JP2009214392A - インクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料 - Google Patents

インクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】広幅・大径巻取りであっても塗工後に巻き皺の発生がないインクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料、特にボコツキ感の小さいインクジェット記録材料を提供する。
【解決手段】支持体がJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.27A法に基づく水中伸度試験方法による紙横目方向の2分後の水中伸度が2.0%以下で、支持体の幅方向の標準偏差が20%以下であり、支持体のJIS−P−8117に定める透気度が100秒以下であることを特徴とするインクジェット記録材料用支持体。
【選択図】なし

Description

本発明は広幅・大径巻取りであっても塗工後に巻き皺の発生がないインクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料、特にボコツキ感の小さいインクジェット記録材料に関する。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の被記録材に付着させ、画像や文字等の記録を行うものであるが、高速・低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢字を含めた各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。また、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画と比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。更に、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術による印画よりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録材料の製造は、生産性の向上のため、巻取り製品は広幅、大径化する傾向にある。広幅かつ大径巻取りの場合、支持体に塗工層(いわゆるインク受理層)を塗工後、ワインダー部で巻取りの特に下巻きで巻き皺が発生し、ひどい場合には塗工中に断紙を起こし生産性を著しく低下させるという問題がある。
かかる問題を解決するために、針葉樹晒クラフトパルプの比率を高め、内添紙力剤を増やし、支持体の紙力を高める方法が考えられる。しかしながら、インクジェット記録材の平滑性が損なわれボコツキ感のある表面になり、インク吸収性も低下してしまう。
また、特許文献1のようにポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などの耐水化剤、PVA、澱粉などの水溶性高分子、ロジンサイズ剤などを表面サイズによりセルロース繊維結合部保護構造を形成し、横目方向の浸水伸びを1.8%以下に抑制した電子写真・インクジェット共用紙が提案されているが、巻き皺に対しては十分な効果がなかった。
特許文献2のバックコート層を設ける方法では、透気性が悪くなり、キャスト法により光沢層を設ける場合には、湿潤した塗工層を鏡面に圧着させて乾燥させるため、塗工層中の水分が蒸気となって支持体の裏面に抜ける必要があるが、塗工層内部に蒸気が滞留し、乾燥に長い時間を要するだけでなく、水から蒸気になる際の体積膨張により支持体を持ち上げ、塗工層の弱い部分が破壊される現象(パンク)が見られる。
特許文献3の単位シート内で1cm角のCD方向での水中伸度の標準偏差が水中伸度の30%以下であることが提案されているが、広幅・大径巻取りでの巻き皺に対しては、透気性も大きく関与しており、透気性が悪いと原紙に空隙が少ないことを示し、塗工後の強乾燥工程で収縮による歪みが吸収できなくなり、巻き皺をなくすことはできなかった。
一方、抄紙工程において、パルプ含有液速度(J)と、ワイヤー速度(W)との比(J/W比)を0.9〜1.1として抄紙する抄紙工程を含む画像記録材料用支持体の製造方法が特許文献4に開示されている。しかしながら、J/W比だけでは、十分な水中伸度に抑えることができなかった。
特開平10−46498号公報 特許第3180981号公報 特許第3031235号公報 特開2005−187981号公報
本発明の目的は、広幅・大径巻取りであっても塗工後に巻き皺の発生がないインクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料、特にボコツキ感の小さいインクジェット記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
1)支持体がJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.27A法に基づく水中伸度試験方法による紙横目方向の2分後の水中伸度が2.0%以下で、支持体の幅方向の標準偏差が20%以下であり、支持体のJIS−P−8117に定める透気度が100秒以下とするインクジェット記録材料用支持体である。
2)前記支持体の抄造工程において、パルプ含有液の速度(J)と、ワイヤー速度(W)との比(J/W比)が0.8〜1.1であり、シェーキング強度20〜80の範囲で製造する上記1)記載のインクジェット記録材料用支持体の製造方法。
