JP2009029125A - インクジェット記録体 - Google Patents

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一雄 池田
Akira Nakamura
陽 中村
Kanichi Sunakawa
寛一 砂川
Yasutaka Kogata
康敬 幸形
Hiromasa Kondo
博雅 近藤
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Abstract

【課題】良好なインク吸収性と画質、高い光沢性を両立し、プリンタ搬送性、搬送傷耐性、塗工層割れ耐性にも優れ、かつ生産性も良好なインクジェット記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、支持体側から順に少なくとも1層のインク定着層及び光沢発現層を有し、該インク定着層が平均一次粒子径5〜50nmの顔料を含有する層であり、光沢発現層がコロイド状粒子とゼラチンを含有する層であることを特徴とするインクジェット記録体。
【選択図】なし

Description

本発明は、良好なインク吸収性、画質と高い光沢を両立し、プリンタ搬送時の塗工層の微小な割れおよび記録面の擦過傷の欠点が改良され、かつ生産性の良好なインクジェット記録体に関するものである。
微細なノズルから射出したインクの液滴を被記録体表面上に付着させて画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、高速記録が可能であること、フルカラー画像の形成が容易であること及び記録コストが他の印刷方式に比べて安価であるという利点がある。このため、端末プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、あるいは帳票印刷等で広く利用されている。
近年では、インクジェットプリンタの高精細化・高速化の改良により、デジタルカメラ等による写真画像の出力を目的とする一般家庭ユーザへの普及が進んでいる。写真画像を出力されたインクジェット記録体の品質を銀塩方式の写真に近づけるために、インクジェット記録体には、優れた表面光沢・外観とともに、発色の鮮明さ、色の濃さ(深み)、精細さなど高い画質が求められる。
一方では、インクジェットプリンタの高速化に対応するため、高いインク吸収性が要求される。
一般家庭ユーザへの普及に伴い、プリンタの設置効率の向上が求められている。設置面積を小さくする解決策の一つとして、プリンタ下部の給紙トレイに印刷面を下向きに記録体を置き、裏面からピックアップした該記録体をプリンタ内部で反転させ、印刷面を上向きに送りながら印刷する給紙方法が採用されている。この給紙方式は、記録体がプリンタ内部で反転する様子をアルファベットの「C」の字に例えてC型給紙方式等と呼ばれることがあり、従来のプリンタ背面からの給紙方法(C型給紙方式に対して、こちらはJ型給紙方式等と呼称されることがある)と区別されている。C型給紙方式のプリンタは、プリンタ内部の狭い給紙経路内で記録体を反転させる必要があり、印刷面がプリンタの給紙経路と擦れて傷つくという問題(搬送傷)が発生し易い。特に、銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を目的とした、高い光沢性を有するインクジェット記録体の場合には、搬送傷が発生すると非常に目立ち易いため、この問題の解消は非常に重要である。
また、プリンタ内部の狭い給紙経路内で反転するために記録体が強く曲げられると、曲げの外側の塗工層が強く引っ張られてひび割れる問題(塗工層割れ)が発生しやすくなる。
従来、塗工層に敢えてひび割れを持たせたインクジェット記録体が、インクの吸収性を向上する等の目的のため使用されることがあった。ひび割れを有するインクジェット記録体は光沢や記録濃度は高くなかったが、既に塗工層にひび割れが有るために塗工層割れは問題とはならなかった。しかし、銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を得るためには、塗工層にひび割れを持たないインクジェット記録体が望まれる。特に顔料タイプのインクを使用するインクジェットプリンタでは、塗工層のひび割れに因る記録画像の品質低下は顕著である。
また、インクの吸収性を改良するために無機顔料に対する接着剤の量を少なくし、さらに接着剤を架橋したインクジェット記録体とすることがある。しかしながら、接着剤量の低減は塗工層を脆弱にさせ、接着剤の架橋は塗工層の柔軟性を低下させるため、塗工層割れはさらに発生し易くなる。特に、この塗工層割れは低湿環境下で発生し易い傾向がある。近年、インクジェットプリンタの動作補償範囲は広がる傾向にあり、プリンタの種類にもよるが、相対湿度10%の低湿下でも使用される場合がある。低湿環境下でも、プリンタに給紙される際に記録体が曲げられてもひび割れることのない塗工層に設計することも重要な課題である。
上記の如く、銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を得ることを目的に、高い光沢性を有するインクジェット記録体の提供のため、インクジェット記録体は良好なインク吸収性と画質および高い光沢性を両立し、プリンタ搬送性、搬送傷耐性、塗工層割れ耐性に優れるという要求を満たすことが求められる。
これらインクジェット記録体への要求に対しては、以下のような提案がなされている。
例えば、特許文献1では、顔料及び透明性結着剤からなるインク受容層の上に、高い平滑性と光沢付与のため、顔料及び結着剤を含有するキャスト光沢層が形成されたインクジェット記録体が提案されている。しかしながら、本技術は、キャスト光沢層の形成に際して塗工層を凝固処理するために、塗工層の柔軟性が乏しく、塗工層割れを発生し易いという問題があった。また、プリンタの通紙経路に接触して生じる搬送傷の発生も防止できなかった。
また、特許文献2、特許文献3では、光沢発現層に微細なコロイド粒子を主成分として含有せしめることにより光沢を向上させ、さらに合成高分子ラテックスを併用して折り割れ強度など、塗膜の強度も高めたインクジェット記録体が提案されている。しかしながら、低湿環境下では塗工層割れの問題を解消することは出来ず、更に搬送傷の発生も防止することは出来なかった。
記録体が強く曲げられることによるひび割れ(塗工層割れ)を防止する方法として、以下のような提案がなされている。
特許文献4ではシリカ、ポリビニルアルコールおよび硼酸またはその塩を用いた塗布液中のポリビニルアルコールの水酸基の量Nに対する硼素原子の量Mの比を、0.005<M/N0.05の範囲とすることにより「空気が乾燥している状態で記録媒体を丸めたり折ったりすると、インク吸収層が割れてひびが入り易くなる」といった問題の発生を防止している。
また、特許文献5は無機微粒子とバインダーなどを含有するインク吸収層に、ガラス転移温度が−50〜40℃、平均粒径が5nm以上50nm未満の重合体分散物を含有せしめることにより、インク吸収層における空隙層形成時に柔軟性を付与することを提案し、特許文献6はインク吸収層に平均粒径が5〜100nmの無機微粒子とバインダーとして水酸基を有する高分子分散剤で乳化重合されたエマルジョン樹脂を含ませ、無機微粒子とバインダーの質量比が2:1〜10:1とすることにより「柔軟なインク吸収層を形成し、丸めたり折り曲げたりしてもひび割れたり、細片が剥がれ落ちたり」するといった問題を解消するものである。
上記の如く、特許文献4、特許文献5、特許文献6は、記録体が強く曲げられた際に生じる塗工層割れを防止するという課題を解決するための提案であり、一応の効果は認められるものの、プリンタ内の狭い用紙搬送経路に記録体が擦過されて生じる傷(搬送傷)の課題を想定しておらず、実際、良好とは言えない。また、特許文献4、特許文献5、特許文献6の提案における塗工層割れの課題は相対湿度20%程度の環境を想定していたが、近年要求される相対湿度10%付近の環境下ではその効果は必ずしも十分とは言えない。
特許文献7は、インク受容層中にゼラチン及び微粒子を含有せしめ、かつJIS−B0601による中心線平均粗さを0.25以上3.0μm以下の範囲とするもので、ゼラチンの使用により、印字部と未印字部の光沢を維持するとともに種々の環境条件下でも記録体同士の貼りつきを防止して搬送性を向上させるものである。また、特許文献8には一次平均粒径が10〜50nmのシリカ微粒子と、架橋された親水性バインダーを含有し、且つ親水性バインダーとして少なくともゼラチンを含有するインクジェット記録体が提案されている。しかしながら、特許文献8のインクジェット記録体は、光沢や記録濃度、インク吸収性は良好であるが、インク受容層の親水性バインダーは架橋剤により架橋されているため、塗工層の柔軟性が低く、記録体が強く曲げられて生じる塗工層割れの課題は解決されていない。また、光沢の低下を抑えるとともに傷に対する耐性や搬送性の改良を示唆しているものの、表層のインク受容層に使用する無機微粒子として下層に用いる気相法シリカの一次粒子径より大きい粒子を用いることにより傷に対する耐性を得ている。
特許文献7および特許文献8の提案は、いずれも記録体表面と他の物体との接触を減じて擦過による傷や貼り付きを防止するため、表層に適度な凹凸を設けるものであり、本発明の目的とする高い光沢や記録画質の要求を満足できるものではなかった。
高光沢インクジェット記録体の材料としてゼラチンを使用する提案は数多くなされている。特許文献9はインク受像層をゼラチン成分がゲル化していない状態で乾燥し形成させ、且つ60度光沢度が80以上のインクジェット記録体である。特許文献10はゼラチンを含有するインク受像層のpHをゼラチンの等電点より低くすることにより、インクジェット記録用インクの染料をゼラチン分子に効果的に固定させるインクジェット記録体である。また、特許文献11はインクジェット記録体のインク受容層に等電点が5.5〜9.6の範囲にあるゼラチンとカチオン性の水溶性ポリマーを併用し、インクジェット記録用インクの染料定着とインク吸収の両立したインクジェット記録体を得るものである。特許文献12はインク受容層としてゼラチンと高分子ラテックスを含有し、ポリアルキレンオキサイド類を併用してインク吸収性とにじみを防止することを提案している。また、特許文献13はインク受容層がゼラチンとアクリルエマルジョンを含有し、高光沢でインクの受容性とドットの再現の改良されたインクジェット記録体を提案している。
しかしながら、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12はいずれも、インク受容層中に多孔性顔料を含まない、いわゆる膨潤タイプのインクジェット記録体に関するものである。膨潤タイプのインクジェット記録体は一般に高光沢の記録体とすることが出来るが、高速インクジェットプリンタでの使用を鑑みればインク吸収性は不十分であり、搬送傷も防止できなかった。また、特許文献13も、やはり膨潤タイプのインクジェット記録体であり、例えインク受容層中にコロイダルシリカを含有せしめたとしても、インク吸収性と搬送傷の防止は不十分であった。
上記特許文献7から特許文献13に記載されたインクジェット記録体は、夫々の問題について一応の改良効果を見出すことが出来るものもあったが、インク吸収性と画質、光沢、プリンタ搬送性、搬送傷、塗工層割れといった全ての課題を満足する品質は得られていない。
更に、銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を目的とした、高い光沢性を有するインクジェット記録体の製造において、キャスト仕上げはインクジェット記録体に高光沢を付与するための重要な手段である。このキャスト仕上げにおいては、キャストドラム等の塗工乾燥装置から記録体を剥離させる、離型性は重要な性能である。記録体がスムーズに離型せず、塗工層の一部がキャストドラム等の塗工装置上に堆積して汚染すると、連続的なキャスト仕上げが出来なくなる。即ち、塗工を中断して塗工装置から汚れを除去する作業が必要となり生産性が著しく低下するという問題を生じる。それ故、キャスト仕上げを行う光沢発現層においては優れた離型性を実現することは重要な課題である。
特開2002−248850号公報 特開平07−101142号公報 特開2005−041232号公報 特開2002−225427号公報 特開2003−63130号公報 特開2003−63135号公報 特開平9−254524号公報 特開2002−264482号公報 特開平9−263036号公報 特開平9−263037号公報 特開平10−86508号公報 特開平9−226230号公報 特開平10−287036号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、良好なインク吸収性と画質、高い光沢性を両立し、搬送傷や塗工層割れの発生が防止されてプリンタ搬送性にも優れ、かつ生産性も良好なインクジェット記録体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、支持体上に平均一次粒子径5〜50nmの顔料を含有するインク定着層を設け、その上にコロイド状粒子とゼラチンを含有する光沢発現層とを設けたインクジェット記録体が良好なインク吸収性と画質、高い光沢性を両立し、搬送傷や塗工層割れの発生が防止されてプリンタ搬送性にも優れ、かつ生産性も良好で、上記の問題が解決されるインクジェット記録体であることを見出し、下記のインクジェット記録体の発明を完成するに至った。
(1)支持体上に、支持体側から順に少なくとも1層のインク定着層及び光沢発現層を有し、該インク定着層が平均一次粒子径5〜50nmの顔料を含有する層であり、光沢発現層がコロイド状粒子とゼラチンを含有する層であることを特徴とするインクジェット記録体。
(2)光沢発現層が、キャスト仕上げされた層である(1)記載のインクジェット記録体。
(3)光沢発現層が、コロイド状粒子100質量部に対し、ゼラチンを1〜50質量部含有する(1)または(2)記載のインクジェット記録体。
(4)光沢発現層に、更に水分散性接着剤を含有する(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(5)水分散性接着剤が、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂である(4)に記載のインクジェット記録体
(6)支持体が、プラスチックフィルム、合成紙、白色紙、樹脂被覆紙から選ばれる非透気性支持体並びに紙、透気性樹脂フィルム、透気性樹脂シートから選ばれる透気性支持体のいずれか1種である(1)〜(5)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(7)光沢発現層塗工液のpHがゼラチンの等電点±2の範囲内である、(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(8)光沢発現層塗工液が、乳酸、リン酸、塩酸、酢酸から選ばれる酸、又はアンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンから選ばれるアルカリを含有する、(7)に記載のインクジェット記録体。
(9)ゼラチンの等電点が7以上である(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(10)ゼラチンの等電点が4〜6である(1)〜(8)のいずれかに記載のインクジェット記録体。
(11)ゼラチンがアルカリ処理タイプのゼラチンである(10)に記載のインクジェット記録体。
本発明によれば、良好なインク吸収性と画質、高い光沢性を両立し、プリンタ搬送性、搬送傷耐性、塗工層割れ耐性にも優れ、かつ生産性も良好な光沢インクジェット記録体が提供される。
<インクジェット記録体の層構成>
