JP2008080771A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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篤 小菅
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Abstract

【課題】キャストコート層を有し、インク吸収性、発色性、及び写像性にともに優れたインクジェット用記録媒体を提供する。
【解決手段】透気性を有する基材上に、少なくともバインダー及びカチオン物質を含有する下塗り塗工液をスプレー塗工方式で塗工することによりバインダー及びカチオン物質が塗着され、塗着された基材上に、カチオン物質を含有しないキャストコート用塗工液を塗布してなる塗工層の表面が湿潤状態にある間に該塗工層を加熱した鏡面に圧接し乾燥して得られたキャストコート層が設けられている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、キャストコート層を有し、インクジェット記録方式で印字を行うインクジェット用記録媒体に関する。
インクジェット用記録媒体は、紙等の基材表面に、シリカ、アルミナなどの多孔質の顔料と結着剤とを含有するインク受理層を設けた構成になっており、このインク受理層にインクの液滴が定着するようになっている。そして、近年のインクジェットプリンターの目覚しい進歩や、デジタルカメラの著しい普及により、インクジェット用記録媒体に要求される品質も年々高くなってきている。
ところで、インクジェット記録方式に用いる記録媒体は、いわゆる上質紙・PPC用紙に似た風合いの普通紙タイプのものと、インク受理層を有することが明らかにわかる塗工紙タイプのものに大別される。さらに塗工紙タイプの記録媒体は、インク受理層が光沢を有するグロスタイプと、光沢を有さないマットタイプとに大別される。特に、従来の銀塩写真に匹敵する光沢を有するインクジェット用記録媒体においては、品質要求が厳しく、技術開発が活発に行われている。
このような光沢インクジェット用記録媒体に要求される品質特性としては、光沢感や写像性が高く、さらにインク乾燥速度が速くて印字濃度が高く、インクの溢れや滲みがないこと等が挙げられる。
光沢インクジェット用記録媒体として、カチオン樹脂と接着剤とを原紙上に下塗り塗被した後、所定の重合体を含むキャスト用塗被層を形成し、キャスト用塗被層が湿潤状態にある間に加熱した鏡面ドラムに圧接し乾燥するものが開示されている(特許文献1、2参照)。
これらの技術によれば、カチオン樹脂を下塗りするとインク吸収性等を損なうことなく印字発色濃度や歩留まりを向上できる。これは、下塗りしたカチオン樹脂がキャスト用塗被組成物の凝集を促進させるため、下塗り層への過度の浸透を防ぎ、キャスト表面が均一で高光沢となるであるとされている。
特開平7−89220号公報(段落0035) 特開2003−145916号公報(段落0017、0018)
しかしながら、通常のコーターやサイズプレスを用いて、基材上にカチオン樹脂を含む塗料を下塗りした場合、インクの記録特性(インク吸収性・発色性)や写像性が充分に高くならないことがある。これは、下塗り塗工液を基材に液状のまま直接塗布したり含浸させると、カチオン樹脂が基材表面にとどまらずに基材深部に入り込みやすいためと考えられる。
従って本発明の目的は、キャストコート層を有し、インク吸収性、発色性、及び写像性にともに優れたインクジェット用記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、カチオン物質を含む塗工液をスプレー塗工方式で基材上に下塗りすることにより、インク吸収性、発色性、及び写像性が向上することを見出した。これは、スプレー塗工方式の場合、塗工液が霧状に塗布されるため、コーター方式に比べてカチオン物質が基材表面に多くとどまるためと考えられる。
又、上記した下塗りしたカチオン物質とキャストコート用塗工液との凝集の妨げとならないよう、本発明においては、カチオン物質を含有しないキャストコート用塗工液を用いる。
すなわち、本発明のインクジェット用記録媒体は、透気性を有する基材上に、少なくともバインダー及びカチオン物質を含有する下塗り塗工液をスプレー塗工方式で塗工することにより前記バインダー及び前記カチオン物質が塗着され、前記塗着された基材上に、カチオン物質を含有しないキャストコート用塗工液を塗布してなる塗工層の表面が湿潤状態にある間に該塗工層を加熱した鏡面に圧接し乾燥して得られたキャストコート層が設けられている。
前記基材上の前記カチオン物質の付着量が0.25〜100meq/mであることが好ましく、前記基材上に塗着された前記カチオン物質は、重量平均分子量5000以上のカチオン性高分子化合物であることが好ましい。
本発明によれば、キャストコート層を有し、インク吸収性、発色性、及び写像性にともに優れたインクジェット用記録媒体が得られる。
以下、本発明のインクジェット用記録媒体に係る実施形態について説明する。
(下塗り塗工)
本発明は、基材上に下塗りしたカチオン物質により、カチオン物質を含まないキャストコート用塗工液を塗工した際に凝集を起こさせ、キャストコート用塗工液の基材中への過剰な浸透を防止することを目的とする。このようにすると、キャストコート層の均一な塗工が可能となり、面感の優れたインクジェット用記録媒体が得られる。
