JP2010253824A - インクジェット記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高い光沢性と良好なインク吸収性を有する高画質で、かつプリンタ搬送適性にも優れ、特にC型給紙方式を採用するプリンタでの「紙詰まり」、「印字位置ずれ」といった搬送不良の問題を解消されたインクジェット記録体を提供する。
【解決手段】
本発明のインクジェット記録体は、透気性支持体上の少なくとも1面に下塗層と最表の塗工層を含む2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、最表の塗工層に、コロイド状粒子並びに、ポリエチレンオキサイド及びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体より選ばれる1種以上の高分子化合物を含有し、該高分子化合物の重量平均分子量が10万以上であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高い光沢性と良好なインク吸収性を有する高画質で、かつプリンタ搬送適性にも優れたインクジェット記録体に関するものである。
インクの液滴を微細なノズルから射出し、被記録体表面上に付着させることにより画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、および、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年、インクジェットプリンタは高精細化・高速化が進み、また、デジタルカメラ等による撮影画像の出力などを目的として一般家庭ユーザへの普及が拡大している。
そのなか、インクジェット記録体には、撮影画像を出力した記録画像の品質を銀塩方式の写真の品質に近づけるために、インクジェット記録体表面の光沢性が優れるとともに、記録画像の発色性や深みなどの高い画質が求められる。またインクジェットプリンタの高速化に対応するインク吸収性が求められている。
一方、一般家庭ユーザへの普及に伴い、プリンタの設置効率の向上が求められている。設置面積を小さくする解決策の一つとして、プリンタ下部の給紙トレイに記録面を下向きに記録体を置き、裏面からピックアップした該記録体をプリンタ内部で反転させ、記録面を上向きに送りながら印刷する給紙方法が採用されている。この給紙方式は、記録体がプリンタ内部で反転する様子をアルファベットの「C」の字に例えてC型給紙方式等と呼ばれることがある。これに対して、従来の、プリンタ背面からの給紙方法はJ型給紙方式等と呼称され、区別されている。
インクジェットプリンタでは、通常、記録面(J型給紙方式)または裏面(C型給紙方式)からゴムロールなどを接触させて給紙を行う方式が用いられているが、C型給紙方式のプリンタにおいては、プリンタ内部の狭い給紙経路内で反転するために記録体は強く曲げられることになる、その結果、C型給紙方式のプリンタでは、J型給紙方式よりも記録体の記録面側がプリンタの給紙経路に擦られる場合の力も強くなる傾向がある。
インクジェット記録体では、高い光沢性を付与するために、最表面にシリカやアルミナ等の微粒子やコロイド状粒子を含有する塗工層が設けられることが多い。しかしながら、高光沢のインクジェット記録体の、極めて平坦、且つインク吸収性を有するような記録体の表面は、接触部分が密着し易く、滑り難いという性質を持っている。
そのため、これらのインクジェット記録体をプリンタに通紙する際、記録体同士が重なって給紙される「重送」と呼ばれる搬送不良が発生し易い。また、記録面とプリンタの給紙経路の滑り性が良くないために記録体が搬送途中で止まる「紙詰まり」や、所定のシート送り量に対して少ない量しか搬送されない「印字位置ずれ」という搬送不良が発生し易い。
この問題を解決するために、J型給紙方式においては、記録面と反対側の面である裏面側に滑剤や球状粒子の含有等の方法により滑り性を付与した裏面層を設けて記録体同士の滑り性を高める方法が有効であったが、C型給紙方式を採用したプリンタでは、滑り性を付与した裏面層を設けるとゴムロール等の給紙装置が滑って、規定のシート送りよりも少ない量しか送り出されず印字の位置がずれる「印字位置ずれ」、甚だしい場合には、記録体が送り出されない「不送り」といったC型給紙方式における搬送性不良の問題を生じ、裏面側に滑り性を付与することによっては解決することが出来なかった。
また、C型給紙方式では記録体はプリンタ内で強く曲げられるため、記録面がプリンタの給紙経路に擦れ易く「搬送傷」がつき易い傾向にある。記録面の滑り性が小さいと、擦られた部分には大きな摩擦力が発生するため、平坦且つ吸収性の表面を有し、接触部分が密着し易く滑り難いインクジェット記録体においては、「搬送傷」は特に問題になりやすいと考えられる。しかも記録面が高光沢である程、傷は目立ちやすいのが一般的であるため、インクジェット記録体の高光沢化に伴い、搬送傷はより重大な問題となってきている。搬送傷の問題は、主として記録紙の記録面の性質が原因であるため、裏面側の性質を調節することによって解決することは出来ない。
上記の様に、C型給紙方式のプリンタにおける記録体の搬送に伴う問題点の解決は、新たな課題として重要性を増しつつある。高い光沢性を有するインクジェット記録体において、J型給紙方式のみならずC型給紙方式でも優れた搬送性を達成するためには、記録体の記録面側の滑り性を良くすることが非常に重要である。こうしたインクジェット記録体としては、次のような提案がなされている。
例えば、特許文献1では、エマルジョン化された形態の低摩擦物質と接着剤を含有する塗工層を有するインクジェット記録体が開示されている。
特許文献2では、インク受理層表面に滑り性付与成分及びインク定着性付与成分を含有する滑り層を形成したことを特徴とするインクジェット記録体が記載されている。滑り性付与成分としては天然および合成ワックス類、高級脂肪酸の多価金属塩、多価アルコールエステルなどが例示され、微粉末あるいはエマルジョンとして使用されることが開示されている。
しかしながら、インクジェット記録層中にエマルジョン化された低摩擦成分を含有させたり、滑り性の大きい塗工層を設けたりする方法では、低摩擦性の疎水性成分が水性インクに対する吸収を妨げる作用を避けることが出来ず、高画質のプリンタで使用するとインクの吸収が不足するため、印字品質との両立において満足できるものでは無かった。また特許文献2のように、疎水性の低摩擦物質は、記録体の表面に接着することが難しい場合が多く、記録体表面から脱落して給紙装置の摩擦面に付着し、その機能を低下させ、却って搬送性を損なう場合もある。
また、特許文献3には、塗工層に球状アルミナ粒子を片面当たり0.008〜0.300g/m 含有し、且つインクジェット記録体の記録面同士のJIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に規定される静摩擦係数が0.90以下且つ動摩擦係数が0.85以下であることを特徴とするインクジェット記録体が記載され、表層に球状粒子の塗工層を設けることにより、インクジェット記録体同士の密着を防止して搬送性を改善することが提案されている。しかしながら、球状粒子の塗工層を設けたとしても、必ずしも記録体間の摩擦係数を低くして搬送不良を解消することは出来ず、また、C型給紙方式を採用したプリンタについては言及されず、評価もされておらず、C型給紙方式のプリンタでの記録体の搬送性という新たな課題への対応としては、必ずしも満足できるものではなかった。
特許文献4では、非吸水性支持体上に、少なくとも平均粒径が100nm以下の無機微粒子と親水性樹脂とを含有するインク受容層を有する空隙型のインクジェット記録媒体において、該インク受容層が、エチレンオキサイド鎖とアルキレンオキサイド鎖とから構成される平均分子量が500〜1000の共重合体を含有することを特徴とするインクジェット記録媒体が開示されている。ここでは、塗布液の粘度上昇の防止やインクの濡れを高める効果のため、分子量の小さいポリアルキレンオキサイドを使用している。
特許文献5では、非吸水性支持体上に、親水性接着剤及び平均粒径が100nm以下の無機微粒子を含有する多孔質層を有し、該多孔質層の少なくとも1層がポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンの共重合化合物を含有し、該共重合化合物のエチレンオキサイドの平均付加モル数をmとし、プロピレンオキサイドの平均付加モル数をnとした時、0.1≦m/(m+n)≦0.5の関係であり、かつ該共重合化合物の一方の末端が炭素数2から8の飽和脂肪族アルキルエーテル基で置換されていることを特徴とするインクジェット記録体が記載されており、高い光沢性とひび割れ耐性の向上、製造時の塗布液粘度上昇が起こらないことが開示されている。しかしながら、これらの化合物は、本発明の化合物とは異なり、ポリオキシプロピレンの比率が大きく、インクの吸収性や印字濃度は低く、本発明の目的とする高画質を必ずしも達成することはできない。また、C型給紙方式のプリンタにおいて優れた搬送性を達成することも出来ない。これは、特許文献5記載の化合物は、飽和脂肪族アルキルエーテル基を有し、ポリオキシプロピレンの含有率が大きいため、インクジェット記録体表面の親水性が不足し、インクの吸収を妨げ、インク滴の拡がりを阻害するものと推定される。
特許文献6では、支持体上に空隙層と有機ポリマー層とをこの順に設けたインクジェット記録体において、該有機ポリマー層が有機ポリマーを主成分とする1層以上の層から構成され、該有機ポリマー層の乾燥膜厚の合計が0.1μm以上、3.0μm以下であり、かつ空隙層と、該空隙層と接する有機ポリマー層間の界面混合層の乾燥膜厚が0.2μm未満であることを特徴とするインクジェット記録体が、それぞれ提案されている。最表の塗工層の有機ポリマー層を設ける目的はガス退色耐性であり、膜厚を限定して記録体表面のベタ付を防止するものである。ここで、有機ポリマーとしてポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドを選択することにより良好なインク吸収性を得られることが記載されている。しかしながら、有機ポリマーを主成分とする最表の塗工層は軟らかいため、特にC型給紙方式では記録面がプリンタの給紙経路に擦れて「搬送傷」がつき易いと云う問題がある。
また、特許文献1乃至6はいずれも、搬送性の問題をC型給紙方式のプリンタでの給紙や搬送性の問題として捉えていないため、搬送傷や記録面の折れ割れのように、用紙が強く曲げられることによって生じるような、特にC型給紙方式において重要な問題を解消出来ていないのが実情である。
特開2001−113823号公報 特開2002−172853号公報 特開2007−98919号公報 特開2006−103122号公報 特開2006−76113号公報 特開2005−1168号公報
高い光沢性と良好なインク吸収性を有する高画質なインクジェット記録体においては、平滑な用紙表面が密着を起こし易く、特にC型給紙方式を採用したプリンタでの搬送性において高い搬送精度を実現し、記録面の折れ割れや搬送傷といった問題の無いインクジェット記録体を得ることが求められ、インクジェット記録適性を損なうことなく用紙表面の密着を防止することが必要である。
例えば、球状アルミナ粒子などを記録体表面に均一に分布させると、記録体に他の記録体が重ねられたときに、両記録体間の接触面積を減少させて記録体間に空気の層を形成することにより摩擦が低減される。しかしながら、C型給紙方式ではプリンタ内部の狭い給紙経路内面にインクジェット記録体の記録面が強く押し付けられて擦られることになり、上記のような空気層が形成され難くなり、摩擦の低減が不十分となり、必ずしも充分に搬送性を改善することは出来ないのが実情である。
高平滑な用紙表面の密着を防止するためには、塗工層表面に滑り性を付与することが有効であり、そのためには例えばポリエチレンワックス類、パラフィンワックス類、モンタンワックス等の鉱物ワックス類、蜜蝋等の動物性ワックス類などの各種ワックス類、ステアリン酸等の高級脂肪酸類、脂肪酸グリセリドやリン脂質などの油脂類、シリコンポリマー類、フルオロポリマー類等を塗工層に含有させる方法が一般的である。しかしながら、これらの滑り性の大きい材料を使用する方法は、材料の疎水性が強く、その疎水性故に水性のインクジェットインクに対して吸収を低下させ、印字されたインクの拡がりを阻害して印字濃度の低下を招く等、インクジェット記録適性を損なう問題があった。また、疎水性の低摩擦物質は、記録体の表面に接着することが難しい場合が多く、記録体表面から脱落して給紙装置の摩擦面に付着し、その機能を低下させ、却って搬送性を損なう場合もある。
