JP2009208471A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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友理 村上
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光高 神保
Shinichi Koga
慎一 古賀
Yoshihiro Shimizu
良浩 清水
Hideto Shimoyoshi
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Abstract

【課題】 印画紙様の風合い(手触り、裏面の風合い)を有し、インクジェット記録により発生する印字面が波打つコックリングと呼ばれる現象を回避し、且つ保存時の画像にじみが殆ど発生しないインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】 紙基材の記録面側に塗工層を設け、裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたインクジェット記録用紙において、ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率(ASTM D747)が3500〜15000kg/cmであり、紙基材のステキヒト・サイズ度(JIS P8122)が200〜500秒、紙基材の密度(JIS P8188)が0.85〜1.20g/cm、紙基材の平滑度(JIS P8119)が100〜500秒、であることを特徴とするインクジェット記録用紙。紙基材とインク定着層との間に、平均粒子径2〜15μmの顔料を含有するインク吸収層を設けることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関するものであり、特に印画紙様の風合い(手触り、裏面の風合い)を有し、インクジェット記録により発生する印字面が波打つコックリングと呼ばれる現象を回避し、且つ保存時の画像にじみが殆ど発生しないインクジェット記録用紙に関する。
水性インクを微細なノズルから噴出して画像を形成させるインクジェット記録方式は、フルカラー化が容易であること、高速記録が可能であること、少量部数の印刷の場合に他の印刷装置より安価にできること等の利点を有している。そのため、端末用プリンター、ファクシミリ、プロッタあるいは帳票印刷などで広く利用されている。
近年、プリンターの急速な普及と高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録用紙には、従来以上のインク吸収及び印字濃度の向上が求められている。さらに、デジタルカメラで撮影した記録画像を、銀塩方式の写真に匹敵する高い画質で印刷及び長期保存できることが強く求められ、具体的には、白紙がカールしないことはもとより、コックリング(印字した際、インク溶媒が紙基材に浸透することにより基材に伸縮を引き起こし、印字部表面が波打つ現象)しないこと、印字後も長期保存できること、更に銀塩方式の写真と同様の持ったときの高級感・風合いが求められている。
インクジェット記録シートは、紙基材上に塗工層を設けた紙ベース記録紙と、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体上に塗工層を設けた耐水性基材ベース記録紙とに分類される。
紙ベース記録紙は、印字した際、インク溶媒が紙基材まで浸透するため、インク吸収性は良い反面、インク溶媒の浸透により紙基材が伸び、コックリング(印字により記録紙が波打つ状態)し易く、塗工層と反対面の平滑感に欠けるため、印字画像の高級感・風合いが劣るという欠点があった。また、印字前の白紙の状態でも、湿度環境変化により、紙基材が吸湿・伸縮し、カールし易く、この点においても、銀塩方式の写真画像よりは劣っていた。
耐水性基材ベース記録紙は、銀塩方式の写真と同じ基材であるポリオレフィン樹脂被覆紙を使用すると、銀塩方式の写真と同様の高級感・風合いが得られる。また、基材が耐水性であるため、印字しても基材が膨潤せずコックリングし難いという利点がある。他方、インク成分中の高沸点溶媒が基材に浸透しないため、溶媒が塗工層に長く滞留し、特に高湿環境下でにじみが非常に発生しやすい等の保存性に大きな難点があった。また、紙基材並みのインク吸収性を得るためには、塗工層の塗工量を多くする必要があるため、コスト面でも非常に不利であった。
紙ベース記録紙で、印字後のコックリングを改良する手段として、裏面にポリオレフィン樹脂層、非水系樹脂層、ビニル系樹脂層を設ける方法(例えば、特許文献1〜5参照)、基材密度を1.01g/cm以上としインク受理層を設ける方法(特許文献6参照)、等が提案されているが、印画紙様の風合いを得るには十分と言えない上に、画像の高精細化を謳ったインクジェット記録装置や大判印字可能なインクジェット記録装置では、画像を形成するために使用されるインクの量が、従来よりかなり増加しているため、印字時のコックリングに対しても十分でなかった。
耐水性基材ベース記録紙で、保存中に発生する印字画像のにじみを抑制する方法として、インク受容層中に撥水性物質を含有させる方法(例えば、特許文献7参照)、インク受容層中に特定のインク定着剤を含有させる方法(例えば、特許文献8参照)、等が提案されているが、インク受容層中に高沸点溶媒が長く残存するという問題の解決がなされていないため、印字後、高温高湿環境下に長時間保存されると、インク受容層中で高沸点溶媒が染料と共に拡散して、画像のにじみ(以下、高湿にじみと記す)の根本的な解決には至っていないのが現状であった。
印画紙の風合いを持つ高光沢の塗工面を得るためには、塗工液が浸み込まない耐水性基材を用いることが重要である、しかしながらこの場合には、先に述べたようにコックリングに有利である反面、高湿にじみの問題を解決することは出来ていない。
一方、記録面を高光沢の印画紙の風合いの塗工面を得るための手段としては、記録面の塗工層が、塗工液が塗布されて乾燥される前、或いは一旦形成された塗工層が再湿潤されて、湿潤状態にある間に加熱された鏡面ロールに圧接・乾燥して形成されるような、所謂キャスト処理の手段も知られている。この場合には、キャスト塗工層の乾燥時には用紙の裏面から水蒸気が抜ける様に層構成が設計されるため、インクジェット記録層が形成された後も、印字後のインク溶媒は塗工層から紙基材へ放散することが出来るため、インク溶媒が記録層近傍に滞留することは無く高湿にじみの懸念がない。その反面、インク溶媒が紙基材へ移動して紙基材を膨潤させて記録体に歪みを生じ、コックリングを避けがたいという問題がある。そこで、コックリングの発生を抑えるべく裏面に樹脂の層を設けた特許文献2乃至5の提案がなされている。しかしながら、裏面層だけでは充分にコックリングを抑制することは出来なかった。
また、紙基材自体についてコックリングを抑制するための検討もなされており、特許文献6の提案がなされているが、こうした紙基材でも、本発明の目的である印画紙調の風合いとなる程度にまでコックリングを抑制することは出来ず、また、必ずしもキャスト塗工層を設けるなどの方法により高光沢の記録層を付与することに適した紙基材ではなかった。
即ち、写真印画紙と同様の風合いを有し、なおかつインク受容層近傍にインク溶媒が残留することなく印字画像を長期間保存しても画像がにじまないだけでなく、インク溶媒が紙基材を膨潤させて記録体を歪ませることにより生じるコックリングの問題が解決されるという、全ての要求が同時に満足されるインクジェット記録体は得られてはいなかった。
更に、プリンタ上で印字される際には、用紙の搬送が精度よく行われる必要がある。この性能が不十分であると、印字ドットが適正に配置されず、走査の見当ズレが周期的に発生して帯状の模様(バンディング)が発生したり、ドット間隔の広がった部分が抜けて見える現象(白抜け)など、印字の乱れの原因となる。印字乱れ(バンディング・白抜け等)が無く印字精度に優れたインクジェット記録シートを得る方法として、裏面に樹脂を塗布する方法(例えば、特許文献9参照)、裏面に凹凸を付ける方法(例えば、特許文献10参照)、等が提案されているが、近年発売されている高速・高精細のインクジェットプリンターに対応可能な、高い搬送適性を実現し、充分な印字精度を得るためには必ずしも充分なものではない。
特開2000−158806号公報 特開平11−99737号公報 特開平11−301101号公報 特開平11−34482号公報 特開2001−253160号公報 特開平11−11006号公報 特開2003−103922号公報 特開2004−299166号公報 特開2005−205765号公報 特開2007−107141号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、印画紙様の風合い(手触り、裏面の風合い)を有し、印字時のコックリング抑制と、保存時の画像にじみ抑制を両立するとともに、印字乱れが無く、印字精度に優れ、様々なインクジェット記録用紙の要求特性を満たしたインクジェット記録用紙を提供するものである。
本発明者らは、上記課題が解決するために鋭意検討の結果、以下の発明を完成するに至った。
(1)紙基材の記録面側に塗工層を設け、裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたインクジェット記録用紙において、ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率(ASTM D747)が3500〜15000kg/cmであり、紙基材のステキヒト・サイズ度(JIS P8122)が200〜500秒、紙基材の密度(JIS P8188)が0.85〜1.20g/cm、紙基材の平滑度(JIS P8119)が100〜500秒、であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
