  2. 紙支持体の塗工層中に含有する顔料が、カオリン、炭酸カルシウム、サチンホワイトから選ばれる1種を主成分とする請求項1記載のインクジェット記録体の製造方法。
  3. 紙支持体の塗工層面のJ.TAPPI No.5b法で規定する王研式平滑度が、100秒以下である請求項1又は2記載のインクジェット記録体の製造方法。

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