ここで、下塗り塗工液をスプレー塗工方式で基材上に塗工すると、塗工液が霧状に塗布される。このため、コーター方式等に比べてカチオン物質が基材深部に入り込み難く、基材表面に多くとどまり、上記した凝集効果が大きくなると考えられる。
<スプレー塗工>
スプレー塗工方式としては、オンマシン、オフマシンのどちらでもよい。スプレー塗工に用いるスプレーノズルとしては、エアスプレー、エアレススプレーが挙げられる。特に、エアレススプレーを用いると、塗料を加圧して高速噴射することが可能であり、塗料膜と大気の接触によるせん断応力により微細な塗料の粒が形成されるので、基材表面に液滴を良好な状態で拡がらせることができると共にノズル先端の汚れを軽減することができるため好ましい。スプレーノズルから塗料を噴射する際の好ましい加圧条件は50〜130barである。
スプレーノズルは複数個用いても単数でもどちらでもよい。ノズルの先端と基材表面との好ましい距離は90〜110mmである。ノズルを複数個用いる場合、各ノズルを50〜70mm間隔で設置することが好ましい。ノズルの間隔や距離が上記範囲を外れると、未塗工部分が発生したり、隣り合うノズルの塗料が干渉しあう等の不具合が発生し易く、良好な塗工面を得られにくい傾向にある。通常のスプレー装置であれば何れのものも使用が可能である。
スプレー装置及びスプレー塗工方法としては、例えば、特許第2882881号、特許第3432819号、特許第3308382号、特開2004-906号、特開2006-159104号の各公報に記載のものを用いることができる。
<乾燥>
塗工後の下塗り塗工液の乾燥方法は特に限定しないが、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤーなどを使用することができる。
(基材)
基材は、透気性を有しシート状のものであればいずれのものを用いることが可能であり、例えば塗工紙、未塗工紙等の紙を好適に用いることができる。
紙の主成分はパルプと内添填料であり、パルプとしては通常公知のパルプであればいずれのものを使用することができる。例えば、化学パルプとして広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等、木材、綿、麻、じん皮等の繊維原料を化学的に処理して作製されたパルプなどを使用できる。また、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップをやや軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ等も使用できる。また、古紙を原料とするパルプ、すなわち、製本、印刷工場、断裁所等において発生する裁落、損紙、幅落しした上白、特白、中白、白損等の未印刷古紙;印刷やコピーが施された上質紙、上質コート紙等の上質印刷古紙;水性インク、油性インク、鉛筆などで筆記された古紙;印刷された上質紙、上質コート紙、中質紙、中質コート紙等のチラシを含む新聞古紙;中質紙、中質コート紙、更紙等の古紙等を離解して得られるパルプを使用することもできる。
特に、高白色度で地合に優れるLBKPを使用することが好ましい。
また、パルプは漂白することにより高白色とすることができる。パルプの漂白方法としては、元素状塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、過酸化水素、苛性ソーダ等の薬品の組合せにより漂白する塩素漂白法、二酸化塩素を使用する漂白方法(ECF)、塩素化合物を一切使用せずに、オゾン/過酸化水素等を主に使用して漂白する方法(TCF)といった方法がある。このうち塩素漂白法からなる有機塩素化合物負荷が環境に悪影響を与える恐れがあることから、ECFやTCFといった方法で漂白することが好ましい。またECFでは、二酸化塩素はリグニンと選択的に反応するため、セルロースに損傷を与えずにパルプの白色度を高めることができるので、さらに好ましい。
また、基材である紙に内添填料を添加してもよい。内添填料は、紙の不透明度、白色度向上を目的として添加(内添)し、例えばクレー、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の白色顔料を使用できるが、高白色度を得やすいことから炭酸カルシウムが好ましく、特に軽質炭酸カルシウムの添加が好ましい。
上記したパルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性等といった紙の諸特性等を向上させるため、ダブルディスクリファイナー等の叩解機により叩解される。叩解の程度は、カナディアン スタンダード フリーネスで250ml〜550ml程度の通常の範囲で目的に応じて選択することが出来る。前記パルプのpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により抄紙され基材を得ることができるが、この際、通常抄紙に際して用いられるパルプスラリーに、分散助剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、サイズ剤、定着剤、pH調節剤、染料、有色顔料、及び蛍光増白剤等を添加することが可能である。