(2)ポリオレフィン樹脂含有層が、少なくともポリプロピレンを含有し、溶融押出しラミネート法により形成され、マット仕上げしたクーリングロールで冷却固化し、マット仕上げされてなることを特徴とする(1)項記載のインクジェット記録用紙。
(3)透気度(JIS P8117)が100秒/100ml以上である紙基材の記録面側上に、インク定着層及び光沢発現層を有し、インク定着層が平均粒子径0.01〜1μmの顔料を含有し、光沢発現層は、コロイド状粒子を含有した塗工液を塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げた層であり、光沢発現層の乾燥塗工量は、0.2〜4.5g/mであることを特徴とする(1)項又は(2)項記載のインクジェット記録用紙。
(4)紙基材とインク定着層との間に、平均粒子径2〜15μmの顔料を含有するインク吸収層を有することを特徴とする(3)項記載のインクジェット記録用紙。
(5)塗工層と裏面層間の動摩擦係数(JIS P8147)の振幅値が、0.1〜0.5であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(6)裏面の10点平均粗さ(JIS B0601)が5〜25μmであることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
(7)ガーレーこわさ(JAPAN TAPPI No.40;縦目方向)が8〜25mNであることを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
本発明のインクジェット記録用紙は、印字時のコックリングと高湿にじみを両立させていて、印画紙様の外観と優れたインクジェット記録適性を有しており、生産性にも優れている。更に搬送性が良好で、印字乱れが無く印字精度に優れている。
以下に、本発明のインクジェット記録用紙について、詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、紙基材の記録面側に塗工層を設けた記録用紙において、記録面の反対面に特定の曲げ弾性率を有するポリオレフィン樹脂層と、特定のステキヒト・サイズ度及び密度を有する紙基材を用いることを特徴とする。
<インクジェット記録用紙>
(層構成)
本発明のインクジェット記録用紙は、紙基材の記録面側に塗工層を設け、裏面にポリオレフィン樹脂層を設けた層構成を有している。
上記塗工層は、紙基材上から順に、インク吸収層、インク定着層、光沢発現層等の複数の層を設けることによって形成することができる。また、インク吸収層、インク定着層、光沢発現層は、各々複数の層から構成されていてもよい。
(基材)
本発明のインクジェット記録用紙に使用する基材は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて使用される顔料等によって構成される。印画紙様の風合いを得るために通常用いられている、基材の両面に樹脂被覆層を設けた耐水性基材は、インク中の高沸点溶媒が塗工層に長時間滞留してしまい、高湿にじみが悪化してしまうため、前記課題を解決することができるインクジェット記録用紙の基材としては適していない。
木材パルプを主成分とする紙基材としては、ステキヒト・サイズ度(JIS P8122)が200〜500秒、密度(JIS P8188)が0.85〜1.20g/cm、平滑度(JIS P8119)が100〜500秒を有するものが使用されるが、サイズ度は300〜450秒が好ましい。また、密度は0.90〜1.15g/cmのものが好ましく、0.95〜1.10g/cmのものが更に好ましい。また、紙基材の平滑度は、100〜400秒のものが好ましく、150〜350秒のものが更に好ましい。
サイズ度200〜500秒の紙基材は、パルプ原料中に助剤としてサイズ剤を添加したり、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール、カチオン化剤等を塗布・含浸する等により調製することが出来る。
サイズ度が200秒未満であると、インク溶媒が紙基材に多量に浸透し、インク吸収性は向上するが、コックリング不良を引き起し易くなる。サイズ度が500秒を超えると、コックリングは良化するが、インク吸収性不良や高湿にじみ不良の原因となることに加えて、曲げ弾性率の高いポリオレフィン樹脂層をラミネート加工する際、該樹脂層が紙基材に浸透しにくくなり、ラミ密着不良の原因となり易い。
密度0.85〜1.20g/cmの紙基材は、パルプ材として短繊維で平滑性の出易い広葉樹パルプを多く使用すること、パルプの叩解により長繊維分を少なくしてろ水度を200〜400ml(JIS P−8121)に調節すること、抄紙機のウェットプレスは2段以上行うこと、湿紙の乾燥途中に緊度プレスを使用すること、基材を抄紙後マシンカレンダー・スーパーカレンダー・熱カレンダー等を用いてカレンダー処理を行うこと、等により得ることが出来る。
基材の密度が0.85g/cm未満であると、基材の平滑性が低下するため、塗工層として光沢発現層を設けた場合、白紙部及び印字部の光沢感が劣り、また、高い剛度が得られず印画紙のような風合いが得られないという問題が生じると共に、印字時のコックリングも悪化する。コックリングは、基材に水分が浸透し、パルプの膨潤・応力緩和により発生するが、基材の密度は0.90g/cm以上とすることにより、パルプ間の隙間を少なくして、水分の浸透を抑え、パルプの膨潤を防止して、再度乾燥された場合に局所的に発生する凹凸の差を少なくするため、コックリングの防止に有効である。
基材の密度が1.20g/cmを超えると、パルプ間の隙間が少なく、水分が浸透しにくいため、コックリングや光沢感は良化するが、パルプのろ水度を低くしたり、緊度プレス圧を高くしたりする必要があるため、生産性が非常に劣り、インク吸収性悪化の原因ともなる。また、基材と裏面の樹脂層との密着不良の原因ともなる。
平滑度100〜500秒の紙基材は、密度0.85〜1.20g/cmの紙基材を得る方法と同じく、パルプ材として短繊維で平滑性の出易い広葉樹パルプを多く使用すること、パルプの叩解により長繊維分を少なくしろ水度を200〜400mlに調節すること、抄紙機のウェットプレスを2段以上行うこと、湿紙の乾燥途中に緊度プレスを使用すること、基材を抄紙後マシンカレンダー・スーパーカレンダー・熱カレンダー等を用いてカレンダー処理を行う等によって得ることが出来る。
平滑度100秒未満では、光沢感の低下、コックリングの悪化という問題が生じやすくなり、平滑度500秒を超えると、生産性やインク吸収性の悪化、紙基材と裏面の樹脂層との密着不良といった問題が生じやすくなる。
本発明では、高い基材密度と平滑度を得るために、パルプのろ水度を低くし、緊度プレス圧を高くしているため、紙基材の透気度(JIS P8177)は、基材の坪量が100〜300g/mの場合100〜800秒/100mlであり、紙基材の透気度としては高くなる。
また、このようにして得られた紙基材は、湿度変化に対する伸び(以下、湿度伸縮率と記す)の少ない基材となる。具体的には、23℃環境下で、50%→85%→25%→80%→25%と湿度変化させたとき、この湿度変化前後のCD方向(基材の巾方向)の湿度伸縮率は、概ね0.65%以下である。我々の検討では、裏面に曲げ弾性率が3500〜15000kg/cmのポリオレフィン樹脂層を設けても、基材の湿度伸縮率が0.65%を超えると、特に高湿環境カールやコックリングが悪化し、湿度伸縮率が0.70%以上となると、この傾向はより顕著となる。
紙基材を構成するパルプとしては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理及び必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、及びそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
また、紙基材中あるいは基材上には、各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイド又はラテックス、帯電防止剤、添加剤等から成る組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって含有あるいは塗設せしめることができる。水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドとして、デンプン系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルロース系ポリマーなど、エマルジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、エチレンとアクリル酸(又はメタクリル酸)とを少なくとも構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテックス、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体及びそれらのカルボキシ変性共重合体のエマルジョンもしくはラテックス等、帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤など、顔料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、そのほか着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などの添加剤を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
