JP2007168325A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い印字濃度を保持しつつベタ印字部の濃度ムラが少なく、かつ裁断時のダストの発生の少ない記録媒体を得る。
【解決手段】透気性の支持体上に、反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体と吸水性無機顔料を含有する下層塗工組成物と、サブミクロン顔料及びバインダーを含有する上層塗工組成物を順次塗工し、キャスト処理を行うことによってなるインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い印字濃度を保持しつつベタ印字部の濃度ムラが少なく、かつ裁断時のダストの発生の少ないインクジェット記録媒体に関する。
近年、インクジェットプリンターの技術が急速に進歩し、一般的な銀塩写真法によるものと同等以上の画像品質を有する記録物が得られるようになってきた。これに伴い、インクジェット用の記録媒体にも、銀塩写真法に用いられる印画紙と同等の質感を有するものが求められている。
光沢を有するインクジェット記録媒体として従来、特許文献1で提案されているようなキャスト塗被紙が用いられている。しかし、本技術により製造された記録媒体は、ある程度の光沢は有するものの、ベタ印字部の濃度ムラが目立ち、それが均一性のある画像形成への障害となっていた。
特許文献2では、かかる課題を解決するために上層に重量平均分子量が500〜5000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテルを含有させることが提案されている。しかし、本技術により作製されるインクジェット記録媒体は、切断時のダストの発生が問題となっていた。
また、特許文献3にて、上層の顔料として合成非晶質シリカと重質炭酸カルシウムを組み合わせて使用することにより、ベタ印字部の濃度ムラが改良することが提案されているが、切断時のダストの発生は依然解決されていなかった。
特公平7−55579号公報 特開2003−80830号公報 特開2003−170656号公報
本発明の目的は、高い印字濃度を保持しつつベタ印字部の濃度ムラが少なく、かつ裁断時のダストの発生の少ないインクジェット記録媒体を提供することにある。
上記課題に対し検討を行った結果、透気性の支持体上に、反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体と吸水性無機顔料を含有する下層塗工組成物と、サブミクロン顔料及びバインダーを含有する上層塗工組成物を順次塗工し、キャスト処理を行うことによって、高い印字濃度を保持しつつベタ印字部の濃度ムラが少なく、かつ裁断時のダストの発生の少ないインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
該ニトリルブタジエン共重合体に含有される反応性界面活性剤がアニオン性であることによって、ベタ印字部の濃度ムラのさらに少ないインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
該ニトリルブタジエン共重合体に含有される反応性界面活性剤がスルホン基を有することによって、ベタ印字部の濃度ムラのさらに少ないインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
本発明により、高い印字濃度を保持しつつベタ印字部の濃度ムラが少なく、かつ裁断時のダストの発生の少ないインクジェット記録媒体を提供することができる。
本発明において、透気性の支持体としては通常紙が用いられるが、必要に応じて不織布等紙以外の支持体を用いることもできる。
本発明において下層とは、記録媒体のより支持体に近い側に形成される塗工層をいい、下層塗工組成物とは、乾燥して下層を形成させるための液状の組成物をいう。また本発明において上層とは、記録媒体のより表面に近い側に形成される塗工層をいい、上層塗工組成物とは、乾燥して上層を形成させるための液状の組成物をいう。これらの塗工組成物は通常、水中に各材料を溶解ないし分散せしめた水性液の形で用いられる。本発明において通常、下層と上層は隣接しているが、下層と上層の相互作用を強く阻害しない範囲で、下層と上層の間に1層または2層以上の中間層を設けても良く、また下層と支持体の間及び上層の表面側にも1層または2層以上の塗工層を設けても良い。
本発明においてキャスト処理とは、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面に圧着し、鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に塗工層から水分を乾燥除去し記録媒体に光沢を付与する処理をいう。キャスト処理に使用する装置(キャスト装置)は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に、弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する構造の装置であるが、本発明には、同様の作用を有する他の構造の装置を用いても良い。本発明のインクジェット記録媒体を製造するにあたり用いるキャスト処理の方式としては、塗工組成物を塗工後一旦乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するいわゆるリウエット法、上層塗工組成物、または上下両層の塗工組成物を塗工後、乾燥させずそのままキャスト装置の鏡面に圧着するいわゆる直接法等の方式を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明において吸水性無機顔料とは、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験方法に準じた試験を行ったとき、終点までにその100gにつき100ml以上の水が使用される無機顔料をいい、その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、湿式合成シリカ、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、ハロイサイト、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ベントナイトクレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、セッコウ、酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの顔料は、その1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
