JP2007268921A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度にも優れるインクジェット記録媒体を得る。
【解決手段】透気性の支持体上に、コロイダルシリカ、JIS K7113に規定された引張破壊伸びが1000%以上のラテックスを含有する下引き層塗工組成物と、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する下層塗工組成物と、サブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する上層塗工組成物を順次塗工し、キャスト処理を行ってなるインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、良好な光沢、印字濃度、インク吸収性を保持しながら、切断強度にも優れるインクジェット記録媒体に関する。
近年、インクジェットプリンターの技術が急速に進歩し、一般的な銀塩写真法によるものと同等以上の画像品質を有する記録物が得られるようになってきた。これに伴い、インクジェット用の記録媒体にも、銀塩写真法に用いられる印画紙と同等の質感を有するものが求められている。
光沢を有するインクジェット記録媒体として従来、特許文献1で提案されているようなキャスト塗被紙が用いられている。しかし、本技術により製造された記録媒体は、ある程度の光沢は有するものの、インク吸収性や印字濃度の点において満足できる性能が得られていなかった。
特許文献2では、これらの問題を回避するため、上層塗工組成物中に顔料としてアルミナと特定の平均粒子径を有するシリカの混合物を用いることが提案されている。しかしながら、断裁時にこば落ちが発生し、銀塩写真に用いられる印画紙と同等の切断強度を有するとは到底いえないものであった。なお、本発明において切断強度とはインクジェット記録媒体をカッター等鋭利なもので切断した時のこば落ちのしにくさをいう。
その新たな対策として、特許文献3にて、下層塗工組成物の結着剤にエチレン酢酸ビニル共重合体を用いることが提案されている。これにより切断時のダストの発生が改善するもののその効果は十分ではなく、かつ印字濃度も十分でないという欠点があった。
特公平7−55579号公報 特開2003−260863号公報 特開2004−114475号公報
本発明の目的は、高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度にも優れるインクジェット記録媒体を提供することにある。
上記課題に対し検討を行った結果、透気性の支持体上に、コロイダルシリカ、JIS K7113に規定された引張破壊伸びが1000%以上のラテックスを含有する下引き層塗工組成物と、吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する下層塗工組成物と、サブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する上層塗工組成物を順次塗工し、キャスト処理を行ってなるインクジェット記録媒体によって、高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度にも優れるインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
さらに、該コロイダルシリカのBET法による比表面積が100〜300m/gのものを用いることによって、特にインク吸収性と切断強度に優れるインクジェット記録媒体を提供することが可能になった。
本発明により、高い光沢性、印字濃度、インク吸収性を保持しつつ、切断強度に優れるインクジェット記録媒体を提供することができる。
本発明において、透気性の支持体としては通常紙が用いられるが、必要に応じて不織布等紙以外の支持体を用いることもできる。
本発明において下引き層とは記録媒体の支持体に最も近い側に形成される塗工層をいい、下引き層塗工組成物とは、乾燥して下引き層を形成させるための液状の組成物をいう。また本発明において上層とは、記録媒体のより表面に近い側に形成される塗工層をいい、上層塗工組成物とは、乾燥して上層を形成させるための液状の組成物をいう。さらに、本発明において下層とは、前述の下引き層と上層の間に形成される塗工層をいい、下層塗工組成物とは乾燥して下層を形成させるための液状の組成物をいう。これらの塗工組成物は通常、水中に各材料を溶解ないし分散せしめた水性液の形で用いられる。本発明において通常、下引き層と下層、あるいは下層と上層は隣接しているが、層間の相互作用を強く阻害しない範囲で、層間に1層または2層以上の塗工層を設けても良く、また上層の表面側にも1層または2層以上の塗工層を設けても良い。
本発明においてキャスト処理とは、湿潤状態にある塗工層を加熱された鏡面に圧着し、鏡面形状を塗工層の表面に転写すると共に塗工層から水分を乾燥除去し記録媒体に光沢を付与する処理をいう。キャスト処理に使用する装置(キャスト装置)は通常、表面がクロムメッキされたシリンダーの表面に、弾性ロールを用いて連続的に塗工紙を圧着する構造の装置であるが、本発明には、同様の作用を有する他の構造の装置を用いても良い。本発明のインクジェット記録媒体を製造するにあたり用いるキャスト処理の方式としては、塗工組成物を塗工後一旦乾燥させてから再度水分を付与し、その後キャスト装置の鏡面に圧着するいわゆるリウエット法、上層塗工組成物、または上下両層の塗工組成物を塗工後、乾燥させずそのままキャスト装置の鏡面に圧着するいわゆる直接法等の方式を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
本発明においてラテックスとは、実質的に非水溶性の熱可塑性高分子化合物が水中に分散した液状物を指し、一旦乾燥した後は熱水にも実質的に溶解しない点で水溶性高分子化合物の水溶液と区別される。下引き層塗工組成物に用いられるラテックスとしては、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、およびこれらの重合体を構成する単量体の2種以上をランダム的、グラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が挙げられ、特にJIS K7113に規定された引張破壊伸びが1000%以上のものが使用される。これらのラテックスは、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
