JP4893313B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
一般的に、高画質を得るために、透明性の高いサブミクロンレベルの顔料を用いられる。顔料が小さくなると、塗膜の細孔数が増え、細孔径が小さくなり、毛細管による伸縮力が大きくなる。塗膜の吸湿〜放湿、特に印字後、インク中の溶媒成分が蒸発した後の製品カールが大きな問題であった。透明性の高い顔料を含有し、伸縮が大きい第2塗工層の塗布量は少ない方がいいが、高画質を出せない問題があった。本発明は鋭意検討を重ねた結果、第2塗工層の塗布量を第1塗工層のより少なくし、基材坪量とのバランスをとることによって、高画質を維持したまま、カールの問題が解決され、かつ、低湿下の折り割れも大幅に改善することが分かった。
本発明は、坪量105〜250g/m2の紙基材上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録用紙において、紙基材と接する第1塗工層は、炭酸カルシウム、カオリン(含むクレー)から選ばれる少なくとも1種を含有し、第1塗工層と接する第2塗工層は、平均粒子径0.01〜1μmの、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる微細2次顔料と水溶性樹脂バインダを含有し、かつ第2塗工層の塗布量は第1塗工層の塗布量より少なく、紙基材坪量の0.01〜0.06倍であることが特徴とするインクジェット記録用紙である。
本発明の好ましい構成態様によれば、第2塗工層は平均粒子径6〜100nmのカチオン性ラテックスを少なくとも1種を含有する。
本発明の好ましい構成態様によれば、第2塗工層はホウ素系化合物を少なくとも1種を含有する。
本発明の好ましい構成態様によれば、第2塗工層上にさらに第3塗工層を有し、第3塗工層の塗布量は第2塗工層の0.01〜0.5倍であり、かつコロイド状粒子を含有する。
本発明の好ましい構成態様によれば、第3塗工層は湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧着して鏡面仕上げされる。
紙基材としては、例えば、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等が挙げられる。これらの紙基材は木材パルプを主材料として製造されたものが好ましい。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を適宜使用することができる。これらのパルプおける紙力や平滑性、抄紙適性等の調整は、叩解機による叩解度を調整することにより可能であり、この叩解度(CSFテスター値:JIS−P−8121)は、特に限定されないが、一般に250〜550ml程度が好ましい。
本実施のインクジェット記録用紙では、上記紙基材上に第1塗工層が設けられる。第1塗工層は、顔料およびこの顔料を保持するバインダを含有し、後述する第2塗工層において染料および顔料インクの色素が定着ないしは捕捉された後のインク溶媒を吸収することを主な作用とするものである。但し、第2塗工層で定着仕切れない染料を捕捉することも可能である。そして、この第1塗工層は紙基材の凹凸を覆い、インクジェット記録用紙の表面平滑性を上げる、隠蔽性を高める、白色度を向上させるバリア層としても可能である。また、基材側から第2塗工層へ進入するオゾンやNOx等インク染料および顔料を劣化させるガスを減ずる等の作用を有している。
このような第1塗工層を紙基材上に設けることにより、本実施の形態により作製されるインクジェット記録用紙は、良好なインク吸収性を有し、印字濃度、印字にじみ、ベタ均一性などに優れたものとなる。
上記炭酸カルシウム、カオリン(含クレー)は特に限定しないが、溶媒吸収性から、炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウム、カオリンは焼成カオリンを用いることが好ましい。カオリンとクレーは、一般的にAl2O3・nSiO2・mH2Oの構造式を有する。強度とインク吸収性のバランスから本発明の炭酸カルシウム、カオリン(含クレー)の平均粒子径は0.1〜2μmのものが好ましく用いられる。平均粒子径が0.1μm未満であると、インク吸収性が低下するおそれがあり、2μmを超えると、第1塗工層の強度が低下するおそれがあり好ましくない。
これらの顔料としては、例えば、非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられる。印字後の色を速く安定させる(ドライダウン)ためには非晶質シリカが好ましい。非晶質シリカの中でもゲル法シリカ、コロイダルシリカがより好ましい。これらから選ばれて併用する顔料は、全顔料に対して15%以下の割合に含有された方が塗膜強度の面で好ましい。また、単独であっても、または2種以上であってもよい。
バインダは、ラテックス系接着剤、水溶性樹脂系接着剤を単独、併用とも可能である。塗膜強度、塗料物性からラテックス系接着剤を主成分にした方が特に良好である。
