JP4472619B2 - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高光沢なインクジェット記録媒体の製造方法に関し、特に印字部の耐水性及び画像保存性に優れ顔料インク適性が良好な、高光沢なインクジェット記録媒体を得るための製造方法に関する。
近年、インクジェットプリンターの技術が急速に進歩し、その使用分野は銀塩写真印画紙の代替や印刷プルーフ、ラベル印刷、オンデマンド印刷等拡大している。これに伴い、インクジェット用の記録媒体にも、銀塩写真印画紙やオフセット印刷物と同等の耐水性や耐光性が要求されている。このような要求を満たすインクジェット記録方法として顔料インクを用いた方法が提供されており、インクジェット記録媒体は顔料インク適性と染料インクに於ける耐水性や耐光性や印字濃度の向上が求められている。
かかる課題を解決するための手段としては、従来、特許文献1に例示されている如く、インク受容層にジルコニウム化合物を含有し、且つ記録面の表面pHを3.5から7.5に調整することにより、インク吸収性が良好で滲みの発生が少なく、且つブロンジング防止、マダラムラ防止効果に優れたインクジェット記録媒体が提案されている。しかし、pH3.5未満ではブロンジングが発生する問題があった。又、本発明の提案者が検証したところ、特に表面pHが酸性側では顔料インクの印字濃度及び光沢度が低下する問題が見られ、pHがアルカリ性側では耐水性及び耐光性が低下する問題が見られた。
特許文献2では、インク吸収層の表面pHを6以上7以下にすることにより、ひび割れを起こすことなく白紙部の耐黄変性に優れたインクジェット記録媒体が提案されているが、本発明者が検証したところ、耐水性及び耐光性に問題が見られた。
特開2002−127593号公報 特開2001−88439号公報
本発明の目的は、実現が従来困難であった染料インクの耐水性及び耐光性と顔料インク適性を併せ持つ高光沢なインクジェット記録媒体を得るための製造方法を提供することにある。
この課題に対し検討を行った結果、透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、リウェット法によるキャスト処理をして製造されるインクジェット記録媒体の製造方法において、下層が吸水性無機顔料、ラテックスからなるバインダー、ホウ酸またはその塩を含有し、かつ上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有しており、上層の表面の乾燥後のpHが8以上になる状態を得た後に、酸を含む液を用いて上層の表面のpHが5.5以下になるように処理する事で、染料インクの耐水性及び耐光性と顔料インク適性が良好な高光沢なインクジェット記録媒体を製造することが出来るようになった。
さらに、酸を含む液を用いて上層の表面のpHが4.5以下になるように処理することによって更に染料インクの耐水性及び耐光性を向上することが出来た。
本発明により、従来得られなかった染料インクの耐水性及び耐光性が良好で、且つ顔料インク適性が高く高光沢なインクジェット記録媒体を得るための製造方法を提供することが出来る。
本発明において、透気性の支持体としては主に紙が用いられるが、不織布等も使用することが出来る。
本発明において下層とは、記録媒体のより支持体に近い側に塗工される層の事を言い、上層とは記録媒体のより表面に近い側に塗工される塗工層を言う。通常、下層と上層は隣接しているが、下層と上層の相互作用を阻害しない範囲で、下層と上層の間に1層又は2層以上の中間層を設けても良く、また下層と支持体の間や上層の表面側にも1層又は2層以上の塗工層を設けても良い。
本発明においてキャスト処理とは湿潤状態にある塗工層を加熱した鏡面に圧着することにより鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に、水分を乾燥除去して記録媒体に光沢度を付与する処理を言う。キャスト処理に使用する装置(キャスト装置)は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する装置であるが、本発明には同様の作用を有する他の構造の装置を用いても良い。本発明のインクジェット記録媒体を製造するにあたり用いるキャスト処理の方式としては、上下両層の塗液を塗工後、乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するいわゆるリウェット法である。
本発明のインクジェット記録媒体の下層には吸水性無機顔料を含有する。吸水性無機顔料とは、アマニ油の代わりに水を用いてJIS K 5101に定められた吸油量の試験方法に準じた試験を行ったとき、終点までにその100gにつき100mL以上の水が使用される無機顔料を言い、その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、湿式合成シリカ、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、ハロイサイト、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ベントナイトクレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、セッコウ、酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの顔料は、その1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
かかる吸水性無機顔料の中でも湿式合成シリカは、少ない塗工量でも良好なインク吸収性を有するインクジェット記録媒体が得られることから特に好ましく使用される。本発明において湿式合成シリカとは、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩と、硫酸等の酸を混和し、洗浄、熟成、粉砕などの工程を経て得られる多孔質の二酸化ケイ素を言い、その主要な製法としては沈降法及びゲル法が知られているが、本発明の下層塗液には、そのいずれも好ましく用いることが出来る。
