JP4488519B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を基紙上に塗工してインク受容層となる塗工層を設け、湿潤し可塑状態の塗工層をキャストドラム(鏡面仕上げの面)に押し当て、光沢仕上げする方法である。
キャストコート法は一般的に(1)塗工層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦(半)乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウェットキャスト法(再湿潤法)、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類に分けることができる。
これらは、何れも鏡面状のドラム表面を写し取ることによって、高光沢の塗工層表面を得るという点で共通している。
そこで、蛍光増白剤を多量に配合せずにインクジェット記録用紙の白色度を向上させる技術の開発が必要となる。
従って、本発明の目的は、光沢度及び白色度が高く、インク発色性に優れ、かつ操業性や生産性に優れたインクジェット記録用紙を提供することにある。
そこで、本発明者らはさらに検討を行い、凝固処理液に対する基紙の吸水度を調整することで記録用紙の強度の低下を抑制できることを見出した。
すなわち、上記の目的を達成するために、本発明のインクジェット記録用紙は、基紙上に、ポリビニルアルコールを含有するインク受容層を形成し、該インク受容層上にホウ酸塩とホウ酸とを含む水溶液を塗布した後、前記インク受容層を加熱した鏡面に圧着して光沢を付与してなるインクジェット記録用紙であって、前記基紙は炭酸カルシウムを填料として灰分10〜25%含有するpH7.0以上の中性紙であり、かつ質量比で(ホウ砂:ホウ酸)=1:1となる11質量%のホウ砂/ホウ酸水溶液に対する、前記基紙のコッブ吸水度が10〜100g/m2であり、前記基紙における前記インク受容層側の表面にアルキルケテンダイマーが塗布又は含浸されていることを特徴とする。
基紙はパルプと填料とを主成分として構成されるが、必要に応じて表面に塗工層が設けられてもよい。パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ、非木材パルプ(ケナフ繊維)等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。
基紙中に含有される填料は、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)を必須成分とする。特に、不純物が少なく白色度が高い点から軽質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。
炭酸カルシウムとしては、粒子径0.1〜10μm程度の微粒子を用いることが好ましい。炭酸カルシウムの粒子径が0.1μm未満であると、白色度は向上するが歩留まりが低下する傾向にある。一方、粒子径が10μmを超えると白色度が低下する傾向にある。なお、上記粒子径はレーザー回折法で平均粒子径を測定して求めることが可能である。
又、上記軽質炭酸カルシウムの形状としては、例えば紡錘形、柱状、立方形等いずれの形状のものを単独で使用し又は混合して使用することができる。
さらに、基紙に内添助剤として、サイズ剤、紙力増強剤、表面紙力剤、カチオン化剤、歩留まり向上剤、染料、蛍光増白剤等を内添(パルプスラリーに添加)することができる。サイズ剤としては、中性ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、又はアルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤を好適に使用できる。また、紙力増強剤としては、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、尿素/ホルマリン樹脂、及びメラミン/ホルマリン樹脂から選ばれるものを好適に使用できる。
基紙は、公知の抄紙機を用いて抄紙することができる。抄紙機としては、丸網式抄紙機、短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等の商業規模の抄紙機が挙げられ、これらを目的に応じて使用することが可能である。
基紙は、表面pH6〜10の中性紙であることが好ましい。更に好ましくは、基紙の表面pHが6〜8である。
基紙の表面pHが7未満であると、基紙上にキャスト塗工層(インク受容層)を設けてインクジェット記録用キャストコート紙を製造する際、インク受容層塗工液中の結着剤成分が基紙中に浸透しやすくなるため、インク受容層中の結着剤の割合が低下してインク発色性や光沢度が低下する場合がある。一方、基紙の表面pHが10を超えると、キャスト塗工層を形成する際、キャストドラムの汚れや、処理液と基紙との過剰反応による凝集沈着などが生じ、操業トラブルとなる場合がある。
本発明者らは、上記基紙表面に形成したインク受容層に、ホウ酸塩/ホウ酸の混合溶液を凝固液として塗布すると、炭酸カルシウムを含まない通常の基紙に比べて凝固液が基紙に急速に浸透し、紙の強度を低下させることを突き止めた。このようなことから、凝固処理液に対する基紙のコッブ吸水度を規定する。
本発明において、以下の水溶液に対する基紙のコッブ吸水度を10〜100g/m2とする。好ましくは、上記コッブ吸水度を20〜80g/m2とする。
水溶液としては、ホウ砂とホウ酸とをNa2B4O7及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ砂:ホウ酸)=1:1であると共に、ホウ砂とホウ酸をNa2B4O7及びH3BO3に換算した時の合計濃度が11質量%であるホウ砂/ホウ酸水溶液を用いる。この水溶液は、後述する凝固キャストコート法で用いる凝固処理液を模したものである。
