JP2012200999A - インクジェット記録用紙の製造方法 - Google Patents

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【課題】光沢のある優れた外観を有し、且つ、生産性に優れたインクジェット記録用紙の製造方法を提供する。
【解決手段】紙支持体にインク定着層、光沢発現層を順次設けるインクジェット記録用紙の製造方法において、顔料、接着剤、インク定着剤及びポリエチレンワックスを含む塗液を塗布、乾燥することによりインク定着層を形成し、コロイダルシリカを含有し、バインダーを含有しない塗液、或いは、コロイダルシリカを含有し、コロイダルシリカ固形分100質量部に対し、10質量部以下のバインダーを含有する塗液を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより光沢発現層を形成することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用紙に関し、光沢のある優れた外観を有し、且つ、生産性に優れたインクジェット記録用紙の製造方法に関する。
インクの液滴を微細なノズルから射出し、被記録用紙表面上に付着させることにより画像を形成させるインクジェット記録方式は、記録時の騒音が少ないこと、フルカラー画像の形成が容易であること、高速記録が可能であること、及び、他の印刷装置より記録コストが安価であることなどの理由により、端末プリンター、ファクシミリ、プロッター、或いは帳票印刷等で広く利用されている。
近年では、インクジェットプリンターの高精細化・高速化の改良により、デジタルカメラ等による写真画像の出力を目的とする一般家庭ユーザへの普及が進んでいる。写真画像を出力されたインクジェット記録用紙の品質を銀塩方式の写真に近づけるために、インクジェット記録用紙には、優れた表面光沢・外観とともに、発色の鮮明さ、色の濃さ(深み)、精細さなど高い画質が求められる。
インクジェット記録用紙の表面に光沢を付与する方法としては、印刷用顔料塗工紙の光沢付与する方法と同様の、塗工した塗料が乾燥してからスーパーカレンダーやグロスカレンダーによって表面を平滑化するカレンダー仕上げする方法や、塗工面が湿潤状態又は再湿潤状態である間に、加熱されたキャストドラムに圧接・乾燥して光沢発現するキャスト仕上げする方法が知られており、特にキャスト仕上げは、光沢を有する美しい表面を形成する方法として好適である。
例えば、インク定着層の上に特定の樹脂を含有する最表層を形成し、キャスト仕上げしたインクジェット記録用紙、或いは更に、最表層にコロイダルシリカを配合してキャスト仕上げしたインクジェット記録用紙などが提案されている(特許文献1)。
また、インク定着層をキャスト仕上げしたインクジェット記録用紙(特許文献2)や、インク定着層に気相法シリカを用い、最表層にコロイダルシリカとバインダーを含有し、キャスト仕上げしたインクジェット記録用紙(特許文献3)などが提案されている。
しかし、これらのインクジェット記録用紙は、連続生産性が悪く、また画像の鮮明性が十分であった。
特開平7−89220号公報 特開平11−34486号公報 特開2004−195781号公報
本発明は、光沢のある優れた外観を有し、且つ、生産性に優れたインクジェット記録用紙の製造方法を提供することが課題である。
特許文献1に記載されたインクジェット記録用紙の場合、樹脂層がインク定着層上に有するため、光沢性に優れるものの、インク吸収性などの記録適性が十分でない。樹脂とコロイダルシリカを併用することにより、光沢性とインク吸収性の両立することが提案されているが、樹脂成分がキャストドラムに付着するなどの問題があり、連続操業性が十分でない。特許文献2に記載されたインクジェット記録用紙の場合、インク定着層そのものをキャスト仕上げするため、十分な光沢が得られない。特許文献3に記載されたインクジェット記録用紙は、インク定着層に微細な気相法シリカを用いているため、より光沢性、写像性の優れたインクジェット記録用紙となるものの、最表層のバインダーを有するため、キャスト仕上げの連続操業性が不十分となる。
キャスト仕上げにおいては、キャストドラム等の塗工乾燥装置から記録用紙を安定して剥離させる性能、即ち離型性は重要な性能である。記録用紙がスムーズに離型せず、塗工層の一部がキャストドラム等の塗工装置上に堆積して、キャストドラムを汚染すると、連続的なキャスト仕上げができなくなる。この場合、塗工を一旦中断して塗工装置から汚れを除去する作業が必要となり生産性が著しく低下するという問題を生じる。一方、離型性が不良の場合、キャストドラム表面から用紙を剥離することが困難になり、甚だしい場合は用紙が破れて操業ができなくなることもある。それ故、キャスト仕上げを行う光沢発現層においては優れた離型性を実現することは重要な課題である。
更に、離型性とは別の重要な課題に、ドラム曇りがある。キャストドラムを用いて連続的に記録用紙を製造していると、キャストドラム表面に、次第に汚れが付着して、ドラム表面に曇りを生じることがある。このドラム曇りが甚だしいと、用紙表面は清浄なキャストドラム面を写し取ることができず、用紙表面の光沢度が不安定になり光沢度が低下する。離型性とドラム曇りの解消は、必ずしも両立するものではなく異なる課題である。即ち、ドラム曇りが良好でも離型性が劣ると用紙はキャストドラムから剥がれなくなり、甚だしい場合は用紙が破れて操業できなくなることや、逆に、離型性に優れていてもドラム曇りが劣り、用紙の光沢度が低下し外観が劣ることがある。従って、離型性とドラム曇りの両方を満足させることが重要である。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、紙支持体上にインク定着層と光沢発現層を順序設けるインクジェット記録用紙の製造方法において、該インク定着層にポリエチレンワックスを含有せしめることにより、光沢発現層で使用するバインダーを無くすことができ、或いは、少量の添加で済ませることができ、連続操業性が一段と向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の通りである。