3)前記支持体がカチオン性樹脂で表面サイズしてなる上記1)記載のインクジェット記録用材料。
4)前記製造方法で得られた支持体を用いて、支持体上にインク受理層を設け、その上に光沢発現層を設けて、キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料。
本発明により、広幅・大径巻取りであっても塗工後に巻き皺の発生がないインクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料、特にボコツキ感の小さいインクジェット記録材料が得られる。
以下、本発明の広幅・大径巻取りであっても塗工後に巻き皺の発生がないインクジェット記録材料用支持体およびその製造方法、並びにそれを用いたインクジェット記録材料、特にボコツキ感の小さいインクジェット記録材料について、詳細に説明する。
本発明の支持体は、天然パルプを主成分とする紙であり、天然パルプは、主に木材パルプである。木材パルプとしては、塩素、次亜塩素酸、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のもの、更には古紙パルプ等を用いることができる。具体的には、広葉樹クラフトパルプを60質量%以上、好ましくは75質量%以上用いることが好ましい。これらのパルプのうち短繊維で平滑性の出やすいサルファイトパルプ、好ましくはサルファイト広葉樹パルプを多く用いると良い。
パルプの叩解条件としては、叩解機により長繊維分がなるべく少なくなるように叩解する。具体的には、例えばパルプの叩解は、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.52−89「紙及びパルプ繊維長試験方法」に準拠して測定される長さ加重平均繊維長を0.35〜0.90mm、好ましくは0.45〜0.80mm、更に好ましくは0.45〜0.70mm、繊維長1mm以下の累積重量が70%以上とする。
本発明の支持体を抄造する際に使用される填料としては、特に制限されず、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの公知の炭酸カルシウムやタルク、クレー、カオリンなどの無機填料および有機填料が使用できる。
本発明の支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、特に制限されず、一般に使用されるロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤などの酸性抄紙用サイズ剤や、アルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、中性ロジンサイズ剤などの中性抄紙用サイズ剤が使用できる。
本発明の支持体中に含有する乾燥紙力増強剤としてカチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等を、紙料スラリー調製時に必要に応じて適宜選択して添加することができる。ポリアクリルアミドは、アニオン性、カチオン性あるいは両性のいずれも用いることができる。
なお、紙料スラリー中には、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等のpH調節剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜配合することもできる。
本発明の支持体に必要に応じて表面サイズすることができる。表面サイズとして、表面サイズ剤、カチオン性樹脂、バインダーなどが挙げられるが、カチオン性樹脂を用いて表面サイズすることが好ましい。カチオン性樹脂としては、水に溶解した時にカチオン性を呈する1級〜3級アミンまたは4級アンモニウム塩のオリゴマーまたはポリマーであり、好ましくは、ポリマーである。特に、カチオン性樹脂が、ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ジアルキルアミン・アンモニウム・エピクロロヒドリン重縮合物、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリアミジン系共重合物を主成分とする化合物である時に、染料インクで印字した時に十分なインク耐水性が得られることが判明している。
支持体の表面にカチオン性樹脂を表面サイズすることにより、染料インクで印字した時に染料成分が支持体内部にまで浸透せずに、支持体表面で染料成分がカチオン樹脂とセットすることで印字部のインク耐水性が得られる。
本発明の支持体におけるカチオン性樹脂の表面サイズ量は、有効成分で0.1〜5.0g/m2の範囲で、さらに0.4〜3.0g/m2の範囲が好ましい。カチオン性樹脂の含有量が0.1g/m2より少ないと、十分な印字部の耐水性が得られないことがあり、また、5.0g/m2を超えた場合は、印字濃度が低くなってしまうことがある。
