JP2006231914A - インクジェット記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、画像記録部の平滑性に優れ、画像濃度が高く、画像の均一性が極めて良好な染料、顔料インクとも適したインクジェット記録体を提供するものである。また、特に印刷校正用紙としても好ましく利用する事が可能である。
【解決手段】 支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体に近い第1塗工層中に少なくともBET比表面積が100m/g未満の顔料AとBET比表面積が100m/g以上の顔料Bを含有し、且つ顔料Aと顔料Bの含有比率は9/1〜1/9の範囲であり、さらに支持体に遠い第2塗工層は平均粒子径0.7μm以下のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子と水溶性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録体。

Description

本発明は、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、画像記録部の平滑性に優れ、画像濃度が高く、画像の均一性が極めて良好な染料インク、顔料インクとも適したインクジェット記録体に関するものである。また、特に印刷校正用紙としても好ましく利用する事が可能である。
水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に向かって噴出し、インクジェット記録体表面上に画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と高精細・高速化により、インク吸収速度の向上とともに、銀塩方式の写真、製版方式の多色印刷に匹敵する画像の均一性の実現が強く求められている。また、記録画像の品質のために、画像記録濃度や平滑性の更なる向上が望まれている。
一方で、画像保存性を実現するために、インク自体の改良も提案されており、従来の主流であった親水性の高い着色剤を使用した水性染料インク(以下、染料インクと呼称)とともに、耐水性や耐光性が優れる、疎水性の着色顔料を分散したインク(以下、顔料インクと呼称)も多用化されるようになっている。
画像記録濃度と平滑性、インク吸収性を実現するために、従来より多様多種の提案がされている。
インク吸収性を実現する為に、1層以上の層構成を設け、最上層の空孔分布曲線の1つのピークが0.2〜10μmに、かつ、インク受容層全体の空孔分布曲線のピークが少なくとも0.2〜10μmおよび0.05μm以下の2ヶ所に設計する記載がある(例えば、特許文献1参照)。インク吸収速度の向上効果は著しいが、このようなインクジェット記録体を得るには、塗工層(インク受容層)は、ミクロンオーダーの顔料を主成分に設計することが不可欠であり、ミクロンオーダーの顔料を使用することにより、光沢は勿論のこと、画像濃度も低く、また、ドットの真円性が得られないため、画像の均一性が極めて低いものであった。
また、2層以上の構成のインク定着層で、インク定着層中の顔料には、平均粒子径1μm以下の微細顔料を使用し、かつインク定着層の表層をキャスト加工することにより、画像濃度、光沢、インク吸収性などを同時に解決することが記載されている(例えば、特許文献2参照)が、塗膜のひび割れを制御することが出来ず、得られたインクジェット記録体は、ドットの真円性が劣り、画像の均一性が極めて低く、インク吸収性も不十分であった。
記録画像とインク吸収性を同時に満足させる方法として、濡れ性の異なるバインダー及び顔料を用いて、支持体上に2層以上のインク吸収層を設け、インク吸収内層のインク吸収速度が最表層のインク吸収速度より遅いインクジェット記録体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、記録体の平滑性が不十分であった。
平滑性を実現する為に、受容層の全層をサブミクロンオーダーの顔料にする提案があるが、サブミクロンオーダーの顔料を多量に使用するためコストが高く、また、インク吸収性も不十分であった(例えば、特許文献4、5参照)。
紙基材上に受容層を設けた記録体の平滑性を実現する為に紙基材へのインク吸収を抑制させる方法が多種多様に提案されている。
紙基材の表面にエマルションラテックスのみからなる透水性中間層を設けた後、該透水性中間層の表面にインク受容層を形成する製造方法が提案されている(例えば、特許文献6参照)が、該エマルションラテックスのみの塗工では紙基材へのインクの吸収が全くないため、インク吸収性が不足してしまうという欠点があった。
紙基材上に硫酸バリウムを含む層を設ける提案(特許文献7参照)があるが、平滑性はある程度実現するものの硫酸バリウム層はインク吸収性が不十分である為、十分なインク吸収性を確保する為には、更に厚いインク受容層が必要であった。
更に、インク吸収性を改善するために、光反射層と染料定着層を設ける提案(特許文献8参照)があるが、インク吸収性は改良されるものの、画質保存性を重視した顔料インクへの対応が困難であった。
特開昭58−110287号公報 特開2001−10220号公報 特開昭63−39373号公報 特開平7−276789号公報 特開平8−174992号公報 特開2002−103787号公報 特開平11−1060号公報 特開2002−254800号公報
本発明は上記の問題を解決し、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、画像記録部の平滑性に優れ、ドットが真円で、且つ光沢、透明性及び画像濃度が高く、画像の均一性が極めて良好な染料インク、顔料インクとも適したインクジェット記録体を提供するものである。また、特に印刷校正用紙としても好ましく利用する事が可能である。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記の構成を採用
することにより、達成できることを見出し、本発明に至ったのである。
〔1〕 支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体に近い第1塗工層中に少なくともBET比表面積が100m/g未満の顔料AとBET比表面積が100m/g以上の顔料Bを含有し、且つ顔料Aと顔料Bの含有比率は9/1〜1/9の範囲であり、さらに支持体に遠い第2塗工層は平均粒子径0.7μm以下のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子と水溶性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録体である。
本発明は、以下の態様を含む。
〔2〕 顔料Aは吸油量10〜100ml/100gである〔1〕記載のインクジェット記録体である。
顔料Aはζ電位がマイナスであることが好ましい。また、顔料Aは平板状顔料であることが好ましく、該平板状顔料は、面積平均径が2μm以下であることが好ましい。顔料Aはカオリンが好ましい。
〔3〕 顔料Bは平均粒子径が0.01〜0.7μmの超微細シリカである〔1〕又は〔2〕記載のインクジェット記録体である。
超微細シリカは、湿式法シリカであることが好ましく、その中でもゲル法シリカが好ましい。
〔4〕 第1塗工層のバインダー主成分はエマルションラテックスから選ばれる〔1〕〜〔3〕記載のインクジェット記録体である。
〔5〕 第2塗工層中に含有される超微粒子は乾式法シリカであり、かつ該乾式法シリカは、カチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を、0.01〜0.7μmの範囲に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子である〔1〕〜〔7〕記載のインクジェット記録体である。
