JP3941648B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録媒体に関し、特に、銀塩写真並の光沢感を有すると共に、高い耐擦過性を備えることの出来るインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
インクジェット記録方式は、種々の機構によりインクの小滴を吐出し、記録用紙上に付着させることによりドットを形成し、記録を行うものであるが、ドットインパクトタイプの記録方式に比べて騒音がなく、またフルカラー化が容易である上、高速印字が可能であるなどの利点がある。
【0003】
このようなインクジェット記録方式に用いられるインクジェット記録媒体に対して要求される特性としては、インク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと、更に、インクを吸収することにより用紙が波打ちしないこと等が挙げられる。これらの特性を満たした高画質のインクジェット記録媒体をキャストコート法により製造する方法は既に提案されている(特開昭62−95285号、同63−264391号、特開平2−274587号、同5−59694号各公報等)。これらの製造方法は、何れも合成シリカを主成分とする顔料、及び結着剤とからなる記録層を、未乾燥の湿潤状態にあるうちに加熱された鏡面仕上げ面に圧着して鏡面を写し取ると同時に乾燥させ、高光沢のキャストコート紙を得るものであるが、何れの場合も最表層の光沢感が低く、銀塩写真並の光沢感には程遠いものであった。
【0004】
インク吸収速度が速く、透明性、光沢性を高めたインクジェット記録媒体としては、近年、アルミナ水和物を用いたインクジェット記録媒体が提案されている。例えば、特開平6−055829号公報、特開平6−079967号公報、特開平9−039376号公報等には、微細なアルミナ水和物を水溶性結着剤とともに支持体上に塗工したインクジェット記録媒体が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−95285号公報
【特許文献2】
特開昭63−264391号公報
【特許文献3】
特開平2−274587号公報
【特許文献4】
特開平5−59694号公報
【特許文献5】
特開平6−055829号公報
【特許文献6】
特開平6−079967号公報
【特許文献7】
特開平9−039376号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらのインクジェット記録媒体は光沢の点で優れており好ましいが、光沢性が優れるため記録層表面に傷が入りやすいという欠点があった。例えば、インクジェット記録媒体を葉書用途に使用する際には、裏面に宛名印刷をする。このとき、非印刷面であるインクジェット記録媒体の光沢面が、印刷ユニット受け渡し胴の下部にあるガイドによる擦れや、排紙部のバキューム車との擦れにより、傷が発生しやすいことが問題となっていた。また、光沢を有するインクジェット記録媒体は搬送性が悪いため、通常のインクジェットプリンターでの使用時に重送等が起こりやすいという欠点があった。
従って本発明の目的は、銀塩写真並の光沢感を有すると共に、特に高い耐擦過性とプリンター搬送性を有するインクジェット記録媒体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、銀塩写真並の光沢感を有すると共に、記録層が充分に高い耐擦過性を有するインクジェット記録媒体を得る為に種々検討した結果、記録層中に数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンを含有することによって、良好な結果が得られることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明の上記の目的は、透気性を有する支持体上に、顔料と結着剤と、数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンとを含有する塗工液を塗布してなる記録層を有するインクジェット記録媒体であって、湿潤状態にある前記記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、前記記録層表面に光沢を付与してなり、さらに前記ポリアルキルシロキサンは前記記録層中に、前記顔料100重量部に対し、0.5〜10重量部の割合で含有することを特徴とするインクジェット記録媒体によって達成された。また、記結着剤を凝固させる機能を有する処理液を塗布して湿潤状態にある記記録層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、前記記録層表面に光沢を付与してなることが好ましい。
【0008】
本発明においては、特に前記記録層がγ−アルミナとポリビニルアルコールを含有する記録層であり、また、前記処理液が該ポリビニルアルコールを凝固させる機能を有する処理液であることが好ましい。また、前記記録層表面を表としたときに、表と表の組み合わせで、JIS P8147に規定された方法で測定した動摩擦係数の振幅値が0.3以下であることが好ましい
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する透気性を有する支持体は、本分野で公知の支持体の中から適宜選択して使用することができるが、特に紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる事が好ましい。この紙の原料パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。尚、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。また、紙中に填料を含有させることによって紙の不透明度を向上させることが好ましい。上記填料は、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等、公知の填料の中から適宜選択して使用することができる。