分散助剤としては例えばポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、とろろあおい等が用いられる。紙力増強剤としては例えば植物性ガム、澱粉、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等のアニオン性紙力増強剤;カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性紙力増強剤が用いられる。サイズ剤としては例えば高級脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体;ジアルキルケテンダイマー、アルケニル又はアルキルコハク酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、多糖類エステル等が用いられる。定着剤としては例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性ポリマー等が用いられ、pH調節剤としては塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が用いられる。
下塗り塗工液の基材深部への浸透をさらに低減させる点から、基材のステキヒトサイズ度は5秒以上であることが好ましく、50秒以上であると下塗り塗工液の基材深部への浸透を最小限に抑えることができるので、さらに好ましい。
(下塗り塗工液)
下塗り塗工液は少なくともバインダー及びカチオン物質を含有する。
<バインダー>
カチオン物質を基紙表面に付着させ、さらにインクジェット記録時にインク溶媒を吸収させるため、下塗り塗工液はバインダーを含む。バインダーとしては、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類;ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆タンパクなどの蛋白質類;ポリビニルピロリドンといった水溶性樹脂を使用できるが、強度や吸収性の点から澱粉類やポリビニルアルコールが好ましい。バインダーとして酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、SBR等のエマルションを用いることもできる。
なお、バインダーとしてインク吸収性の高い水溶性樹脂を用いることで、裁断時の紙粉を低減することができる。
<カチオン物質>
カチオン物質は、その水溶液又は水分散液がカチオン性であるカチオン性含窒素化合物を示し、アミン、アンモニウム塩、イミダゾリン、ピリジニウム塩が例示される。
カチオン物質として具体的には、一級アミン、二級アミン、三級アミン、四級アンモニウム塩、環状アミンおよびこれらの高分子を単量体としたものが挙げられる。具体的にはビニルイミン、アルキルアミン、アルキレンアミン、ビニルアミン、アリルアミン、脂環式アミン、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、アクリルアミド、アミドアミン、アミジンなどのカチオン性高分子を単量体として使用する高分子化合物等が挙げられる。以上に述べたカチオン性高分子の製造方法は、特開平6−92012号、特開平6−240154号、特開平9−87561号、特開平10−81065号、特開平10−152544号の各公報に記載されている。
又、比較的低分子のカチオン物質としては、1級乃至2級乃至3級アミン塩型の化合物が挙げられ、具体的にはラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミン等の塩酸塩、酢酸塩等が挙げられる。比較的低分子のカチオン物質として第4級アンモニウム塩型の化合物を用いることもでき、具体的にはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。比較的低分子のカチオン物質としてピリジニウム塩型化合物を用いることもでき、具体的にはセチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド等が挙げられる。比較的低分子のカチオン物質としてイミダゾリン型カチオン性化合物を用いることもでき、具体的には2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン等が挙げられる。比較的低分子のカチオン物質として、高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物を用いることもでき、具体的にはジヒドロキシエチルステアリルアミン等が挙げられる。
カチオン物質のカチオン化密度が5.0meq/g以上であると、下塗り塗工液中のカチオン物質の配合量を少なくしてもカチオン物質による効果が得られるので好ましい。カチオン物質のカチオン化密度の上限は特に無いが、カチオン化密度が10.0meq/g以上になると塗工液中の他の成分との相互作用により増粘などが生じて塗工性に影響を与えることがあるので好ましくない。
また、下塗り塗工液の塗工量が少なくともカチオン物質による作用が生じるためには、カチオン物質が重量平均分子量が5000以上の高分子化合物であることが好ましい。分子量が5000以下であるとカチオン物質による効果が低減する傾向にある。重量平均分子量の上限は特に定めないが、重量平均分子量が150万を超える場合、塗工液中の他の成分との相互作用により増粘などが生じて塗工性に影響を与えることがあるので好ましくない。
なおカチオン高分子の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミッション・クロマ
トグラフィー)により測定した値である。また、カチオン高分子のカチオン化密度は、滴定薬として0.001mol/Lのポリビニル硫酸カリウム(PVSK)溶液を用い、粒子表面電荷測定装置(MUTEC TOLEDO DL−50)にて測定し、得られた値である。
