JP2006256313A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
インクジェット記録用紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006256313A JP2006256313A JP2006037526A JP2006037526A JP2006256313A JP 2006256313 A JP2006256313 A JP 2006256313A JP 2006037526 A JP2006037526 A JP 2006037526A JP 2006037526 A JP2006037526 A JP 2006037526A JP 2006256313 A JP2006256313 A JP 2006256313A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pulp
- paper
- cavitation
- recording paper
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
- Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
- Paper (AREA)
Abstract
【解決手段】 パルプの製造工程において、パルプ懸濁液中に、好ましくは液体噴流によってキャビテーションを生じさせ、それに伴って生じる気泡をパルプに接触させ、その気泡の崩壊時の衝撃力を利用して所望のろ水度に調整したパルプを、記録用紙に含有させる。
【選択図】 図2
Description
また、商業用途の分野において、従来、可変情報(公共料金やクレジットの請求書や領収書、配送用伝票、広告など)の印刷にはノンインパクト(NIP)印刷が用いられていたが、最近では、ラインヘッドを有する高速インクジェットプリンターによる印刷に置き換わり始めている。
インクジェット記録方式に用いる記録用紙は、顔料を含むインク受容層を設けないか又は極薄く設けた普通紙タイプと、顔料を含むインク受容層を充分な厚みで設けた塗工紙タイプとに大別される。ホームページ印刷やビジネスレポートには安価な普通紙タイプの記録用紙が用いられ、デジタルカメラ画像などの出力には高精細画像を再現できる塗工紙タイプの記録用紙が用いられている。
コックリングが低減されたインクジェット記録用紙としては、以下のものがある。(1)用紙の物性値(記録シートの透気度と密度の比、表面伸び率等)を規定した技術(特許文献1、2参照)、(2)基紙を硬化させるか又はフィルムや合成繊維との複合材料とする技術(特許文献3〜5参照)、(3)用紙のパルプ繊維同士の結合を阻害してコックリングを抑制する技術(特許文献6〜8参照)、が挙げられる。
従って、本発明は、印字した際の波うち(コックリング)を抑制するとともに、古紙としてリサイクルが可能で、かつ強度の高いインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
前記キャビテーション処理を行ったパルプは、針葉樹及び/または広葉樹のクラフトパルプをキャビテーション処理したものであることが好ましい。
パルプとしては、針葉樹または広葉樹、非木材繊維などを原料とするものを用いることができる。より具体的には、クラフトパルプ等の化学パルプ、砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ、あるいは古紙や繊維素からなるシート状の物質から製造された再生パルプ等が挙げられる。古紙としては、例えば、新聞、チラシ、更系雑誌、コート系雑誌、感熱・感圧紙、模造・色上質紙、コピー用紙、コンピューターアウトプット用紙、あるいはこれらの混合古紙を使用できる。更に、上記古紙にラミネート加工された紙やUV樹脂インキなどで印刷された禁忌品が混入したパルプも利用可能である。又、これらのパルプ又は古紙を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。
白色度、強度に関して高い品質の紙を得られるという点でキャビテーション処理に供するパルプが針葉樹または広葉樹のクラフトパルプであることが好ましい。
本発明者らは、キャビテーションを用いて上記パルプの処理を行うことにより、コックリングを抑制できることを見出した。
ここで、紙表面の平滑性の向上や紙力の向上などを目的として、従来から、機械力を用いてパルプを叩解処理することでパルプ繊維の改質が行われている。この叩解処理によって、短小化したパルプ繊維や微細繊維が増加するために紙層が緻密となり紙の平滑性が向上するという効果が得られ、パルプ繊維表面のミクロフィブリルの毛羽立ちによって繊維間結合面積が増大し、紙力が向上するという効果が得られる。しかしながら、この叩解処理では、パルプ繊維自体のカッティングによる損傷が発生するため、紙層が緻密になる反面、紙の嵩が低下する(密度が大きくなる)という問題もある。
一方、図3、図4は従来の機械力を用いて同一のパルプ(LKP)を叩解した場合のパルプ繊維の電子顕微鏡写真を示す。図4から、従来のパルプは、表層だけでなく内側の繊維もほぐれ、繊維の表面が毛羽立っていることがわかる。