表面サイズ剤としては、スチレン・アクリル系共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸共重合物、アルキルケテンダイマー系、ロジン系などの表面サイズが挙げられるが、カチオン性樹脂との混合のためには、微弱アニオン性からカチオン性の表面サイズ剤が好ましい。表面サイズ量としては、有効成分で1.0〜3.0g/m2が好ましく、この範囲であれば、インク吸収性と水中伸度抑制を両立させることができる。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、酢酸ビニル、酸化澱粉、カチオン化澱粉、リン酸エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白など;無水マレイン酸樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;エチレン・酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス;あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤を単独あるいは併用して使用することができる。操業性、コストの面から澱粉の使用が好ましい。本発明でいう澱粉には、上記の酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、各種変性澱粉が含まれる。カチオン性樹脂との混合のためには、微弱アニオン性からカチオン性のバインダーが好ましい。表面サイズ量としては、有効成分で1.0〜3.0g/m2が好ましく、この範囲であればインク吸収性と水中伸度抑制を両立させることができる。
表面サイズ液には、pH調節剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、導電剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で適宜配合することもできる。
支持体に表面サイズする方法としては、サイズプレス、ゲートロールコーター、トランスファーロールコーターの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機で塗工することも可能であるが、コスト及び一工程で紙の両面を処理できる点からは抄紙機に設置されているサイズプレス、ゲートロールコーター、トランスファーロールコーターなどによって塗工し、オンマシンで仕上げることが好ましい。また、カチオン性樹脂を含む場合には、両面を処理することで塗工する側と反対側の支持体面にインクジェット記録した場合のインク耐水性を付与することができる。
本発明における支持体の抄紙方法において抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、円網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。
広幅・大径巻取りでの塗工後の巻き皺の発生は、支持体の水中伸度及び透気性が関与していることが判り、これらの条件を調整することにより、巻き皺の発生が極めて効率良く抑えられ、しかもボコツキ感の小さいインクジェット記録材料が得られることが判った。
得られた支持体の水中伸度が大きい場合、即ち水分による伸びが大きいと、塗工によって水分を含んだ支持体が塗工後の強乾燥工程で支持体から脱水された時の収縮量が大きくなるため、巻き皺が発生しやすくなる。また、水中伸度を抑えるだけでは、巻き皺は部分的に皺が発生する場合があった。このような紙の物理的な挙動のバラツキから起こるトラブルの解決策として、物性や挙動の標準偏差による管理が重要である。また、支持体の透気性が悪い場合は、支持体に空隙が少ないことを示し、たとえ水中伸度が改良されても、塗工後の強乾燥工程で収縮による歪みが吸収され難くなり、結果的に巻き皺現象が助長される。従って、水中伸度の標準偏差管理と透気性を調整することにより、巻き皺を極めて効率良く抑えることを見出した。
次に、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.27A法に基づく水中伸度試験では、浸せき時間は15分としているが、塗工によって支持体に水分が含まれる時間は短く、2分間にした時の値が、巻き皺と相関があることが判った。また、広幅・大径の巻取りの場合、塗工中に幅方向で均一にテンションがかかっていないことから、水中伸度は横方向だけではなく、縦方向についても巻き皺が発生することが判った。
なお、本発明における支持体の透気度とは、JIS−P−8117(紙及び板紙の透気度試験方法)で規定され、空気100mlが面積645mm2の試験片を通過するのに要する時間(透気度)で表される。
本発明の支持体における透気度の値を調整するには、使用する填料の形状、粒子径及び使用量、及びサイズプレス剤の種類や付着量の調整、あるいは使用するサイズプレス装置等を適宜選択したり、支持体を平滑化するカレンダー条件を適宜調節することによって可能である。
本発明における支持体の紙横目方向の2分後の水中伸度は2.0%以下であり、支持体の幅方向の標準偏差が20%以下であり、透気度が100秒以下にするものである。紙横目方向の水中伸度が2.0%を超えた場合、幅方向の水中伸度の標準偏差が20%を超えた場合、透気度が100秒を超えた場合のいずれかで、支持体の塗工後の強乾燥工程で収縮量が大きくなり、巻き皺が発生しやすくなる。
本発明における支持体の水中伸度を調整する方法としては、パルプの叩解を進め濾水度を下げる方法、繊維配向を下げる方法、抄紙機における紙の流れ方向の張力(ドロー)等を調整する方法が挙げられるが、繊維配向を下げる方法が紙質の変化と効果から最も好ましい。繊維配向は、抄紙機の操業条件、特にヘッドボックスから噴出されるパルプ含有液の速度(J)とワイヤー速度(W)との比(J/W比)の影響が大きく、繊維配向が小さい程、支持体の水中伸度は小さくなる。繊維配向を1.4以下とすると水中伸度は2.0%以下となることが判り、繊維配向を1.4以下とするために、J/W比は、0.8〜1.1が好ましい。