(1)紙支持体上にインク定着層、光沢発現層を順次設けるインクジェット記録用紙の製造方法において、顔料、接着剤、インク定着剤及びポリエチレンワックスを含む塗液を塗布、乾燥することによりインク定着層を形成し、コロイダルシリカを含有し、バインダーを含有しない塗液を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより光沢発現層を形成することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(2)紙支持体上にインク定着層、光沢発現層を順次設けるインクジェット記録用紙の製造方法において、顔料、接着剤、インク定着剤及びポリエチレンワックスを含む塗液を塗布、乾燥することによりインク定着層を形成し、コロイダルシリカを含有し、コロイダルシリカ固形分100質量部に対し、10質量部以下のバインダーを含有する塗液を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより光沢発現層を形成することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
(3)光沢発現層の乾燥塗工量が0.1〜1.5g/mである(1)又は(2)記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(4)光沢発現層の乾燥塗工量が0.1〜1g/mである(1)〜(3)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(5)インク定着層の乾燥塗工量が2〜7g/mである(1)〜(4)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
(6)インク定着層の顔料が気相法シリカである(1)〜(5)のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
本発明によれば、光沢のある優れた外観を有し、且つ、生産性に優れたインクジェット記録用紙の製造方法を提供することができる。また、得られたインクジェット記録用紙は光沢性に優れ、記録適性にも優れた記録用紙となる。
本発明におけるインクジェット記録用紙の構成は、紙支持体上にインク定着層と最表層をこの順序で設けたものである。以下、紙支持体及び各層について説明する。
<紙支持体>
紙支持体としては、インクジェット記録用紙として公知の支持体が使用できる。紙支持体は、キャスト処理する場合の生産性、記録用紙としての取り扱い易さ、及び、廃棄の容易さ、葉書としての用途等の面から好ましい。
紙支持体としては、通常使用される公知の紙支持体を用いることができ、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗工紙、クラフト紙、バライタ紙、板紙、含浸紙、蒸着紙、ファンシーペーパーが挙げられる。また、一般の塗工紙等に使用される酸性紙、中性紙等の別も適宜用いられる。
紙支持体は、木材パルプを主成分とし、必要に応じて填料、各種助剤等が添加されている。木材パルプとしては、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができる。特に、針葉樹および広葉樹のクラフトパルプ、或いはこれらクラフトパルプを漂白した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKPと称す)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKPと称す)が好ましい。また、これらのパルプにおいて、その漂白工程で塩素の影響を取り除いた塩素フリーパルプ、例えば、パルプ漂白に塩素そのものを使わずに塩素化合物を使うECF(Elemental Chlorine Free)パルプ、パルプ漂白に塩素元素が一切入っていない漂白剤を用いるTCF(Total Chlorine Free)パルプ等を用いることは好ましい。
葉書用途としての紙支持体としても特に限定されるものでなく、一層抄き或いは多層抄き紙が使用できる。再生パルプや機械パルプを多く配合する場合、例えば、内部の層に再生パルプや機械パルプを多く用い、表層や裏層にLBKPやNBKPのような白色度の高いパルプを多く含んだ層を積層した三層以上の抄き合わせ紙を用いることが好ましい。
これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整でき、その叩解度(フリーネス(CSF:Canadian Standard Freeness))は特に限定しないが、250〜550ml(JIS−P8121)が好ましい。
紙支持体に添加される填料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライト、シリカ、酸化チタン、タルク等が好ましく用いられる。中でも軽質炭酸カルシウム、焼成カオリン、合成ゼオライトは多孔質のためインクジェットプリンターから吐出されたインク中の溶媒を吸収する能力に優れているために好ましく、その中でも、軽質炭酸カルシウムは白色度が高い紙支持体が得られ、インクジェット記録用紙として好ましい。
紙支持体中の填料の含有率(灰分)は、1〜20質量%程度が好ましい。この範囲であれば、平滑度、透気度、紙力や剛性のバランスがとれ、光沢度や写像性、剛性のバランスに優れたインクジェット記録用紙が得られやすくなる。
紙支持体に添加される助剤としては、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等が挙げられる。上記サイズ剤としては、公知のサイズ剤が、例えば、強化ロジン、アルケニル無水コハク酸等が用いられる。また、このサイズ剤の定着剤として硫酸バンド、定着歩留まり向上剤として澱粉等がサイズ剤に併用されて用いられる。
紙支持体には、サイズプレス処理しても良い。サイズプレスの目的は、サイズ度のコントロール、紙力の増強、平滑化等であり、サイズプレス液にはそれぞれの目的に合わせて澱粉類、ポリビニルアルコール類、サイズ剤、各種顔料等、公知公用の材料が使用される。紙支持体のステキヒトサイズ度(JIS−P8122)は1〜300秒程度が好ましく、4〜200秒がより好ましい。サイズ度が1秒未満であると、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる虞があり、300秒を越えるとインク吸収性が低下する虞があり、かつ印字後のカールやコックリング(吸収ジワ)が著しくなる虞があり好ましくない。