本発明の下層に用いる湿式合成シリカの吸油量は、インク吸収性の観点から高い方が好ましいが、吸油量が高すぎると塗工層の強度が低下する事があるので好ましくない。具体的には本発明の下層塗液に用いる湿式合成シリカの吸油量は1〜5ml/gであることが好ましく、2〜4ml/gであることがより好ましい。又、本発明の下層に用いる湿式合成シリカの粒径は小さすぎると塗液の粘度が高くなり塗工操作が困難となることがあるので好ましくなく、一方大きすぎるとキャスト処理後の記録媒体の光沢が発現し難くなる事があるので好ましくない。具体的には本発明の下層に用いる湿式合成シリカのマルヴァン法により測定される粒径は、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
本発明の下層へのホウ酸またはその塩の添加量は、塗液のpHにも依存するが、少なすぎると乾燥後の上層にひび割れが発生して光沢が低下する事があり、多すぎると塗工層の強度が低下する事があることから、吸水性無機顔料に対してホウ素原子を基準にHBOに換算して0.2〜10質量%とする事が好ましく、0.4〜5質量%とする事がより好ましい。
本発明において、下層がコロイダルシリカを含むことで、とりわけインク吸収性に優れるインクジェット記録媒体が得られる事から好ましい。本発明においてコロイダルシリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩水溶液に、硫酸等の酸を作用させるか、陽イオン交換樹脂により金属イオンを除去した後に、熟成等の工程を経る等の方法で製造されるケイ酸重合物体の水性分散物であり、通常BET法による比表面積が15〜700m/gの球状のケイ酸粒子からなる。
コロイダルシリカとしては、その比表面積が小さすぎるものを用いた場合キャスト後の光沢が発現しにくい場合があり、比表面積が大きすぎるものを用いた場合はインク吸収性を向上させる効果が十分で無くなる事があるから、BET法による比表面積が50〜500m/gのものが好ましく用いられ、100〜350m/gのものがより好ましく用いられる。また、添加量は少なすぎるとインク吸収性向上の効果が十分でなくなる事があり、多すぎるとキャスト処理後の光沢が発現しにくくなる事があるため、吸水性の無機顔料に対して10〜100質量%とする事が好ましく、15〜60質量%とする事がより好ましい。
本発明では下層にラテックスからなるバインダーを含む。本発明に於けるラテックスとは実質的に非水溶性の熱可塑性高分子化合物が水中に分散した液状物を指し、乾燥後は熱水にも実質的に溶解しない点で水溶性高分子化合物の水溶液と区別される。その例としては、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、及びこれらの重合体を構成する単量体の2種以上をランダム的、グラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が上げられる。これらのラテックスは単独で用いても良く、また2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明において、下層へのラテックスからなるバインダーの添加量は、少なすぎると得られた記録媒体の機械的強度が十分にならないことがあり、多すぎるとインク吸収性が不十分になったり、キャスト処理後の光沢が十分に得られない事があるため、ラテックスからなるバインダー/(吸水性無機顔料+コロイダルシリカ)の質量比が10/100〜60/100であることが好ましく、15/100〜40/100であることがより好ましい。
本発明の下層には、本発明の効果を損なわない程度にビニルピロリドン重合体、(メタ)アクリル酸重合体、(メタ)アクリルアミド重合体等の水溶性高分子化合物を添加する事も出来る。ただし、ポリビニルアルコールの様に高い結晶性を有する水溶性高分子化合物は、キャスト処理後に得られるインクジェット記録媒体の光沢を著しく低下させることから、実質的に含まれないことが好ましい。
本発明の上層で用いるサブミクロン顔料とは、その分散液をガラス等の適切な基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を示す。その種類は特に制限されないが、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等を例示することができる。特に、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。又、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を長辺100nm以上の粒子が占める無機顔料を用いると、上層塗液を塗工後高速に乾燥しても塗工層のひび割れ等の欠陥が生じにくいことから好ましい。
また、本発明の上層に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印刷濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎると、インクの吸収性が低下することがあるから好ましくない。具体的には、該サブミクロン顔料のBET法による比表面積は60〜600m/gであることが好ましく、150〜400m/gであることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の1次粒子が結合し、その内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。又、これらの吸水性無機顔料は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用することも出来る。