また、低温度かつ低湿度の環境下では、一般にインクジェット記録体中の水分が失われて記録体の滑り性が高くなりすぎ、ゴムロール等の給紙装置が滑って「不送り」、「印字位置ずれ」などの搬送不良が発生し易い傾向が有る。特に、前述の疎水性のワックス類を用いた場合には、この傾向が顕著になる傾向がある。これは、インクジェット記録体表面が、その疎水性のため、一層水分を保持し難くなって滑り性が過度に高くなるためと推定される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、透気性支持体上の少なくとも1面に下塗層と最表の塗工層を含む2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、記録層表面の摩擦を低減し、特にC型給紙方式を採用するプリンタでの「紙詰まり」、「印字位置ずれ」といった搬送不良の問題を解消することの出来る、最表の塗工層を有するインクジェット記録体である。本発明者らは、最表の塗工層としてコロイド状粒子と併用される、種々材料について鋭意検討を重ねた結果、次のような構成により上記の問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)透気性支持体上の少なくとも1面に、下塗層と最表の塗工層を含む2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、最表の塗工層に、コロイド状粒子並びに、ポリエチレンオキサイド及びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体より選ばれる1種以上の高分子化合物を含有し、該高分子化合物の重量平均分子量が10万以上であることを特徴とするインクジェット記録体。
(2)最表の塗工層が、前記コロイド状粒子100質量部に対し、前記高分子化合物を0.2〜20質量部の比率で含有することを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録体。
(3)前記高分子化合物の重量平均分子量が100万以上、300万以下であることを特徴とする、(1)または(2)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(4)前記高分子化合物のエチレンオキサイドのモル数をn、プロピレンオキサイドのモル数をmとしたとき、共重合体中のポリエチレンオキサイドの比率R=n/(n+m)が0.8≦Rであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(5)インクジェット記録体の記録面側の最表の塗工層と、反対側の面との間の静摩擦係数および動摩擦係数(JIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に基づく)が、いずれも0.8以下であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(6)前記最表の塗工層が、湿潤状態で加熱された鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥して形成された層である、(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(7)前記透気性支持体が、紙支持体である、(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(8)前記コロイド状粒子が、平均一次粒子径10nm〜100nmの球状コロイダルシリカである、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
本発明によれば、高い光沢性と良好なインク吸収性を有する高画質のインクジェット記録体において、プリンタ搬送適性にも優れたインクジェット記録体を得ることが出来る。
<層構成>
本発明は、透気性支持体上の少なくとも1面に、下塗層と最表の塗工層を含む2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体であり、最表の塗工層に、コロイド状粒子並びに、ポリエチレンオキサイド及びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体より選ばれる1種以上の高分子化合物を含有し、該高分子化合物の重量平均分子量が10万以上であることを特徴とするインクジェット記録体である。ここで下塗層は1層でもよく、2層以上であってもよい。また、これら下塗層と最表の塗工層のうち、少なくとも1層はインクジェット記録適性を有するインクジェット記録層である。
以下、便宜上、インクジェット記録層を設けた側の面を記録面、反対側の面を裏面と呼び分けるが、裏面側にも記録面と同様の塗工層を設けて両面記録体とすることも出来る。この場合にはインクジェット記録体の両面で本発明の効果を利用できるため、両面が高い光沢性と良好なインク吸収性を有し、高画質であり、なお且つプリンタ搬送適性にも優れたインクジェット記録体として用いることが出来る。一方、これらの塗工層を透気性支持体の1面だけに設けて片面の記録体とする場合には、裏面に、後述するような、裏面処理等を行なうことも出来る。
<支持体>
本発明では透気性支持体を用いる。透気性支持体上にインクジェット記録層が設けられたインクジェット記録体では、打ち込まれたインクの溶媒は、インクジェット記録層近傍に滞留することなく塗工層から支持体側へ速やかに移動して消失するため、高湿環境下でニジミを生じ難く好ましい。また、支持体がインク溶媒の吸収を担うため、インクジェット記録層がインクを吸収する負担を減少することが出来る。この事はインクジェット記録層の塗工量の減少を可能にさせ、生産効率や生産コストの観点から有益であるばかりでなく、塗工層の厚みを抑えて、C型給紙方式で記録体が強く曲げられる際に塗工層に生じる応力により引き起こされる「塗工層割れ」の発生を防止することも出来るため有効な特徴である。
透気性支持体はその種類、形状、寸法などについては、特に限定されない。透気性支持体としては、例えば、紙支持体、透気性を有する樹脂フィルムまたはシート材をなどが使用できるが、とりわけ、優れた透気性、記録体としての取り扱い易さ、および廃棄が容易である等の面から、紙支持体が好ましく用いられる。本発明で使用する透気性支持体として、好ましい透気度(JIS P8177)の範囲は、特に限定するものではないが、一般的な紙支持体を使用する場合には10〜800秒の範囲が好ましい。透気度を10秒以上であれば塗工層塗工液が紙支持体に過剰に浸透するのを抑制することが出来、800秒以下であれば塗工層の乾燥効率の低下を抑えることが出来る。
このような紙支持体としては、本発明のインクジェット記録体の目的に応じて、通常使用される公知の紙支持体から適宜選択することが出来、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙など各種の紙類を挙げることが出来る。また、酸性紙、中性紙等、抄紙方法の別などについても適宜選択して用いることが出来る。
これら紙支持体の概要を説明する。紙支持体は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤等が添加されている。
木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。特に、針葉樹および広葉樹のクラフトパルプ、あるいはこれらクラフトパルプを漂白した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKPと称す)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKPと称す)は製紙産業で広く使用されている。また、これらのパルプにおいて、その漂白工程で塩素の影響を取り除いた塩素フリーパルプ、例えば、パルプ漂白に塩素そのものを使わずに塩素化合物を使うECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、パルプ漂白に塩素元素が一切入っていない漂白剤を用いるTCF(Total Chlorine Free)パルプ等を用いることは環境に対する配慮の点から好ましく用いられる。
これらの製紙用パルプは、叩解機で処理され、叩解度により抄紙適性が調節される。特に限定しないが、抄造された紙支持体の平滑度、透気度、紙力や剛性等の物性がバランスよく調節されるためには、叩解度(CSF:Canadian Standard Freeness)は250〜550ml(JIS−P8121)程度が好ましい。
紙支持体に添加される填料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライト、シリカ、酸化チタン、タルク等が好ましく用いられる。中でも軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライトは多孔質のためインクジェットプリンタから吐出されたインク中の溶媒を吸収する能力に優れているために好ましく、その中でも、焼成カオリン、軽質炭酸カルシウムは白色度が高い紙支持体が得られ、インクジェット記録体の光沢感も高まるので好ましい。
紙支持体中の填料の含有率(灰分)は、20質量%以下が好ましい。この範囲であれば、平滑度、透気度、紙力や剛性のバランスがとれ、光沢度や写像性、剛性のバランスに優れたインクジェット記録体が得られやすくなる。より好ましくは15質量%以下である。
紙支持体のZ軸強度すなわち内部結合強さ(TAPPI UM403)は特に限定されないが、135.6mJ(100×10−3ft−lb)以上であることが好ましく、203.4mJ(150×10−3ft−lb)以上がより好ましい。内部結合強さが135.6mJ以上であると、インクジェットプリンタの拍車の跡を目立ちにくくなる。これは、原紙の繊維間結合が強固になると、インクが浸透しても膨潤し難くなるためと推定される。
内部結合強さの上限は特に限定しないが、406.8mJ(300×10−3ft−lb)を超えると、その効果は飽和する傾向がある。
本発明に使用する紙支持体は、長網抄紙機等公知の装置、手段によって製造することが出来る。
紙支持体の坪量は特に限定されない。例えば、用途に応じて20〜400g/mの範囲で適宜選択することが出来る。紙支持体の厚さについても、特に限定されないが、用途に応じて20〜500μmの範囲で適宜選択される。
紙支持体の密度(JIS P8188)は0.75〜1.20g/cmが好ましく、紙支持体の密度が0.75g/cm以上であると、記録体の光沢を高めたり、コックリングの発生を軽減する効果がある。一方、1.20g/cm以下であれば、記録体としてのインク吸収性を高めることが出来るため好ましい。紙支持体の密度は0.85〜1.20g/cmの範囲がより好ましい。
紙支持体の平滑度(JIS P8119)は10〜500秒が好ましく、100〜500秒がより好ましい。平滑度を10秒以上とすることで、記録体の光沢を高め易くなり、500秒以下とすることでインク吸収性を高め易くなる。
紙支持体には、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等が助剤として適宜添加される。
上記サイズ剤としては、たとえば、強化ロジン、アルケニル無水コハク酸等公知のサイズ剤が適宜用いられ、サイズ剤と併用して、定着剤として硫酸バンドが、定着歩留り向上剤として澱粉等が、適宜使用される。
紙支持体は、サイズプレスなどによる表面処理も適宜施されたものを用いることが出来る。表面処理の目的は、サイズ度の調節、紙力の増強、平滑化等であり、サイズプレスによる方法が好ましく用いられる。紙支持体の表面処理は、その目的に応じて澱粉類、ポリビニルアルコール類、サイズ剤、各種顔料等、公知公用の材料が用いられ、サイズプレス処理液などに含有される。
紙支持体のステキヒトサイズ度(JIS−P8122)は特に限定されるものではないが、好ましくは20〜500秒程度に調節される。紙支持体のサイズ度を20秒以上にすると、塗工時の皺といった操業上の障害発生を防止し、また、印字されたインクの溶媒によって紙支持体が膨潤して発生する記録体の波打ち(コックリング)を軽減させる効果がある。一方、紙支持体のサイズ度が500秒以下であると、記録体としてのインク吸収性を高めることが出来るため好ましい。
また、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、バライタ紙のように塗工層を設けて平滑性等を向上させた紙支持体を用いても良い。
<最表の塗工層>
本発明のインクジェット記録体の最表の塗工層にはコロイド状粒子および、重量平均分子量が10万以上のポリエチレンオキサイド及びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体より選ばれる1種以上よりなる高分子化合物(以下、特定の高分子化合物と呼ぶ)が含有される。インクジェット記録体表面にコロイド状粒子と特定の高分子化合物が含有されると、インクジェット記録体用支持体に用いられる紙や樹脂被覆紙などの表面、シリカやアルミナ等の多孔性顔料を含むインクジェット記録体の表面、更に、プリンタ内部の搬送経路を構成するプラスチック部材との間に発生する摩擦力を低減し、C型給紙方式のプリンタによる搬送傷の発生も軽減される。
(特定の高分子化合物)
ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)は、エチレングリコールが重合した構造をもつ高分子化合物(ポリエーテル)である。ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)と基本的に同じ構造を有する化合物であり、一般に分子量5万以下のものをポリエチレングリコールと呼び、より高分子量のものをポリエチレンオキサイドと呼ぶ。ポリエチレンオキサイド及び/またはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体は、分子中にエーテル結合を有し、親水性を示す。このため、水性のインクジェットインクをはじいて吸収性を低下させたり、印字濃度を低下させるなどの問題を起さない。
