JP2007021751A - 光沢インクジェット記録用紙 - Google Patents

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晃彰 海江田
Hiroyuki Onishi
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Abstract

【課題】 カッター断裁などの際の紙粉の発生が抑制されるとともにインク吸収性に優れ、かつ最表層のひび割れが防止された光沢インクジェット記録用紙を提供することである。
【解決手段】 本発明の光沢インクジェット記録用紙は、紙支持体上に、下塗り層と、表面をキャスト仕上げしたインク受容層とを有する光沢インクジェット記録用紙であって、前記下塗り層は、平均二次粒子径が3〜5μmの無定形シリカと接着剤とを含有し、かつ乾燥塗工量が7〜9g/mの層であり、前記接着剤の含有量が、無定形シリカ100質量部に対して55〜100質量部であり、前記インク受容層は、平均二次粒子径が90〜700nmの無定形シリカと、重合度が4000〜7000のポリビニルアルコールと、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質とを含有し、かつ乾燥塗工量が15〜20g/mの層であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光沢インクジェット記録用紙に関する。
水性インクを微細なノズルから噴出して画像を形成させるインクジェット記録方式は、フルカラー化が容易であること、高速記録が可能であること、少量部数の印刷で他の印刷装置より安価であること等の理由により、端末用プリンタ、ファクシミリ、プロッタあるいは帳票印刷などで広く利用されている。
近年、プリンタの急速な普及と高精細化・高速化とが進み、それに伴って、インクジェット記録用紙には、従来以上のインク吸収速度の向上が求められている。
さらに、デジタルカメラで撮影した記録画像に対し、銀塩方式の写真に匹敵する高い画質の実現が強く求められている。
また、印刷画像の品質を写真の品質により近づけるために、印刷画像の色濃度及び光沢感の更なる向上が望まれている。
これに対して特許文献1により、光沢性に優れ、印字濃度、記録画質等のインクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙として、基材上に、下塗り層と、最表層をキャスト仕上げしたインク定着層(インク受容層)が設けられたインクジェット記録用紙が知られている。
該下塗り層は、主にインクジェットインク成分中の溶媒を速やかに吸収する層であり、該インク定着層(インク受容層)は、主にインクジェットインク成分中の着色剤、すなわち染料又は着色顔料を定着させる層である(特許文献1[0009]参照。)。
また、特許文献1では、下塗り層の接着剤含有量は2〜50質量部が好ましいとされている(特許文献1[0010]参照。)。
しかし、下塗り層の接着剤含有量が50質量%以下では、カッター断裁などの際に紙粉が発生する問題があった。
特開2001−10220号公報
カッター断裁などの際の紙粉の発生を抑制するためには、下塗り層の接着剤含有量を多くする改善策が考えられる。
しかしながら、接着剤の含有量を多くすると、インク成分中の溶媒吸収性が低下してしまう。
また、インク受容層を厚くすることにより、インク成分中の溶媒吸収を補う改善策が考えられるが、特にキャスト仕上げを施したインク受容層表面(最表層)において、ひび割れが起こりやすいことが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カッター断裁などの際の紙粉の発生が抑制されるとともにインク吸収性に優れ、かつ最表層のひび割れが防止された光沢インクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
本発明者らは、検討を重ねた結果、紙支持体上に、特定成分を含有する下塗り層とインク受容層とを設けることにより、これらの問題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記態様を含む。
[1]紙支持体上に、下塗り層と、表面をキャスト仕上げしたインク受容層とを有する光沢インクジェット記録用紙であって、前記下塗り層は、平均二次粒子径が3〜5μmの無定形シリカと接着剤とを含有し、かつ乾燥塗工量が7〜9g/mの層であり、前記接着剤の含有量が、無定形シリカ100質量部に対して55〜100質量部であり、前記インク受容層は、平均二次粒子径が90〜700nmの無定形シリカと、重合度が4000〜7000のポリビニルアルコールと、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質とを含有し、かつ乾燥塗工量が15〜20g/mの層であることを特徴とする光沢インクジェット記録用紙。
[2]前記インク受容層におけるポリビニルアルコールの含有量が、無定形シリカ100質量部に対して10〜20質量部である[1]に記載の光沢インクジェット記録用紙。
本発明によれば、カッター断裁などの際の紙粉の発生が抑制されるとともにインク吸収性に優れ、かつ最表層のひび割れが防止された光沢インクジェット記録用紙を得ることができる。
本発明の光沢インクジェット記録用紙は、紙支持体上に、下塗り層と、表面をキャスト仕上げしたインク受容層とを有する光沢インクジェット記録用紙である。
以下、紙支持体、下塗り層、インク受容層について詳述する。
<紙支持体>
本発明の光沢インクジェット記録用紙は、紙を支持体とする。