本発明に於いてサブミクロン顔料とカチオン性ポリマーを併用する事もできる。カチオン性ポリマーを添加すると耐水性、耐光性、インク吸収性が向上するので好ましい。カチオン性ポリマーとしてはポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第2級アミン基や3級アミン基や4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物、ジシアンアミド−ジエチレントリアミン重縮合物等のジシアン系カチオンポリマー、ポリアルキレンポリアミン類とジシアンジアミドの共重合体等のジシアンジアミド系樹脂、アリルアミン塩の重合物、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、ジアリルアミン塩−SO2共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−SO2共重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、ジアルキルアミノメチル(メタ)アクリレート四級塩重合物、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジンポリマー、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物等のカチオン性ポリマーが好ましい。
本発明の上層に使用されるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できる。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の繰り返し単位をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足することがある。一方、ポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがある。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量はサブミクロン顔料の2〜60質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の上層に用いるポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いもののほうが、塗工された塗液の乾燥時に亀裂が生じにくくなるので、その添加量を減少させることができ、結果としてインク吸収性を向上させることができることから好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高過ぎると、本発明により得られる塗液の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が25〜400mPa・秒であることが好ましく、50〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性などが異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の塗工層には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤など各種の添加剤を添加することもできる。
本発明において、各層の塗液を塗工する方法に特に制限は無く、エアナイフコーター、リバースロールコーター、コンマコーター等各種の塗工方式を用いることができるが、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどの前計量コーターが、得られる塗工層の均一性が高く、更に上層の塗工に際しては上層塗液の下層への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、各塗工層、特に上層塗液の塗工に好ましく使用される。本発明の塗液を基材上に塗工する量に特に制限は無いが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として各層それぞれ10〜20g/m、合計で10〜30g/mを塗工することが好ましい。但し、特に多量のインクを吸収することを求められる場合は、両層合計で最大50g/m程度を塗工することが好ましい場合もある。
又、下層塗液または上層塗液を塗工・乾燥させた後またはその双方で、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑度を高めてからキャスト処理を行うことも可能である。
又、キャスト装置の鏡面からの剥離性を改善することを目的に油性物質または油性物質の水性分散物等の離型剤を本発明の塗液に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウェット法を用いる場合にはリウェットに用いる水に添加したりする事で、長時間に渡り安定した製造が可能になることから好ましい。本発明において離型剤として用いることが出来る物質の例としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン等の高級アルキルアミンまたはそれらの塩、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリドなどの高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸等の高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油などがあげられる。