紙支持体の坪量は、特に限定されないが、20〜500g/m程度が好ましい。紙支持体の王研式透気度(日本TAPPINo.5)は10〜350秒が好ましく、10〜200秒がより好ましく、20〜100秒がさらに好ましい。この透気度が10秒未満であると、インク定着層用塗液が紙支持体からなる支持体に過剰に浸透する虞がある。なお、キャスト法により光沢仕上げを施す場合、透気度が350秒以下のものを用いることにより、キャストドラムに圧接仕上げする際に操業性を損なうことがなく好ましい。紙支持体は、長網抄紙機などにより製造され、その厚さは、特に限定されないが、用途に応じて20μm〜500μmの範囲で適宜選択される。
<インク定着層>
インク定着層は、紙支持体上に、位置し、主として色材を定着する能力を有する層である。インク定着層は、顔料、該顔料を支持体に固定するための接着剤、インク定着剤を少なくとも含む。インク定着層は1層に限らず必要に応じて2層以上設けてもよい。なお、インク定着層と紙支持体の間に、インク溶媒を浸透させないこと(浸透を遅らせることも含む)、インク溶媒を吸収保持させること、平滑性を向上させること等を目的として、適宜下塗層を設けても良い。
[顔料]
インク定着層には、インクジェット記録用として使用される公知の顔料を使用することができる。
例えば、カオリン(含クレー)、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、非晶質シリカ(含コロイダルシリカ)、酸化アルミニウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等が挙げられ、単独或いは併用で用いられる。
これらの中でも、平均粒子径が10nm〜1μmの微細顔料が、光沢性に優れ、印字濃度が高いインクジェット記録用紙となるので好ましく用いられる。また、これら顔料の中で、非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物から選ばれる顔料が好ましく、非晶質シリカがより好ましく、一次粒子径5nm〜50nm、二次粒子径10nm〜500nmの気相法シリカがより特に好ましい。
更に、この非晶質シリカは、非晶質シリカとカチオン性化合物とを混合して得られるシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子であることが好ましく、これを粉砕分散して、平均粒子径10nm〜1μmのこの凝集体微粒子として用いられる。なお、シリカ−カチオン性化合物凝集体粒子の平均粒子径が1μmを超えるような場合、これを粉砕分散して、平均粒子径10nm〜1μmの範囲に調節するとよい。10nm以上とすることにより、インク吸収性を高め、1μm以下とすることにより、インク定着層の透明性を高め、印字濃度を高くすることができるため好ましい。この凝集体粒子は、平均粒子径は30〜800nmの範囲が最も好ましい。カチオン性化合物及びシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子は、インク定着剤として作用しており、詳しくは、インク定着剤の項で説明する。
ここでいう平均粒子径とは動的光散乱法に基づく装置を使用して測定した粒子径分布のメジアン径であり、本発明者らは「動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500型(株式会社堀場製作所製)」を使用したが、測定原理が同じであれば、装置のモデルが異なっても、ほぼ同じ値が得られる。
[接着剤]
接着剤は、顔料を支持体に固定するために配合される。接着剤としては、水分散系接着剤、水溶性接着剤を単独、併用とも可能である。水分散系接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のビニル系樹脂等が挙げられる。この中で、得られる塗膜のインク吸収性及び透明性の面で、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂が特に好ましい。これらの水分散系接着剤は、単独で用いても、または2種以上の併用であっても良い。
水溶性接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、ゼラチン、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、キチン、キトサン等の各種多糖類、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールを含むポリビニルアルコール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの接着剤の中でも、表面強度が優れるポリビニルアルコール類を用いることが好ましい。ポリビニルアルコールは、そのケン化度の相違により性状が異なり、目的に応じてそのケン化度を選択することが好ましい。ケン化度が95%以上、より好ましくは98%以上のポリビニルアルコールを使用すると、インク定着層の強度が強くなるとともに、塗工液調製時に泡立ちなども起こらず、製造の際の作業性が非常に良好である。また、ケン化度が75〜90%の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用すると、塗工層の可撓性に優れ、その折り割れ防止に非常に効果的である。これらケン化度の異なるポリビニルアルコールは、その目的に応じて、それぞれ単独で用いても、併用して用いても良い。
また、上記ポリビニルアルコールの重合度は、低いとインク定着層の強度が弱くなるとともに、ひび割れが発生しやすく、また断裁時に紙粉が発生する傾向にあり、高いと十分なインク吸収性が得られにくいとともに、溶液粘度が高く塗工液調整におけるハンドリング面が困難となる傾向にあるので、その重合度が500以上であることが好ましく、500〜2000であることが特に好ましい。