キャビテーションは、参考文献(加藤洋治編著、新版キャビテーション 基礎と最近の進歩、槇書店、1999)に記載されているように、高速水中噴流等によって噴流まわりに圧力差が生じることにより、常温での飽和蒸気圧に比べて噴流まわりの液体の圧力が低くなった結果、液体が蒸発して直径が数百ミクロン程度の微細な気泡(キャビテーション気泡)を生じる現象のことである。このキャビテーション気泡が崩壊する際に数μmオーダーの局所的な領域に数GPaにおよぶ高衝撃圧を発生し、同時に断熱圧縮により数千℃に温度が上昇するといわれている。
一般に、ダブルディスクリファイナー等の通常使用されている叩解機によってパルプの叩解を進めると、ろ水度の低下に伴って、繊維長の低下、微細繊維分の増加、繊維の透明化、繊維のカールが生じ、作製したシートの寸法安定性が低下する。そのため、インクジェット記録にて印字した際のコックリングが増大したり、裏抜けが生じたりする。
一方、上記したようにパルプをキャビテーション処理すると、繊維表面のみのフィブリル化を促進できるため、これらの問題を解決できる。
更に必要とあれば上記液体に、別の新たな液体を加えることができる。上記液体と新たな液体は、均一に混合して噴射しても良いが、別個に噴射しても良い。
ここで、噴射液とは、高圧でオリフィスから噴射する液体を指し、被噴射液とは容器内もしくは配管内に収容され、上記噴射液が当てられる液体を指す。
キャビテーションは液体中の気体の量に影響され、気体が多過ぎる場合は気泡同士の衝突と合一が起こるため崩壊衝撃力が他の気泡に吸収されるクッション効果を生じるため衝撃力が弱まる。従って、溶存気体と蒸気圧の影響を受けるため、その処理温度は融点以上沸点以下でなければならない。液体が水を媒質とする場合、好ましくは0〜80℃、更に好ましくは10℃〜60℃の範囲とすることで高い効果を得ることができる。一般には、融点と沸点の中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水溶液の場合、50℃前後が最適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。80℃よりも高い温度では、キャビテーションを発生するための圧力容器の耐圧性が著しく低下するため、容器の損壊を生じやすいため不適である。
キャビテーションによって発生した気泡をパルプ懸濁液に接触させて処理することにより、所望の特性を有するパルプに調製することができる。ここで、基紙に用いる全パルプをキャビテーション処理して抄紙しても良いし、特定の割合や種類のパルプのみをキャビテーション処理し、残りのパルプは通常の叩解処理(機械処理)のみを行ったものを用いて抄紙しても良い。また、非木材繊維もキャビテーション処理して使用することもできる。
特に、基紙の全パルプ成分100質量部に対し、キャビテーション処理したパルプを5質量部以上配合することが好ましい。キャビテーション処理したパルプの配合量が5質量部未満であると、嵩高化や寸法安定性が充分に向上しない場合がある。キャビテーション処理せずに通常の(機械的な)叩解処理をしたパルプとしては、例えば、クラフトパルプやサルファイトパルプ等の化学パルプ;砕木パルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプ;古紙由来の再生パルプ等をあげることができる。
また、機械的叩解処理を施した後にキャビテーション処理を行ってもよいし、機械的叩解処理を施す前に処理を行うことも可能である。機械的叩解処理は公知の叩解機を用いて行えばよい。叩解機については特に限定するものではなく、シングルディスクリファイナーやダブルディスクリファイナー等のリファイナーの他、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなど回転軸を中心として金属または刃物と繊維を作用させるもの、繊維同士の摩擦によるものが挙げられる。特に、機械的叩解処理とキャビテーション処理を組み合わせることで、2種の異なる機構によって叩解を行うこととなるので、パルプ繊維の叩解特性を制御し、より望ましい紙質を得ることができる。
なお、キャビテーション処理を行う前のパルプのろ水度は特に制限されない。
また、キャビテーション処理時のパルプ懸濁液のpHは、好ましくはpH1〜13、より好ましくはpH3〜12、更に好ましくはpH4〜11である。pHが1未満であると装置の腐食などが問題となり、材質及び保守等の観点から不利である。一方、pHが13を超えると、パルプ繊維のアルカリ焼けが生じ、白色度が低下するので好ましくない。アルカリ条件である方がパルプ繊維の膨潤性がよく、OH活性ラジカルの生成量が増加することから望ましい。
キャビテーション処理に針葉樹クラフトパルプを用いた場合、処理後のパルプのろ水度が300〜550ml(カナダ標準ろ水度:c.s.f.)であることが好ましい。又、キャビテーション処理に広葉樹クラフトパルプを用いた場合、処理後のパルプのろ水度が250〜500ml(c.s.f.)であることが好ましい。
キャビテーション処理に古紙パルプを用いた場合には、処理後のろ水度が150〜300ml(c.s.f.)であることが好ましい。
処理後の各パルプのろ水度を上記範囲に定めた理由は、ろ水度が上記範囲の下限未満である場合、得られたシートの寸法安定性が劣り、コックリングが劣る傾向にあり、一方、ろ水度が上記範囲の上限を超える場合、得られたシートの平滑性が劣る場合があるためである。
ここで、通常の機械処理によって叩解したパルプとは、例えば、前述した化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を公知の叩解機等で叩解処理したものをいう。