ポリエチレンオキサイドの一般的な構造式は、
一般式1: −(CH−CH−O−)
で表示される。
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の一般的な構造式は、
一般式2: −(CH−CH−O−)−(CH−CH(CH)−O−)
で表示される。
エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体のエチレンオキサイドのモル数をn、プロピレンオキサイドのモル数をmとしたとき、共重合体中のポリエチレンオキサイドの比率R=n/(n+m)は、摩擦低減効果の点からは特に限定されない。特定の高分子化合物としては、エチレンオキサイド単位の比率が高い方が工業的に入手し易いのみならず、インクの吸収性や印字濃度において有利であるため好ましい。特定の高分子化合物がポリエチレンオキサイドである場合には、Rは最大となり、R=1である。好ましい特定の高分子化合物中のポリエチレンオキサイドの比率Rは、0.8≦R≦1である。
特定の高分子化合物に含有されるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体において、エチレンオキサイド単位とプロピレンオキサイド単位の配列の仕方は、特に限定されない。例えば、ランダム配列であってもブロック配列であっても使用可能である。ただし、同じ比率(R)の場合、エチレンオキサイド:プロピレンオキサイドの配置はブロックであるよりもランダムである方が、プロピレンオキサイド単位に由来する疎水性が過度に現れ難いため、インク吸収性や印字濃度が高くなり易く好ましい傾向があると推定される。
本発明の最表の塗工層には、上記ポリエチレンオキサイドおよびエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体より選ばれる1種を単独で用いてもよく、また複数種を併用することも出来る。
本発明の特定の高分子化合物の重量平均分子量は10万以上である。
重量平均分子量はGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法等によって求めることができる。
GPC法は多孔質の固定相中に高分子溶液を移動させ、分子の大きさによって見かけの固定相容積の差があるために、通過時間が異なることを利用してふるいわけ、分子量の分布を測定する方法である。絶対的な分子量を測定することは出来ないが、適当な分子量標品を用いて作成した較正曲線を作成し、数平均分子量、重量平均分子量、粘度平均分子量を同時に求めることが出来る。なお、分子量が単分散であるときには重量平均分子量、粘度平均分子量、数平均分子量は互いに一致する。
特定の高分子化合物の重量平均分子量が10万より小さい場合には、インクジェット記録体表面から脱落物を生じ易い。その記録体を連続して通紙するに従い、ゴムロール等の給紙装置表面に記録体からの脱落物が付着して蓄積し、これがゴムロール等の表面と記録体表面間に滑りを発生させて、「不送り」や「印字位置ズレ」等の搬送不良の原因となる懸念がある。この問題は、インクジェット記録体が記録面側からピックアップされるJ型給紙方式のプリンタで生じ易い。
また、吸収性も低下し易い傾向が有る。これは、高分子化合物が、シリカやアルミナ等の多孔性顔料の空隙に入り込み易く、これらの空隙を塞いでしまうためと推定される。
本発明の特定の高分子化合物の重量平均分子量を10万以上の高分子量とすると、最表の塗工層が塗工された際に、該高分子化合物が支持体側の層に落ち込まずに最表の塗工層に多く配置され、摩擦力低減効果が大きくなり、少量でも効果が現れ易くなる傾向があり好ましい。また、重量平均分子量が10万以上の高分子化合物は、記録体の光沢性を高める上でも重要な役割を果たす。即ち、最表の塗工層塗料を塗布した際、乾燥時に塗液が不動化するより先に、下塗層や透気性支持体に塗料がしみ込んでしまい、最表に十分な厚さの塗工層塗液層が形成出来ずに光沢が不十分となることがあるが、特定の高分子化合物は重量平均分子量が10万以上であり、保水性が高いため、上記のようなしみ込みを起こし難くさせ、最表に十分な厚さの塗工層塗液層を形成できるようになって、光沢を高めることができる。重量平均分子量が10万より小さいものではこの効果は小さい。また、光沢を高めるためには後述のキャスト仕上げを行なうことは有効であるが、その際にもこの効果は発揮され、さらに光沢を高め易くできる。
特定の高分子化合物である、ポリエチレンオキサイド及び/またはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の重量平均分子量は大きいほど摩擦低減効果が大きく、必要添加量を少なくできる傾向がある。そのため、塗工適性への影響を避けることが出来ることから、該高分子化合物の重量平均分子量は更に大きいものが好ましく使用でき、30万以上とすることが好ましく、60万以上とすることがより好ましい。しかしながら、重量平均分子量が300万より大きくなると、上記の傾向は飽和に向かい、それ以上重量平均分子量が大きくなっても摩擦低減効果はさほど高まらない。そのため、溶液粘度や溶解濃度など操業性の点からは、特定の高分子化合物の重量平均分子量は300万以下であることが好ましい。ただし該高分子化合物の使用量や、併用する材料の種類、塗工に用いる塗工装置の種類等の調整により操業性を高められる場合はこの限りではなく、より高分子量のものも用いることが出来る。
低温度かつ低湿度な環境下では、一般にインクジェット記録体中の水分が失われて記録体の滑り性が高くなりすぎ、ゴムロール等の給紙装置が滑って「不送り」、「印字位置ずれ」などの搬送不良が発生し易い傾向が有る。特に、低摩擦性の材料として、疎水性のワックス類を用いると、より顕著になる。しかし、特定の高分子化合物を使用すると搬送不良は発生しない。これは、重量平均分子量が10万以上のポリエチレンオキサイド及び/またはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体は、疎水性のワックス類に比べて保水力が高いため、低温度かつ低湿度の環境下でも塗工層中の水分を保持し易く、ゴムロール等の給紙装置が滑りにくくなるためと推定される。
また、低温度かつ低湿度な環境下では、インクジェット記録体中の水分が失われ、塗工層の柔軟性が低下することにより問題を生じることがある。即ち、塗工層の柔軟性が低下することによって、特にC型給紙方式プリンタ内部で記録体が強く曲げられると、外側の塗工層がひび割れて「塗工層割れ」を発生しやすくなるが、この問題も最表の塗工層に特定の高分子化合物を含有することによって解決される。これは、特定の高分子化合物によって最表の塗工層の保水性が高められ、柔軟性が保たれることによって、ひび割れを防止しているものと考えられる。
一方、高温度かつ高湿度の環境下では、高分子化合物或いは親水性接着剤などの材料が吸湿し易く、記録体表面にベタつきを生じる懸念がある。本発明では、記録体最表層にコロイド状粒子が併用されていることにより、複数の記録体が密着して給紙される「重送」の発生は見られない。この理由は必ずしも定かではないが、コロイド状粒子の存在によって、記録体の表面間の高分子化合物や接着剤成分同士の接触が効果的に防止されるものと推定される。
上記の様に、最表の塗工層に特定の高分子化合物と該コロイド状粒子を併用することによって、どのような環境下でも搬送されやすい記録体を作成することができる。
同様に操業性向上のため、本発明特定の高分子化合物の使用量はコロイド状粒子100部に対して0.2〜20質量部であることが好ましい。特定の高分子化合物の部数は、重量平均分子量にもよるが、一般に20質量部以下であれば操業性を高め易い傾向が有り、10質量部以下とすることがより好ましい。
また、使用量を0.2質量部以上とすることで、摩擦低減の効果が得られ易くなるため好ましい。より好ましい使用量は0.5質量部以上である。
(コロイド状粒子について)
インクジェット記録体の光沢性を高めるためには、最表の塗工層に含有される粒子が記録体表面にできるだけ均一に配置された、高平滑な面が形成される必要があり、これを達成するためには、粒子は均一なコロイド状粒子である必要がある。粒子が均一なコロイド状でない場合は、記録体表面は均一にならず、微小な凹凸ができて高平滑な面にはならない。また、インクジェット記録体の光沢性が低下したり、塗工層が不透明性になって印字濃度が低下する。
本発明の最表の塗工層に使用されるコロイド状粒子は、水中に分散してコロイド状をなしている無機粒子或いは有機粒子であり、動的散乱法により測定される平均粒子径が10nm〜1000nmのものを指す。
なお本発明における平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製LB−500)を用いて測定した平均粒子径である。
本発明の最表の塗工層に使用することが出来るコロイド状無機粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、1次粒子が複数個結合した房状や鎖状などのコロイダルシリカ、特公昭47−26959号公報に例示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子、コロイド状をなすサイズで分散された乾式法シリカや湿式法シリカやゼオライトや炭酸カルシウム等のナノコロイド、アルミナ、コロイダルアルミナ、ギブサイトおよびベーマイト等のアルミナ水和物、表面修飾されたアルミニウム酸化物又はその水和物、特開2005−238814に例示される平均屈折率が2.1〜2.9の無機微粒子等を挙げることができる。
また、本発明に使用することができる有機粒子としては、ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、尿素樹脂やメラミン樹脂等のアミノ樹脂、ナイロン12等のポリアミド樹脂、等の樹脂の有機粒子等を挙げることができる。
これらのコロイド状粒子は、本発明の最表の塗工層中に単独あるいは2種以上併用することが可能である。コロイド状無機粒子はC型給紙方式での傷防止効果がより高く、好ましく用いることができる。特に、コロイダルシリカは高い光沢が得られ易く、一層好ましい。
また、コロイド状粒子の平均粒子径は、300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。平均粒子径を300nm以下とすることで、光沢性や印字濃度がより向上する傾向がある。
また、該コロイド状粒子は球状であることが特に好ましい。球状であることによって記録体の滑り性を高め易くなり、搬送性をより良好にし易くなる。
また本発明の最表の塗工層中には、該コロイド状粒子と併用して、本発明の効果を損なわない範囲で、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカ、特開2001−354408号公報に記載のような、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加した後に該シード液に対して活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得るシリカ微粒子分散物、ギブサイトおよびベーマイト等のアルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カオリン、焼成カオリン、セピオライト、天然ゼオライト、人工ゼオライトおよび合成ゼオライト等のゼオライト類や、合成スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類およびそれらを含有するベントナイト等の粘土類、クレー、焼成クレー、軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土等の無機白色顔料、並びにポリスチレン樹脂系プラスチックピグメント、尿素樹脂系有機顔料やベンゾグアナミン樹脂系有機顔料等の有機白色顔料等の公知の白色顔料を1種類以上用いることも出来るが、前述のように粒子がコロイド状でない場合は光沢性や印字濃度を低下させてしまう傾向があるため、添加量は該白色顔料の粒子径にもよるが、該コロイド粒子100質量部に対して10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
(最表層中に添加・併用できるその他の材料について)
本発明の最表の塗工層には、ポリエチレンオキサイド及び/またはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体に加えて、親水性接着剤を添加することも可能である。親水性接着剤を適宜併用することにより、コロイド状粒子の脱落を防ぎ、搬送不良を防止することが出来る。ただし、親水性接着剤が多すぎると、塗工層中のポリエチレンオキサイド及び/またはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体の割合を低下させ、本発明の所期の効果が得られにくくなるため、好ましい親水性接着剤の添加量はコロイド状粒子100質量部に対して25質量部以下であり、より好ましくは1〜15質量部である。
