JP2006256320A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙再生パルプを用いた場合においても、印字した際の波打ち(コックリング)が小さく、かつ強度の高いインクジェット記録用紙を提供する。
【解決手段】パルプ製造工程において、古紙のパルプ懸濁液中に、好ましくは液体噴流によってキャビテーションを生じさせ、それに伴って生じる気泡をパルプに接触させ、その気泡の崩壊時の衝撃力を利用して所望のろ水度に調整した古紙再生パルプを、記録用紙に含有させることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は古紙を脱墨した再生パルプ(古紙再生パルプ)を用いたインクジェット記録用紙に関する。
インクジェット記録方式は、各種の方法により飛翔させたインクの微小液滴を、紙などの記録用紙に付着させて画像や文字を形成させる記録方式である。この記録方式は、高速化、フルカラー化が容易である上、記録時の騒音が低く、装置が低価格なこともあって、家庭ユーザー用として目覚しく普及している。
また、商業用途の分野において、従来、可変情報(公共料金やクレジットの請求書や領収書、配送用伝票、広告など)の印刷にはノンインパクト(NIP)印刷が用いられていたが、最近では、ラインヘッドを有する高速インクジェットプリンターによる印刷に置き換わり始めている。
インクジェット記録方式に用いる記録用紙は、顔料を含むインク受容層を設けないか又は極薄く設け、いわゆる上質紙・PPC用紙に似た風合いの普通紙タイプと、顔料を含むインク受容層を充分な厚み設けた塗工紙タイプとに大別される。さらに塗工紙タイプの記録用紙は、インク受容層に光沢を有するグロスタイプと、光沢を有さないマットタイプとに大別される。
近年、紙の需要は予測に反して増え続けており、その原料となるパルプの供給事情は世界的に厳しさを増している。一方で都市ゴミに含まれる紙類は特に多くなっており、地球環境保全と森林資源保護の観点から、古紙再生の拡大を図り、利用率を上げる努力が必要である。
古紙を製紙原料として再生する技術として、既に多くの機械的処理法及び漂白法が公知である。古紙再生方法としては、アルカリ及び界面活性剤を含む離解助剤を用いて古紙を離解する離解工程、パルプ繊維からインキの剥離を促進させる脱墨(混練)工程、剥離したインキを除去する洗浄工程(フローテーション工程)を順に行うことによって古紙再生パルプを得ることが一般的である(例えば、特許文献1,2参照)。
インクジェット記録用紙の原紙に上記古紙再生パルプを用いる技術も提案されている。(例えば、特許文献3,4参照)
特開昭58−126388号公報 特開昭63−28992号公報 特開2001−171223号公報 特開2002−173888号公報
しかしながら、上記特許文献3、4記載の技術を用いた場合、にじみやフェザーリング等の問題がなく印字品質が向上したインクジェット記録用紙が得られるものの、印字した際に発生する記録用紙の波うち(コックリング)が大きいという問題がある。コックリングが大きいと、インクジェットプリンターの搬送時に、擦れや外観の不良を招く。
従って、本発明は、古紙再生パルプを用いた場合においてもコックリングが小さいインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
上記した問題は、古紙再生パルプの脱墨(混練)工程において、パルプ繊維に種々の機械的処理を行うことで、パルプ繊維が損傷するために発生する。本発明者らが検討した結果、古紙を離解して得たパルプ懸濁液にキャビテーション処理を行うことにより、脱墨処理時のパルプ繊維の損傷を最小限にとどめることが可能となり、その結果、古紙再生パルプを用いた場合においてもインクジェット記録用紙のコックリングが低減することを見出した。
すなわち、本発明のインクジェット記録用紙は、古紙のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙からなることを特徴とする。
又、本発明のインクジェット記録用紙は、古紙のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙の少なくとも一方の表面に顔料と結着剤とを含むインク受容層を有する。
本発明のインクジェット記録用紙は、古紙のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙の少なくとも一方の表面に、顔料を含まず水溶性高分子結合剤及び/又はカチオン性樹脂を付着してなることを特徴とする。
本発明によれば、古紙再生パルプを用いた場合であってもコックリングを抑制することができるインクジェット記録用紙が得られる。
以下、本発明の実施形態に係るインクジェット記録用紙について説明する。本発明の実施形態に係るインクジェット記録用紙は、キャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙であるか、又は前記紙を含有する。なお、キャビテーション処理した古紙再生パルプとは、キャビテーションによって発生した気泡(キャビテーション気泡)を古紙再生パルプ製造時の離解工程や脱墨時の混練工程において、古紙由来のパルプ懸濁液に接触させることにより、古紙のパルプ繊維や灰分に付着しているインキ等の汚染物質を除去したパルプのことをいう。
古紙を離解して得られたパルプ懸濁液にキャビテーション処理を行うことにより、従来のパルプ繊維全体に対して負荷を与える方法とは異なり、パルプ繊維表面に対して選択的に負荷を与えることが可能となる。その結果、パルプ繊維自体への損傷が抑えられ、古紙再生パルプを用いた場合においても、印字した際に発生する記録用紙の波うち(コックリング)が小さく、インクジェットプリンターの搬送時に、擦れや外観の不良が生じ難い。
