JP2006256312A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
インクジェット記録用紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006256312A JP2006256312A JP2006037525A JP2006037525A JP2006256312A JP 2006256312 A JP2006256312 A JP 2006256312A JP 2006037525 A JP2006037525 A JP 2006037525A JP 2006037525 A JP2006037525 A JP 2006037525A JP 2006256312 A JP2006256312 A JP 2006256312A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pulp
- cavitation
- paper
- base paper
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
Abstract
【解決手段】 基紙上にインク受容層を形成し、該インク受容層を加熱した鏡面に圧着して光沢を付与してなるインクジェット記録用紙であって、基紙は炭酸カルシウムを填料として含有すると共にキャビテーション処理を行ったパルプを含有する。
【選択図】 図2
Description
キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を基紙上に塗工してインク受容層となる塗工層を設け、湿潤し可塑状態の塗工層をキャストドラム(鏡面仕上げの面)に押し当て、光沢仕上げする方法である。
キャストコート法は一般的に(1)塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦(半)乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウェットキャスト法(再湿潤法)、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類に分けることができる。
これらは、何れも鏡面状のドラム表面を写し取ることによって、高光沢の塗工層表面を得るという点で共通している。
そこで、特許文献3に記載されているように、蛍光増白剤を多量に配合する代わりに、白色度の高い填料(上記炭酸カルシウム等)を基紙に配合することで白色度を向上させることができる。ここで、炭酸カルシウムを配合した基紙は中性を示す。
ところが、中性の基紙を用いてキャストコート法でインク受容層を設けると、乾燥後のカールが大きくなって生産性や操業性が低下することが判明した。この理由は、基紙が中性化すると透気抵抗度が著しく減少するため、塗工層をキャストドラム上で押し当てて乾燥し光沢仕上げをする際、乾燥が過度になって基紙の乾燥収縮が増大するためと考えられる。
従って、本発明の目的は、白色度が高く、かつ操業性や生産性に優れたインクジェット記録用紙を提供することにある。
前記基紙の白色度が95%以上であることが好ましい。
基紙はパルプと填料とを主成分として構成されるが、必要に応じて表面に塗工層が設けられてもよい。パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ、非木材パルプ(ケナフ繊維)等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。
本発明者らは、キャビテーションを用いて上記パルプの処理を行うことにより、後述する炭酸カルシウムを填料に用いても、基紙の透気抵抗度が増加することを見出した。この理由は明らかではないが、次のように考えられる。
すなわち、キャビテーションにより発生する気泡によってパルプを処理する場合、繊維そのものの破壊(繊維の断裂等)は生じず、繊維表面のフィブリル化が選択的に行われるため、基紙表層部と内部において繊維結合状態に差が生じる。これにより、キャビテーション処理を行ったパルプから得られる基紙は、基紙内部に比べ基紙表面部分が密となり、基紙表面の空隙が少なくなる。
一方、従来からの機械力を用いたパルプ叩解処理においては、繊維自体の破壊が生じるため、上記した基紙表層部と内部との間に繊維結合状態の差は生じにくく、表面の空隙は基紙内部と同程度となる。従って、紙の密度が同一である場合に、キャビテーション処理を行ったパルプを含有する紙の方が、機械力により叩解処理を行ったパルプのみからなる紙と比較して、透気抵抗度が高くなると考えられる。
一方、図3、図4は従来の機械力を用いて同一のパルプ(LKP)を叩解した場合のパルプ繊維の電子顕微鏡写真を示す。図4から、従来の方法で叩解したパルプは、表層だけでなく内側の繊維もほぐれ、繊維の表面が毛羽立っていることがわかる。
キャビテーションは、参考文献(加藤洋治編著、新版キャビテーション 基礎と最近の進歩、槇書店、1999)に記載されているように、高速水中噴流等によって噴流まわりに圧力差が生じることにより、常温での飽和蒸気圧に比べ、噴流まわりの液体の圧力が低くなった結果、液体が蒸発して直径が数百ミクロン程度の微細な気泡(キャビテーション気泡)を生じる現象のことである。このキャビテーション気泡が崩壊する際に数μmオーダーの局所的な領域に数GPaにおよぶ高衝撃圧を発生し、同時に断熱圧縮により数千℃に温度が上昇するといわれている。