JIS K7113に規定された引張破壊伸びの試験に使用する試験片は、ラテックスを23℃、65%RHの条件下で1日乾燥後、150℃で5分間乾燥した150μm厚のフィルムを用いる。引張破壊伸びの測定は、島津製作所社製オートグラフAG−ISを用いて、引張速さ300mm/minの条件下でJIS K7113に規定された方法に準拠して行う。
本発明において下引き層塗工組成物に用いられるコロイダルシリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩水溶液に、硫酸等の酸を作用させるか、陽イオン交換樹脂により金属イオンを除去した後に、熟成等の工程を経る等の方法で製造されるケイ酸重合体の水性分散物であり、通常BET法による比表面積が15〜700m/gの球状のケイ酸粒子からなる。
本発明において下引き層塗工組成物に用いるコロイダルシリカとしては、その比表面積が小さすぎるものを用いた場合十分な切断強度が得られにくくなることがあり、その比表面積が大きすぎるものを用いた場合はインク吸収性が低下することがあるから、BET法による比表面積が50〜500m/gのものが好ましく用いられ、100〜300m/gのものがより好ましく用いられる。また本発明における下引き層塗工組成物中のコロイダルシリカの添加量は、少なすぎると十分なインク吸収性が得られなくなることがあり、多すぎると切断強度が得られにくくなることがあるため、JIS K7113に規定された引張破壊伸びが1000%以上のラテックスの固形分に対して50〜150質量%とすることが好ましく、80〜120質量%とすることがより好ましい。
本発明において吸水性無機顔料とは、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験方法に準じた試験を行ったとき、終点までにその100gにつき100ml以上の水が使用される無機顔料をいい、その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、湿式合成シリカ、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、ハロイサイト、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ベントナイトクレー、ゼオライト、カオリン、焼成カオリン、セッコウ、酸化チタン、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの顔料は、その1種を単独で用いてもよく、またはそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
かかる吸水性無機顔料の中でも湿式合成シリカは、少ない塗工量でも良好なインク吸収性を有するインクジェット記録媒体が得られることから特に好ましく使用される。本発明において湿式合成シリカとは、ケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩と、硫酸等の酸を混和し、洗浄、熟成、粉砕等の工程を経て得られる多孔質の二酸化ケイ素をいい、その主要な製法としては沈降法及びゲル法が知られているが、本発明の下層塗工組成物には、そのいずれをも好ましく用いることができる。
本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、インク吸収性の観点からは高いほうが好ましいが、一方吸油量が高すぎると塗工層の強度が低下することがある。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの吸油量は、1〜5ml/gであることが好ましく、2〜4ml/gであることがより好ましい。また、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカの粒径は、小さすぎると塗工組成物の粘度が高くなり塗工操作が困難になることがあり、一方大きすぎるとキャスト処理後の記録媒体の光沢が発現しにくくなることがある。具体的には、本発明の下層塗工組成物に用いる湿式合成シリカのマルヴァン法により測定される粒径は、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。
本発明の下層塗工組成物へのホウ酸またはその塩の添加量は、塗工組成物のpHにも依存するが、少なすぎると乾燥後の上層に亀裂が発生して光沢が低下することがあり、多すぎると塗工層の強度が低下することがあることから、吸水性無機顔料に対して、ホウ素原子を基準にHBOに換算して0.2〜10質量%とすることが好ましく、0.4〜5質量%とすることがより好ましい。
下層塗工組成物に用いるラテックスとしては、酢酸ビニル重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、およびこれらの重合体を構成する単量体の2種以上をランダム的、グラフト的、ブロック的に組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物の水性分散液や、天然ゴムラテックス等が挙げられる。これらのラテックスは、その1種を単独で用いても良く、またそれらの2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明において、下層塗工組成物へのラテックスの添加量は、少なすぎると得られた記録媒体の機械的強度が十分にならないことがあり、多すぎるとインク吸収性が不十分になったり、キャスト処理後の光沢が十分に得られないことがあるから、吸水性無機顔料に対して、10〜60質量%とすることが好ましく、15〜40質量%とすることがより好ましい。
本発明の下層塗工組成物には、本発明の効果を損なわない程度に、ビニルピロリドン重合体、(メタ)アクリル酸重合体、(メタ)アクリルアミド重合体等の水溶性高分子化合物を添加することもできる。ただし、ポリビニルアルコールのように高い結晶性を有する水溶性高分子化合物は、キャスト処理後に得られるインクジェット記録媒体の光沢を著しく低下させることから、実質的に含まれないことが好ましい。