上記、最表の塗工層に添加できる親水性接着剤としては、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコールやカチオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カゼインや大豆蛋白、ゼラチン等のたんぱく質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カラギーナンや寒天、キトサン等の多糖類、等の公知の親水性接着剤を単独、若しくは併用して用いることができる。ゼラチンは、C型給紙方式で記録面がプリンタの給紙経路に擦れたときに、記録体に「搬送傷」がつくのを防止する効果が高いため好ましく用いられる。
本発明の最表の塗工層中には水分散性接着剤を添加することも出来、コロイド状粒子の脱落を防いで搬送不良を防止するのみならず、光沢性が向上するため好ましい。ただし、水分散性接着剤を添加した場合、C型給紙の際の搬送傷が目立ち易くなる傾向が有る。最表の塗工層中に水分散性接着剤を添加すると、記録体の光沢が高まることによるものと推定されるが、その理由は必ずしも定かではない。そのため、好ましい水分散性接着剤の添加量は、コロイド状粒子100質量部に対して20質量部以下であり、より好ましくは1〜10質量部である。
上記の水分散性接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂やメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の水分散性樹脂が用いられる。これら公知の水分散性接着剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂は、得られる記録体の光沢性がすぐれ、印字濃度が高いので特に好ましい。また、水分散性接着剤の平均粒子径は、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。平均粒子径を200nm以下とすることで、光沢や印字濃度がより向上する傾向がある。
また、上記、最表の塗工層には、カチオン性樹脂を添加することも出来る。カチオン性樹脂を添加することにより、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する機能を有し、これにより印字画像に耐水性を付与することができるため好ましい。このようなカチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、(ロ)第2級または第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、またはそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(ヘ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。
さらに最表の塗工層には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、浸透剤、帯電防止剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存性改良剤、防腐剤等を適宜配合することもできる。
なお、後述するリウェット処理を行う場合は、上記添加剤はリウェット処理に用いる湿潤液に添加しても良い。
<最表の塗工層の形成方法>
最表の塗工層を形成するための塗工装置としては、ロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、スライドビードコーターおよびカーテンコーター等の各種公知の塗工装置を用いることが出来る。スライドビードコーター等を用いて、最表の塗工層と下塗層を同時に塗工、或いは下塗層が湿潤状態のうちに最表の塗工層を下塗層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を行うことができる。本発明においては、特に、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
上記最表の塗工層は、上記組成の塗工液を塗工して乾燥した後、種々の光沢付与処理を施ことができる。また、後述のようにキャスト法による光沢付与処理を施すこともできる。
光沢付与処理は、ある程度の光沢付与であればスーパーカレンダ等によって平滑化を行うことによっても実現できるが、記録体に銀塩写真のような高い光沢を付与するためには、いわゆるキャスト仕上げを採用することが好ましい。
キャスト加工は、記録体に高い光沢を付与することができ、かつ記録体表面での光の反射率を高めることで記録濃度を高めることもできるため、記録体の記録画像の品質を銀塩方式の写真の品質に近づけることができ、加えて、光沢発現層の平滑性を高め搬送傷防止効果を高める。
一般にキャスト仕上げとは、塗工層を、鏡面を有するキャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム、ガラス板等に圧接して乾燥し、鏡面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得ることである。
この中で加熱した鏡面ドラムを利用するキャスト加工により高光沢を付与する方法は、(イ)最表の塗工層用塗工液を支持体または下塗層上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、
(ロ)支持体または下塗層上に塗工した最表の塗工層を一旦乾燥後、その最表の塗工層を再湿潤させて、加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、
(ハ)支持体または下塗層上の最表の塗工層をゲル化してゲル状塗工層とし、加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥して仕上げる方法(ゲル化キャスト法)、
(二)加熱された鏡面ドラムに直接最表の塗工層用塗工液を塗工し、乾燥させて鏡面ドラム上に該最表の塗工層を形成した後、支持体または下塗層上に上記鏡面ドラムを圧接し、上記最表の塗工層を転移させて仕上げる方法(プレキャスト法)、
が挙げられる。
これらのキャスト仕上げにおいては、加熱された鏡面ドラムの温度は例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
さらに、キャスト仕上げとして、フィルム転写方式を採用することもできる。
フィルム転写方式とは、
(イ)上記の最表の塗工層用塗工液を支持体または下塗層上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に平滑なフィルムやシートを重ね、乾燥した後、平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、
(ロ)平滑なフィルムやシート上に最表の塗工層用塗工液を塗工して、貼り合せようとする支持体または下塗層面を湿潤液塗布等である程度湿潤状態にした状態で、その支持体または下塗層面に圧接し、乾燥した後平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、
である。
フィルム転写法に比べ、加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト法のほうが、表面平滑性に優れる傾向があり、かつ生産性やコストの点で有利である場合が多い。
キャスト仕上げは、上記いずれの方法を用いても良いが、本実施の形態の記録体では、透気性支持体または下塗層上に最表の塗工層用塗布液を塗布した後、直ちに加熱された鏡面金属ドラムに圧着・乾燥して仕上げるウェットキャスト法を用いることが好ましい。このウェットキャスト法では、均一な塗工層が形成されやすく、印字濃度が高く、光沢の優れた最表の塗工層が得られ易い。
最表の塗工層をキャスト仕上げする際、キャストドラム等からの剥離をスムーズに行うために、離型剤を用いることが好ましい。離型剤は、最表の塗工層塗布液に添加する方法、キャストドラム等の表面に塗工する方法、リウェット処理に用いる湿潤液に添加する方法等によって使用することが出来、これらの方法のいずれか、あるいは複数を組み合わせて用いることが出来る。
このような離型剤としては、高級脂肪酸類のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等のアルカリ塩類(石鹸類)や、高級脂肪酸類のアルキレンオキサイド付加物、高級脂肪酸アミド類、等の高級脂肪酸誘導体(ここで高級脂肪酸類としては、必ずしも限定されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、バクセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等である)、高級脂肪族アミン類、高級脂肪族アミン類又は高級脂肪酸アミド類のアルキレンオキサイド付加物、カルナバワックス等の植物性ワックス類、酸化ポリエチレンワックス類、レシチン等の脂質類、等が例示できる。
これら離型剤を最表の塗工層塗布液に添加する場合、その使用量は、離型性を維持できる範囲で出来る限り少量とするのが好ましく、用いる離型剤の種類にもよるが、コロイド状粒子100質量部に対して好ましくは8質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下である。
特にポリエチレンワックス類については、理由は明らかではないものの、C型給紙の際の「搬送傷」が悪化する傾向が見られるため、好ましい使用量はコロイド状粒子100質量部に対して2質量部以下である。
離型剤は多くの場合疎水性であるため、前記のように水性のインクジェットインクをはじいて吸収性を低下させたり、印字濃度を低下させ易く、また、低温度かつ低湿度な環境下では搬送不良が発生し易い懸念がある。そのため、親水性の高い離型剤を用いることが好ましい。
本発明におけるインクジェット記録体の最表の塗工層と、支持体を挟んで最表の塗工層と反対側の面との間の静摩擦係数および動摩擦係数(JIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に基づく)は、いずれも0.8以下であることが好ましい。本発明において静摩擦係数および動摩擦係数いずれも0.8以下としておけば、どのようなプリンタであっても搬送不良を起こさずに印刷可能である。
ただし、プリンタが正常な状態であれば、本発明においては、静摩擦係数および動摩擦係数のいずれかが0.8より大きくても、搬送不良を発生することはない。
本発明における最表の塗工層の塗工液は、特に限定しないが、一般に固形分濃度1〜25質量%程度に調整される。固形分濃度を1%以上とすることで乾燥効率が向上する。また、25質量%以下とすることにより、塗工液の粘度が低下し塗工が容易になる。
塗工液の粘度は特に限定しないが、概ね5000mPa・s以下が取り扱い易い。
最表の塗工層の塗工量は、乾燥質量で、好ましくは0.2〜10g/m、より好ましくは0.2〜5g/m、更に好ましくは0.5〜3g/mである。塗工量を0.2g/m以上とすることにより優れた光沢性が得られ易くなり、かつインク吸収性も向上する。10g/m以下とすることにより、塗工層のひび割れが抑制されて均一な塗工面となり易く、光沢や印字濃度を高め易くなる。
<下塗層>
支持体と最表の塗工層の間に下塗層を設けることが出来る。下塗層は1層でもよく、2層以上とすることもできる。最表の塗工層及び下塗層のうち少なくとも1層は、顔料、顔料を保持する接着剤と、インク中の染料や顔料の定着させるためにカチオン性のインク定着剤を含有する定着層である。定着層を設けることにより、インク溶媒の吸収性やインク定着性を向上したり、平滑性を向上して光沢性を高めたりすることが出来る。下塗層を2層以上とする場合には、定着層を重ねて厚い塗工層を形成することもできるが、たとえば、支持体側の塗工層を、平滑性付与を主目的とする平滑層とし、最表の塗工層側を、インク定着を主目的とする定着層として積層したり、吸収層と定着層、或いはバリア層と定着層を積層するといったように、それぞれに別の機能を持つ複数の塗工層の積層構造にすることもできる。
下塗層の顔料としては、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料が挙げられ、特に限定されるものではないが、例えば、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカ、コロイダルシリカ、特開2001−354408号公報に記載のような、コロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加した後に該シード液に対して活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得るシリカ微粒子分散物、ギブサイトおよびベーマイト等のアルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カオリン、焼成カオリン、セピオライト、天然ゼオライト、人工ゼオライトおよび合成ゼオライト等のゼオライト類や、合成スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイト類およびそれらを含有するベントナイト等の粘土類、クレー、焼成クレー、軽質炭酸カルシウムおよび重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪藻土等の無機白色顔料、並びにポリスチレン樹脂系プラスチックピグメント、尿素樹脂系有機顔料やベンゾグアナミン樹脂系有機顔料等の有機白色顔料等が使用できる。