その結果、キャビテーションが発生した場合には流体機械等の機器に損傷、振動、性能低下などの害をもたらす面があり、解決すべき技術課題とされてきた。
近年、キャビテーションについて研究が急速に進み、キャビテーション噴流の流体力学的パラメーターを操作因子としてキャビテーションの発生領域や衝撃力まで高精度に制御できるようになった。その結果、気泡の崩壊衝撃力を制御することにより、その強力なエネルギーを有効活用することが期待されはじめている。従って、流体力学的パラメーターに基づく操作・調整を行うことでキャビテーションを高精度に制御することが可能となった。
更に必要とあれば上記液体に、別の新たな液体を加えることができる。上記液体と新たな液体は、均一に混合して噴射しても良いが、別個に噴射しても良い。
キャビテーションによって発生した気泡をパルプ懸濁液に接触させて処理することにより、所望の濾水度のパルプに調製することができる。ここで、基紙に用いる全てのパルプをキャビテーション処理して抄紙しても良いし、特定の割合や種類のパルプのみをキャビテーション処理し、残りのパルプは通常の叩解処理(機械処理)したものを用いて抄紙しても良い。また、非木材繊維もキャビテーション処理して使用することもできる。
また、機械的叩解処理を施した後にキャビテーション処理を行ってもよいし、機械的叩解処理を施す前に処理を行うことも可能である。機械的叩解処理は公知の叩解機を用いて行えばよい。叩解機については特に限定するものではなく、シングルディスクリファイナーやダブルディスクリファイナー等のリファイナーの他、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザー等、回転軸を中心として金属または刃物と繊維を作用させるもの、又は繊維同士の摩擦によるものが挙げられる。特に、機械的叩解処理とキャビテーション処理を組み合わせた場合、2種の異なる機構によって叩解を行うため、パルプ繊維の叩解特性を制御し、より望ましい紙質を得ることができる。
なお、キャビテーション処理を行う前のパルプの叩解度は特に制限されない。
また、キャビテーション処理時のパルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHが13を超えると、パルプ繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。アルカリ条件である方がパルプ繊維の膨潤性がよく、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。
キャビテーション処理の有無のみが異なる同一種類のパルプを用い、同一条件で基紙を抄紙した場合、キャビテーション処理したパルプを用いた基紙は、キャビテーション処理を行わずに通常の機械処理又は化学処理によって叩解したパルプのみを抄紙した基紙に比べ、基紙の透気抵抗度が50〜400%程度程度増加する。
ここで、通常の機械処理によって叩解したパルプとは、例えば特定種類のパルプについてJISに規格する機械パルプや化学パルプが挙げられる。又、その他のパルプについても、一般に行われる叩解処理したものでよい。
基紙に用いるパルプのうち一部をキャビテーション処理した場合は、キャビテーション処理したパルプの含有割合に応じて基紙の透気抵抗度の増加量も変化するが、その場合も基紙の透気抵抗度が50〜400%程度増加したものを、本発明に用いる基紙とみなすことができる。
基紙の透気抵抗度の増加率が50%未満であると、本発明の効果が生じず、キャビテーション処理する必要が生じない場合があり、増加率が400%を超えるとキャストドラム上での乾燥が不充分となり、塗工層の形成が不充分となったり、ドラム汚れなどの問題が生じる場合がある。
なお、透気抵抗度は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.5−2 「紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法」に規定された試験法にて測定する。
基紙の白色度を向上させるため、基紙は炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)を填料として含有する。特に、不純物が少なく白色度が高い点から軽質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
炭酸カルシウムとしては、粒子径0.1〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。炭酸カルシウムの粒子径が0.1μm未満であると、白色度は向上するが歩留まりが低下する傾向にある。一方、粒子径が10μmを超えると白色度が低下する傾向にある。なお、上記粒子径はレーザー回折法で平均粒子径を測定して求めることが可能である。
又、上記軽質炭酸カルシウムの形状としては、例えば紡錘形、針状、柱状、立方形、ロゼッタ型等いずれの形状のものを単独で使用し又は混合して使用することができる。