ラテックス系接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等が挙げられる。この中で、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル系重合体ラテックスが好ましく用いられる。これらのラテックス系接着剤は、単独で用いても、または2種以上の併用であっても良い。
これらから選ばれて併用される接着剤は、単独であっても、または2種以上であってもよい。また、塗工液粘度調整剤として、水溶性接着剤を使用することも可能である。
第1塗工層は、上述の成分からなる第1塗工層用塗工液を上記紙基材上に塗工し、乾燥することにより作製される。第1塗工層用塗工液の固形分濃度は、10〜60質量%であることが好ましい。
本実施の形態のインクジェット記録用紙は、上記第1塗工層上に、インク画像を定着させる第2塗工層が設けられている。
第2塗工層は、顔料と、これを保持するバインダとしての水溶性樹脂系接着剤とを含有するものである。インク中の染料や顔料をよりよく定着させるためにはインク定着剤を含有することが好ましい。
第2塗工層の顔料としては、平均粒子径が0.01〜1μmの微細2次顔料が用いられ、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる。これらの顔料のなかでは、シリカが特に好ましく、乾式シリカがより好ましい。
さらに、このシリカは、シリカとカチオン性化合物とを混合して得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子が好ましく、これを粉砕分散して、平均粒子径0.01〜1μmのこの凝集体微粒子として用いられる。この凝集体微粒子は、平均粒子径は0.03〜0.3μmの範囲が最も好ましい。
この粒子径が0.01μm未満では、インク吸収性が低下するおそれがあり、1μmを超えると、塗膜の透明性が劣り、印字濃度が著しく低下するおそれがあり好ましくない。
第2塗工層に用いられる水溶性樹脂バインダとしては、ポリビニルアルコールが好ましい。このポリビニルアルコールは、重合度2000〜6000の範囲が好ましく、3000〜5000の範囲が最も好ましい。重合度が2000未満では、接着力が弱く、塗膜がひび割れするおそれがあり、6000を超えると、第2塗工層用塗工液の作製においてハンドリング性が劣るおそれがあり好ましくない。
これらのバインダとしては、水溶性樹脂系で例えば、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、澱粉などが挙げられる。ラテックス系では、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系等が挙げられる。
これら併用するバインダは、単独であっても、また2種以上であってもよい。アクリル系、ウレタン系ラテックスはバインダとしての接着強度及び光沢アップの効果があり、好ましく配合される。染料の定着性から、ラテックス系バインダはカチオン系が好ましく選択される。
インク定着剤は一般的にカチオン性化合物であり、このカチオン性化合物は、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、特に印字画像に耐水性を付与する効果がある。
カチオン性化合物としては、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物(例えばカチオン性界面活性剤等)が例示される。印字濃度向上の点ではカチオン性樹脂が好ましく、これらの樹脂においては、水溶性樹脂の水溶液、あるいは非水溶性樹脂のエマルジョンとして使用される。
これらの定着剤は、単独で用いられるか、あるいは2種以上併用して用いられる。塗料の分散安定性からカチオン樹脂の分子量は1千〜2万の範囲が好ましい。
このようなシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を用いることにより、塗膜の透明性、インク吸収性、印字耐水性のバランスを取りやすい特徴がある。
第2塗工層の成膜性を向上してひび割れを防止する目的で、ポリビニルアルコールとの架橋性を有する架橋剤を添加し、塗膜をゲル化して架橋することは好ましい。この架橋剤の含有量は、ポリビニルアルコール100質量部に対して0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜1質量部である。この含有量が、0.001質量部未満であると、架橋が十分成されないおそれがあり、10質量部を超えると塗膜が硬くなりすぎて、塗工層が折れ割れし、紙粉が出易くなるおそれがあり好ましくない。
この架橋剤は、例えば、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、アルミ明ばん、硼酸および硼砂などのホウ素含有化合物が挙げられる。