本発明における支持体の水中伸度を調製する方法として、J/W比だけで調整することは、幅方向標準偏差を20%以下に調整できない場合もあり、シェーキング装置を用い、シェーキング強度20〜80の条件で製造することが好ましいことを見出した。シェーキングに関しては、TAPPI(1966)Vol.49、No.10に長網抄紙機の地合形成とシェーキング強度との関係が開示されている。シェーキング強度が30以上の場合に、1つの関係式に集約でき、30〜60で顕著な地合改善が得られ、60〜90では地合改善が少なくなる。また、90を超えると殆ど地合改善が見られなくなり、30未満では、シェーキング強度と地合形成の関係は説明できないと開示されている。同文献によるシェーキング強度とは、下記一般式1で定義されるものである。
(数1)
I=F2×A/S(一般式1)
I:SHAKE INTENSITY(回2/分)
F:振動数(回/分)
A:振幅(インチ)
S:抄紙機スピード(フィート/分)
なお、この定義はインチ、フィートが用いられているが、本発明においては当業者の慣例に従って、インチ、フィートに換算して計算することとした。
しかしながら、上記の文献にはシェーキング強度と繊維配向の関係についてはなんら記載も示唆もなく、本発明では、シェーキング強度が20〜80の間であれば、支持体の水中伸度が2.0%以下で幅方向の標準偏差が20%以下であった。シェーキング強度が20未満であれば、ワイヤー上に噴出されたスラリーを振動させるのに十分な仕事量に届かず、水中伸度の幅方向の標準偏差に対して効果が不充分であった。また、シェーキング強度80以上だと、機械のエネルギーが多大となり、効果的ではない。
本発明のインクジェット記録材料用支持体とは、塗工タイプのインクジェット記録材料の支持体であり、前記支持体の少なくとも片面上にインク受理層が設けられる。本発明でいうインク受理層とは、インク中の溶媒を浸透させ、保持または吸収するような空隙を構成する主として顔料とバインダーからなる層や、インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなる層等を指す。これらの層は単独でもそれぞれの層が二層以上の多層でも、顔料層と高分子層の組み合わせでも本発明のインク受理層としてなんら問題ないが、顔料層の方がインク吸収容量は大きく好ましい。また、キャスト処理によって塗工され光沢発現層を持つインクジェット記録材料用支持体も本発明のインクジェット記録材料用支持体に含まれる。
キャスト処理方法は、直接法、凝固法、リウェット法(再膨潤法)等が挙げられる。直接法は、光沢発現層を塗工後に湿潤状態で加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する方法である。凝固法は、光沢発現層を塗工後、湿潤状態の該層を凝固液により凝固させた後、加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥する方法である。また、リウェット法は、光沢発現層を塗工し乾燥後、水を主体とする湿潤液に該層をリウェットさせ、加熱された鏡面に圧接し乾燥する方法である。
顔料とバインダーからなるインク受理層を有する形態で使用する顔料としては、公知の白色顔料を1種類以上用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、ケイソウ土、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、活性白土、酸性白土、加水ハイサイト、ベントナイトクレー、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、気相法シリカ、アルミナ水和物、アルミナ等の白色顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を1種類以上用いることができる。中でも、多孔性無機顔料が好ましく、特に、細孔容量が大きい多孔性合成非晶質シリカが好ましい。平均粒子径は0.1〜20μmの範囲が好ましい。
顔料とバインダーからなるインク受理層を有する形態で使用するバインダーとしては、目的とするインクジェット記録材料の特性に合わせて、例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆、蛋白、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール;酢酸ビニル重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、及び単量体を2種以上組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物、天然ゴムラテックス等が挙げられる。添加量は、顔料100質量%に対して、5〜80質量%が好ましい。また、染料インクを定着する目的で従来公知のカチオン樹脂を併用することもできる。
その他の添加剤として、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など各種の添加剤を本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜組み合わせて添加しても良い。
インク中の溶媒に溶解または膨潤を主とする高分子物質からなるインク受理層を有する形態で使用する高分子物質としては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アクリル系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマーなどのインク吸収性ポリマーが挙げられる。これらの混合物や多層もインク受理層として使用可能である。