一方、コッブ吸水度が100g/m2を超えると、凝固キャストコートの際に凝固処理液が基紙へ浸透し過ぎ、基紙の湿潤紙力が大幅に低下して断紙が発生し、さらにはキャスト時に鏡面ドラムが汚れるため、生産性や操業性が低下する。
なお、コッブ吸水度は、JIS-P8140に規定された試験法において、蒸留水の代わりに上記水溶液を用い、吸水時間を30秒として測定する。
基紙のコッブ吸水度は、例えば填料である炭酸カルシウムの灰分、サイズ剤の内添量や含有量を変化させて調整することができる。
(炭酸カルシウムの灰分の調整)
基紙中の炭酸カルシウムの灰分が少ないとコッブ吸水度は小さくなり、灰分が多いとコッブ吸水度は大きくなる。従って、コッブ吸水度が上記範囲内にあるように、基紙中の炭酸カルシウムの灰分を調整することができる。
基紙におけるインク受容層側の表面にアルキルケテンダイマー(以下、適宜「AKD」と表記する)を塗布又は含浸させることにより、コッブ吸水度を調整することができる。アルキルケテンダイマーはアルキルケテンの二量化体であり、中性抄紙用の反応性サイズ剤として公知である。AKDを含むサイズ剤は、乳化機を用いてAKDを水中に分散させたエマルジョンとして市販されている。
AKDの塗布(又は含浸)量は、0.03〜0.06g/m2であることが好ましい。塗布量が0.03g/m2未満であると、サイズ効果が不充分で基紙のコッブ吸水度が高くなる傾向にある。一方、塗布量が0.06g/m2を超えると、基紙のコッブ吸水度が低くなり過ぎると共に、基紙の摩擦係数が低下して操業性が悪化する場合がある。ここで、基紙の摩擦係数が低すぎると、リールによる巻取時に紙が蛇行する等のトラブルが発生する。
さらに、AKDに加えて、中性ロジンサイズ剤;アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤;マレイン酸又はマレイン酸エステルと、オレフィンとの共重合体;マレイン酸又はマレイン酸エステルと、スチレンとの共重合体;アクリル酸、メタクリル酸エステル、及びアクリル酸エステルの群から選ばれる1種以上と、スチレンとの共重合体;アクリル酸エステル、アクリル酸、又はアクリル酸アミドをモノマー成分として重合させたアクリル系共重合体から選ばれる1種以上の表面サイズ剤を併用することができる。
特に、スチレンを含む共重合体からなる表面サイズ剤(以下、「スチレン系表面サイズ剤」という)をAKDと併用することが好ましい。スチレン系表面サイズ剤を用いると、基紙の摩擦係数の低下を抑制して操業性が向上するとともに、コストを低減することができる。
基紙に塗布又は含浸させる際のスチレン系表面サイズ剤とAKDの配合割合は、固形分質量比で、(スチレン系表面サイズ剤/AKD)=50/100〜1000/100とすることが好ましく、特に好ましい割合は80/100〜500/100である。
又、AKDを基紙に塗布又は含浸させるための水溶性サイズ液は、AKDの他、表面紙力剤となる水溶性高分子を含有することが好ましい。水溶性高分子としては、例えば、澱粉、酵素変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(ヒドロキシエチル化澱粉など)、ジアルデヒド化澱粉、リン酸エステル化澱粉、カチオン化澱粉などの澱粉類;完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;カルボキシメチルセルロース類;アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド;等の各種の天然高分子又は合成高分子が挙げられる。これらの天然高分子又は合成高分子は、単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
水溶性サイズ液中のAKDと水溶性高分子との配合割合は、固形分質量比で、(AKD/水溶性高分子)=1/100〜5/100とすることが好ましい。
さらに水溶性サイズ液に、本発明の効果を損なわない範囲で、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤、導電剤等、一般にインクジェット記録用紙に使用される添加剤を配合してもよい。
インク受容層は顔料と結着剤とを含み、基紙上に凝固キャストコート法で形成される。
(顔料)
本発明においては、光沢を低下させない範囲でインク受容層中に顔料を含有してもよい。顔料としては、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等のアルミナやアルミナ水和物、合成シリカ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等が挙げられ、これらを単独で使用し又は併用することができる。発色性の観点からは、透明度が高い顔料である合成シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物を用いることが好ましい。
インク受容層は結着剤としてポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールを用いると、インク受容層の透明度が向上し、銀塩写真に近い光沢感が得られる。又、ポリビニルアルコールに加え、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、尿素エマルジョン、アルキッドエマルジョン及びこれらの誘導体;等を配合してもよい。
結着剤の配合量は、顔料100質量部に対して、5質量部〜30質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られれば、特に限定されるものではない。