本発明のインクジェット記録体は、支持体の少なくとも一方の面側に、平均粒子径5〜50nmの顔料を含有するインク定着層と、該インク定着層上にコロイド状粒子とゼラチンを含有する光沢発現層とを有することを基本的な層構成としている。支持体に形成される層は該インク定着層及び光沢発現層のみであってもよいが、支持体とインク定着層との間に一層以上の下塗り層を有する層構成であってもよく、そのような下塗り層を有する層構成であることが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録体は、支持体の前記インク定着層と光沢発現層が設けられている面の反対面側にも同様のインク定着層と光沢発現層を設けた層構成であっても構わない。この場合、インクジェット記録体の両面で本発明の効果を発揮することができる。また、支持体の前記インク定着層と光沢発現層が設けられている面の反対面側に、後述の裏面処理等の処理が施されているものであってもよい。
<支持体>
本発明のインクジェット記録体における支持体は、その種類、形状、寸法などについては特に制限はなく、非透気性支持体であっても、透気性支持体であっても使用することができるが、光沢発現層のキャスト仕上げが容易であるため透気性支持体である方が好ましい。
非透気性支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルム、白色フィルム、ポリプロピレンを延伸し特殊加工を施したユポ(ユポ・コーポレーション社製)に代表されるいわゆる合成紙、等が例示できる。また、透気性支持体からなる支持体を、非透気性樹脂で被覆して得られる非透気性樹脂被覆シートなどを用いてもよい。非透気性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースジアセテート又はそれらの混合物等を主成分とするものを用いることができるが、中でも紙基材をポリオレフィン樹脂でラミネートした樹脂被覆シート、いわゆるRC紙が好ましく、特に酸化チタンを練り込んだポリエチレン樹脂による被覆シートは、写真調の風合いを持つため特に好ましく用いられる。
支持体として非透気性支持体を用いた場合、支持体とインク定着層との密着性を向上させる目的で、予め密着処理、又は接着処理を施しておいてもよい。特に非透気性支持体として樹脂被覆シートを用いる場合、その樹脂被覆層の表面にコロナ放電処理を施すこと、あるいはゼラチン、又はポリビニルアルコールなどによるアンカー層を設けることが好ましい。
非透気性支持体の坪量、厚さは特に限定されないが、用途に応じて坪量20〜400g/m2程度、厚さ20〜500μmの範囲で適宜選択される。
透気性支持体としては、例えば、紙基材、透気性を有する樹脂フィルム又はシート材等が使用できるが、とりわけ、優れた透気性、記録体としての取り扱い易さ、及び廃棄や再利用の容易さ等の面から紙基材を使用することが好ましい。
上記紙基材としては、本発明の効果を損なわない範囲で、通常使用される公知の紙基材を用いることができ、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙が挙げられる。また、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、中性紙等の別も適宜用いられる。
<下塗り層>
本発明のインクジェット記録体では、支持体表面の凹凸を抑制して平滑感を向上させたり、上に設けるインク定着層や光沢発現層の形成時に接着剤成分の挙動を調節することなどにより表面光沢性を向上させ、あるいは上に設けたインク定着層から移動してくるインク溶媒を吸収させるなどの目的で、支持体とインク定着層との間にさらに一層以上の塗工層を設けることができる。該塗工層あるいは塗工層群を下塗り層と称する。
これらの目的のため、下塗り層には公知の各種顔料、バインダ、助剤等を適宜配合することができる。
下塗り層を形成するための塗工装置は、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ、ダイコータ、スライドビードコータ等、各種公知の塗工装置を用いることができる。
さらに、塗工した下塗り層には、必要に応じてスーパーカレンダ、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すことも出来る。平滑化処理により、下塗り層の平滑度(JIS P8119)が20秒以上とした場合には、特に記録体の光沢性が向上し易く好ましい。
<裏面処理>
本発明のインクジェット記録体は、裏面即ち支持体のインク受容層を設けない面に、必要に応じて化学的、その他の表面処理を行うことも出来る。また、裏面の処理は塗工層を設けたり、ラミネート加工を行なうなど、適宜他の構成を追加するものであってもよい。さらに、裏面にインクジェット記録体や他の記録体を貼り合わせて両面記録体、あるいは裏面に粘着剤層を形成してラベルとしたり、磁気カードやICカードの表面に貼り合わせてカードとするなど、公知の加工を施すこともできる。
裏面に塗工層を設けることは、例えば、カール防止処理、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理などの目的のために実施される。塗工層としては、アクリルやウレタン等の接着剤の分散液やポリエチレン分散液等の水分散性樹脂や、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂を主成分とする樹脂層を設けたり、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、カオリン等の無機顔料あるいはプラスチックピグメントなどの有機顔料の顔料と接着剤とを含む顔料塗工層を設けたりしてよい。これら塗工層を設ける方法としては公知公用の塗工装置が使用できる。
ラミネート加工の方法としては、ホットラミネート法、コールドラミネート法いずれも可能ではあるものの、コストや加工の簡易性、および写真調の風合いを得易いことから、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を主成分とするラミネート材料を溶融押出しして形成するホットラミネート法が好ましい。
<インク定着層>
インク受容層中にはインク定着剤が含有されることが好ましい。インク定着剤はインクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、記録画像に耐水性を付与する。
このインク定着剤には、一般にインクジェット記録用シートに用いられる各種公知のカチオン性化合物が、単独使用または二種以上併用される。これらのカチオン性化合物としては主に低分子カチオン性化合物(例えば、カチオン性基を有する界面活性剤やシランカップリング剤等、または水溶性多価金属塩、ポリ塩化アルミニウム等の塩基性塩化アルミニウム重合体等)、あるいはカチオン性樹脂から選択される。記録画像の耐水性向上の点ではカチオン性樹脂が好ましい。
上記カチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、(ロ)第2級又は第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を含有するアクリル系モノマーの重合体又はそれらとアクリルアミドとの共重合体、(ハ)ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド共重合体に代表されるジシアンジアミド系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(ヘ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO2重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。
インク定着層の顔料としては、平均一次粒子径が5〜50nmの微細な顔料が用いられる。この顔料は平均粒子径が5nm〜50nmの範囲にある一次粒子として、分散液中に二次凝集体微粒子を形成することが好ましい。この二次凝集体微粒子の平均粒子径は0.01〜1.0μm、より好ましくは平均粒子径0.03〜0.5μmの範囲である。一次粒子径は5nm未満ではインク吸収性が低下し、50nmを超えると塗膜の透明性が劣るため、印字濃度が著しく低下する。また、二次凝集体微粒子は粒子径が1.0μmを超えると塗工層面の平滑性が損なわれ、光沢が低下する傾向がある。ここで高光沢を得るために、上層の光沢発現層の塗工量を大きくすると、インク吸収性の低下や生産性の低下を招く懸念がある。
この平均粒子径は、まず3%の顔料分散液を200g調整し、続いて市販のホモミキサで1000rpm、30分間攪拌分散した後、直ちに電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒径であり、顔料分散粒子のマーチン径を測定し、平均したものである(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p.52、1991年参照)。
本発明者らが測定したところ、一般にスラリー状の顔料はその凝集状態によって得られる粒子径の値が大きく変動する。しかしながら本測定条件を用いることにより、測定値は良好に再現した。
該顔料は、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれることが好ましい。これらの顔料のなかでは、シリカが特に好ましく、気相法シリカがより好ましい。気相法シリカは、[0041]乃至[0042]段に例示の如きカチオン性化合物と混合して生成するシリカ−カチオン性化合物凝集体を粉砕分散して得られたシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子として特に好ましく用いることができる。本発明のインクジェット記録体は、あらかじめ気相法シリカとカチオン性化合物との凝集体を形成させて使用することが好ましい。
このシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、例えば、以下のように得ることが出来る。即ち、カチオン性化合物と気相法シリカの分散液とを混合すると、シリカ−カチオン性化合物凝集体が形成される。このシリカ−カチオン性化合物凝集体は、平均一次粒子径5〜50nmの気相法シリカを用いて生成される。また、カチオン性化合物の添加量は気相法シリカ100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で調節される。
カチオン性化合物と気相法シリカが液中で混合されると増粘した凝集体粒子の分散液を生成する。このシリカ−カチオン性化合物凝集体を粉砕・分散して本発明のインク受容層に使用されるシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を得ることができる。平均粒子径0.01〜1μm、より好ましくは平均粒子径0.03〜0.5μmの範囲のシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の分散液が本発明のインク受容層用の塗工液として好ましく用いられる。粉砕・分散の方法としては、例えば、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダ、ナノマイザ(商品名)、ホモミキサ等のように機械的手段で強い力を与える方法であるブレーキング・ダウン法(塊状原料を細分化する方法))などが使用される。
シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子をインク定着層に使用すると、インク定着層の透明性、表面強度、平滑性ならびにインクの吸収性、発色性、耐候性、耐水性等を向上させることができるため特に好ましく使用される。
なお、インク定着層中には、インクの定着性を高めて耐水性を向上させるために、さらに単体のカチオン性化合物を配合することが出来る。前述のようにカチオン性化合物は気相法シリカとの混合液中で凝集体を形成するが、シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子にカチオン性化合物を添加すると、凝集を起こさない場合が多く、塗工液中に容易に併用することが出来る。カチオン性化合物としては、段落[0042]に例示するカチオン性化合物が例示できる。また、この単体で配合するカチオン性化合物、特にカチオン性樹脂は、接着剤としての役割も併せて付与させる場合にしばしば用いられる。
インク受容層に用いられる接着剤は、以下に示すような水分散系接着剤、水溶性接着剤から選択されるものを、単独あるいは二種以上を併用することが出来る。
水分散系接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂やメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体やその誘導体等のアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、ポリカーボネート等のポリウレタン樹脂等の公知の水分散性接着剤を単独使用もしくは併用することができるが、得られる記録体の光沢性及び印字濃度の面で、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が特に好ましい。
水溶性接着剤としては、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコールやカチオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カゼインや大豆蛋白、合成蛋白、ゼラチン等のたんぱく質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カラギーナンや寒天、キトサン等の多糖類、等の公知の親水性樹脂を単独使用もしくは二種以上を併用することができる。
これらの接着剤の中でも表面強度の点からポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
ポリビニルアルコールはケン化度により性状が異なるため、インク定着層に用いる場合には目的に応じてそのケン化度を選択することが好ましい。塗工層の強度が特に大きく、塗工液調製時に泡立ちの問題が少なく、製造時の作業性が良好であるという利点から、ポリビニルアルコールのケン化度は95%以上が好ましく、より好ましくは98%以上が使用される。また、ケン化度が75〜90%の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用すると、塗工層が可撓性に優れるため折り割れの防止に効果がある。これら種々のケン化度のポリビニルアルコールは、目的に応じて、それぞれ単独あるいは併用することが出来る。
また、ポリビニルアルコールを併用する場合、重合度は2000以上であることが好ましく、3500〜5000であると特に好ましい。インク定着層の強度は、重合度2000以上のポリビニルアルコールを用いることで、充分に高くなり、ひび割れの発生を抑制することが出来、断裁時の紙粉の発生を防止する効果が高まる。一方、十分なインク吸収性が得られ易く、溶液粘度が低いため塗工液調製時の取り扱いが容易であるという利点から、ポリビニルアルコールの重合度は5000以下が好ましい。
インク定着層中の接着剤の配合量は、顔料100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、8〜30質量部であるとより好ましい。充分な塗膜強度を得るためには接着剤の配合量は5質量部以上が好ましく、50質量部以下とすることにより充分なインク吸収性を得ることが出来る。
