JP2004291402A - インクジェット記録シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク受理層にひび割れの発生がなく、光沢度とインク吸収性が良好で、印字濃度が良好なインクジェット記録シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】吸水性支持体の少なくとも一方の面に平均1次粒子径が50nm以下の微粒子を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体がJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙であり、あるいは、該吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シートおよびその製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】吸水性支持体の少なくとも一方の面に平均1次粒子径が50nm以下の微粒子を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体がJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙であり、あるいは、該吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シートおよびその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シート及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは塗膜表面の微細なひび割れがなく、光沢性とインク吸収性に優れたインクジェット記録シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。さらに、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
記録材料に要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
【0004】
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
【0005】
従来は、シリカ等の含珪素顔料を水溶性バインダーと共に紙を代表とする吸水性支持体に塗布して得られる記録シートが公知である。
【0006】
また、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが一般に公知となっている。この気相法シリカは、1次粒子の平均粒子径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸水性支持体上に気相法シリカを主体とするインク受理層が塗設された記録シートが提案されている。
【0007】
また、アルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料も高い光沢が得られることが公知となっている。
【0008】
インクジェット記録シートを分類すると、支持体としては、紙、布帛等の吸水性支持体、樹脂被覆紙、合成樹脂フィルム等の非吸水性支持体に大別される。また、外観的には、光沢タイプとマットタイプに大別される。近年のデジタルカメラの普及により、従来写真店に依頼していたプリント処理を家庭でインクジェットプリンタを使って印字処理し、作製するようになってきた。そのため、より写真に近い光沢タイプのインクジェット記録シートが好まれて使われ、その使用量も増え続けている。
【0009】
しかし、パンフレットとかチラシといった写真並の画質までは要求しないが、全く光沢がなくても見栄えがしないといった商業印刷レベルの需要が増えている。従来は印刷方式により、これらパンフレットやチラシを作製していたが、印刷方式では少部数の作製にはコスト高となってしまい、最近では、少部数の作製はインクジェットプリンタを使用してなされるようになってきた。そのため、パンフレットあるいはチラシ用途に使用されている印刷用コート紙に近い概観のインクジェット記録シート、すなわち半光沢タイプのインクジェット記録シートの需要が増大している。半光沢タイプのインクジェット記録シートの支持体としては、いわゆる紙あるいは紙の少なくとも一方の面に顔料と結着剤からなる顔料層を設けたものが使われている。これら支持体は、支持体自体がインクを吸収するため、インク吸収性に関しては写真用原紙のような非吸水性支持体を用いた写真並画質のインクジェット記録シートより有利である。しかし、インク吸収性を支持体にあまりに依存してしまうとインクジェット記録シートに付着したインクは支持体内部に浸透してしまい印字画像の濃度は低いものとなってしまい、パンフレットあるいはチラシとして見栄えの悪いものとなってしまう。
【0010】
そこで、インク受理層自体に極力インクを止める工夫が必要となり、具体的には、インク受理層自体の塗層厚みを増したり、塗層の空隙率を高める必要がある。しかし、インク受理層の塗層厚みを増すとインク受理層表面に細かなひび割れが発生し、光沢が落ちると共に、インクのフェザリングといった滲みが発生するようになる。また、従来の手法で作製したインク受理層では、その塗層の空隙率はあまり上がらず、インク吸収性も塗層厚みの増加に見合うほど向上しない。
【0011】
一方、従来、支持体として非吸水性支持体の上に、ゼラチン、アミノ基不活性化ゼラチン、寒天等の可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを用い、このバインダーの水溶液が低温ではゲル状態となる機構を利用し、空隙率が高いインク受理層を設けたインクジェット記録シートが公知であるが、これら可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを利用したインク受理層塗布液のゲル化温度は30℃よりも低く、さらに低温での固化、いわゆるコールドセットを行った後、低温で時間をかけてインク受理層の乾燥を行わなければならず、仮に、塗布後高温で乾燥するとインク受理層が大きく割れたり、酷いときは剥がれたりしてしまう(例えば、特許文献1、2参照)。
【0012】
さらに、支持体を吸水性支持体とした場合には、インク受理層のひび割れはいっそう酷くなる。しかしながら、吸収性支持体を支持体とし、その上に空隙率が高く、かつひび割れなく光沢感をもったインク受理層を設けてインクジェット記録シートとする従来技術はない。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−64306号公報
【特許文献2】
特開2000−27093号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、吸水性支持体を用いたインクジェット記録シートに関して、インク受理層にひび割れの発生がなく、光沢度とインク吸収性のバランスがとれ、印字濃度が良好なインクジェット記録シート及びその製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以上のような問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の発明に至った。
【0016】
すなわち、吸水性支持体の少なくとも一方の面に平均1次粒子径が50nm以下の微粒子を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体がJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0017】
吸水性支持体の少なくとも一方の面に平均1次粒子径が50nm以下の微粒子を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を該顔料層上に塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0018】
該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0019】
該微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0020】