基紙に用いるパルプのうち一部をキャビテーション処理した場合は、キャビテーション処理したパルプの含有割合に応じて、前記紙の密度の低下割合も変化するが、その場合もキャビテーション処理を行わないパルプを用いて抄紙した紙に比べ、紙の密度が1〜20%程度低下する。
裏抜けの程度をさらに改善させることやインク吸収容量を向上させることを目的とし、前記紙は填料を含有してもよい。填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料;などが挙げられる。
又、前記紙は、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜含有してもよい。
前記紙は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など公知の抄紙機にて製造されるが、抄紙条件は特に規定されるものではない。又、抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良い。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用紙は、1)キャビテーション処理を行ったパルプを含有する前記紙からなり、表面にインク受理層(塗工層)を全く設けないか又はほとんど設けない普通紙タイプのもの、2)該紙上に後述するインク受容層を有する塗工紙タイプのものに分けられる。
ここで、普通紙タイプのインクジェット記録用紙は、前記紙表面に塗工層を全く設けないか又はほとんど設けないため、紙の繊維が隠蔽されず、風合いが上質紙やPPC用紙と同様であるものをいう。例えば、この記録媒体の表面を光学顕微鏡で観察すると、紙の繊維を視認することができる。
なお、普通紙タイプのインクジェット記録用紙に塗工層を設ける場合の塗工量は、通常、片面あたり5g/m2未満である。
(インクジェット記録用紙の表面への付着物)
本発明の普通紙タイプのインクジェット記録用紙は、前記紙の少なくとも一方の表面に、水溶性高分子結合剤又はカチオン性樹脂が付着していることが好ましく、水溶性高分子結合剤とカチオン性樹脂の両者が付着していることがより好ましい。
水溶性高分子結着剤が前記紙の表面に付着していると、用紙の内填填料や微細繊維分の脱落を防止することができる。また、カチオン性樹脂が用紙の表面に付着していると、アニオン性のインクジェット用インクで印字した際に印字物に耐水性を付与することができる。
水溶性高分子結着剤としては、例えば、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉または各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、ハイドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたはそれらの誘導体などをあげることができ、これらを単独使用し又は併用することができる。
カチオン性エピハロヒドリン系樹脂とはポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体;アンモニアと、モノアミンやポリアミン等のアミン類と、エピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等);ポリアミドエピハロヒドリン樹脂;ポリアミンエピハロヒドリン樹脂などがあげられる。
さらに上記カチオン性樹脂はカチオン化度が5meq/g以上であることが好ましい。カチオン化度が5meq/g未満の場合、耐水性が不充分となる場合がある。また、カチオン化度は10meq/g以下であることが好ましく、特に好ましい範囲は6meq/g以上7meq/g以下である。なお、カチオン化度の測定方法は、「コロイド滴定法」(千手諒一著、昭和44年南江堂出版)に従って行うことができる。
外添を行う方法としては、例えば2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメータリングサイズプレス、ブレードメータリングサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーターなど各種塗工機で前記紙表面に塗工することが可能である。特に、コストが低く、一工程で紙の両面を処理できる点から、抄紙機にオンマシンで設置されている2ロールサイズプレス、ゲートロールコーター、ロッドメータリングサイズプレス、ブレードメータリングサイズプレスなどを用いるのが望ましい。また、オフマシン工程で巻き取り紙などの紙に塗工する方法を用いてもよく、オンマシンとオフマシンを併用してもよい。
表面サイズ剤としては、各種公知のサイズ剤を用いることができるが、特にカチオン性樹脂との相溶性及びサイズ性の発現効果から、カチオン性サイズ剤を用いることが好ましい。
カチオン性樹脂の乾燥付着量は、前記紙の両面に対し2〜10g/m2(片面あたり1〜5g/m2)とすることが好ましい。乾燥付着量が片面あたり1g/m2未満である少ないと充分な画像耐水性が得られ難い傾向にあり、乾燥付着量が片面あたり5g/m2を超えても効果が飽和し、コストの点からも好ましくない。
以下、本発明の実施形態に係る塗工タイプのインクジェット記録用紙について説明する。本発明の実施形態に係る塗工タイプのインクジェット記録用紙は、基紙となる前記紙上にインク受容層を有する。