インク定着層には、上記の平均一次粒子径5〜50nmの顔料とともに下記に示すような公知の顔料を併用することができる。併用する顔料の種類、粒子径および使用量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することが出来る。併用する顔料としては、例えば、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカなどの単微粒子若しくは二次凝集体微粒子形態のシリカ顔料、特許第3876610号公報に記載のコロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加した後に該シード液に対して活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得るシリカの微細な二次粒子分散体、アルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト等のアルミナ水和物、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、軽質若しくは重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属塩、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、二酸化チタン、セピオライト、天然ゼオライト、人工ゼオライト若しくは合成ゼオライト等のゼオライト類、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイトや合成スメクタイト若しくはそれらを含有するベントナイト等やハイドロタルサイト等の粘度類、若しくは珪藻土等の無機顔料またはスチレン系プラスチックピグメントや尿素樹脂系プラスチックピグメントやベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等のプラスチックピグメントから公知の願料を1種類以上選択することが出来る。これら顔料の使用量はその粒子径にもよるが、上記の平均粒子径5〜50nmの顔料100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
さらに、インク定着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、浸透剤、帯電防止剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存性改良剤、防腐剤等を適宜配合することもできる。
<インク定着層の形成方法>
インク定着層を形成するためには、例えば、インク定着層用塗工液を塗布すると同時、又は、インク定着層用塗工液を塗布した塗液層の乾燥の途中で、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、塗工液を増粘又は架橋させて成膜して製造することが有効である。
具体的には、下記(A)〜(C)に例示の方法を適宜採用することができるが、これらの方法に限るものではない。
(A)電子線照射によりハイドロゲルを形成する親水性樹脂を含有し、塗工の直後に、又は、塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、電子線照射して塗液層を増粘(ハイドロゲルを形成)させる方法、
(B)インク定着層が接着剤を含有する塗液であり、塗工の直後に、又は、塗工された塗液層の乾燥途中であって、該塗液層が減率乾燥速度を示す前に、接着剤との架橋性を有する化合物で塗料を増粘、架橋させる方法、
(C)例えば接着剤として感温性高分子化合物(特開2003−40916号公報に記載された一定温度(感温点)以下の温度領域では親水性を示し、感温点より高い温度領域では疎水性を示す)を含有させ、塗工の直後に塗液層温度を低下させることによって塗液層を増粘させる方法、
等が例示できる。
上記(A)及び(B)の方法で塗工層を形成する場合、接着剤としてはインクジェット記録体用として使用される公知の接着剤が使用できる。
上記(B)の方法で塗工層を形成する場合、接着剤との架橋性を有する化合物としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。
例えば、本発明の下塗り層で最も好ましく用いられるポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸及びホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は、増粘又はゲル化が早く生じるので特に好ましい。
ホウ素含有化合物としては、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸及びその塩のことである。具体例としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが、塗料を適度に増粘させる効果があるために好ましく用いられる。
ホウ素化合物の含有量は、ホウ素化合物及びポリビニルアルコールの重合度にもよるが、基材の片面に0.01〜2.0g/m2含有されることが好ましい。含有量が2.0g/m2以下であることにより、ポリビニルアルコールとの架橋密度が高くなりすぎず、塗膜強度を良好なものにできる。一方、含有量が0.01g/m2以上であることにより、ポリビニルアルコールとの架橋が強まり、塗料のゲル化を促進して塗膜がひび割れしにくいものとなる。
上記(B)の方法で塗工層を形成する場合、インク定着層は、例えば、
(イ)架橋剤を予め支持体に塗布・含浸させておきインク定着層用塗液を塗布する、
(ロ)インク定着用塗液にあらかじめ架橋剤を配合しておき塗布する、
(ハ)インク定着用塗液と架橋剤を連続的に混合し直ちに塗布する、
(ニ)インク定着用塗液を塗布後、架橋剤を塗布する、
等の方法により製造される。中でも、(イ)架橋剤を予め塗布しておく方法が、増粘またはゲル化を均一に起こすことができるため好ましい。
インク定着層の乾燥固形分塗工量は、2〜100g/m2であることが好ましく、5〜50g/m2であることがより好ましい。塗工量が2g/m2以上であることにより、C型給紙の際の傷防止効果が発現され、かつ、高精細・高速のプリンタにおけるインク吸収性が充分なものとなり、また塗工量が50g/m2以下であることにより塗膜のひび割れが起こりにくくなる。
本発明におけるインク定着層の塗工液は、特に限定しないが、一般に固形分濃度5〜50質量%程度に調整される。固形分濃度を5%以上とすることで乾燥効率が向上する。また、50質量%以下とすることにより、塗工液の粘度が低下し塗工が容易になる。
塗工液の塗布される際の粘度は特に限定しないが、概ね5000cps以下が取り扱い易い。
インク定着層は、2層以上形成することもでき、このように2層以上で構成する場合は、それぞれの層を構成するシリカや接着剤は同じでもよいし、異なっていても構わない。
また、同一の層内に2種類以上のシリカや接着剤を混合してもよいし、それらを組み合わせて使用してもよい。
インク定着層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ及びダイコータ等の各種公知の塗工装置を用いることができる。
また、スライドビードコーターなどを用い、複数のインク定着層を同時に塗工したり、インク定着層と後述の下塗り層を同時に塗工することもできる。2層以上の塗工層を塗工する場合は、下層が湿潤状態のうちに上層を下層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
また上記(A)の方法で塗工層を形成する場合、電子線照射を施す方法として、
(イ)塗工、電子線照射、乾燥を繰り返す、
(ロ)塗工し電子線照射後に次の層を塗工した後、乾燥、
(ハ)多層を同時に塗工し、電子線照射、
等の方法がある。
さらに、塗工したインク定着層に、必要に応じてスーパーカレンダ、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。平滑化処理により、記録体の光沢性が向上し易い傾向がある。ここで下塗り層の平滑度(JIS P8119)が20秒以上であると、記録体の光沢性が向上し易く好ましい。
<光沢発現層>
インク定着層に上述のような特定の顔料を含有することによって、インク定着層内には微小な細孔が数多く形成される。その結果、インク定着層には強い毛細管力が生じ、その上に光沢発現層が形成される際に、光沢発現層最表面に接着剤が残りにくくなることを見出した。この効果は水溶性高分子接着剤では比較的顕著に見られる一方、水分散性接着剤ではこのような効果は少ない。とりわけ、このような効果が大きく、かつ、粒子同士を接着する強度が強い接着剤は、ゼラチンであることを見出した。ゼラチンが光沢発現層最表面に残りにくい理由は必ずしも定かではないが、以下のように推察される。
光沢発現層の接着剤がインク定着層の毛細管力によって光沢発現層最表面に残りにくくなるためには、接着剤が適度な保水性を示すことが必要と思われる。接着剤の保水性が低い場合、接着剤が水と共にインク定着層に吸収されにくいためか、光沢発現層最表面に残りやすくなる傾向があり、水分散性接着剤はこのような挙動を示しやすい。
逆に保水性が高い場合、接着剤が水と共にインク定着層に吸収され易い傾向が有るが、保水性が非常に高い場合、接着剤が水と共にインク定着層に吸収され易過ぎるのか、粒子同士を接着する強度が弱くなってしまう傾向が有った。ゼラチンは保水性が高い物質であるが、分子内に疎水性の高いアミノ酸も併せ持つため保水性が高すぎることは無いためか、光沢発現層最表面に残りにくい性質を示しつつも、粒子同士を接着する強度が弱くなり過ぎることも無い適度な保水性の高さを示していると考えられる。
加えて、ゼラチンが旧来より接着剤として使用されていることからも分かるように接着力が強く強靭な物質であることも、粒子同士を接着する強度の向上に寄与していると推察される。
本発明のインクジェット記録体の光沢発現層に用いられるゼラチンとしては、牛、羊、豚、鶏、あるいは魚等の皮、骨、腱などの主タンパク成分であるコラーゲンを原料としたゼラチンであれば何れでも使用できるが、牛骨、牛皮又は豚皮を原料としたゼラチンが工業原料として安価に購入しやすく好ましい。ゼラチンの種類としては特に制限はなく、アルカリ処理ゼラチン、酸処理ゼラチンを、単独又は組み合わせて使用することが可能である。また、ゼラチン誘導体等も単独又は組み合わせて用いることができる。ゼラチン誘導体としては、例えば、ゼラチンを無水フタル酸などの酸無水物やフェニルイソシアネートなどのイソシアネート類で処理してゼラチンのアミノ基を不活性化して得られるゼラチン誘導体等があり、また好ましく用いられる。
一般的なゼラチンのアミノ酸組成は、側鎖に極性基をもつアミノ酸の割合は約35%あり、残りの約65%は測鎖に非極性基を持つ。極性基の内訳はおよそ、水酸基15%、酸性基12%、塩基性基8%である。
ゼラチンの原料であるコラーゲンは線維を形成しており水に不溶性であるため、ゼラチンを製造する際には、このコラーゲンを酸またはアルカリで前処理した後、熱加水分解して可溶化する必要がある。この前処理に酸を使用するかアルカリを使用するかで、アルカリ処理ゼラチンと酸処理ゼラチンに分かれる。
ゼラチンのアミノ酸組成中、側鎖に酸性基をもつグルタミン酸、アスパラギン酸は、コラーゲン中では一部がアマイド化されており、コラーゲンの等電点は一般にpH9〜9.2である。しかし、ゼラチンの製造工程中にコラーゲン中の酸アマイドは加水分解され、アンモニアを遊離してカルボキシル基に変化する脱アマイド反応が起こり、ゼラチンの等電点は低下する。酸処理ゼラチンでは脱アミド率が低いため等電点はコラーゲンに近い6〜9程度のものが多く、また分子ごとの脱アミドの程度も異なるため、等電点分布もブロードである。逆にアルカリ処理ゼラチンは大部分の酸アマイドが脱アマイドされているため多くは等電点5前後であり、また分子ごとの脱アミドの程度も一様でありシャープな等電点分布となる。
本発明において、光沢発現層に用いられるゼラチンの等電点は、特に限定されないが、等電点7以上のものはインクの吸収性が良好なため好ましく用いられる。その理由は必ずしも定かではないが以下のように推察される。ゼラチンは、酸性、塩基性両アミノ酸を含む両性電解質であるが、等電点7以上のゼラチンであれば、光沢発現層中で塩基性アミノ酸が正に荷電し易くなり、負に荷電しているインクジェット記録用インクを素早く定着し易くなるため、吸収性が良化したものと推察される。特に光沢発現層塗液のpHが酸性である場合にこの傾向は顕著となる。より好ましい等電点は8以上である。
保水性、インク吸収性の点からは酸処理ゼラチンを用いることが好ましい。
アルカリ処理ゼラチンは、酸処理ゼラチンと比較してインクの吸収性が悪化し易い傾向が有る。その理由は必ずしも定かではないが以下のように推察される。ゼラチンは、酸性、塩基性両アミノ酸を含む両性電解質であるが、等電点7以上のゼラチンであれば、光沢発現層中で塩基性アミノ酸が正に荷電し易くなり、負に荷電しているインクジェット記録用インクを素早く定着し易くなるため、吸収性が良化するものと推察される。特に光沢発現層塗液のpHが酸性である場合にこの傾向は顕著となる。しかしアルカリ処理ゼラチンでは、塩基性アミノ酸が正に荷電し難いため、吸収性が低下し易い。
一方、本発明者らは検討を重ねた結果、アルカリ処理ゼラチンを含有する光沢発現層は、酸処理ゼラチンを含有する光沢発現層に較べ、キャスト仕上げした場合に生産性が大幅に改善されることを見出した。
光沢発現層に用いるアルカリ処理ゼラチンの等電点は4〜6が好ましい。この範囲内であれば、等電点分布はよりシャープなものとなり易く、生産性が高まり易い。
アルカリ処理ゼラチンは、キャストドラム等の塗工装置から剥がれ易い性質を示すため、生産性が良いものと推測される。その理由は必ずしも定かではないが以下のように推測される。
アルカリ処理ゼラチンでは分子ごとの脱アミドの程度が一様でありシャープな等電点分布となるため、各分子は一様に糸まり状となり易く、全体としてキャストドラム等の塗工装置表面からの剥離性が良化する。しかし酸処理ゼラチンではこの現象は見られない。これは恐らく、酸処理ゼラチンでは等電点分布がブロードであり、ゼラチン分子が一様に糸まり状とならないためであると推測される。
キャスト仕上げについては段落[0095]以降に詳細を記述するが、キャスト仕上げにおいては、光沢発現層中にキャストドラム等の塗工装置から剥がれ難い物質が含まれていた場合、光沢発現層塗工層の一部がキャストドラム等の塗工装置上に堆積して汚れとなり、連続的なキャスト仕上げが出来なくなる問題が発生する。一度この問題が発生すると、塗工を中断して塗工装置から汚れの除去を行なう必要があり、生産性は激しく低下することになる。
段落[0102]以降に記述の離型剤の使用は、この汚れの発生を遅らせる効果はあるが、光沢発現層にキャストドラム等の塗工装置から剥がれ難い物質が含まれている以上、離型剤を使用したとしてもある程度の連続的なキャスト仕上げにより汚れの程度が許容出来ない状態に達するのは免れない。良好な生産性を達成するには、光沢発現層中には、キャストドラム等の塗工装置から剥がれ難い物質を含有しない必要があると考えられる。
本発明において、光沢発現層に用いられるゼラチンの平均分子量は好ましくは2〜30万であり、また、ゼリー強度(PAGI法、ブルーム式ゼリー強度計による)は150g以上が好ましく、180〜320gであることがより好ましく、200〜300gであることが更に好ましい。ゼリー強度を150g以上とすることで、塗膜強度が向上する傾向が有り、また、強い曲げによるひび割れ(塗工層割れ)の防止が改良される傾向が有る。 一方、強度の大きいゼラチンを使用するとインク吸収性が下がる傾向があるため、好ましいゼリー強度の目安は320g以下である。目的の塗膜強度と吸収性によって最適なゼリー強度のゼラチンを適宜使い分け、あるいは併用することが出来る。
光沢発現層塗工液のpHは、光沢発現層に用いるゼラチンの等電点±2の範囲内が好ましい。pHをこの範囲内とすることで、キャストドラム等の塗工装置に汚れがより発生し難くなり、生産性はより向上する。