インク定着層の接着剤の配合量は、過少になると十分な塗膜強度が得られず、過剰になるとインクの吸収性が低下するため、両者のバランスから、顔料100質量部に対して3〜40質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることがより好ましい。
[インク定着剤]
インク定着剤は、インクジェット記録用インク中の染料色素を定着する作用を有し、これにより印字画像に耐水性を付与する。このインク定着剤には、カチオン性化合物が用いられ、カチオン性樹脂、低分子カチオン性化合物、金属化合物などが例示される。印字濃度向上の点ではカチオン性樹脂が好ましく、一般にインクジェット記録用紙で用いられる各種公知のカチオン性樹脂が使用可能である。
これらのカチオン性樹脂としては、例えば、(イ)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、(ロ)第2級または第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、またはそれらのアクリルアミドの共重合体、(ハ)ポリビニルアミンおよびポリビニルアミジン類、(ニ)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン性化合物、(ホ)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合体に代表されるポリアミン系カチオン性化合物、(へ)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン共重合体、(ト)ジアリルジメチルアンモニウム−SO重縮合体、(チ)ジアリルアミン塩−SO重縮合体、(リ)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体、(ヌ)アリルアミン塩の共重合体、(ル)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合体、(オ)アクリルアミド−ジアリルアミン共重合体、(ワ)5員環アミジン構造を有するカチオン性樹脂等が挙げられる。本発明の実施の形態では、これらのインク定着剤を単独に、また2種以上併用して用いられる。
低分子カチオン性化合物としては、シラン系、チタネート系、アルミニウム系またはジルコニウム系などのカチオン性カップリング剤やカチオン性界面活性剤等が挙げられる。 金属化合物としては、水溶性アルミニウム化合物(例えば、塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等の無機塩、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーであるポリ水酸化アルミニウム化合物等)、水溶性ジルコニウム化合物(例えば、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等)、水溶性チタン化合物(例えば塩化チタン、硫酸チタン等)、水溶性ランタノイド属化合物(例えば、塩化セリウム、硝酸セリウム、硫酸セリウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン等)などの水溶性多価金属塩等が挙げられる。これらのインク定着剤は単独に、また2種以上併用して用いられる。
[シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子]
上記カチオン性化合物は、たとえば気相法シリカとの混合液中で気相法シリカと凝集し、シリカ−カチオン性化合物凝集体を形成する。このため、このカチオン性化合物は、単体で用いるよりあらかじめ気相法シリカと凝集体を形成して用いることが好ましい。ところで、シリカ−カチオン性化合物凝集体は、粉砕・分散して平均粒子径0.01〜1μmのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子として、インク定着層用塗工液に用いられる。シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子を形成するために用いる単体の気相法シリカは、平均粒子径が3〜40nmの1次粒子であるが、この凝集体微粒子は、実質的に1次粒子が凝集してできた二次粒子からなっている。
シリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子の製造方法の概略を説明する。
カチオン性化合物の添加量としては、気相法シリカ100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で調節される。気相法シリカ分散液にカチオン性化合物を添加し混合すると、増粘した凝集体分散液が得られる。或いはカチオン性化合物の水溶液に気相法シリカを添加しても得ることができる。
このシリカ−カチオン性化合物凝集体粒子の粒子径が大きい場合、粉砕・分散して微粒子化することができる。微粒子化する方法としては、機械的手段で強い力を与えるブレーキング・ダウン法(塊状原料を細分化する方法)が採られる。機械的手段としては、超音波、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、擂解機、サンドグラインダ、ナノマイザ(商品名)、ホモミキサ等が挙げられる。
顔料及びインク定着剤としてこのシリカ−カチオン性化合物凝集体微粒子は、1種単独で、或いは2種以上併用して用いられるが、これを用いることによって、インク定着層の透明性、表面強度、平滑性ならびにインクの吸収性、発色性、耐候性、耐水性等を向上させることができる。
カチオン性化合物としては、上記シリカ−カチオン性化合物凝集体で用いたカチオン性化合物が例示でき、その中でも、水溶性樹脂或いはエマルジョンのものが好ましく用いられる。また、この単体で配合するカチオン性化合物、特にカチオン性樹脂は、接着剤としての役割も併せて付与させる場合にしばしば用いられる。
[架橋剤]