かかる吸水性無機顔料の中でも湿式合成シリカは、少ない塗工量でも良好なインク吸収性を有するインクジェット記録媒体が得られることから特に好ましく使用される。本発明において湿式合成シリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩と、硫酸等の酸を混和し、洗浄、熟成、粉砕等の工程を経て得られる多孔質の二酸化ケイ素をいい、その主要な製法としては沈降法及びゲル法が知られているが、本発明に係る下層塗工組成物には、そのいずれをも好ましく用いることができる。
本発明に係る下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、インク吸収性の観点からは高いほうが好ましいが、一方吸油量が高すぎると断裁時にダストが発生しやすくなることがあるので好ましくない。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、1〜5ml/gであることが好ましく、2〜4ml/gであることがより好ましい。また、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの粒径は、小さすぎると塗工組成物の粘度が高くなり塗工操作が困難になることがあるので好ましくなく、一方大きすぎるとキャスト処理後の記録媒体の光沢が発現しにくくなることがあるので好ましくない。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカのマルヴァン法により測定される粒径は、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
本発明においてニトリルブタジエン共重合体とは、その70質量%以上がアクリロニトリル単位とブタジエン単位からなり、かつアクリロニトリル単位とブタジエン単位の質量比が15/85〜50/50の範囲にある重合体をいう。本発明に係るニトリルブタジエン共重合体には、アクリロニトリル及びブタジエンの他にメタクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミドなど各種の単量体を共重合することが可能であり、とりわけ1〜10質量%の(メタ)アクリル酸を共重合した重合体を用いることで、裁断時のダストの発生が特に少ないインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。ニトリルブタジエン共重合体は、ニトリルゴム、ニトリル−ブタジエンゴムないしNBR等の名称で呼ばれることがある。
ニトリルブタジエン共重合体は、通常界面活性剤の存在下で水性媒体中に分散したラテックス状態にて用いられる。その中でも、本発明に使用される反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体とは、界面活性剤として、その一部またはすべてに反応性界面活性剤を使用して乳化重合を行って製造されたものをいう。なお、反応性界面活性剤は共重合体の量に対して通常0.5〜5質量%含まれる。
本発明における反応性界面活性剤とは、分子中にラジカル重合鎖の末端と反応しうる反応性基を少なくとも1つと、界面活性作用を発揮するような親水部と疎水部をそれぞれ1個以上有する化合物である。反応性基としては、ビニル基のような重合性官能基や、アリル基やチオール基のような連鎖移動性官能基等が挙げられる。該反応性基はニトリルブタジエン共重合体作製時の共重合反応に取り込まれ、共重合体が作製された後には反応性界面活性剤は共重合体の一部となり、反応性を失う。
反応性界面活性剤に含まれる親水部は、少なくとも一つの親水基を有し、それはアニオン性またはノニオン性のものが好ましく用いられる。特にアニオン性のものを使用すると、ベタ印字部の濃度ムラがさらに軽減され良好である。アニオン性親水基としては、カルボキシル基、スルホン基、燐酸基、あるいはこれらの塩等が挙げられ、スルホン基あるいはその塩を有するものは特にベタ印字の濃度ムラが軽減され、さらに良好である。また、ノニオン性親水基としては、ポリエチレングリコール等のエーテルや、ソルビトール等のポリオールが挙げられる。
反応性界面活性剤に含まれる疎水部は、直鎖または分岐または環状構造を有する炭化水素基であり、さらにそれは不飽和結合を有していてもよく、また、炭化水素中の一部の水素が水酸基等の親水基に置換されていてもよいし、あるいは炭化水素中の一部またはすべての水素がフッ素や塩素等のハロゲンに置換されていてもよい。具体的には、ウンデシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、オクタデシレン基、フルオロオクタデシル基、パーフルオロオクタデシル基、ドデシルベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
本発明において、下層の塗工組成物に含まれる反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体の量は、少なすぎると断裁時のダストの発生が起こりやすくなり、多すぎるとインクの吸収性が悪化することから、吸水性無機顔料の添加量に対して20〜60質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがより好ましい。
本発明において、下層の塗工組成物に反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体以外のバインダーを併用することもできる。併用しうるバインダーの例としては、反応性界面活性剤を含有しないニトリルブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル重合体、塩化ビニル重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体と、その他の併用するバインダーの比率は、併用するバインダー量が多すぎるとベタ印字部の濃度ムラが発生しやすくなることから、反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体/その他の併用するバインダーの質量比が50/50〜100/0であることが好ましく、70/30〜100/0であることがより好ましい。