光沢発現層を持つインクジェット光沢紙の形態では、支持体上に光沢発現層を設けたインクジェット記録材料や支持体上に少なくとも一層のインク受理層の上に光沢発現層を順次設けたインクジェット記録材料がある。キャスト処理では光沢発現層が湿潤状態で加熱された鏡面ロールに圧接し乾燥するため、水分と熱によって記録材料の表面にボコツキを生じさせる問題があり、このボコツキが光沢感を低下させ、写像性を低下させていた。光沢性の美観要素を決定づけているのは表面光沢だけでなく、写像性といわれる指標である。写像性とは、光沢表面に物体が映った時、その像がどの程度鮮明に、また歪みなく映るのかの指標である。同じ表面光沢を持つ面でも歪みがないほど高い光沢感を持つ。ボコツキ感が少なく、高い写像性が得られるには、本発明の支持体上にインク受理層の上に光沢発現層を順次設けて、キャスト処理して製造されるインクジェット記録材料が好ましい。
本発明における支持体上にインク受理層の上に光沢発現層を順次設けて、キャスト処理して製造されるインクジェット記録材料の場合、インク受理層は、主として吸水性無機顔料、ラテックス、ホウ酸またはその塩を含有する組成物からなり、光沢発現層はサブミクロン顔料、ポリビニルアルコールを含有する組成物からなる層である。インク受理層と光沢発現層の相互作用を強く阻害しない範囲で、インク受理層と光沢発現層の間に一層または二層以上の中間層を設けても良く、またインク受理層と支持体の間および光沢発現層の表面側にも一層または二層以上の塗工層を設けても良い。
キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料のインク受理層に使用される吸水性無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、ケイソウ土、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ゼオライト、活性白土、酸性白土、加水ハイサイト、ベントナイトクレー、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、気相法シリカ、アルミナ水和物、アルミナ等を挙げることができる。中でも、多孔性合成非晶質シリカが好ましい。多孔性合成非晶質シリカの吸油量は、2〜4ml/gであることがより好ましい。また、平均粒子径は3〜15μmの範囲が好ましい。
キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料のインク受理層に使用されるラテックスとしては、例えば、酢酸ビニル重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、イソプレン共重合体、クロロプレン共重合体、ウレタン系重合体、及び単量体の2種以上組み合わせた共重合体などの合成高分子化合物、天然ゴムラテックス等が挙げられる。添加量は、吸水性無機顔料に対して、10〜60質量%が好ましい。また、染料インクを定着する目的で従来公知のカチオン樹脂を併用することもできる。
キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料のインク受理層に使用されるホウ酸またはその塩の添加量は、塗工組成物のpHにも依存するが、少なすぎると乾燥後の上層に亀裂が発生して光沢が低下することがあり、多すぎると塗工層の強度が低下することがあることから、吸水性無機顔料に対して、ホウ素原子を基準にH3BO3に換算して0.2〜10質量%とすることが好ましい。
キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料の光沢発現層に使用されるサブミクロン顔料としては、例えば、ゲル法シリカ、沈降法シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカ、気相法アルミナ、擬ベーマイト等が挙げられる。サブミクロン顔料の粒子径は長辺100〜400nmの範囲が好ましい。また、BET法による比表面積が60〜600m2/gの範囲が好ましい。なお、このような比表面積を有する顔料は通常、直径数十nm以下の一次粒子が結合し、その内部に空隙を有する高次構造を形成してなる顔料である。キャスト処理の方式としてリウェット法を用いる場合には、サブミクロン顔料として擬ベーマイトを用いることで、特に光沢の高いインクジェット記録材料が得られることから好ましい。
キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料の光沢発現層に使用されるポリビニルアルコールとしては、ケン化度70〜100mol%のポリビニルアルコールが使用できるが、キャスト方式としてリウェット法を用いる場合には、ケン化度95mol%以下のものを用いると光沢が発現しやすくなることから好ましい。また、シリル基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等種々の官能基を導入したり、変性ポリビニルアルコールも使用することができる。添加量は、サブミクロン顔料の2〜40質量%が好ましい。