<第1の発明に係るインクジェット記録用紙>
まず、本発明の第1の発明に係るインクジェット記録用紙について説明する。このインクジェット記録用紙は、キャビテーション処理した古紙再生パルプと填料とを主成分とする紙から構成されるが、必要に応じて紙表面に塗工層が設けられてもよい。第1の発明に係るインクジェット記録用紙は、塗工層を全く設けないか又はほとんど設けないため、紙の繊維が隠蔽されず、風合いが上質紙やPPC用紙と同様であるため、これを普通紙タイプのインクジェット記録用紙という。
(古紙再生パルプ)
本発明に用いる古紙再生パルプは古紙から得られる。古紙としては、新聞、チラシ、更紙系雑誌、コート紙系雑誌、感熱・感圧紙、模造・色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、又はこれらの混合古紙が挙げられる。特に、夏場等で経時劣化した新聞古紙や更紙系雑誌、トナー印刷物などを含むオフィス古紙を、これら以外の上記古紙と混合して用いる場合に後述するキャビテーション処理を行うことが有効となる。さらに、上記古紙に、ラミネート加工された紙やUV樹脂インキなどで印刷された紙などの禁忌品が混入している場合に後述するキャビテーション処理を行うことが有効となる。
禁忌品とは、財団法人古紙再生促進センターが定義するA類、B類全般の古紙をいう(財団法人古紙再生促進センター編、古紙ハンドブック1999、p.4)。オフィス古紙としては、財団法人古紙再生促進センターが定義する上質系オフィス古紙全般をいう(上記古紙ハンドブック1999、p.3)。古紙としては、事業所および家庭から古紙または紙ゴミとして回収される古紙であれば、これらに限定するものではない。
古紙に含まれるトナー以外のインキとしては、公知の印刷インキ(日本印刷学会編、"印刷工学便覧"、技報堂、p.606、1983)、ノンインパクトプリンティングインキ("最新・特殊機能インキ"、シーエムシー、p.1、1990)等が挙げられる。新聞や更系雑誌に用いられる非加熱の浸透乾燥方式のオフセットインキとしては公知の新聞・更紙用オフセットインキ(後藤朋之、日本印刷学会誌、38(5)、7、(2001)など)が挙げられるが、これらに限定するものではない。特にこのような複数のインキによって印刷された古紙を処理する場合に、後述するキャビテーション処理を行うことが有効となる。
古紙再生パルプ中には古紙由来の灰分(内添填料や塗工された顔料等)が含有されていても良い。灰分とは紙を灰化した際に残存する物質であり、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、非晶質シリカ、二酸化チタン、硫酸カルシウム等が挙げられる。
なお、古紙再生パルプとして、キャビテーション処理をせずに得られた古紙再生パルプを含有しても良いが、この場合、キャビテーション処理をせずに得られた古紙再生パルプの含有割合が50重量%を超えると、インクジェット記録用紙のコックリングが充分に向上しなくなることがある。
(古紙再生パルプ以外のパルプ)
本発明においては、古紙再生パルプ以外のパルプを前記紙中に含有させることができる。古紙再生パルプ以外のパルプとしては、具体的には化学パルプ(例えば、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)等)、機械パルプ(例えば、グラウンドウッドパルプ(GP)、リファイナーメカニカルパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP))等を、任意の割合で古紙再生パルプに混合して使用できる。
また、古紙再生パルプ以外に非木材繊維も使用することができる。
本発明のインクジェット記録用紙において、古紙の利用率を上げるために、前記紙中の全パルプ原料に対し、上記キャビテーション処理により得られた古紙再生パルプの含有割合が50〜100重量%であることが好ましい。
(キャビテーションによる古紙パルプの処理)
本発明においては、キャビテーションを用いて脱墨処理を行って得られた古紙再生パルプを用いる。従来の脱墨技術の場合、パルプ繊維全体に機械的負荷がかかり、カッティングによるパルプ繊維自体が損傷するため、パルプ繊維長が低下して紙力の低下が生じる。又、従来の脱墨技術の場合、紙層が緻密になる反面、紙の嵩が低下する(密度が大きくなる)という問題もある。
一方、キャビテーションによって気泡を発生させ、これを古紙パルプ懸濁液に接触させて処理することで、発生する微細気泡の崩壊衝撃力によって、古紙パルプ繊維表面のみに選択的に負荷を与えることができる。このように既存の脱墨工程にキャビテーション処理を適用することにより、従来の脱墨技術では困難とされる比較的低濃度、低温条件での処理が可能となり、ダートの剥離・微細化が効率的に行われる。そして、キャビテーション処理を行うことで、古紙パルプの繊維の全体的な損傷及び内部フィブリル化を抑制でき、かつ、繊維表面のみのフィブリル化を促進できる。
また、キャビテーション処理した古紙再生パルプは繊維損傷が少なく繊維が剛直であり、繊維のカールが小さい。そのため、このパルプを含有する前記紙の寸法安定性が良好となり、コックリングが低減すると共に、繊維の透明化が抑えられるために裏抜けも低減する。
図1、図2は、後述する実施例1の条件によりキャビテーション処理を行ったパルプ繊維(但し、LKPバージンパルプ)の電子顕微鏡写真を示す。図2から、キャビテーション処理を行ったパルプは、表層のみ繊維が剥離し、剥離した内側の繊維はほぐれずに元の形態を保っていることがわかる。
一方、図3、図4は従来の機械力を用いて同一のパルプを叩解した場合のパルプ繊維の電子顕微鏡写真を示す。図4から、従来のパルプは、表層だけでなく内側の繊維もほぐれ、繊維の表面が毛羽立っていることがわかる。
(キャビテーション)