【0010】
本発明における記録層は、顔料と結着剤とを含有する。顔料は公知の顔料の中から適宜選択することが出来る。具体例としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等が挙げられ、これらは単独で又は複数混合して用いてもよい。上記アルミナは、水酸化アルミニウムを焼成する等によって得られるアルミニウムの酸化物である。アルミナの結晶形態は数多く知られており、例えばα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ等をあげることができる。本発明においては記録層の光沢を向上させるという点で、特にγ−アルミナが好ましく用いられる。アルミナの粒子径やBET比表面積は必要に応じて適宜選択することが出来るが、記録層の光沢性を向上するという点で、平均粒子径が1.0〜4.0μmのアルミナを用いることが好ましく、特に1.5〜3.3μmの平均粒子径を有するものが好ましい。
【0011】
結着剤としては、皮膜を形成することができる高分子化合物であればいずれのものでも使用することができる。具体的には完全ケン化あるいは部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボン酸変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール樹脂、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体等を単独で使用しても複数を併用してもよい。記録層の光沢性を向上するという点、また、γ−アルミナとの併用が可能である点においては、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
【0012】
結着剤の配合量は、必要な記録層強度が得られる限り特に限定されるものではないが、顔料100重量部に対して5重量部〜30重量部であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましい。結着剤の配合量が少ないと記録層の強度が低下しやすく、多いとインク吸収性が低下しやすい。また、結着剤にポリビニルアルコールを用いる場合、結着剤中のポリビニルアルコールの配合量が少ないと白紙光沢(インクジェット印字前の記録層の光沢)が出にくい傾向にあるため、記録層の結着剤成分中のポリビニルアルコールは、30重量%以上であることが好ましく、特に50重量%以上配合することが好ましい。
【0013】
本発明においては、顔料と結着剤と、高分子シリコーンとして、数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンを含有する塗工液を塗布して記録層を設けた後、この記録層が湿潤状態にある内に、加熱した鏡面仕上げ面に圧着し乾燥する。記録層に数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンを配合すると記録層の耐擦過性が向上する理由は明らかではないが、本発明においては、記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥する際、ポリアルキルシロキサンが記録層中に一様に分布することなく、最表面に移行することによって、記録層の最表面にポリアルキルシロキサンが分布することとなり、ポリアルキルシロキサンが持つ潤滑性及び衝撃緩和性により記録層の耐擦過性が向上するものと考えられる。さらに、ごく表面にポリアルキルシロキサンを存在させることが可能となり、ポリアルキルシロキサン溶液を塗布する場合と比較してインク吸収性や発色性等のインクジェット記録品質を大きく劣化させることなく耐擦過性を得ることができると推測する。
【0014】
特に本発明においては、前記記録層表面を表としたときに、表と表の組み合わせで測定した動摩擦係数の振幅値が0.3以下、好ましくは0.25以下であると耐擦過性が良好になる。
摩擦力測定時、サンプルが移動している間の摩擦力(動摩擦力)は一定値にならず、ある振幅を持つ。本発明においては、動摩擦力の振幅の最大値を最大動摩擦力、最小値を最小動摩擦力とし、JIS P8147に規定された動摩擦係数の計算方法に準じて、最大動摩擦力、最小動摩擦力から最大動摩擦係数と最小動摩擦係数を求めて、その差を動摩擦係数の振幅値とした。
【0015】
ポリアルキルシロキサンの数平均分子量が60万未満であると、移行性が高すぎインクジェットプリンターでの搬送性に悪影響を及ぼし、紙詰まり等を起こす危険性がある。また、数平均分子量が90万を越える場合には移行性が低すぎ、耐擦過性が低下する。数平均分子量はGPC法等の公知の分析により求めることができる。
【0016】
また、本発明においては、記録層を設けた後に処理液を塗布し、この湿潤状態の記録層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着し乾燥することにより、記録層表面に光沢を付与することが好ましい。処理液を塗布する際の記録層は湿潤状態であっても乾燥状態であっても良いが、特に記録層が湿潤状態にある間に処理液を塗布する場合は、高分子シリコーンが記録層表面に移行しやすく特に高い耐擦過性を奏するため好ましい。また、鏡面仕上げ面の写し取りが容易であり表面の微小な凹凸を少なくすることができるため、銀塩写真並の光沢感を得やすく好ましい。
記録層の顔料としてγ−アルミナ、結着剤としてポリビニルアルコールを使用する場合は、特に銀塩写真並の光沢感を得やすいが、そのため、微細な擦り傷であっても光沢感の低下が大きい。本発明においてはこの様な高い光沢感を持つ記録層の耐擦過性を、記録層の光沢感や印字適性を損なうことなく向上できる。また、顔料にγ−アルミナを用いる場合は高分子シリコーンが最表層へ移行しやすく好ましい。
