JP2008246739A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】銀塩写真用印画紙並みの写像性を有し、かつ高いインク吸収性と、印字後の耐光性および耐水性が優れた、ひび割れの無いインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】透気性の支持体上に下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、前記下層が、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩、及び五員複素環構造を有するカチオン性樹脂を含有する塗工組成物から形成されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀塩写真用印画紙並みの写像性を有し、かつ高いインク吸収性と、印字後の耐光性および耐水性が優れた、ひび割れの無いインクジェット記録媒体に関するものである。
近年、インクジェットプリンターの技術が急速に進歩し、一般的な銀塩写真法によるものと同等以上の画像品質を有する記録物が得られるようになってきた。これに伴い、インクジェット用の記録媒体にも、銀塩写真法に用いられる印画紙と同等の質感および保存性を有するものが求められている。
光沢を有するインクジェット記録媒体として従来、キャスト塗被紙が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、これらの技術により製造された記録媒体は、ある程度の光沢は有するものの、銀塩写真に用いられる印画紙と同等の質感を有するとは到底言えないものであった。
かかる課題を解決するために塗工層を電子線により硬化させることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、電子線による硬化装置は一般に大掛かりで、かつその保守や調整が極めて煩雑という問題がある。
さらに、同様の目的に対する他の技術として、顔料とバインダーからなる下層を塗工し、次いでホウ酸を含む中間層を設け、その上にサブミクロン顔料とポリビニルアルコールの如きホウ酸により架橋されるバインダーからなる上層を塗工したインクジェット記録媒体が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、この技術によりインクジェット記録媒体を製造する場合、十分な光沢やインク吸収性を得るためには非常に厚い塗工層を設ける必要があり、例えば、実施例で、下層と上層の合計で35g/m2の塗工層を設けている。基材上にかかる多量の塗工量を設けた場合、塗工工程における乾燥負荷が増大して高い生産性を得ることが難しいのみならず、記録媒体の強度が低い、すなわち記録媒体が屈曲された場合等に塗工層が基材から脱落しやすい等の問題があり、銀塩写真法による記録物と比較して慎重な取り扱いを使用者に強制するものであった。
かかる課題を解決するために、支持体上に、微粒子とバインダーと該バインダーを架橋させない架橋剤とを含有する下塗り層形成用塗液を塗工して下塗り層を形成する第1の工程と、前記下塗り層上に、微粒子と前記架橋剤により架橋が可能な水溶性樹脂とを含有するインク受容層形成用塗液を塗工してインク受容層を形成する第2の工程とを有するインクジェット記録媒体が提案されている(例えば、特許文献5参照)。記録媒体の強度は向上するものの、保存性は不十分である。未だ銀塩写真法に用いられる印画紙と同等の質感および十分な保存性が得られるインクジェット記録媒体は得られていない。
特開昭63−264391号公報 特開平2−274587号公報 特開2004−330725号公報 特開2003−231342号公報 特開2007−38651号公報
本発明の目的は、銀塩写真用印画紙並みの写像性を有し、かつ高いインク吸収性と、印字後の耐光性および耐水性が優れた、ひび割れの無いインクジェット記録媒体を提供することにある。
この課題に対し検討を行った結果、本発明のインクジェット記録媒体、すなわち透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、前記下層が、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩、及び五員複素環構造を有するカチオン性樹脂を含有する塗工組成物から形成されることを特徴とするインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
好ましくは、五員複素環構造を有するカチオン性樹脂が、下記化学式(1)〜(4)で表されると好ましい。
Figure 2008246739
式中、A-は、陰イオンを表す。R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
本発明により、銀塩写真用印画紙並みの写像性を有し、かつ高いインク吸収性と、印字後の耐光性および耐水性が優れた、ひび割れの無いインクジェット記録媒体が得られる。
本発明において、透気性の支持体としては通常紙が用いられるが、必要に応じて不織布など紙以外の支持体を用いることもできる。
本発明において下層とは、インクジェット記録媒体のより支持体に近い側に形成される塗工層を言い、下層塗工組成物とは、乾燥して下層を形成させるための液状の組成物を言う。また本発明において上層とは、インクジェット記録媒体のより表面に近い側に形成される塗工層を言い、上層塗工組成物とは、乾燥して上層を形成させるための液状の組成物を言う。これらの塗工組成物は通常、水中に各材料を溶解ないし分散せしめた水性液の形で用いられる。本発明において通常、下層と上層は隣接しても良いし、下層と上層の相互作用を強く阻害しない範囲で、下層と上層の間に1層または2層以上の中間層を設けても良く、また下層と支持体の間および上層の表面側にも1層または2層以上の塗工層を設けても良い。
本発明においてキャスト処理とは、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面に圧着し、鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に塗工層から水分を乾燥除去し記録媒体に光沢を付与する処理を言う。キャスト処理に使用する装置(キャスト装置)は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に、弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する構造の装置であるが、本発明には、同様の作用を有する他の構造の装置を用いても良い。