本実施の形態では、特に、硬膜効果が優れるホウ素含有化合物を用いることが好ましく、その中でも特に硼酸、硼砂が好ましい。
第2塗工層には、上述の成分以外に、一般の記録用紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、着色剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
本発明は、環境カール、印字後カールを防ぎ、低湿下の塗膜折割れを良くするためには、塗布量が少ない方がよい。単に第2塗工層の塗布量を減らすと、画質・インク吸収性が悪化する問題が生じる。発明者らが鋭意検討を重ねた結果、第2塗工層の塗布量は第1塗工層より少なく、かつ坪量105〜250g/m2紙基材の0.01〜0.06倍の範囲にすると、画質、インク吸収性、カール(環境カール、印字後カール)のバランスが取れることが分かった。また、低湿下の塗膜折り割れも著しく向上する。この塗布量が紙基材の0.02〜0.05倍の範囲が好ましく、0.03〜0.04倍の範囲が最も好ましい。
第2塗工層の塗布量が紙基材0.01倍未満であると、画質とインク吸収性が著しく低下する問題が生じる。一方、0.06倍を超えると、環境カール、印字後カールが生じやすく、また低湿下の折り割れが劣り、実用上に問題となる。
第2塗工層用塗工液の固形分濃度は、5〜27質量%であることが好ましく、8〜20質量%であることがより好ましい。固形分濃度が5質量%未満であると、第2塗工層の乾燥効率が低下するおそれがあり、27質量%を超えると、塗工液粘度が高く、塗工が困難になるおそれがあり好ましくない。
なお、光沢性を高めるために、第2塗工層を後で述べるキャスト加工することができる。この場合、第2塗工層が表面光沢層となる。
本実施の形態において、更なる光沢性を高めるためには、第2塗工層上に第3塗工層として光沢を発現する表面光沢層が形成されることが好ましい。この第3塗工層は、小粒径の顔料と、そのバインダである接着剤を主成分としており、これらを含んで作製された塗工液を、第2塗工層の表面に塗工して形成される。
この表面光沢層は、種々の光沢化処理によってさらに光沢を上げることが可能である。例えば、スーパーカレンダによっても高光沢化が可能であるが、後述するキャスト加工が最も好ましい。
上記光沢化処理により高い光沢と優れたインクジェット記録適性とを付与するためには、鏡面ドラムを利用するキャスト方式やフィルム転写方式(以下、これを合わせて「キャスト加工」という)で行うことが好ましい。
(イ)上記の表面光沢層用塗工液を塗工層上に塗工して表面光沢層を形成した後、この表面光沢層の塗工液が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して表面光沢層を光沢面に仕上げる方法(ウェットキャスト法)、
(ロ)塗工した表面光沢層用塗工液を一旦乾燥して表面光沢層を形成した後、この表面光沢層を湿潤液により再湿潤させて加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して光沢面に仕上げる方法(リウェットキャスト法)
(ハ)塗工層上の表面光沢層をゲル化してゲル状表面光沢層とし、この表面光沢層を加熱された鏡面ドラムに圧接し、乾燥して光沢面に仕上げる方法(ゲル化キャスト法)、
(二)加熱された鏡面ドラムに直接表面光沢層用塗工液を塗工した後、塗工層上に圧接、乾燥して、表面光沢層を基材若しくは基材の塗工層上に移動して光沢面に仕上げる方法(プレキャスト法)
が挙げられる。
これらのキャスト加工においては、加熱された鏡面ドラムの温度は例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
フィルム転写方式としては、
(イ)上記の表面光沢層用塗工液を塗工層上に塗工して表面光沢層を形成した後、該塗工液が湿潤状態にある間に平滑なフィルムやシートを重ね、乾燥した後平滑なフィルムやシートを剥離して表面光沢層を光沢面に仕上げる方法、
(ロ)平滑なフィルムやシートからなる平滑材上に表面光沢層要塗工液を塗工して、貼り合せようとする塗工層上またはある程度湿潤状態にある塗工層上に、この平滑材を圧接し、乾燥した後、平滑なフィルムやシートを剥離して表面光沢層を基材上または基材の塗工層上に移動して光沢面に仕上げる方法、
がある。
フィルム転写法に比べ、加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト法のほうが、表面平滑性に優れる傾向があり、かつ、生産性やコストの点で有利である場合が多い。
離型剤は、表面光沢層用塗工液に添加する方法、キャストドラム表面に塗工する方法、湿潤液に添加する方法のいずれかの方法で用いられることが好ましい。
上記離型剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物等が挙げられる。なかでも、カチオン性の離型剤が特に好ましく用いられる。