その他の添加剤として、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、色調整剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など各種の添加剤を本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜組み合わせて添加しても良い。
インク受理層及び光沢発現層を塗工する方法に特に制限はなく、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、リバースロールコーター、コンマコーター、ゲートロールコーター、フィルムトランスファーコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等各種の塗工方式を適宜用いることができる。これらのうち、カーテンコーターは、得られる塗工層の均一性が高く、更に、キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料の光沢発現層の塗工に際してはインク受理層への浸透が生じにくいので好ましく使用される。塗工量は、特に制限はないが、各層がそれぞれ5〜20g/m2を塗工することが好ましい。
また、各層を塗工・乾燥させた後、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー等のカレンダー装置により平滑性を高めることも可能である。
また、キャスト処理における鏡面からの剥離性を改善することを目的に油状物質または油状物質の水性分散物等の離型剤を光沢発現層に添加したり、キャスト処理に先立ち塗工したり、キャスト方式としてリウェット法を用いる場合にはリウェットに用いる水、凝固法を用いる場合には凝固液に添加したりすることで、長時間にわたり安定した製造が可能になることから好ましい。離型剤としては、例えば、ジメチルオクチルアミン、ジメチルオクタデシルアミンなどの高級アルキルアミン、トリメチルオクチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライドなどの高級アルキル四級アンモニウム塩、オレイン酸、ステアリン酸、カプリル酸などの高級カルボン酸またはそれらの塩、オクチルアルコール、オクタデシルアルコールなどの高級アルコール、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、シリコーン油などが挙げられる。
本発明における支持体のインク受理層あるいは光沢発現層を設ける反対面には、帯電防止、搬送性、カール防止、筆記性、糊付け性のために、各種バックコート層を塗工することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、マット化剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加しても良い。
本発明のインクジェット記録材料用支持体の厚さは、50〜300μm程度が好ましい。300μmを超えると剛性が高くなり該記録材料の柔軟性が欠如し、インクジェット記録装置内での搬送性が低下することがある。また、50μm未満になると印字特性(コックリング、インク吸収性等)に悪影響を与えることがあり、さらに該記録材料の剛性が低くなることからインクジェット記録装置内での搬送性が低下することがある。
以下本発明の実施例を示す。なお、本実施例中で特に明示しない限り、部及び%は質量部及び質量%を示す。
<支持体1の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)100部ダブルディスクリファイナーを用いカッティング叩解を行い、繊維長0.4mm、濾水度300mlCSFになるように叩解後、炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業社製)15部、アルキルケテンダイマー型サイズ剤(商品名:サイズパインK903、荒川化学工業社製)0.08部、硫酸アルミニウム0.6部、両性澱粉(商品名:Cato3210、日本エヌエスシー社製)0.8部、歩留まり向上剤(商品名:ハイモロックNR−11LS、ハイモ社製)0.02部を添加して紙料スラリーを調製した。調製したスラリーを長網抄紙機で抄幅4500mm、抄紙速度320m/分、J/W比が0.7になるように制御して坪量160g/m2原紙を抄造し、抄造時に酸化澱粉(商品名:MS−3800、日本食品加工社製)を固形分付着量2g/m2となるようにサイズプレス装置を用いて含有させ、オンマシンカレンダー処理し、支持体1を得た。
<支持体2の作製>
抄造時にシェーキングの振動数300回/分、振幅25mm(シェーキング強度84)の条件でシェーキングを行った以外は、支持体1と同様に支持体2を得た。
<支持体3の作製>
抄造時のJ/Wが1.2になるように制御した以外は、支持体1と同様に支持体3を得た。
<支持体4の作製>
抄造時のJ/Wが1.2になるように制御し、シェーキングの振動数300回/分、振幅25mm(シェーキング強度84)の条件でシェーキングを行った以外は、支持体1と同様に支持体4を得た。
<支持体5の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80部と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20部からなる混合パルプをダブルディスクリファイナーを用いカッティング叩解を行い、繊維長0.8mm、濾水度400mlCSFになるように叩解後、支持体1と同様にして紙料スラリーを調製した。調製したスラリーを長網抄紙機で抄幅4500mm、抄紙速度320m/分、J/W比が0.95になるように制御し、シェーキングの振動数280回/分、振幅20mm(シェーキング強度59)の条件でシェーキングを行い、坪量160g/m2原紙を抄造し、抄造時にサイズプレス装置で支持体1と同様にサイズプレスして支持体5を得た。