キャビテーションは、参考文献(加藤洋治編著、新版キャビテーション 基礎と最近の進歩、槇書店、1999)に記載されているように、高速水中噴流等によって噴流まわりに圧力差が生じることにより、その温度(常温)での飽和蒸気圧より噴流まわりの液体の圧力が低くなった結果、液体が蒸発して直径が数百ミクロン程度の微細な気泡(キャビテーション気泡)を生じる現象のことである。このキャビテーション気泡が崩壊する際に数μmオーダーの局所的な領域に数GPaにおよぶ高衝撃圧を発生し、同時に断熱圧縮により数千℃に温度が上昇するといわれている。
一般に、ニーダー・ディスパーザー等の通常使用されている混練機や攪拌機によって脱墨処理を行うと、処理の進行に伴って、繊維長の低下、微細繊維分の増加、繊維の透明化、繊維のカールが生じ、作製したシートの寸法安定性が劣化する。そのため、インクジェット記録にて印字した際のコックリングが増大したり、裏抜けが生じたりする。
一方、上記したようにパルプをキャビテーション処理すると、繊維表面のみのフィブリル化を促進できるため、これらの問題を解決できる。
近年、キャビテーションについて研究が急速に進み、キャビテーション噴流の流体力学的パラメーターを操作因子としてキャビテーションの発生領域や衝撃力まで高精度に制御できるようになった。その結果、気泡の崩壊衝撃力を制御することにより、その強力なエネルギーを有効活用することが期待されはじめている。従って、流体力学的パラメーターに基づく操作・調整を行うことでキャビテーションを高精度に制御することが可能となった。
キャビテーションの発生手段としては、ブレードや丸棒等を流体流れに直交するように配置した管に高圧で液体を流す方法、液体噴流による方法、超音波振動子を用いる方法、超音波振動子とホーン状の増幅器を用いる方法、レーザー照射による方法などが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、液体噴流を用いると、キャビテーション気泡の発生効率が高く、より強力な崩壊衝撃力を持つキャビテーション気泡雲を形成するため、インキ等の汚染物質に対する作用効果が大きく、さらに繊維表面のフィブリル化に効果がある。上記の方法によって発生するキャビテーションは、従来のように流体機械(ポンプ等)で自然発生的に生じる制御不能の害をもたらすキャビテーションではなく、制御可能であり、そのエネルギーを有効利用することができる。
なお、液体噴流とは、液体又は液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプや無機物粒子のスラリーや気泡を含む液体噴流をいう。ここでいう気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。
キャビテーション気泡は液体が加速され、局所的な圧力がその液体の飽和蒸気圧より低くなったときに発生するため、流速及び圧力が特に重要となる。このことから、キャビテーションの状態を表わす基本的な無次元数、キャビテーション数(Cavitation Number)σは次のように定義される(上記参考文献)。

(p:一般流の圧力、U:一般流の流速、pv:流体の蒸気圧、ρ:密度)
ここで、キャビテーション数が大きいということは、その流れ場がキャビテーションを発生し難い状態にあるということを示す。特にキャビテーション噴流のようなノズルあるいはオリフィス管を通してキャビテーションを発生させる場合は、ノズル上流側圧力p1、ノズル下流側圧力p2、試料水の飽和蒸気圧pvから、キャビテーション数σは下記式(2)のように書きかえることができ、キャビテーション噴流では、p1、p2、pv間の圧力差が大きく、p1≫p2≫pvとなることから、キャビテーション数σはさらに以下のように近似することができる(H. Soyama, J. Soc. Mat. Sci. Japan, 47(4), 381 1998)。
上述したキャビテーション数σが0.001以上0.5以下であることが望ましく、0.003以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが特に好ましい。キャビテーション数σが0.001未満である場合、キャビテーション気泡が崩壊する時の周囲との圧力差が低いため効果が小さくなり、0.5より大である場合は、流れの圧力差が低くキャビテーションが発生し難くなる傾向にある。
また、ノズルまたはオリフィス管を通じて噴射液を噴射してキャビテーションを発生させる際には、噴射液の圧力(上流側圧力)は0.01MPa以上30MPa以下であることが望ましく、0.7MPa以上15MPa以下であることが好ましく、2MPa以上10MPa以下であることが特に好ましい。上流側圧力が0.01MPa未満では下流側圧力との間で圧力差を生じ難く作用効果は小さい傾向にある。また、30MPaより高い場合、特殊なポンプ及び圧力容器を必要とし、消費エネルギーが大きくなる傾向にあることからコスト的に不利である。一方、容器内の圧力(下流側圧力)は静圧で0.05MPa以上0.3MPa以下が好ましい。また、容器内の圧力と噴射液の圧力との圧力比は0.001〜0.5の範囲が好ましい。
また、噴射液の噴流の速度は1m/秒以上200m/秒以下の範囲であることが望ましく、20m/秒以上100m/秒以下の範囲であることが好ましい。噴流の速度が1m/秒未満である場合、圧力低下が低く、キャビテーションが発生し難くいため、その効果は弱い。一方、200m/秒より大きい場合、高圧を要し特別な装置が必要であり、コスト的に不利である。
キャビテーション処理を行う場所は、タンクなど任意の容器内若しくは配管内を選ぶことができるが、これらに限定するものではない。また、1パスで処理することも可能であるが、必要回数だけ循環させることによって更に効果を増大できる。さらに複数の発生手段を用いて並列で、あるいは、順列(直列)で処理することができる。