〔6〕 第2塗工層中にマット化剤として平均粒子径が1μm以上の無機顔料を、第2塗工層全顔料質量に対して、0.1〜15質量%含有する〔1〕〜〔5〕記載のインクジェット記録体である。
〔7〕 第2塗工層、或いは第2塗工層上に設けた第3塗工層が湿潤状態である間に、加熱された鏡面ドラムを圧着、乾燥させて鏡面を写し取るキャスト法により製造されることを特徴とする〔1〕〜〔6〕記載のインクジェット記録体である。
〔8〕 第1塗工層、第2塗工層の少なくとも1層はカレンダーで平滑処理を行うことを特徴とする〔1〕〜〔7〕記載のインクジェット記録体である。
〔9〕 インクジェット記録体表面のJIS P8148 により測定された白色度が80〜90%、JIS P8722 により測定された知覚色度指数a*が−1〜2、知覚色度指数b*が−2.5〜1.0であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕記載のインクジェット記録体である。
本発明で得られるインクジェット記録体は、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、画像記録部の平滑性に優れ、ドットが真円で、且つ光沢、透明性及び画像濃度が高く、画像の均一性が極めて良好な染料インク、顔料インクとも適したインクジェット記録体である。また、特にマット化剤の配合、知覚色度を適宜調整することにより印刷校正用紙としても好ましく利用する事が可能である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
(基材)
本発明の基材としては、透気性基材、非透気性基材のいずれでもよく、使用目的、用途により適宜選択する事が出来る。
(透気性基材)
透気性基材として、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、透気性を有する樹脂シート類や不織布類などが適宜使用される。写真調の記録体にする為には、透気性基材としてはアート紙、コート紙、バライタ紙を用いる事が好ましい。
透気性基材は、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。
木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。平滑性を高めるためには叩解度を進めるほうが望ましいが、用紙に記録した場合にインク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、叩解を進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。従ってフリーネスは300〜500ml程度が好ましい。
填料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録体の光沢感が高まるので好ましい。
紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜20質量%程度が好ましく、多すぎると紙力が低下するおそれがある。少ないと紙基材の透気性が悪くなるので、好ましい填料の含有率は7〜20質量%である。この範囲にすると、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれているので、結果として光沢感が優れたインクジェット記録体が得られ易くなる。
紙基材には、助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。紙基材は、酸性紙、中性紙のどちらでもよく、抄紙方法も特に限定するものではない。また、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。ステキヒトサイズ度(100g/mの紙として)は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。より好ましいサイズ度の範囲は4〜120秒である。基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度である。
本発明において、高平滑性、高光沢な記録面を得る目的で、最表層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、好ましくは圧着、乾燥させる、所謂キャスト法により表面を形成することもできる。この場合、透気性基材を用いることが好ましく、特に紙基材の透気度(JIS P8117)が、30〜500sec程度であることが好ましく、より好ましくは35〜300sec程度である。因みに、透気度が30secより低いと、得られたインクジェット記録体の表面のボコツキが大きく、見た目の光沢感が劣る傾向にある。一方、500secより大きいと鏡面ドラムへの圧着時にドラムへの貼り付きが悪くなり、また最表層を十分に乾燥することができないため、高い表面光沢を得ることが困難になる傾向にある。
(非透気性基材体)
非透気性基材の例としては、ポリエチレン,ポリプロピレン,軟質ポリ塩化ビニル,硬質ポリ塩化ビニル,ポリエステル等のフィルム類(合成紙と呼ばれるものも含む)、金属フィイル類の他、上質紙,アート紙,コート紙,キャスト塗被紙,箔紙,クラフト紙,含浸紙,蒸着紙,水溶性紙等の紙や不織布にポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂をラミネートした樹脂被覆紙類、紙や不織布にフィルム類等を貼り合せた積層シート類などが例示できる。
好ましい支持体としては、ポリプロピレンを延伸し、特殊加工を施した、ユポ(ユポ・コーポレーション社製)に代表される所謂合成紙や、紙をポリオレフィン樹脂(好ましくはポリエチレン樹脂)でラミネートした樹脂被覆紙が挙げられる。また、透気度が500secを超える紙基材も使用できる。非透気性支持体を用いると、基材にインク溶媒が浸透しないのでコックリングが気になる用途では特に有効である。
合成紙は、通常、炭酸カルシウムなどの無機顔料を含有するポリプロピレン樹脂を押出し、二軸延伸することにより内部等に空隙を形成して得られる。中でも複数層からなる積層シートであることが好ましく、特に、記録層を形成する面には、凹凸のないスキン層を有する合成紙の使用が好ましい。合成紙の表面には、塗工適性を改善するために、或いは帯電性を改善するために、アンカー層、プライマー層、帯電防止層などの各種の層を形成していても構わない。
樹脂被覆紙は、その中でも、酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂を、紙表面に樹脂被覆した支持体(所謂RC紙)は、仕上がった外観が写真印画紙と略同等であるため、特に好ましい。ポリエチレン樹脂層の厚みは、3〜50μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。ポリエチレン樹脂層の厚みが3μm未満の場合は、樹脂被覆の際にポリエチレン樹脂の穴等の欠陥が多くなりやすく、厚みのコントロールに困難がある場合が多く、平滑性も得にくくなる。逆に50μmを超えると、コストが増加する割には、得られる効果が小さく、不経済である。