紙支持体としては、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の紙基材を用いることができ、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙、あるいは、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、中性紙等が適宜用いられる。
紙基材は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤等が添加される。
木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度(フリーネス)の調整が可能である。
平滑性を高めるためには、フリーネスを進めるほうが望ましい。一方、インク中の水分によって起こる用紙のボコツキや記録画像のにじみは、フリーネスを進めないほうが良好な結果を得る場合が多い。
パルプのフリーネスは、250〜550ml(CSF:JIS−P−8121)が好ましく、300〜500mlがより好ましい。
紙基材に添加される填料は、不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合され、例えば、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が好ましく用いられる。中でも、炭酸カルシウムは、白色度が高い紙基材が得られ、インクジェット記録用紙の光沢感が高まるので好ましい。
紙基材中の填料の含有率(灰分)は、1〜20質量%程度が好ましい。填料の含有率が1質量%以上であれば紙基材の透気性が良好となり、填料の含有率が20質量%以下であれば充分な紙力が得られる。
さらに好ましい填料の含有率としては、7〜20質量%である。この範囲であれば、平滑度、透気度、紙力のバランスがとれ、光沢度と像鮮明度に優れた光沢インクジェット記録用紙が得られやすくなる。
紙基材に添加される助剤としては、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等が挙げられる。
紙力増強剤としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、N−ビニルホルムアミド・ビニルアミン共重合体等が好ましく用いられる。中でも、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂は、湿潤時の紙の寸法安定性を向上させる効果を有するため、好適に用いられる。紙力増強剤は、内添、塗布又は含浸等の処理により、紙基材に添加することができる。
さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を紙基材に塗布、含浸処理することにより、表面強度やサイズ度等の調整を行うことができる。
紙支持体のステキヒトサイズ度(100g/mの紙)としては、1〜200秒程度が好ましく、4〜120秒がより好ましい。
ステキヒトサイズ度が1秒以上であれば、塗工時に皺が発生する等の操業上の問題は起こらず、ステキヒトサイズ度が200秒以下であれば、良好なインク吸収性を示し、印字後のカールやコックリングなどがなくなる。
また、紙基材の坪量は、特に限定されないが、20〜400g/m程度が好ましい。
紙支持体の王研式透気度は、10〜350秒が好ましい。10〜200秒がより好ましく、20〜100秒がさらに好ましい。
透気度が10秒以上であれば、下塗り層用塗工液が紙支持体に浸透することを抑制できる。透気度が350秒以下であれば、キャストドラムに圧接仕上げする際に、操業性が劣るという問題を改善できる。
<下塗り層>
本発明の光沢インクジェット記録用紙は、紙支持体上に、下塗り層が設けられている。
下塗り層は、平均二次粒子径が3〜5μmの無定形シリカと接着剤とを含有する。
この下塗り層を紙支持体上に設けることにより、本発明の光沢インクジェット記録用紙は、カッター断裁などの際の紙粉の発生を抑制することができる。
〔顔料〕
下塗り層には、平均二次粒子径が3〜5μmの無定形シリカが用いられる。
本発明における平均二次粒子径とは、シリカ水分散液を電子顕微鏡(SEM、TEM)で観察した粒径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中のシリカ分散粒子のマーチン径を測定し、平均したものである。(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p.52、1991年参照))。
無定形シリカの平均二次粒子径が3μm以上であれば、インク吸収速度が上がるとともに、下塗り層の強度が高まる。無定形シリカの平均二次粒子径が5μm以下であれば、インク受容層表面をキャスト仕上げした際の光沢性とインク吸収性は充分なものとなる。
下塗り層には、前記の平均二次粒子径が3〜5μmの無定形シリカ以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の顔料を併用することができる。
例えば、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられる。
これらの顔料は、単独又は2種以上を併用してもよい。
〔接着剤〕
下塗り層には接着剤が用いられ、接着剤としては、通常使用される公知のものを用いることができる。
例えば、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの接着剤は、単独又は2種以上を併用してもよい。