(下塗り塗工液の調製)
下塗り塗工液は上記バインダー及びカチオン物質を水溶媒に分散して調製することができる。下塗り塗工液中のバインダーの配合量は、塗工液の固形分中5〜95質量%であるのが好ましい。バインダーの配合量が95質量%を超えると、カチオン物質を基材に付着させる強度は向上するが、基材の透気性が低下しインクジェット用記録媒体の面感が悪化する場合がある。また配合量が5質量%未満であるとカチオン物質を基材に付着させる強度が低下する場合がある。
下塗り塗工液には、その他に炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、カオリン、チタンといった塗工顔料;増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加してもよい。
なお、スプレー装置の目詰まりを防止するため、下塗り塗工液は顔料を含まないことが好ましい。顔料とは、無機顔料及び有機顔料をいう。
下塗り塗工液の塗工量は、基材片面当たり、固形分換算で0.1〜15g/mであることが好ましいが、紙粉削減のため0.2〜10g/mであることがさらに好ましい。 又、基材表面へのカチオン物質の付着量が0.25〜100meq/mであることが好ましく、1〜70meq/mであるとさらに好ましい。カチオン物質の付着量が0.25meq/m未満であるとカチオン物質による効果を得ることが難しく、100meq/mを超えると基材の透気性が悪化し、インクジェット用記録媒体の面感が低下する傾向にある。
基材表面へのカチオン物質の付着量は、以下の式で計算される。
(カチオン物質の付着量:meq/m)=(単位面積当りの基材へのカチオン物質の塗工量(固形分換算の付着量):g/m
×(カチオン物質のカチオン化密度:meq/g)
なお、下塗り塗工液を塗工することにより、基材表面にはバインダー及びカチオン物質(及び下塗り塗工液中の他の成分)が塗着されるが、これらは基材に付着していれば必ずしも塗工層を形成しなくてもよい。
(キャストコート層)
バインダー及びカチオン物質が塗着された基材表面に、高い光沢を有するキャストコート層が塗工により設けられる。キャストコート層はインク受理層として機能する。
キャストコート層は、顔料とバインダーとを主成分とするキャストコート用塗工液を基材上に塗工し、得られた塗工層をキャストドラムに圧接して光沢仕上げして形成される。
キャストコート法としては、(1)塗工層が湿潤状態にある間に、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着して乾燥するウェットキャスト法(直接法)、(2)湿潤状態の塗工層を一旦乾燥又は半乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するリウェット法、(3)湿潤状態の塗工層を凝固液で凝固処理し、ゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラムに塗工層を圧着し乾燥するゲル化キャスト法(凝固法)、の3種類がある。各方法の原理は、湿潤状態の塗工層を鏡面仕上げの面に押し当てて、塗工層表面に光沢を付与するという点では同一であり、本発明はいずれの方法も含む。
なお、リウェット法及び凝固法の場合、キャストコート層となる塗工層に処理液(それぞれ再湿潤液及び凝固液)を塗布して湿潤(ゲル状態)にさせた後、塗工層を加熱した鏡面仕上げ面に圧着する。処理液を塗布する際の塗工層は、湿潤状態であっても乾燥状態であってもよいが、特に湿潤状態とした場合には鏡面仕上げ面を写し取りやすく、塗工層表面の微小な凹凸を少なくすることができるので、得られたインク受理層に銀塩写真並の光沢感を付与させ易くなる。処理液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
<キャストコート用塗工液>
キャストコート用塗工液は、少なくとも以下の顔料とバインダーとを含み、カチオン物質を含有しない。カチオン物質を含有しない理由は、キャストコート用塗工液が基紙上のカチオン物質と接触した際に凝集を起こさせる際、キャストコート用塗工液中に前もってカチオン物質が含まれると、キャストコート用塗工液中で凝集が生じたり、基紙との間の凝集が弱くなる不都合があるからである。特に、後述するシリカを顔料に用いた場合、シリカがアニオン性であるため、塗工液中にカチオン物質が存在すると液が凝集する。
キャストコート層を水に溶かして成分を抽出し、カチオン化度が0以下であれば、キャストコート層にカチオン物質が含まれていないことを示す
<顔料>
顔料としては、シリカ、コロイダルシリカ、気相法シリカなどのシリカ類や、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸化亜鉛等の塗工用顔料を単独または混合して使用することができる。これらの顔料のうち、インク吸収性を向上させる点からシリカ、コロイダルシリカ、及び気相法シリカから選ばれる1種以上を含むものを用いることが好ましい。また、キャストコート層の光沢性を高めるため、平均一次粒子径が100nm以下の微粒シリカを含むことが好ましい。
なお、本発明においては、上記したキャストコート用塗工液中での凝集を防止するため、カチオン物質で変性した顔料も用いない。
<バインダー>