上記小粒径の顔料は、平均粒子径が3〜500nmのものが用いられ、表面光沢層の塗工液中では、コロイド状粒子となって分散している。コロイド状粒子の形態は、単体粒子分散体であっても凝集粒子分散体であっても良いが、高印字濃度、高光沢を得るために、主に単体粒子分散体、もしくは凝集粒子分散体の中でも、粒子径の小さいものが好ましく用いられる。アニオン性よりもカチオン性が好ましく用いられる。
この顔料としては、例えば、主として一次粒子からなるコロイダルシリカ、気相法シリカ、メソポーラスシリカ、活性ケイ酸を縮合させて製造された湿式法シリカ等の二次粒子からなる微細シリカ、アルミナ、およびアルミナ水和物が挙げられる。そして、上記顔料中でも気相法シリカ、コロイダルシリカ、およびアルミナが、優れた光沢が得られるので好ましく用いられ、とりわけコロイダルシリカが一般的に用いられる。上記平均粒子径は、使用する顔料の種類によって、より好ましい所定範囲がある。
表面光沢層が、高印字濃度、高光沢を得るためには、粒子径の小さい所定範囲のものが用いられ、特に10〜100nmであることが好ましい。
この機械的手段としては、超音波ホモジナイザ、圧力式ホモジナイザ、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダ、ナノマイザ等が挙げられる。
表面光沢層に使用されるバインダとしては、上記第2塗工層に用いた上述のバインダと同様のものが使用される。
なお、表面光沢層用塗工液にインク定着剤を配合する場合は、接着剤はカチオン変成のものが特に好ましい。
また、上記キャスト加工においては、光沢と吸収性のバランスから、第3塗工層の塗工量は第2塗工層の0.01〜0.5倍、好ましくは0.05〜0.2倍の範囲である。0.01倍未満では光沢アップの効果が得られなくなることがあり、0.5倍を超えると吸収性が低下するおそれがある。
本実施の形態では、インクジェット記録用紙の第2塗工層上に上記表面光沢層用塗工液を塗工して表面光沢層形成し、この表面光沢層が湿潤状態にある間に、プレスロールと鏡面ドラムとの間を通して加圧・乾燥するニップキャストを行って表面光沢層を乾燥し、この記録用紙を鏡面ドラムから剥離させて第3塗工層としての表面光沢層を形成することにより、インクジェット記録用紙の表面は、光沢化されて優れた光沢感を発揮する。
[第1塗工層塗料]
平均粒子径0.5μmの軽質炭酸カルシウム(白石化学社製、商品名:ブリリアント)70部、平均粒子径3μmのゲル法シリカ(グレース社製、商品名:HD3)30部、スチレンブタジエンラテックス(JSR社製、商品名:OJ−1000)15部、デンプン水溶液(王子コンスターチ社製、商品名:エースA)5部を混合分散し、35%の第1塗工層塗料を調整した。
顔料としてシリカ微粒子A100部、バインダとしてPVA(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)13部を添加し、15%の第2塗工層塗料を調整した。
780gの水にジアリルジメチルアンモニウムクロライド所謂DADMAC構造を有するカチオン性化合物(第一工業社製、商品名:シャロール902P)20gを添加し、該カチオン水溶液を攪拌しながら、200gの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA200、平均1次粒子径:約14nm)を徐々に添加し、22%の分散液を調整した。該分散液をさらに圧力式ホモジナイザで平均粒子径が70nmになるまで粉砕分散を繰り返し、20%の水分散液を調整した。
市販紙(王子製紙社製、商品名:マシュマロ、186g/m2)に、12g/m2になるように第1塗工層の塗料を塗工乾燥し、線圧100kg/cm、温度40℃のカレンダー処理を行った。上記第1塗工層上に、10%の硼酸/硼砂=1/1の混合水溶液を2.0g/m2、第2塗工層が7g/m2になるようにWET ON WETで塗工乾燥し、50kg/cm、温度40℃のカレンダー処理を行い、インクジェット記録用紙を得た。
第2塗工層顔料を乾式アルミナ(CABOT社製、商品名:PG003、平均2次粒子径:約0.2μm)に、PVAを8部に変更した以外は実施例1と同様にインクジェット記録用紙を製造した。
実施例1の第2塗工層にカチオン性離型剤(近代科学、商品名:ペルトールN−856)3部を添加し、湿潤の内に80℃のキャストドラムに圧着、乾燥後剥離して、インクジェット記録用紙を得た。
実施例3の第2塗工層のバインダをPVA 10部、平均粒子径20nmのカチオンウレタンラテックス20部に変更した以外は実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
[第3塗工層塗料]
カチオン変性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL、平均粒子径:45nm)100部、平均粒子径20nmのカチオンウレタンラテックス25部、カチオン離型剤(近代科学、商品名:ペルトールN−856)5部の5%混合液を第3塗工層の塗料とした。