インク受容層は、上記顔料及び結着剤を含む塗工液を基紙上に塗布して形成することができる。塗工液には、必要に応じ、顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
又、以下のキャストコートの際、鏡面仕上げの面から剥離し易くするため、塗工液には必要に応じて剥離剤を添加することができる。剥離剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の範囲においては剥離剤の融点が鏡面仕上げの金属表面温度とほぼ同等であるため、剥離剤としての能力が最大限に発揮される。剥離剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではない。
基紙上にインク受容層を設ける方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択することができる。
高い光沢を有するインクジェット記録用紙を得られるという点から、インク受容層は凝固キャストコート法により形成される。
キャストコート法は、上記塗工液を基紙上に塗工してインク受容層となる塗工層を設け、湿潤し可塑状態の塗工層をキャストドラム(鏡面仕上げの面)に押し当て、光沢仕上げする方法である。凝固キャストコート法は、湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥する方法である。
凝固法を用いる場合、インク受容層用塗工液を基紙上に塗工し、その塗工層が湿潤状態にある間に結着剤を凝固(あるいは架橋)する作用を持つ処理液を塗布し、その後加熱した鏡面に塗工層を圧着し、光沢を付与する。
処理液を塗布する際のインク受容層は湿潤状態と乾燥状態のいずれであってもよいが、インク受容層が湿潤状態である間に処理液を塗布すると、鏡面ドラムの表面を写し取りやすく、インク受容層表面の微小な凹凸を少なくすることができるため、銀塩写真並の光沢感を得やすい。
本発明においては、結着剤としてポリビニルアルコールを用いるため、ポリビニルアルコールを凝固させる作用を持つ化合物として、ホウ酸とホウ酸塩とを含有する処理液を用いる。
ホウ酸とホウ酸塩とを併用する理由は以下の通りである。まず、ホウ酸塩を単独で処理液に用いると、ポリビニルアルコールの凝固が強くなり過ぎ、鏡面仕上げの面を充分に写し取ることができず、良好な光沢面を得ることが困難となる。この場合、処理液中のホウ酸塩濃度を低減してもポリビニルアルコールの凝固の強さは変化しないため、光沢は改善されない。
一方、ホウ酸を単独で処理液に用いた場合、ポリビニルアルコールの凝固が柔らかくなり過ぎ、鏡面仕上げの面(ロール)に軟凝固の塗工層が付着し、良好な湿潤状態の塗工層を得ることが困難となる。この場合、処理液中のホウ酸濃度を高くするとポリビニルアルコールの凝固は強くなる傾向にある。しかし、ホウ酸の溶解度が低いためにホウ酸濃度をあまり高くすることはできず、所望の凝固強さが得られない。
処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度は必要に応じて適宜調整することができる。処理液中のホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高くなるとポリビニルアルコールの凝固が強くなり、光沢が劣る傾向にある。また、ホウ酸塩及びホウ酸の濃度が高いと処理液中に析出しやすくなり、処理液の安定性が低下する傾向にある。
ホウ酸塩とホウ酸の好ましい配合割合は、ホウ酸塩とホウ酸とをNa2B4O7及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ酸塩/ホウ酸)=0.25〜2である。
処理液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の公知の塗工機を用いた塗工する方法の中から適宜選択することができる。
以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は特に明示しない限り、質量部及び質量%を示す。
この基紙に、塗工液Aをロールコーターで塗工量14g/m2となるように塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Bを用いて凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面であるキャストドラムに塗工層を圧着して鏡面を写し取り、170g/m2のインクジェット記録用紙を得た。
凝固液B:ホウ砂とホウ酸とをNa2B4O7及びH3BO3に換算した質量比が(ホウ砂:ホウ酸)=1:1となるように含有する水溶液を調製した。水溶液中のホウ砂とホウ酸とを、Na2B4O7及びH3BO3に換算した時の合計濃度を11質量%とした。
叩解度360mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に、タルク7部、硫酸アルミニウム3.0部、ロジンエマルジョン0.5部、及び歩留向上剤0.005部を添加し、抄紙機で抄紙した。この酸性原紙の両面に、固形分で1.5g/m2のデンプンと、該デンプンに対して固形分で6.0%のスチレン系表面サイズ剤(荒川化学製 ポリマロン1341)とを含むサイズ液を2ロール方式で塗工し、基紙を得た。
この基紙に、前記塗工液Aをロールコーターで塗工量14g/m2となるように塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、前記凝固液Bを用いて凝固させ、次いでプレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、170g/m2のインクジェット記録用紙を得た。