本発明では上層の表面pHが8以上に予め調整されている事が必要である。pH8以上に調整することにより顔料インク適性を向上することが出来るからである。上層の表面pHを8以上にするには、乾燥した際に塗工層を構成する塗液のpHを予め乾燥後の上層の表面pHが8以上になるように調整しても良い。もしくは支持体上に塗液を塗布後、塗液が乾燥する前にpH調整剤を塗布し、乾燥後の表面pHが8以上になるように調整しても良い。pHを8以上に調整するためのpH調整剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、アンモニア水、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
本発明は上層の表面pHが8以上になる状態を得た後に、酸を含む液を用いて上層の表面pHが5.5以下になるように処理するインクジェット記録媒体の製造方法であるため、塗工層を酸含有の液で処理する。表面pHを5.5以下に処理するために、酸としては酢酸、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、リン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、乳酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、ホウ酸、グリコール酸、マロン酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸や無機酸及びこれらの酸の酸性塩である蟻酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、L−酒石酸水素カリウム等を用いることが出来るが、これらに限定されるわけではない。また本発明に於けるキャストの方法を用いる場合にはリウェットに用いる水に添加する事も出来る。
これらのpH調整剤は水等の溶媒で溶解して液体状で使用することが好ましく、その含有量は塗工層やpH調整剤の種類や塗工方式により適宜調整する必要がある。これらのpH調整剤を塗布する方法としては特に制限は無く、塗工層の塗布と同様にエアナイフコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ディップコーター等各種の塗工方式を用いることができ、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどの前計量コーターを用いることが出来る。中でもディップコーターを使用する事が好ましい。
本発明の塗工層の表面pHは、JAPAN TAPPI No.49−1の試験方法によって測定する。本発明に於ける表面pHの測定は、試験片の下敷きにゴム板を使用し、湿潤液としてイオン交換水を1滴滴下し、電極を接触させて1分後の表面pHを測定した。
以下本発明の実施例を示す。なお、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部を示すものとする。
[下層塗液の作製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物10部(HBO換算で1.62部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。その後固形分が48質量%のスチレン−ブタジエン(SBR)ラテックス(JSR社製0623N)83.3部(不揮発分として40部)を添加・混合し、下記上層塗液1を用いて上層を塗工した後の上層の表面pHが8.2になるように水酸化ナトリウムでpH調整して下層塗液1を得た。尚、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mlの水が使用された。
[アルミナ水和物ゾルの調整]
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、ガラス基盤上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗液1の作製]
上で得られたアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%、4質量%水溶液の25℃に於ける粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液20部(固形分2部)を添加し、上層塗液1を作製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下層塗液1をエアナイフコーターで乾燥後の塗工量が10g/mになるように塗工し、熱風乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗液1を乾燥後の塗工量が10g/mになるようにエアナイフコーターで塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の上層の表面pHをJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.49−1に従い堀場製作所社製のES−12型pHメーターに同社製フラット電極を装着し、下敷きにゴム板を敷き、上層の表面上にスポイトを用いて蒸留水を1滴滴下し、平面電極を湿潤面に1分間接触させて測定して、上層の表面pHが8.2である事を確認した。この塗工紙の表面を、pH調整剤として最終の上層の表面pHが5.3になるように濃度を調整した酢酸を含む水に接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度5m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離して、実施例1のインクジェット記録媒体を得た。
最後に上層の表面pHが4.3になるようにキャスト前の湿潤に用いる水中の酢酸濃度を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