樹脂被覆紙に用いる紙は、木材パルプを主材料として製造される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができ、これらのパルプは紙力や平滑性、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。叩解度は、特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P 8121)程度が好ましい範囲である。またいわゆるECF、TCFパルプ等の塩素フリーパルプも好ましく使用できる。また、必要に応じて、顔料を添加することができる。顔料には、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト等が好ましく使用される。顔料の添加により、不透明性や平滑度を高めることができるが、過剰に添加すると、紙力が低下する場合があり、顔料の添加量は、対木材パルプ1〜20質量%程度が好ましい。
なお、基材との塗工層を形成する面に、基材と塗工層との密着性を向上させる目的で、予め密着処理、又は接着処理を施してもよい。特に、基材として樹脂被覆紙を用いる場合、その樹脂被覆層の表面にコロナ放電処理を施すこと、あるいはゼラチン、ポリビニルアルコールなどによるアンダーコート層を設けることが好ましい。
(第1塗工層)
第1塗工層中に顔料Aと顔料Bを含有する主目的及び効果について説明する。
第1塗工層はインク中の溶媒を分離吸収する事、記録体の平滑性を持たせる事が主目的である。顔料AはBET比表面積が100m/g未満でありインク吸収能力が小さい為、記録体の平滑性、印字後の記録体のボコツキ抑制に効果がある。一方、BET比表面積が100m/g以上の顔料Bはインク中の溶媒をすばやく分離吸収する事に効果があり、顔料Aと顔料Bを9/1〜1/9、好ましくは8/2〜2/8、より好ましくは6/4〜4/6の割合で併用することにより相乗的に効果を発揮する事が可能である。
ここで、微細顔料のBET比表面積とは、微細顔料を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の窒素吸脱着等温線をCoulter社製のSA3100型を用いて、200℃で2時間真空脱気した後測定し、比表面積をt法により算出したものである。比表面積は、微細顔料の質量あたりの表面積であり、その値が大きいほど一次粒子が小さく、二次粒子の形状が複雑になりやすく、細孔内の容量が大きくなり、インク吸収性が向上すると考えられる。
(第1塗工層の顔料A)
顔料Aは、気相法シリカ、湿式法シリカ、コロイダルシリカ、メソポーラスシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が用いられる。
記録体の平滑性、コックリングの観点から、吸油量を10〜100ml/100gの顔料が好ましい。平均粒子径は、10μm以下が好ましく、0.05〜2μmが好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。更に、顔料のζ電位がマイナスであることが好ましく、顔料の形状が平板状であることが好ましく、平板状の中でも面積平均径が2μm以下の顔料が好ましい。このような顔料を用いることにより記録体の平滑性が一段と向上する。顔料の種類では特にカオリンが好ましい。
ここで、平均粒子径とは、5%分散液をホモミキサーにて5000rpm、30分撹拌分散した直後に分散液を塗工してサンプルとし、電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の二次粒子のマーチン径を測定して平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。また、吸油量とは、顔料100gの吸油量を示し、JIS−K−5101の方法で測定される。
ζ電位は、固体と液体とが相対運動をするときの固定相と液体の電位差を示し、測定には電気泳動光散乱光度計(ELS−800、大塚電子(株))を使用した。測定原理は以下の通りである。試料を屈折率(n)の溶媒に分散し、波長(λ)のレーザー光を照射した時、泳動速度(V)は、
Δν=2Vnsin(θ/2)/λ・・・(1)
[n:溶媒の屈折率、θ:散乱角度、Δν:ドップラーシフト量]
さらに、電気移動度(U)は、
U=V/E ・・・ (2)
[V:泳動速度、E:電場]
ゼータ電位(ζ)は、Smoluchowskiの式を用いて
ζ=4πηU/ε・・・(3)
[η:溶媒の粘度、ε:溶媒の誘電率]
(第1塗工層の顔料B)
顔料Bは、顔料Aと同様、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が用いられる。記録体のインク吸収性の観点から、特に平均粒子径を0.01〜0.7μmの超微細シリカを用いる事が好ましい。超微細シリカは湿式法シリカが好ましく、その中でもゲル法シリカが溶媒の吸収性が優れているので好ましい。
(バインダー)
第1塗工層に含有するバインダーとして、従来公知のものが挙げられる。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体や高分子ラテックス(エマルション型、溶剤型、無溶剤型)、合成樹脂エマルションなどの水分散性接着剤、感温性ポリマー等が挙げられる。特に、塗膜強度、第2塗工層に含有する架橋剤で塗膜が脆くなる影響を考慮すると、高分子ラテックスが好ましい。中でも、塗料の分散安定性からエマルション型のラテックスを主成分とすることが好ましい。さらに好ましくは、塗膜強度と塗料安定性からアクリル系エマルション型ラテックス、ウレタン系エマルション型ラテックス、SBRラテックスである。
(第2塗工層の形成)
第2塗工層を設ける目的、構成および形成方法について説明する。
第1塗工層で溶媒をすばやく分離することにより、第2塗工層は、インク中の染料や顔料を斑なく定着させることが可能となる。第2塗工層は、インク中の染料や顔料をすばやく定着させ、高発色(高印字濃度)、均一画像(ドットの真円性)を得るのが目的である。第2塗工層に平均粒子径0.7μm以下のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子と水溶性樹脂を含有することにより、更に高発色、均一画像を得る事が可能である。第1塗工層及び第2塗工層が機能分離し、得られたインクジェット記録体は、インク吸収速度が速く、画像の均一性が極めて優れたものである。
本発明の第2塗工層は細孔直径分布曲線におけるピークが実質的に0.06μm以下、つまり、塗膜にひび割れがなく、顔料とバインダーなどを連続膜に制御する必要がある。第2塗工層の成膜は本発明の最も重要なポイントである。
上記構成の第2塗工層を得るためには、第2塗工層が塗布と同時に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、塗料を増粘または架橋させて成膜して製造される。
本発明は塗布と同時に、または形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、塗料を増粘または架橋させる方法は特に限定しない。電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工直後に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗工層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、前記第2塗工層が、ポリビニルアルコールを含有し、塗工直後に、また形成した塗工層の乾燥途中であって、該塗工層が減率乾燥速度を示す前に、ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、バインダーとして感温性ポリマー(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工直後に塗工温度を低下させることによって塗工層を増粘させる方法が好ましく選択される。
