JP2004230781A - インクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書 - Google Patents

インクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光沢感を有すると共に、透過性が低く、反対面の凹凸がインクジェット記録層面に浮き出しにくいインクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書を提供する。
【解決手段】透気性を有する支持体の少なくとも片方の面に、顔料と結着剤とを含有する記録層を設け、記録層が湿潤状態にある間に記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、記録層表面に光沢を付与するインクジェット記録媒体である。支持体がろ水度200〜380mlC.S.F.の製紙用パルプを抄紙してなり、かつ支持体中の全内添填料の灰分が15重量%以下であるとともに、そのうち少なくとも二酸化チタンの灰分が4重量%以上である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書に関し、特に、くじ付き葉書等、高い光沢感を有するインクジェット記録層側の面の反対面に凸版印刷を施す場合に好適なインクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書に関する。
【0002】
【従来技術】
インクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録用紙上に付着させることによりドットを形成し、記録を行うものであるが、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、またフルカラー化が容易である上、高速印字が可能であるなどの利点がある。
【0003】
このインクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録媒体に対し要求される特性としては、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと、更に、インクを吸収することにより用紙が波打ちしないこと等が挙げられる。そして、これらの特性を満たし、さらに記録紙の光沢性を向上させる技術として、キャストコート法を適用した技術が報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−59694号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開平6−55829号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2002−283697号公報(第2頁)
【0005】
ここで、キャストコート法とは、湿潤状態にある記録層に対し、加熱された鏡面ドラムを圧接することにより、記録層表面を光沢仕上げする方法である。そして、このような光沢仕上げを行うことにより、インクジェット記録面に銀塩写真並の光沢感を付与することができる。その結果、高画質のインクジェット記録画像を得られるようになり、様々な用途にインクジェット記録方式が普及しつつある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した光沢感のあるインクジェット記録媒体を葉書等に用いると、次のような新たな問題が現れてくる。第1は、光沢面(インクジェット記録面)を通信面(文面)とした場合、反対面である宛名面に記載された文字等が光沢面に透過する問題である。第2は、年賀状等のくじ番号付き葉書の場合、宛名面下欄のくじ番号が凸版印刷で印字されているため、反対面である光沢面に印字部分がエンボス状に浮き出る問題である。これらの問題は、インクジェット記録面が光沢を有することに起因して顕著に表れるものである。
従って本発明の目的は、高い光沢感を有すると共に、透過性が低く、反対面の凹凸がインクジェット記録層側の面に浮き出しにくいインクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために種々検討した結果、支持体に低ろ水度のパルプを用い、かつ、内添填料の種類と灰分を規定することで課題を解決できることを見いだした。
従って、本発明の上記の目的は、透気性を有する支持体の少なくとも片方の面に、顔料と結着剤とを含有する記録層を設け、該記録層が湿潤状態にある間に該記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、該記録層表面に光沢を付与してなるインクジェット記録媒体であって、前記支持体がろ水度200〜380mlC.S.F.の製紙用パルプを抄紙してなり、かつ該支持体中の全内添填料の灰分が15重量%以下であるとともに、そのうち少なくとも二酸化チタンの灰分が4重量%以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体によって達成された。
特に記録層がアルミナとポリビニルアルコールを含有する記録層の場合、高い光沢感を付与することができる。さらに、記録層が凝固キャストコート法で光沢を付与されている場合や、20°鏡面光沢度が15%以上の場合に更に高い光沢感が得られる。
また、上記の目的は、本発明のインクジェット記録媒体を用いた葉書によっても達成された。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。本発明において使用する支持体は、製紙用パルプを抄紙したものを用いる。製紙用パルプとしてはいかなる種類のパルプを用いることもできるが、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を用いることができる。又、これらの各種パルプを単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。そして、上記パルプを公知の方法で抄紙すればよい。尚、得られた支持体(紙)のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。