バインダーとしては、水溶性バインダーを使用できるが、キャストコート法として凝固法を用いる場合、架橋反応に有利であるポリビニルアルコールをバインダーに使用することが好ましい。ポリビニルアルコールは、いずれのタイプのものを使用してもよく、例えば、ケン化度が98%未満の部分ケン化ポリビニルアルコール、中間ケン化ポリビニルアルコール、及びケン化度が98%以上の完全ケン化ポリビニルアルコールを単独で使用し、又は併用することができる。又、ケン化度が98%未満のもの、又は98%以上のものの中から、2種類以上のポリビニルアルコールを併用することもできる。
ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど、インク吸収性が向上する傾向にある。この理由は、ケン化度が低いほどポリビニルアルコールの親水性が高く、インクの吸収性も良好となるためと考えられる。また、ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど、発色性が向上する傾向にある。この理由としては、ケン化度が低いほど透明性が高く、そのため塗工層の透明性が高くなり、印字濃度が向上するためと考えられる。
一方、ケン化度が低いほど、塗料安定性が劣る傾向にあり、経時により塗工液が増粘(ひどい時にはプリン状にゲル化)する場合がある。この理由は、ケン化度が低いほど、シリカ(上記した湿式法シリカ及びコロイダルシリカ)との相互作用が強くなるためと考えられる。このため、ポリビニルアルコールのケン化度は80%以上であることが好ましい。
又、上記したように、ポリビニルアルコールのケン化度が低いほど印字適性が向上し、ケン化度が高いほど操業性が向上するので、印字適性及び操業性を両立させる場合には、ケン化度が98%未満のもの、及びケン化度が98%以上のものを所定の配合割合で混合して用いることが好ましい。
キャストコート法として凝固法を用いる場合のバインダーとして、上記ポリビニルアルコール(PVA)に加え、発色性、インク吸収性、及び光沢感を損なわない範囲で、皮膜形成が可能なノニオン又はアニオン性高分子化合物を併用することができる。このようなバインダーとしては、例えば、澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン−アクリル樹脂及びその誘導体;スチレン−ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂及びこれらの誘導体;等を用いることができる。
また、キャストコート法としてリウェット法を用いる場合、上記した凝固法のようにバインダーにPVAを含まなくてよいため、上記したノニオン又はアニオン性高分子化合物等のバインダーをPVAと併用せずに単独使用してもよく、これらのバインダーをPVAと混合して使用することもできる。
キャストコート用塗工液(キャストコート層)中のバインダーの合計配合量は、顔料100質量部に対し、5〜30質量部であることが好ましいが、必要な塗工層強度が得られる限り、特に限定されるものではない。バインダーの配合量が多くなると、インク吸収性が低下する傾向にある。
なお、キャストコート用塗工液が基紙上のカチオン物質と接触した際の凝集を促すため、キャストコート層にはカチオン物質を含有させないことを既に述べたが、このためバインダーとしてはノニオン性及び/又はアニオン性のものを用いる。
<他の成分>
キャストコート用塗工液には、上記した顔料とバインダーの他に、例えば、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、離型剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。
(キャストコート層の形成)
基材上にキャストコート層用塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター等の公知の塗工機をオンマシン、あるいはオフマシンで用いた塗工方法の中から適宜選択することができる。
キャストコート層の塗工量は、基材の表面を覆い、かつ十分なインク吸収性が得られる範囲で任意に調整することができるが、発色性及びインク吸収性を両立させる観点から、片面当たり、固形分換算で5〜30g/mであることが好ましい。
又、キャストコート層の必要塗工量が多い場合には、キャストコート層を多層にすることも可能である。また、キャストコート層を設けた面と反対の基材表面に、インク吸収性、筆記性、プリンター印字適性、その他各種機能を有するバックコート層をさらに設けてもよい。
又、カチオン物質が塗着された基材とキャストコート層との間に、顔料とバインダーとを含むアンダー層をさらに設けてもよい。アンダー層には、インク吸収性、接着性、その他各種機能を付与することができる。アンダー層に用いる顔料及びバインダーとしては、上記キャストコート層に用いる顔料及びバインダーと同様のものを挙げることができ、カチオン性物質を含まないことが好ましい。
(凝固液)
次に、凝固法に用いる凝固液について説明する。凝固液としては、湿潤(ゲル)状態の塗工層中のバインダーを凝固する作用を持つものが用いられ、例えば、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、塩酸、硫酸等のカルシウム、亜鉛、マグネシウム等の各種の塩の溶液が用いられる。特に、キャストコート用塗工液のバインダーとしてポリビニルアルコールを用いた場合には、凝固液としてホウ酸とホウ酸塩とを含有する液を用いることが好ましい。ホウ酸とホウ酸塩とを混合して用いることにより、凝固時の塗工層固さを適度なものとすることが容易となり、キャストコート層に良好な光沢感を付与できる。凝固液を塗布する方法は、塗工層に塗布できる限り特に制限されず、公知の方法(例えばロール方式、スプレー方式、カーテン方式等)の中から適宜選択することができる。