基紙としては、上記した普通紙タイプのインクジェット記録用紙と同一のキャビテーション処理を行ったパルプを含有する前記紙を用いることができるので説明を省略する。また、塗工紙タイプのインクジェット記録用紙においても、基紙表面に上記した水溶性高分子結着剤及び/又はカチオン性樹脂を付着させたものを用いることもできる。
塗工層は、インクジェット記録時のインク受容層となる。インク受容層は少なくとも顔料と結着剤とを含む。
(顔料)
顔料としては、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナやアルミナ水和物、合成シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛、石膏等が挙げられ、これらを単独で使用し又は併用することができる。発色性の観点からは、透明度が高い顔料である合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物を用いることが好ましい。
インク受容層は結着剤として、ポリビニルアルコール;酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体;等を単独で使用し、又は2種以上を混合して使用できる。
結着剤の配合量は、顔料100質量部に対して、5質量部〜50質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られれば、特に限定されるものではない。
インク受容層は、上記顔料及び結着剤を含む塗工液を基紙上に塗布して形成することができる。塗工液には、必要に応じ、顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
インク受容層の塗布量は、基紙の表面を覆い、かつ充分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、発色性(記録濃度)及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で3〜30g/m2であることが好ましく、特に、生産性をも加味すると5〜30g/m2であることが好ましい。塗布量が30g/m2を超えると、塗工層の脱落が生じやすくなる場合がある。
基紙上にインク受容層を設ける方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択することができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、以下の「部」、「%」は特に断らない限り質量部、質量%とし、水溶液等の場合は固形分に換算した値を示す。
市販広葉樹漂白クラフトパルプシートを低濃度パルパーで離解し、ろ水度666ml(c.s.f.))のパルプ懸濁液とした。このパルプ懸濁液を1.1%に調整後、図5に示す噴流式キャビテーション装置(ノズル径1.5mm)を用いてキャビテーション処理した。
図5において、試料タンク1内に図示しないパルプ懸濁液(濃度1.1%)が収容され、試料タンク1には温度センサー12とミキサー13が挿入されている。試料タンク1のパルプ懸濁液はプランジャポンプ4を介した所定の配管によりキャビテーション噴流セル3に噴射液として導入される。キャビテーション噴流セル3の下部にはノズル2が設けられ、より詳細には試料タンク1のパルプ懸濁液はノズル2から噴流セル3内に噴射される。さらに、試料タンク1の側部から噴流セル3に向かう配管に給水弁9、循環弁10が設けられ、試料タンク1内のパルプ懸濁液を噴流セル3内に被噴射液として供給される。
試料タンク1の側部からノズル2に向かう別の配管には上流側圧力制御弁5が介装されている。一方、噴流セル3の上部から試料タンク1に向かう別の配管には下流側圧力制御弁6が介装され、各弁5,6を調整することで、ノズル2へのパルプ懸濁液の噴射圧を調整可能になっている。又、ノズル2の入側には上流側圧力計7が設けられ、噴流セル3の上部には下流側圧力計8が設けられている。なお、噴流セル3の下部には排水弁が11が設けられている。
なお、ろ水度は、JIS P8121「パルプのろ水度試験方法」に準じ、カナダ標準ろ水度を測定した。
市販針葉樹漂白クラフトパルプシートを低濃度パルパーで離解し、ろ水度752ml(c.s.f.))のパルプ懸濁液とした。このパルプ懸濁液を1.1%に調整後、図1に示すキャビテーション噴流式洗浄装置(ノズル径1.5mm)を用いてキャビテーション処理した。キャビテーション処理の条件は、噴射液の圧力(上流側圧力)を7MPa(噴流の流速70m/秒)、被噴射容器内の圧力(下流側圧力)を0.3MPaとし、処理時間を変化させて処理し、ろ水度を調整した。なお、噴射液と被噴射液として濃度1.1質量%のパルプ懸濁液を使用し、キャビテーション処理した。得られたパルプのろ水度は、420ml(c.s.f.)であった。
市販針葉樹漂白クラフトパルプシートを低濃度パルパーで離解し、ろ水度666ml(c.s.f.))のパルプ懸濁液とした。このパルプ懸濁液を濃度10%に濃縮した後、PFIミルを用いて叩解し、パルプC(ろ水度400ml(c.s.f.))を得た。
なお、PFIミルはJIS−P8221−2「パルプ−こう解方法−第2部:PFIミル法」に規定される装置であり、ロールとハウジングのクリアランスを0.2mmとして使用した。