【0009】
ここで、支持体は透気性を有することが必要であるが、透気性は、JapanTAPPI No.5−2で定める王研式透気度において100秒以下であることが好ましい。透気度(透気抵抗度)が小さいと、記録層塗布後の乾燥が早くなりインクジェット記録用紙の生産効率が上がるため好ましい。
【0010】
次に、パルプのろ水度及び内添填料を以下のように規定することで、インクジェット記録媒体の光沢面に裏面の文字等が透過する問題や、光沢面に裏面の凹凸がエンボス状に浮き出る問題を解決することが可能となる。
【0011】
まず、前記支持体の材料となるパルプのろ水度は、200〜380mlC.S.F.(JIS K8121に規格するカナダ標準ろ水度試験器による値(カナダ標準ろ水度))であることが必要である。この理由は、ろ水度が380mlC.S.F.を越えると、上記したエンボス状の浮き出しを抑制できる程の充分な紙強度を保持することができないからであり、ろ水度が200mlC.S.F.を下回ると、支持体の寸法安定性が低下するとともに、上記透過性が高くなるからである。より好ましくは、ろ水度を250〜350mlC.S.F.とするのがよい。
【0012】
さらに、支持体中の内添填料のうち、少なくとも二酸化チタンの灰分が4重量%以上であることが必要である。二酸化チタンの灰分が4重量%未満であると、上記透過性が高くなるからである。ここで、本発明においては二酸化チタン以外の各種公知の填料を支持体に含有させることができるが、支持体中の全内添填料の灰分が15重量%以下であることが必要である。全内添填料の灰分が15重量%を超えると、支持体の強度が低下し、上記したエンボス状の浮き出しが顕著となるからである。
【0013】
なお、公知の填料としては水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、合成樹脂填料等を適宜選択して単独、または混合して使用することができる。複数種の填料を用いる場合は、灰分測定によって得られた灰分に対し、蛍光X線法やX線回折法により元素分析を行うことで、二酸化チタンの灰分を測定することができる。又、二酸化チタンのみを支持体の内添填料に用いてもよいが、この場合も灰分を15重量%以下とする。
【0014】
本発明のインクジェット記録媒体における記録層は、顔料と結着剤とを含有する。顔料は公知の顔料の中から適宜選択することが出来る。具体例としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等が挙げられ、これらは単独で又は複数混合して用いてもよい。このうち、アルミナは、水酸化アルミニウムを焼成すること等によって得られるアルミニウムの酸化物であり、記録層の光沢を向上させる効果がある。アルミナの結晶形態は数多く知られており、例えばα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ等をあげることができるが、記録層の光沢をより一層向上させる点で、γ−アルミナを用いると好ましい。アルミナの粒子径やBET比表面積は必要に応じて適宜選択することが出来るが、記録層の光沢性を向上させる点で、平均粒径(レーザー回折法で測定)が1.0〜4.0μmのアルミナを用いることが好ましく、特に1.5〜3.3μmのものが好ましい。
【0015】
結着剤としては、皮膜を形成することができる高分子化合物であればいずれのものでも使用することができる。具体的には完全ケン化あるいは部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール樹脂、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体等を単独で使用しても複数を併用してもよい。本発明においては記録層の透過性を低下させ、銀塩写真並の光沢感を付与する点において、ポリビニルアルコール(変成物を含む)を用いることが好ましい。
【0016】
記録層中の結着剤の配合量は、必要な記録層強度が得られる限り特に限定されるものではないが、顔料100重量部に対して5重量部〜30重量部であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましい。結着剤の配合量が少ないと記録層の強度が低下しやすく、配合量が多いとインク吸収性が低下しやすい。また、結着剤中にポリビニルアルコールを配合する場合、配合量が少ないと白紙光沢(インクジェット印字前の記録層の光沢)が向上しない傾向にあるため、結着剤成分中のポリビニルアルコールを30重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは50重量%以上とする。
【0017】
次に、本発明においては、前述支持体に顔料と結着剤からなる記録層を設け、該記録層が湿潤状態にある間に、該記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、該記録層表面に光沢を付与する。この加工法はキャストコート法と称され、具体的には、基紙表面に設けられた湿潤状態の塗工層に鏡面加工された円筒外面を有する加熱されたドラムを圧接させて紙表面を光沢状に仕上げるウエットキャストコーティング法、後述する凝固(ゲル化)キャストコーティング法、及び基紙表面に設けられた湿潤状態の塗工層を一旦乾燥させた後、再湿潤液を塗布することによって可塑化させられた塗工層に、上記ドラムを圧接させて紙表面を光沢状に仕上げるリウエットキャストコーティング法があるが、何れの方法を用いてもよい。
【0018】