又、上記塗工液および/または凝固液には、必要に応じて離型剤を添加することができる。離型剤の融点は90〜150℃であることが好ましく、特に95〜120℃であることが好ましい。上記の温度範囲においては、離型剤の融点が鏡面仕上げ面の温度とほぼ同等であるため、離型剤としての能力が最大限に発揮される。離型剤は上記特性を有していれば特に限定されるものではないが、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸又はその塩類、又はポリエチレンワックス、レシチンなどが好ましく、ポリエチレンワックスを用いることがさらに好ましい。
また凝固液には上記した離型剤や、カチオン物質の他に顔料、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、顔料分散剤、発泡剤、pH調整剤、表面サイズ剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定化剤、防腐剤、耐水化剤、染料定着剤、界面活性剤、湿潤紙力増強剤、保水剤等を、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜添加することができる。凝固液のイオン性は特に限定されるものではない。
(再湿潤液)
次に、リウェット法に用いるリウェット液(再湿潤液)について説明する。リウェット液は、上記した凝固液に用いる離型剤を主成分とする水性液から成る。リウェット液の主な作用は、この液の大部分を占める水により乾燥塗被層の上層部分を湿潤可塑化することにある。リウェット液には上記離型剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、蛍光染料、染料、コロイド状顔料、界面活性剤などを添加してもよい。又、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、等を適宜添加することができる。なお、再湿潤液のイオン性は特に限定されるものではない。
なお、キャストコート用塗工液にはカチオン物質を配合しない点を既に述べたが、再湿潤液や凝固液等にカチオン物質を配合してもよい。
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特に明示しない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
叩解度350mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、炭酸カルシウム10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.15部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。抄紙の際、5%のデンプンと0.2%の表面サイズ剤(AKD)溶液を紙の両面に片面当り固形分で2.5g/mとなるように塗布し、坪量170g/m2の基材Aを得た。基材Aのステキヒトサイズ度は200secであった。
基材Aの片面に、下記の下塗り塗工液Aを用いて塗工量が1g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Aを形成した。下塗り塗工紙Aのカチオン性高分子の付着量は5.7meq/mであった。
下塗り塗工液A:水溶性バインダーである酸化澱粉(MS#3600:日本食品化工株式会社製の商品名)と、カチオン性高分子(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)、重量平均分子量:1万、カチオン化密度:6.3meq/g)とを1:9の割合で配合した濃度15%の塗工液を調製した。
下塗り塗工紙Aの塗工面に、ロールコーターを用いてキャストコート用塗工液Aを20g/m塗工し、塗工層が湿潤状態にある間に、凝固液Aを塗工層に塗布して塗工層を凝固させた。次いで、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、インクジェット記録用キャストコート紙(インクジェット用記録媒体)Aを得た。
キャストコート用塗工液A:コロイダルシリカ(クォートロンPL−1:扶桑化学工業株式会社)50部と、沈降法シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製の沈降法シリカ)50部とを配合し、バインダーとして部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−617:株式会社クラレの商品名)20部を配合し、さらに離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)を2部配合して濃度27%の塗工液を調製した。
凝固液A:(ホウ砂/ホウ酸)で表される配合比を2とし、ホウ砂をNa24で換算し、ホウ酸をH3BOで換算した時の濃度を6%とし、離型剤(メイカテックスHP50:明成化学工業社製)0.25%、浸透剤(パイオニンD−3120−W:竹本油脂株式会社製の商品名)0.5%、及びpH調整剤としてクエン酸0.25%を配合して凝固液を調製した。