<支持体6の作製>
坪量80g/m2原紙で抄造を行った以外は、支持体5と同様に支持体6を得た。
<支持体7の作製>
坪量350g/m2原紙で抄造を行った以外は、支持体5と同様に支持体7を得た。
<支持体8の作製>
抄造時にカチオン性樹脂としてポリアミジン系共重合物(商品名:ハイマックスSC−700L、ハイモ社製)を固形分付着量2g/m2となるようサイズプレス装置を用いて含有させた以外は、支持体5と同様に支持体8を得た。
<支持体9の作製>
抄造時にカチオン性樹脂としてジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス36N、里田化工社製)を固形付着量0.3g/m2、酸化澱粉(商品名:MS−3800、日本食品加工社製)を有効成分で3g/m2となるようにサイズプレス装置を用いて含有させた以外は、支持体5と同様に支持体9を得た。
<支持体10の作製>
ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス36N、里田化工社製)を固形付着量2.8g/m2とした以外は、支持体9と同様に支持体10を得た。
<支持体11の作製>
ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物(商品名:ジェットフィックス36N、里田化工社製)を固形付着量5.5g/m2とした以外は、支持体9と同様に支持体11を得た。
<支持体12の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50部と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)50部からなる混合パルプをダブルディスクリファイナーを用いカッティング叩解を行い、繊維長1.1mm、濾水度350mlCSFになるように叩解後、支持体5と同様に支持体12を得た。
<支持体13の作製>
シェーキング処理なしとした以外は、支持体5と同様に支持体13を得た。
<支持体14の作製>
J/W比を0.7となるように制御し、シェーキング処理なしとした以外は、支持体5と同様に支持体14を得た。
<支持体15の作製>
アルキルケテンダイマー型サイズ剤(商品名:サイズパインK903、荒川化学工業社製)を2部とした以外は、支持体5と同様に支持体15を得た。
(1)水中伸度の測定
J.TAPPI紙パルプ試験方法No.27A法に基づく水中伸度試験方法による紙横目方向の2分後の水中伸度の測定を行った。サンプルは、抄造した支持体の幅方向に500mm間隔で10サンプル採取し、その平均値を値とした。また、10サンプルの測定値より標準偏差を計算した。
(2)透気度の測定
JIS−P−8117による透気度の測定を行った。サンプルは、抄造した支持体の幅方向に500mm間隔で10サンプル採取し、その最大値を値とした。
上記のように作製した支持体1〜15について、以下の評価を行った。支持体の水中伸度(紙横目方向)と標準偏差、透気度に関しての評価結果を表1に示す。
Figure 2009214392
<インク受理層塗工液Aの調製>
インク受理層の顔料として合成非晶質シリカ微粒子(商品名:ミズカシルP78A、水澤化学工業社製;平均粒子径3.3μm)100部、バインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製)20部、カチオン性染料定着剤(スミレーズレジン1001、住友化学社製)20部を添加し、固形分15%のインク受理層塗工液Aを調製した。
<インク受理層塗工液Bの調製>
インク受理層の顔料として合成非晶質シリカ微粒子(商品名:ミズカシルP78A、水澤化学工業社製)100部、バインダーとしてスチレン・ブタジエン(SBR)ラテックス(商品名:0623N、JSR社製)40部、四ホウ酸ナトリウム十水和物6部(H3BO3換算で0.97部)を添加し、固形分17%のインク受理層塗工液Bを調製した。
<光沢発現層塗工液Cの調製>
光沢発現層の顔料としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK、日産化学工業社製)30部、アルミナゾル(商品名:カラロイドAS3、触媒化成工業社製)70部、バインダーとしてポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製)20部、離型剤としてステアリンカルシウム2部を添加し、固形分14%の光沢発現層塗工液Cを調製した。
<光沢発現層塗工液Dの調製>
光沢発現層の顔料として擬ベーマイト構造を有するアルミナ水和物(商品名:Disperal HP14、サソール社製)100部と酢酸1部を混合し、2時間攪拌して解膠し、有効成分濃度25%のアルミナ水和物ゾルを得た。得られたアルミナ水和物ゾルの100部(有効成分25部)に、バインダーとしてケン化度88mol%のポリビニルアルコール(商品名:PVA235、クラレ社製)2部、離型剤としてステアリンカルシウム2部を添加し、固形分15%の光沢発現層塗工液Dを調製した。
<バックコート層塗工液Eの調製>
バックコート層の顔料として市販の重質炭酸カルシウム100部、分散剤として市販のポリアクリル酸系分散剤を0.1部、バインダーとして市販のスチレン・ブタジエン(SBR)ラテックス10部を添加し、固形分25%のバックコート層塗液Eを調製した。