インク定着層には、記録濃度を高めるために架橋剤を配合することができる。架橋剤は、前記接着剤の一部と架橋することによりインク定着層のひび割れを抑制することができる。ひび割れを抑制すると、記録の際の顔料インクがインク定着層内部に沈み込むことを防ぐことができるので、結果として記録濃度が高くなる。
架橋剤としては、各種公知の架橋剤、ゲル化剤が使用できる。例えばポリビニルアルコールに対する架橋性を有する化合物としては、グリオキザールなどのアルデヒド系架橋剤、エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ系架橋剤、ビスビニルスルホニルメチルエーテルなどのビニル系架橋剤、ホウ酸およびホウ砂などのホウ素含有化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等などが例示できる。中でも、ホウ素含有化合物は、増粘またはゲル化が早く生じるので特に好ましい。
[ポリエチレンワックス]
本発明は、インク定着層にポリエチレンワックスを配合する。ポリエチレンワックスを用いることにより、光沢のある優れた外観を有し、且つ、生産性に優れたインクジェット記録用紙を製造することができる。おそらく、インク定着層にポリエチレンワックスを配合することにより、光沢発現層を塗工した際に、光沢発現層用塗液の水分により、インク定着層のポリエチレンワックスが膨潤する。このため、光沢発現層だけでなく、インク定着層の表面(光沢発現層に近い部分)においても湿潤状態で、キャスト仕上げが行なわれるので光沢性が向上する。また、光沢性が向上するため、光沢発現層に用いるコロイダルシリカの塗布量を減らすこともできる。ポリエチレンワックスの使用は、インク定着層が湿潤状態で膨潤状態となる、コロイダルシリカはそれ自身に弱いが自着能を有する、コロイダルシリカの塗布量が少なくて済むという作用効果を発現するため、光沢発現層は、バインダーを用いない、或いは用いても僅かな使用量に抑えることができるため、バインダー成分のキャストドラムに付着によりドラム曇りを抑制すると考えられる。また、ポリエチレンワックスには、離型剤としての機能を有するため、ドラムの離型性にも作用をしていると考えられる。
ポリエチレンワックスの配合量は、少なすぎると本発明の作用効果を得られることができず、多すぎると撥水性が高い層となってしまい、インク定着層としては不向きとなるため、顔料100質量部に対し、0.1〜50質量部程度、好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜10質量部である。
[その他添加剤]
インク定着層には、必要に応じて分散剤、増粘剤(流動変性剤)、消泡剤、耐水化剤(印刷適性向上剤)、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、および着色剤等の各種添加剤を適宜添加できる。また、更にインクの定着性を高め耐水性を向上させるために、単体のカチオン性化合物を配合してもよい。
インク定着層の乾燥固形分塗工量には、制限はないが、2〜50g/m程度である。塗工量が2g/m以上であることにより、高精細・高速のプリンターにおけるインク吸収性が充分なものとなり、塗工量が50g/mを越えると塗膜強度が低下する傾向となる。本発明のインクジェット記録用紙は、吸水性を有する紙支持体を用い、またポリエチレンワックスを用いることにより光沢の発現性に優れるため、インク定着層の塗工量が少なくてもよく、2〜15g/m程度でも優れた記録適性と光沢性を有することができる。また、インク定着層に顔料として気相法シリカを用いると、更に記録適性と光沢性が向上するため、塗工量が2〜7g/mでも実用可能である。このような塗工量まで減らすことは、製造コストが安価になるだけでなく、光沢発現層をキャスト仕上げする際のインク定着層の強度低下を防ぐことができ、また、記録の際のインクがインク定着層の深さ方向への分散による印字濃度の低下も防ぐので好ましい。
インク定着層は、2層以上形成することもでき、このように2層以上で構成する場合は、それぞれの層を構成するシリカや接着剤は同じでも良いし、異なっていても構わない。また、同一の層内に2種類以上のシリカや接着剤を混合しても良いし、それらを組み合わせて使用しても良い。インク定着層を形成するための塗工装置としては、ブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、グラビアコータ、ロッドブレードコータ、リップコータ、カーテンコータ及びダイコータ等の各種塗工装置が挙げられるが、前計量タイプのダイコータ等は用紙表面で計量されて戻ってくる塗液がないため第一の塗工層との混合による不用意な増粘を心配する必要がないため、好ましい。
更に、この塗工したインク定着層に、必要に応じてスーパーカレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施しても良い。
<光沢発現層>
光沢発現層は、以上のようにして得たインク定着層の表面に、コロイダルシリカを含有し、バインダーを含有しない塗液、或いは、コロイダルシリカを含有し、コロイダルシリカ固形分100質量部に対し、10質量部以下のバインダーを含有する塗液を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより光沢発現層を形成するコロイダルシリカを含有し、キャスト仕上げされた層である。
[コロイダルシリカ]
コロイダルシリカは屈折率が低いため高い記録濃度が得られやすく、また自着能を有するため使用する。コロイダルシリカは、球状のもの、繭状のもの、数珠状のものなど各種あるが、適宜使用することができる。また、併用することもできる。
光沢発現層には、本発明の作用効果を損なわない範囲で、コロイダルシリカの他に、他のコロイド状粒子を配合してもよい。
コロイド状粒子とは、水中に懸濁分散してコロイド状をなしている無機粒子或いは有機粒子を指し、例えば、ベーマイト、擬ベーマイト等のアルミナゾルやコロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物またはその水和物、或いは特公昭47−26959号公報に開示されているようなコロイド状シリカ表面をアルミナコーティングした粒子、等の無機粒子、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル共重合体、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン等の有機粒子が挙げられる。