本発明のインクジェット記録媒体を製造するにあたり用いるキャスト処理の方式としては、塗工組成物を塗工後一旦乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するいわゆるリウェット法、上層塗工組成物、または上下両層の塗工組成物を塗工後、乾燥させずそのままキャスト装置の鏡面に圧着するいわゆる直接法などの方式を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において吸水性無機顔料とは、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験方法に準じた試験を行ったとき、終点までにその100gにつき100mL以上の水が使用される無機顔料を言い、その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、湿式合成シリカ、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、ハロイサイト、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ベントナイトクレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、セッコウ、酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの顔料は、その1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
かかる吸水性無機顔料の中でも湿式合成シリカは、少ない塗工量でも良好なインク吸収性を有するインクジェット記録媒体が得られることから特に好ましく使用される。本発明において湿式合成シリカとは、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩と、硫酸などの酸を混和し、洗浄、熟成、粉砕などの工程を経て得られる多孔質の二酸化ケイ素をいい、その主要な製法としては沈降法およびゲル法が知られているが、本発明の下層塗工組成物には、そのいずれをも好ましく用いることができる。
本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、インク吸収性の観点からは高いほうが好ましいが、一方吸油量が高すぎると塗工層の強度が低下することがあるので好ましくない。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、100〜500mL/100gであることが好ましく、200〜400mL/100gであることがより好ましい。また、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの粒径は、小さすぎると塗工組成物の粘度が高くなり塗工操作が困難になることがあり、一方大きすぎるとキャスト処理後のインクジェット記録媒体の光沢が発現しにくくなることがある。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカのマルヴァン法により測定される粒径は、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
本発明の下層塗工組成物へのホウ酸またはその塩の添加量は、塗工組成物のpHにも依存するが、少なすぎると乾燥後の上層に亀裂が発生して光沢が低下することがあり、多すぎると塗工層の強度が低下することがあることから、吸水性無機顔料に対して、ホウ素原子を基準にH3BO3に換算して0.2〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜5質量%とすることがより好ましい。
本発明において、下層がコロイダルシリカを含むことで、とりわけインク吸収性と光沢に優れるインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。本発明においてコロイダルシリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩水溶液に、硫酸等の酸を作用させるか、陽イオン交換樹脂により金属イオンを除去した後に、熟成等の工程を経る等の方法で製造されるケイ酸重合体の水性分散物であり、通常BET法による比表面積が15〜700m2/gの球状のケイ酸微粒子からなる。
本発明に用いるコロイダルシリカとしては、その比表面積が小さすぎるものを用いた場合キャスト処理後の光沢が発現しにくくなることがあり、その比表面積が大きすぎるものを用いた場合はインク吸収性を向上させる効果が十分でなくなることがあるから、BET法による比表面積が50〜500m2/gのものが好ましく用いられ、100〜350m2/gのものがより好ましく用いられる。また本発明におけるコロイダルシリカの添加量は、少なすぎるとインク吸収性向上の効果が十分でなくなることがあり、多すぎるとキャスト処理後の光沢が発現しにくくなることがあるから、吸水性無機顔料の添加量に対して10〜100質量%とすることが好ましく、15〜60質量%とすることがより好ましい。
本発明においてラテックスとは、実質的に非水溶性の熱可塑性高分子化合物が水中に分散した液状物を指し、一旦乾燥した後は熱水にも実質的に溶解しない点で水溶性高分子化合物の水溶液と区別される。水中における高分子化合物の粒子径は通常500nm以下である。本発明において下層塗工組成物に用いることができるラテックスの例としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、イソプレン樹脂、クロロプレン樹脂、ポリウレタン樹脂、およびこれらの重合体をグラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が挙げられる。なお、本発明において、たとえば酢酸ビニル樹脂とは、酢酸ビニルを主体とした樹脂状の重合体を指し、これには単独重合体のみならず、酢酸ビニルを主体に、他の1種以上の単量体を共重合したものも含まれる。これらのラテックスは、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において、下層塗工組成物へのラテックスの添加量は、少なすぎると得られた記録媒体の機械的強度が十分にならないことがあり、多すぎるとインク吸収性が不十分になったり、キャスト処理後の光沢が十分に得られないことがあるから、ラテックス/(吸水性無機顔料+コロイダルシリカ)の質量比が10/100〜60/100であることが好ましく、15/100〜40/100であることがより好ましい。
本発明において、下層塗工組成物に用いるラテックスとして、ポリウレタン樹脂のラテックスを用いることで、とりわけ高い光沢を得ることができることから特に好ましい。本発明においてポリウレタン樹脂とは、ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物との反応から得られるものであって、比較的多数のウレタン結合および尿素結合を含む高分子化合物であると定義づけられる。
ポリウレタン樹脂製造用ポリイソシアネート化合物には、特に限定はないが、例えばトリレンジイソシアネート、及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系、ポリイソシアネート類、並びにヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等の脂肪族及び脂環族系ポリイソシアネート類が用いられる。