下塗り層の接着剤の含有量は、無定形シリカ100質量部に対して55〜100質量部であり、60〜90質量部であることが好ましい。該含有量が55質量部以上であれば、充分に紙粉の発生を抑制することができ、100質量部以下であれば、インク吸収性が向上する。
下塗り層には、上述の成分以外に、一般の記録用紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加することができる。
また、蛍光染料、着色剤等を添加することもできる。
〔下塗り層の作製方法〕
下塗り層の乾燥塗工量は、7〜9g/mである。
乾燥塗工量が7g/m以上であれば良好なインク吸収性が得られ、乾燥塗工量が9g/m以下であれば充分な印字光沢が得られる。
下塗り層は、上述の成分からなる下塗り層用塗工液を紙支持体上に塗工し、乾燥することにより作製される。下塗り層用塗工液の固形分濃度は、5〜50質量%であることが好ましい。
下塗り層用塗工液の塗工方法としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、リップコータ、グラビアコータ、カーテンコータ、スロットダイコータ、スライドコータ等の各種公知の塗工装置を使用し、塗工される。
さらに、必要に応じてスーパーキャレンダ、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
<インク受容層>
本発明の光沢インクジェット記録用紙は、下塗り層上に、インク受容層が設けられている。インク受容層は、平均二次粒子径が90〜700nmの無定形シリカと、重合度が4000〜7000のポリビニルアルコールと、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質とを含有する。
このインク受容層を設けることにより、本発明の光沢インクジェット記録用紙は、インク吸収性に優れるとともに、最表層のひび割れが防止される。
〔顔料〕
インク受容層には、平均二次粒子径が90〜700nm、好ましくは90〜500nmの無定形シリカが用いられる。
無定形シリカの平均二次粒子径が90nm以上であればインク吸収性が良好となり、無定形シリカの平均二次粒子径が700nm以下であれば、印字濃度、表面の光沢性は充分なものとなる。
無定形シリカとしては、湿式法シリカ、気相法シリカなどが好ましく用いられる。
インク受容層には、前記の平均二次粒子径が90〜700nmの無定形シリカ以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、アルミナ、コロイダルシリカなどの通常使用される公知の顔料を併用することができる。
これらの顔料は、単独又は2種以上を併用してもよい。
〔接着剤〕
インク受容層には、接着剤として重合度4000〜7000、好ましくは4000〜5500のポリビニルアルコールが用いられる。
重合度4000以上であれば、インク受容層の強度が増すとともに、最表層のひび割れが防止され、顔料プリンタにおいて充分な印字濃度が得られるようになる。重合度7000以下であれば、充分なインク吸収性が得られるとともに、塗工液調製におけるハンドリング面が良好となる。
インク受容層には、前記の重合度4000〜7000のポリビニルアルコール以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の接着剤を併用することができる。
例えば、重合度の異なるポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、澱粉、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、スチレンーブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート、スチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
これらの接着剤は、単独又は2種以上を併用してもよい。
〔定着剤〕
インク受容層には、定着剤として5員環アミジン構造を有するカチオン性物質が用いられる。
5員環アミジン構造を有するカチオン性物質としては、下記一般式(1)で表される構成単位を含む共重合体が好ましく用いられる。
Figure 2007021751
[但し、式(1)中、Aはアニオンを表す。]
式(1)中、Aはアニオンを表し、AHで表される酸の対イオンである。
AHで表される酸としては、無機酸、有機酸のいずれでもよく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ピロリン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。中でも、特に画像保存性に優れるので、塩酸が好ましい。
これらの酸は、単独又は2種以上を併用してもよい。
さらに、上記一般式(1)と、下記一般式(2)で表される構成単位とを含む共重合体がより好ましく用いられる。
Figure 2007021751
[式(2)中、Xはシアノ基、アミド基、アミン塩酸塩基又はホルムアミド基を表す。]
前記共重合体における一般式(1)の構成単位と一般式(2)の構成単位の割合は、該共重合体を構成する構成単位全体を100モル%としたとき、一般式(1)の構成単位は、20〜90モル%が好ましく、60〜90モル%がより好ましい。
一般式(2)の構成単位は、10〜80モル%が好ましく、10〜40モル%がより好ましい。
該範囲の共重合体を用いることにより、充分な最表層のひび割れ防止効果が得られ、良好な顔料インク適性を有するようになる。また、染料インクを使用した場合の耐水性が良好なものとなる。