基材Aの片面に、下塗り塗工液Aを用いて塗工量が5g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Bを形成した。下塗り塗工紙Bのカチオン性高分子の付着量は28.4meq/mであった。下塗り塗工紙Bを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Bを得た。
基材Aの片面に、下塗り塗工液Aを用いて塗工量が0.5g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Cを形成した。下塗り塗工紙Cのカチオン性高分子の付着量は2.8meq/mであった。下塗り塗工紙Cを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Cを得た。
基材Aの片面に、下記の下塗り塗工液Bを用いて塗工量が5g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Dを形成した。下塗り塗工紙Dのカチオン性高分子の付着量は3.2meq/mであった。下塗り塗工紙Dを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Dを得た。
下塗り塗工液B:水溶性バインダーである酸化澱粉(MS#3600)と、カチオン性高分子(DADMAC 重量平均分子量:1万、カチオン化密度:6.3meq/g)とを9:1の割合で配合した濃度15%の塗工液を調製した。
基材Aの片面に、下記の下塗り塗工液Cを用いて塗工量が5g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Eを形成した。下塗り塗工紙Eのカチオン性高分子の付着量は3.2meq/mであった。下塗り塗工紙Eを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Eを得た。
下塗り塗工液C:水溶性バインダーであるポリビニルアルコール(PVA−617)と、カチオン性高分子(DADMAC 重量平均分子量:1万、カチオン化密度:6.3meq/g)とを9:1の割合で配合した濃度15%の塗工液を調製した。
下塗り塗工紙Bの塗工面に、ロールコーターを用いてキャストコート用塗工液Bを20g/m塗工、乾燥した。次いでリウェット液Aを塗工層に塗布して塗工層を再湿潤させ、プレスロールを介して加熱された鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、200g/mのインクジェット記録用キャストコート紙Fを得た。
キャストコート用塗工液B:コロイダルシリカ(PL−1)100部、結着剤としてアクリルウレタン樹脂(ハイブリデュール570:エアプロダクツ社製の商品名)30部を配合して濃度20%の塗工液を調製した。
リウェット液A:離型剤としてポリエチレンワックス(メイカテックスHP50:明成化学工業社製の商品名)0.2部を配合し、濃度0.2%のリウェット液を調整した。
基材Aの片面に、下記の下塗り塗工液Cを用いて塗工量が10g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Fを形成した。アンダーコート紙Fのカチオン性高分子の付着量は49.5meq/mであった。下塗り塗工紙Fを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Gを得た。
下塗り塗工液C:水溶性バインダーである酸化澱粉(MS#3600)と、カチオン性高分子(PAS−H−10L 日東紡績株式会社製 重量平均分子量:20万、カチオン化密度:5.5meq/g)とを1:9の割合で配合した濃度15%の塗工液を調製した。
基材Bの片面に、下記の下塗り塗工液Dを用いて塗工量が5g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥し、下塗り塗工紙Gを形成した。下塗り塗工紙Gのカチオン性高分子の付着量は33.8meq/mであった。下塗り塗工紙Gを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Hを得た。
基材B:叩解度350mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)100部からなるパルプスラリ−に対し、炭酸カルシウム10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤1.0部、及び歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙し、坪量170g/m2の基材Bを得た。基材Bのステキヒトサイズ度は60secであった。
下塗り塗工液D:水溶性バインダーである酸化澱粉(MS#3600)と、カチオン性高分子(SRD−151 星光PMC株式会社製 重量平均分子量:100万、カチオン化密度:7.0meq/g)とを1:9の割合で配合した濃度15%の塗工液を調製した。
<比較例1>
基材Aの片面に、付着量が1g/mとなるようにサイズプレス装置を用いて下塗り塗工液Aを含浸させた後、乾燥し、下塗り塗工紙Hを形成した。下塗り塗工紙Hを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Iを得た。
<比較例2>