本発明の実施に用いられる基紙の厚みに関しては、特に制限は無いが、その坪量は風合い、カールの面で100〜300g/mのものが好ましい。120〜250g/mのものは、印画紙調の風合いをもち、プリンターでの搬送精度についても良好な性能であるため、特に好ましい。
基紙の坪量を120g/m以上とすることで、紙腰があり、銀塩写真印画紙のような風合い・高級感を得ることができ、一方、250g/m以下とすることで、紙腰が強すぎて、プリンター内で記録紙の搬送時に記録紙が搬送ロール面から浮き上がった状態の発生を防止することが出来、結果的に搬送精度が改善し、バンディングや白抜けを防止することが出来る。
(ポリオレフィン樹脂層)
本発明のインクジェット記録用紙は、塗工層を設けた面の反対面(裏面)に、ポリオレフィン樹脂層を設けている。該樹脂層は、生産性及びコストの面から、溶融押出しラミネート法により設けることが好ましい。裏面にポリオレフィン樹脂層を設けることによって、インクジェット記録用紙の外観は印画紙調の高級感を持った風合いを持つことが出来る。しかしながら、使用するポリオレフィン樹脂によっては、用紙の搬送性低下の原因となることが判明した。本発明は、特定の範囲の曲げ弾性率を有するポリオレフィン樹脂を裏面層に用いることにより用紙の搬送性が改善でき、印画紙調の高級な風合いを備え、カールやコックリングが防止され、更に用紙の搬送性が改善された裏面にポリオレフィン樹脂層を有するインクジェット記録用紙である。
ポリオレフィン樹脂の硬さの尺度としては、曲げ弾性率(ASTM D 747)が挙げられる。本発明のインクジェット記録用紙に使用するポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率は3500〜15000kg/cmであり、好ましくは5000〜12500kg/cmで、より好ましくは6500〜12500kg/cmである。
ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が3500kg/cm未満であると、紙基材とポリオレフィン樹脂層との密着性が向上するという利点があるが、高湿環境下において塗工層側へのカールやコックリング不良の原因となる。ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が低いと、紙基材に水分が浸透することによる紙基材の伸びを、ポリオレフィン樹脂層が抑制しきれないためである。また、ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が3500kg/cm未満の場合、プリンターで正確に搬送されず、印字部のバンディングや白抜けの原因となる。この理由は定かでは無いが、裏面のポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が低いと、プリンター部の搬送ロールと裏面の樹脂層がグリップされ難く、所謂空滑りの状態となり、印字精度が劣るためと考えられる。
ラミネート加工が可能な樹脂の曲げ弾性率は一般に20000kg/cm以下であるが、本発明では、コックリング・風合い改善を目的として高サイズ・高密度の紙基材を使用しているため、ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率が15000kg/cmを超えると、紙基材とポリオレフィン樹脂層との密着不良の原因となる。
ラミネート加工適性に優れる硬いポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体が適当であり、ポリオレフィン樹脂の少なくとも一部としてポリプロピレン又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を使用するのが好ましい。また、一般にポリオレフィン樹脂を溶融押出しラミネート法により設けた場合、一般にポリオレフィン樹脂含有層側にカールし易いが、ポリオレフィン樹脂の少なくとも一部としてポリプロピレン又はプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を使用した場合、カールの発生が抑制される。
ラミネート加工されるポリオレフィン樹脂の分子量に特に制限はないが、例えば2万〜20万程度の範囲のものが使用される。
ポリオレフィン樹脂としては、曲げ弾性率が3500〜15000kg/cmの範囲で、市販品から適宜選択して使用することができるが、その密度は0.85〜0.95g/cm、メルトフローレート(JIS K6760)は2〜40g/10分であることが好ましい。メルトフローレートがこの範囲より小さい場合も大きい場合も、溶融押出しの操業工程の管理が困難になり、均一な塗工層が得られ難くなる場合がある。
また、ポリオレフィン樹脂の引張降伏強度は100〜400kg/cmであることが好ましく、より好ましくは120〜350kg/cmであり、引張破断強度は100〜400kg/cmであることが好ましく、より好ましくは150〜350kg/cmであり、ショア硬度は30〜150であることが好ましく、より好ましくは40〜100であり、VICAT軟化点は80〜160℃であることが好ましく、より好ましくは90〜160℃であり、融点は100〜180℃であることが好ましく、より好ましくは110〜160℃(JIS K6760)である。引張降伏強度、引張破断強度、ショア硬度、VICAT軟化点、融点が、それぞれこの好ましい範囲未満であると、高湿環境下で塗工層側へのカールが大きくなったり、コックリングが悪化する傾向にある。逆に、引張降伏強度、引張破断強度、ショア硬度、VICAT軟化点、融点が、それぞれこの好ましい範囲を超えると、紙基材とポリオレフィン樹脂層との密着不良を引き起こす場合がある。
ポリオレフィン樹脂層には、不透明度や白さを向上させる目的で白色顔料を配合することができる。白色顔料としては、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、合成ゼオライトなどから適宜選択して使用でき、また2種類以上を混合して使用することもできる。特に、不透明度と白色度の点からアナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等の二酸化チタンが好ましい。白色顔料の表面はポリオレフィン樹脂との分散性を向上させる目的で、表面処理を施すこともできる。白色顔料の配合量は特に限定しないが、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し、1〜50質量部程度である。少ないと不透明度と白色度向上の効果が得られない場合がある。多いとポリオレフィン含有層にひび割れが生じて、均一な塗工層が得られ難い場合があり、カール・コックリング防止、印画紙様の風合い付与等の効果が得られない場合がある。
溶融押出しラミネートを実施するには、通常ポリオレフィン樹脂及び必要に応じポリオレフィン樹脂に白色顔料を溶解混練し、走行するシートの塗工される面(裏面)の上に押出し機のスリットダイからフィルム状に押出し塗工する。通常、溶融押出し温度は250〜350℃程度である。尚、添加剤として、有色顔料、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、可塑剤、分散剤等を必要に応じ添加することができる。ポリオレフィン樹脂含有層は、単層又は多段塗工あるいはマルチスリットダイコート法等で設けた多層であってもよい。塗工したポリオレフィン樹脂含有層の表面は、クーリングロールで冷却固化して仕上げるが、印画紙様の風合いを付与する目的から、ポリオレフィン樹脂含有層の表面はマット仕上げすることがより好ましく、サンドブラストやエンボス加工により細かい凹凸をつけてマット仕上げをしたクーリングロールを使用する。マット仕上げすることにより、ブロッキング防止、プリンター走行性(搬送性)改善の効果も得られる。クーリングロール表面の十点平均粗さRzJIS(JIS B 0601)は3〜50μmが好ましい。特に、表面粗さRzJIS5〜25μmのクーリングロールを使用すると、インクジェット記録用紙の裏面の十点平均粗さ(JIS B 0601)を5〜25μmとすることが出来るのでより好ましい。
裏面にポリオレフィン樹脂層を設け、印画紙調の高級感が付与されたインクジェット記録用紙が、プリンター内を精度よく搬送されて優れた印字精度を実現できるためには、裏面のポリオレフィン樹脂含有層の表面は、一定の粗面であることが好ましい。この裏面の粗さは特に限定するものではないが、十点平均粗さRzJISが5〜25μmの範囲であると印字精度の極めて高い画像を印字することが出来るため、好ましい。
十点平均粗さを5μm以上とすることにより、記録用紙の表裏に生じる僅かな密着を防止し、ブロッキングを生じること無く用紙が正確にプリンター内を搬送されるため、印字精度を高めることが出来る。一方、裏面の十点平均粗さが25μm以下であれば、搬送ロール面と記録用紙裏面の接点が充分に得られるので空滑りの状態を発生し難くなり、高い印字精度を得ることができ、また、手触りの高級感も有するものとなる。裏面の十点平均粗さRzJISの更に好ましい範囲としては10〜20μmである。
また、本発明の最も好ましい態様においては、インクジェット記録用紙の表面記録層と裏面ポリオレフィン樹脂含有層の間の、JIS P 8147による動摩擦係数の測定時における、動摩擦力の振幅の最大値と最小値から、動摩擦係数の計算方法によって計算される動摩擦係数を夫々最大動摩擦係数と最小動摩擦係数と呼び、動摩擦係数の振幅は最大動摩擦係数と最小動摩擦係数との差によって与えられる。
好ましい動摩擦係数の振幅値は0.1〜0.5の範囲である。更に好ましい振幅値としては0.2〜0.4の範囲である。
ポリオレフィン樹脂層の塗工厚さは、5〜50μmの範囲が適当であり、10〜40μmの範囲に調整するのが、風合いやカール抑制の点で好ましい。塗工厚さが小さいと、均一な塗工が困難となり、外観不良となりやすく、カール・コックリング抑制の効果が十分に得られない。