なお、前記共重合体は、一般式(1)の構成単位と一般式(2)の構成単位以外の構成単位(3)を含んでいてもよい。
このとき、一般式(1)の構成単位と一般式(2)の構成単位との合計は、前記共重合体を構成する全構成単位中、好ましくは80モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上であり、さらに好ましくは100モル%である。
一般式(1)の構成単位と一般式(2)の構成単位以外の構成単位(3)としては、次のような構成単位(3)を誘導するモノマーが挙げられる。例えば、モノアリルアミン塩、ビニルアミン塩、ジアリルアミン塩、ジアリルメチルアミン塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミド等が挙げられる。
また、前記共重合体の質量平均分子量は、5000〜200000が好ましく、10000〜100000がより好ましい。該範囲であれば、充分な最表層のひび割れ防止効果が得られ、また、粘度が高くなりすぎないので安定に前記共重合物が得られるとともに、塗工液調製におけるハンドリング面が良好となる。
なお、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により、ポリスチレン換算した値である。
5員環アミジン構造を有するカチオン性物質は、単独又は2種以上を併用してもよい。
なお、インク受容層には、前記の5員環アミジン構造を有するカチオン性物質以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の定着剤を併用することができる。
例えば、ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第2級又は第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体又はそれらのアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、ジシアンジアミド・ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、ジシアンジアミド・ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、エピクロルヒドリン・ジメチルアミン共重合体、ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、ジアリルアミン塩−SO重縮合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、アリルアミン塩の共重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合体、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド重合体等が挙げられる。
これらの定着剤は、単独又は2種以上を併用してもよい。
インク受容層における重合度4000〜7000のポリビニルアルコールの含有量は、インク吸収性と、紙粉の発生の抑制(塗工層の強度)及び最表層のひび割れ防止効果のバランスを保つ点から、無定形シリカ100質量部に対して10〜20質量部であることが好ましく、12〜16質量部であることがより好ましく、14〜15質量部であることがさらに好ましい。
また、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質の含有量は、良好な染料インクの発色性及び保存性、インク吸収性を得るために、無定形シリカ100質量部に対して8〜12質量部であることが好ましく、9〜11質量部であることがより好ましい。
インク受容層には、上述の成分以外に、一般の記録用紙製造において使用される分散剤、架橋剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、着色剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。
〔インク受容層の作製方法〕
インク受容層の乾燥塗工量は、15〜20g/mであることが好ましい。
乾燥塗工量が15g/m以上であれば、充分なインク吸収性が得られ、また光沢性が良好となり、乾燥塗工量が20g/m以下であれば、最表層のひび割れが防止されるとともに、良好なドット真円性が得られ、顔料インク及び染料インクの印字濃度も充分なものとなる。
インク受容層は、上述の成分からなるインク受容層用塗工液を下塗り層上に塗工し作製される。インク受容層用塗工液の固形分濃度は、5〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。固形分濃度が5質量%以上であれば、インク受容層の乾燥効率が向上する。また、50質量%以下であれば、最表層のひび割れ防止効果が良好となる。
インク受容層用塗工液の塗工方法としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、リップコータ、グラビアコータ、カーテンコータ、スロットダイコータ、スライドコータ、スプレー等の各種公知公用の塗工装置を使用し、塗工される。
なお、インク受容層表面(最表層)のひび割れをさらに防止するために、架橋剤が好ましく用いられる。
架橋剤は、インク受容層用塗工液に添加されてもよく、インク受容層を塗工する前の下塗り層上に予め塗布されていてもよく、インク受容層を塗工後に塗布されても構わない。