pHの調整には、公知の酸やアルカリをいずれも使用可能であるが、キャスト仕上げされる際のキャストドラム等の温度において液体又は気体を示す酸やアルカリを用いると、同温度で固体の酸やアルカリと比較してキャストドラム等の塗工装置表面に蓄積し難いのか、生産性が良化する傾向が有り好ましい。ただし特に液体の酸やアルカリの場合、不快な臭気が無い方が記録体に不快な臭気を与え難いため好ましい。加えて液体の酸やアルカリの場合、硫酸のように脱水作用が強い等の反応性の高い酸やアルカリを用いない方が記録体の耐候性を高め易く好ましい。一方、気体の酸やアルカリであれば、臭気等があっても乾燥工程中等で揮発し易いため問題にならない場合が多い。好ましい酸としては、乳酸、リン酸、塩酸、酢酸が、アルカリとしてはアンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが例示できる。特に好ましい酸はL−乳酸、特に好ましいアルカリはアンモニアである。
一方、本発明の記録体が優れた耐搬送傷性を示す理由は必ずしも定かではないが、以下のように推察される。
C型給紙の際、記録体の印刷面は、プリンタ内部の狭い給紙経路内で反転させられる際、プリンタの給紙経路に擦れさせられる。給紙経路は一般的にプラスチック部材で製造されていることが多いが、この部分には、記録体に付着して持ち込まれたごみやチリ、また、記録体から欠落した紙粉や、欠落した塗工層等の異物が付着しやすい。そのため記録体は、給紙経路のプラスチック部材で傷つけられるだけではなく、これら異物によっても傷つけられることになる。特に、インクジェット記録体から欠落した塗工層には、シリカやアルミナ等の硬質な粒子が含まれている場合が多く、これらは記録体の搬送傷を悪化させやすい。
そのため、C型給紙の際の搬送傷を防ぐには、光沢発現層表面に、硬質な粒子を配置する必要が有る。光沢発現層表面に接着剤が配置されると、それは給紙経路に付着した異物より軟らかいことが殆どであるため、搬送傷を防止するのは難しい。
しかし逆に、光沢発現層に接着剤が配置されなければ、粒子同士の結着が弱くなり、粒子の欠落が多くなってしまうといった、塗工層強度が弱くなる問題が発生する。そのため搬送傷を防止し、かつ塗工層強度が弱くならないようにするためには、接着剤が粒子同士を接着する強度が強いものであり、かつ光沢発現層最表面に接着剤が残りにくいことが求められる。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、平均一次粒子径5〜50nmの顔料を含有するインク定着層上にコロイド粒子とゼラチンを含有する光沢発現層を設けることによって、光沢発現層最表面に接着剤が残りにくくなることを見出した。即ち、平均一次粒子径5〜50nmの顔料を含有することにより、インク定着層には微小な細孔が多く形成され、強い毛細管力を生ずるようになると考えられる。この毛細管力により、光沢発現層の接着剤が光沢発現層最表面に残りにくくなると推察される。
但し、この現象はどのような接着剤でも同様におこるわけではない。例えば、水分散性接着剤では、このような効果は少ない。本発明者らの検討の結果、このような効果が大きく、かつ、粒子同士を接着する強度が強い接着剤は、ゼラチンであることが分かった。ゼラチンが光沢発現層最表面に残りにくい理由は段落[0068]で述べたとおりである
また、C型給紙の際に起こりやすいもうひとつの問題である、記録体がプリンタ内部の狭い給紙経路内で回転させる際に丸められ、丸められた外側となる塗工層に塗工層割れを発生しやすいという傾向についても、本発明のインクジェット記録体で解決される。
その理由はあくまで推測の域を出ないが、丸められた際に記録体にかかる応力は、丸められた際の外側にあたる光沢発現層で最も大きくなる。そのため、光沢発現層が強靭で、かつ柔軟性を持っていることが、塗工層割れを防止する上で最も重要になると考えられる。本発明では、接着力が強く、柔軟性のあるゼラチンを光沢発現層に含有させることにより、塗工層割れを防止していると考えられる。特にこの塗工層割れが悪化しやすい低湿環境下において、その効果は顕著である。これは、ゼラチンは保水力が高いため低湿環境下でも水分を失いにくく柔軟性を保ちやすい傾向が有ると思われ、水分散性接着剤等に比べて低湿環境下でも塗工層割れを防止する効果が高いためと推察される。
本発明において、光沢発現層におけるゼラチンの使用量は、光沢発現層中のゼラチン量をコロイド状粒子に比して少なくすることで、ゼラチンが光沢発現層最表面に残りにくくし、搬送傷防止効果を高めることができる。ただし、ゼラチンが多いほうがコロイド状粒子同士の結着が強まり、コロイド状粒子の欠落を防いだり、耐ひび割れ性を向上させる傾向がある。そのため、好ましいゼラチンの添加量はコロイド状粒子100質量部に対して1〜50質量部であり、より好ましくは1〜20質量部であり、さらに好ましくは2〜10質量部である。
本発明の光沢発現層では、ゼラチンと併用して、水分散性接着剤を使用することも可能であり、また好ましい。水分散性接着剤を使用することで、コロイド状粒子の欠落を防いだり、光沢が向上する傾向がある。光沢発現層にゼラチンを用いた場合、併用するコロイド粒子の種類によっては、その理由は必ずしも明らかではないが、光沢性が若干低下する傾向が見られる場合がある。特にこのような場合には、水分散性接着剤を使用して光沢を向上させることは、銀塩方式の写真の品質に近い記録画像を得るために有効である。ただし、水分散性接着剤の使用量が少ないほうが搬送傷防止効果が高まる傾向があるため、好ましい水分散性接着剤の添加量はコロイド状粒子100質量部に対して15質量部以下であり、より好ましくは1〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜8質量部である。
水分散性接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂やメチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体やその誘導体等のアクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂、ポリカーボネート等のポリウレタン樹脂等の公知の水分散性接着剤を単体もしくは併用して用いることができるが、得られる記録体の光沢性及び印字濃度の面で、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が特に好ましい。
また、水分散性接着剤の粒子径は、0.2μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。粒子径を0.2μm以下とすることで、光沢や印字濃度がより向上する傾向がある。
本発明の光沢発現層では、ゼラチンと併用して、他の水溶性樹脂を使用することも可能である。親水性樹脂を使用することで、コロイド状粒子の欠落を防いだり、耐塗工層割れ性を向上させる傾向がある。ただし、水溶性樹脂の使用量が少ないほうが搬送傷防止効果が高まる傾向があるため、好ましい水溶性樹脂の添加量はコロイド状粒子100質量部に対して25質量部以下であり、より好ましくは1〜10質量部であり、さらに好ましくは1〜5質量部である。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコールやカチオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カゼインや大豆蛋白、合成蛋白等のたんぱく質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カラギーナンや寒天、キトサン等の多糖類、等の公知の親水性樹脂を単体もしくは併用して用いることができる。
特に、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体を使用すると、記録体の搬送性が良化する傾向が有るため、好ましい。
また、カチオン性水溶性樹脂を用いれば、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、これにより印字画像に耐水性を付与することができるため好ましい。
カチオン性化合物としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、(ロ)第2級又は第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、又はそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミン及びポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(ヘ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO2重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO2重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。
また、搬送傷防止効果を最大にするためには、ゼラチン、もしくは、光沢発現層に添加される他の水溶性樹脂、及び水分散性接着剤は、架橋されないことが好ましい。これらを架橋させずに塗工することで、光沢発現層最表面に接着剤を残りにくくし、搬送傷防止効果を高めることができる。
光沢発現層に含有される粒子は、記録体表面にできるだけ均一で高平滑に配置される必要が有り、これを達成するためには、粒子はコロイド状粒子である必要が有る。粒子がコロイド状でない場合は、記録体表面が均一で高平滑にならずにごく微小な凹凸ができてしまい、C型給紙の際、給紙経路に付着した異物がこれら微小な凹凸に引っかかり、傷を発生させてしまう。また、コロイド状粒子を用いることは、インクジェット記録体の高光沢、高印字濃度を達成する上でも必要である。
本発明の光沢発現層に使用されるコロイド状粒子とは、水中に分散してコロイド状をなしている無機粒子或いは有機粒子であり、動的散乱法により測定される平均粒子径が10nm〜1000nmのものを指す。
なお本発明における平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製LB−500)を用いて測定した平均粒子径である。
無機粒子としては、例えば、コロイダルシリカ、1次粒子が複数個結合した房状や鎖状などのコロイダルシリカ、特公昭47−26959号公報に例示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子、コロイド状をなすサイズで分散されたゼオライトや炭酸カルシウム等のナノコロイド、アルミナ、コロイダルアルミナ、ベーマイト等のアルミナ水和物、表面修飾されたアルミニウム酸化物又はその水和物、特開2005−238814に例示される平均屈折率が2.1〜2.9の無機微粒子等が挙げられる。
また有機粒子としては、ポリスチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、尿素樹脂やメラミン樹脂等のアミノ樹脂、ナイロン12等のポリアミド樹脂、等の樹脂の有機粒子が挙げられる。
これらを単独あるいは2種以上併用することが可能であるが、無機粒子を用いると、搬送傷防止効果がより高まる傾向があるため好ましい。特にコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、又は、コロイダルシリカや無定形シリカを保護コロイドを作る能力のある水溶性化合物の存在下で分散・解砕したものを用いることが好ましい。ここで無定形シリカとしては、一次粒子径が小さく二次粒子径が大きくて解砕しにくいゲル法シリカより一次粒子径が大きめで解砕しやすい沈降法シリカや気相法シリカがより好ましく、二次粒子径が小さい気相法シリカは更に好ましい。
加えて光沢発現層のコロイド状粒子は、インクを定着させる機能を有するカチオン性コロイド状粒子が好ましい。カチオン性コロイド状粒子は、上述のコロイド状粒子の内、該粒子表面が正に帯電した粒子を指し、例えば、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、特公昭47−26959号公報に例示されているようなコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子、また、保護コロイドを作る能力のある水溶性化合物としてカチオン性樹脂等を選択しその存在下で分散・解砕した気相法シリカも、好ましく使用される。
また、コロイド状粒子の粒子径は、300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。粒子径を300nm以下とすることで、記録体表面がより均一で高平滑になり微小な凹凸ができにくいためか、搬送傷を防止する効果が高まり、加えて、光沢や印字濃度がより向上する傾向があるため、好ましい。
また、該コロイド状粒子は球状であることが特に好ましい。球状であることによって給紙経路に付着した異物が引っかかりにくくなり、搬送傷防止効果が高まる。ただし球状のコロイド状粒子を用いた場合、インクジェットプリンタの搬送性として、以下のような問題が起こりやすい。
C型給紙の場合、記録体は光沢発現層と反対側の面に、搬送用のゴムロールが押し当てられて搬送されるが、もうひとつの給紙方法であるJ型給紙では、搬送用のゴムロールは光沢発現層の側に押し当てられる。この際、光沢発現層に用いられているコロイド状粒子が球状であると、搬送用ゴムロールが滑ってしまうため搬送されにくいことがある。そのためC型給紙とJ型給紙の両方の給紙方法に対応するためには、記録体は、傷つきにくいだけではなく、どのような環境下でも搬送されやすいことも必要である。
この問題も、光沢発現層にゼラチンを含有することによって解決される。ゼラチンは18種類のアミノ酸から成る両性電解物質であり、水分散性接着剤等に比べて保水力が高い。光沢発現層に保水力の高い物質が少量含有されると、空気中の水分を吸着して、ごく僅かなべたつきを生じさせ、ゴムロールが滑りにくくなる効果を生む。
一方で、空気中の水分が多く、かつゼラチンの量が多い場合には、べたつきが強くなり過ぎて記録体が重なって搬送される重送の発生が懸念されるが、該コロイド状粒子とゼラチンを併用した場合には、この問題は見られない。この理由は必ずしも定かではないが、該コロイド状粒子の存在により、べたつきの程度が搬送性に適切な範囲内になるためと思われる。そのため光沢発現層に該コロイド状粒子とゼラチンを併用することによって、どのような環境下でも搬送されやすい記録体を作成することができる。
また、本発明の光沢発現層は、該コロイド状粒子と併用して本発明の効果を損なわない範囲で、気相法シリカ、湿式法シリカ、メソポーラスシリカ、特許第03876610号公報に記載のコロイド状に分散したシリカシード液にアルカリを添加した後に該シード液に対して活性珪酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させて得る2次シリカ分散体、アルミナ、ベーマイト等のアルミナ水和物、水酸化アルミニウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、二酸化チタン、セピオライト、天然ゼオライトや人工ゼオライトや合成ゼオライト等のゼオライト類、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、モンモリロナイトやバイデライト、ヘクトライト、サポナイト、スチブンサイト等のスメクタイトや合成スメクタイトおよびそれらを含有するベントナイト等やハイドロタルサイト等の粘度類、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメントや尿素樹脂系プラスチックピグメントやベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等のプラスチックピグメント、等の公知の白色顔料を1種類以上用いることも出来るが、前述のように粒子がコロイド状でない場合は傷を発生させてしまう傾向があるため、添加量は該白色顔料の粒子径にもよるが、該コロイド粒子100質量部に対して10質量部以下であり、より好ましくは5質量部以下である。