市場に多く販売されており、コストが安く、選択幅も極めて広く、また、後計量方式の塗工が可能で、乾燥も高温、高風量による効率乾燥が可能であり、低コストで下塗層を製造することが可能である等の理由から、気相法シリカ、湿式法シリカ、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、アルミナ水和物、ベントナイトが好ましく用いられる。
これらの顔料は単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
下塗層の顔料の平均粒子径としては、0.01〜10μmのものが好ましく用いられる。粒子径が0.01μm以上であるとインク吸収性を高くすることができ、10μm以下であると透明性の高い塗膜が得られるため、印字濃度を高くできるだけでなく、平滑性も高くできて光沢を向上することができる。より好ましい平均粒子径は0.02〜2μmの範囲である。
本発明の下塗層には、接着剤として水分散系接着剤または親水性接着剤を単独或いは2種以上を併用して使用することができる。このような水分散系接着剤または親水性接着剤は、特に限定されるものではないが、例えば下記のようなものがある。
水分散系接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂やメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の水分散性樹脂が用いられる。これら公知の水分散性接着剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。得られる記録体の光沢性および印字濃度の点からは、アクリル系樹脂およびウレタン系樹脂が特に好ましく用いられる。
親水性接着剤としては、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコールやカチオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はそれらの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カゼイン、大豆蛋白およびゼラチン等のたんぱく質類、澱粉や酸化澱粉等および化工澱粉などの澱粉加工品、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カラギーナンや寒天、キトサン等の多糖類等、公知の親水性樹脂を単独で、若しくは2種以上を併用して用いることができる。
特に塗膜強度の点からは、上記の接着剤のうち、ポリビニルアルコールが好ましく使用される。ポリビニルアルコールは鹸化度および重合度により性状が異なるため、目的に応じてその鹸化度と重合度を選択することが好ましい。
鹸化度が95%以上のポリビニルアルコールは、塗工層の強度を強くすることができるだけでなく、塗工液調製時に泡立ち難く、下塗層形成用塗液を製造する際の作業性が非常に良好であるため好ましく使用される。より好ましい鹸化度は98%以上である。
一方、鹸化度が75〜90%の部分鹸化ポリビニルアルコールを使用すると、塗工層が可撓性に優れるため好ましい。塗工層の可撓性が優れていると、折り割れを防止することが出来る。
これら種々の鹸化度のポリビニルアルコールは、その目的に応じ、それぞれ単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
本発明の下塗層に使用するポリビニルアルコールは、重合度が2000以上であることが好ましく、重合度3000〜5000の範囲であることが特に好ましい。
重合度2000以上であると、下塗層の塗膜強度を高めてひび割れの発生や断裁時の紙粉の発生を抑制する効果が高いため好ましい。また、重合度を5000以下であれば、ポリビニルアルコールが成膜して、顔料の空隙を塞ぐことがないため、十分なインク吸収性を得られるとともに、溶液粘度が低いので下塗層形成用塗液を調整する際のハンドリングが容易になるため好ましい。
下塗層の接着剤の配合量としては、顔料100質量部に対して5〜80質量部が好ましく、10〜50質量部であるとより好ましい。配合量を5質量部以上とすると充分な塗膜強度を得ることができ、80質量部以下であれば、十分なインク吸収性を得ることができる。
更に、本発明の下塗層にはインク定着剤を含有することが好ましい。このインク定着剤は打ち込まれたインクジェット記録用インク中の染料を定着する作用を呈し、印字画像に耐水性を付与し、また、印字濃度を高める効果を持つ。
このインク定着剤としては、一般にインクジェット記録用シートで用いられる各種公知のカチオン性化合物を、単独で使用、若しくは2種以上を併用することが可能である。本発明に使用することのできるカチオン性化合物としては、例えば、カチオン性残基を有する界面活性剤やシランカップリング剤に使用されるカチオン性化合物、または水溶性多価金属塩、ポリ塩化アルミニウム等の塩基性塩化アルミニウム重合体等の低分子カチオン性化合物、或いはカチオン性樹脂類を例示することができる。印字の耐水性向上の点ではカチオン性樹脂類が好ましい。
下塗層に添加することの出来るカチオン性樹脂類としては、例えば、前記、最表の塗工層に添加できるカチオン樹脂に例示の材料等を適宜使用することが出来る。
カチオン性化合物の添加量は、特に限定はされないが、顔料100質量部に対して、1〜40質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で調節される。
下塗層の顔料としてシリカ等のアニオン性の顔料を用い、上記のようなカチオン性化合物を混合すると、顔料とカチオン性化合物の混合液中で「アニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体」を形成して凝集を生じる。下塗層形成用塗液中に粒子径の大きい凝集体が含有されると、下塗層表面の平滑性や光沢性が低下して、結果的に記録紙の光沢や平滑性を低下させることになるので、生じた大粒子径の凝集体を粉砕・分散して、これを下塗層形成用塗液に用いることが好ましい。凝集体の粉砕・分散によって、「アニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体」は、平均粒子径0.01〜2μmの微粒子として下塗層に好ましく用いることができる。平均粒子径を2μm以下とすることにより平滑性や光沢性の低下を防止することが出来、平均粒子径が0.01μm以上であればインクの吸収性を高くすることができる。より好ましい平均粒子径の範囲は0.02〜0.5μmである。
アニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体粒子を粉砕・分散し、微粒子化する方法としては、機械的手段で強い力を与えるブレーキング・ダウン法(塊状原料を細分化する方法)が好ましく用いられる。機械的手段としては、例えば、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダ、ナノマイザ(商品名)、ホモミキサ等が挙げられる。
粉砕されたアニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体微粒子は、単独で使用することも2種以上を併用することもできる。また、さらに他の顔料やカチオン性化合物などを添加、併用することもできる。粉砕されたアニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体微粒子に、他のカチオン性の顔料や、先に例示した、最表の塗工層に添加できるカチオン性樹脂のようなカチオン性化合物を追加しても、新たに凝集等を発生することはない。このため、「アニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体微粒子」を使用すると、目的に応じて様々なカチオン性顔料やカチオン性化合物を自在に組み合わせることが出来るだけでなく、インクの耐水性や耐候性が向上する傾向があり、一層好ましい。これは、必ずしも理由は明らかではないが、「アニオン性顔料−カチオン性化合物凝集体」では、カチオン性化合物と顔料が強く結合しているためと推定される。
本発明の下塗層には、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、浸透剤、帯電防止剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存性改良剤、防腐剤等を適宜配合することもできる。
<下塗層の形成方法>
下塗層を形成するためには、例えば、下塗層用塗工液を塗布すると同時に、または、下塗層用塗工液を塗布した塗液層の乾燥途中で、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗工液を架橋により増粘またはゲル化させて成膜することが有効である。
その手段としては、具体的には、下記(A)〜(C)に例示される方法などを適宜採用することが出来るが、必ずしもこれらの方法に限るものではない。
(A)下塗層塗工液に、接着剤を含有し、塗工の直後に、または、塗工された塗液層の乾燥途中で該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、接着剤との架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、
(B)下塗層塗工液に、電子線照射によりハイドロゲルを形成する樹脂等を含有し、塗工の直後に、または、塗工された塗液層の乾燥途中で該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗液層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、
(C)下塗層塗工液に、接着剤として感温性高分子化合物(例えば、特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工の直後に塗液層温度を変化させることによって塗液層を増粘させる方法、
上記(A)の方法で下塗層を形成する場合、より具体的には、例えば下記の方法が用いられる。
(A1)接着剤との架橋性を有する化合物を予め支持体に塗布・含浸させておき下塗層用塗液を塗布する。
(A2)下塗層用塗液にあらかじめ接着剤との架橋性を有する化合物を配合しておき塗布する。
(A3)下塗層用塗液と接着剤との架橋性を有する化合物を連続的に混合し直ちに塗布する。
(A4)下塗層用塗液を塗布後、接着剤との架橋性を有する化合物を塗布する。
これらのうち、(A2)の接着剤との架橋性を有する化合物を予め塗布しておく方法は、増粘またはゲル化を均一に起こすことができるため、特に好ましい。
また、(A)の方法で使用される、接着剤との架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤を用いることができる。
例えば、本発明の下塗層で最も好ましく用いられるポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸およびホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は速やかに増粘またはゲル化を生じるため特に好ましく使用される。
ホウ素含有化合物とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが、塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、例えば、四ホウ酸二ナトリウムとして、支持体の片面に0.01〜2.0g/m含有されることが好ましい。含有量が2.0g/m以下であれば、ポリビニルアルコールとの架橋密度が高くなりすぎて塗工層が脆くなることを防止でき、良好な塗膜強度を得ることができる。一方、含有量が0.01g/m以上であると、充分にポリビニルアルコールを架橋させることが出来、塗料のゲル化を促進して塗膜のひび割れを有効に防止することが出来る。
また上記(B)の方法で下塗層を形成する場合、電子線照射を施す方法は、下記のように実施することが出来る。
(B1)塗工して電子線照射後、乾燥する。必要によりこれを繰り返す。
(B2)塗工して電子線照射後、次の層を塗工し、乾燥する。
(B3)多層を同時に塗工して電子線照射し、その後乾燥する。
本発明で下塗層を設けるために使用する塗工液の濃度は、特に限定するものではないが、固形分濃度5〜50質量%が一般的である。固形分濃度を5質量%以上であれば、必要な塗工量を得る上で充分な乾燥効率を得ることが出来る。また、50質量%以下であれば、塗工液の粘度が高すぎて塗工を行う際に問題になることは無い。
塗工液の粘度は特に限定しないが、概ね5000mPa・s以下であれば取扱い易い。