さらに、基紙の内添助剤として、サイズ剤、紙力増強剤、表面紙力剤、カチオン化剤、歩留まり向上剤、染料、蛍光増白剤等を内添(パルプスラリーに添加)することができる。サイズ剤としては、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、又はアルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤を好適に使用できる。また、紙力増強剤としては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、及びメラミン/ホルマリン樹脂から選ばれるものを好適に使用できる。
基紙は、pHが6〜10の中性紙であることが好ましい。更に好ましくは、基紙のpHが6〜8である。
基紙のpHが6未満であると、基紙上にキャスト塗工層(インク受容層)を設けてインクジェット記録用キャストコート紙を製造する際、インク受容層塗工液中の結着剤成分が基紙中に浸透しやすくなるため、インク受容層中の結着剤の割合が低下してインク発色性や光沢度が低下する場合がある。一方、基紙のpHが10を超えると、キャスト塗工層を形成する際、キャストドラムの汚れや、処理液と基紙との過剰反応による凝集沈着などが生じ、操業トラブルとなる場合がある。
なお、基紙のpHはJIS P 8133(紙、板紙、及びパルプ−水抽出液pHの測定方法)に準じて測定を行う。また、簡便に基紙のpHを測定する方法として、基紙を紙層間で裂いて基紙の内側を露出させ、その表面pHをJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.49−2:2000 紙−表面pH測定方法−第2部:指示薬法)を用いることもできる
上記基紙の透気抵抗度はキャストドラム上での乾燥収縮に影響を与え、キャストコート時のカール形状に影響する。このようなことから、基紙の透気抵抗度を20〜1000秒とすることが好ましい。さらに好ましくは、透気抵抗度は20〜100秒であり、特に好ましくは20秒〜60秒である。
一方、透気抵抗度が1000秒を超えると、塗工層の乾燥性が著しく低下し、さらにはキャスト時に鏡面ドラムが汚れるため、生産性や操業性が低下する場合がある。
基紙におけるインク受容層側の表面に表面サイズ剤として、アルキルケテンダイマー、中性ロジンサイズ剤;アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤;マレイン酸又はマレイン酸エステルと、オレフィンとの共重合体;マレイン酸又はマレイン酸エステルと、スチレンとの共重合体;アクリル酸、メタクリル酸エステル、及びアクリル酸エステルの群から選ばれる1種以上と、スチレンとの共重合体;アクリル酸エステル、アクリル酸、又はアクリル酸アミドをモノマー成分として重合させたアクリル系共重合体等の表面サイズ剤を単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
さらに本発明の効果を損なわない範囲で、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、導電剤等、一般にインクジェット記録用紙に使用される添加剤を併用してもよい。
インク受容層は顔料と結着剤とを含み、基紙上にキャストコート法で形成される。
(顔料)
本発明においては、光沢を低下させない範囲でインク受容層中に顔料を含有してもよい。顔料としては、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナやアルミナ水和物、合成シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等が挙げられ、これらを単独で使用し又は併用することができる。発色性の観点からは、透明度が高い顔料である合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物を用いることが好ましい。
インク受容層は結着剤としてポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールを用いると、インク受容層の透明度が向上し、銀塩写真に近い光沢感が得られる。又、ポリビニルアルコールに加え、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体;等を配合してもよい。
結着剤の配合量は、顔料100質量部に対して、5質量部〜30質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られれば、特に限定されるものではない。
インク受容層は、上記顔料及び結着剤を含む塗工液を基紙上に塗布して形成することができる。塗工液には、必要に応じ、顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
又、以下のキャストコートの際、鏡面仕上げの面から剥離し易くするため、塗工液には必要に応じて剥離剤を添加することができる。剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の範囲においては剥離剤の融点が鏡面仕上げの金属表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではない。
基紙上にインク受容層を設ける方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択することができる。
高い光沢を有するインクジェット記録用紙を得られるという点から、インク受容層は凝固キャストコート法により形成されることが好ましい。