さらに光沢発現層には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、浸透剤、帯電防止剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保存性改良剤、防腐剤等を適宜配合することもできる。
なお、後述するリウェット処理を行う場合は、上記添加剤はリウェット処理に用いる湿潤液に添加してもよい。
本発明における最表層の塗工液は、特に限定しないが、一般に固形分濃度1〜25質量%程度に調整される。固形分濃度を1%以上とすることで乾燥効率が向上する。また、25質量%以下とすることにより、塗工液の粘度が低下し塗工が容易になる。
塗工液の塗布される際の粘度は1000cps以下が好ましい。1000cps以下とすることで、ゼラチンが光沢発現層最表面に残りにくくなり、搬送傷防止効果が高まる傾向がある。
最表層の塗工量は、乾燥質量で、好ましくは0.2〜10g/m2、より好ましくは0.2〜5g/m2、更に好ましくは0.5〜3g/m2である。塗工量を0.2g/m2以上とすることにより優れた光沢性が得られ易くなり、かつインク吸収性も向上し、搬送傷防止効果や塗工層割れ防止効果を高め易くなる。10g/m2以下とすることにより、塗工層のひび割れが抑制されて均一な塗工面となり易く、光沢や印字濃度を高め易くなる。
<光沢発現層の形成方法>
光沢発現層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコーター、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ及びダイコータ等の各種公知の塗工装置を用いることができる。
また、スライドビードコータなどを用い、光沢発現層とインク定着層を同時に塗工することもできる。この場合は、インク定着層が湿潤状態のうちに光沢発現層をインク定着層の上に塗工する方法、すなわち、Wet on Wet法を用いることが好ましい。
上記光沢発現層は、上記成分を含む塗工液を塗工した後、光沢発現層を湿潤状態で鏡面ドラムに圧接する、いわゆるキャスト仕上げを採用する。
キャスト仕上げは、記録体に高光沢を付与することができ、かつ記録体表面での光の反射率を高めることで記録濃度を高めることもできるため、記録体の記録画像の品質を銀塩方式の写真の品質に近づけることができ、加えて、光沢発現層の平滑性を高め搬送傷防止効果を高める。
一般にキャスト仕上げとは、塗工層を、鏡面を有するキャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム、ガラス板等に圧接して乾燥し、鏡面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得ることである。
この中で、加熱した鏡面ドラムを利用するキャスト仕上げにより高光沢を付与する方法としては、
(イ)光沢発現層用塗工液をインク定着層上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、
(ロ)インク定着層上に塗工した光沢発現層を一旦乾燥後、その光沢発現層を再湿潤させて、加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、
(ハ)インク定着層上の光沢発現層をゲル化してゲル状塗工層とし、加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥して仕上げる方法(ゲル化キャスト法)、
(二)加熱された鏡面ドラムに直接光沢発現層用塗工液を塗工し、乾燥させて鏡面ドラム上に該光沢発現層塗工層を形成した後、基材上に上記鏡面ドラムを圧接し、上記光沢発現層塗工層を転移させて仕上げる方法(プレキャスト法)、
が挙げられる。
これらのキャスト仕上げにおいては、加熱された鏡面ドラムの温度は例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
さらに、キャスト仕上げとして、フィルム転写方式を採用することもできる。
フィルム転写方式とは、
(イ)上記の光沢発現層用塗工液をインク定着層上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に平滑なフィルムやシートを重ね、乾燥した後、平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、
(ロ)平滑なフィルムやシート上に光沢発現層用塗工液を塗工して、貼り合せようとするインク定着層面をある程度湿潤状態にした状態で、そのインク定着層面に圧接し、乾燥した後平滑なフィルムやシートを剥離して仕上げる方法、
である。
フィルム転写法に比べ、加熱した鏡面ドラムを用いるキャスト仕上げ方法のほうが、表面平滑性に優れる傾向があり、かつ生産性やコストの点で有利である場合が多い。
キャスト仕上げは、上記いずれの方法を用いてもよいが、本実施の形態の記録体では、支持体として透気性支持体を用いた場合は、インク受容層上に光沢発現層用塗布液を塗布した後、直ちに加熱された鏡面金属ドラムに圧着・乾燥して仕上げるウェットキャスト法を用いることが好ましい。
このウェットキャスト法では、均一な塗工層が形成されやすく、印字濃度が高く、光沢の優れた光沢発現層が得られ易い。
一方、基材に非透気性支持体を用いた場合、透気性支持体と同様の鏡面ドラム上で乾燥する一般のキャスト法を採用すると、蒸気が基材とドラムの間に溜まり、光沢を得ることができなくなる。
そこで、鏡面ドラムとプレスロールのニップ部で、プレスロール上のインク定着層面と鏡面ドラムの間に光沢発現層用塗布液を付与し、鏡面ドラムに圧接させることによって鏡面をきれいに塗工層に写し取り、直ちに鏡面ドラムより剥離した後、乾燥機等により乾燥を行うキャスト法を採用することにより光沢を得ることができる。
また、ゼラチン水溶液は温度の低下によりゾルからゲルに変化することが知られているが、本発明では、該光沢発現層の塗液を塗布した後、該塗液層を冷却することなく乾燥させ、塗液層をゲル化させないことが好ましい。塗液層をゲル化することなく乾燥することで、光沢発現層最表面に接着剤を残りにくくし、搬送傷防止効果を高めることができる。塗液層をゲル化させないために、光沢発現層塗液の温度は40℃以上であることが好ましく、かつ、塗布された塗液層の温度は30℃以下にならないことが好ましく、40℃以下にならないことがより好ましい。
そのため、本発明では、インク受容層上に光沢発現層用塗布液を塗布した後、直ちに加熱された鏡面金属ドラムに圧着・乾燥するウエットキャスト法を用いることが、また非透気性支持体を用いた場合は、インク受容層上に光沢発現層用塗布液を塗布した後、直ちに加熱された鏡面金属ドラムに圧接・剥離した後直ちに乾燥するキャスト法を用いるのが最も好ましい。
光沢発現層をキャスト仕上げする際、キャストドラムからの剥離をスムーズに行うために、離型剤を用いることが好ましい。離型剤は、光沢発現層塗布液に添加する方法、キャストドラム表面に塗工する方法、リウェット処理に用いる湿潤液に添加する方法のいずれか、あるいは組み合わせて用いられる。組み合わせて用いる場合、用いる離型剤は同一であっても、あるいはそれぞれ異なる種類を用いても良い。
離型剤としては公知のワックス類を用いることが出来る。これらのワックスとしては、動物由来のワックス(蜜蝋、ウールワックス、鯨蝋、シェラック蝋、いぼた蝋等)、植物由来のワックス(カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、ライスワックス等)、石油由来のワックス(マイクロクリスタリンワックス等)、炭化水素系合成ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス)、炭化水素系以外の合成ワックス(脂肪酸エステル系ワックス、脂肪酸アミド、ケトン・アミン類、水素硬化油等)、およびこれらの変成・加工ワックス(酸化ワックス、合成樹脂ブレンドワックス等)等が挙げられ、単独或は併用で用いられる。
上記ワックス類を、特に光沢発現層塗布液に添加する方法及び/またはリウェット処理に用いる湿潤液に塗布する方法で用いた場合、該ワックス類はインクジェット記録体表面に含まれ易くなる。
このとき該ワックス類は添加記録体のプリンター経路内でのすべりをよくすることで、搬送傷を防止する効果も期待できそうであるが、これは逆に、光沢発現層最表面に非常に薄いワックス層が形成され、給紙経路、又はそこに付着した異物によりこのワックス層が削り取られるためか、その使用量が多い場合には搬送傷となって目立ちやすい場合がある。
しかし、離型剤として親水性の高いワックス類を用いると、ゼラチンと共にインク定着層側に移動して光沢発現層最表面に留まり難くなるためワックス層が形成され難いのか搬送傷となって目立つことは少ないため、使用量を多くし生産性を良化させ易くなるため好ましい。加えて親水性の高い離型剤を用いると、水性のインクジェットインクの吸収性を良化させたり印字濃度を高め易くなるため好ましい。
このような離型剤としては、高級脂肪酸類(例えば慣用名、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、マルガリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、バクセン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等のアルカリ塩類や、高級脂肪酸類のアルキレンオキサイド付加物等の高級脂肪酸誘導体、高級脂肪族アミン類、高級脂肪酸アミド類、高級脂肪族アミン類又は高級脂肪酸アミド類のアルキレンオキサイド付加物、カルナバワックス等の植物性ワックス類、酸化ポリエチレンワックス類、レシチン等の脂質類、等が例示できる。
中でも高級脂肪族アミン類又は高級脂肪酸アミド類のエチレンオキサイド付加物は、付加されたエチレンオキサイド部が親水性を示すため親水性を高め易く、特に好ましく用いられる。
これら離型剤を最表層塗布液に添加する場合、その使用量は、離型性を維持できる範囲で出来る限り少量とするのが好ましく、用いる離型剤の種類にもよるが、コロイド状粒子100質量部に対して好ましくは10質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下である。
一方、離型剤をキャストドラム表面に塗工する方法で用いる場合には、総炭素数16〜18の脂肪酸が好ましい。総炭素数16〜18の脂肪酸としては、ヘキサデカン酸(慣用名パルミチン酸、数値表現16:0)、9−ヘキサデセン酸(パルミトイル酸、16:1)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸、17:0)、オクタデカン酸(ステアリン酸、18:0)、cis−9−オクタデセン酸(オレイン酸、18:1(9))、11オクタデセン酸(バクセン酸、18:1(11))、cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸(リノール酸、18:2(9,12))、9,12,15−オクタデカトリエン酸((9,12,15)リノレン酸、18:3(9,12,15))、6,9,12−オクタデカトリエン酸((6,9,12)リノレン酸、18:3(6,9,12,))、9,11,13−オクタデカトリエン酸((9,11,13)リノレン酸、18:3(9,11,13))等が例示される。
これらの内ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、cis−9−オクタデセン酸が好ましく、オクタデカン酸、cis−9−オクタデセン酸が更に好ましく、オクタデカン酸が最も好ましい。この理由は定かではないが、分子中に二重結合を持たない飽和脂肪酸の方が分子が嵩高くなり難いために、鏡面ドラム表面に密に配列しやすくなるものと推測される。
処理の方法としては、キャストドラム表面に上記の脂肪酸を塗布するだけではなく、塗布して、更にバフを掛けるのが良い。また、バフ掛け時には酸化第二鉄、酸化クロム、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化硼素、珪藻土、炭酸カルシウム等の微粉末の研磨材を脂肪酸と混合し処理するのが、更に効果的である。
キャストドラムとしてはクロムメッキした鏡面ドラムが好ましく用いられるが、この表面を処理する場合、炭化珪素や窒化硼素は硬すぎてクロムメッキ面の磨耗が強く、珪藻土は粗大な粒子径のものを含んでいる場合があり傷がつく可能性があり、炭酸カルシウムは柔らかいために研磨の効果が小さすぎる。酸化クロムは三価であり安全とされているが、可能であれば代替物を使用するのが好ましい。したがって、酸化第二鉄、酸化アルミニウムの微粉末が特に好ましい。特に酸化アルミニウムは各種粒子径のものがあり、最も好ましい。
研磨剤と脂肪酸を混合してバフ掛けした場合にその効果が大きい理由は定かではないが、上記の研磨材と脂肪酸を混合してバフ掛けすることにより、鏡面ドラム表面の汚れや酸化皮膜が除去され、活性なクロム表面が現れた瞬間に、脂肪酸の親水基が活性なクロム表面に吸着し、脂肪酸の多層分子膜が鏡面ドラム表面に形成されるためと推測される。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
また、以下に示す実施例及び比較例中の「質量部」及び「質量%」は、特に断らない限り、それぞれ水を除く固形分の「質量部」及び「質量%」を示す。
<支持体の作製>
[透気性支持体(紙基材)A]
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100質量部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、市販サイズ剤0.12質量部、硫酸バンド0.45質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量170g/m2の紙基材を得た後、100kg/cmの線圧でスーパーカレンダー処理を施した。
得られた透気性支持体(紙基材)Aの厚さは185μm、サイズ度は220秒、平滑度は110秒、透気度は60秒であった。
[下塗り層を設けた透気性支持体(紙基材)B]
透気性支持体(紙基材)Aのワイヤー面側に、下記下塗り層用塗布液を、乾燥質量で10g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した後、30kg/cmの線圧でスーパーカレンダー処理を施し、下塗り層を設けた透気性支持体(紙基材)Bを得た。
得られた下塗り層を設けた透気性支持体(紙基材)Bの厚さは204μm、透気度は65秒であった。
[下塗り層塗布液]
合成非晶質シリカ〔商品名:ファインシールX−30、(株)トクヤマ社製、平均粒子径3.2μm〕100部、アクリル系水分散性接着剤〔商品名:ポリゾールAM3150、昭和高分子(株)社製〕30部、水溶液としたシリル変性ポリビニルアルコール〔商品名:R1130、クラレ(株)社製〕5質量部、蛍光染料〔商品名:WhitexBPScc、住友化学(株)社製〕2部をホモミキサにより混合し、固形分濃度25%とした下塗り層用塗布液を調製した。
[非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)C]
透気性支持体(紙基材)Aの両面にコロナ放電処理を施した後、紙基材のワイヤー面側に塗工量が27g/m2となるようにバンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、また、紙基材のフェルト面側に塗工量が30g/m2となるようにポリオレフィン樹脂組成物2を、それぞれT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、紙基材のワイヤー面側を鏡面のクーリングロールで、また、紙基材のフェルト面側を粗面のクーリングロールで、それぞれ冷却固化した。
得られた非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)は6000秒、不透明度(JIS P 8138)は93%であった。
[ポリオレフィン樹脂組成物1]