キャビテーションを発生させるための噴流は、パルパーのような大気開放の容器の中でなされてもよいが、キャビテーションをコントロールするために圧力容器の中でなされるのが好ましい。
液体噴流によるキャビテーションの発生方法では、パルプ懸濁液に対して、噴射液体として、例えば、蒸留水、水道水、工業用水、製紙工程で回収される再用水、パルプ搾水、白水、パルプ懸濁液、アルコールなどを噴射することができるが、これらに限定するものではない。好ましくは、パルプ懸濁液自体を噴射することで、噴流周りに発生するキャビテーションによる作用効果に加え、高圧でオリフィスから噴射する際の流体力学的剪断力が得られるため、より大きな作用効果を発揮する。なお、噴射液体としてパルプ懸濁液を用いる場合、処理対象とする全量を循環させて処理することも可能である。
更に必要とあれば上記液体に、別の新たな液体を加えることができる。上記液体と新たな液体は、均一に混合して噴射しても良いが、別個に噴射しても良い。
液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、より強力なキャビテーションが発生する。更に被噴射液を収める容器を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力も大となる。
ここで、噴射液とは、高圧でオリフィスから噴射する液体を指し、被噴射液とは容器内もしくは配管内に収容され、上記噴射液が当てられる液体を指す。
キャビテーションは液体中の気体の量に影響され、気体が多過ぎる場合は気泡同士の衝突と合一が起こるため崩壊衝撃力が他の気泡に吸収されるクッション効果を生じるため衝撃力が弱まる。従って、溶存気体と蒸気圧の影響を受けるため、その処理温度は融点以上沸点以下でなければならない。液体が水を媒質とする場合、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10℃〜60℃の範囲とすることで高い効果を得ることができる。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水溶液の場合、50℃前後が最適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。80℃よりも高い温度では、キャビテーションを発生するための圧力容器の耐圧性が著しく低下するため、容器の損壊を生じやすいため不適である。
本発明においては、界面活性剤などの液体の表面張力を低下させる物質を添加することで、キャビテーションを発生させるために必要なエネルギーを低減することができる。添加する物質としては、公知または新規の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは、有機溶剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの単一成分からなるものでも2種以上の成分の混合物でも良い。添加量は噴射液及び/または被噴射液の表面張力を低下させるために必要な量であればよい。また、添加場所としてはキャビテーションを発生させる場所よりも前の工程のいかなる場所でもよく、液体を循環させる場合は、キャビテーションを発生させる場所以降であっても構わない。
(キャビテーションによるパルプ処理の方法)
キャビテーションによって発生した気泡を古紙パルプ懸濁液に接触させて処理することにより、パルプ繊維自体に損傷を与えることなくパルプ繊維および灰分に付着している汚染物質を剥離し、剥離した汚染物質を除去することができる。汚染物質とは、パルプ繊維および灰分に付着している異物を指し、インキに加え、例えば、蛍光染料、一般の染料、塗料、天然又は合成の高分子物質等の塗工層残渣;ラミネート等の加工層残渣;接着剤および粘着剤;サイズ剤等が挙げられる。さらに汚染物質として、紙を抄造する際に内添する歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、内添サイズ剤、染料等の抄紙用内添薬剤等が挙げられる。この中でも、インキが主要な汚染物質である。
処理対象であるパルプ懸濁液の固形分濃度は5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲で処理すると、気泡の発生効率の点から好ましい。
また、キャビテーション処理時のパルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHが13を超えると、パルプ繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。アルカリ条件である方がパルプ繊維の膨潤性がよく、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。
キャビテーション処理は、古紙から古紙再生パルプを製造するための脱墨工程のいかなる部分にも適用できる。脱墨工程は、(1)高濃度パルパー、ニーダー等の機械力を伴うインキ剥離工程と、(2)フローテーション及び/または洗浄法によるインキ除去工程とからなる。例えば上記(1)インキ剥離工程に代えて、キャビテーション処理を行っても良く、上記(1)工程とキャビテーション処理と併用しても良い。
キャビテーション処理を用いた具体的な脱墨方法として、上記(1)インキ剥離工程に代えてキャビテーション処理を行った後、上記(2)インキ除去工程を行うことができる。又、上記(1)インキ剥離工程とキャビテーション処理を組み合わせて行った後、上記(2)インキ除去工程を行うことができる。