抄紙後、JIS P 8222「パルプ−試験用手すき紙の調整方法」で規定された条件でコーチング及びプレスを行った後、シリンダードライヤーにて乾燥し、坪量75g/m2の紙を得た。
さらに、試験用サイズプレスを用いて、サイズプレス液(7質量%酸化デンプン溶液、表面サイズ剤0.05質量%、及びポリアミン系カチオン性樹脂4質量%を配合したもの)を乾燥塗布量が両面で5g/m2となるようにして基紙両面に塗布、乾燥した。乾燥後、カレンダー処理を施して、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.5−2「紙及び板紙−平滑度及び透気度試験方法−第2部:王研法」で測定される表面平滑度が45秒になるように調整し、普通紙タイプのインクジェット記録用紙を得た。
塗工液I:非晶質シリカ(ゲル法シリカ、平均粒径2.7μm、BET比表面積800m2/g、細孔容積1.1ml/g、平均細孔直径5×10-9m(50Å)、加熱減量5.0%、強熱減量5.0%、pH6.0、見掛け比重0.24g/ml、吸油量185ml/100g)5質量部、焼成クレー(アンシレックス93、エンゲルハード社製)95質量部、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ社製)25質量部、エチレン酢酸ビニルエマルジョン(リカボンドBE−7000、中央理化学工業社製)20質量部、カチオン性樹脂(DK6850、星光PMC社製)5質量部、カチオン性サイズ剤(ポリマロン360、荒川化学社製)5質量部、消泡剤(SNデフォーマー480、サンノプコ社製)0.5質量部、及び希釈水を混合し、固形分濃度20%のインク受容層用塗工液を得た。
塗工液II:合成非晶質シリカ(ファインシールX−60:トクヤマ社製)80質量部、合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ社製)20質量部、ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)30質量部、エチレン酢酸ビニルエマルジョン5質量部、ポリアミン系カチオン性樹脂10質量部、消泡剤(SNデフォーマー480:サンノプコ社製)0.5質量部、および希釈水を混合し、固形分濃度15%の塗工液を調製した。
パルプA100質量部の代わりに、パルプC100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、普通紙タイプのインクジェット記録用紙を得た。
パルプA100質量部の代わりに、パルプC100質量部を用い、更に、抄紙の際に低密度化薬品(KB−110、花王社製)1部を添加したこと以外は実施例1と同様にして、普通紙タイプのインクジェット記録用紙を得た。
パルプA100質量部の代わりに、パルプC100質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして得た基紙の片面に、厚さ25μmのポリエチレンフィルムをアクリル樹脂系の接着剤を用いて貼り合わせて、インクジェット記録用紙を得た。
比較例1で得られた記録用紙の片面に、実施例6と同様にして塗工液を塗工し、乾燥後にカレンダー処理を行い、表面平滑度が100秒となるように調整し、塗工タイプのインクジェット記録用紙を得た。
1.コックリング
各インクジェット記録用紙のコックリングの程度を以下の方法で判定した。まず、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM−G820)を用い、各インクジェット記録用紙に帯状の緑ベタ画像(幅15mm、長さ150mm、表計算ソフト(エクセル)を用いて画像を作成)を印字した。プリンターの印字モードは、「普通紙/きれい」モードとした。
印字後の記録用紙を目視評価し、コックリング(波打ち具合)を判定した。
○:波打ちが小さく、凹凸はほとんどみられない。
×:波打ちが大きく、凹凸が目立つ。
2.リサイクル性
各インクジェット記録用紙を、2cm×2cmの大きさに断裁後、JIS P 8220「パルプ−離解方法」に準拠した標準離解機を用い、試料固形分1.5%で5分間離解した際の離解状態を目視にて観察した。
○:完全に離解され、繊維がばらばらになっている。
×:未離解物が残っている。
各インクジェット記録用紙の印字前の強度を、JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠して測定し、以下のように評価した。ただし、a=(各インクジェット記録用紙引張強さ)/(比較例1のインクジェット記録用紙の引張強さ)ととする。
◎:a>1.01である。
○:0.99≦a≦1.01である。
×:a<0.99である。
各インクジェット記録用紙に対し、インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製のPM−G820、「普通紙/きれい」モードで印字)を用いて緑ベタ帯を印字した。印字直後の印字部表面を目視観察し、以下の基準でインク吸収性を評価した。
○:インクが完全に吸収されており、印字部に濡れによる光沢はみられない。
△:一部インクが吸収されておらず、印字部に濡れによる光沢がみられるが、実用上問題ないレベルである。
×:インクが吸収されておらず、印字部に濡れによる光沢が広くみられ、実用上問題がある。
5.裏抜け
上記コックリングの判定に用いた記録用紙(印字後)を印字面の裏から目視し、インクの透け具合(裏抜け)を判定した。