架橋剤としては、接着剤に対する架橋性を有する公知の架橋剤の他、接着剤をゲル化する各種公知のゲル化剤も使用することができる。
例えば、ポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸及びホウ砂などのホウ素含有化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等が挙げられる。中でも、増粘又はゲル化が早く生じる点から、ホウ素含有化合物が特に好ましい。
ここで、ホウ素含有化合物とは、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が挙げられる。この中でも、塗工液を適度に増粘させる効果がある点から、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが好ましく用いられる。
ホウ素含有化合物の配合量は、ホウ素含有化合物の種類及びポリビニルアルコールの重合度に依存し、下塗り層又はインク受容層のいずれかの面に0.01〜2.0g/m含有されていることが好ましい。
ホウ素含有化合物の配合量が0.01g/m以上であれば、親水性接着剤との架橋性、塗工液のゲル化が良好となり、最表層のひび割れがより防止される。ホウ素含有化合物の配合量が2.0g/m以下であれば、親水性接着剤との架橋密度の高さが充分であり、最表層はよりひび割れしにくいものとなる。
〔キャスト仕上げ〕
本発明におけるインク受容層は、表面がキャスト仕上げされている。これにより、光沢性に優れたものとなる。
ここで、インク受容層表面をキャスト仕上げするとは、インク受容層用塗工液が湿潤状態であるうちに、キャストドラムに圧接処理することにより、平滑なドラム面をインク受容層表面に転写することをいう。具体的には、インク受容層用塗工液を塗工後に乾燥工程を経ずにキャストドラムに圧接する方法、インク受容層用塗工液を塗工後に少し乾燥を行った半乾燥状態でキャストドラムに圧接する方法、インク受容層用塗工液を塗工後に少し乾燥を行った半乾燥状態にて湿潤液を付与しキャストドラムに圧接する方法、インク受容層用塗工液を塗工後に乾燥して湿潤液を付与した後にキャストドラムに圧接する方法等が挙げられる。
湿潤液には、必要に応じて、スチレン−ブタジエンラテックス、メチルメタクリレート─ブタジエン共重合体ラテックス等の合成樹脂ラテックスやカゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体類、ポリカルボン酸、ポリアクリル酸、アクリルエマルジョン、ポリアマイド、ポリエステル、アルカリ増粘型や非イオン界面活性剤等の各種増粘剤や流動変性剤、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、第一リン酸ナトリウム、リン酸アンモニウム、リン酸カルシルム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、モノクロル酢酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、クエン酸カリウム、乳酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム等の無機酸や有機酸のアンモニウム塩や金属塩類、さらに、メチルアミン、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、エタノールアミン、エタノールアミン等のアミン類、リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレエーテルリン酸エステル塩、アルキルフェノールエーテルリン酸エステル塩などのリン酸エステル類、ポリオキシエチレン、アルキルエーテル、ポリオキシエチレンやアンモニア水、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルやアジピン酸ジグリシジルエステル等の多官能性エポキシ化合物、尿素─ホルムアルデヒド系、ポリアミド─エピクロロヒドリン系、グリオキザール等の各種耐水化剤や印刷適正向上剤等、各種添加剤を含有することができる。
各種添加剤は、湿潤液中に0.05〜10質量%、好ましくは、0.1〜5質量%の範囲で添加される。
さらに、湿潤液には、分散剤、消泡剤、着色剤、蛍光染料、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加することができる。
また、助剤としてアルミナ、コロイダルシリカ、微細シリカ、クレーや炭酸カルシウム等の顔料を添加することもできる。
インク受容層表面をキャスト仕上げする際、キャストドラムからインク受容層の剥離をスムーズに行うために、離型剤が好ましく用いられる。
離型剤は、インク受容層用塗工液に添加する方法、キャストドラム表面に塗布する方法、湿潤液に添加する方法のいずれかの方法で用いられることが好ましい。
離型剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレイン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシチン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物等が挙げられる。中でも、カチオン性の離型剤が特に好ましく用いられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、「部」及び「%」は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