キャストコート法は、上記塗工液を基紙上に塗工してインク受容層となる塗工層を設け、湿潤し可塑状態の塗工層をキャストドラム(鏡面仕上げの面)に押し当て、光沢仕上げする方法である。凝固キャストコート法は、湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥する方法である。
凝固法を用いる場合、インク受容層用塗工液を基紙上に塗工し、その塗工層が湿潤状態にある間に結着剤を凝固(あるいは架橋)する作用を持つ処理液を塗布し、その後加熱した鏡面に塗工層を圧着し、光沢を付与する。
処理液を塗布する際のインク受容層は湿潤状態と乾燥状態のいずれであってもよいが、インク受容層が湿潤状態である間に処理液を塗布すると、鏡面ドラムの表面を写し取りやすく、インク受容層表面の微小な凹凸を少なくすることができるため、銀塩写真並の光沢感を得やすい。
本発明においては、結着剤としてポリビニルアルコールを用いることが好ましい。この場合、ポリビニルアルコールを凝固させる作用を持つ化合物として、ホウ酸とホウ酸塩とを含有する処理液を用いることができる。
ホウ酸とホウ酸塩とを併用する理由は以下の通りである。まず、ホウ酸塩を単独で処理液に用いると、ポリビニルアルコールの凝固が強くなり過ぎ、鏡面仕上げの面を充分に写し取ることができず、良好な光沢面を得ることが困難となる場合がある。この場合、処理液中のホウ酸塩濃度を低減してもポリビニルアルコールの凝固の強さは変化しないため、光沢は改善されない傾向にある。
一方、ホウ酸を単独で処理液に用いた場合、ポリビニルアルコールの凝固が柔らかくなり過ぎ、鏡面仕上げの面(ロール)に軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが困難となる場合がある。この場合、処理液中のホウ酸濃度を高くするとポリビニルアルコールの凝固は強くなる傾向にある。しかし、ホウ酸の溶解度が低いためにホウ酸濃度をあまり高くすることはできず、所望の凝固強さが得られない傾向にある。
処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度は必要に応じて適宜調整することができる。処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にある。また、ホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高いと処理液中に析出しやすくなり、処理液の安定性が低下する傾向にある。
ホウ酸塩とホウ酸の好ましい配合割合は、ホウ酸塩とホウ酸とをNa2B4O7及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ酸塩/ホウ酸)=0.25〜2である。
処理液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択することができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は特に明示しない限り、質量部及び質量%を示す。
<キャビテーション処理パルプの調整>
市販広葉樹漂白クラフトパルプシートを低濃度パルパーで離解し、ろ水度666ml(c.s.f.))のパルプ懸濁液とした。このパルプ懸濁液を1.1質量%に調整後、図5に示す噴流式キャビテーション装置(ノズル径1.5mm)を用いてキャビテーション処理した。
図5において、試料タンク1内に図示しないパルプ懸濁液(濃度1.1%)が収容され、試料タンク1には温度センサー12とミキサー13が挿入されている。試料タンク1のパルプ懸濁液はプランジャポンプ4を介した所定の配管によりキャビテーション噴流セル3に噴射液として導入される。キャビテーション噴流セル3の下部にはノズル2が設けられ、より詳細には試料タンク1のパルプ懸濁液はノズル2から噴流セル3内に噴射される。さらに、試料タンク1の側部から噴流セル3に向かう配管に給水弁9、循環弁10が設けられ、試料タンク1内のパルプ懸濁液を噴流セル3内に被噴射液として供給される。
試料タンク1の側部からノズル2に向かう別の配管には上流側圧力制御弁5が介装されている。一方、噴流セル3の上部から試料タンク1に向かう別の配管には下流側圧力制御弁6が介装され、各弁5,6を調整することで、ノズル2へのパルプ懸濁液の噴射圧を調整可能になっている。又、ノズル2の入側には上流側圧力計7が設けられ、噴流セル3の上部には下流側圧力計8が設けられている。なお、噴流セル3の下部には排水弁が11が設けられている。
なお、ろ水度は、JIS P8121「パルプのろ水度試験方法」に準じ、カナダ標準ろ水度を測定した。
凝固液B:ホウ砂とホウ酸とをNa2B4O7及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ砂:ホウ酸)=1:1となるように含有する水溶液を調製した。水溶液中のホウ砂とホウ酸とを、Na2B4O7及びH3BO3に換算した時の合計濃度を11質量%とした。
上記したキャビテーション処理を行わず、以下の叩解機を用いた叩解処理を行ったパルプを用いて基紙を作製したこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
(叩解機を用いた叩解処理を行ったパルプの調製)