本発明において、サブミクロン顔料とは、その分散液を基板上に散布し、走査型電子顕微鏡で観察したときに、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺1μm以下の粒子が占める無機顔料を指す。本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料の種類は特に制限されないが、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等を例示することができる。特に、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺400nm以下の粒子が占める無機顔料を用いることで、特に高い表面光沢が得られることから好ましい。また、該観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100nm以上の粒子が占める無機顔料を用いると、上層塗工組成物を塗工後高速に乾燥しても塗工層の裂け等の欠陥が生じにくいことから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるサブミクロン顔料としては、比表面積がある程度以上あるものを用いると高い印刷濃度が得られることから好ましい。一方比表面積が大きすぎるものを用いるとインクの吸収性が低下することがある。具体的には、BET法による比表面積が60〜600m/gのものを用いることが好ましく、150〜400m/gのものを用いることがより好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合しその内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。
本発明において、キャスト処理の方式としてリウエット法を用いる場合には、上層塗工組成物のサブミクロン顔料として擬ベーマイトを用いることで、特に光沢の高いインクジェット記録媒体が得られることから好ましい。
本発明の上層塗工組成物に用いるポリビニルアルコールとしては、70mol%から100mol%までの種々のけん化度のポリビニルアルコールが使用できるが、本発明に用いるキャスト工程の方式としてリウエット法を用いる場合には、けん化度95mol%以下のものを用いると光沢が発現しやすくなることから好ましい。またシリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、エチレン等他の単量体をランダム的、グラフト的、またはブロック的に導入した変性ポリビニルアルコールも使用することができる。本発明におけるポリビニルアルコールの添加量は、少なすぎると乾燥時に亀裂が生じたり、形成されるインクジェット記録媒体の表面強度が不足することがあったり、一方でポリビニルアルコールの添加量が多すぎるとインク吸収性が低下することがある。具体的には、ポリビニルアルコールの添加量はサブミクロン顔料の2〜40質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
本発明の上層塗工組成物のポリビニルアルコールは、その水溶液の粘度が高いものの方が、添加量が比較的少量であっても塗工された塗工組成物の乾燥時に亀裂が生じにくいので、その添加量を少なくすることができ、結果としてインク吸収性を向上させられるので好ましい。しかし反面、その水溶液の粘度が高すぎると、本発明により得られる塗工組成物の粘度が高くなりすぎて塗工操作が困難になることがある。具体的には、JIS Z8803に基づき25℃においてウベローデ粘度計を使用して測定される固形分濃度4質量%の水溶液の粘度が15〜400mPa・秒であることが好ましく、30〜200mPa・秒であることがより好ましい。これらのポリビニルアルコールは、その1種を単独で用いても良いし、けん化度、粘度、変性等が異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の上層塗工組成物には、印字濃度或いは耐水性の向上を目的として、カチオン性の水溶性高分子を含有させることができる。カチオン性の水溶性高分子は、例えば、ポリエチレンイミン第4級アンモニウム塩誘導体、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、カチオン性ポリビニルアルコール、カチオン性澱粉等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
本発明の各塗工層には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色味調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等各種の添加剤を添加することもできる。
本発明において、各塗工層の塗工組成物を塗工する方法に特に制限はなく、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、さらに上層の塗工に際しては塗工組成物の下層への浸透が生じにくく非常に良好な面質を与えるので、各塗工層、特に上層塗工組成物の塗工に好ましく使用される。
本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する下引き層の量は、塗工量が少ないと十分な切断強度が得られず、多すぎるとインク吸収性が低下することから、10〜30g/mが好ましく、15〜25g/mが特に好ましい。一方、本発明の塗工組成物を支持体上に塗工する下層と上層の量に特に制限はないが、インク吸収性と経済性を両立させるためには通常、固形分として各層がそれぞれ5〜20g/m2、また下層と上層の合計では10〜40g/mを塗工することが好ましい。ただし、特に多量のインクを吸収することを求められる場合には、下層と上層の合計で最大50g/m程度を塗工することが好ましいこともある。
下層塗工組成物または上層塗工組成物を塗工・乾燥させた後またはその双方で、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑度を高めてからキャスト処理を行うことも可能である。