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.90g/cm3、メルトインデックス20g/10分、曲げ弾性率6700kg/cm2)35質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm3、メルトインデックス2g/10分、曲げ弾性率2800kg/cm2)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(商品名:A−220、石原産業社製)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(商品名:Irganox1010、チバガイギー社製)0.03質量部、群青(商品名:青口群青No.2000、第一化成社製)0.09質量部、蛍光増白剤(商品名:UVITEX OB、チバガイギー社製)0.3質量部。
[ポリオレフィン樹脂組成物2]
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.95g/cm3、メルトインデックス20g/10分、曲げ弾性率800kg/cm2)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm3、メルトインデックス2g/10分、曲げ弾性率2800kg/cm2)35質量部。
[ポリオレフィン樹脂組成物3]
低密度ポリエチレン樹脂(密度0.91g/cm3、メルトインデックス15g/10分、曲げ弾性率12500kg/cm2)100質量部。
<インク定着層塗工液の作製>
[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子]
平均一次粒子径が約7nmの気相法シリカ(商品名:アエロジルA300、日本アエロジル(株)社製)を用い、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が0.1μmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカの水分散液を調製した。
前記10質量%水分散液100質量部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ(株)社製、分子量30万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.1μmのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の12質量%水分散液を調製した。
[インク定着層塗工液A]
前記シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子110質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ社製、重合度4500、ケン化度99%)11質量部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ボンコートSFC−571、大日本インキ工業(株)社製)3質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%のインク受容層用塗工液Aを調製した。
[インク定着層塗工液B]
平均一義粒子径が約13nmのアルミナ(商品名:酸化アルミニウムC、日本アエロジル(株)社製)を、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が0.15μmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のアルミナの水分散液を調製した。
該アルミナ水分散液100質量部、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ社製、分子量30万)10質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ社製、重合度4500、ケン化度99%)11質量部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ボンコートSFC−571、大日本インキ工業(株)社製)3質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%のインク受容層用塗工液Bを調製した。
[インク定着層塗工液C]
合成非晶質シリカ(商品名:ファインシールG80、(株)トクヤマ社製、平均粒子径約1.4μm)100質量部、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ社製、分子量30万)10質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−145、(株)クラレ社製、重合度4500、ケン化度99%)11質量部、アクリル系水分散性接着剤(商品名:ボンコートSFC−571、大日本インキ工業(株)社製)3質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%のインク受容層用塗工液Cを調製した。
[インク定着層塗工液D]
合成非晶質シリカ(商品名:サイリシア470、富士シリシア化学(株)社製、平均粒子径 約14μm)、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、(株)クラレ社製、重合度1700、ケン化度99%)60質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度16%のインク受容層用塗工液Dを調製した。
[インク定着層塗工液E]
硝酸でpH2.5に調整した純水に、気相法シリカ〔商品名:レオロシールQS−20、(株)トクヤマ社製〕100質量部を分散して20%のシリカ分散液を調製した。これに5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(商品名:SC−700、ハイモ社製、分子量30万)20質量部、ホウ酸及びホウ砂を7:3で溶解した6%水溶液を4.5質量部添加し、平均粒子径が0.058μmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散した。
得られた分散液を40℃でホモミキサにより攪拌しながら、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルアルコール〔商品名:PVA235、(株)クラレ社製〕16.6部、アクリル系水分散性接着剤(粒径28nm、ガラス転移温度−12℃)2.8質量部を加え、固形分濃度11.7%のインク受容層用塗工液Eを調製した。
<光沢発現層塗工液の作製>
[光沢発現層塗工液A1]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ〔商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性〕100質量部、水溶液とした酸処理ゼラチン〔商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g〕8質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂〔商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm〕4質量部、離型剤としてステアリン酸アミド水分散液2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液A1を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
[光沢発現層塗工液B1]
光沢発現層塗工液A1のゼラチンを、アルカリ処理ゼラチン〔商品名:G−0665K、新田ゼラチン(株)社製、等電点5、ゼリー強度250g〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液B1を調整した。
[光沢発現層塗工液C1]
光沢発現層塗工液A1のゼラチンを、酸処理ゼラチン〔商品名:G−0666K、新田ゼラチン(株)社製、等電点7、ゼリー強度316g〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液C1を調整した。
[光沢発現層塗工液D1]
光沢発現層塗工液A1のゼラチンを、酸処理ゼラチン〔商品名:G−0668K、新田ゼラチン(株)社製、等電点8.5、ゼリー強度170g〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液D1を調整した。
[光沢発現層塗工液E1]
コロイド状粒子として数珠状コロイダルシリカ〔商品名:スノーテックスPS−S、日産化学工業(株)社製、平均粒子径80〜120nm、数珠状粒子、アニオン性〕100質量部、水溶液とした酸処理ゼラチン〔商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g〕8質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂〔商品名:ハイドランWLS−213、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径50nm〕4質量部、離型剤としてステアリン酸水分散液2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液E1を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
[光沢発現層塗工液F1]
光沢発現層塗工液A1のコロイド状粒子をコロイド状アルミナ〔商品名:カタロイドAS−3、触媒化成工業(株)社製、平均粒子径100nm×10nm、針状粒子、カチオン性〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液F1を調整した。
[光沢発現層塗工液G1]
光沢発現層塗工液A1のコロイド状粒子をコロイド状アクリル系有機粒子〔商品名:XOM−3057、三井化学(株)社製、平均粒子径87nm、球形粒子、カチオン性〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液G1を調整した。
[光沢発現層塗工液H1]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性)100質量部、水溶液とした酸処理ゼラチン〔商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g〕45質量部、離型剤としてステアリン酸アミド水分散液2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液Hを調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
[光沢発現層塗工液I1]
光沢発現層塗工液A1の水分散性接着剤をアクリル酸エステル樹脂〔商品名:X506−526E−67、サイデン化学(株)社製、平均粒子径34nm〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液I1を調整した。
[光沢発現層塗工液J1]
光沢発現層塗工液A1の水分散性接着剤をスチレン−ブタジエン共重合樹脂〔商品名:OX−1112、日本ゼオン(株)社製、平均粒子径135nm〕とした以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液J1を調整した。
[光沢発現層塗工液K1]
光沢発現層塗工液A1の水分散性接着剤を使用しなかった以外は光沢発現層塗工液A1と同様にして、光沢発現層塗工液K1を調整した。
[光沢発現層塗工液L1]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ〔商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性〕100質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂〔商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm〕25質量部、離型剤としてステアリン酸アミド水分散液2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液L1を調製した。
[光沢発現層塗工液M1]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ〔商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性〕100質量部、水溶液としたポリビニルアルコール〔商品名:PVA−117、(株)クラレ社製、重合度1700、ケン化度99%〕8質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂〔商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm〕4質量部、離型剤としてステアリン酸アミド水分散液2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液M1を調製した。
[光沢発現層塗工液N1]
光沢発現層塗工液C1のコロイド状粒子をアクリル系有機微粒子〔商品名:MR−3GSN、綜研化学(株)社製、平均粒子径3μm、球形粒子〕とした以外は光沢発現層塗工液C1と同様にして、光沢発現層塗工液N1を調整した。
[光沢発現層塗工液O1]
水溶液とした酸処理ゼラチン〔商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g〕48質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルピロリドン〔商品名:K−90、BASF(株)社製〕48質量部、水分散性接着剤としてアクリル酸エステル樹脂〔商品名:X506−526E−67、サイデン化学(株)社製、平均粒子径34nm〕4質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液O1を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
[光沢発現層塗工液P1]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ〔商品名:シリカドール20、日本化学工業(株)社製、平均粒子径10〜15nm、球形粒子、アニオン性〕100質量部、水溶液とした酸処理ゼラチン〔商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g〕5質量部、離型剤としてステアリン酸アミド水分散液2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度20%の光沢発現層塗工液P1を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
[光沢発現層塗工液Q1]
気相法シリカ〔商品名:レオロシールQS−09、トクヤマ社製、平均粒子径 約100〜300nm〕100質量部、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物〔商品名:SC−700、ハイモ(株)社製、分子量30万〕4質量部をホモミキサにより混合した後、高速流衝突型ホモジナイザーで分散し、平均粒子径が200nmの10質量%水分散液を調製した。