上記(1)インキ剥離工程に用いる装置としては、タブ式またはドラム式パルパーやニーダー、マイカプロセッサー、ディスパーザー、及び文献(B. Carre, Y. Vernacand G. Galland, Pulp and Paper Canada, 99(9), 46 (1998))に示される各種離解、混錬、分散技術に基づく装置が挙げられる。特に、上記した(1)工程とキャビテーション処理を組合わせる場合、2種の異なる機構によってインキ剥離を行うため、より剥離効果が大きくなる。上記(1)工程において、更に必要に応じて水酸化ナトリウム、珪酸ソーダ、その他のアルカリ薬品、脱墨剤、酸化性漂白剤、還元性漂白剤を加えることができる。上記(1)工程に用いる装置や処理条件については、特に制限はない。
また、異物除去や高白色度化が必要とされる場合、脱墨工程に通常用いられる異物除去工程又は漂白工程などを組み入れることができる。
また、キャビテーション処理を用いてパルプ繊維からインキを剥離する場合、特に脱墨薬品を使用しなくともインキを剥離することができる。従来の脱墨工程で使用されるニーダーのような機械的インキ剥離方法では、パルプ繊維を高濃度で擦り合わせるため、インキの剥離と同時にパルプ繊維内部へのインキの擦り込みが生じ、残存インキ量が減少しても白色度が向上しないという現象を生じるが、キャビテーション処理による場合、パルプ繊維が低濃度であってもインキの剥離・分散を促進するため、パルプ繊維内部へのインキ擦り込みが発生し難く、白色度の高いパルプが得られる。
上記(2)インキ除去工程に用いるフローテーション及び洗浄装置としては、繊維からの汚染物質の分離を目的としたいかなる装置を用いてもよい。
(紙の種類)
上記パルプによって抄造される紙は、抄紙pHが酸性領域で抄紙される酸性紙、抄紙pHが中性領域で抄紙される中性紙、抄紙pHがアルカリ性領域で抄紙されるアルカリ性紙のいずれでもよい。また、酸性領域で抄紙された酸性原紙の表面にアルカリ性薬剤を塗布した疑似中性紙や、中性(又はアルカリ性)領域で抄紙された中性紙(又はアルカリ性)紙原紙の表面に酸性薬剤を塗布した疑似酸性紙を用いることも可能である。
(キャビテーション処理後の脱墨パルプ特性)
キャビテーション処理の有無のみが異なる古紙再生パルプを用いて、微細繊維を歩留まらせるため、白水を循環させながらシートを作製すること、乾燥プレート及びリングを使用せずに、JIS P 8111に規定する標準状態で、一昼夜放置し乾燥させること以外はJIS P 8222に準じて作製したパルプシートを比較した場合、キャビテーション処理した古紙再生パルプより得られたパルプシートは、キャビテーション処理を行わない古紙再生パルプより得られたパルプシートと比較して同一のろ水度における水中伸度が5%以上小さくなることが好ましい。水中伸度が上記範囲の下限未満である場合、得られた紙の寸法安定性が劣る傾向にあるためである。なお、水中伸度はJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.27A法に基づき60分後の水中伸度を測定した。値が大きいほど、水中でシートが伸びたことを示す。
(キャビテーション処理した古紙再生パルプを用いた紙の特性)
キャビテーション処理の有無のみが異なる同一種類のパルプを用いて同一条件で抄紙した場合、キャビテーション処理したパルプを用いた紙は、キャビテーション処理を行わずに通常の機械処理によって脱墨したのみのパルプを抄紙した紙に比べ、紙の密度が1〜20%程度低下する。
紙に用いるパルプのうち一部をキャビテーション処理した場合は、キャビテーション処理したパルプの含有割合に応じて紙の密度の低下量も変化するが、その場合も紙の密度が1〜20%程度低下したものを、本発明に用いる紙とみなす。
紙の密度の増加率が1%未満であると、本発明の効果が生じず、キャビテーション処理する必要が生じない。
(填料)
前記紙の不透明度を向上させるため、前記紙が填料を含有してもよい。填料としては酸性抄紙、中性抄紙、及びアルカリ性抄紙において一般に使用されている填料を使用することができ、特に限定されるものではない。例えば、中性抄紙又はアルカリ性抄紙の場合、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料;を単独または2種類以上組み合わせて填料として使用することができる。また酸性抄紙の場合、上記した中性抄紙で使用する填料から、酸溶解性のものを除いた填料を、単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
(その他の成分)
又、前記紙に各種の内添サイズ剤を配合させてもよく、従来から使用されているノニオン性、カチオン性又は両性の歩留まり向上剤;濾水度向上剤;紙力向上剤等の製紙用内添助剤を必要に応じて適宜選択して前記紙に内添させてもよい。
また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、又は塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物;、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物;、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物;シリカゾル等を前記紙に内添させてもよい。
その他製紙用助剤として、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体又は変成物等の各種化合物を使用できる。
更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜前記紙に添加することもできる。
(抄紙)
前記紙の抄紙方法は特に限定は無く、長網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公用の抄紙機を用いて抄紙することができる。又、抄紙時のプレス線圧は通常の操業範囲内で設定することができる。