キャスト装置における鏡面からの剥離性を改善することを目的に油性物質または油性物質の水性分散物等の離型剤を、本発明の塗工組成物に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウエット法を用いる場合にはリウエットに用いる水に添加したりすることで、長時間にわたり安定した製造が可能になることから好ましい。本発明において離型剤として用いることができる物質の例としては、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミン等の高級アルキルアミンまたはそれらの塩、トリメチルオクチルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド等の高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸等の高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール等の高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油等が挙げられる。
以下本発明の実施例を示す。なお、本実施例中で、特に明示しない限り部は質量部、%は質量%を示すものとする。
[実施例1]
[下引き層塗工組成物1の調製]
引張破壊伸び1000%のウレタン系共重合体(大日本インキ化学工業社製ボンディック1690NE)を固形分として100部と、BET法による比表面積が110〜150m/gのコロイダルシリカ(Grace Davison社製LUDOX TM−50)を固形分として100部を混合し、固形分量が30%となるように水を加えて下引き層塗工組成物1を得た。
[下層塗工組成物1の調製]
水350部に四ホウ酸ナトリウム十水和物6部を溶解し、ここに湿式合成シリカ(トクヤマ社製ファインシールX−37B)100部を添加した後ノコギリ型ブレードを有する分散機を用いて十分に分散した。次いでスチレン−ブタジエンラテックス(JSR社製0623N)を固形分として40部、添加・混合して下層塗工組成物1を得た。なお、ここで用いた湿式合成シリカについて、アマニ油の代わりに水を用い、JIS K 5101に定められた吸油量の試験に準じた試験を行ったところ、終点までにその100gあたり300mLの水が使用された。
[アルミナ水和物ゾルの調製]
水299部に酢酸1部を混合し、擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(サソール社製Disperal HP14)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して解膠し、固形分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査型電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物1の調製]
固形分として25部の上記アルミナ水和物ゾルに、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液を固形分として2部添加し、上層塗工組成物1を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
坪量157g/mの原紙(三菱製紙社製ダイヤフォーム)上に、下引き層塗工組成物1を乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで、下層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。さらに、得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物1を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるようにエアナイフコーターを用いて塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。こうして得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した。この塗工紙の塗工面を、水に5秒間接触させて湿潤した後、温度95℃に加熱したキャスト装置の鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度15m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例2〜11]
下引き層塗工組成物中のラテックスとコロイダルシリカを表1に示すように変更した以外には実施例1と同様にして実施例2〜11のインクジェット記録媒体を作製した。
Figure 2007268921
[実施例12]
[気相法シリカ分散液の調製]
水392部を攪拌しながら、400mPa・秒の粘度を有するジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合体の50%水溶液8部(固形分4部)、気相法シリカ(BET法による比表面積90m/g)100部を添加し、ブレード型分散機を使用して予備分散した。得られた予備分散液をコロイドミルで処理して、固形分濃度20.8%の気相法シリカ分散液を得た。この分散物を水で100倍に希釈し、ガラス基板上に散布して走査電子顕微鏡で観察したところ、観察野において粒子が占める面積の80%以上を、長辺が100〜400nmの粒子が占めていた。
[上層塗工組成物2の調製]
固形分として20.8部の上記気相法シリカ分散液に、けん化度88mol%、4%水溶液の25℃における粘度95mPa・秒のポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液を固形分として3部添加し、上層塗工組成物を調製した。
[インクジェット記録媒体の作製]