ポリウレタン樹脂製造用活性水素含有化合物としては、一般に水酸基やアミノ基を有する化合物が用いられ、高分子を有するものとしてはポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、及びポリカーボネートジオール等が挙げられ、低分子量を有するものとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、並びにイソプロピルジアミン、及びヘキサメチレンジアミン等のジアミン類等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂は、水性媒体中に微粒子状に分散又は乳化しているものであって、その分散粒子の動的光散乱法により測定される粒子径は0.001〜10μm程度であり、その外観は透明な溶液、半透明のコロイダル分散液、及び、乳白色のエマルジョンである。本発明においては、これらを一括してポリウレタン樹脂と表現する。ポリウレタン樹脂は、乳化剤の存在下で高い機械的せん断力で強制乳化した強制乳化型と、分子鎖中にイオン性基等の親水性基を導入して親水性を賦与し、乳化剤の助力なしに水中に安定に分散し得るようにした自己乳化型と、さらに水中に溶解させた溶解型とに分類され、自己乳化型ポリウレタン樹脂であると光沢、耐水性等に優れ、好ましい。自己乳化型ポリウレタン樹脂の中には、導入される親水性基の種類により、カチオン性、アニオン性、ノニオン性に分類され、ノニオン性またはカチオン性であると、塗工液中の混和性に優れ、好ましい。
本発明の下層塗工組成物には、ポリオキシエチレン、ビニルピロリドン重合体、(メタ)アクリル酸重合体およびその塩、(メタ)アクリルアミド重合体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水溶性セルロースエーテル、デンプン等の水溶性高分子化合物、またこれらがランダム的、グラフト的、ブロック的に組み合わされた水溶性高分子化合物を添加することもできる。ただし、下層塗工組成物中に含まれる水溶性高分子化合物の量が多すぎると、製造されたインクジェット記録媒体のインク吸収性が著しく低下することがある。具体的には、本発明の下層塗工組成物に含まれる水溶性高分子化合物の量は吸水性顔料に対して5質量%以下とすることが好ましい。とりわけ、ポリビニルアルコールのように高い結晶性を有する水溶性高分子化合物は、キャスト処理後に得られるインクジェット記録媒体の光沢を著しく低下させることから、実質的に含まれないことが好ましい。
本発明に係る五員複素環構造を有するカチオン性樹脂としては、下記化学式(1)〜(4)で表されるカチオン性樹脂が好ましい。理由は定かではないが、他のカチオン樹脂を用いた場合、下層上に上層を設け、キャスト処理しても、本発明のような良好な光沢、写像性が得られない。
Figure 2008246739
式中、A-は、陰イオンを表す。R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基を表す。
前記化学式(1)〜(3)中、A-は陰イオンを表し、AHで表される酸の対イオンである。AHで表される酸としては、無機酸、有機酸のいずれでもよく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ピロリン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。硫酸、塩酸であると、印字の保存性が向上し、好ましい。より好ましくは、塩酸である。これらの酸は、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
以下に化学式(1)〜(4)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、化学式(1)の五員複素環構造を有するものとして、ビニルアミジン重合体、アクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体が、化学式(2)の五員複素環構造を有するものとして、ジアリルアミン塩酸塩重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩重合体、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩重合体、メチルジアリルアミン酢酸塩重合体、アリルアミン酢酸塩・ジアリルアミン酢酸塩共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体が、化学式(3)の五員複素環構造を有するものとして、ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体、ジアリルアミン酢酸塩・二酸化硫黄共重合体、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄共重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化硫黄共重合体、化学式(4)の五員複素環構造を有するものとして、ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体、ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体等が挙げられ、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。ビニルアミジン重合体、アクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体であると印字後の耐光性や耐水性が向上し、好ましい。より好ましくは、アクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体である。
本発明における五員複素構造を有する化学式(1)〜(4)で表されるカチオン性樹脂の添加量は、吸水性無機顔料の2〜30質量%であると、良好な光沢や印字後の耐水性が得られ、好ましい。より好ましくは、5〜25質量%である。