写真調の画質を実現する為には、インク中の染料や顔料が定着する塗工層の透明性が欠かせない。塗工層が透明であればあるほど、塗工層中に定着した染料が外から見える為、画像の奥行き、つまり深みがあり、より銀塩写真に近いものが得られる。
(第2塗工層用顔料)
第2塗工層に用いる顔料としては、例えば、乾式法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、及びアルミナ水和物から少なくとも1種が選ばれる。中でも、塗工層の成膜性や印字後の画像濃度の点で、気相法シリカやアルミナが好ましい。さらに好ましくは、気相法(フュームド)アルミナである。
本発明に用いる気相法シリカは、フュームドシリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシランなどのシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することが出来る。
本発明に用いるメソポーラスシリカとは1.5〜100nmに平均細孔径を有するシリカ多孔体である。また、アルミニウム、チタン、バナジウム、ホウ素、マンガン原子等を導入したメソポーラスシリカも使用できる。多孔体の物性としては特に限定されないが、BET比表面積(窒素吸着比表面積)は200〜1500m/gが好ましく、細孔容積としては0.5〜4cc/gが好ましい。メソポーラスシリカの合成方法は特に限定されないが、米国特許第3556725号明細書に記載されている、シリカのアルコキシドをシリカ源として、長鎖のアルキルを含む4級アンモニウム塩をテンプレートとした合成方法、特表平5−503499号公報等に記載されているアモルファスシリカ粉末やアルカリシリケート水溶液をシリカ源として、長鎖のアルキル基を有する4級アンモニウム塩、あるいはホスホニウム塩をテンプレートとする水熱合成法、特開平4−238810号公報等に記載されているシリカ源としてカネマイト等の層状ケイ酸塩を、長鎖のアルキルアンモニウムカチオン等をテンプレートとしてイオン交換法により合成する方法、更にドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等のアミン、ノニオン系界面活性剤等をテンプレートとして、シリカ源として水ガラス等をイオン交換した活性シリカを用いて合成する方法などである。ナノポーラスシリカ前駆体からのテンプレートの除去方法としては高温で焼成する方法、有機溶媒で抽出する方法が挙げられる。
本発明に用いるコロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体は特開2001−354408号公報などに記載されている方法で得ることが可能である。
本発明に用いるアルミナは一般的に結晶性を有する酸化アルミナとも呼ばれる。一般的に、χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ、α結晶を有する酸化アルミナが挙げられる。本発明は光沢感、インク吸収性から気相法アルミナ酸化物、γ、δ、θ結晶を有するアルミナが好ましく選択される。粒度分布がシャープで、成膜性が特に優れる気相法アルミナ(フュームドアルミナ)は最も好ましい。
気相法アルミナは、ガス状アルミニウムトリクロライドの高温加水分解によって形成されたアルミナであり、結果として高純度のアルミナ粒子を形成する。これら粒子の一次粒子サイズはナノオーダーであり、非常に狭い粒子サイズ分布(粒度分布)を示す。かかる気相法アルミナは、カチオン表面チャージを有する。インクジェット塗工における気相法アルミナの使用は、例えば米国特許第5,171,626号公報に示されている。
本発明に用いるアルミナ水和物は、特に限定するものではないが、インク吸収性や成膜性の観点からベーマイト又は擬ベーマイトが好ましく選択される。アルミナ水和物の製造方法は例えばアルミニウムイソプロポキシドを水で加水分解する方法(B.E.Yoldas,amer.Ceram.Soc.Bull.,54,289(1975)など)やアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法(特開平06−064918)などが挙げられる。
顔料の平均粒子径は0.7μm以下で、特に限定するものではないが、平均1次粒子径0.003〜0.04μmの1次粒子が凝集してなることが好ましい。インク中の染料や顔料が、第2塗工層に固定しやすく、かつインク吸収速度、画像濃度、光沢を得るためには、平均1次粒子径0.005〜0.020μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.5μm以下の顔料がより好ましい。さらに好ましくは平均1次粒子径0.007〜0.013μmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径0.2μm以下の顔料である。平均粒子径0.7μm以下の顔料は、たとえば機械的手段で強い力、所謂breakingdown法(塊状原料を細分化する方法)により得ることが可能である。機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、液流衝突式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。粒子径を小さくする為には分級と繰り返し粉砕が必要である。
(バインダー)
第2塗工層に含有するバインダーとしては、第1塗工層に含有するバインダー同様、従来公知のものが挙げられる。顔料との接着性の点で、ポリビニルアルコールを主成分とすることが好ましい。また、インク吸収性及びひび割れ制御の点から重合度2000以上のポリビニルアルコールが良好で、重合度3500以上、ケン化度95%以上のポリビニルアルコールがさらに好ましい。重合度4000以上、ケン化度97%以上のポリビニルアルコールが最も好ましい。インク吸収性などを改善する意味で2種以上のバインダーを併用しても良い。
(ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物)
ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物は、例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明ばん、硼酸及び硼砂などのホウ素含有化合物が挙げられる。本発明では、特に、硬膜効果が優れるホウ素含有化合物が好ましく、その中でも特に硼砂がより好ましい。
顔料とバインダー以外に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、第1塗工層に溶媒吸収に伴って微量の染料も定着するため、染料定着用にカチオン性化合物を添加して使用してもよい。
カチオン性化合物としては、例えば1)ポリエチレンアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類、またはその誘導体、2)第2級アミン基や第3級アミン基、第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、5)ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、6)エポクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO共重合物、8)ジアリルアミン−SO共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、10)アリルアミン塩の重合物、11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、12)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、13)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩等の一般市販されるものが挙げられる。なお、カチオン性化合物の添加量としては、顔料100質量部に対し、1〜30質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましい。