該微粒子がアルミナ水和物であることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0021】
ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、JIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法の発明である。
【0022】
ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、紙の少なくとも一方の面に顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙の該顔料層面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法の発明である。
【0023】
該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法の発明である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ゲル化温度とはインク受理層塗布液の液温が該ゲル化温度以下となったときに該インク受理層塗布液の粘度が急上昇しB型粘度60rpmで10000mPa・s以上(以下、この状態をゲル状態と称する)を示し、流動性を完全に失う温度と定義する。インク受理層塗布液にゲル化特性を付与する、すなわちゲル化温度を境に低温側でゲル状態とするには、架橋剤あるいはゲル化剤をインク受理層塗布液に添加すればよい。具体的には、該インク受理層塗布液を構成する水溶性バインダーにポリビニルアルコールを用いた場合にはホウ酸、または、メチルセルロースあるいはヒドロキシプロピル・メチルセルロース等を用いることができる。該架橋剤あるいは該ゲル化剤の添加量は特に制限されず、要求されるゲル化温度を実現するために最適な量を適宜加えることができる。
【0025】
第1の本発明のインクジェット記録シートは、吸水性支持体の少なくとも一方の面にゲル化温度が40℃以上のインク受理層塗布液を塗布し、乾燥してインク受理層を設けたものであるが、該吸水性支持体のJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2の紙であることに大きな特徴がある。
【0026】
本発明者は紙のコッブ法による30秒サイズ度に注目し、ひび割れの解消方法を鋭意検討してきた結果、該サイズ度を10〜30g/m2の範囲にすることで、ゲル化温度が40℃以上のインク受理層塗布液を塗布すれば、細かなひび割れがないインク受理層を塗設することができることを発見した。サイズ度が30g/m2を超えると明らかにインク受理層の細かなひび割れが発生し、酷いときは塗膜の大きな割れとなってしまう。一方、サイズ度が10g/m2より低いと、インクの吸収性が低下してしまう。
【0027】
本発明のインクジェット記録シートに係わる支持体としての紙のコッブ法による30秒サイズ度を10〜30g/m2とする手段は、特に制限されず、紙の密度、紙を構成するセルロースパルプの種類、叩解条件、填料の添加量、紙力増強剤等の接着剤の添加量、表面サイズの乾燥付着量、インク受理層の塗布量、インク受理層中の結着剤含有量、カレンダー条件等を挙げることができるが、これらに限定されない。特に、表面サイズの乾燥付着量で30秒サイズ度を調整するのが、容易に微調整がきき有効である。
【0028】
本発明に係わる支持体である紙は、特に制限されず、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の填料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙である。
【0029】
本発明に係わる支持体である紙に使用できる填料としては、従来公知のものが使用でき、何ら制限されない。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0030】
本発明に係わる支持体である紙に用いる表面サイズ剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。主成分としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、変性澱粉、澱粉誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸ソーダなどの天然高分子類、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、石油樹脂系、ロジンエステル系、スチレン・マレイン酸系共重合体、スチレン・アクリル共重合体系、スチレン・アクリルエマルジョン系共重合体、アクリル系共重合体系、アクリルエマルジョン系、オレフィン・マレイン酸樹脂系共重合体、ウレタン系、アルキルケテンダイマー、スチレン・メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル・ビニルホルマール・アクリル酸エステル共重合体、ロジン系などの表面サイズ剤が挙げられる。
【0031】
本発明に係わる支持体である紙への表面サイズ処理の方法は特に制限されず、従来公知な方法で塗布される。例えば、インクラインドサイズプレス、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、タブサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機である。また、サイズプレス液の固形分濃度は特に制限されず、目標とする乾燥付着量を達成するべく調整すればよい。
【0032】
さらに、本発明に係わる支持体である紙に用いる紙力増強剤も、なんら制限されず、例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、カチオン化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド(アニオン性、カチオン性、両性)、変性ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤、澱粉、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチロール化ポリアクリルアミド等の湿潤紙力増強剤を挙げることができる。
【0033】
第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層に含有する結着剤は、インク受理層塗布液のゲル化を阻害するものでなければ、特に制限されず、如何なるものを用いても構わない。例えば、天然高分子物質として、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、及びコーンスターチ等の澱粉類、ラミナラン、海藻マンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天、及びアルギン酸塩等の藻類から得られるもの、とろろあおい、やまいも、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、キャロブガム、及びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン、及びコラーゲン等のタンパク質等が挙げられる。
【0034】
また、半天然物(半合成品)としては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体、カルボキシメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシエチルグアーガム等の変性ガム、並びに前記天然高分子物質の加工或いは誘導体が挙げられる。
【0035】