◎:裏抜けが殆どなく、印字画像も見えない。
○:裏抜けが若干あるが、印字画像は見えない。
×:裏抜けがあり、印字画像が透けて見える。
なお、紙中パルプ全体に対し、キャビテーション処理したパルプの配合割合が5質量%未満である実施例5の場合、他の実施例に比べて強度及びインク吸収性が若干低かったが実用上問題はなかった。
キャビテーション処理を行わないパルプを用い、低密度化薬品を用いてパルプ繊維同士の結合を阻害した比較例2の場合、コックリングの程度は少なかったが強度が低下し、裏抜けが顕著になった。
キャビテーション処理を行わないパルプを用い、フィルムを貼付した比較例3の場合、コックリングが少なかったもののリサイクル性が低く、さらに裏抜けが顕著に生じた。
2:ノズル
3:キャビテーション噴流セル
4:プランジャポンプ
5:上流側圧力制御弁
6:下流側圧力制御弁
7:上流側圧力計
8:下流側圧力計
9:給水弁
10:循環弁
11:排水弁
12:温度センサー
13:ミキサー
Claims (5)
- キャビテーション処理を行ったパルプを含有する紙であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- キャビテーション処理を行ったパルプを含有する紙の少なくとも一方の表面に、顔料と結着剤とを含むインク受容層を有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- キャビテーション処理を行ったパルプを含有する紙の少なくとも一方の表面に、水溶性高分子結合剤及び/又はカチオン性樹脂を付着してなることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記紙中の全パルプ中に、前記キャビテーション処理を行ったパルプを5〜100質量%の割合で含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
- 前記キャビテーション処理を行ったパルプは、針葉樹及び/または広葉樹のクラフトパルプをキャビテーション処理したものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006037526A JP2006256313A (ja) | 2005-02-18 | 2006-02-15 | インクジェット記録用紙 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005042440 | 2005-02-18 | ||
JP2006037526A JP2006256313A (ja) | 2005-02-18 | 2006-02-15 | インクジェット記録用紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006256313A true JP2006256313A (ja) | 2006-09-28 |
Family
ID=37096027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006037526A Pending JP2006256313A (ja) | 2005-02-18 | 2006-02-15 | インクジェット記録用紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006256313A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009066662A1 (ja) * | 2007-11-19 | 2009-05-28 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | インクジェット記録用紙 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54125703A (en) * | 1978-03-17 | 1979-09-29 | Ishikawajima Harima Heavy Ind | Cavitation generator |
JPH09512063A (ja) * | 1994-04-14 | 1997-12-02 | ボ・ニルッソン | 紙製造における超音波の使用方法 |
JP2001147545A (ja) * | 1999-11-22 | 2001-05-29 | Ricoh Co Ltd | フルカラー電子写真/インクジェット共用転写紙 |
JP2002103791A (ja) * | 2000-09-27 | 2002-04-09 | Nippon Paper Industries Co Ltd | インクジェット用記録媒体 |
JP2004066492A (ja) * | 2002-08-01 | 2004-03-04 | Nippon Paper Industries Co Ltd | インクジェット用記録用紙 |
WO2005012632A1 (ja) * | 2003-07-31 | 2005-02-10 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 再生パルプの製造方法、パルプ繊維表面及び夾雑物の改質方法、並びにパルプ処理装置 |
-
2006