第1塗工層の塗工量は、特に限定するものではないが、1〜30g/m程度、好ましくは3〜20g/mに調節する。少ないとインク吸収性が不足するおそれがあり、多いと第2塗工層の細孔直径分布におけるピークが実質的に0.06μm以下に制御が出来ないおそれがある。
第2塗工層にインク中の染料や顔料を定着させる必要から、第1塗工層に使用可能なカチオン性化合物を使用しても良い。
また、顔料としてシリカ系顔料を使用する場合は、シリカとカチオン性化合物を混合し凝集させることによって得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を1.0μm以下に粉砕したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子であることが望ましい。この場合、カチオン性化合物は、前記記載のカチオン性化合物から適宜選択される。特にインク中の染料や顔料の定着性、分散性から1)5員環アミジン類、2)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムなどのアルミニウム塩が好ましい。
第2塗工層のバインダーとしては、上記のバインダーであれば特に限定するものではないが、ポリビニルアルコールが好ましく選択される。特に成膜性、インク吸収性とのバランスから、重合度2000以上のポリビニルアルコールが好ましく、重合度3500以上のポリビニルアルコールはより好ましい。
成膜性を向上する目的でポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物、その中でもホウ素含有化合物を含有した方が好ましい。ポリビニルアルコールとの架橋性を有する化合物の含有量は、ポリビニルアルコール100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。少ないと架橋の効果が得られにくく、多いと塗膜が硬くなりすぎて、塗工層が折り割れし易いという問題が生じるおそれがある。
本発明品は、インクジェット記録体表面の白紙色相をJIS P8148 により測定された白色度が80〜90%、知覚色度指数a*が−1〜2、知覚色度指数b*が−2.5〜1.5とすることにより印刷校正用として好ましく使用する事が出来る。白紙色相は少なくとも1層の塗工層に着色剤を含有することにより調整する。着色剤としては、有色染料、有色顔料のいずれも選ばないが、光褪色の観点から有色顔料を用いる事が好ましい。また、着色剤の平均粒子径は、質感の観点から1.5μm以下である事が好ましい。
着色剤としては、例えば、塩基性染料レーキ、酸性染料レーキ、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、フタロシアニン顔料、チタンブラック、チタニウムイエロー、群青、コバルト青、カーボンブラック、鉄黒、酸化亜鉛、酸化コバルト、水酸化アルミニウ、塩基性染料、アゾ系直接染料、スチルベン系蛍光染料、蛍光増白剤、カチオン性直接染料、アニオン性直接染料、両性直接染料、フタロシアニン系カチオン染料、アニオン染料などがあげられるが、これに限定されるものではない。また、白色度を向上させて色調を調整させる目的で、白色の顔料も使用できる。例えば、クレー、焼成クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、硫酸バリウム、珪酸マグネシウムなどの無機顔料、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂などの有機顔料など、公知効用のものが上げられる。
顔料とバインダー以外に、一般の塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
第2塗工層の塗工量は、特に限定するものではないが、2〜40g/m程度、好ましくは3〜15g/mに調節する。少ないとインク中の色材である染料や顔料の定着力が不足で、多いと効果が飽和する。
光沢を有するインクジェット記録体を得るためには、第2塗工層、或いは第2塗工層上に設けた第3塗工層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して得る方法、所謂キャスト法が有効である。第2塗工層上に第3塗工層を設ける場合、第3塗工層には平均二次粒子径が1μm以下のアルミナ、アルミナ水和物、平均二次粒子径が0.7μm以下の気相法シリカ、湿式ゲル法シリカ、平均一次粒子径が0.01〜0.06μmの単分散コロイド顔料から選ばれる少なくとも1種の顔料が主成分として用いられる。
ゲル法の非晶質シリカは、例えば、高純度珪砂を原料としたケイ酸ソーダと硫酸を混合し、酸性サイドで珪酸ゾルを生成する。ケイ酸ゾルは次第に重合して一次粒子を形成し、さらに三次元的に凝集体を形成しゲル化する。このシリカを水洗して乾燥した後、ミクロンサイズに微粉化してゲル法の非晶質シリカを得る。
単分散コロイド顔料とは、二次凝集していない一次粒子のみからなる微粒子であり、安価なコロイダルシリカが好ましく用いられる。なかでも、酸性のコロイダルシリカが染料の発色性も良いため好ましい。更には、カチオン化された酸性のコロイダルシリカが顔料インクの定着性も良いため好適に使用される。
鏡面ドラムから塗工層を剥離しやすくする為に、一般市販の離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどが適宜添加される。特に、カチオン系離型剤が好ましい。離型剤の添加量は、特に限定されるものではないが、一般的に、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部添加される。
光沢を抑制した(半光沢タイプ)インクジェット記録体、特に印刷校正用インクジェット記録体を得る為に、少なくとも塗工層中の1層、好ましくは第2塗工層中にマット化剤を含有させる事が有効である。マット化剤としては特に限定されることはないが、無機顔料が好ましい。粒子径は、特に限定されることはないが、光沢抑制効果の観点から、平均粒子径が0.7μm以上である事が好ましい。また同様に光沢抑制効果の観点から、マット化剤の添加量は塗工層の全固形分質量に対して0.1〜15質量%添加される事が好ましい。
第1および第2塗工層を機能分離して、第1塗工層はインク中の溶媒成分を取り込み、第2塗工層はインク中の染料や顔料を定着させる為には、第1塗工層/第2塗工層の塗工量質量比は、100/300〜100/30の範囲が好ましく、100/100〜100/50がより好ましい。
(顔料/バインダーの比率(PB比))
第1塗工層のPB比は2〜5の範囲であれば問題がなく、インク吸収性と塗膜強度のバランスから2.2〜4の範囲が好ましく、2.5〜3.5の範囲がさらに好ましい。PB比が2より小さいとインク吸収速度の制御ができず、ビーディングが生じるおそれがあり、4を超えると塗膜の強度が著しく低下し、実用性がなくなる。
第2塗工層のPB比は、インク吸収性を阻害しなければ特に規定するものではないが、4〜12の範囲が好ましく、4.5〜9の範囲がさらに好ましく、5〜8の範囲が最も好ましい。PB比が4より小さいとインク吸収速度が十分ではなく、12を超えると塗膜にひび割れが生じるおそれがある。