本発明において、下層がコロイダルシリカを含むことで、とりわけインク吸収性に優れるインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。本発明においてコロイダルシリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩水溶液に、硫酸等の酸を作用させるか、陽イオン交換樹脂により金属イオンを除去した後に、熟成等の工程を経る等の方法で製造されるケイ酸重合体の水性分散物であり、通常BET法による比表面積が15〜700m/gの球状のケイ酸粒子からなる。
本発明に用いるコロイダルシリカとしては、その比表面積が小さすぎるものを用いた場合キャスト処理後の光沢が発現しにくくなることがあり、その比表面積が大きすぎるものを用いた場合はインク吸収性を向上させる効果が十分でなくなることがあるから、BET法による比表面積が50〜500m/gのものが好ましく用いられ、100〜350m/gのものがより好ましく用いられる。また本発明におけるコロイダルシリカの添加量は、少なすぎるとインク吸収性向上の効果が十分でなくなることがあり、多すぎるとキャスト処理後の光沢が発現しにくくなることがあるから、吸水性無機顔料の添加量に対して10〜100質量%とすることが好ましく、15〜60質量%とすることがより好ましい。
本発明において、サブミクロン顔料とは、その分散液を基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を指す。本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料の種類は特に制限されないが、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等を例示することができる。特に、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100nm以上の粒子が占める無機顔料を用いると、上層塗工組成物を塗工後高速に乾燥しても塗工層の裂け等の欠陥が生じにくいことから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印刷濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがあるため好ましくない。具体的には、BET法による比表面積が60〜600m/gのものを用いることが好ましく、150〜400m/gのものを用いることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合しその内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。
本発明において、リウエット法にてキャスト処理を行う場合には、上層塗工組成物のサブミクロン顔料として擬ベーマイトを用いることで、特に光沢の高いインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。
本発明の上層に用いるバインダーとしては、特に限定されないが、例えば、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白等の蛋白質類、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエン共重合体、ニトリルブタジエン共重合体、クロロプレン重合体、酢酸ビニル重合体、塩化ビニル重合体、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、切断時のダストの発生が少ないことから、特にポリビニルアルコールが好ましい。これらはその1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明におけるバインダーの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足することがあるので好ましくなく、一方でバインダーの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがあるので好ましくない。具体的には、サブミクロン顔料の添加量に対して2〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できるが、本発明に用いるキャスト工程の方式としてリウエット法を用いる場合には、けん化度95mol%以下のものを用いると光沢が発現しやすくなることから好ましい。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。
本発明の上層塗工組成物に用いるポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いものの方が、添加量が比較的少量であっても塗工された塗工組成物の乾燥時に亀裂が生じにくいので、その添加量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高すぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがあるから好ましくない。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15〜400mPa・秒であることが好ましく、30〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性等が異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、上層のバインダーにポリビニルアルコールを使用した場合は、下層塗工組成物にホウ酸またはその塩を添加すると、光沢性が向上し良好である。ホウ酸またはその塩の添加量は、吸水性無機顔料に対して、ホウ素原子を基準にHBOに換算して0.2〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜5質量%とすることがより好ましい。
本発明の各塗工層には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等各種の添加剤を添加することもできる。
本発明において、各塗工層の塗工組成物を塗工する方法に特に制限はなく、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、さらに上層の塗工に際しては塗工組成物の下層への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、各塗工層、特に上層塗工組成物の塗工に好ましく使用される。本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する量に特に制限はないが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として各層がそれぞれ5〜20g/mまた両層の合計では10〜40g/mを塗工することが好ましい。ただし、特に多量のインクを吸収することを求められる場合には、両層の合計で最大50g/m程度を塗工することが好ましいこともある。