【0017】
前記ポリアルキルシロキサンは、記録層中の顔料100部に対し、0.5〜10部の割合で添加して使用するポリアルキルシロキサンの配合量が多いほど耐擦過性を向上することが可能であるが、配合割合が多いと耐擦過性以外の性能(印字適性等)が悪化する傾向にある。上記の配合割合とすることによって、インクジェット印字適性を損なうことなく、記録層表面の耐擦過性を向上することができ
【0018】
本発明においては、顔料、結着剤、ポリアルキルシロキサン、そして必要に応じて配合するその他の添加剤を水系で分散させて記録層用の塗工液を調整する。水系の塗工液を用いる場合には、ポリエーテル変性シリコーン等の乳化剤を用いてポリアルキルシロキサンを水分散液(ポリアルキルシロキサンディスパージョン)として塗工液に添加することが好ましい。ポリアルキルシロキサンディスパージョンを用いることで、ポリアルキルシロキサンが均一に分散した安定な塗工液が得られる。このときの乳化剤の配合量は、高分子ディスパージョンの乳化の状態を見ながら適宜決定することができるが、通常はポリアルキルシロキサンに対して乳化剤20〜50重量%程度を配合すればよい。
【0019】
前記処理液は、記録層中の結着剤を凝固させる機能を有するが、本発明において、ポリビニルアルコールを記録層に含有する場合は、処理液中にポリビニルアルコールを凝固させる機能を有する化合物を含有する。ポリビニルアルコールを凝固させる機能を有する化合物の例としては、ほう酸及びほう酸塩を挙げることができる。処理液中にほう酸塩を単独で用いた場合には、ほう酸塩と記録層中のポリビニルアルコールとの凝固作用が強いため、加熱された鏡面ドラムにプレスロールを介して湿潤状態の記録層を圧接させて乾燥した場合に、充分にドラム表面の光沢面を写し取ることが出来ず、良好な光沢面を得ることが難しい。
【0020】
一方、処理液中にほう酸を単独で用いた場合には、記録層中のポリビニルアルコールとほう酸との凝固作用が充分でないために処理液付与ロールに軟凝固の記録層が付着することがあり、良好な凝固状態の記録層を得ることが難しい。処理液中のほう酸濃度を上げることによってポリビニルアルコールの凝固作用を強くしようとしても、ほう酸の溶解度が低いために所望の硬さに凝固させることが難しい。
【0021】
前記の理由から、本発明においてはほう酸塩又はほう酸を単独で含有する処理液を用いるより、ほう酸塩とほう酸とを混合した処理液を用いることが好ましい。このようにすることにより、ポリビニルアルコールの凝固状態が調整しやすくなるので、良好な光沢感を有するインクジェット記録媒体を得ることが容易となる。
【0022】
処理液中のほう酸塩とほう酸の配合比は、無水物換算後の重量比で、ほう酸塩/ほう酸=1/4〜2/1の間であることが好ましい。ほう酸塩とほう酸の配合比が1/4未満では、ほう酸の割合が多くなりすぎるので記録層中のポリビニルアルコールの凝固が不十分になり、処理液付与ロールに軟凝固の記録層が付着し、良好な湿潤状態の記録層を得ることが出来ないことがある。一方、ほう酸塩とほう酸の配合比が2/1を越える場合には、記録層中のポリビニルアルコールが硬く凝固しすぎ、加熱された鏡面ドラムにプレスロールを介して湿潤状態の記録層を圧接させて乾燥した場合に、充分にドラム表面の光沢面を写し取ることが出来なくなり、良好な光沢面を得ることが難しくなることがある。
【0023】
本発明で用いられるほう酸塩としては、ほう砂、オルトほう酸塩、二ほう酸塩、メタほう酸塩、五ほう酸塩、および八ほう酸塩等を挙げることができる。なお、ほう酸塩は特にこれらに限定されるものではないが、コスト、入手性等の観点からは、ほう砂を用いることが好ましい。処理液中のほう酸塩及びほう酸の濃度は必要に応じて適宜調整することができるが、処理液中のほう酸塩とほう酸の濃度の合計が、無水物換算で1〜8重量%の範囲であることが好ましい。ほう酸塩及びほう酸の濃度、特にほう酸塩の濃度が高すぎるとポリビニルアルコールの凝固が強くなりすぎ、白紙光沢度が低下する傾向にある。また、ほう酸の濃度が高いと処理液中にほう酸が析出しやすくなるので、処理液の安定性が悪くなる。
【0024】
記録層用塗工液および処理液には、必要に応じて剥離剤を添加することが出来る。添加する剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の範囲であれば剥離剤の融点が鏡面仕上げの金属表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は、上記特性を有している限り特に限定されるものではない。
【0025】
また、本発明で使用する記録層用塗工液及び処理液には、本発明の効果を損なわない程度に顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
【0026】
支持体上に記録層を設ける方法は、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた方法の中から適宜選択すれば良い。処理液を塗布する方法は、記録層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択して用いることができる。
【0027】
記録層の塗工量は、原紙の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、印字濃度及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/mであることが好ましく、生産性を加味すると10〜25g/mであることが特に好ましい。30g/mを超えると鏡面ドラムからの剥離性が低下し、塗工した記録層が鏡面ドラムに付着するなどの問題を生じる。記録用紙に、特にインク吸収性が要求される場合は、記録層の塗工量を大きくする必要があるが、この場合には、支持体と記録層の間にアンダーコート層を設けても良い。