インク吸収性と塗膜強度のバランスを得る為には、第2塗工層のPB比は第1塗工層のPB比より大きいことが好ましく、第2塗工層のPB比は第1塗工層のPB比の1.2〜4.5、好ましくは1.5〜3、さらに好ましくは1.7〜2.5である。
(その他の塗工層)
本発明は基材と第1塗工層の間に、基材と第1塗工層の密着性の改良や更なるインク吸収性の改善などの目的で、別の塗工層を設けることが可能である。また、カールや搬送性などを改良する目的で裏面層を設けることも可能である。また、写真の風合いを出すために裏面層にポリエチレン層を設けても良い。
(塗工装置及び塗工方法)
第1、第2塗工層を得るための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。勿論、2層以上塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法であるWet on Wetで塗工することが好ましい。
(カレンダー処理)
塗工層の少なくとも1層をカレンダーで圧力印加して平滑処理することにより、インクジェット記録体表面のボコツキを改良し、見た目の光沢感、平滑感を向上する事が可能である。カレンダー圧としては、30〜250kg/cmである事が好ましい。カレンダー圧が30kg/cmより低いと平滑処理効果が得られず、250kg/cmより高いと塗工層が潰れすぎてインク吸収性を阻害する。より好ましくは、50〜180kg/cmである。
(インク)
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクとしては、画像を形成するための色素(染料、顔料)と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤等を添加して調整される。
インクに使用される着色剤としては、染料系、顔料系がある。例えば、染料系では直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料等の各種水溶性染料があり、顔料系では100nm前後に微粒子化され、樹脂、界面活性剤等で表面処理されたカーボンブラック、有機顔料等が挙げられるが、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。前記染料や顔料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20質量%程度の使用で特に問題はない。
本発明で用いられるインクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリメチロールプロパン、1,2−ヘキサンジオール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。中でも、顔料インク中に水溶性有機溶剤として、1,2−ヘキサンジオールおよびグリセリンを含有し、かつ、両者の合計が水溶性溶剤の80%以上である顔料インクと本発明の記録体との組合せが、耐擦過性の点で好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
[シリカ微粒子A]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径:約0.008μm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。前記10%水分散液に5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)10部を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.15μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
実施例1
[塗工液A]
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロイド 74X6500、平均粒子径5.4μm、比表面積260m/g)50部、炭酸カルシウム(白石工業社製、商品名:カールライトKT、平均粒子径2.6μm、吸油量33ml/100g、比表面積33m/g)50部、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[塗工液B]
シリカ微粒子A100部に、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98.5%)17部を混合し、8%水溶液を調整した。
[基材原紙A]
標準ろ水度(JIS P 8121)が250mlになるまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、標準ろ水度が280mlになるまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5質量%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%,アルキルケテンダイマー0.4%,アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して抄紙用パルプスラリーを調製した。上記組成のパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、得られた湿紙をドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m、密度1.0g/cmの原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを、2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したものであり、このサイズプレス液を未サイズプレス原紙の両面に、合計25ml/mの塗布量になるように塗布してサイズプレス原紙を作製した。
[インクジェット記録体の作製]
基材原紙Aに、塗工液Aを塗工量が15g/mになるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得た。上記第1塗工層上に、4%の硼砂水溶液の塗工量が0.15g/mであり、塗工液Bの塗工量が10g/mになるようにWet on Wet(2層以上塗工する場合、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法)の条件で塗工、乾燥し、第2塗工層を得、インクジェット記録体を作製した。
実施例2
[シリカ微粒子B]
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロイド 74X6500、平均粒子径5.4μm、比表面積260m/g)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.4μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、10%の水分散液を調製した。
[塗工液C]
炭酸カルシウム(米庄石灰工業社製、商品名:PP−2、平均粒子径0.2μm、吸油量47ml/100g、比表面積8m/g)50部、シリカ微粒子B50部、バインダーとしてアクリル系重合体(ロームアンドハース社製、商品名:プライマルP−376、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
実施例1において、第一塗工層を形成する塗工液Aを塗工液Cに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例3
[塗工液D]