最後に上層の表面pHが3.5になるようにキャスト前の湿潤に用いる水中の酢酸濃度を調整した以外は実施例1と同様にして、実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
最後にキャスト前の湿潤に用いる水に酢酸を含まない以外は実施例1と同様にして、上層の表面pHが8.2の比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
最後に上層の表面pHが6.3になるようにキャスト前の湿潤に用いる水中の酢酸の濃度を調整した以外は実施例1と同様にして、比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3]
[下層塗液2の作製]
最後に水酸化ナトリウムでpHを調整しなかった以外は下層塗液1と同様に下層塗液2を作製した。
[上層塗液2の作製]
下層塗液2を用いて塗工した下層上に塗工した場合に、実施例1と同様の製造工程における上層をソフトカレンダー処理後の上層の表面pHが5.3になるように酢酸の濃度を調整した以外は、上層塗液1と同様に上層塗液2を作製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
下層塗液2と上層塗液2を使用し、最後にキャスト前の水に酢酸を含まないこと以外は、実施例1と同様にして、最後の上層の表面pHが5.3の比較例3のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例4]
下層塗液2を用いて塗工した下層上に塗工した場合に、ソフトカレンダー処理後の上層の表面pHが3.5になるように実施例1の上層塗液に酢酸を添加して上層を塗工した以外は比較例3と同様にして、最後の上層の表面pHが3.5の比較例4のインクジェット記録媒体を作製した。
[評価]
各実施例、各比較例で得られた記録媒体の染料インク耐水性及び耐光性と顔料インク適性、光沢について評価を実施した。各項目の評価方法を説明する。
[染料インク耐水性]
染料インクを用いて印刷を行うインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−G800型)により所定の評価画像を印刷した後、スポイトで画像部にイオン交換水を1滴滴下し、24時間経時後に画像の滲みを3段階に分類した。A(滲み無し)、B(僅かに滲み有り)、C(許容)、D(許容できない)。
[染料インク耐光性]
耐光性は上記と同様に印字した後、画像部をキセノンウェザオメーターにて0.18W/mで120時間照射した後、画像残存率{(照射後の画像部の光学濃度/照射前の画像部の光学濃度)×100}を求め、3段階に分類した。A(80%以上)、B(80%未満から60%以上)、C(60%未満から40%以上)、D(40%未満)。
[顔料インク適性]
顔料インクを用いて印刷を行うインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PX−G900型)により黒のグラデーションパターン(100%−0%階調)を印刷し、各記録媒体の顔料インク適性を、画像の色ムラや発色性を基準とし次の3段階に分類した。A(印画部に色ムラや発色性不良がなく、非常に良好)、B(印画部に若干の色ムラや発色性不良が見られる)、C(印画部の全面に色ムラが散見され、発色性不良が見られる)。
[光沢の評価]
光沢の評価は、視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を測定することにより行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定機器を用い、測定角45°、光学くし巾2.0mmにて行った。本方法による測定に於いては一般的に60以上の写像性を与える記録媒体は高い光沢感を有し、65以上の写像性を与える記録媒体は非常に高い光沢感を有する。A(65以上の写像性を有する)、B(60以上65未満の写像性を有する)、C(60未満の写像性を有する)。
各実施例及び各比較例により得られたインクジェット記録媒体の染料インク耐水性及び耐光性と顔料インク適性の評価結果を表1に示す。
Figure 0004472619
実施例1、2、3と比較例1、2、3、4を比較することにより、該インクジェット記録媒体の上層の表面pHがpH8以上の状態を得た後にpH5.5以下に調整することで染料インク耐水性及び耐光性と顔料インク適性に優れた高光沢なインクジェット記録媒体が得られる事が分かる。
実施例1と実施例2、3を比較する事で、インクジェット記録媒体の上層の表面pHを更に4.5以下に調整することにより、更に染料インク耐水性及び耐光性に優れたインクジェット記録媒体が得られる事が分かる。

Claims (2)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、リウェット法によるキャスト処理をして製造されるインクジェット記録媒体の製造方法において、下層が吸水性無機顔料、ラテックスからなるバインダー、ホウ酸またはその塩を含有し、かつ上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有しており、上層の表面の乾燥後のpHが8以上になる状態を得た後に、酸を含む液を用いて上層の表面のpHが5.5以下になるように処理する事を特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
  2. 酸を含む液を用いて上層の表面のpHが4.5以下になるように処理することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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