市販針葉樹漂白クラフトパルプシートを低濃度パルパーで離解し、ろ水度666ml(c.s.f.))のパルプ懸濁液とした。このパルプ懸濁液を濃度10%に濃縮した後、PFIミルを用いて叩解し、ろ水度300ml(c.s.f.)のパルプを得た。
なお、PFIミルはJIS P8221−2「パルプ−こう解方法−第2部:PFIミル法」に規定される装置であり、ロールとハウジングのクリアランスを0.2mmとして使用した。
叩解度300mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)からなるパルプ100部に対し、タルク6部、硫酸アルミニウム2.0部、ロジン系サイズ剤0.5部、及び歩留向上剤0.005部を添加したものを用いて抄紙機で抄紙した。この原紙の両面に、固形分で1.5g/m2のデンプンと、該デンプンに対して固形分で3.0%のスチレン系表面サイズ剤(荒川化学製 ポリマロン1341)を塗布して基紙を作成したこと以外は、比較例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
1.透気抵抗度
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の透気抵抗度を、王研式透気度平滑度計(EYO-55S 旭精工株式会社)を用い、Japan Tappi No.5に従って測定した。
2.白色度
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の白色度を、白色度計(CMS-35SPX、村上色彩株式会社製)を用い、ISO2470に従って測定した。
3.印字濃度、インク発色性
インクジェットプリンター(PM−970:セイコーエプソン株式会社製の商品名、染料インク使用)を用いて、各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙に所定のカラーパターンを記録した。マクベス濃度計(グレタグ・マクベス社製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの合計の印字濃度を測定した。
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の印字濃度に応じて、以下の基準でインク発色性を評価した。
〇:印字濃度が8以上のもの
×:印字濃度が8未満のもの
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙に対し、インクジェットプリンター(PM−970:セイコーエプソン株式会社製の商品名、染料インク使用)を用いて、異なる色(イエロー、ブラック)のベタの四角パターンをそれぞれ隣接して印字し、その境界線のにじみを目視観察し、インク吸収性を以下の基準で評価した。評価が〇であれば実用上問題なく使用できる。
〇:境界線にじみがないもの
×:境界線にじみが見られたもの
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の枠先カール、製品カール、環境カールA〜C(標準条件、高温/高湿条件、低温/低湿条件の3種類の条件)を以下の基準で評価した。
(1)枠先カール
乾燥直後のインクジェット記録用紙をA4サイズ(297mm×210mm)に断裁した。断裁した紙を平面に静置した際の紙の4隅の高さを測定し、以下の基準に従い評価を行った(数値の−は、中心部の方が紙の4隅より高いことを示す)。
〇:キャスト塗工面(中心部)を基準としたカールの平均高さが-7〜-12mm
×:キャスト塗工面を基準としたカールの平均高さが-7mm以上、又は-12mm以下
(2)製品カール
乾燥直後のインクジェット記録用紙をA4サイズ:297mm×210mmに断裁した。断裁した紙を包装し、一日以上放置した後、開封した際の平面からの紙の4隅の高さを測定し、以下の基準に従い評価を行った。
〇:キャスト塗工面を基準としたカールの平均高さが+10〜-15mm
×:キャスト塗工面を基準としたカールの平均高さが+10mm以上、又は-15mm以下
乾燥直後のインクジェット記録用紙をA4サイズ:297mm×210mmに断裁した。以下のA〜Cの条件下で断裁した紙の4隅の高さを測定し、以下の基準で評価した。
〇:A〜C各評価の全てが○のもの
×:A〜C各評価のうち一つでも×があるもの
A(標準条件:断裁後の紙を温度23℃、湿度50%条件下で、24時間静置した際の紙の4隅の高さ)
〇:キャスト塗工面を基準としカールの平均高さが+10〜-15mm
×:キャスト塗工面を基準としカールの平均高さが+10mm以上、もしくは-15mm以下
(3−2)環境カールB(高温/高湿条件:断裁後の紙を温度30℃、湿度80%条件下で、4時間静置した際の紙の4隅の高さ)
〇:キャスト塗工面を基準としカールの平均高さが+10〜-15mm
×:キャスト塗工面を基準としカールの平均高さが+10mm以上、もしくは-15mm以下
(3−3)環境カールC(低温/低湿条件:断裁後の紙を温度15℃、湿度10%条件下で、4時間静置した際の紙の4隅の高さ)
〇:キャスト塗工面を基準としカールの平均高さが+10〜-15mm
×:キャスト塗工面を基準としカールの平均高さが+10mm以上、もしくは-15mm以下
填料に軽質炭酸カルシウムを含まない酸性紙を基紙に用いた比較例2の場合、基紙の透気抵抗度が56秒と高く、カール特性は優れていたが、白色度、インク発色性が劣った。