一方、ポリオレフィン樹脂層の塗工厚さを50μmを超える厚さにしても、風合いの向上や、カール防止、コックリング抑制の各効果が飽和するので、コスト的に不利となる。
ポリオレフィン樹脂層の上に、さらにカール防止やブロッキング防止、筆記性付与、帯電防止、プリンターでの給紙走行性改善等の目的で塗工層を設けることができる。該塗工層は特に限定はしないが、例えば、樹脂と顔料とを主成分とするものである。
(塗工層)
本発明でいう塗工層とは、市販のインクジェットプリンター、インクジェットプロッター、インクジェットプルーファー等に使用されている染料インクや顔料インクに対して、インク吸収性、画像再現性、色彩性等の特性に対応する目的で設けられている、顔料及びバインダーを主成分とする組成物からなる。
(光沢発現層)
光沢を有するインクジェット記録用紙の場合、光沢発現層として、コロイド状粒子を含有する塗工液を塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは再湿潤した後に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる層を設けると、銀塩方式の写真に匹敵する高い光沢性が得られるので好ましい。しかし、本発明で用いる紙基材は、上述のとおり、高光沢及びコックリング抑制のために、透気度が100〜800秒/100mlと、通常使用される紙基材と比較して高いため、鏡面ドラムに圧接仕上げして光沢加工処理を施す際に、紙基材から裏面へと空気が抜けにくいので、一般的には、鏡面圧接による光沢化処理(以下、キャスト加工と記す)には不向きである。
このため、本発明の光沢発現層は、高い光沢性と生産性を両立させるため、コロイド状粒子を主成分とし、光沢発現層の乾燥質量は0.2〜4.5g/mであることが好ましく、より好ましくは0.5〜3.0g/mである。光沢発現層の乾燥塗工量が0.2〜4.5g/mという低塗工量であれば、紙基材の透気度が高くても、乾燥時に負担がかかることがなく、高い光沢と生産性を維持することができる。
また、通常、光沢発現層の乾燥質量が0.2〜4.5g/mのような低塗工量であると、高い光沢を達成することが困難であるが、本発明ではインク定着層の顔料を特定の粒径とすることにより達成可能となる。
(コロイド状粒子)
光沢発現層のコロイド状粒子とは、水中に懸濁分散してコロイド状をなしている無機粒子あるいは有機粒子を指し、コロイド状粒子を含有することにより、均一で高い光沢性を得ることが出来る。該コロイド状粒子として、例えば、コロイダルシリカ、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、或いは特公昭47−26959号公報に開示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子、等の無機粒子、ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン等の有機粒子が挙げられ、これらを2種以上併用することも可能である。
(光沢化処理)
上記光沢発現層は、上記成分を含む塗工液を塗工して乾燥した後、種々の光沢化処理を施した層であることが好ましい。
光沢化処理は、ある程度の光沢化であればスーパーカレンダーによっても行うこともできるが、高い光沢を得るためにはキャスト加工を行うことが好ましい。
一般にキャスト加工とは、塗工層を、鏡面を有するキャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム、ガラス板等に圧接して乾燥し、鏡面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得ることである。
この中で、加熱した鏡面ドラムを利用するキャスト加工により光沢を発現させる方法としては、(イ)最表塗工層用塗工液を基材上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、(ロ)基材上に塗工した最表塗工層を一旦乾燥後、その最表塗工層を再湿潤させて、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、(ハ)基材上の最表塗工層をゲル化してゲル状塗工層とし、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ゲル化キャスト法)、(ニ)加熱された鏡面ドラムに直接最表塗工層用塗工液を塗工し、乾燥させて鏡面ドラム上に該最表塗工層を形成した後、基材上に上記鏡面ドラムを圧接し、上記最表塗工層を転移させて仕上げる方法(プレキャスト法)、が挙げられる。
これらのキャスト加工においては、加熱された鏡面ドラムの温度は、例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
さらに、キャスト加工として、フィルム転写方式を採用することもできる。フィルム転写方式とは、(イ)上記の最表塗工層用塗工液を基材上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に平滑なフィルムやシートを重ね、乾燥した後、平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、(ロ)平滑なフィルムやシート上に最表塗工層用塗工液を塗工して、貼り合せようとする基材面をある程度湿潤状態にした状態で、その基材面に圧接し、乾燥した後平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、である。
フィルム転写法に比べ、加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト法のほうが、表面平滑性に優れる傾向があり、かつ生産性やコストの点で有利である場合が多い。
キャスト加工は、上記いずれの方法を用いても良いが、上記のインク受容層用塗工液を紙基材上に塗工、乾燥し、このインク受容層上に光沢発現層用塗工液を塗工した後、直ちに加熱された鏡面金属ドラムに圧接、乾燥して仕上げるウェットキャスト法を用いることが好ましい。
このウェットキャスト法では、均一な塗工層が形成されやすく、印字濃度が高く、光沢の優れた光沢発現層が得られ易い。
上記各キャスト加工において、光沢発現層用塗工液を塗工する場合には、各種公知の塗工方法を、例えば、ブレード、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコーター、グラビアコーター等の塗工装置のいずれかを使用して塗工する塗工方法を用いることができる。
(インク定着層)
本発明のインクジェット記録用紙の場合、微細な顔料をインク定着層に使用することにより、光沢発現層の乾燥塗工量が、0.2〜4.5g/mという比較的少ない塗工量で高い光沢性を得ることが可能となる。
インク定着層は、平均粒子径0.01〜1μmの顔料と、この顔料を保持する接着剤とを主成分とし、さらにインク中の染料や顔料をよりよく定着させるためにカチオン性のインク定着剤を含有することが好ましい。
(顔料)
インク定着層の顔料としては、平均粒子径が0.01〜1μmの微細2次顔料が用いられる。顔料は、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれることが好ましい。これらの顔料のなかでは、シリカが特に好ましく、乾式シリカがより好ましい。
さらに、このシリカとしては、シリカとカチオン性化合物とを混合して得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子が好ましく、混合により生じた凝集物を粉砕分散して、平均粒子径0.01〜1μmの凝集体微粒子として用いられる。このカチオン性化合物及びシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子は、インク定着剤として作用しており、詳しくは、インク定着剤の項で説明する。
この凝集体微粒子は、平均粒子径は0.03〜0.5μmの範囲が最も好ましい。この粒子径が0.01μm未満では、インク吸収性が低下するおそれがあり、1μmを超えると、塗膜の透明性が劣り、印字濃度が著しく低下するおそれがあり、また、平滑性も損なわれる。さらに、高い光沢性を得るためには上層の光沢発現層の塗工量を多くする必要があり、その結果、インク吸収性の低下や生産性の低下に繋がる懸念がある。
シリカ顔料の平均粒子径とは、まず、3%のシリカ分散液を200g調製し、続いて市販のホモミキサで1000rpm、30分間攪拌分散した後、直ちに電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒径であり、シリカ分散粒子のマーチン径を測定し、平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p.52、1991年参照)。
本発明者らが測定した結果、シリカがスラリー状の場合、このシリカの凝集状態によって粒子径が大きく変動するが、上記の測定条件であれば、ほぼ同じ値が得られる。
インク定着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の平均粒子径0.01〜1μmの顔料に併用して通常の記録用紙に使用される公知の顔料を用いることができる。これらの顔料としては、カオリン(含クレー)、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられ、単独或いは併用で用いられる。
(接着剤)
接着剤は、水分散系接着剤、水溶性接着剤を単独、併用とも可能である。水分散系接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂等が挙げられる。この中で、得られる塗膜のインク吸収性及び透明性の面で、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が特に好ましい。これらの水分散系接着剤は、単独で用いても、又は2種以上の併用であっても良い。