[バインダー]
光沢発現層は、バインダーを用いないことが好ましく、バインダーを用いる場合、コロイダルシリカ固形分100質量部に対し、10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。10質量部を超えると、キャストドラムのドラム曇りが生じ易くなり、生産性が劣ることになる。
バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン等の水溶性接着剤、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂といった水分散性接着剤などが例示できる。
[離型剤]
光沢発現層を、鏡面を有するキャストドラムなどに塗工層を圧接した後、キャストドラムから剥離する際の剥離をスムーズに行なうために、光沢発現層用塗液には離型剤を配合することが好ましい。
離型剤としては、一般に使用される各種公知の離型剤から適宜選択して用いることができるが、水分散性離型剤を必須成分として用いることが好ましい。塗料中に含まれる水分散性離型剤は、芯物質の表面を親水性物質で包み込んでコロイド状粒子となって湿潤状態の最表層(光沢層)中に分散している。これらは表面が親水性であり、ドラム表面に配列して層を作りやすい傾向にある。
おそらく、光沢発現層が乾燥し離型するとき、ドラム表面で層を形成していた水分散性離型剤の層の中間で分離するため、光沢発現層に含まれる顔料や接着剤がドラム表面に残る量を少なく抑える作用を奏しているものと思われる。従って、水分散性離型剤の芯物質としては凝集力の小さな材料、特にドラム表面で溶融しているものが好ましく、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、パラフィン、ポリエチレンやその変性物が例示される。
離型剤には、水分散性離型剤のほかに、水溶性離型剤を併用することが好ましい。水分散性離型剤と水溶性離型剤を併用することで離型剤とドラム曇りの両方が相乗的に改善される。その理由は定かではないが、以下のことが考えられる。
光沢層塗料中に含まれる水分散性離型剤は、光沢層に含まれる顔料や接着剤がドラム表面に残る量を少なく抑える作用を示すが、水溶性離型剤はドラムの洗浄効果を持ち、ドラム表面にわずかに残った顔料や接着剤をドラムから離脱させる。このとき同時に乾燥や剥離の工程でコロイドが破壊され、ドラム表面に残っている水分散性離型剤も洗浄、離脱させてドラム表面を清浄に保つことで、相乗的な離型効果が得られるものと思われる。
水溶性離型剤の持つ洗浄効果があまりにも大きいと、ドラム表面に存在する離型剤までも洗い落としてしまい、ドラムを清浄に保てても離型性を落とす原因となる。洗浄効果が高すぎる場合は前述の水分散性離型剤の量を増やしてバランスを取る必要があるが、水分散性離型剤は非水溶性のため、過度に配合するとインク吸収性を落とす懸念がある。
従って、好ましい水溶性離型剤としては、アルカリ金属塩を除く脂肪酸塩類または脂肪族アミン塩類であり、脂肪酸アンモニウム塩や脂肪族酢酸塩、脂肪族リン酸塩、一級脂肪族アミン塩酸塩、一級脂肪族アミン酢酸塩が特に好ましい。
具体的には、脂肪酸塩類の場合、例えばオレイン酸ナトリウムやオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムやステアリン酸カリウムに代表される脂肪酸のアルカリ金属塩よりオレイン酸アンモニウムやステアリン酸アンモニウム等のアンモニウム塩等が好ましい。
また、脂肪族アミン塩類の場合、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドやジステアリルジメチルアンモニウムクロライドに代表される四級のアンモニウム塩より、ステアリルアミン塩酸塩やステアリルアミン酢酸塩、ベヘニルアミン酢酸塩等の一級アミン塩が好ましい。
離型剤の過剰な添加はインクの吸収を阻害したり、逆に浸透を助長したりする場合がある。添加量は必要最小限にとどめる方が副作用が出にくく好ましい。離型剤の添加量は対顔料3〜30部、好ましくは5〜20部である。
[その他添加剤]
光沢発現層には、必要に応じて分散剤、増粘剤、流動変性剤、消泡剤、耐水化剤、帯電防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、保存性改良剤、蛍光増白剤、および着色剤等の各種添加剤を適宜添加できる。
[キャスト仕上げ]
光沢発現層は、インク定着層上に、光沢発現層用塗液(コロイダルシリカを含有し、バインダーを含有しない塗液、或いは、コロイダルシリカを含有し、コロイダルシリカ固形分100質量部に対し、10質量部以下のバインダーを含有する塗液)を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより形成する。
一般にキャスト法とは、塗工層を、鏡面を有するキャストドラムに圧接して乾燥し、鏡面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得ることである。大別すると、
(イ)最表塗工層用塗工液を基材上に塗工して、該塗工液が湿潤状態にある間に加熱されたキャストドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、
(ロ)基材上に塗工した最表塗工層を一旦乾燥後、その最表層を最湿潤させて、加熱されたキャストドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、
(ハ)基材上の最表層をゲル化してゲル状塗工層とし、加熱されたキャストドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ゲル化キャスト法)、
がある。