本発明のインクジェット記録用紙は、1層紙でもよく、2層以上の多層紙であってもよい。多層紙の場合、キャビテーション処理した古紙再生パルプを含む層が少なくとも1層存在すればよい。
(インクジェット記録用紙の表面への被着物)
本発明のインクジェット記録用紙として用いる前記紙の少なくとも一方の表面に、水溶性高分子結合剤及び/又はカチオン性樹脂が付着していることが好ましい。
水溶性高分子結着剤が用紙の表面に付着していると、用紙の内填填料や微細繊維分の脱落を防止することができる。また、カチオン性樹脂が用紙の表面に付着していると、アニオン性のインクジェット用インクで印字した際に耐水性を付与することができる。
水溶性高分子結着剤としては、例えば、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉または各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはそれらの誘導体などをあげることができ、これらを単独使用し又は併用することができる。
カチオン性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩誘導体;ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体;アンモニアと、モノアミンやポリアミン等のアミン類と、エピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等);ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド樹脂;ジエチレントリアミン・ジシアンジアミド・アンモニウムクロライド重合物;ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物等の水に溶解した際にカチオン性を呈する樹脂が例示できる。これらのうち、特に、インクジェットインクの定着性が高く印字物の耐水性も良好になるエピハロヒドリン系樹脂が好ましい。
カチオン性エピハロヒドリン系樹脂とはポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体;アンモニアと、モノアミンやポリアミン等のアミン類と、エピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等);ポリアミドエピハロヒドリン樹脂;ポリアミンエピハロヒドリン樹脂などがあげられる。
さらに上記カチオン性樹脂はカチオン化度が5meq/g以上であることが好ましい。カチオン化度が5meq/g未満の場合、耐水性が不充分となる場合がある。また、カチオン化度は10meq/g以下であることが好ましく、特に好ましい範囲は6meq/g以上7meq/g以下である。なお、カチオン化度の測定方法は、「コロイド滴定法」(千手諒一著、昭和44年南江堂出版)に従って行うことができる。
紙の表面に水溶性高分子結着剤とカチオン性樹脂とを付着させる方法は特に制限されないが、水溶性高分子結着剤とカチオン性樹脂とを含有する水溶液を、紙表面に外添(塗工、含浸)する方法を用いることが好ましい。外添による方法の場合、水溶性高分子結着剤とカチオン性樹脂が紙の表面近傍に存在するため、これらの成分を紙に内添する場合と比較し、より少ない量で効果を得ることができる。
外添を行う方法としては、例えば2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメータリングサイズプレス、ブレードメータリングサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーターなど各種塗工機で用紙表面に塗工することが可能である。特に、コストが低く、一工程で紙の両面を処理できる点から、抄紙機にオンマシンで設置されている2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメータリングサイズプレス、ブレードメータリングサイズプレスなどを用いるのが望ましい。また、オフマシン工程で巻き取り紙などの紙に塗工する方法を用いてもよく、オンマシンとオフマシンを併用してもよい。
水溶性高分子結着剤及び/又はカチオン性樹脂を含む上記水溶液中には、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、例えば、表面サイズ剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを適宜配合することもできる。
表面サイズ剤としては、各種公知のサイズ剤を用いることができるが、特にカチオン性樹脂との相溶性及びサイズ性の発現効果から、カチオン性サイズ剤を用いることが好ましい。
カチオン性樹脂の乾燥付着量は、紙の両面に対し2〜10g/m2(片面あたり1〜5g/m2)とすることが好ましい。乾燥付着量が片面あたり1g/m2未満である少ないと充分な画像耐水性が得られ難い傾向にあり、乾燥付着量が片面あたり5g/m2を超えても効果が飽和し、コストの点からも好ましくない。
本発明のインクジェット記録用紙の紙表面を、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダー、ホットソフトニップカレンダーなどの公知のオンマシンタイプ及びオフマシンタイプのカレンダーで処理し、用紙表面の平滑性を調整することも可能である。
<第2の発明に係る塗工紙タイプのインクジェット記録用紙>
本発明の第2の発明に係る塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は、上記紙又は上記付着物の表面にインク受容層を有するものである。
(紙)
紙としては、上記した普通紙タイプのインクジェット記録用紙と同一のものを用いることができるので説明を省略する。又、紙表面に上記した水溶性高分子結着剤やカチオン性樹脂を付着させたものを用いることもできる。