各インクジェット記録用紙の製造方法の概略は、次の通りである。
はじめに、紙支持体を作製した。次いで、下塗り層用塗工液を調製し、紙支持体上に塗工し、下塗り層を作製した。その後、下塗り層上にホウ砂水溶液、別に調製したインク受容層用塗工液を順に塗工し、キャスト仕上げを行い、インクジェット記録用紙を得た。
なお、シリカの平均二次粒子径は、3%のシリカ水分散液を200g調製し、続いて高速流衝突型ホモジナイザで1000rpm、30分間撹拌分散した後、直ちに電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察し、測定を行った。
紙支持体の透気度は、JIS P 8117(透気度試験方法)に準じて測定を行った。
(実施例1)
<紙支持体の作製>
木材パルプ(LBKP:ろ水度440mlCSF)100部、填料(炭酸カルシウム3:タルク1の比率)15部、市販サイズ剤(商品名:ファイブラン81K、日本エヌエスシー(株)製)0.05部、硫酸バンド0.45部、澱粉0.45部、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(紙力増強剤)0.4部、歩留向上剤少々よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量188g/mの紙基材を得た後、150kg/cmの線圧でスーパーカレンダ処理を施し、紙支持体を作製した。得られた紙支持体の厚さは210μm、透気度は30秒であった。
<下塗り層の作製>
乾燥塗工量が8g/mとなるように、下記下塗り層用塗工液をエアーナイフコータで前記紙支持体上に塗工、乾燥し、下塗り層を作製した。
〔下塗り層用塗工液の調製〕
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−45、トクヤマ社製、平均二次粒子径4.5μm)100部、シリル変性ポリビニルアルコール(商品名:R1130、クラレ社製)80部、蛍光染料(商品名:WhitexBPS(H)、住友化学社製)2部、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体からなるカチオン性化合物(商品名:ユニセンスCP−102、センカ社製、インク定着剤)5部を混合し、固形分濃度15%の下塗り層用塗工液を調製した。
<インク受容層の作製>
乾燥塗工量が1.5g/mになるように、3質量%のホウ砂水溶液を下塗り層上に塗布した。塗布後、乾燥せずに、絶乾質量で17g/mになるように、下記インク受容層用塗工液をダイコータで塗工し、表面温度100℃の鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げし、光沢インクジェット記録用紙を得た。
〔インク受容層用塗工液の調製〕
市販の気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、トクヤマ社製、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g)を用いて、高速流衝突型ホモジナイザで破砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径200nmの10%シリカ分散液を調製した。
該分散液100部(固形分で)に、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質(商品名:ハイマックスSC−700M、ハイモ株式会社製、質量平均分子量3万、インク定着剤)10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA145、クラレ社製、重合度4500)15部、離型剤(ポリエチレンワックス、ノニオン性)1部を混合し、インク受容層用塗工液を調製した。
(実施例2)
実施例1のインク受容層用塗工液のポリビニルアルコール(PVA145、クラレ社製、重合度4500)15部に代えて、ポリビニルアルコール(PVA140、クラレ社製、重合度4000)15部とした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例3)
実施例1のインク受容層用塗工液のポリビニルアルコール(PVA145、クラレ社製、重合度4500)の配合部数15部を25部とした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例4)
実施例1のインク受容層用塗工液のポリビニルアルコール(PVA145、クラレ社製、重合度4500)の配合部数15部を12部とした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例5)
実施例1のインク受容層用塗工液の塗工量について、絶乾質量で17g/mを19.5g/mとした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例6)
実施例1のインク受容層用塗工液の10%シリカ分散液中のシリカの平均二次粒子径200nmを平均二次粒子径500nmとした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例7)
実施例1の下塗り層用塗工液のシリル変性ポリビニルアルコール80部を65部とした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(実施例8)
紙支持体及び下塗り層は実施例1と同様にし、インク受容層は、下記のようにして作製した。
<インク受容層の作製>