特に、本発明においては、凝固キャストコート法を用いることが好ましい。この方法は、記録層中の結着剤を凝固(ゲル化)可能な処理液をこの記録層に塗布した後、その記録層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面仕上げ面(上記ドラム)にプレスロールを介して記録層を圧着し、乾燥させて記録層表面に光沢を付与するものである(例えば紙パルプ技術便覧(平成元年2月15日発行、紙パルプ技術協会編集発行)参照)。さらに、記録層に処理液を塗布する際、記録層が湿潤状態にあることが好ましい。このようにすると、ドラムの鏡面仕上げ面が記録層に転写され易くなり記録層表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、銀塩写真並の光沢感を得やすい。
【0019】
又、凝固キャストコート法を用いる際、結着剤としてポリビニルアルコールを使用する場合は、これを凝固させる機能を有する処理液として、例えば、ほう酸及びほう酸塩を用いることができる。但し、ほう酸塩又は、ほう酸を単独で使用すると以下の問題が生じる場合があるので、ほう酸塩とほう酸とを混合した処理液を用いることが好ましい。
【0020】
つまり、ほう酸塩を単独で用いた場合には、ほう酸塩と記録層中のポリビニルアルコールとの凝固作用が強いため記録層が硬くなり、ドラムの鏡面仕上げ面の記録層への転写が充分行えず、良好な光沢面を得難い場合がある。一方、ほう酸を単独で用いた場合には、ほう酸と記録層中のポリビニルアルコールとの凝固作用が充分でないため、処理液を記録層に塗布するロールに軟凝固状態の記録層が付着することがあり、記録層が良好な凝固状態になり難い。この場合、処理液中のほう酸濃度を上げてポリビニルアルコールの凝固作用を強くしようとしても、ほう酸の溶解度が低いことから、処理液中ほう酸濃度には上限があるため、記録層を所望の硬さに凝固させることが難しい。
【0021】
以上のことから、ほう酸塩とほう酸を混合して使用することで、ポリビニルアルコールの凝固状態が調整しやすくなり、良好な光沢感を有するインクジェット記録媒体が得られる。処理液中のほう酸塩とほう酸の配合比は、無水物換算後の重量比として、ほう酸塩/ほう酸=1/4〜2/1の間であることが好ましい。ほう酸塩とほう酸の配合比が1/4未満では、ほう酸の割合が多くなりすぎて記録層中のポリビニルアルコールの凝固が不充分になり、処理液塗布ロールに軟凝固の記録層が付着し、記録層が良好な湿潤状態とならない場合がある。一方、上記配合比が2/1を越える場合には、記録層中のポリビニルアルコールが硬く凝固しすぎ、記録層が硬くなるので、ドラムの鏡面仕上げ面の記録層への転写が充分行えず、良好な光沢面を得難い。
【0022】
本発明で用いられるほう酸塩としては、ほう砂、オルトほう酸塩、二ほう酸塩、メタほう酸塩、五ほう酸塩、および八ほう酸塩等を挙げることができる。なお、ほう酸塩は特にこれらに限定されるものではないが、コスト、入手性等の観点からは、ほう砂を用いることが好ましい。処理液中のほう酸塩及びほう酸の濃度は必要に応じて適宜調整することができるが、処理液中のほう酸塩とほう酸の濃度の合計が、無水物換算で1〜8重量%の範囲であることが好ましい。ほう酸塩及びほう酸の濃度、特にほう酸塩の濃度が高すぎるとポリビニルアルコールの凝固が強くなりすぎ、白紙光沢度が低下する傾向にある。また、ほう酸の濃度が高いと処理液中にほう酸が析出しやすくなるので、処理液の安定性が悪くなる。
【0023】
記録層用塗工液および処理液には、必要に応じて剥離剤を添加することが出来る。添加する剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の範囲であれば剥離剤の融点がドラムの鏡面仕上げ面の表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は、上記特性を有している限り特に限定されるものではない。
【0024】
また、本発明で使用する記録層用塗工液及び処理液には、本発明の効果を損なわない程度に顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
【0025】
そして、支持体上に記録層を設ける方法は、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた方法の中から適宜選択すれば良い。処理液を塗布する方法は、記録層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択して用いることができる。
【0026】
記録層の塗工量は、支持体(原紙)の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、インクジェットの印字濃度を高くしつつインク吸収性を向上させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/mであることが好ましく、生産性を加味すると10〜25g/mであることが特に好ましい。30g/mを超えると鏡面ドラムからの剥離性が低下し、塗工した記録層が鏡面ドラムに付着するなどの問題を生じる場合がある。特に、インクジェット記録媒体としてインク吸収性が大きく要求される場合は、記録層の塗工量を大きくする必要があるが、この場合、支持体と記録層の間にアンダーコート層を設けても良い。
【0027】
以上のように、パルプのろ水度を200〜380mlC.S.F.とすることで、パルプ繊維の叩解によるフィブリル化及び短繊維化が促進され、紙の強度が向上し、上記のエンボス状の浮き出しを抑制できる。又、支持体の内添填料として二酸化チタンを4重量%以上含有させることで、上記透過性を低下させることができる。さらに、支持体の全内添填料を15重量%以下とする事により、支持体の強度を低下させず、上記したエンボス状の浮き出しを抑制できる。特に、高い光沢感を有する記録層を有するインクジェット記録媒体の場合、光沢感が低いマットタイプのインクジェット記録媒体に比べて裏面の影響を受けやすく、上記した透過性やエンボス状の浮き出しが生じやすいので、本発明の有用性が高い。とりわけ、特に記録層の20°鏡面光沢度が15%以上(特には20%以上)である場合や、記録層にアルミナとポリビニルアルコールを含有させる場合は、記録層の光沢が顕著に向上し上記欠陥が生じやすくなるので、本発明の有用性が大である。
【0028】