二酸化チタン(堺化学社製、商品名:STR−60、平均粒子径0.03μm、吸油量30ml/100g、比表面積65m/g)50部、シリカ微粒子B50部、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度3500、けん化度88.5%)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
実施例1において、第一塗工層を形成する塗工液Aを塗工液Dに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例4
実施例2において、第一塗工層を形成する塗工液Cの炭酸カルシウムをカオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m/g、平板状顔料:面積粒子径0.7μm)に変更した以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例5
[塗工液E]
カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m/g)50部、シリカ微粒子B50部、バインダーとしてSBR系重合体(JSR社製、商品名:OJ1000、エマルジョン型接着剤)30部、ゲル化剤として硼砂10部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
基材原紙Aに、塗工液Eを塗工量が15g/mになるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得、さらにカレンダーで100kg/cm圧力印加して平滑処理を施した。上記第1塗工層上に塗工液Bの塗工量が10g/mになるように塗工、乾燥し、第2塗工層を得、インクジェット記録体を作製した。
実施例6
[塗工液F]
カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m/g)50部、シリカ微粒子B50部、バインダーとしてSBR系重合体(JSR社製、商品名:OJ1000、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[基材原紙B]
基材原紙Aの両面に、コロナ放電処理を施した。
別に、下記のポリオレフィン樹脂組成物をバンバリーミキサーで混合撹拌して調製した。長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(石原産業社製、商標:A−220)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商標:Irganox1010)0.03部、群青(第一化成社製、商標:青口群青No.2000)0.09部、蛍光増白剤(チバガイギー社製、商標:UVITEX OB)0.3部を混合してポリオレフィン樹脂組成物を調製した。
前記原紙Aのフェルト面側に、前記ポリオレフィン樹脂組成物を塗工量が28g/mになるように、また前記ポリオレフィン樹脂組成物を、前記サイズプレス原紙のワイヤー面側に塗工量が18g/mになるように、T型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布し、原紙のフェルト側を鏡面ロールにより、また原紙のワイヤー側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P−8138)が93%の基体シートを得た。
[インクジェット記録体の作製]
基材原紙Bに、塗工液Fを塗工量が15g/mになるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得、さらにカレンダーで100kg/cm圧力印加して平滑処理を施した。上記第1塗工層上に、4%の硼砂水溶液の塗工量が0.15g/mであり、塗工液Bの塗工量が10g/mになるようにWet on Wetの条件で塗工、乾燥し、第2塗工層を得、インクジェット記録体を作製した。
実施例7
[塗工液G]
アルミナでカチオン変性したコロイダルシリカ微粒子(日産化学社製、商品名:ST−AKL、一次粒子:50nm)100部、バインダーとしてエマルジョン型アクリル樹脂ラテックス(平均粒子径:60nm、Tg=100℃)5質量部、離型剤(オレイン酸アンモニウム)5部を水中で混合して10%水分散液を調製した。
[インクジェット記録体の作製]
実施例5で作成したインクジェット記録体において、第2塗工層の上に第3塗工層用塗工液Gを1g/m塗工後、それが湿潤状態にある間に、表面温度が95℃の鏡面ドラムに圧着して乾燥させて高光沢のインクジェット記録体を作製した。
実施例8
[塗工液H]
カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m/g)50部、シリカ微粒子B50部、バインダーとしてSBR系重合体(JSR社製、商品名:OJ1000、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部、青色着色剤(大日精化社製、商品名:DC−Blue XB)0.020部、紫色着色剤(大日精化社製、商品名:DC−Violet XR−N)0.053部、黄色着色剤(大日精化社製、商品名:TB−500Yellow)0.070部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[塗工液I]
シリカ微粒子A100部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ社製、商品名:SC−700、分子量:30万)0.2部、マット化剤として湿式法沈降法シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−45、粒子径:4.5μm、比表面積:300m/g)1部、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−135、重合度:3500、ケン化度:98.5%)17部を混合し、8%水溶液を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
基材原紙Aに、塗工液Fを塗工量が15g/mになるように塗工、乾燥し、第1塗工層を得、さらにカレンダーで100kg/cm圧力印加して平滑処理を施した。上記第1塗工層上に、4%の硼砂水溶液の塗工量が0.15g/mであり、塗工液Bの塗工量が10g/mになるようにWet on Wetの条件で塗工、乾燥し、第2塗工層を得、さらにカレンダーで100kg/cm圧力印加して平滑処理を施してインクジェット記録体を作製した。
実施例9
実施例8において、基材原紙Aを基材原紙Bに変更した以外は、実施例8と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例10
実施例8において、基材原紙Aを市販塗工紙(王子製紙社製、商品名:OKトップコート+、104.7g/m)に変更した以外は、実施例8と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例1
[塗工液H]
湿式法ゲル法シリカ(グレースデビソン社製、商品名:サイロイド 74X6500、平均粒子径5.4μm、比表面積260m/g)100部、バインダーとしてポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度3500、けん化度88.5%)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
実施例1において、第一塗工層を形成する塗工液Aを塗工液Hに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例2