2:ノズル
3:キャビテーション噴流セル
4:プランジャポンプ
5:上流側圧力制御弁
6:下流側圧力制御弁
7:上流側圧力計
8:下流側圧力計
9:給水弁
10:循環弁
11:排水弁
12:温度センサー
13:ミキサー
Claims (4)
- 基紙上にインク受容層を形成し、該インク受容層を加熱した鏡面に圧着して光沢を付与してなるインクジェット記録用紙であって、前記基紙は炭酸カルシウムを填料として含有すると共にキャビテーション処理を行ったパルプを含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記基紙のpHが6〜8であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- 前記基紙の透気抵抗度が20〜1000秒であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
- 前記基紙の白色度が95%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006037525A JP2006256312A (ja) | 2005-02-18 | 2006-02-15 | インクジェット記録用紙 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005042440 | 2005-02-18 | ||
JP2006037525A JP2006256312A (ja) | 2005-02-18 | 2006-02-15 | インクジェット記録用紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006256312A true JP2006256312A (ja) | 2006-09-28 |
Family
ID=37096026
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006037525A Pending JP2006256312A (ja) | 2005-02-18 | 2006-02-15 | インクジェット記録用紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006256312A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013067129A (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-18 | Riso Kagaku Corp | 非水系インクジェット印刷用光沢紙 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54125703A (en) * | 1978-03-17 | 1979-09-29 | Ishikawajima Harima Heavy Ind | Cavitation generator |
JPH09512063A (ja) * | 1994-04-14 | 1997-12-02 | ボ・ニルッソン | 紙製造における超音波の使用方法 |
JPH1016377A (ja) * | 1996-06-28 | 1998-01-20 | Tomoegawa Paper Co Ltd | インクジェット記録用紙及びその製造方法 |
WO2004014659A1 (ja) * | 2002-08-12 | 2004-02-19 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | インクジェット記録媒体 |
JP2004122469A (ja) * | 2002-09-30 | 2004-04-22 | Canon Inc | 記録媒体及び画像形成方法 |
JP2004230781A (ja) * | 2003-01-31 | 2004-08-19 | Nippon Paper Industries Co Ltd | インクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書 |
JP2005035277A (ja) * | 2003-06-25 | 2005-02-10 | Oji Paper Co Ltd | インクジェット記録用キャスト光沢紙、インクジェット記録用キャスト光沢紙の製造方法、キャスト塗工装置 |
WO2005012632A1 (ja) * | 2003-07-31 | 2005-02-10 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 再生パルプの製造方法、パルプ繊維表面及び夾雑物の改質方法、並びにパルプ処理装置 |
-
2006
- 2006-02-15 JP JP2006037525A patent/JP2006256312A/ja active Pending
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54125703A (en) * | 1978-03-17 | 1979-09-29 | Ishikawajima Harima Heavy Ind | Cavitation generator |