なお、インクジェット記録媒体の記録層側の面(光沢面)に裏面の文字等が透過する問題、及び光沢面に裏面の凹凸がエンボス状に浮き出る問題は、インクジェット記録媒体を用いた葉書の場合により顕著となる。つまり、葉書の場合、光沢面を通信面(文面)とすると、反対面である宛名面に文字等を記載する必要上、この文字等が光沢面に透過する(透けて見える)。又、年賀状等のくじ番号付き葉書の場合、宛名面下欄のくじ番号が凸版印刷で印字されているため、反対面である光沢面に印字部分がエンボス状に浮き出る。従って、インクジェット記録媒体を用いた葉書において、本発明の有用性がとりわけ大となる。
【0029】
【発明の効果】
本発明においては、支持体の記録層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げ面に圧着して光沢を付与する場合に、支持体に用いる製紙用パルプのろ水度及び内添填料を規定することで、インクジェット記録媒体の記録層側の面に裏面の文字等が透過することや、記録層側の面に裏面の凹凸がエンボス状に浮き出ることを抑制することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0031】
実施例1.
叩解度(ろ水度:単位はmlC.S.F.、以下同じ)300mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプに、内添填料として二酸化チタン(FA−50 古河機械金属株式会社の商品名)5.5部を添加し、その他、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、及び歩留向上剤0.01部を添加したパルプスラリーから抄紙機を用いて抄紙し、支持体を得た。この支持体の両面に、ゲートロール装置によって片面当りの乾燥塗工量が1.5g/mとなるようにデンプンを塗工すると同時に、一方の面(この面が光沢面となる)に、ブレード方式で下記塗工液Aの乾燥塗工量が7g/mとなるよう塗工してアンダーコート層とした。このようにして、坪量175g/mのインクジェット記録媒体用原紙を得た。
【0032】
塗工液A:合成シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ製の商品名)100部、SBラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社製の商品名)5部、ポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ製の商品名)20部、及びサイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部を配合して、固形分濃度20%の塗工液を調製した。
【0033】
上記インクジェット記録媒体用原紙における前記アンダーコート層上に、下記塗工液Bを乾燥塗工量が20g/mとなるようにロールコーターで塗工し、記録層が湿潤状態にあるうちに下記凝固液Cを用いて凝固させた。次いで、105℃に加熱された鏡面ドラム表面に、プレスロールを介して該記録層を20秒間圧着してドラムの鏡面を写し取り、この面を光沢面とする坪量195g/mのインクジェット記録媒体を得た。
【0034】
塗工液B:顔料として高純度アルミナ(UA5605:昭和電工株式会社製の商品名、平均粒子径2.8μm)50部と高純度アルミナ(AKP−G015:住友化学株式会社製の商品名、平均粒子径2.2μm)50部とを配合し、結着剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA224:株式会社クラレ製の商品名、重合度2400、けん化度88.0)13部を配合し、さらに消泡剤0.2部を配合して、固形分濃度28%の塗工液を調製した。
【0035】
凝固液C:水中にほう砂(無水物換算)1.5部、ほう酸3部、及び剥離剤(FL−48C:東邦化学工業株式会社製の商品名)0.2部(固形分換算)を配合し、固形分濃度4.7%の凝固液を調製した。
【0036】
実施例2.
叩解度270mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプを用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0037】
実施例3.
叩解度330mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプを用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0038】
実施例4.
内添填料として二酸化チタンを11部添加したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0039】
実施例5.
内添填料として二酸化チタン5.5部、タルク(勝光山タルク85:勝光山鉱業株式会社製の商品名)5.5部を添加したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0040】
実施例6.
叩解度230mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプを用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0041】
比較例1.
叩解度400mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプを用いたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0042】
比較例2.
内添填料として二酸化チタン25部を添加したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0043】
比較例3.
内添填料としてタルク5.5部を添加したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0044】
比較例4.