下塗層を形成するための塗工装置としては、ロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、スライドビードコーターおよびカーテンコーター等の各種公知の塗工装置を用いることが出来る。スライドビードコーター等を用いて、複数の下塗層を同時に塗工、或いは基材に近い下層の下塗層が湿潤状態のうちに上層の下塗層を下層の下塗層上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を行うことができる。本発明においては、特に、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
下塗層の乾燥固形分塗工量は、2〜100g/mであることが好ましく、4〜30g/mであることがより好ましい。塗工量が2g/m以上であれば、高精細・高速のプリンタにおいても充分なインク吸収性を得易く、また、塗工量が100g/m以下であれば、塗膜にひび割れを生じ難い。
さらに、塗工した下塗層に、必要に応じてスーパーカレンダ、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。下塗層に平滑化処理を施すことにより、最表の塗工層を設けた後の記録体の光沢性を向上し易い。特に、下塗層の平滑度(JIS P8119)が20秒/cc以上であると、記録体の光沢性を容易に向上できるため好ましい。
<裏面処理>
本発明では、上記の最表の塗工層、下塗層等を設けていない支持体のもう一方の面側である裏面に、カール防止処理、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理などの処理を施すことも可能であり、また好ましい。これら処理は、例えば、放電処理や加湿処理等の処理であってもよく、あるいは裏面塗工層を設けるなど適宜他の構成を追加するものであってもよい。また、これら処理を複数組み合わせて行なってもよい。
上記の裏面処理は、透気性支持体上に、下塗層を塗工する前、下塗層、最表の塗工層が順次積層される各工程の何れかと同時、何れかの工程の間、若しくは最表の塗工層を設けた後に行う方法を適宜選択し、必要により複数を組み合わせて用いることができる。裏面処理の方法は、使用する塗工装置の都合等により適宜選択して用いられる。
上述のように、本発明のインクジェット記録体の最表の塗工層面と、裏面との間の静摩擦係数および動摩擦係数は、いずれも0.8以下であることが好ましい。
特にJ型給紙方式のプリンタにおいて記録紙の搬送性を良好なものとするためには、裏面に滑り性を付与することが有効である。
しかしながら、滑り性付与の方法として、滑剤や球状粒子を含有させる方法を用いた場合、C型給紙方式で記録体の裏面側をゴムロール等の給紙装置で送り出す際、裏面側に塗布した滑剤や球状粒子等がゴムロール等の給紙装置に蓄積して滑りを生じさせる虞があり、却って搬送不良を発生し易いという懸念がある。そのため、下記のような、裏面塗工層を設ける方法、或いは、ラミネート加工により樹脂層を設ける方法が好ましく用いられる。
本発明の裏面塗工層としては、透気性支持体の表面への接着性が高くピックアップのゴムロール表面へ転移してその性能を低下させ難く、且つ支持体表面を適度に平滑化させて安定した給紙ができるため、水分散性樹脂を主成分とする裏面塗工層が好ましい。このような裏面塗工層には、主成分として、例えば、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂やメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂等の水分散性樹脂が好ましく用いられる。好ましい水分散性樹脂としてはアクリル系樹脂またはポリウレタン樹脂であり、伸度が低く硬質なタイプのポリウレタン樹脂は特に好ましい。
該裏面塗工層には、さらに、ポリビニルアルコール類、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、たんぱく質類、澱粉、セルロース誘導体、多糖類等の親水性樹脂類を添加することも出来る。斯様な親水性樹脂類の添加量は水分散性樹脂100質量部に対して1〜30質量部が好ましく、より好ましくは5〜20質量部である。親水性樹脂類の添加量を1質量部以上とすることで、低湿環境下においても水分を保持することが出来るためC型給紙方式で記録体を給紙する際にゴムロール等の給紙装置の滑りを防止することが出来、30質量部以下であれば、高湿環境下でもベタつきによるブロッキングを起こすことを防止できる。
また該裏面塗工層には、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン、ゼオライト等の無機顔料やプラスチックピグメント等の有機顔料を含有させることも出来る。斯様な顔料類の添加はキャスト仕上げの際の透気性付与等の目的のために有効である一方、滑り性の低下を招く虞もある、このため、裏面塗工層への顔料類の添加量は、水分散性樹脂100質量部に対して30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。
裏面塗工層の塗工量は0.2〜5g/mが好ましく、0.5〜3g/mがより好ましい。0.2g/m以上とすることで滑り性付与の効果を得られ易くなる。また5g/m以下とすることでゴムロール等の給紙装置に蓄積し難くできる。
これら裏面塗工層を設ける方法としては公知公用の塗工装置が使用できる。
ラミネート加工により樹脂層を設ける方法としては、ホットラミネート法、コールドラミネート法などがいずれも可能である。加工のコストや簡易性、および写真印画紙調の風合いを得易い点から、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主成分とするラミネート材料を溶融押出しして形成するホットラミネート法が好ましい。
上記ラミネート加工に用いるポリオレフィン樹脂としては、曲げ弾性率(ASTM D747)が3500〜15000kg/cmであるものが特に好ましく用いられる。曲げ弾性率を3500kg/cm以上とすることで記録体のカールを調整し易くなり、15000kg/cm以下とすることで支持体とポリオレフィン樹脂層との密着性を高め易くなる。
また、ホットラミネートにより形成されたラミネート層を冷却する際、疎面のクーリングロールで冷却固化し、ラミネート層表面を粗面仕上げすることは、C型給紙方式で記録体の裏面側をゴムロール等の給紙装置で送り出す際に滑り難くすることができ、また記録体のブロッキングを起こし難くする効果もあるため、搬送性を高めることができる。
さらに、裏面にインクジェット記録体や他の記録体を貼り合わせて両面記録体としたり、裏面に粘着剤層を形成してラベルとしたり、磁気カードやICカードの表面に貼り合わせてカードとするなど、公知の手段を施すことができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
また、以下に示す実施例および比較例中の「質量部」および「質量%」は、特に断らない限り、それぞれ水を除く固形分の「質量部」および「質量%」を示す。
<支持体の作製>
[透気性支持体(紙支持体)A]
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100質量部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、市販サイズ剤0.12質量部、硫酸バンド0.45質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量160g/mの紙支持体を得た後、150kg/cmの線圧でスーパーカレンダ処理を施した。
得られた透気性支持体(紙支持体)Aの厚さは180μm、サイズ度は220秒、平滑度は110秒、透気度は60秒であった。
[非透気性支持体(樹脂被覆紙支持体)B]
透気性支持体(紙支持体)Aの両面にコロナ放電処理を施した後、紙支持体のワイヤー面側に塗工量が27g/mとなるようにバンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、また、紙支持体のフェルト面側に塗工量が30g/mとなるようにポリオレフィン樹脂組成物2を、それぞれT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、紙支持体のワイヤー面側を鏡面のクーリングロールで、また、紙支持体のフェルト面側を粗面のクーリングロールで、それぞれ冷却固化した。
得られた非透気性支持体(樹脂被覆紙支持体)Bの平滑度は6000秒、不透明度(JIS P 8138)は93%であった。
[ポリオレフィン樹脂組成物1]
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.90g/cm、メルトインデックス20g/10分、曲げ弾性率6700kg/cm)35質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm、メルトインデックス2g/10分、曲げ弾性率2800kg/cm)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(商品名:Irganox1010、チバガイギー社製)0.03質量部、群青(商品名:青口群青No.2000、第一化成社製)0.09質量部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバガイギー社製)0.3質量部。
[ポリオレフィン樹脂組成物2]
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.95g/cm、メルトインデックス20g/10分、曲げ弾性率800kg/cm)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm、メルトインデックス2g/10分、曲げ弾性率2800kg/cm)35質量部。
<下塗層塗工液の作製>
[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子]
気相法シリカ(商品名:エアロジルA300、日本アエロジル(株)社製、平均1次粒子径 約8nm)を用い、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が50nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカの水分散液を調製した。
該10質量%水分散液100質量部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ(株)社製、分子量30万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が100nmのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の14質量%水分散液を調製した。
[下塗層塗工液A]
前記シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子110質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ社製、重合度4500、鹸化度99%)11質量部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ボンコートSFC−571、大日本インキ工業(株)社製)3質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度12%の下塗層塗工液Aを調製した。
[下塗層塗工液B]
アルミナ(商品名:酸化アルミニウムC、日本アエロジル(株)社製、平均1次粒子径 約13nm)を、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が200nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のアルミナの水分散液を調製した。
該アルミナ水分散液100質量部、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ社製、分子量30万)10質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ社製、重合度4500、鹸化度99%)11質量部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ボンコートSFC−571、大日本インキ工業(株)社製)3質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度12%の下塗層塗工液Bを調製した。
[下塗層塗工液C]
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−60、(株)トクヤマ社製、平均二次粒子径6.5μm)100部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ポリゾールAM3150、昭和高分子(株)社製)30部、水溶液としたシリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R1130、クラレ(株)社製)5質量部、蛍光染料(商品名:WhitexBPScc、住友化学(株)社製)2部をホモミキサにより混合し、固形分濃度20%とした下塗層塗工液Cを調製した。
[下塗層塗工液D]