【0028】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録媒体は、銀塩写真並の光沢感を有すると共に、記録層表面の耐擦過性及びプリンター搬送性に優れ、また、優れたインク吸収性を有するので高い印字濃度の印字物を得ることが可能であり、高品位のインクジェット記録を実現することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。又、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を表す。
【0030】
実施例1.
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプに、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、及び歩留向上剤0.02部を添加したパルプスラリーから抄紙機を用いて抄紙し、支持体を得た。この支持体の両面に、ゲートロール装置によって片面当りの乾燥塗工量が1.5g/mとなるようにデンプンを塗工すると同時に、一方の面に、ブレード方式で下記塗工液Aをアンダーコート層として、乾燥塗工量が7g/mとなるように塗工し、坪量190g/mのインクジェット記録媒体用原紙を得た。
【0031】
塗工液A:合成シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマの製品名)100部、SBラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社の製品名)5部、ポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレの製品名)20部、及びサイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社の製品名)5部を配合して、固形分濃度20%の塗工液を調製した。
【0032】
上記のようにして得られた原紙の前記アンダーコート層上に、下記塗工液Bを乾燥塗工量が20g/mとなるようにロールコーターで塗工し、記録層が湿潤状態にあるうちに下記凝固液Cを用いて凝固させ、次いでプレスロールを介して105℃に加熱された鏡面ドラム表面に20秒間圧着して鏡面を写し取り、210g/mのインクジェット記録媒体を得た。
【0033】
塗工液B:顔料として高純度アルミナ100部(UA5605(昭和電工株式会社の製品名、平均粒子径2.8μm)を50部とAKP−G015(住友化学株式会社の製品名、平均粒子径2.2μm)を50部)、結着剤として、部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA224:株式会社クラレの製品名、重合度2400、けん化度88.0)13部、さらにポリアルキルシロキサン(数平均分子量70万)60重量%、ポリエーテル変性シリコーン20重量%、および水20重量%分散させたディスパージョンを4部(固形分)、及び消泡剤0.2部を配合して、固形分濃度28%の塗工液を調製した。
【0034】
凝固液C:水中にほう砂(無水物換算)1.5部とほう酸3部、及び剥離剤(FL−48C:東邦化学工業(株)の製品名)0.2部(固形分換算)を配合し、固形分濃度4.7%の凝固液を調製した。
【0035】
実施例2.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、および水を分散させたディスパージョンを2部(固形分換算)配合したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0036】
実施例3.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、および水を分散させたディスパージョンを8部(固形分換算)配合したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0037】
実施例4.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン(数平均分子量70万)60重量%、ポリエーテル変性シリコーン20重量%、および水20重量%分散させたディスパージョンを、ポリアルキルシロキサン(数平均分子量70万)50重量%、ポリエーテル変性シリコーン25重量%、および水25重量%分散させたディスパージョンに変更した以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0038】
実施例5.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、および水を分散させたディスパージョンを16部(固形分換算)配合したこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0039】
比較例1.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、および水を分散させたディスパージョンを配合しない以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0040】
比較例2.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、および水を分散させたディスパージョンを塗工液Bに配合せず、代わりに塗工液Cに1部(固形分)配合し、塗工液Cの固形分濃度を5.7%とした以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0041】
比較例3.