本発明では、基材をキャストドラムに圧接する際のニップ部で塗工可能であれば、光沢発現層用塗液をニップ部で塗工するとよく、また好ましい。或いはニップ部で塗工をしない場合は、ウェットキャスト法のときは、インク定着層上に、光沢発現層用塗液を最表塗工層用塗液として塗工する、リウェットキャスト法のときは、インク定着層上に、光沢発現層用塗液を再湿潤液として塗工する、ゲル化キャスト法のときは、ゲル化剤の塗工と同時或いはゲル化剤の塗工後、ニップするまでの間で塗工するとよい。
これらのキャスト法においては、加熱されたキャストドラムの温度は、例えば50〜150℃、好ましくは70〜120℃である。
光沢発現層の乾燥塗工量は、少ないほど操業性や記録適性が優れるため、2g/m以下が好ましく、1.5g/m以下がより好ましく、1g/m以下が特に好ましい。一方、乾燥塗工量が少ないと、光沢発現効果が十分でないため、0.1g/m以上であることが好ましい。
<裏面層>
紙支持体の裏面(インク定着層を形成しない面)には、表面側へのカールを矯正するためにコート層やラミネート層を設ける、銀塩写真の風合いを付与するためにポリオレフィン樹脂のラミネート層を設けるなど、裏面層を設けることが好ましい。また、裏面には、更に、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、帯電防止剤やブロッキング防止剤などで処理してもよい。裏面の処理は、インク定着層を形成する前でも後でも可能であるが、インク定着層を形成するよりも前に裏面を処理する方が、インク定着層に傷が生じ難いので好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。また、以下に示す実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ水を除く固形分の「質量部」および「質量%」を示す。
実施例1
[紙支持体]
木材パルプ(LBKP;ろ水度400mlCSF)100質量部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、市販サイズ剤0.05質量部、硫酸バンド1.5質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量180g/mの紙支持体を製造した。
[カチオン性シリカ微粒子]
平均粒子径1.0μmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA300、平均1次粒子径 約8nm)を用い、ホモミキサにより分散した後、平均粒子径が50nmになるまで高速流衝突型ホモジナイザーで粉砕分散し、10質量%のシリカの水分散液を調製した。
前記10質量%水分散液100質量部に、5員環アミジン構造を有するカチオン性化合物(ハイモ(株)製、商品名:ハイマックスSC700M、分子量30万)10質量部を添加し、高速流衝突型ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.10μmのシリカ−カチオン性化合物の10質量%水分散液を調製した。
[インク定着層用塗工液Aの調製]
カチオン性シリカ微粒子100部に、接着剤としてPVA((株)クラレ製、商品名:PVA−117、重合度1700、ケン化度99%)20部、ポリエチレンワックス(近代化学工業(株)製、商品名:ペルトールN856)7部、濡れ剤(花王(株)製、商品名:エマルゲン709)0.5部、消泡剤(サンノプコ(株)製、商品名:SNデフォーマー777)0.1部を混合・攪拌し、固形分濃度12%のインク定着層用塗工液を調製した。
[光沢発現層用塗工液A]
水に、コロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスST−OL、平均粒子径:45nm、1次粒子)100部、離型剤((株)日新化学研究所製、商品名:DEF−116T)5部を添加・混合し、固形分濃度5%の光沢層用塗工液Aを調製した。
[インクジェット記録用紙の作製]
作製した紙支持体の一方の面側に、前処理用塗工液を乾燥後の塗工量が1g/mになるように塗工・乾燥した後、インク定着層用塗工液Aを乾燥後の塗工量が6g/mとなるように塗工・乾燥し、インク定着層を形成した。次いで、この表面に光沢層用塗工液Aをキャストドラムのニップ部で塗工した後、表面温度が95℃のキャストドラムに圧接して乾燥し、剥離させてインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は0.8g/mだった。
実施例2
実施例1のインク定着層用塗工液Aの調製において、ポリエチレンワックス(近代化学工業(株)製、商品名:ペルトールN856)5部に代えて、ポリエチレンワックス(明成化学工業(株)製、商品名:メイカテックスJP70C)5部を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は0.8g/mだった。
実施例3
実施例1の下記光沢発現層用塗工液Bを用いた以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[光沢発現層用塗工液B]
水に、コロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスST−OL、平均粒子径:45nm、1次粒子)100部、離型剤((株)日新化学研究所製、商品名:DEF−116T)5部、バインダーとしてアクリル系樹脂(ニチゴー・モビニール(株)製、商品名:モビニール5400)5部を添加・混合し、固形分濃度5%の光沢層用塗工液Bを調製した。
実施例4
実施例1において、光沢発現層の乾燥塗工量を1.3g/mとした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
比較例1
実施例1のインク定着層用塗工液Aの調製において、ポリエチレンワックス(近代化学工業(株)製、商品名:ペルトールN856)を用いなかった以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は0.8g/mだった。
比較例2