重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン2200、備北粉化工業(株)社製、平均粒子径1μm)100部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ポリゾールAM3150、昭和高分子(株)社製)30部、硼砂5質量部、蛍光染料(商品名:WhitexBPScc、住友化学(株)社製)2部をホモミキサにより混合し、固形分濃度30%とした下塗層塗工液Dを調製した。
<最表の塗工層塗工液の作製>
[最表の塗工層塗工液A]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子)100質量部、水溶液としたポリエチレンオキサイド(商品名:アルコックスE60、明成化学(株)社製、R=1、重量平均分子量=約100万)4質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂(商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm)4質量部、カチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ(株)社製、分子量30万)10質量部、離型剤として高級脂肪酸アミドのポリエチレンオキサイド付加物(商品名:ライトピールOK−1、共栄社化学(株)社製)2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度6%の最表の塗工層塗工液Aを調製した。
[最表の塗工層塗工液B]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリエチレンオキサイド水溶液(商品名:セラゾール200A、明成化学(株)社製、R=1、重量平均分子量=約13万)15質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Bを調製した。
[最表の塗工層塗工液C]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドをエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(商品名:アルコックスEP20、明成化学(株)社製、R=0.8、重量平均分子量=約80万)6質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Cを調製した。
[最表の塗工層塗工液D]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリエチレンオキサイド(商品名:アルコックスE100、明成化学(株)社製、R=1、重量平均分子量=約250万)1質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Dを調製した。
[最表の塗工層塗工液E]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリエチレンオキサイド(商品名:アルコックスE160、明成化学(株)社製、R=1、重量平均分子量=約400万)1質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Eを調製した。
[最表の塗工層塗工液F]
最表の塗工層塗工液Aのコロイド状粒子をコロイド状アルミナ(商品名:カタロイドAS−3、触媒化成工業(株)社製、粒子サイズ(約)100nm×10nm×10nm、針状粒子)100質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Fを調製した。
[最表の塗工層塗工液G]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリエチレングリコール(商品名:ポリエチレングリコール20000、和光純薬工業(株)社製、R=1、重量平均分子量=約2万)20質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Gを調製した。
[最表の塗工層塗工液H]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリプロピレングリコール(商品名:ポリプロピレングリコール700、和光純薬工業(株)社製、R=0、重量平均分子量=約700)20質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして最表の塗工層塗工液Hを調製した。
[最表の塗工層塗工液I]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを使用しなかった以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Iを調製した。
[最表の塗工層塗工液J]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョン(商品名:PTFE 31−JR、三井・デュポンフロロケミカル(株)社製)6部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Jを調製した。
[最表の塗工層塗工液K]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、ポリエチレンワックスエマルジョン(商品名:ハイテックE−2000、東邦化学工業(株)社製)4.7部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Kを調製した。
[最表の塗工層塗工液L]
最表の塗工層塗工液Aのポリエチレンオキサイドを、球状アルミナナノ粒子(商品名:NANOBYK−3600、ビックケミー・ジャパン(株)社製、)0.6部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Lを調製した。
[最表の塗工層塗工液M]
水溶液としたポリエチレンオキサイド(商品名:アルコックスE30、明成化学(株)社製、R=1、重量平均分子量=約40万)100質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度3%の最表の塗工層塗工液Mを調製した。
[最表の塗工層塗工液N]
最表の塗工層塗工液Aのコロイド状粒子を、合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールG80、(株)トクヤマ社製、平均二次粒子径1.4μm)100質量部とした以外は最表の塗工層塗工液Aと同様にして、最表の塗工層塗工液Nを調製した。
[最表の塗工層塗工液O]
コロイド状粒子として前記シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子110質量部、水溶液としたポリエチレンオキサイド(商品名:アルコックスE100、明成化学(株)社製、R=1、重量平均分子量=約250万)1質量部、親水性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA235、クラレ(株)社製、重合度3500、鹸化度88%)15質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂(商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm)4質量部、離型剤として高級脂肪酸アミドのポリエチレンオキサイド付加物(商品名:ライトピールOK−1、共栄社化学(株)社製)2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度12%の最表の塗工層塗工液Oを調製した。
<架橋剤塗工液の作製>
[架橋剤塗工液]
硼砂100質量部、粘度調整剤として水溶液としたセルロース誘導体(商品名:ポイズC−150L、花王(株)社製)10質量部、界面活性剤1質量部をホモミキサにて混合し、固形分濃度8%の架橋剤塗工液を調整した。なお、各材料を混合する温度は50℃とした。
<インクジェット記録体の作製>
(実施例1)
作製した透気性支持体(紙支持体)Aのワイヤー面側に、バーコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/mとなる量の前記架橋剤塗工液を、次いでダイコーターを用いて乾燥塗工量が14g/mとなる量の下塗層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥して下塗層を形成した。
次に、該下塗層上に、最表の塗工層塗工液Aを塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例2)
作製した透気性支持体(紙支持体)Aのワイヤー面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が7g/mとなる量の下塗層塗工液Cを、次いで乾燥塗工量が1g/mとなる量の前記架橋剤塗工液を、次いで乾燥塗工量が7g/mとなる量の下塗層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥して下塗層を形成した。
次に、該下塗層上に、最表の塗工層塗工液Aを塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例3)
作製した透気性支持体(紙支持体)Aのワイヤー面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が15g/mとなる量の下塗層塗工液Dを、次いで乾燥塗工量が7g/mとなる量の下塗層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥して下塗層を形成した。
次に、該下塗層上に、最表の塗工層塗工液Aを塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例4)
作製した透気性支持体(紙支持体)Aのワイヤー面側に、ブレードコーターを用いて乾燥塗工量が30g/mとなる量の下塗層塗工液Dを塗布した後、乾燥して下塗層を形成した。次いでスライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が14g/mとなる量の下塗層塗工液Aを、次いで、乾燥塗工量が2g/mとなる量の最表の塗工層塗工液AをWet on Wet法で塗布した後、乾燥してインクジェット記録体を作製した。
(実施例5)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Bを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例6)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Cを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例7)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Dを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例8)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Eを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例9)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Fを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(実施例10)
<裏面処理液の作製>
[裏面塗工層塗工液]
ポリウレタン樹脂系水分散性樹脂(商品名:ハイドランAP−40F、大日本インキ工業(株)社製、伸度30%)100質量部。高分子化合物として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、(株)クラレ社製、重合度1700、鹸化度99%)10質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度20%の裏面処理塗工液を調製した。
実施例1と同様にして作成したインクジェット記録体の透気性支持体(紙支持体)Aのフェルト面側に、該裏面塗工層塗工液を、ロールコーターを用いて乾燥塗工量が2g/mとなるように塗布した後乾燥し、裏面処理(裏面塗工層の形成)を行なった。裏面処理後の透気度は70秒であった。
次いで裏面処理を行なった反対側の面である透気性支持体(紙支持体)Aのワイヤー面側に、実施例1と同様にして塗工層を設け、インクジェット記録体を作製した。
(実施例11)
[ポリオレフィン樹脂組成物3]
低密度ポリエチレン樹脂(密度0.91g/cm、メルトインデックス15g/10分、曲げ弾性率12500kg/cm)100質量部。
実施例1と同様にして作成したインクジェット記録体の透気性支持体(紙支持体)Aの塗工層と反対側の面である裏面側に、上記、ポリオレフィン樹脂組成物3を、塗工量が20g/mとなるようにT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、該ポリオレフィン樹脂組成物層を粗面のクーリングロールで冷却固化し、裏面処理(ラミネート加工)を行なった。