該水分散液に、水溶液としたアルカリ処理ゼラチン〔商品名:G−0665K、新田ゼラチン(株)社製、等電点5、ゼリー強度250g〕30質量部、エチレングリコールジエチルエーテル4質量部、界面活性剤0.3部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液Q1を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。
[光沢発現層塗工液A2]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性)100質量部、水溶液としたアルカリ処理ゼラチン(商品名:S−510、(株)ニッピ社製、等電点5.0、ゼリー強度215g)8質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂(商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm)4質量部、離型剤として高級脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物(商品名:ライトピールOK−1、共栄社化学(株)社製)2質量部、L−乳酸0.5質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液A2を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。塗工液のpHは4.5であった。
[光沢発現層塗工液B2]
光沢発現層塗工液A2のL−乳酸を、3.8部とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液B2を調整した。塗工液のpHは2.5であった。
[光沢発現層塗工液C2]
コロイド状粒子としてアニオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス20L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球状粒子、アニオン性)100質量部、水溶液としたアルカリ処理ゼラチン(商品名:S−510、(株)ニッピ社製、等電点5.0、ゼリー強度215g)8質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂(商品名:ハイドランWLS−213、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径50nm)4質量部、離型剤としてオレイン酸アンモニウム(商品名:DEF−116T、(株)日新化学研究所社製)2質量部、L−乳酸0.8質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液C2を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。塗工液のpHは8.0であった。
[光沢発現層塗工液D2]
光沢発現層塗工液A2のアルカリ処理ゼラチンを、アルカリ処理ゼラチン(商品名:G−0701K、新田ゼラチン(株)社製、等電点5.0、ゼリー強度264g)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液D2を調整した。塗工液のpHは4.6であった。
[光沢発現層塗工液E2]
光沢発現層塗工液A2のコロイド状粒子を数珠状コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスPS−S−AK、日産化学工業(株)社製、平均粒子径135nm、数珠状粒子、カチオン性)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液E2を調整した。塗工液のpHは4.4であった。
[光沢発現層塗工液F2]
光沢発現層塗工液A2のコロイド状粒子をコロイダルアルミナ(商品名:カタロイドAS−3、触媒化成工業(株)社製、平均粒子径100nm、針状粒子、カチオン性)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液F2を調整した。塗工液のpHは5.6であった。
[光沢発現層塗工液G2]
光沢発現層塗工液A2のコロイド状粒子をコロイド状アクリル系有機粒子(商品名:XOM−3057、三井化学(株)社製、平均粒子径87nm、球形粒子、カチオン性)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液G2を調整した。塗工液のpHは4.5であった。
[光沢発現層塗工液H2]
光沢発現層塗工液A2のL−乳酸0.5質量部をD,L−リンゴ酸0.3質量部とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液H2を調整した。塗工液のpHは4.5であった。
[光沢発現層塗工液I2]
光沢発現層塗工液A2の高級脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物2質量部をポリエチレンワックス(商品名:PEM−17、サンノプコ(株)社製)2質量部とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液I2を調整した。塗工液のpHは4.7であった。
[光沢発現層塗工液J2]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性)100質量部、水溶液としたアルカリ処理ゼラチン(商品名:S−510、(株)ニッピ社製、等電点5.0、ゼリー強度215g)45質量部、離型剤として級脂肪酸酸アミドのエチレンオキサイド付加物(商品名:ライトピールOK−1、共栄社化学(株)社製)2質量部、L−乳酸1.6質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液J2を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。塗工液のpHは4.5であった。
[光沢発現層塗工液K2]
光沢発現層塗工液A2の水分散性接着剤をアクリル酸エステル樹脂(商品名:X506−526E−67、サイデン化学(株)社製、平均粒子径34nm)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液K2を調整した。塗工液のpHは4.1であった。
[光沢発現層塗工液L2]
光沢発現層塗工液A2の水分散性接着剤をスチレン−ブタジエン共重合樹脂(商品名:OX−1112、日本ゼオン(株)社製、平均粒子径135nm)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液L2を調整した。塗工液のpHは4.8であった。
[光沢発現層塗工液M2]
光沢発現層塗工液A2の水分散性接着剤を使用しなかった以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液M2を調整した。
[光沢発現層塗工液N2]
光沢発現層塗工液A2のアルカリ処理ゼラチンを、酸処理ゼラチン(商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液N2を調整した。塗工液のpHは4.5であった。
[光沢発現層塗工液O2]
コロイド状粒子としてアニオン性コロイダルシリカ(商品名:スノーテックス20L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球状粒子、アニオン性)100質量部、水溶液とした酸処理ゼラチン(商品名:G−0667K、新田ゼラチン(株)社製、等電点9.1、ゼリー強度290g)8質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂(商品名:ハイドランWLS−213、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径50nm)4質量部、離型剤としてオレイン酸アンモニウム(商品名:DEF−116T、(株)日新化学研究所社製)2質量部、L−乳酸0.4質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液O2を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。塗工液のpHは8.6であった。
[光沢発現層塗工液P2]
コロイド状粒子としてコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスAK−L、日産化学工業(株)社製、平均粒子径40〜50nm、球形粒子、カチオン性)100質量部、水分散性接着剤としてウレタン樹脂(商品名:ハイドランCP−4070、大日本インキ工業(株)社製、平均粒子径28nm)25質量部、離型剤として級脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物(商品名:ライトピールOK−1、共栄社化学(株)社製)2質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液P2を調製した。塗工液のpHは4.2であった。
[光沢発現層塗工液Q2]
光沢発現層塗工液A2のアルカリ処理ゼラチンを、水溶液としたポリビニルアルコール(商品名:PVA−217、(株)クラレ社製、重合度1700、ケン化度88%)とした以外は光沢発現層塗工液A2と同様にして、光沢発現層塗工液Q2を調整した。塗工液のpHは4.8であった。
[光沢発現層塗工液R2]
光沢発現層塗工液C2のコロイド状粒子をアクリル系有機微粒子(商品名:MR−3GSN、綜研化学(株)社製、平均粒子径3μm、球形粒子)とした以外は光沢発現層塗工液C2と同様にして、光沢発現層塗工液R2を調整した。塗工液のpHは7.4であった。
[光沢発現層塗工液S2]
水溶液としたアルカリ処理ゼラチン(商品名:S−510、(株)ニッピ社製、等電点5.0、ゼリー強度215g)48質量部、水溶性接着剤として水溶液としたポリビニルピロリドン(商品名:K−90、BASF(株)社製)48質量部、水分散性接着剤としてアクリル酸エステル樹脂(商品名:X506−526E−67、サイデン化学(株)社製、平均粒子径34nm)4質量部、消泡剤0.1質量部をホモミキサにより混合し、固形分濃度10%の光沢発現層塗工液S2を調製した。なお、各材料を混合する際の温度は40℃とした。塗工液のpHは6.0であった。
<架橋剤塗工液の作製>
[架橋剤塗工液A]
硼砂100質量部、粘度調整剤として水溶液としたセルロース誘導体〔商品名:ポイズC−150L、花王(株)社製〕10質量部、界面活性剤1質量部をホモミキサにて混合し、固形分濃度3%の架橋剤塗工液を調整した。
[架橋剤塗工液B]
ギ酸カルシウム20質量部、カチオン性化合物としてジメチルアミンエピクロルヒドリン 〔商品名:パピオゲンP−103、センカ(株)社製〕100質量部をホモミキサにて混合し、固形分濃度6%の架橋剤塗工液を調整した。
<インクジェット記録体の作製>
(実施例1)
作製した下塗り層を設けた透気性支持体(紙基材)Bの一方の面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/m2となる量の前記架橋剤塗工液Aを、次いで乾燥塗工量が10g/m2となる量のインク定着層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥してインク定着層を形成した。
次に、該インク定着層上に、光沢発現層塗工液A1を塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、かつ該塗液層を冷却することなく、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。鏡面ドラムに圧着される際の光沢発現層塗液層の温度は65℃であった。なお、光沢発現層の乾燥塗工量は2g/m2であった。
(実施例2)
光沢発現層塗工液をB1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例3)
光沢発現層塗工液をC1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例4)
光沢発現層塗工液をD1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例5)
光沢発現層塗工液をE1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例6)
光沢発現層塗工液をF1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例7)
光沢発現層塗工液をG1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例8)
光沢発現層塗工液をH1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例9)
光沢発現層塗工液をI1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例10)
光沢発現層塗工液をJ1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例11)
インク定着層塗工液をBとした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例12)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの一方の面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/m2となる量の前記架橋剤塗工液Aを、次いで乾燥塗工量が10g/m2となる量のインク定着層塗工液Aを、次いで乾燥塗工量が2g/m2となる量の光沢発現層塗工液A1を、Wet on Wet法で塗布した後、冷却することなく乾燥してインクジェット記録体を作製した。塗工される際の光沢発現層塗液層の温度は40℃であった。
(実施例13)
実施例12と同様にして光沢発現層塗工液を塗工した後、該塗液層を5℃で10秒間冷却してゲル化させた後、乾燥してインクジェット記録体を作製した。
(実施例14)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの一方の面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/m2となる量の前記架橋剤塗工液Aを、次いで乾燥塗工量が10g/m2となる量のインク定着層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥してインク定着層を形成した。
次に、該インク定着層上に、光沢発現層塗工液K1を塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、かつ該塗液層を冷却することなく、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧接後直ちに剥離した後、乾燥させてインクジェット記録体を作製した。鏡面ドラムに圧着される際の光沢発現層塗液層の温度は65℃であった。なお、光沢発現層の乾燥塗工量は2g/m2であった。
(比較例1)
光沢発現層塗工液をL1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例2)
光沢発現層塗工液をM1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例3)
光沢発現層塗工液をN1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例4)
光沢発現層塗工液をO1とした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例5)
インク定着層塗工液をCとした以外は実施例1と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例6)