実施例1のインク定着層用塗工液Aの調製において、ポリエチレンワックス(近代化学工業(株)製、商品名:ペルトールN856)に代えてパラフィンワックス(センカ(株)製、商品名:ソフェールC)を用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢発現層の乾燥塗工量は0.8g/mだった。
比較例3
実施例1において、インク定着層用塗工液Aを塗工後、表面温度が95℃のキャストドラムに圧接して乾燥し、剥離させてインクジェット記録用紙を得た。光沢発現層は形成しなかった。
比較例4
実施例3において、下記光沢発現層用塗工液Cを用いた以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[光沢発現層用塗工液C]
水に、コロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:スノーテックスST−OL、平均粒子径:45nm、1次粒子)100部、バインダーとしてアクリル系樹脂(ニチゴー・モビニール(株)製、商品名:モビニール5400)15部、離型剤((株)日新化学研究所製、商品名:DEF−116T)5部を添加・混合し、固形分濃度5%の光沢層用塗工液Bを調製した。
実施例5
実施例1において、光沢発現層の乾燥塗工量が1.8g/mとした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例6
実施例1において、インク定着層の乾燥塗工量が7g/mとした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
<評価方法>
得られたインクジェット記録用紙のインクの吸収性、インクの耐擦過性、記録画像の鮮明性について、下記に示す方法で評価し、その結果を表1に示した。
「記録画像の鮮明性(印字濃度)」
インクジェット記録用紙に黒色インクでベタ印字し、その色濃度をマクベス反射濃度計(モデル:Gretag Macbeth RD−19、マクベス社製)で測定した。
なお、インクジェットプリンターにはCANON社製(商標:iP−4300、印字モード:光沢紙、きれいモード)を用いた。
「光沢度」
20度鏡面光沢度の評価は、記録用紙表面を、JIS−P8741に準拠して、村上色彩技術研究所製デジタル光沢計(GM−26D)を用い、入反射角度20度で測定した。
「ドラム曇り」
光沢インクジェット記録用紙の最表層を塗工・凝固処理した後、表面温度95℃に加熱したキャストドラムに圧着し、10秒後にキャストドラムからインクジェット記録用紙を剥がし、鏡面表面にインクジェット記録用紙の塗工層の残留があるかどうかを下記の基準で評価した。
5:ドラム表面に残留物は全く無い。
4:ドラム表面に残留物はほとんど無い。
3:ドラム表面に残留物がやや認められるが、通常に生産できる。
2:ドラム表面に残留物が多く見られる。
1:ドラム表面に残留物が極めて多く付着し、ドラム表面の光沢が失われている。
「離型性」
光沢インクジェット記録用紙の光沢発現層を塗工・凝固処理した後、表面温度95℃に加熱したキャストドラムに圧着し、10秒後にキャストドラムから光沢インクジェット記録用紙を剥がす速度でキャストコーターを運転し、1,000m塗工して離型の様子を観察し、下記の基準で評価した。
5:離型はまったく問題なく、極めて順調に操業できた。
4:離型はやや強制的にドラム表面から剥離する状態だったが、順調に操業できた。
3:離型は強制的にドラム表面から剥離する状態だったが、用紙表面に対するダメージなく操業できた。
2:離型は強制的にドラム表面から剥離する状態であり、用紙表面に対する若干のダメージが認められた。
1:ドラム表面から塗工層が剥離せずにドラム表面に残る、いわゆるドラムピックが発生し、1,000mの操業ができなかった。
Figure 2012200999
表1から明らかなように、本実施例の光沢インクジェット記録用紙は記録濃度が高く、高い光沢が得られ生産性にも優れている。これに対し、比較例は、いずれかの評価項目で少なくとも実用上問題となるレベルと評価されることが分かった。
本発明は、光沢のある優れた外観を有し、且つ、生産性に優れたインクジェット記録用紙の製造方法を提供するものであり、例えば、写真画質の記録を行うインク吐出の早い染料インク系インクジェットプリンタの出力用紙として利用される。

Claims (6)

  1. 紙支持体上にインク定着層、光沢発現層を順次設けるインクジェット記録用紙の製造方法において、顔料、接着剤、インク定着剤及びポリエチレンワックスを含む塗液を塗布、乾燥することによりインク定着層を形成し、コロイダルシリカを含有し、バインダーを含有しない塗液を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより光沢発現層を形成することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  2. 紙支持体上にインク定着層、光沢発現層を順次設けるインクジェット記録用紙の製造方法において、顔料、接着剤、インク定着剤及びポリエチレンワックスを含む塗液を塗布、乾燥することによりインク定着層を形成し、コロイダルシリカを含有し、コロイダルシリカ固形分100質量部に対し、10質量部以下のバインダーを含有する塗液を塗布し、キャストドラムに圧接して乾燥することにより光沢発現層を形成することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
  3. 光沢発現層の乾燥塗工量が0.1〜1.5g/mである請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  4. 光沢発現層の乾燥塗工量が0.1〜1g/mである請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  5. インク定着層の乾燥塗工量が2〜7g/mである請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
  6. インク定着層の顔料が気相法シリカである請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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