塗工液Bで使用したポリアルキルシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、および水を分散させたディスパージョンに代え、平均粒径2μのシリコーンパウダー球状微粒子(DY33−450F、東レ・ダウコーニング、シリコーン(株)の製品名)を4部配合した以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
【0042】
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られたインクジェット記録媒体について、摩擦係数、白紙光沢度及び印刷傷試験の評価を以下の方法で行った。結果は表1にまとめた通りである。なお、表中の評価記号が◎〜○である場合は、特に問題なく使用することが可能である。
【0043】
(1)印字濃度
下記のインクジェットプリンター2を用いて所定のベタパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
インクジェットプリンター(PM−950C:セイコーエプソン株式会社の製品名)のブラック、シアン、マゼンタ、イエローのベタパターンの濃度を、マクベス濃度計(RD915,Macbeth社製)で測定し、測定値の合計を印字濃度とした。
(2)摩擦係数
JIS P8147の方法に準じて、記録層表面面−記録層表面の静摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の振幅値は、最大動摩擦力、最小動摩擦力からそれぞれ最大動摩擦係数と最小動摩擦係数を計算し、その差を動摩擦係数の振幅値とした。
【0044】
(3)白紙光沢度
JIS K7105の方法に準じて測定した、白紙部分の20度鏡面光沢度を白紙光沢度とした。白紙光沢度が15%以上であれば、銀塩写真並の光沢感を有している。
(4)擦過性
オフセット2色印刷機(R202、ローランド株式会社の商品名)にインクジェット記録用紙を50枚セットして、8,000枚/時の印刷速度で裏面側の印刷を行った際に発生した、光沢面側の擦り傷の度合いを目視で評価した。
◎:擦り傷がほとんど全く認められない
○:擦り傷がわずかに認められる
△:擦り傷が明らかに認められる
×:擦り傷が著しく認められる
(5)塗工液粘度安定性
○:塗工液を30分以上放置しても問題なく塗工できる
×:塗工液を30分以上放置するとゲル化がおこり、塗工困難となる
【0045】
【表1】
Figure 0003941648
【0046】
表1から明らかなように、実施例1〜5の本発明のインクジェット記録媒体では、白紙光沢度及びオフセット印刷時の光沢面の耐擦過性が良好であることが実証された。また、実施例5では数平均分子量60〜90万のポリアルキルシロキサンディスパージョンの配合部数が多いと、耐擦過性が改善できるが印字濃度や塗工液粘度安定性が悪化する傾向になることが確認された。一方、数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンディスパージョンを含有しない比較例1では、摩擦係数の各数値が高く、耐擦過性が低下した。さらに比較例3では、数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンディスパージョンを記録層でなく、凝固液に配合した場合は、逆に記録層中の顔料に吸着されるよう移行したためか、耐擦過性が向上することはなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦力測定記録図の一例である。

Claims (5)

  1. 透気性を有する支持体上に、顔料と結着剤と、数平均分子量60万〜90万のポリアルキルシロキサンとを含有する塗工液を塗布してなる記録層を有するインクジェット記録媒体であって、湿潤状態にある前記記録層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、前記記録層表面に光沢を付与してなり、さらに前記ポリアルキルシロキサンは前記記録層中に、前記顔料100重量部に対し、0.5〜10重量部の割合で含有することを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 記結着剤を凝固させる機能を有する処理液を塗布して湿潤状態にある記記録層を、加熱した鏡面仕上げ面に圧着して乾燥することにより、前記記録層表面に光沢を付与してなることを特徴とする請求項1に記載されたインクジェット記録媒体。
  3. 前記記録層が、少なくとも顔料としてγ−アルミナ、結着剤としてポリビニルアルコールを含有する請求項1又は2に記載されたインクジェット記録媒体。
  4. 前記記録層が、少なくとも顔料としてγ−アルミナ、結着剤としてポリビニルアルコールを含有し、前記処理液がポリビニルアルコールを凝固させる機能を有する処理液である、請求項2に記載されたインクジェット記録媒体。
  5. 前記記録層表面を表としたときに、表と表の組み合わせで、JIS P8147に規定された方法で測定した動摩擦係数の振幅値が0.3以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載されたインクジェット記録媒体。
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