本発明においては、前記五員複素環構造を有する化学式(1)〜(4)で表されるカチオン性樹脂以外に、本発明を損なわない範囲で、通常使用される公知のカチオン性樹脂を併用することが出来る。例えば、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第2級又は第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体又はそれらのアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアミン、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン共重合体、アリルアミン塩酸塩、アリルアミンアミド硫酸塩重合体、アリルアミン重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド重合体、水酸化アルミニウム重合体等が挙げられる。これらのカチオン性樹脂は、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において、サブミクロン顔料とは、その分散液を基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を指す。本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料の種類は特に制限されないが、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等を例示することができる。特に、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占める無機顔料を用いると、上層塗工組成物を塗工後高速に乾燥しても塗工層の裂けなどの欠陥が生じにくいことからより好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印字濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがある。具体的には、BET法による比表面積が60〜600m2/gのものを用いることが好ましく、150〜400m2/gのものを用いることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合しその内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。
本発明において、キャスト処理の方式としてリウェット法を用いる場合には、上層塗工組成物のサブミクロン顔料として擬ベーマイトを用いることで、特に光沢の高いインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できるが、本発明に用いるキャスト工程の方式としてリウェット法を用いる場合には、けん化度70〜95mol%以下のものを用いると光沢が発現しやすくなることから好ましい。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足することがある。一方でポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがある。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量はサブミクロン顔料の2〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の上層塗工組成物のポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いもののほうが、添加量が比較的少量であっても塗工された塗工組成物の乾燥時に亀裂が生じにくいので、その添加量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高過ぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15〜400mPa・秒であることが好ましく、30〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性などが異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の各塗工層には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など各種の添加剤を添加することもできる。
本発明において、各塗工層の塗工組成物を塗工する方法に特に制限は無く、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、さらに上層の塗工に際しては塗工組成物の下層への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、各塗工層、特に上層塗工組成物の塗工に好ましく使用される。本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する量に特に制限は無いが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として各層がそれぞれ5〜20g/m2また両層の合計では10〜30g/m2を塗工することが好ましい。ただし、特に多量のインクを吸収することを求められる場合には、両層の合計で最大50g/m2程度を塗工することが好ましいこともある。
また、下層塗工組成物または上層塗工組成物を塗工・乾燥させた後またはその双方で、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑度を高めてからキャスト処理を行うことも可能である。
また、キャスト装置における鏡面からの剥離性を改善することを目的に油性物質または油性物質の水性分散物等の離型剤を、本発明の塗工組成物に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウェット法を用いる場合にはリウェットに用いる水に添加したりすることで、長時間にわたり安定した製造が可能になることから好ましい。本発明において離型剤として用いることができる物質の例としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン等の高級アルキルアミンまたはそれらの塩、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリドなどの高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸などの高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油などが挙げられる。
以下本発明の実施例を示す。また、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
[実施例1]
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分40%のノニオン性ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製ボンディック1910NE)100部(固形分として40部)を添加・混合した。さらに、化学式(1)の五員複素環構造を有する固形分30%のアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体(ハイモ社製ハイマックスSC−700)50部(固形分として15部)を添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mLの水が使用された。