乾燥塗工量が1.5g/mになるように、3質量%のホウ砂水溶液を下塗り層上に塗布した。塗布後、乾燥せずに、絶乾質量で17g/mになるように、下記インク受容層用塗工液をダイコータで塗工し、ドライヤで乾燥した。その後、下記湿潤液を塗布し、直ちに表面温度100℃の鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げし、光沢インクジェット記録用紙を得た。
〔インク受容層用塗工液の調製〕
市販の気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、トクヤマ社製、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g)を用いて、高速流衝突型ホモジナイザで破砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径200nmの10%シリカ分散液を調製した。
該分散液100部(固形分で)に、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質(商品名:ハイマックスSC−700M、ハイモ株式会社製、質量平均分子量3万、インク定着剤)10部、ポリビニルアルコール(商品名:PVA145、クラレ社製、重合度4500)17部を混合し、インク受容層用塗工液を調製した。
〔湿潤液の調製〕
水100部、コロイダルシリカ(スノーテックスAK、日産化学製)5部、離型剤(ポリエチレンワックス、ノニオン性)1部を混合し、湿潤液を調製した。
(比較例1)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製について、合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−45、トクヤマ社製、平均二次粒子径4.5μm)に代えて、合成非晶質シリカ(商品名:トクヤマファインシールT−32、トクヤマ社製、平均二次粒子径1.5μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(比較例2)
実施例1の下塗り層用塗工液の調製について、合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールX−45、トクヤマ社製、平均二次粒子径4.5μm)に代えて、合成非晶質シリカ(商品名:サイロイドED−5、グレイスデビソン社製、平均二次粒子径8.0μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(比較例3)
実施例1の下塗り層の作製について、塗工量を乾燥質量で6g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例4)
実施例1の下塗り層の作製について、塗工量を乾燥質量で10g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例5)
実施例1のインク受容層用塗工液の調製について、下記シリカ分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
〔シリカ分散液の調製〕
市販の気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、トクヤマ社製、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g)を用いて、高速流衝突型ホモジナイザで破砕分散を繰り返し、分級後、平均二次粒子径80nmの10%シリカ分散液を調製した。
(比較例6)
実施例1のインク受容層用塗工液の調製について、下記シリカ分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
〔シリカ分散液の調製〕
市販の気相法シリカ(商品名:レオロシールQS−30、トクヤマ社製、平均一次粒子径9nm、比表面積300m/g)を用いて、サンドミルで破砕し、分級後、平均二次粒子径900nmの10%シリカ分散液を調製した。
(比較例7)
実施例1のインク受容層用塗工液の調製について、ポリビニルアルコール(PVA145、クラレ社製、重合度4500)に代えて、ポリビニルアルコール(PVA135、クラレ社製、重合度3500)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例8)
実施例1のインク受容層用塗工液の調製について、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質(商品名:ハイマックスSC−700M、ハイモ株式会社製、質量平均分子量3万、インク定着剤)に代えて、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体(商品名:PAS−J−81、日東紡績社製、インク定着剤)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例9)
実施例1のインク受容層用塗工液の調製について、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質(商品名:ハイマックスSC−700M、ハイモ株式会社製、質量平均分子量3万、インク定着剤)に代えて、アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体(商品名:スミレーズレジン1001、住友化学社製、インク定着剤)を用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例10)