叩解度400mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプを用い、内添填料として二酸化チタン5.5部を用い、記録層を凝固液Cにより凝固させた後の鏡面ドラム表面への圧着工程を省略し、その代わりに凝固後の記録層を熱風乾燥させたこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0045】
各実施例及び比較例で得られたインクジェット記録媒体について、支持体のろ水度、灰分、記録媒体の完成品のエンボス試験、ISO不透明度、引張強度、白紙光沢度、寸法安定性の評価を以下の方法で行った。結果は表1にまとめた通りである。なお、表中の評価記号が◎〜○である場合は、特に問題なく使用することが可能である。
【0046】
ろ水度
JIS K8121に規格する方法に準じ、支持体のカナダ標準ろ水度を測定した。
灰分
JIS K8003に規格する方法に準じ、支持体の灰分を測定した。
エンボス試験
凸版印刷機(プリューフバウ社製)を用い、記録媒体の光沢面と反対の面に引圧50N/mmの凸版印刷を施した際の、光沢面側へのエンボス状の浮き出しについて目視評価を行った。
◎:エンボス状の浮き出しがほとんど見られない状態
○:エンボス状の浮き出しがわずかに認められる
△:エンボス状の浮き出しが明らかに認められる
×:エンボス状の浮き出しが著しく認められる
ISO不透明度
CMS−35SPX(株式会社村上色彩技術研究所製)を用い、ISO2471に準じ、ISO不透明度を測定した。ISO不透明度が98%以上であれば、充分な不透明性を有している。
引張強度
テンシロン万能試験機(オリエンテック社製)を用い、記録媒体を巾25mm×長さ250mmに切り出した試料を作製し、試料の両端をそれぞれ治具で把持し、治具の間隔を180mmとして、JIS K8113の方法に準じて引張強度を測定した。なお、試料における抄紙機の進行方向を測定方向としたものをMD、MDと直角な方向を測定方向としたものをCDと表した。
白紙光沢度
JIS K7105の方法に準じ、記録媒体の光沢面の白紙部分の20度鏡面光沢度を白紙光沢度として測定した。白紙光沢度が15%以上であれば、銀塩写真並の光沢感を有していると評価できる。
寸法安定性
A4サイズの記録媒体試料を、恒温恒湿室内で23℃50%RH雰囲気に4時間保持し、その後湿度を85%RHに変更して4時間保持し、再び50%RHに戻して4時間放置することにより、吸脱湿を施した後の試料のカール形状について目視評価を行った。
◎:カールがほとんど見られないフラットな状態
○:カールがわずかに認められる
△:カールが明らかに認められる
×:カールが著しく認められる
【0047】
【表1】
Figure 2004230781
【0048】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜6では、エンボス性、不透明性がともに優れていることが実証された。又、実施例1〜6では、引張強度、白紙光沢度、寸法安定性も基準を満たしていた。一方、ろ水度が380mlC.S.F.より高い比較例1の場合、エンボス性が悪化した。このようなことから、支持体の紙のろ水度を200〜380mlC.S.F.とすることが必要なことがわかる。
【0049】
また、内添填料として二酸化チタンを含まない比較例3の場合は、不透明度が98%未満となり不透明性が悪化し、全内添填料の灰分が15重量%を超えた比較例2の場合は、エンボス性が悪化した。このようなことから、支持体の全内添填料の灰分を15重量%以下とし、そのうち二酸化チタンの灰分を4重量%以上とすることが必要なことがわかる。なお、比較例4では、ろ水度が400mlC.S.F.と高く、支持体の引張強度も低いが、そもそも白紙光沢度が著しく低いため、エンボス状の浮き出しが目立たず、見かけ上エンボス性が優れているように見える。

Claims (5)

  1. 透気性を有する支持体の少なくとも片方の面に、顔料と結着剤とを含有する記録層を設け、該記録層が湿潤状態にある間に該記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、該記録層表面に光沢を付与してなるインクジェット記録媒体であって、前記支持体がろ水度200〜380mlC.S.F.の製紙用パルプを抄紙してなり、かつ該支持体中の全内添填料の灰分が15重量%以下であるとともに、そのうち少なくとも二酸化チタンの灰分が4重量%以上であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記記録層が、少なくともアルミナとポリビニルアルコールとを含有することを特徴とする請求項1に記載されたインクジェット記録媒体。
  3. 前記記録層が凝固キャストコート法で光沢を付与されてなることを特徴とする請求項1または2に記載されたインクジェット記録媒体。
  4. 前記記録層の20°鏡面光沢度が15%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体を用いたことを特徴とする葉書。
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