基材Aの片面に、付着量が1g/mとなるようにゲートロールコーターを用いて下塗り塗工液Aを含浸させた後、乾燥し、下塗り塗工紙Iを形成した。下塗り塗工紙Iを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Jを得た。
<比較例3>
基材Aの片面に、下塗り塗工液Eを用いて塗工量が5g/mとなるようにスプレー塗工方式で塗工、乾燥、下塗り塗工紙Jを形成した。下塗り塗工紙Jのカチオン性高分子の付着量は0meq/mであった。下塗り塗工紙Jを使用する以外は実施例1と同様にしてキャストコート層を形成し、インクジェット記録用キャストコート紙Kを得た。
下塗り塗工液E:水溶性バインダーとして酸化澱粉(MS#3600:日本食品化工株式会社製の商品名)を配合し、濃度10%の塗工液を調製した。
<評価方法>
各実施例及び比較例のインクジェット記録用キャストコート紙を試料に用い、以下の方法で評価した。
1)発色性−印字濃度
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PM−950C、セイコーエプソン社製)を用いた。プリンターにより、試料に黒、シアン、マゼンタ、イエローをベタ印字し、印字濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD−19)で測定した。測定した印字濃度に応じて、以下の総合評価を行った。△以上であれば実用上問題がない。
◎:印字濃度4色の合計が9.0以上
○:印字濃度4色の合計が8.5以上9.0未満
△:印字濃度4色の合計が8.1以上8.5未満
×:印字濃度4色の合計が8.1未満
2)インク吸収性−インクジェット印字による滲み、ムラ評価
インクジェットプリンターとして、染料インクプリンター(PM−950C、セイコーエプソン社製)を用いた。上記ベタ印字部の各色境界部の滲み(境界滲み)、及びムラ(シアンベタ印字部分)の程度を目視評価した。滲み、ムラが全くないものをそれぞれ評価5(最も優れたもの)とし、滲み、ムラが顕著なものをそれぞれ評価1(最も劣ったもの)とし、評価5から評価1の間を5段階で評価した。各評価結果を総合し、以下の指標で吸収性を評価した。評価が△以上であれば実用上問題がない。
◎:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも5である
○:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価がいずれも4.5以上である
△:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが4である
×:境界滲み、ベタ印字ムラの目視評価のいずれかが3.5以下である
3)写像性
写像性測定器(スガ試験機株式会社製、ICM−1T)を用い、試料のキャストコート層表面の60°反射測定(入射光60°、反射光60°受光)を行った。得られた値(60°鏡面写像性)について、以下の基準で写像性の優劣を評価した。評価が△以上であれば実用上問題ない。
◎:写像性70%以上
○:写像性65%以上
△:写像性60%以上
×:写像性60%未満
得られた結果を表1、表2に示す。
Figure 2008080771
Figure 2008080771
表1、2から明らかなように、各実施例の場合、インク吸収性、発色性、及び写像性が共に向上した。
一方、下塗り塗工液をサイズプレス又はGRC(ゲートロールコーター)で基材上に塗工した比較例1、2の場合、発色性と写像性が低下した。これは、下塗り塗工液中のカチオン物質が基材内部に浸透し過ぎ、基材表面でのキャストコート用塗工液との凝集が不充分となったため、キャストコート層中のバインダーが基材へ沈み込んだためと考えられる。そして、キャストコート層中に残るバインダーが少なくなると、インク中の顔料や染料が層内部へ浸透して発色性を低下させると共に、キャストコート時のドラム面の写し取りが難しくなって写像性が低下する。
下塗り塗工液中にカチオン物質を含まない比較例3の場合も、発色性と写像性が低下した。これは、カチオン物質が基材表面に存在しないため、基材表面でのキャストコート用塗工液との凝集がなく、キャストコート層中のバインダーが基材へ沈み込んだためと考えられる。

Claims (3)

  1. 透気性を有する基材上に、少なくともバインダー及びカチオン物質を含有する下塗り塗工液をスプレー塗工方式で塗工することにより前記バインダー及び前記カチオン物質が塗着され、前記塗着された基材上に、カチオン物質を含有しないキャストコート用塗工液を塗布してなる塗工層の表面が湿潤状態にある間に該塗工層を加熱した鏡面に圧接し乾燥して得られたキャストコート層が設けられているインクジェット用記録媒体。
  2. 前記基材上の前記カチオン物質の付着量が0.25〜100meq/mである請求項1に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記基材上に塗着された前記カチオン物質は、重量平均分子量5000以上のカチオン性高分子化合物である請求項1又は2記載のインクジェット用記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011156715A (ja) * 2010-01-29 2011-08-18 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、液体噴射方法

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