実施例1のインク受容層の作製について、インク受容層の乾燥塗工量を14g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例11)
実施例1のインク受容層の作製について、インク受容層の乾燥塗工量を22g/mとした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(比較例12)
実施例1の下塗り層用塗工液のシリル変性ポリビニルアルコール80部を120部とした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(比較例13)
実施例1の下塗り層用塗工液のシリル変性ポリビニルアルコール80部を40部とした以外は、実施例1と同様にして光沢インクジェット記録用紙を得た。
(評価方法及び評価基準)
上記実施例、比較例で得られたインクジェット記録用紙について、塗工層の強度、インク吸収性、最表層のひび割れ及びインクジェット記録における印字適性を下記方法により評価した。その結果を表1に示す。
なお、塗工層の強度は、紙粉の発生を評価するものである。塗工層の強度が良好であることは、紙粉が発生しにくいことを表す。
各評価は、次の染料インク及び顔料インクの両タイプのプリンタを用いて行った。
・評価用プリンタ
プリンタA:市販の染料インクタイプのインクジェットプリンタ(商品名:PM−G800、セイコーエプソン(株)製)
プリンタB:市販の顔料インクタイプのインクジェットプリンタ(商品名:PM−G900、セイコーエプソン(株)製)
[塗工層の強度]
プリンタAで、全面ベタ印字(黒)を実施した後、24時間、23℃50%RHの環境下で、保存した後、紙をNTカッターナイフ(A−300)で記録面側より切った際の、切断面を目視で確認する。カッターナイフで切る際の方向等はすべて同じとする。
○:コート層の剥がれがなく、切り口まで色がついたままである。
×:コート層が剥がれ落ち、切り口にそって、色が落ちてしまっている。
[インク吸収性]
プリンタA(染料インクタイプ)を用いて、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの各色ベタを、互いに境界を接するようにマス目状に配置した印字を行い、各色間の境界部でのインクのにじみを目視にて、下記基準により評価した。
◎:印字のにじみは全く認められず、優れたレベル。
○:印字のにじみがわずかに認められるが、実用上問題の無いレベル。
○−:印字のにじみが○よりも若干劣るが、実用上問題の無いレベル。
△:印字のにじみがややあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字のにじみが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
[最表層のひび割れ]
プリンタBで、全面ベタ印字(黒)を実施した後、24時間、23℃50%RHの環境下で、保存した後、印字の白抜けを目視で評価する。
なお、ひび割れが多いほど、ひび割れの間に顔料インクが落ち込み、白抜けが増加する。
◎:白抜けが全くない(ひび割れがなく、問題がない。)。
○:白抜けが殆どない(ひび割れが殆どなく、実用上問題がないレベル。)。
△:まばらに白抜けがある(ひび割れが発生し、問題があるレベル。)。
×:一面に白抜けが発生している(ひび割れが酷く、問題があるレベル。)。
[インクジェット記録における印字適性]
印字適性の評価は、染料インク及び顔料インクの両タイプのプリンタを用いて、印字濃度を測定することにより行った。
・印字濃度
プリンタA(染料インクタイプ)とプリンタB(顔料インクタイプ)を用いて黒のベタ印字を行い、その印字濃度をX−Rite反射濃度計(938 Spectrodensitometer)で測定した。
Figure 2007021751
表1の結果から、紙支持体上に、特定成分を含有する下塗り層とインク受容層とを設けた実施例1〜8は、塗工層の強度、インク吸収性及び最表層のひび割れの評価がいずれも良好であることが確認された。また、顔料インク、染料インク双方について充分な記録適性を有していた。
一方、比較例は、いずれも塗工層の強度、インク吸収性及び最表層のひび割れのいずれかの評価項目が劣るものであった。

Claims (2)

  1. 紙支持体上に、下塗り層と、表面をキャスト仕上げしたインク受容層とを有する光沢インクジェット記録用紙であって、
    前記下塗り層は、平均二次粒子径が3〜5μmの無定形シリカと接着剤とを含有し、かつ乾燥塗工量が7〜9g/mの層であり、前記接着剤の含有量が、無定形シリカ100質量部に対して55〜100質量部であり、
    前記インク受容層は、平均二次粒子径が90〜700nmの無定形シリカと、重合度が4000〜7000のポリビニルアルコールと、5員環アミジン構造を有するカチオン性物質とを含有し、かつ乾燥塗工量が15〜20g/mの層であることを特徴とする光沢インクジェット記録用紙。
  2. 前記インク受容層におけるポリビニルアルコールの含有量が、無定形シリカ100質量部に対して10〜20質量部である請求項1に記載の光沢インクジェット記録用紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014151569A (ja) * 2013-02-08 2014-08-25 Hokuetsu Kishu Paper Co Ltd インクジェット記録用紙

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