[アルミナ水和物ゾルの調製]
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物1の調製]
上で得られたアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液20部(固形分2部)を添加し、上層塗工組成物1を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
坪量157g/m2の原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、水に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度25m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例2]
下層塗工組成物1の化学式(1)の五員複素環構造を有するカチオン性樹脂の添加量を3.3部(固形分1部)になるようにした以外には、実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例3]
下層塗工組成物1の化学式(1)の五員複素環構造を有するカチオン性樹脂の添加量を116.7部(固形分35部)になるようにした以外には、実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例4]
下層塗工組成物1の化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体の代わりに、化学式(2)の五員複素環構造を有するジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合体(住友化学社製スミレーズレジン1001)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例5]
下層塗工組成物1の化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体の代わりに、化学式(3)の五員複素環構造を有するジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体(日東紡績社製PAS−92)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例6]
下層塗工組成物1の化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体の代わりに、化学式(2)の五員複素環構造を有するジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体(ハイモ社製ハイマックスSC−100)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例7]
下層塗工組成物1の化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体の代わりに、化学式(4)の五員複素環構造を有するジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体(里田化工社製ジェットフィックス20)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例8]
下層塗工組成物1のノニオン性ポリウレタン樹脂の代わりに、カチオン性ウレタン樹脂(第一工業製薬社製スーパーフレックス600)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例8のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例9]
下層塗工組成物1のノニオン性ポリウレタン樹脂の代わりに、カチオン性アクリル樹脂(大日本インキ化学工業社製ボンコートSFC−54)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例9のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例10]
[下層塗工組成物2の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、さらに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分40%のノニオン性ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製ボンディック1910NE)100部(固形分として40部)を添加・混合した。さらに、化学式(1)の五員複素環構造を有する固形分30%のアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体(ハイモ社製ハイマックスSC−700)50部(固形分として15部)を添加・混合した。さらにBET比表面積230m2/g、固形分20%のコロイダルシリカ(グレース社製ルドックスCL)125部(固形分として25部)を添加・混合して下層塗工組成物2を得た。
[インクジェット記録媒体の作製]
下層塗工組成物1の代わりに、下層塗工組成物2を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例10のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例11]
[気相法シリカ分散液の調製]
水392部を攪拌しながら、400mPa・秒の粘度を有するジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体の50%水溶液8部(固形分4部)、気相法シリカ(BET法による比表面積90m2/g)100部を添加し、ブレード型分散機を使用して予備分散した。得られた予備分散液をコロイドミルで処理して、固形分濃度20.8%の気相法シリカ分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺が100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物2の調製]
上で得られた気相法シリカ分散液の100部(固形分20.8部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液52部(固形分5.2部)を添加し、上層塗工組成物を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
上層塗工組成物1の代わりに、上層塗工組成物2を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例11のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