(塗工層(インク受容層))
塗工層は、インクジェット記録時のインク受容層となる。インク受容層は顔料と結着剤とを含む。
(顔料)
顔料としては、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナやアルミナ水和物、合成シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛、石膏等が挙げられ、これらを単独で使用し又は併用することができる。発色性の観点からは、透明度が高い顔料である合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物を用いることが好ましい。
(結着剤)
インク受容層は結着剤として、ポリビニルアルコール;酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体;等を単独で使用し、又は2種以上を混合して使用できる。
結着剤の配合量は、顔料100質量部に対して、5質量部〜50質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られれば、特に限定されるものではない。
(インク受容層の塗工)
インク受容層は、上記顔料及び結着剤を含む塗工液を前記紙上に塗布して形成することができる。塗工液には、必要に応じ、顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
インク受容層の塗工量は、前記紙の表面を覆い、かつ充分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、発色性(記録濃度)及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/mであることが好ましく、特に、生産性をも加味すると5〜25g/mであることが好ましい。塗工量が30g/mを超えると、塗工層の脱落が生じやすくなる場合がある。
前記紙上にインク受容層を設ける方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択することができる。
<実施例>
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、以下の「部」、「%」は特に断らない限り質量部、固形分質量%とする。
<古紙再生パルプAの調製>
トナー印刷物、コート系雑誌古紙、ノーカーボン紙、感熱紙をそれぞれ40/40/10/10の重量比に配合した古紙に対し、固形分濃度15%となるよう水を加えた後、水酸化ナトリウムを古紙全量に対して1.0重量%となるように加え、パルパーを用いて40℃で、6分間離解し原料Aとした。
原料Aにさらに水を加えて固形分濃度1.1%に調整してパルプ懸濁液Aを作製し、図5に示される噴流式キャビテーション装置(ノズル径1.5mm)を用いてキャビテーション処理した。
図5において、試料タンク1内に図示しないパルプ懸濁液が収容され、試料タンク1には温度センサー12とミキサー13が挿入されている。試料タンク1のパルプ懸濁液はプランジャポンプを介した所定の配管によりキャビテーション噴流セル3に噴射液として導入される。キャビテーション噴流セル3の下部にはノズル2が設けられ、より詳細には試料タンク1のパルプ懸濁液はノズル2から噴流セル3内に噴射される。
試料タンク1の側部からノズル2に向かう別の配管には上流側圧力制御弁5が介装されている。一方、噴流セル3の上部から試料タンク1に向かう別の配管には下流側圧力制御弁6が介装され、各弁5,6を調整することで、ノズル2へのパルプ懸濁液の噴射圧を調整可能になっている。又、ノズル2の入側には上流側圧力計7が設けられ、噴流セル3の上部には下流側圧力計8が設けられている。さらに、試料タンク1の側部から噴流セル3に向かう配管に給水弁9、循環弁10が設けられ、試料タンク1内のパルプ懸濁液を噴流セル3内に被噴射液として供給可能になっている。なお、噴流セル3の下部には排水弁が11が設けられている。
キャビテーション処理の条件は、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとし、噴射液、被噴射液ともにパルプ懸濁液Aを使用した。処理時間を5分間として処理した後、150メッシュワイヤー上で処理物を洗浄し、古紙再生パルプAを得た。この古紙再生パルプAのカナダ標準濾水度(C.S.F)は159mlであった。
なお、ろ水度は、JIS P 8121に準じ測定した。
<古紙再生パルプBの調製>
上記原料Aをパルプ濃度が20%になるように濃縮した後、山本式ラボニーダーを用いてニーダー処理を行った後、150メッシュワイヤー上で処理物を洗浄し、古紙再生パルプBを得た。キャビテーション処理は行わなかった。
この古紙再生パルプBのカナダ標準濾水度(C.S.F)は158mlであった。
古紙再生パルプA100質量部に対し、填料として軽質炭酸カルシウム12質量部、硫酸バンド1質量部、中性ロジンエマルジョンサイズ剤0.3質量部、カチオン化デンプン0.5質量部、及び歩留まり向上剤50ppmを添加し、実験用配向性抄紙機(熊谷理機工業製)にて周速800m/minとし、ISO15316に準じて測定される乾紙のゼロスパン引張り強度縦横比がT/Y=1.8となる条件で抄紙した。
抄紙後、JIS P8222で規定された条件でコーチング及びプレスを行った後、シリンダードライヤーにて乾燥し坪量75g/mの基紙を得た。
