JP4536082B2 - インクジェット記録媒体の製造方法 - Google Patents
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[下層塗工組成物1の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分40%のノニオン性ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製ボンディック1910NE)100部(固形分として40部)を添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mLの水が使用された。
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
上で得られたアルミナ水和物ゾルの100部(固形分25部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液20部(固形分2部)を添加し、上層塗工組成物1を調製した。
高分子樹脂の水性ディスパージョンとして固形分27%のカチオン性アクリル系樹脂(日信化学社製ビニブラン2647、動的光散乱法により測定した平均粒子径:65nm)10部(固形分2.7部)に、水260部を加え、湿潤液1を調製した。
坪量157g/m2の原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、再湿潤液1に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度25m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。
再湿潤液1のカチオン性アクリル系樹脂の代わりに、固形分27%のカチオン性スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂(星光PMC社製SS2704、水性ディスパージョン、動的光散乱法により測定した平均粒子径:50nm)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
再湿潤液1のカチオン性アクリル系樹脂の代わりに、固形分30%のカチオン性ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製スーパーフレックス620、水性ディスパージョン、動的光散乱法により測定した平均粒子径:30nm)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
再湿潤液1のカチオン性アクリル系樹脂の代わりに、固形分17.5%のカチオン性アクリル系樹脂(大同化成工業社製ビニゾール1083、水性ディスパージョン、動的光散乱法により測定した平均粒子径:150nm)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして実施例4のインクジェット記録媒体を作製した。
再湿潤液1のカチオン性アクリル系樹脂の代わりに、固形分40%のカチオン性アクリル系樹脂(日信化学社製ビニブラン2641、水性ディスパージョン、動的光散乱法により測定した平均粒子径:200nm)を、固形分が同量になるように用いた以外には、実施例1と同様にして参考例1のインクジェット記録媒体を作製した。
高分子樹脂の水性ディスパージョンとして固形分27%のカチオン性アクリル系樹脂(日信化学社製ビニブラン2647、動的光散乱法により測定した平均粒子径:65nm)10部(固形分2.7部)に、固形分20%のコロイダルシリカ(日産化学工業社製スノーテックスAK)を13.5部(固形分2.7部)加え、さらに水246.5部を加え、湿潤液2を調製した。
再湿潤液1の代わりに、再湿潤液2を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例5のインクジェット記録媒体を作製した。
[下層塗工組成物2の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を溶解し、さらにBET比表面積230m2/g、固形分20%のコロイダルシリカ(グレース社製ルドックスCL)125部(固形分として25部)を添加した。さらに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで固形分40%のノニオン性ポリウレタン樹脂(大日本インキ化学工業社製ボンディック1910NE)100部(固形分として40部)を添加・混合して下層塗工組成物2を得た。
下層塗工組成物1の代わりに、下層塗工組成物2を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例6のインクジェット記録媒体を作製した。
[気相法シリカ分散液の調製]
水392部を攪拌しながら、400mPa・秒の粘度を有するジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体の50%水溶液8部(固形分4部)、気相法シリカ(BET法による比表面積90m2/g)100部を添加し、ブレード型分散機を使用して予備分散した。得られた予備分散液をコロイドミルで処理して、固形分濃度20.8%の気相法シリカ分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺が100〜400nmの粒子が占めていた。
上で得られた気相法シリカ分散液の100部(固形分20.8部)に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液52部(固形分5.2部)を添加し、上層塗工組成物2を調製した。
上層塗工組成物1の代わりに、上層塗工組成物2を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例7のインクジェット記録媒体を作製した。
高分子樹脂の水性ディスパージョンとして固形分27%のカチオン性アクリル系樹脂(日信化学社製ビニブラン2647、動的光散乱法により測定した平均粒子径:65nm)10部(固形分2.7部)に、固形分30%の5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂(ハイモ社製ハイマックスSC−700)を0.9部(固形分として0.27部)加え、さらに水259.1部を加え、湿潤液3を調製した。
再湿潤液1の代わりに、再湿潤液3を用いた以外には、実施例1と同様にして実施例8のインクジェット記録媒体を作製した。
再湿潤液1のカチオン性アクリル系樹脂を添加せず、水とした以外には、実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
下層塗工組成物1において、四ホウ酸ナトリウム十水和物を添加しなかった以外には、実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
水溶性高分子樹脂として固形分10%のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA117)10部(固形分1部)に、水990部を加え、湿潤液4を調製した。
再湿潤液1の代わりに、再湿潤液4を用いた以外には、実施例1と同様にして比較例3のインクジェット記録媒体を作製した。
光沢の評価は、視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を測定することによって行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて行った。本方法による測定においては一般に、60%以上の写像性を与えるインクジェット記録媒体は高い光沢感を有し、70%以上の写像性を与えるインクジェット記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
75度鏡面光沢度は、JIS−Z8741−1983に準じて、日本電色工業製変角光沢度計VGS−1001DPを用いて測定した。光沢度が60%未満であると、いくら像鮮明度C値が高くても光沢性が乏しいことと相まって見た目の光沢感が低下することがある。実用上は、光沢度が70%を超えると好ましい。
キヤノン社製PIXUS850i型インクジェットプリンターを用いて、シアンインク、マゼンタインクからなる混色ベタパターン中に白線(非印字部)の格子パターンを作成し、格子へのインクの滲み出しについて、下記基準に従い、目視にて評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:格子が完全にクリアーである。
○:格子のほんの一部にインクの滲み出しが見られる。
△:格子が狭くなり、インクの滲み出しが全般的に見られる。
×:インクの滲み出しにより、格子が欠如している。
前記のインクジェットプリンターを用いて、ブラックインクでベタパターンを印字し、印字部をマクベスRD−918型により、光学反射濃度を測定した。
前記のインクジェットプリンターを用いて、CMYKのインクでそれぞれベタ印字を行い、アトラス社製サンテストCPS光退色試験機にて600W/m2で30時間照射した。画像の各色濃度の退色の度合いを観察し、下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:ほとんど退色は見られなかった。
○:僅かに退色が見られる。
△:かなりの退色が見られる。
×:退色の度合いが著しかった。
セイコーエプソン社製PM−G800型インクジェットプリンターを用いて、黒ベタパターンを印字し、インクジェット記録媒体を1分間、水に浸漬した後、自然乾燥した。乾燥後のインクの流出度合いを観察し、下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:流出の痕跡が殆どない。
○:流出の痕跡が僅かに見られる。
△:流出の痕跡がかなり見られる。
×:インクの流出が大きく、インクの定着性が全くない。
塗工面を目視で観察し、ひび割れ状態を下記の基準で評価した。評価の△及び×は、実質上問題となるレベルである。
◎:全くひび割れは見られず。
○:僅かに極小さいひび割れが見られる。
△:かなりひび割れが見られる。
×:明らかに全面にひび割れが見られる。
Claims (2)
- 透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、上層が再湿潤液を用いてキャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体の製造方法において、前記下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物を塗工して形成され、かつ前記上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物を塗工して形成され、高分子樹脂の水性ディスパージョンを含んでなる再湿潤液を用いてキャスト処理をして製造され、前記高分子樹脂がアクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリウレタン樹脂から選択される動的光散乱法で測定される粒子径が150nm以下である少なくとも1種の樹脂であることを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
- 前記再湿潤液が、コロシダルシリカを含有する請求項1記載のインクジェット記録媒体の製造方法。
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