実施例1の記録体上に、塗布量が0.7g/m2になるように、第3塗工層塗料を塗布、湿潤のうちに80℃のキャストドラムに圧着、乾燥後剥離して、インクジェット記録用紙を得た。
第1塗工層の顔料を平均粒子径2μm以下の焼成カオリン(菱三商事社製、アンシレックス)80部、平均粒子径0.5μmの針状軽質炭酸カルシウム20部(奥多摩工業社製、商品名:123−CS)に変更した以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例7
第1塗工層の顔料全量を平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(備北粉化工業社製、商品名:ソフトン3200、予め50%の水分散液を作製)に変更した以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第1塗工層の顔料全量を2μm以下の焼成カオリン(菱三商事社製、アンシレックス、予め50%の水分散液を作製)に変更した以外は、実施例3と同様にインクジェット記録用紙を製造した。
実施例9
第1塗工層の顔料全量を2μm以下の焼成クレー(日成共益社製、商品名:焼成クレー、予め50%の水分散液を作製)に変更した以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第1塗工層顔料全量を平均粒子径3μmのゲル法シリカ(グレース社製、商品名:HD3)に変更以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
比較例2
第2塗工層顔料を平均粒子径1.2μmのゲル法シリカスラリー(グレース社製、商品名:712C)に変更以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第1塗工層の塗布量を8g/m2に変更した以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
紙基材の坪量を100g/m2、第2塗工層の塗布量を3.5g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
紙基材の坪量を120g/m2に変更した以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例12
紙基材の坪量を240g/m2に変更した以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
比較例4
紙基材の坪量を257g/m2、第2塗工層の塗布量を10g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第2塗工層の塗布量を11g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例14
第2塗工層の塗布量を2.5g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第2塗工層の塗布量を1.5g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
比較例6
第2塗工層の塗布量を12g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
紙基材の坪量を110g/m2、第2塗工層の塗布量を1.5g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例16
紙基材の坪量を110g/m2、第2塗工層の塗布量を4g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例17
紙基材の坪量を110g/m2、第2塗工層の塗布量を6g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第2塗工層の塗布量を1g/m2に変更以外は、実施例15と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
比較例8
第2塗工層の塗布量を7g/m2に変更以外は、実施例15と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
紙基材の坪量を240g/m2、第2塗工層の塗布量を3g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例19
紙基材の坪量を240g/m2、第2塗工層の塗布量を9g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例20
紙基材の坪量を240g/m2、第2塗工層の塗布量を11.5g/m2に変更以外は、実施例3と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