水溶性接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの接着剤の中では、表面強度の点からポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
インク定着層に用いられるポリビニルアルコールは、そのケン化度の相違により性状が異なり、目的に応じてそのケン化度を選択することが好ましい。
ケン化度が95%以上、より好ましくは98%以上のポリビニルアルコールを使用すると、塗工層の強度が強くなるとともに、塗工液調製時に泡立ちなどもおこらず、製造時の作業性が非常に良好である。
また、ケン化度が75〜90%の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用すると、塗工層の可撓性に優れ、その折り割れ防止に非常に効果的である。
これらケン化度の異なるポリビニルアルコールは、その目的に応じて、それぞれ単独で用いても、併用して用いても良い。
また、上記ポリビニルアルコールは、その重合度が3500以上であることが好ましく、3500〜5000であることが特に好ましい。重合度が3500未満であると、インク受容層の強度が弱いと共に、ひび割れが発生しやすく、かつ断裁時に紙粉が発生するおそれがある。一方、5000を超えると、十分なインク吸収性が得られにくいとともに、溶液粘度が高く塗工液調整におけるハンドリング面が困難となる虞があり、好ましくない。
インク定着層の接着剤の配合量は、顔料100質量部に対して7〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。この配合量が、7質量部未満であると、塗膜強度が十分でないおそれがあり、50質量部を超えるとインクの吸収性を損なう虞があり、好ましくない。
(インク定着剤)
上記インク定着剤は、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、これにより印字画像に耐水性を付与する。
このインク定着剤には、カチオン性化合物が用いられ、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物(例えばカチオン性界面活性剤等)が例示される。
印字濃度向上の点ではカチオン性樹脂が好ましく、一般にインクジェット記録用シートで用いられる各種公知のカチオン性樹脂が使用可能である。
これらのカチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、(ロ)第2級又は第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、又はそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(ヘ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。
本発明の実施の形態では、これらの定着剤を単独に、又は2種以上を併用する状態で用いられる。
(シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子)
上記カチオン性化合物は、気相法シリカとの混合液中で気相法シリカと凝集し、シリカ−カチオン性化合物凝集体を形成する。このため、このカチオン性化合物は、単体で用いるよりあらかじめ気相法シリカと凝集体を形成して用いることが好ましい。
シリカ−カチオン性化合物凝集体は、粉砕・分散して平均粒子径0.01〜1μmのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子として、インク受容層用塗工液に用いられる。
シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を形成するために用いる単体の気相法シリカは、平均粒子径が3〜40nmの1次粒子であるが、この凝集体微粒子は、実質的に1次粒子が凝集してできた二次粒子からなっている。
シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の製造方法の概略を説明する。
カチオン性化合物の添加量としては、気相法シリカ100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で調節される。気相法シリカ分散液にカチオン性化合物を添加し混合すると、増粘した凝集体分散液が得られる。
このシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子を粉砕・分散し、微粒子化する方法としては、機械的手段で強い力を与えるブレーキング・ダウン法(塊状原料を細分化する方法)が採られる。機械的手段としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダ、ナノマイザ(商品名)、ホモミキサ等が挙げられる。
顔料及びインク定着剤としてのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、1種単独で、あるいは2種以上併用して用いられるが、これを用いることによって、インク定着層の透明性、表面強度、平滑性ならびにインクの吸収性、発色性、耐候性、耐水性等を向上させることができる。
インク定着層には、さらに、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。また、インク定着層中に、蛍光染料、着色剤を添加することもできる。
なお、インク定着層中には、さらにインクの定着性を高め耐水性を向上させるために、単体のカチオン性化合物を配合してもよい。
カチオン性化合物としては、上記シリカ−カチオン性化合物凝集体で用いたカチオン性化合物が例示でき、その中でも、水溶性樹脂あるいはエマルジョンのものが好ましく用いられる。
また、この単体で配合するカチオン性化合物、特にカチオン性樹脂は、接着剤としての役割も併せて付与させる場合にしばしば用いられる。
(インク定着層の形成方法)
インク定着層を形成するためには、例えば、インク定着層用塗工液を塗布すると同時に、又は、インク定着層用塗工液を塗布した塗液層の乾燥途中に、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗工液を増粘又は架橋させて成膜して製造することが有効である。
具体的には、下記(A)〜(C)に挙げる方法が例示でき、適宜採用できるがこれらの方法に限るものではない。
(A)電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工の直後に、又は、塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗液層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、
(B)インク定着層が接着剤を含有する塗液であり、塗工の直後に、又は、塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、接着剤との架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、
(C)例えば、接着剤として感温性高分子化合物(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工の直後に塗液層温度を低下させることによって塗液層を増粘させる方法、
等が例示できる。
上記(A)及び(B)の方法で塗工層を形成する場合、接着剤としては、上記の、インクジェット記録体用として使用される公知の接着剤が使用できる。
接着剤との架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸及びホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は、増粘又はゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素含有化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが、塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、基材の片面に0.01〜2.0g/m含有されることが好ましい。含有量が2.0g/m以下であることにより、親水性バインダーとの架橋密度が高くなりすぎず、塗膜強度を良好なものにできる。一方、含有量が0.01g/m以上であることにより、親水性接着剤との架橋が強まり、塗料のゲル化を促進して塗膜がひび割れしにくいものとなる。
インク定着層は、例えば、架橋剤を予めインク定着層に塗布・含浸させておき、インク定着層用塗液を塗布する、又は、インク定着層用塗液に架橋剤を配合しておき塗布する、又は、インク定着層用塗液を塗布後、架橋剤を塗布する等の方法により製造される。中でも、架橋剤を予め塗布しておくことにより、増粘又はゲル化を均一に起こすことができるため好ましい。
インク定着層は、2層以上形成することもでき、このように2層以上で構成する場合は、それぞれの層を構成するシリカや接着剤は同じでも良いし、異なっていても構わない。また、同一の層内に2種類以上のシリカや接着剤を混合しても良いし、それらを組み合わせて使用しても良い。
インク定着層を形成するための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置を用いることが出来る。