(実施例1〜15、及び比較例1〜4)
抄造した支持体を幅方向に操作盤側、中央部、駆動装置側の3均等にスリットし、各1500mm幅の巻取りとした。そのいずれかの巻取りを用いて塗工を行った(スリットで得られた巻取りの場所を巻取り位置と称す)。インク受理層塗工液AあるいはBを乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアーナイフコーターを用いて塗速100m/分で塗工し、熱風乾燥機を用いて乾燥させた。得られた塗工層にソフトカレンダーを用いて処理し、インク受理層AあるいはBを得た。キャスト処理をする場合は、インク受理層Aの上に光沢発現層塗工液Cを乾燥後の塗工量が5g/m2となるようにエアーナイフを用いて塗工し、表面温度100℃に加熱したキャスト装置の鏡面ロールに、線圧20kN/m、10秒間圧接し乾燥し、光沢発現層Cを得た。インク受理層Bの上には、光沢発現層塗工液Dを乾燥後の塗工量が10g/m2となるようにエアーナイフコーターを用いて塗工し、熱風乾燥機を用いて乾燥させた。得られた塗工層にソフトカレンダーを用いて処理し、光沢発現層Dを得た。この光沢発現層Dを水に5秒間接触させて湿潤した後、表面温度100℃に加熱したキャスト装置の鏡面ロールに、線圧20kN/m、10秒間圧接し乾燥し、光沢発現層Dを得た。また、光沢発現層Cを設けた反対面にバックコート層を設ける場合は、バックコート層塗工液Eを乾燥後の塗工量が5g/m2となるようにエアーナイフコーターを用いて塗速100m/分で塗工し、熱風乾燥機を用いて乾燥させた。得られた塗工層にソフトカレンダーを用いて処理し、バックコート層Eを得た。表2に、実施例1〜15、及び比較例1〜4の支持体、支持体の巻取り位置、塗工液を示す。
(3)巻き皺の評価
巻き皺は、最終の塗工液を塗工する工程においてコアー上に塗工紙が巻き始めてから3000m巻かれた状態において目視評価した。
○:巻き皺は見られない
△:巻き皺がわずかに見られるが、操業性に問題がない
×:巻き皺が見られる
実使用上問題のない範囲は、○及び△の評価である。
(4)ボコツキ感の評価
最終の塗工工程においてコアー上に塗工紙が巻き始めてから3000m巻かれた状態において目視評価した。
○:ボコツキ感は見られない
△:ボコツキ感はわずかに見られるが、操業性に問題がない
×:ボコツキ感がある
実使用上問題のない範囲は、○及び△の評価である。
(5)写像性の測定
測定はスガ試験機社製写像性測定器を用い、測定角60゜、光学くし幅2.0mmにて行った。一般に、60以上の写像性を与える記録材料は、高い光沢感を有し、65以上の写像性を与える記録媒体は非常に高い光沢感を有する。
(6)印字濃度の測定
キヤノン社製PIXUS iP4100を用い、ブラックのベタ印字を行い、その印字濃度(光学濃度)をマクベス社製Macbeth RD918で測定した。
(7)印字部耐水性の評価
キヤノン社製PIXUS iP4100を用い、ブラックで文字印字を行い、その印字部分に水滴を滴下した。水滴が自然乾燥してから目視評価を行った。
○:文字に滲みが見られない
△:文字に滲みがわずかに見られる
×:文字に滲みが見られ、文字の判読ができない
実使用上問題のない範囲は、○及び△の評価である。
最終の塗工液を塗工した時の巻き皺、ボコツキ感、写像性、及び、印字した時の印字濃度と印字部耐水性に関しての評価結果を表2に示す。
Figure 2009214392
以上説明したように、表2によれば支持体の紙横目方向の水中伸度及び標準偏差と透気度を所定の範囲内に制御することで、広幅・大径巻取りであっても塗工後に巻き皺の発生が極めて効率良く抑えることができ、特に、ボコツキ感の小さいインクジェット記録材料が得られることが判る。更に、J/W比とシェーキング強度が所定の範囲であると、紙横目方向の水中伸度及び標準偏差が所定の範囲内に入りやすくなり、巻き皺の発生をさらに抑えることができる。さらに、カチオン性樹脂で表面サイズした実施例12、14では、印字部耐水性が向上していることが判る。また、実施例11の支持体の厚みでは、印字した時の連続搬送性が悪く、1枚通紙で行った。一方、比較例1〜3のように水中伸度が2を超えたり、標準偏差が20%を超えると、巻き皺の発生が多くなることが判る。また、透気度が100秒を超えても、巻き皺が起こりやすくなることが判った。

Claims (4)

  1. 支持体がJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.27A法に基づく水中伸度試験方法による紙横目方向の2分後の水中伸度が2.0%以下で、支持体の幅方向の標準偏差が20%以下であり、支持体のJIS−P−8117に定める透気度が100秒以下であることを特徴とするインクジェット記録材料用支持体。
  2. 該支持体の抄造工程において、パルプ含有液の速度(J)と、ワイヤー速度(W)との比(J/W比)が0.8〜1.1であり、シェーキング強度20〜80の範囲で製造する請求項1記載のインクジェット記録材料用支持体の製造方法。
  3. 該支持体がカチオン性樹脂で表面サイズしてなる請求項1記載のインクジェット記録材料用支持体。
  4. 請求項2記載の製造方法で得られた支持体を用いて、該支持体上にインク受理層を設け、その上に光沢発現層を順次設けて、キャスト処理をして製造されるインクジェット記録材料。
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