下層塗工組成物1において、化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体を添加しなかった以外には、実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
下層塗工組成物1において、化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体の代わりに、五員複素環構造を有しないエピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体(ハイモ社製ハイマックスSC−510)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3]
下層塗工組成物1において、化学式(1)の五員複素環構造を有するアクリルアミド・アクリロニトリル・N−ビニルアクリルアミジン塩酸塩・N−ビニルアクリルアミド・ビニルアミン塩酸塩・N−ビニルホルムアミド共重合体の代わりに、五員複素環構造を有しないアリルアミン塩酸塩重合体(日東紡績社製PAA−HCL−03)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例4]
下層塗工組成物1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物を添加しなかった以外には、実施例1と同様にして比較例4のインクジェット記録媒体を作製した。
[写像性の評価]
光沢の評価は、視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を測定することによって行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて行った。本方法による測定においては一般に、60%以上の写像性を与えるインクジェット記録媒体は高い光沢感を有し、70%以上の写像性を与えるインクジェット記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
[光沢度]
75度鏡面光沢度は、JIS−Z8741−1983に準じて、日本電色工業製変角光沢度計VGS−1001DPを用いて測定した。光沢度が60%未満であると、いくら像鮮明度C値が高くても光沢性が乏しいことと相まって見た目の光沢感が低下することがある。実用上は、光沢度が70%を超えると好ましい。
[インク吸収性の評価]
キヤノン社製PIXUS850i型インクジェットプリンターを用いて、シアンインク、マゼンタインクからなる混色ベタパターン中に白線(非印字部)の格子パターンを作成し、格子へのインクの滲み出しについて、下記基準に従い、目視にて評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:格子が完全にクリアーである。
○:格子のほんの一部にインクの滲み出しが見られる。
△:格子が狭くなり、インクの滲み出しが全般的に見られる。
×:インクの滲み出しにより、格子が欠如している。
[印字濃度]
前記のインクジェットプリンターを用いて、ブラックインクでベタパターンを印字し、印字部をマクベスRD−918型により、光学反射濃度を測定した。
[耐光性の評価]
前記のインクジェットプリンターを用いて、CMYKのインクでそれぞれベタ印字を行い、アトラス社製サンテストCPS光退色試験機にて600W/m2で30時間照射した。画像の各色濃度の退色の度合いを観察し、下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:ほとんど退色は見られなかった。
○:僅かに退色が見られる。
△:かなりの退色が見られる。
×:退色の度合いが著しかった。
[画像耐水性の評価]
セイコーエプソン社製PM−G800型インクジェットプリンターを用いて、黒ベタパターンを印字し、インクジェット記録媒体を1分間、水に浸漬した後、自然乾燥した。乾燥後のインクの流出度合いを観察し、下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:流出の痕跡が殆どない。
○:流出の痕跡が僅かに見られる。
△:流出の痕跡がかなり見られる。
×:インクの流出が大きく、インクの定着性が全くない。
[ひび割れの評価]
塗工面を目視で観察し、ひび割れ状態を下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:全くひび割れは見られず。
○:僅かに極小さいひび割れが見られる。
△:かなりひび割れが見られる。
×:明らかに全面にひび割れが見られる。
各実施例、各比較例で得られた記録媒体の写像性、インク吸収性、印字濃度、画像耐水性、高湿滲み、ひび割れ、塗層強度を表1に示す。
Figure 2008246739
表1より、実施例1〜11の透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、前記下層が、五員複素環構造を有する前記化学式(1)〜(4)で表されるカチオン性樹脂を含有する塗工組成物から形成されることを特徴とするインクジェット記録媒体は、銀塩写真用印画紙並みの写像性を有し、かつ高いインク吸収性と優れた印字後の耐光性および耐水性が得られ、ひび割れも無く良好である。
一方、比較例1のように、下層に五員複素環構造を有する前記化学式(1)〜(4)で表されるカチオン性樹脂が添加されていない場合、光沢、耐光性や耐水性が劣っている。また比較例2、比較例3のように、下層に五員複素環構造を有する前記化学式(1)〜(4)で表されるカチオン性樹脂以外のカチオン性樹脂が添加されている場合、光沢や耐光性が劣っている。また比較例4のように、下層に四ホウ酸ナトリウムが添加されていない場合、上層のポリビニルアルコールと架橋反応が無いため、上層塗工後に表面に亀裂が入ってしまい、キャストしても表面の亀裂は残存するので、写像性が大きく低下し、インク吸収性の低下が見られ、いずれの場合も満足出来る品質を得ることが出来なかった。

Claims (2)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、前記下層が、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩、及び五員複素環構造を有するカチオン性樹脂を含有する塗工組成物から形成されることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 五員複素環構造を有するカチオン性樹脂が、下記化学式(1)〜(4)で表される請求項1記載のインクジェット記録媒体。
    Figure 2008246739
    〔式中、A-は、陰イオンを表す。R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはエチル基を表す。〕
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