また、スライドビードコーターなどを用い、複数のインク定着層を同時に塗工することもできる。2層以上のインク定着層を塗工する場合は、下層が未乾燥のうちに上層を下層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
また、電子線照射を施す方法として、(1)塗工、電子線照射、乾燥を繰り返してもよいし、(2)塗工し電子線照射後に次の層を塗工して乾燥してもよく、(3)多層を同時に塗工し、電子線照射を行ってもよい等の方法がある。
さらに、この塗工したインク定着層に、必要に応じてスーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。
インク定着層の乾燥固形分塗工量には制限はないが、一般に5〜50g/mであり、10〜30g/mであることがより好ましい。塗工量が5g/m以上であることにより、高精細・高速のプリンターにおけるインク吸収性が充分なものとなり、塗工量が50g/m以下であることにより塗膜のひび割れが起こりにくくなる。
また、次に記すインク吸収層を設けることにより、インク定着層を5〜20g/mに減らすことが可能となる。
(インク吸収層)
紙基材とインク定着剤との間に、平均粒子径2〜15μmの顔料を含有するインク吸収層を設けることにより、インク吸収性が更に向上し、紙基材にインク溶媒が浸透する割合が減じるためコックリングが更に改善する。加えて、インクを吸収させる層と定着させる層とに機能分離することにより、インク吸収層と比較して、高価で生産性の劣るインク定着層の塗工量を減らすことが可能となり、より安価に、銀塩方式の写真に匹敵する光沢インクジェット用紙を生産することが可能となる。
このインク吸収層は、平均粒子径2〜15μmの顔料と、この顔料を保持する接着剤とを主成分としており、さらに、インク定着層で保持しきれなかったインク中の染料や顔料を定着させるために、カチオン性のインク定着剤を含有してもよい。
(顔料)
インク吸収層の顔料としては、平均粒子径が2〜15μmの顔料が用いられる。平均粒子径が2μm未満であると、インク吸収層として十分に機能せず、逆に15μmを超えると、インク定着層がヒビワレしやすくなり、画質や光沢低下といった問題が発生する。
顔料としては、例えば、カオリン、クレー、焼成クレー、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料が使用できるが、上記の顔料の中で、塗工層の構造をポーラスでインク吸収性の優れたものにする意味で、無定形シリカや酸化アルミニウム、ゼオライト、合成スメクタイト等を少なくともその一部として使用するのが好ましい。
(接着剤)
接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、等一般に塗被紙用として用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。なお、接着剤の配合量は顔料100質量部に対し、1〜200質量部、より好ましくは2〜100質量部の範囲で調節される。ここで接着剤の量が少ないと、塗工層の強度が弱くなり表面が傷つきやすくなり、粉落ちが発生する場合がある。逆に接着剤の量が多いと、インク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなる場合がある。
(その他の成分等)
インク吸収層には、本発明の効果を阻害しない範囲において、インク定着剤、一般の塗被紙製造において使用される増粘剤、消泡剤、湿潤剤、着色剤、蛍光増白剤、蛍光顔料、帯電防止剤、耐光性助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
インク吸収層は、上記顔料及び接着剤を主成分とする塗工液を、紙基材の表面に塗工し、乾燥して形成することができる。下塗り層の塗工量(固形分)は、3〜30g/m程度、好ましくは5〜20g/m、より好ましくは7〜15g/mである。塗工量が過少であると、インク吸収性の効果が十分に発揮できず、過多であると、効果が飽和してしまうばかりか、層間強度が弱くなる傾向になる。
インク吸収層を形成するための塗工装置としては、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター及びダイコーター等の各種公知の塗工装置が挙げられる。塗工後に、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
インクジェット記録用紙としてのガーレーこわさ(縦目方向)を8〜25mNの範囲とすることにより、銀塩写真印画紙調の風合い・高級感を満足しながら、プリンターの搬送精度に対する悪影響も無い記録用紙を得ることが出来る。ガーレーこわさ(縦目方向)を8mN以上とすることで、銀塩写真印画紙調の高級感のある風合いが得られるし、25mN以下とすることで、紙腰が強すぎて記録紙が搬送ロールから浮き上がってしまう状態となることを効果的に防止することが出来る。
ガーレーこわさ(縦方向)を8〜25mNの範囲とする手段としては特に限定されないが、例えば、基紙の坪量を調節することにより好ましいガーレーこわさのインクジェット記録用紙を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらによって限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。なお、以下「平均粒子径」は、平均二次粒子径を意味する。
<実施例1>
[紙基材A]
木材パルプ(LBKP;ろ水度300ml)100部に対して、市販サイズ剤0.1部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を調製した。この製紙材料より長網抄紙機にて紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥途中で、5%ポリビニルアルコールのサイズプレス液を20ml/mサイズプレス処理し、水分8%になるよう乾燥させ、線圧100kg/cmでマシンカレンダー処理を行い、坪量180g/m、厚さ180μm(密度1.0g/cm)、ステキヒト・サイズ度300秒、透気度300秒、平滑度250秒の紙基材Aを製造した。
[インク吸収層塗工液A]
顔料として平均二次粒子径6μmの無定形シリカ100部(商品名:AY−601、東
ソーシリカ社製) 、接着剤として、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R113
0、クラレ社製)20部、カチオン性樹脂としてアクリルアミド系樹脂(商品名:スミレ
ッツレジンSR1001、住友化学社製)15部、分散剤として、ポリ燐酸ソーダ0.5部を添加し、固形分濃度18%のインク吸収層用塗工液Aを調成した。
[カチオン性シリカ微粒子]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(商品名:アエロジルA300、日本アエロジル社製、平均1次粒子径 約8nm)を用い、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が50nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、12%のシリカの水分散液を調製した。
前記12%水分散液100部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ社製、分子量30万)10部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.20μmのシリカ−カチオン性化合物の12%水分散液を調製した。
[インク定着層塗工液A]
カチオン性シリカ微粒子100部に、接着剤としてPVA(商品名:PVA−145、重合度4500、ケン化度99%、クラレ社製)15部を混合し、固形分濃度10%のインク定着層用塗工液Aを調製した。
[光沢発現層塗工液A]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックス50、平均粒子径:20〜30nm、1次粒子、日産化学社製)100部、接着剤としてアクリル系樹脂(商品名:BL740、ライオン社製)20部、離型剤としてステアリン酸アンモニウム10部を混合した後、希釈水を添加し、固形分濃度5%の光沢発現層用塗工液Aを調製した。
[ポリオレフィン樹脂組成物]
ポリオレフィン樹脂組成物として、表1に記載した市販のポリオレフィン樹脂A〜Fを使用した。
Figure 2009208471
[インクジェット記録用紙の作製]
作製した紙基材Aの一方の面側に、インク吸収層塗工液Aを塗工量が10g/mとなるよう塗工・乾燥させた後、乾燥塗工量が1.0g/mになる様に3%硼砂水溶液を塗布し、乾燥する前にインク定着層塗工液Aを塗工量が10g/mになる様にダイコーターで塗布した。この塗工面はPVAが棚砂で架橋し、ゼリー状の半固体となっていた。この半固体化した塗工液層を乾燥させてインク定着層を形成した。
さらに、このインク定着層上に光沢発現層塗工液Aを塗工した後、直ちに表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧接して乾燥し、剥離させてインクジェット記録用紙を作製した。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は1g/mであった。
次に、上記インクジェット記録用紙の光沢層を設けた面と反対面に、表1に記載したポリオレフィン樹脂Aを、塗工量(厚さ)が20μmになるようにして、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗工し、その表面に、マット面を有するクーリングロール(表面粗さRz=15μm)で冷却固化して裏面層(ポリオレフィン樹脂層)を設けた。
<実施例2>