第2塗工層の塗布量を2g/m2に変更以外は、実施例18と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
比較例10
第2塗工層の塗布量を13g/m2に変更以外は、実施例18と同様の方法でインクジェット記録用紙を得た。
実施例1〜20および比較例1〜10について、得られたインクジェット記録用紙のインク吸収性、記録画像の画質、記録画像の光沢感、塗工層強度、塗膜の折り割れ、環境カール、印字後カールを下記方法により測定し、その結果を所定の基準で評価した。
〈使用プリンタ〉
染料インクジェットプリンタ(商品名:PM−G820、セイコーエプソン社製)を用いて光沢紙モードで印字。
本記録体にプリンタでグリーン色およびブルー色のベタ印画を施し、そのインク吸収性を目視観察し、下記の基準で評価した。
○:インク吸収速度が速く、インクの溢れとビーディングなし。
△:多少のビーディングは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:インクの溢れとビーディングあり。
黒のベタ印字部をマクベス反射濃度計(商品名:Macbeth RD−920)で測定し、その値を印字濃度として評価した。
本記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印刷し、画像を、記録体表面に対して一定の傾斜角度から目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:銀塩写真並の光沢感
○:銀塩写真には及ばないが、高い光沢感。
△:印刷用紙並の光沢感。
×:光沢感なし。
塗工層強度を判定するために、セロテープ(登録商標)を記録面に貼り、軽く手で押さえた後、テープを記録面に対して直角に剥離させ、その状態を下記の基準で評価した。
○:テープに記録層の転移が殆どない。
△:テープに記録層の転移が少なく、実用上問題ないレベル。
×:テープに記録層の転移が多く、実用上問題あり。
15℃、25%の恒温恒湿室に、記録体を24時間放置後、記録体を直径2cmの筒に巻き、そのときの塗膜ひび割れを観察し、下記の基準で評価した。
○:塗膜にひび割れがない。
△:塗膜にひび割れが少なく、実用上問題ないレベル。
×:塗膜にひび割れが多く、実用上問題あり。
A4の記録体を23℃、63%の恒温恒湿室に24時間平置後、15℃、25%の恒温恒湿室に移し、平面に記録面を上にして4時間平置した後、4角の高さを測定した。平均値(h)を求め、下記の基準で評価した。
○:0<h≦10mm。
△:10<h≦20mm。
×:h>20mm
A4の記録体を23℃、63%の恒温恒湿室に24時間平置後、プリンタでグリーン色のベタ印画を全面に施し、23℃、63%の恒温恒湿室に、平面に記録面を上にして24時間平置した後、4角の高さを測定した。平均値(h)を求め、下記の基準で評価した。
○:0<h≦10mm。
△:10<h≦20mm。
×:h>20mm
本発明の記録体表面はひび割れがなく、印字ドットは真円であった。
Claims (5)
- 坪量105〜250g/m2の紙基材上に2層以上の塗工層を有するインクジェット記録用紙において、紙基材と接する第1塗工層は、炭酸カルシウム、カオリン(含むクレー)から選ばれる少なくとも1種を含有し、第1塗工層と接する第2塗工層は、平均粒子径0.01〜1μmの、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる微細2次顔料と水溶性樹脂バインダを含有し、かつ第2塗工層の塗布量は第1塗工層の塗布量より少なく、紙基材坪量の0.01〜0.06倍であることが特徴とするインクジェット記録用紙。
- 第2塗工層は、湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧着して鏡面仕上げされてなる請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 第2塗工層は、平均粒子径6〜100nmのカチオン性ラテックスを少なくとも1種を含有する請求項1又は2のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
- 第2塗工層上に、さらに第3塗工層を有し、第3塗工層の塗布量は第2塗工層の0.01〜0.5倍であり、かつコロイド状粒子を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
- 第3塗工層は湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧着して鏡面仕上げされてなることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録用紙。
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