パルプスラリーに添加するタルクの量を10部に変更したこと以外は比較例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
叩解度360mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に、軽質炭酸カルシウム20部、硫酸アルミニウム1.0部、及びAKD0.15部(星光PMC社製 AD1622)を添加し、抄紙機で抄紙して中性原紙を得たこと以外は、実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
原紙に塗工するサイズ液として、リンゴ酸によりpHを調整した上記サイズ液(デンプン液)を用い、基紙の紙面pHを4.4に調整したこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
原紙に塗工するサイズ液として、リンゴ酸によりpHを調整した上記サイズ液(デンプン液)を用い、基紙の紙面pHを6.2に調整したこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
原紙に塗工するサイズ液として、固形分で1.5g/m2のデンプンと、該デンプンに対して固形分で4.2%の表面サイズ剤AKD(星光PMC社製のSE2382)と、該デンプンに対して固形分で3.0%のスチレン系表面サイズ剤(荒川化学製 ポリマロン1341)とを含むものを用いたこと以外は実施例1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
1.コッブ吸水度
蒸留水に対するコッブ吸水度は、JIS-P8140に記載された試験法に従い、30秒後の蒸留水の吸水量を測定した。又、模擬処理液に対するコッブ吸水度は、蒸留水の代りに凝固液Bを用いたこと以外は、蒸留水に対するコッブ吸水度の測定と同一の方法で測定した。
2.白色度
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の白色度を、白色度計(CMS-35SPX、村上色彩株式会社製)を用い、ISO2470に従って測定した。
3.印字濃度、インク発色性
インクジェットプリンター(PM−970:セイコーエプソン株式会社製の商品名、染料インク使用)を用いて、各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙に所定のカラーパターンを記録した。マクベス濃度計(グレタグ・マクベス社製)を用いて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの合計の印字濃度を測定した。
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の印字濃度に応じて、以下の基準でインク発色性を評価した。
〇:印字濃度が8以上のもの
×:印字濃度が8未満のもの
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙に対し、インクジェットプリンター(PM−970:セイコーエプソン株式会社製の商品名、染料インク使用)を用いて、異なる色(イエロー、ブラック)のベタの四角パターンをそれぞれ隣接して印字し、その境界線のにじみを目視観察し、インク吸収性を以下の基準で評価した。評価が〇であれば実用上問題なく使用できる。
〇:境界線にじみがないもの
×:境界線にじみが見られたもの
上記実施例及び比較例で用いたキャストコーター(プレスロールを用いた装置)を用い、断紙の有無とキャストドラムの汚れを評価した
○:操業時の断紙とキャストドラムの汚れが無いもの
×:操業時に断紙が発生し、キャストドラムの汚れが見られたもの
6.光沢度
各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙の20°鏡面光沢度を光沢度計(GM−26PRO、村上色彩株式会社製)を用い、JIS−Z 8741に従って測定した。数値が高いほど光沢感が高く優れたものとなるが、27%以上であれば実用上問題ない。
軽質炭酸カルシウムを含む中性紙を基紙に用い、紙面pHが6以上である比較例3、5の場合、印字濃度は高いものの、操業性が劣った。
中性紙を基紙に用い、コッブ吸水度が100g/m2を超えた比較例4の場合、操業性が劣った。さらに比較例4の場合、基紙の紙面pHを5未満に調整したために印字濃度も低下し、インク発色性が劣った。
中性紙を基紙に用い、コッブ吸水度が10g/m2未満である比較例6の場合、操業性が劣った。
Claims (2)
- 基紙上に、ポリビニルアルコールを含有するインク受容層を形成し、該インク受容層上にホウ酸塩とホウ酸とを含む水溶液を塗布した後、前記インク受容層を加熱した鏡面に圧着して光沢を付与してなるインクジェット記録用紙であって、前記基紙は炭酸カルシウムを填料として灰分10〜25%含有する表面pH7.0以上の中性紙であり、かつ質量比で(ホウ砂:ホウ酸)=1:1となる11質量%のホウ砂/ホウ酸水溶液に対する、前記基紙のコッブ吸水度が10〜100g/m2であり、前記基紙における前記インク受容層側の表面にアルキルケテンダイマーが塗布又は含浸されていることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記基紙の表面pHが7.0〜10であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
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