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Bを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例3>
紙基材に、紙基材Bを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[紙基材B]
木材パルプ(LBKP;ろ水度280ml)100部に対して、市販サイズ剤0.3部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.8部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を調製した。この製紙材料を長網抄紙機にて紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥途中で、5%ポリビニルアルコールのサイズプレス液を20ml/mサイズプレス処理し、水分8%になるよう乾燥させ、線圧150kg/cmでマシンカレンダー処理を行い、坪量180g/m、厚さ163μm(密度1.1g/cm)、ステキヒト・サイズ度450秒、透気度350秒、平滑度250秒の紙基材Bを製造した。
<実施例4>
紙基材に、紙基材Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[紙基材C]
木材パルプ(LBKP;ろ水度300ml)100部に対して、市販サイズ剤0.1部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を調製した。この製紙材料を長網抄紙機にて紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥途中で、5%ポリビニルアルコールのサイズプレス液を20ml/mサイズプレス処理し、水分8%になるよう乾燥させ、線圧80kg/cmでマシンカレンダー処理を行い、坪量180g/m、厚さ200μm(密度0.9g/cm)、ステキヒト・サイズ度250秒、透気度350秒、平滑度200秒の紙基材Cを製造した。
<実施例5>
インク吸収層を設けず、インク定着層の塗工量を20g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例6>
実施例5において、光沢発現層を設けずにインクジェット記録用紙を得た。
<実施例7>
インク定着層塗工液Aのカチオン性微粒子の平均粒子径を0.1μmとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例8>
インク定着層塗工液Aのカチオン性微粒子の平均粒子径を0.5μmとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例9>
インク吸収層の顔料として、平均粒子径3.5μmの無定形シリカ(商品名:AY−420、東ソーシリカ社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例10>
インク吸収層の顔料として、平均粒子径14μmの無定形シリカ(商品名:BY−001、東ソーシリカ社製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例11>
光沢発現層塗工液の濃度を2.5%とし、光沢発現層の塗工量を0.5g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例12>
光沢発現層塗工液の濃度を15%とし、光沢発現層の塗工量を3g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例13>
紙基材に、紙基材Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[紙基材D]
木材パルプ(LBKP;ろ水度300ml)100部に対して、市販サイズ剤0.4部、硫酸バンド2.5部、湿潤紙力剤0.8部、澱粉1.3部よりなる製紙材料を調製した。この製紙材料より長網抄紙機にて紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥途中で、5%ポリビニルアルコールのサイズプレス液を25ml/mサイズプレス処理し、水分8%になるよう乾燥させ、線圧100kg/cmでマシンカレンダー処理を行い、坪量80g/m、厚さ80μm(密度1.0g/cm)、ステキヒト・サイズ度220秒、透気度200秒、平滑度250秒の紙基材Dを製造した。
<実施例14>
紙基材に、紙基材Eを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[紙基材E]
木材パルプ(LBKP;ろ水度300ml)100部に対して、市販サイズ剤0.1部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を調製した。この製紙材料より長網抄紙機にて紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥途中で、5%ポリビニルアルコールのサイズプレス液を17ml/mサイズプレス処理し、水分8%になるよう乾燥させ、線圧100kg/cmでマシンカレンダー処理を行い、坪量300g/m、厚さ300μm(密度1.0g/cm)、ステキヒト・サイズ度460秒、透気度240秒、平滑度250秒の紙基材Eを製造した。
<実施例15>
裏面層(ポリオレフィン樹脂層)を設ける際、表面粗さRz=10μmのクーリングロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例16>
裏面層(ポリオレフィン樹脂層)を設ける際、表面粗さRz=20μmのクーリングロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例17>
裏面層(ポリオレフィン樹脂層)を設ける際、表面粗さRz=3μmのクーリングロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<実施例18>
裏面層(ポリオレフィン樹脂層)を設ける際、表面粗さRz=30μmのクーリングロールを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例1>
紙基材に、紙基材Fを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[紙基材F]
木材パルプ(LBKP;ろ水度450ml)100部に対して、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を調製した。この製紙材料を長網抄紙機にて紙匹を形成し、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥途中で、5%ポリビニルアルコールのサイズプレス液を20ml/mサイズプレス処理し、水分8%になるよう乾燥させ、線圧50kg/cmでマシンカレンダー処理を行い、坪量150g/m、厚さ200μm(密度0.75g/cm)、ステキヒト・サイズ度30秒、透気度30秒、平滑度30秒の紙基材Fを製造した。
<比較例2>
裏面層を設けず、インクジェット記録用紙を製造した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例3>
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Cを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例4>
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Dを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例5>
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Eを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例6>
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Fを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<比較例7>
基材として、両面樹脂被覆基材Aを用い、裏面層を設けずインクジェット記録シートを製造した以外は、実施例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
[両面樹脂被覆基材A]
紙基材Aに、低密度ポリエチレン100部に対して、10部のアナターゼ型酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるよう押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面にも同様にして、厚さ35μmの押出コートを施した後、高周波コロナ放電処理を施し、両面樹脂被覆基材Aを得た。
<比較例8>
基材として、両面樹脂被覆基材Aを用い、裏面層を設けずインクジェット記録シートを製造した以外は、実施例8と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
<比較例9>
両面樹脂被覆基材Aの一方の面に、インク定着層塗工液Aを塗工量が40g/mになるように塗工した後、直ちに窒素ガス環境下で電子線照射装置(ESI社製エレクトロカーテン)により加速電圧200kV、照射線量60kGyの電子線を照射した。照射後の塗工面は塗料がゼリー状の固体となっており、ハイドロゲル化していた。引き続き、このハイドロゲル化した塗工液層を乾燥させてインク定着層を形成した。