(比較例1)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Gを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例2)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Hを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例3)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Iを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例4)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液をJを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例5)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Kを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例6)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Lを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例7)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙支持体)Bのもとの紙支持体のワイヤー面側であった面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が2g/mとなる量の前記架橋剤塗工液を、次いで乾燥塗工量が20g/mとなる量の下塗層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥して下塗層を形成した。
次に、該下塗層上に、燥塗工量が1g/mとなる量の最表の塗工層塗工液Mを塗布した後、約7℃に一度冷却した後に65度の温風により乾燥して、インクジェット記録体を作製した。
(比較例8)
最表の塗工層塗工液Aに代えて、最表の塗工層塗工液Nを用いた以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。なお、最表の塗工層の乾燥塗工量は2g/mであった。
(比較例9)
作製した透気性支持体(紙支持体)Aのワイヤー面側に、バーコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/mとなる量の前記架橋剤塗工液を、次いでダイコーターを用いて乾燥塗工量が16g/mとなる量の最表の塗工層塗工液Oを、Wet on Wet法で塗布した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。
<評価方法>
得られたインクジェット記録体を表1に示す。これらの光沢性、インク吸収性、記録濃度、摩擦係数、搬送性(C型給紙およびJ型給紙)、C型給紙の際の搬送傷と塗工層割れについて、下記に示す方法で評価し、その結果を表2に示した。
「光沢性」
光沢性の評価は、白紙の記録体表面(記録面側)に対し斜め上方向より、光沢感、平滑感を目視にて観察し、下記基準により評価した。
◎:銀塩写真並又はそれ以上の光沢性があり非常に優れたレベル。
○:銀塩写真に近い光沢性があり、優れたレベル。
△:光沢性は有るが、銀塩写真からは明らかに劣るレベル。
×:光沢性が劣り、写真印刷用途として実用上問題があるレベル。
「インク吸収性」
市販のインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)を用いて評価した。
インクジェット記録体にブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの各色ベタを、互いに境界を接するようにマス目状に配置した印字を行ない、各色間の境界部でのインクのにじみを目視にて評価した。
また、インクジェット記録体にグリーン色をベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察した。(印字斑は、先に打ち込まれたインクが、インクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに、次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に現れるものである。)
以上の結果より、下記基準により評価した。
◎:インクのにじみ、および印字斑は全く見られず、優れたレベル。
○:インクのにじみ、又は印字斑の一方は僅かに見られるが、もう一方は見られず、実用上問題ないレベル。
△:インクのにじみ、および印字斑ともに見られ、実用上問題があるレベル。
×:インクのにじみ、および印字斑ともに悪く、実用に耐えないレベル。
「記録濃度」
市販のインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)を用いて評価した。
インクジェット記録体に黒色ベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Gretag Macbeth RD−19、マクベス社製)で測定した。
記録濃度が低い程、画像の鮮明性や鮮やかさが低下するため画質が低下するが、上記印字条件では、記録濃度が2.1を下回ると、画質の低下が目立つようになり、実用上問題があるレベルと言える。
「摩擦係数」
JIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に基づいて、インクジェット記録体の記録面側と裏面側の、静摩擦係数、および動摩擦係数を測定した。
「J型給紙の搬送性」
インクジェット記録体およびプリンタを、下記所定の環境下にて24時間調湿した後、同環境下で、市販のインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)にて、上部の給紙口に記録面を上向きにセットして印刷する給紙方法(J型給紙)により印字して、記録体が重なって給紙される「重送」、記録体が送り出されない「不送り」、記録体が搬送途中で止まる「紙詰まり」、想定されたシート送り量に対して少ない量しか送り出されないために印刷位置がずれる「印字位置ずれ」のいずれかの搬送不良が発生した回数を記録した。
試験環境は、使用したプリンタの使用説明書に記載の動作環境を参考に、(1)温度5℃、湿度10%RHの環境下、および、(2)温度35℃、湿度85%RHの環境下、の2水準とし、各環境下でそれぞれ記録体10枚を1セットとしてプリンタにセットし連続して印刷試験することを10セット分連続して行ないそれぞれ合計100枚、両試験環境合わせて合計200枚を試験した。途中搬送不良が起った場合はその記録体を取り除き、次の記録体から試験を再開した。
両環境合わせて200枚中の搬送不良の回数の合計を表1に記載した。回数が1回以上のものは実用上問題があるとみなした。
「C型給紙の搬送性」
インクジェット記録体およびプリンタを、下記所定の環境下にて24時間調湿した後、同環境下で、市販のインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)にて、下部の給紙トレイに記録面を下向きにセットし、プリンタ内部で記録体を反転させて記録面を上向きにしてから印刷する給紙方法(C型給紙)により印字して、「重送」、「不送り」、「紙詰まり」、「印字位置ずれ」のいずれかの搬送不良が発生した回数を記録した。
試験環境および試験枚数は先に記載のJ型給紙の搬送性試験と同様とし、両環境合わせて200枚中の搬送不良の回数の合計を表1に記載した。回数が1回以上のものは実用上問題があるとみなした。
「C型給紙の搬送傷」
インクジェット記録体を市販のインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)下部の給紙トレイに記録面を下向きにセットし、プリンタ内部で記録体を反転させて記録面を上向きにしてから印刷する給紙方法(C型給紙)により、記録体全面に黒色ベタ印字を行った後、印字部表面の傷を目視で観察し、下記基準により評価した。
◎:傷は全く見られず、優れたレベル。
○:傷は僅かにごく薄く見られるが、実用上問題ないレベル。
△:傷がはっきりと見られ、実用上問題があるレベル。
×:傷が非常に多く、かつはっきり見られ、実用に耐えないレベル。
「C型給紙の塗工層割れ」
インクジェット記録体を、温度5℃、湿度10%RHの環境下にて24時間調湿した後、同環境下で、市販のインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)にて、下部の給紙トレイに記録面を下向きにセットしプリンタ内部で記録体を反転させて記録面を上向きにしてから印刷する給紙方法(C型給紙)により、記録体全面に黒色ベタ印字を行った後、印字部表面のひびわれを目視、および倍率5倍のルーペにて観察し、下記基準により評価した。
◎:目視でもルーペでもひび割れは見られず、優れたレベル。
○:ルーペにて小さなひび割れが見られるが、目視ではひび割れはほぼ見られず実用上問題ないレベル。
△:目視でひび割れがはっきり見られ、実用上問題があるレベル。
×:目視で大きなひび割れが多く見られ、実用に耐えないレベル。
表2の結果から明らかなように、本実施例の光沢インクジェット記録体は、高い光沢性と画質、および良好なインク吸収性を両立し、かつJ型給紙のみならずC型給紙を採用するプリンタでも優れた搬送性を達成するものである。
これに対し、比較例は、いずれかの評価項目で少なくとも実用上問題となるレベルと評価されることが分かった。





















Figure 2010253824

















Figure 2010253824

Claims (8)

  1. 透気性支持体上の少なくとも1面に、下塗層と最表の塗工層を含む2層以上の塗工層を有するインクジェット記録体において、最表の塗工層に、コロイド状粒子並びに、ポリエチレンオキサイド及びエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体より選ばれる1種以上の高分子化合物を含有し、該高分子化合物の重量平均分子量が10万以上であることを特徴とするインクジェット記録体。
  2. 最表の塗工層が、前記コロイド状粒子100質量部に対し、前記高分子化合物を0.2〜20質量部の比率で含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録体。
  3. 前記高分子化合物の重量平均分子量が30万以上、300万以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のインクジェット記録体。
  4. 前記高分子化合物のエチレンオキサイドのモル数をn、プロピレンオキサイドのモル数をmとしたとき、高分子化合物中のポリエチレンオキサイドの比率R=n/(n+m)が0.8≦Rであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
  5. インクジェット記録体の記録面側の最表の塗工層と、反対側の面との間の静摩擦係数および動摩擦係数(JIS P 8147:1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」(水平方法)に基づく)が、いずれも0.8以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
  6. 最表の塗工層が、湿潤状態で加熱された鏡面仕上げの金属面に圧接・乾燥して形成された層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
  7. 前記透気性支持体が、紙支持体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
  8. 前記コロイド状粒子が、平均一次粒子径10nm〜100nmの球状コロイダルシリカである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット記録体。
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JP2014144578A (ja) * 2013-01-29 2014-08-14 Fujifilm Corp インクジェット用記録シート、印刷物、および印刷物の製造方法
JP2015036240A (ja) * 2013-08-16 2015-02-23 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP2015039827A (ja) * 2013-08-21 2015-03-02 花王株式会社 インクジェット記録媒体

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