[塗工液I]
カオリン(エンゲルハード社製、商品名:ウルトラホワイト90、平均粒子径0.5μm、吸油量46ml/100g、比表面積14m/g)100部、バインダーとしてSBR系重合体(JSR社製、商品名:OJ1000、エマルジョン型接着剤)30部、分散剤(東亜合成社製、商品名:アロンSD−10)0.2部の混合水分散液(濃度:30%)を調整した。
[インクジェット記録体の作製]
実施例1において、第一塗工層を形成する塗工液Aを塗工液Iに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
比較例3
基材原紙Aを基材原紙Bに変更した以外は、比較例2と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
[評価方法1]
実施例1〜7および比較例1〜3について、得られたインクジェット記録体の平滑感、インク吸収性、記録画像の画質、印刷記録体のコックリングを下記方法により評価した。
インク吸収性、記録画像の画質、印刷記録体のコックリングは市販の染料インクジェットプリンタ(エプソン社製、モデル:PM−G820)及び顔料インクジェットプリンタ(エプソン社製、モデル:PX−G920)を用いた。その結果を表1に示す。
(白紙の平滑感)
供試された記録体を目視及び質感で判定し、下記の3段階に評価した。
◎:銀塩写真並の高い平滑感
○:印刷紙並の平滑感
△:印刷紙より劣るが、実用上特に問題ないレベル。
(インク吸収性)
供試された記録体にグリーン色及びブルー色のベタ印画を施し、そのインク吸収性を目視観察し、下記の方法で評価した。
○:インク吸収速度が速く、インクの溢れとビーディングなし。
△:多少のビーディングは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:インクの溢れとビーディングあり。
(記録画像の画質)
各色インク、及び重色部をべた印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定し、その記録画質の鮮明さを目視で判断して下記の4段階に評価した。
○:各色の色濃度が高く、記録画質の色再現領域が十分広い。
△:記録画質の色再現領域が若干劣るが、実用上特に問題ないレベル。
×:記録画質の色再現領域が劣る。
(印刷記録体のコックリング)
供試された記録体を目視及び質感で判定し、下記の4段階に評価した。
◎:印刷部のうねりが全くなく、銀塩写真並。
○:若干印刷部にうねりが見られるが、印刷紙並。
△:うねりは印刷紙より劣るが、実用上特に問題ないレベル。
×:うねりが目立つ。
[評価方法2]
実施例8〜11、比較例1について、得られたインクジェット記録体のコックリング、見栄え評価、記録画像の画質を下記方法により評価した。インクジェット記録体の評価には市販のワイドフォーマット用顔料インクジェットプリンタ(エプソン社製、モデル:PX−9000)を用い、また比較対象として印刷用塗工紙A2グロスコート紙(王子製紙社製、OKトップコート+ 127.9g/m)及びそのオフセット印刷物を使用した。その結果を表2に示す。
(印刷記録体のコックリング)
評価方法1と同様の方法で評価を実施した。
(見栄え)
供試インクジェット記録体にISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印刷物としての質感を総合的に評価した。
○:オフセット印刷物と類似しており感覚的相違が見られない
△:オフセット印刷物と類似しているが感覚的に相違が見られる
×:オフセット印刷物との相違が大きい
(白色度、知覚色度指数)
供試インクジェット記録体表面の白色度をJIS P8148の方法、知覚色度指数a*、知覚色度指数b*をJIS P8722の方法により測定した。
Figure 2006231914
Figure 2006231914
表1から明らかなように、本発明のインクジェット記録体は、画像記録部の平滑性、均一性、インク吸収性およびコックリングに優れる(実施例1〜7)。
一方、支持体に近い第1塗工層中の顔料が、BET比表面積が100m/g以上の顔料のみの場合、コックリングが劣り(比較例1)、また支持体に近い第1塗工層中の顔料が、BET比表面積が100m/g未満の顔料のみの場合は、インク吸収性が劣る結果となった(比較例2、3)。
さらに、表2から明らかなように、本発明のインクジェット記録体は、コックリングに優れ、見栄えが良く、有色顔料を配合することによって印刷塗工紙と同様の白色度、色調を有し、印刷校正用紙としても優れていることが分かった(実施例8、9、10)。
本発明は、高速記録が可能なようにインク吸収性が良く、画像記録部の平滑性に優れ、ドットが真円で、且つ光沢、透明性及び画像濃度が高く、画像の均一性が極めて良好な染料、顔料インクとも優れるインクジェット記録体を提供することができる。

Claims (9)

  1. 支持体上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、支持体に近い第1塗工層中に少なくともBET比表面積が100m/g未満の顔料AとBET比表面積が100m/g以上の顔料Bを含有し、且つ顔料Aと顔料Bの含有比率は9/1〜1/9の範囲であり、さらに支持体に遠い第2塗工層は平均粒子径0.7μm以下のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる超微粒子と水溶性樹脂を含有することを特徴とするインクジェット記録体。
  2. 顔料Aは吸油量10〜100ml/100gである請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. 顔料Bは平均粒子径が0.01〜0.7μmの超微細シリカである請求項1又は2記載のインクジェット記録体。
  4. 第1塗工層のバインダー主成分はエマルションラテックスから選ばれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  5. 第2塗工層中に含有される超微粒子は乾式法シリカであり、かつ該乾式法シリカは、カチオン性化合物を混合して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を、0.01〜0.7μmの範囲に粉砕分散したシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  6. 第2塗工層中にマット化剤として平均粒子径が1μm以上の無機顔料を、第2塗工層全顔料質量に対して、0.1〜15質量%含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  7. 第2塗工層、或いは第2塗工層上に設けた第3塗工層が湿潤状態である間に、加熱された鏡面ドラムを圧着、乾燥させて鏡面を写し取るキャスト法により製造されることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  8. 第1塗工層、第2塗工層の少なくとも1層はカレンダーで平滑処理を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  9. インクジェット記録体表面のJIS P8148により測定された白色度が80〜90%、JIS P8722により測定された知覚色度指数a*が−1〜2、知覚色度指数b*が−2.5〜1.0である請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。

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