さらに、このインク定着層上に光沢発現層塗工液Aを塗工・乾燥させ、インクジェット記録シートを作製した。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は1g/mであった。
<評価方法>
インクジェット記録シートのラミ接着性、カール、コックリング、高湿にじみ、インク吸収性、画像の鮮明性、光沢性、拍車跡、外観、印字精度、及び生産性について、下記に示す方法で評価し、その結果を表2に示した。
なお、記録画像の鮮明性の評価は、記録画像の色濃度を測定することにより行った。
また、塗工層と裏面層間の動摩擦係数の振幅値はJIS P 8147に、裏面の10点平均粗さはJIS B 0601に、ガーレーこわさはJ.TAPPI No.40に、それぞれ従い測定を行った。
インクジェットプリンターには、EPSON社製PM−G850(印字モード:写真用紙、きれいモード)を用い、画像ソフトとしてAdobe社製Photoshop(Ver7)を用い、印字・評価を行った。
[ラミ接着性]
裏面層としてポリオレフィン樹脂層を施し、1日経った後、原紙と裏面樹脂層との接着性を評価した。なお、評価には、ニチバン社製セロハンテープ(品番:4051P−15)を用い、裏面層にテープを貼り付けた後、10kg/cmの圧力で裏面層とテープを密着させた後、直ちにテープを剥がし、剥がれの程度から、ラミ接着性を評価した。
◎:テープを剥がしても、裏面層に変化は全くなく、実使用上、全く問題がない。
○:テープを剥がしても、裏面層に殆ど変化がなく、実使用上、問題がない。
×:テープを剥がすと、裏面層も剥がれ、実使用上、問題となる。
[カール]
A4サイズに断裁したシートを、23℃50%RH、10℃20%RH、30℃80%RHの3環境下で、塗工層面を上にして、平らな台に置き、1時間放置後の4辺の絶対値から、カールを判定した。
◎:3環境とも、5mm未満に収まっており、カールは殆ど無い。
○:最も値の大きな環境でも、5〜10mmに収まっており、若干カールが認められる程度であり、実使用上、問題が無い。
△:最も値の大きな環境で、10〜20mmであり、カールが目立ち、実使用上、問題となる。
×:最も値の大きな環境で、20〜30mmであり、カールが非常に目立ち、実使用に耐えない。
[コックリング]
23℃50%RH環境下で、A4サイズに断裁したシートに、レッド色をベタ印字し、印字直後と印字1時間後の印字面のコックリングの様子を目視評価した。
◎:印字直後及び印字1時間ともに、コックリングは見られず、非常に良好。
○:印字直後は若干コックリングが見られるが、印字から1時間経つと、コックリングは見られず、良好。
△:印字から1時間経過しても、コックリングが目立ち、やや不良。
×:印字から1時間経過しても、コックリングが非常に目立ち、不良。
[高湿にじみ]
23℃50%RH環境下で、画像を2部印字し、内1部は、23℃50%RH環境下で1週間保管し元画像とし、一方の1部は、印字後直ちに40℃90%RH環境下で1週間保管し、下記の基準に従い、評価を行った。
◎:元画像と殆ど変化なく、高湿にじみは非常に良好。
△:マゼンタインク及びイエローインクが特ににじみ、元画像が全体に黄色く変色し、高湿にじみが劣り、実使用上、問題となる。
×:マゼンタインク及びイエローインクが非常ににじみ、元画像が全体に赤〜黄色く非常に変色し、実使用不可。
[インク吸収性(印字斑)]
インクジェット記録シートにグリーン色をベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察し、下記の4段階にて評価した。
印字斑は、先に打ち込まれたインクが、インクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに、次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に現れるものである。
◎:印字斑は全く見られない。
○:印字斑は少し見られるが、実使用上問題ないレベル。
△:印字斑が多く、実使用上問題あり。
×:印字斑が非常に多く、実使用不可。
[画像の鮮明性(印字濃度)]
インクジェット記録シートにブラック色をベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Gretag Macbeth RD−19、マクベス社製)で測定した。
[光沢性(写像性)]
光沢性の評価は、JIS−H8686に準じインクジェット記録シート表面の写像性(60度、スリット幅2mm)を測定し、下記基準により判定した。
◎:写像性値が85%以上であり、きわめて高い光沢感がある。
○:写像性値が75%以上85%未満であり、光沢感があり、優れたレベルである。
△:写像性値が65%以上75%未満であり、光沢感が劣る。
×:写像性値が65%未満であり、光沢感が非常に劣る。
[拍車跡]
インクジェット記録シートをプリンターに給紙した際、給紙ギザロールによってインクジェット記録シート表面にギザロール跡(拍車跡)を下記基準により判定した。
◎:拍車跡が付かない。
○:光の照射角度により、わずかに拍車跡が視認できるが、実使用は殆ど問題ないレベル。
×:拍車跡が目立ち、実使用上問題となるレベル。
[外観]
表面の光沢感、裏面の風合い、手触り感、用紙の腰等を総合的にみて、印画紙様の外観を有するかどうかを下記基準により判定した。
◎:極めて優れる。
○:優れる。
△:やや劣る。
×:劣る。
[印字精度]
23℃50%RH環境下で画像を印字し、バンディング・白抜け等がないかを総合的にみて、印字精度を下記基準により判定した。
◎:元画像を忠実に再現しており、極めて優れる。
○:バンディグや白抜けが若干見られるものの、ほぼ正確に搬送・印字されており、優れる。
△:バンディングや白抜けが多く見られ、やや劣る。
×:劣る。
[生産性]
インクジェット記録シートの最表層を塗工・凝固処理した後、90℃に加熱した鏡面ドラムに圧着し光沢処理を施し、6秒後に、鏡面ドラムからインクジェット記録シートを剥がし、鏡面表面に、インクジェット記録シートの塗工層の残留があるかどうかを下記の基準で評価した。
なお、実施例6については、光沢発現層を設けていないため、評価を行わなかった。
また、比較例9については、光沢発現層をドラム圧着方式により設けていないため、離型性による評価判定は行っていないが、基材が非吸水性であり、インク吸収性を保つためには、基材が吸水性基材の場合と比べ、インク定着層の塗工量を2倍程度まで増やす必要があるため、生産性を×(極めて悪い)と判定した。
◎:ドラム表面に残留は全く無く、離型性に非常に優れ、生産性が極めて高い。
○:ドラム表面に残留はほとんど無く、離型性に優れ、生産性が高い。
△:ドラム表面に残留が多く見られ、記録体の塗工層の一部欠落も視認でき、離型性に劣り、生産性が低い。
×:ドラム表面に塗工層が付着し、記録体の塗工層が欠落し、離型性に非常に劣り、生産性が極めて悪い。
Figure 2009208471
表2から明らかなように、本実施例のインクジェット記録用紙は、印字時のコックリングと高湿にじみを両立するととともに、印字乱れが無く、印字精度に優れ、印画紙様の外観と優れたインクジェット記録適性を有し、生産性にも優れている。
これに対し、比較例は、いずれかの評価項目で少なくとも実用上問題となるレベルと評価されることが分かった。

Claims (7)

  1. 紙基材の記録面側に塗工層を設け、裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたインクジェット記録用紙において、ポリオレフィン樹脂の曲げ弾性率(ASTM D747)が3500〜15000kg/cmであり、紙基材のステキヒト・サイズ度(JIS P8122)が200〜500秒、紙基材の密度(JIS P8188)が0.85〜1.20g/cm、紙基材の平滑度(JIS P8119)が100〜500秒であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. ポリオレフィン樹脂含有層が、少なくともポリプロピレンを含有し、溶融押出しラミネート法により形成され、マット仕上げしたクーリングロールで冷却固化し、マット仕上げされてなることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
  3. 透気度(JIS P8117)が100秒/100ml以上である紙基材の記録面側上に、インク定着層及び光沢発現層を有し、インク定着層が平均粒子径0.01〜1μmの顔料を含有し、光沢発現層は、コロイド状粒子を含有する塗工液を塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げた層であり、光沢発現層の乾燥塗工量は、0.2〜4.5g/mであることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
  4. 紙基材とインク定着層との間に、平均粒子径2〜15μmの顔料を含有するインク吸収層を有することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録用紙。
  5. 塗工層と裏面層間の動摩擦係数(JIS P8147)の振幅値が、0.1〜0.5であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  6. 裏面の10点平均粗さ(JIS B0601)が5〜25μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
  7. ガーレーこわさ(JAPAN TAPPI No.40;縦目方向)が8〜25mNであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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