下層塗工組成物または上層塗工組成物を塗工・乾燥させた後またはその双方で、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑度を高めてからキャスト処理を行うことも可能である。
また、キャスト装置における鏡面からの剥離性を改善することを目的に油性物質または油性物質の水性分散物等の離型剤を、本発明の塗工組成物に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウエット法を用いる場合にはリウエットに用いる水に添加したりすることで、長時間にわたり安定した製造が可能になることから好ましい。本発明において離型剤として用いることができる物質の例としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン等の高級アルキルアミンまたはそれらの塩、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド等の高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸等の高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール等の高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油等が挙げられる。
以下本発明の実施例を示す。なお、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
[実施例1]
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に水酸化ナトリウム2部を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いでアニオン性の反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)を固形分として30部、添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mlの水が使用された。
[アルミナ水和物ゾルの調製]
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物1の調製]
固形分として25部相当量の上記アルミナ水和物ゾルに、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液を固形分として2部添加し、上層塗工組成物1を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、水に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度15m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例2]
アニオン性の反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)を固形分として30部の代わりに、55部添加した以外には、実施例1と同様に実施例2のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例3]
アニオン性の反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)を固形分として30部の代わりに、アニオン性の反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)を固形分として20部とニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol 1001)を固形分として10部を添加した以外には、実施例1と同様に実施例3のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例4]
ニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol 1001)の代わりに、反応性界面活性剤を含有するスチレンブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1105)を用いた以外には、実施例3と同様に実施例4のインクジェット記録媒体を作製した。
[下層塗工組成物2の調製]
水350部に水酸化ナトリウム2部を溶解し、BET比表面積230m/gのコロイダルシリカ(日産化学工業社製スノーテックス40、固形分40%)を固形分として15部添加した。さらに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)を固形分として30部、添加・混合して下層塗工組成物2を得た。
[実施例5]
下層塗工組成物1の代わりに、下層塗工組成物2を用いた以外には、実施例1と同様に実施例5のインクジェット記録媒体を作製した。
[下層塗工組成物3の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(HBO換算で0.97部)を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いで反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)を固形分として30部、添加・混合して下層塗工組成物3を得た。
[実施例6]
下層塗工組成物1の代わりに、下層塗工組成物3を用いた以外には、実施例1と同様に実施例6のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
下層塗工組成物の樹脂として、アニオン性の反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1503)の代わりに、固形分が同量となるように反応性界面活性剤を含有するアクリル酸エステル共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1706)を用いた以外には、実施例1と同様にして、比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
