JP2008114389A - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、前記下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成され、かつ前記上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコール、水溶性金属化合物を含有する塗工組成物から形成されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
Description
[Al(OH)3]nAlCl3 式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n 式3
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分48%のスチレン−ブタジエン(SBR)ラテックス(JSR社製0623N)83.3部(固形分として40部)を添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mLの水が使用された。
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
上で得られたアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液20部(固形分2部)と、塩基性ポリ水酸化アルミニウム(理研グリーン社製ピュラケムWT)の25%水溶液20部(固形分5部)を添加し、上層塗工組成物1を調製した。
坪量157g/m2の原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、水に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度25m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1の塩基性ポリ水酸化アルミニウム25%水溶液の添加量を1.2部(固形分0.3部)になるようにした以外には、実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1の塩基性ポリ水酸化アルミニウム25%水溶液の添加量を4部(固形分1部)になるようにした以外には、実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1の塩基性ポリ水酸化アルミニウム25%水溶液の添加量を36部(固形分9部)になるようにした以外には、実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1の塩基性ポリ水酸化アルミニウム25%水溶液の添加量を52部(固形分13部)になるようにした以外には、実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1の塩基性ポリ水酸化アルミニウムの代わりに、酢酸ジルコニウム(第一稀元素化学工業社製ジルコゾールZA−20)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1の塩基性ポリ水酸化アルミニウムの代わりに、塩化チタンを、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録媒体を作製した。
[下層塗工組成物2の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、さらにBET比表面積230m2/g、固形分40%のコロイダルシリカ(日産化学工業社製スノーテックス40)62.5部(固形分として25部)を添加した。さらに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分48%のSBRラテックス(JSR社製0623N)83.3部(固形分として40部)を添加・混合して下層塗工組成物2を得た。
下層塗工組成物1の代わりに、下層塗工組成物2を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例8のインクジェット記録媒体を作製した。
上層塗工組成物1において、塩基性ポリ水酸化アルミニウムを添加しなかった以外には、実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
下層塗工組成物1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物を添加しなかった以外には、実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
光沢の評価は、視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を測定することによって行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて行った。本方法による測定においては一般に、60%以上の写像性を与えるインクジェット記録媒体は高い光沢感を有し、65%以上の写像性を与えるインクジェット記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
キヤノン社製PIXUS850i型インクジェットプリンターを用いて、シアンインク、マゼンタインクからなる混色ベタパターン中に白線(非印字部)の格子パターンを作成し、格子へのインクの滲み出しについて、下記基準に従い、目視にて評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:格子が完全にクリアーである。
○:格子のほんの一部にインクの滲み出しが見られる。
△:格子が狭くなり、インクの滲み出しが全般的に見られる。
×:インクの滲み出しにより、格子が欠如している。
前記のインクジェットプリンターを用いて、ブラックインクでベタパターンを印字し、印字部をマクベスRD−918型により、光学反射濃度を測定した。
セイコーエプソン社製PM−G800型インクジェットプリンターを用いて、黒ベタパターンを印字し、インクジェット記録媒体を1分間、水に浸漬した後、自然乾燥した。乾燥後のインクの流出度合いを観察し、下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:流出の痕跡が殆どない。
○:流出の痕跡が僅かに見られる。
△:流出の痕跡がかなり見られる。
×:インクの流出が大きく、インクの定着性が全くない。
セイコーエプソン社製PM−G800型インクジェットプリンターを用いて、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックインクによるベタパターン(インク打込み量100%)を印字した後、インクジェット記録媒体を30℃、80%RHの環境下に1週間暴露し、各色の滲み度合いを目視にて観察し、下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:各色とも滲みは見られない。
○:いずれかの色で僅かに滲みが見られる。
△:いずれかの色でかなり滲みが見られる。
×:いずれかの色で著しく滲みが見られる。
塗工面を目視で観察し、ひび割れ状態を下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:全くひび割れは見られず。
○:僅かに極小さいひび割れが見られる。
△:かなりひび割れが見られる。
×:明らかに全面にひび割れが見られる。
記録層にボールペンで文字を書いたときの筆記性を目視にて評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:記録層がボールペンにより削り取られることは全く無く、筆記性が極めて良好である。
○:記録層がボールペンにより削り取られることは殆ど無く、筆記性が良好である。
△:記録層がボールペンにより削り取られることが少しあり、文字の判読にやや問題がある。
×:記録層がボールペンにより著しく削り取られ、文字の判読が不可能である。
Claims (6)
- 透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、前記下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成され、かつ前記上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコール、水溶性金属化合物を含有する塗工組成物から形成されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 前記水溶性金属化合物が、水溶性アルミニウム化合物、周期表4A族元素を含む水溶性化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
- 前記水溶性アルミニウム化合物が、塩基性ポリ水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録媒体。
- 前記周期表4A族元素を含む水溶性化合物が、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録媒体。
- 前記下層塗工組成物の吸水性無機顔料が、湿式合成シリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載のインクジェット記録媒体。
- 前記下層塗工組成物が、コロイダルシリカを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載のインクジェット記録媒体。
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