作製した透気性支持体(紙基材)Aの一方の面側に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥塗工量が10g/m2となる量のインク定着層塗工液Dを塗布した後、乾燥してインク定着層を形成した。
次に、該インク定着層上に、乾燥塗工量が10g/m2となる量の光沢発現層塗工液P1を塗工した後、架橋剤塗工液Bを塗布した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。鏡面ドラムに圧着される際の光沢発現層塗液層の温度は40℃であった。
(比較例7)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの一方の面側に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥塗工量が10g/m2となる量の光沢発現層塗工液O1を塗布した後、直ちに10秒間冷却して該塗液層をゲル化させた後、徐々に温度が高い乾燥ゾーンを通過させて乾燥し、膨潤タイプのインクジェット記録体を作製した。
(比較例8)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの一方の面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が16g/m2となる量の光沢発現層塗工液Q1を塗布した後、直ちに5℃で30秒間冷却して該塗液層をゲル化させた後、全固形分濃度が90質量%となるまでを45℃10%RHで乾燥し、次いで35℃10%RHで乾燥し、インクジェット記録体を作製した。
(比較例9)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの一方の面側に、エアーナイフコーターを用いて、乾燥塗工量が21g/m2となる量のインク定着層塗工液Eを塗布した後、直ちに8℃で10秒間冷却して該塗液層をゲル化させた後、45℃10%RHで乾燥し、インクジェット記録体を作製した。
(実施例15)
作製した下塗り層を設けた透気性支持体(紙基材)Bの下塗り層塗工面上に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/m2となる量の前記架橋剤塗工液を、次いで乾燥塗工量が10g/m2となる量のインク定着層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥してインク定着層を形成した。
次に、該インク定着層上に、光沢発現層塗工液N2を塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、かつ該塗液層を冷却することなく、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着・乾燥し、剥離させてインクジェット記録体を作製した。鏡面ドラムに圧着される際の光沢発現層塗液層の温度は65℃であった。なお、光沢発現層の乾燥塗工量は2g/m2であった。
(実施例16)
光沢発現層塗工液をO2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例17)
光沢発現層塗工液をA2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例18)
光沢発現層塗工液をB2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例19)
光沢発現層塗工液をC2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例20)
光沢発現層塗工液をD2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例21)
光沢発現層塗工液をE2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例22)
光沢発現層塗工液をF2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例23)
光沢発現層塗工液をG2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例24)
光沢発現層塗工液をH2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例25)
光沢発現層塗工液をI2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例26)
光沢発現層塗工液をJ2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例27)
光沢発現層塗工液をK2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例28)
光沢発現層塗工液をL2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例29)
インク定着層塗工液をBとし、かつ光沢発現層塗工液をA2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例30)
作製した非透気性支持体(樹脂被覆紙基材)Cの元の紙基材のワイヤー面側であった面側に、スライドビードコーターを用いて、乾燥塗工量が1g/m2となる量の前記架橋剤塗工液を、次いで乾燥塗工量が10g/m2となる量のインク定着層塗工液Aを、Wet on Wet法で塗布した後、乾燥してインク定着層を形成した。
次に、該インク定着層上に、光沢発現層塗工液K2を塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に、かつ該塗液層を冷却することなく、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧接後直ちに剥離した後、乾燥させてインクジェット記録体を作製した。鏡面ドラムに圧着される際の光沢発現層塗液層の温度は65℃であった。なお、光沢発現層の乾燥塗工量は2g/m2であった。
(実施例31)
支持体を透気性支持体(紙基材)Aとし、そのワイヤー面側に塗工層を設け、かつ光沢発現層塗工液をA2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(実施例32)
光沢発現層塗工液をA2とした以外は実施例15と同様にして作成したインクジェット記録体の透気性支持体(紙基材)Aの塗工層と反対側の面である裏面側に、ポリオレフィン樹脂組成物3(段落[0114]記載)を、塗工量が20g/m2となるようにT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、該ポリオレフィン樹脂組成物層を粗面のクーリングロールで冷却固化した。
(比較例10)
光沢発現層塗工液をP2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例11)
光沢発現層塗工液をQ2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例12)
光沢発現層塗工液をR2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例13)
光沢発現層塗工液をS2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
(比較例14)
インク定着層塗工液をCとし、かつ光沢発現層塗工液をA2とした以外は実施例15と同様にして、インクジェット記録体を作製した。
<評価方法>
得られたインクジェット記録体の光沢性、インク吸収性、記録濃度、塗工層強度、C型給紙の際の搬送傷、塗工層割れ、および生産性について、下記に示す方法で評価し、その結果を表1に示した。
「光沢性」
光沢性の評価は白紙の記録体表面に対し斜め上方向より、光沢感、平滑感を目視にて観察し、下記基準により評価した。
◎:銀塩写真並かそれ以上の光沢性があり非常に優れたレベル。
○:銀塩写真に近い光沢性があり、優れたレベル。
△:光沢性は有るが、銀塩写真からは劣るレベル。
×:光沢性が劣り、写真印刷用途として実用上問題があるレベル。
「インク吸収性」
インクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)を用いて評価した。
インクジェット記録体にブラック、シアン、マゼンダ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーの各色ベタを、互いに境界を接するようにマス目状に配置した印字を行ない、各色間の境界部でのインクのにじみを目視にて評価した。
また、インクジェット記録体にグリーン色をベタ印字し、ベタ印字画像中に斑があるかどうかを目視で観察した。(印字斑は、先に打ち込まれたインクが、インクジェット記録体の塗工層に完全に吸収されないうちに、次のインクが飛来して表面で重なった場合に生ずる現象であり、インク吸収速度が遅くなると、顕著に現れるものである。)
以上の結果より、下記基準により評価した。
◎:インクのにじみ、印字斑は全く見られず、優れたレベル。
○:インクのにじみ、印字斑の一方は僅かに見られるが、もう一方は見られず、実用上問題ないレベル。
△:インクのにじみ、印字斑ともに見られ、実用上問題があるレベル。
×:インクのにじみ、印字斑ともに悪く、実用に耐えないレベル。
「記録濃度」
染料タイプのプリンタとしては、インクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)を用いて評価した。
顔料タイプのプリンタとしては、インクジェットプリンタcolorio PX−G920(セイコーエプソン(株)社製)を用いて評価した。
インクジェット記録体に各プリンタで黒色ベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Gretag Macbeth RD−19、マクベス社製)で測定した。
記録濃度が低い程、画像の鮮明性や鮮やかさが低下するため画質が低下するが、上記印字条件・測定条件では、記録濃度が2.1を下回ると、画質の低下が目立つようになり、実用上問題があるレベルと言える。
「塗工層強度」
インクジェット記録体を23℃、相対湿度50%RHで24時間調湿した後、記録面を外側に向けて折り曲げた時、塗工層が粉状の細片となって剥がれ落ちる具合を観察し、下記基準により評価した。
◎:粉落ちが無く良好なレベル。
○:わずかに粉落ちするが、実用上問題無いレベル。
△:粉落ちが多く見られ、実用上問題があるレベル。
×:粉の他に0.5mm程度の破片も剥がれており、実用に耐えないレベル。
「C型給紙の際の搬送傷」
インクジェット記録体をインクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)下部の給紙トレイに印刷面を下向きにセットし、プリンタ内部で記録体を反転させて印刷面を上向きにしてから印刷する給紙方法(C型給紙)により、記録体全面に黒色ベタ印字を行った後、印字部表面の傷を目視で観察し、下記基準により評価した。
◎:傷は全く見られず、優れたレベル。
○:傷は僅かにごく薄く見られるが、実用上問題ないレベル。
△:傷がはっきりと見られ、実用上問題があるレベル。
×:傷が非常に多く、かつはっきり見られ、実用に耐えないレベル。
「C型給紙の際の塗工層割れ」
インクジェット記録体を、温度5℃、湿度10%RHの環境下にて24時間調湿した後、同環境下で、インクジェットプリンタPIXUS iP4300(キヤノン(株)社製)にて、下部の給紙トレイに印刷面を下向きにセットしプリンタ内部で記録体を反転させて印刷面を上向きにしてから印刷する給紙方法(C型給紙)により、記録体全面に黒色ベタ印字を行った後、印字部表面のひびわれを目視、及び倍率5倍のルーペにて観察し、下記基準により評価した。
◎:目視でもルーペでもひび割れは見られず、優れたレベル。
○:ルーペにて小さなひび割れが見られるが、目視ではひび割れは見られず実用上問題ないレベル。
△:目視でひび割れが見られ、実用上問題があるレベル。
×:目視で大きなひび割れが多く見られ、実用に耐えないレベル。
[生産性]
インクジェット記録体の最表層を塗工した後、該塗液層が湿潤状態にある間に表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧着し、6秒後に、鏡面ドラムからインクジェット記録体を剥がし、鏡面表面にインクジェット記録シートの塗工層の残留があるかどうかを下記の基準で評価した。
◎:ドラム表面に残留は全く無く、離型性に非常に優れ、生産性が極めて高い。
○:ドラム表面に残留はほとんど無く、離型性に優れ、生産性が高い。
△:ドラム表面に残留が多く見られ、記録体の塗工層の一部欠落も視認でき、離型性に劣り、生産性が低い。
×:ドラム表面に塗工層が付着し、記録体の塗工層が欠落し、離型性に非常に劣り、生産性が極めて悪い。
Figure 2009029125
Figure 2009029125
表1、2から明らかなように、本実施例の光沢インクジェット記録体は、良好なインク吸収性と画質、高い光沢性を両立し、プリンタ搬送性、搬送傷耐性、塗工層割れ耐性にも優れ、かつ生産性も良好なインクジェット記録体を達成するものである。
これに対し、比較例は、いずれかの評価項目で少なくとも実用上問題となるレベルと評価されることが分かった。

Claims (11)

  1. 支持体上に、支持体側から順に少なくとも1層のインク定着層及び光沢発現層を有し、該インク定着層が平均一次粒子径5〜50nmの顔料を含有する層であり、光沢発現層がコロイド状粒子とゼラチンを含有する層であることを特徴とするインクジェット記録体。
  2. 光沢発現層が、キャスト仕上げされた層である請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. 光沢発現層が、コロイド状粒子100質量部に対し、ゼラチンを1〜50質量部含有する請求項1または2記載のインクジェット記録体。
  4. 光沢発現層に、更に水分散性接着剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録体。
  5. 水分散性接着剤が、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂である請求項4に記載のインクジェット記録体
  6. 支持体が、プラスチックフィルム、合成紙、白色紙、樹脂被覆紙から選ばれる非透気性支持体、並びに紙、透気性樹脂フィルム、透気性樹脂シートから選ばれる透気性支持体のいずれか1種である請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録体。
  7. 光沢発現層塗工液のpHがゼラチンの等電点±2の範囲内である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録体。
  8. 光沢発現層塗工液が、乳酸、リン酸、塩酸、酢酸から選ばれる酸、又はアンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンから選ばれるアルカリを含有する、請求項7に記載のインクジェット記録体。
  9. ゼラチンの等電点が7以上である請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録体。
  10. ゼラチンの等電点が4〜6である請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録体。
  11. ゼラチンがアルカリ処理タイプのゼラチンである請求項10に記載のインクジェット記録体。
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