JPH09512063A (ja) * | 1994-04-14 | 1997-12-02 | ボ・ニルッソン | 紙製造における超音波の使用方法 |
JPH1016377A (ja) * | 1996-06-28 | 1998-01-20 | Tomoegawa Paper Co Ltd | インクジェット記録用紙及びその製造方法 |
WO2004014659A1 (ja) * | 2002-08-12 | 2004-02-19 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | インクジェット記録媒体 |
JP2004122469A (ja) * | 2002-09-30 | 2004-04-22 | Canon Inc | 記録媒体及び画像形成方法 |
JP2004230781A (ja) * | 2003-01-31 | 2004-08-19 | Nippon Paper Industries Co Ltd | インクジェット記録媒体及びこれを用いた葉書 |
JP2005035277A (ja) * | 2003-06-25 | 2005-02-10 | Oji Paper Co Ltd | インクジェット記録用キャスト光沢紙、インクジェット記録用キャスト光沢紙の製造方法、キャスト塗工装置 |
WO2005012632A1 (ja) * | 2003-07-31 | 2005-02-10 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 再生パルプの製造方法、パルプ繊維表面及び夾雑物の改質方法、並びにパルプ処理装置 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013067129A (ja) * | 2011-09-26 | 2013-04-18 | Riso Kagaku Corp | 非水系インクジェット印刷用光沢紙 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2007136777A (ja) | インクジェット記録シート及びその製造方法 | |
JP2007046219A (ja) | 被記録媒体及び該被記録媒体を用いた画像形成方法 | |
US6720041B2 (en) | Recording medium, and method for producing image using the same | |
JP2009061649A (ja) | インクジェット用記録媒体 | |
JP2006256320A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2012040788A (ja) | インクジェット記録用キャストコート紙の製造方法及びインクジェット記録用キャストコート紙 | |
JP2006256324A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2008062599A (ja) | 両面インクジェット記録用シート | |
JP2006256312A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2007290390A (ja) | インクジェット用記録媒体とその製造方法 | |
JP4488519B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2006257623A (ja) | 積層シート | |
JP2010236165A (ja) | 塗工紙用塗料及びその流動性を評価する方法 | |
JP5959468B2 (ja) | インクジェット記録用紙の製造方法 | |
JP2010115925A (ja) | インクジェット記録シートの製造方法 | |
JP5186978B2 (ja) | インクジェット記録媒体の製造方法 | |
JP2016112765A (ja) | インクジェット記録用媒体 | |
JP2008087214A (ja) | インクジェット記録媒体及びその製造方法 | |
JP2009196190A (ja) | インクジェット記録体 | |
JP2009234188A (ja) | インクジェット記録体 | |
JP2016193576A (ja) | インクジェット記録用光沢紙 | |
JP2008040297A (ja) | 電子写真用転写紙 | |
JP2006256313A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP5309524B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2002283697A (ja) | インクジェット記録媒体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090107 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100118 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100319 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100531 |