原紙上に、実施例1にて用いた下引き層塗工組成物を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。次いで、実施例1にて用いた下層塗工組成物を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように塗工し、熱風型乾燥機を用いて乾燥させた。こうして得られた塗工紙をソフトカレンダーを用いて処理した後、上層塗工組成物2を、乾燥後の塗工量が20g/mとなるように塗工し、水分が揮発する前に、キャスト装置の90℃に加熱した鏡面クロムメッキシリンダーに、線圧20kN/m、速度15m/minで圧着し、乾燥後にシリンダーより剥離することで実施例12のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
下引き層塗工組成物の塗工を行わず、原紙上に直接下層塗工組成物を塗工する以外には、実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
[下引き層塗工組成物2の調製]
引張破壊伸び1000%のウレタン系共重合体(大日本インキ化学工業社製ボンディック1690NE)に固形分量が30%となるように水を加えて下引き層塗工組成物2を得た。
下引き層塗工組成物1の代わりに下引き層塗工組成物2に変更した以外には、実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3〜6]
下引き層塗工組成物中のラテックスを表2に示すように変更した以外には実施例1と同様にして比較例3〜6のインクジェット記録媒体を作製した。
Figure 2007268921
[比較例7]
下引き層塗工組成物中のラテックスとして、引張破壊伸び1000%のウレタン系共重合体(大日本インキ化学工業社製ボンディック1690NE)の代わりに、固形分が同量となるようにポリビニルアルコール(クラレ社製PVA235)の10%水溶液に変更した以外には、実施例1と同様にして比較例7のインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例8]
下引き層塗工組成物中のラテックスを表2に示すように変更した以外には実施例12と同様にして比較例8のインクジェット記録媒体を作製した。
[写像性の評価]
光沢の評価は、視覚的な光沢との相関性に優れる写像性を測定することによって行った。なお、測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角45°、光学くし幅2.0mmにて行った。本方法による測定においては一般に、60以上の写像性を与える記録媒体は高い光沢感を有し、65以上の写像性を与える記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
[印字濃度の評価]
セイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて黒ベタ画像を印字し、マクベスRD−918型により、光学反射濃度を測定した。
[インク吸収性の評価]
セイコーエプソン社製PM−900C形インクジェットプリンターを用いて所定の評価画像を印刷し、各記録媒体のインク吸収性を、画像の細部の判読性を基準とし次の5段階に分類した。A(細部まで鮮明に画像が判読できる)、B(若干画像が崩れているものの、十分に判読可能である)、C(画像の原型が50%程度崩れているが、判読可能である)、D(画像の原型はほとんど崩れているものの、辛うじて判読可能である)、E(画像が全く判読できない)。
[切断時のダストの評価]
記録媒体を23℃50%RH環境下で24時間調湿した後、試料を、塗工面を表面にして定規に沿ってカッターにて切断し、その時のこば落ちの程度と切断面の破損状態を次の5段階に分類した。A(全くこば落ちがなく、切断面の破損も全くない)、B(若干のこば落ちは見られたが、切断面はほとんど破損が見られない)、C(こば落ちが見られ、切断面の片面は破損していたが、他面には全く破損が見られなかった)、D(こば落ちが見られ、切断面の片面は破損が激しく、他面は若干の破損が見られた)、E(たくさんのこば落ちが見られ、切断面は両面とも激しい破損が見られた)。
各実施例、各比較例で得られた記録媒体の写像性、印字濃度、インク吸収性、切断時のダストの評価を表3に示す。
Figure 2007268921
実施例1〜11と比較例1を比較することにより、本発明の下引き層塗工組成物を設けることにより、切断強度が大幅に強くなることが分かる。そして、実施例1〜12と比較例3〜8を比較することにより、十分な切断強度を得るためには下引き層塗工組成物中のラテックスの引張破壊伸びが1000%以上であることが必須であることが分かる。さらに、実施例1と比較例1、2を比較することにより、塗工面のひび割れを回避し光沢性のあるインクジェット記録媒体を作製するために、下引き層塗工組成物中にコロイダルシリカを含有させることが必須であることが分かる。また、実施例1〜4と実施例5、6を比較することにより、BET法による比表面積が100〜300m/gの時にインク吸収性も切断強度も共に良好なインクジェット記録媒体を得ることができることが分かる。

Claims (2)

  1. 透気性の支持体上に少なくとも下引き層と下層と上層を設け、キャスト処理をして製造されてなるインクジェット記録媒体において、下引き層がコロイダルシリカ、JIS K7113に規定された引張破壊伸びが1000%以上のラテックスを含有する塗工組成物から形成されてなり、かつ下層が吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する塗工組成物から形成されてなり、かつ上層がサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する塗工組成物から形成されてなることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 該コロイダルシリカのBET法による比表面積が100〜300m/gであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015063064A (ja) * 2013-09-25 2015-04-09 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法、及び、印刷物

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