- 2006-02-15 JP JP2006037526A patent/JP2006256313A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54125703A (en) * | 1978-03-17 | 1979-09-29 | Ishikawajima Harima Heavy Ind | Cavitation generator |
JPH09512063A (ja) * | 1994-04-14 | 1997-12-02 | ボ・ニルッソン | 紙製造における超音波の使用方法 |
JP2001147545A (ja) * | 1999-11-22 | 2001-05-29 | Ricoh Co Ltd | フルカラー電子写真/インクジェット共用転写紙 |
JP2002103791A (ja) * | 2000-09-27 | 2002-04-09 | Nippon Paper Industries Co Ltd | インクジェット用記録媒体 |
JP2004066492A (ja) * | 2002-08-01 | 2004-03-04 | Nippon Paper Industries Co Ltd | インクジェット用記録用紙 |
WO2005012632A1 (ja) * | 2003-07-31 | 2005-02-10 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | 再生パルプの製造方法、パルプ繊維表面及び夾雑物の改質方法、並びにパルプ処理装置 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009066662A1 (ja) * | 2007-11-19 | 2009-05-28 | Nippon Paper Industries Co., Ltd. | インクジェット記録用紙 |
JPWO2009066662A1 (ja) * | 2007-11-19 | 2011-04-07 | 日本製紙株式会社 | インクジェット記録用紙 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
RU2648328C2 (ru) | Регистрирующий лист с улучшенным качеством печати при низких уровнях добавок | |
JP4914134B2 (ja) | 被記録媒体及び該被記録媒体を用いた画像形成方法 | |
JP6297253B2 (ja) | 白板紙 | |
JP6017378B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2003094795A (ja) | 画像記録用被記録材及びその記録方法 | |
US6720041B2 (en) | Recording medium, and method for producing image using the same | |
JP6779763B2 (ja) | インクジェット記録用紙及びインクジェット記録用紙の製造方法 | |
JP2006256320A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP5959469B2 (ja) | インクジェット印刷用紙の製造方法 | |
JP2012040788A (ja) | インクジェット記録用キャストコート紙の製造方法及びインクジェット記録用キャストコート紙 | |
JP2000211250A (ja) | 被記録媒体およびこの被記録媒体を用いた画像形成方法 | |
JP2006257623A (ja) | 積層シート | |
JP2006256313A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2006256324A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP5461890B2 (ja) | インクジェット用葉書用紙 | |
JP2006257621A (ja) | 書籍本文用紙 | |
JP6212457B2 (ja) | インクジェット印刷用紙 | |
JP2016112765A (ja) | インクジェット記録用媒体 | |
JP2006257625A (ja) | 印刷用塗工紙 | |
JP2008040297A (ja) | 電子写真用転写紙 | |
JP2018183941A (ja) | 普通紙タイプのインクジェット記録用紙 | |
JP2006256312A (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP5061472B2 (ja) | 印刷用塗工紙 | |
JP6697110B2 (ja) | インクジェット記録用紙 | |
JP2017109381A (ja) | インクジェット記録用紙 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090107 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100118 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100319 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100531 |