さらに、試験用サイズプレスを用いて、サイズプレス液(7質量%酸化デンプン溶液、表面サイズ剤0.05質量%、及びポリアミン系カチオン性樹脂4質量%を配合したもの)を乾燥塗布量が両面で5g/mとなるようにして基紙両面に塗布、乾燥した。乾燥後、カレンダー処理を施して、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.5−2で測定される表面平滑度が110秒になるように調整し、普通紙タイプのインクジェット記録用紙を得た。
実施例1で得られた普通紙タイプのインクジェット記録用紙の片面に、メイヤーバーを用いて以下の塗工液を乾燥塗工量10g/mとなるように塗工した。乾燥後、カレンダー処理を行い、表面平滑度が120秒になるように調整し、塗工タイプのインクジェット記録用紙を得た。
塗工液:合成非晶質シリカ(ファインシールX−60:トクヤマ社製)80部、合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ社製)20部、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ社製)30部、エチレン酢酸ビニルエマルジョン(リカボンドBE−7000、中央理化学工業社製)5部、カチオン性樹脂(DK6854、星光PMC社製)10部、消泡剤(SNデフォーマー480、サンノプコ社製)0.5部、及び希釈水を混合し、固形分15%のインク受容層用塗工液を得た。
<比較例1>
古紙再生パルプAの代わりに、古紙再生パルプB100部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、普通紙タイプのインクジェット記録用紙を得た。
<比較例2>
古紙再生パルプAの代わりに、古紙再生パルプB100部を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、塗工紙タイプのインクジェット記録用紙を得た。
<評価>
1.紙の密度
各インクジェット記録用紙の坪量(JIS P 8124)、厚さ(JIS P 8118)を測定し、これらの値に基づいて密度(JIS P 8118)を計算した。
2.コックリング:
各インクジェット記録用紙のコックリングを以下の方法で測定し、コックリングを評価した。まず、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM−G820)を用い、各インクジェット記録用紙に帯状の緑ベタ画像(幅15mm、長さ150mm、表計算ソフト(エクセル)を用いて画像を作成)を印字した。なお、普通紙タイプのインクジェット記録用紙はプリンターの印字モードを、「普通紙/きれい」モードとし、塗工紙タイプのインクジェット記録用紙は印字モードを「フォトマット紙/高精細」とした。
印字後の記録用紙のコックリング(波打ち具合)を目視判定した。
○:波打ちが小さく、凹凸はほとんどみられない。
×:波打ちが大きく、凹凸が目立つ。
3.白色度
JIS P 8148に準じ、各インクジェット記録用紙の表面の白色度を白色度用高速分光光度計(村上色彩製)で測定した。なお、塗工紙タイプである実施例2、比較例2の試料は、最表層に塗工層があり、評価を行わなかった。
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、各実施例の場合、密度が低く嵩高となった。又、各実施例の場合、コックリングが小さく優れたものとなった。さらに、実施例1の場合、比較例1より白色度も向上した。
一方、キャビテーション処理を行わない古紙再生パルプのみを用いた比較例1、2の場合、密度が高く、又、コックリングが大きくなった。
次に、キャビテーション処理の有無により、古紙再生パルプの特性がどのように相違するかについて、パルプシートの水中伸度を測定することにより評価した。
上記古紙再生パルプA及びBを用い、微細繊維を歩留まらせるために白水を循環させながらシートを作製すること、並びに、乾燥プレート及びリングを使用せずJIS P 8111に規定する標準状態で一昼夜放置し乾燥させること以外はJIS P 8222に準じてパルプシートを作製した。このパルプシートについて、J.TAPPI紙パルプ試験方法(No.27 A法)に基づき、60分後の水中伸度を測定した。値が大きいほど、水中でシートが伸びたことを示す。
得られた結果を表2に示す。
表2から明らかなように、キャビテーション処理を行った古紙再生パルプAの水中伸度は、キャビテーション処理を行わない場合に比べて小さかった。このことがコックリングの低減に寄与することが考えられる。
キャビテーション処理を行ったパルプ繊維の電子顕微鏡写真を示す図である。 図1の部分拡大図である。 従来の機械的な叩解処理を行ったパルプ繊維の電子顕微鏡写真を示す図である。 図3の部分拡大図である。 キャビテーション噴流式洗浄装置の構成を示す概略図である。
符号の説明
1:試料タンク
2:ノズル
3:キャビテーション噴流セル
4:プランジャポンプ
5:上流側圧力制御弁
6:下流側圧力制御弁
7:上流側圧力計
8:下流側圧力計
9:給水弁
10:循環弁
11:排水弁
12:温度センサー
13:ミキサー

Claims (3)

  1. 古紙のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙からなることを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 古紙のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙の少なくとも一方の表面に顔料と結着剤とを含むインク受容層を有するインクジェット記録用紙。
  3. 古紙のパルプ懸濁液をキャビテーション処理した古紙再生パルプを含有する紙の少なくとも一方の表面に、顔料を含まず水溶性高分子結合剤及び/又はカチオン性樹脂を付着してなることを特徴とするインクジェット記録用紙。
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