下層塗工組成物の樹脂として、反応性界面活性剤を含有するアクリル酸エステル共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1706)の代わりに、固形分が同量となるように、反応性界面活性剤を含有するスチレンブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1105)を用いた以外には、比較例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3]
下層塗工組成物の樹脂として、反応性界面活性剤を含有するアクリル酸エステル共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1706)の代わりに、固形分が同量となるように、ソープフリーのアクリル系共重合体(JSR社製AE322)を用いた以外には、比較例1と同様にして比較例3のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例4]
下層塗工組成物の樹脂として、反応性界面活性剤を含有するアクリル酸エステル共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1706)の代わりに、固形分が同量となるように反応性界面活性剤を含有しないニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol 1001)を用いた以外には、比較例1と同様にして、比較例4のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例5]
下層塗工組成物の樹脂として、反応性界面活性剤を含有するアクリル酸エステル共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1706)の代わりに、固形分が同量となるように、反応性界面活性剤を含有しないニトリルブタジエン共重合体(日本ゼオン社製Nipol 1042)を用いた以外には、比較例1と同様にして比較例5のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例6]
下層塗工組成物の樹脂として、反応性界面活性剤を含有するアクリル酸エステル共重合体(日本ゼオン社製Nipol SX1706)の代わりに、固形分が同量となるように、反応性界面活性剤を含有しないスチレンブタジエン共重合体(JSR社製0623N)を用いた以外には、比較例1と同様にして比較例6のインクジェット記録媒体を作製した。
[写像性の評価]
光沢の評価は、視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を測定することによって行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて行った。
[印字濃度の評価]
セイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて黒ベタ画像を印字し、マクベスRD−918型により、光学反射濃度を測定した。
[インク吸収性の評価]
セイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて所定の評価画像を印刷し、各記録媒体のインク吸収性を、画像の細部の判読性を基準とし次の5段階に分類した。AA(細部まで非常に鮮明に画像が判読できる)、A(鮮明に画像が判読できる)、B(若干画像が崩れているものの、十分に判読可能である)、C(画像の原型が50%程度崩れているが、判読可能である)、D(画像の原型はほとんど崩れているものの、辛うじて判読可能である)、E(画像が全く判読できない)。
[ベタ印字部の品質評価]
セイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて黒ベタ画像を印字し、印字部の濃度ムラを観察して、次の5段階に分類した。A(濃度ムラが全くなく、均一な印字面である)、B(目視では濃度ムラを確認できないが、50倍率のルーペで観察することにより、若干の濃度ムラが観察される)、C(目視で、うっすら濃度ムラが観察される)、D(目視で、明らかな濃度ムラが観察される)、E(濃度ムラがひどく、場所によって光学反射濃度に0.2以上の差が生じる)
[切断時のダストの評価]
記録媒体を23℃50%RH環境下で24時間調湿した後、試料を、塗工面を表面にして定規に沿ってカッターにて切断し、その時のこば落ちの程度と切断面の破損状態を次の5段階に分類した。A(全くこば落ちがなく、切断面の破損も全くない)、B(若干のこば落ちは見られたが、切断面はほとんど破損が見られない)、C(こば落ちが見られ、切断面の片面は破損していたが、他面には全く破損が見られなかった)、D(こば落ちが見られ、切断面の片面は破損が激しく、他面は若干の破損が見られた)、E(たくさんのこば落ちが見られ、切断面は両面とも激しい破損が見られた)。
各実施例、各比較例で得られた記録媒体の写像性、印字濃度、インク吸収性、ベタ印字部の品質、切断時のダストの評価の結果を表1に示す。
Figure 2007168325
実施例1〜6と比較例1〜6を比較することにより、本発明により、高い印字濃度を保持しつつベタ印字部の濃度ムラが少なく、かつ裁断時のダストの発生の少ないインクジェット記録媒体を得ることが可能であることがわかる。

Claims (3)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、下層が反応性界面活性剤を含有するニトリルブタジエン共重合体及び吸水性無機顔料を含有する塗工組成物から形成されてなり、かつ上層がサブミクロン顔料及びバインダーを含有する塗工組成物から形成されてなることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 該ニトリルブタジエン共重合体に含有される反応性界面活性剤がアニオン性であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
  3. 該ニトリルブタジエン共重合体に含有される反応性界面活性剤がスルホン基を有することを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録媒体。
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