半合成品である加工澱粉としては、例えば、白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリディシュガム等の培焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化澱粉等の酸分解澱粉、ジアルデヒドスターチ等の酸化澱粉、変性及び無変性アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、リン酸澱粉、脂肪酸澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉、及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カルボキシアルキル澱粉、スルホアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、及びジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリルアミド共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉スチレンマレイン酸共重合体、及び澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体等の澱粉グラフト共重合体等が挙げられる。
【0036】
合成品としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、及びポリビニルイソブチルエーテル等で変性した変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合物、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、及び塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上のバインダーは単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
【0037】
第1の本発明のインクジェット記録シートに係わるインク受理層に含有される結着剤の配合量は、該インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば特に制限されない。好ましくは、微粒子100質量部に対して2〜100質量部である。
【0038】
第1の本発明のインクジェット記録シートに係わるインク受理層に含有する微粒子は、その平均1次粒子径が50nm以下であれば特に制限されない。好ましくは2次粒子径が400nm以下の微粒子が用いられる。2次粒子径が400nm以下であれば印字の際のインク吸収性とインク受理層の光沢のバランスが非常によいものができる。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されている、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0039】
第2の本発明のインクジェット記録シートは、吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であることに特徴がある。該顔料層に含有する結着剤を水溶性接着剤とラテックス系接着剤を併用したものとすること、および、インク受理層塗布液のゲル化温度を40℃以上とすることにより、本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層表面の細かなひび割れを解消することができることが判明した。
【0040】
該顔料層に含有する顔料は、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、気相法シリカ、α,β,γ,δ−等のアルミニウム酸化物、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を一種類以上用いることができる。
【0041】
本発明で使用できる水溶性接着剤としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体、カゼイン、ゼラチン、変性ゼラチン、大豆蛋白等の天然高分子、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の水溶性合成高分子を用いることができる。
【0042】
本発明で使用できるラテックス系接着剤としては、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、アクリル酸共重合体、酢酸ビニル共重合体および塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上の結着剤は単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
【0043】
水溶性接着剤とラテックス系接着剤を合わせた結着剤の、顔料層中の含有量は、顔料100質量部に対して、2〜100質量部が好ましい。より好ましくは、5〜50質量部である。結着剤が2質量部より少なくなると、支持体との接着性が低下することがある。また、100質量部を超えるとインク吸収性が低下することがある。
【0044】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおいて、顔料層に含有する水溶性接着剤とラテックス系接着剤の比率は、該水溶性接着剤10質量部に対して、該ラテックス系接着剤は、5〜30質量部であることが好ましい。
【0045】
第2の本発明に係わる顔料塗工紙の支持体は、紙、不織布、布帛等特に制限されないが、好ましくは紙が用いられる。例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、およびケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、結着剤、およびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙、および塗工紙に、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。又、該支持体の坪量としては、通常40〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。
【0046】
第2の本発明の顔料層の塗工量としては、特に制限されないが、1〜40g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満では支持体の地合ムラがインク受理層まででてインク受理層の面質が悪くなることがあり、40g/m2を越えると顔料層の表面強度が低下することがある。
【0047】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおいて、顔料層に含有するラテックス系接着剤をゲル含有率が40〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスとすることで、印字部の光沢感が向上することが判明した。
【0048】
第2の本発明におけるゲル含有量の測定方法に関して詳しく説明する。本発明に係わるラテックス系接着剤のpHを8.0±0.1に調整し、5〜10gをポリエチレンシートに薄く広げ、85℃の乾燥機で4時間以上乾燥する。乾燥後の該接着剤をデシケーターで冷却した後、約10mm×10mmに切り取り、該ポリエチレンシートより剥がし、共栓付三角フラスコに0.23〜0.25gを精秤する(Aグラム)。さらに、該共栓付三角フラスコにトルエン100mlを加え48時間放置する。放置後、質量既知の300メッシュ金網(Bグラム)で濾過し、90℃の真空乾燥機で4時間以上乾燥する。乾燥後、金網に残った残渣ごとデシケーターで冷却し、重量(Cグラム)を測定し、ゲル含有量(%)=(C−B)/A×100よりゲル含有量を算出する。
【0049】
ゲル含有量が85%より高くなるとインク受理層のインク吸収性が低下する傾向が見られることがある。また、40%より低くなると、印字部の光沢感が若干低くなることがある。
【0050】
本発明で使用できるスチレン・ブタジエン系共重合体ラッテクスとしては、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体であれば特に制限されない。例えば、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル共重合体あるいはその変性物の共重合体ラテックスであり、これらを単独あるいは2種類以上のものを併用して用いることもできる。
【0051】
第2の本発明に係わるインク受理層は、第1の本発明に係わるインク受理層と同様に、少なくとも平均1次粒子径が50nm以下の微粒子と結着剤からなり、かつゲル化温度が40℃以上のインク受理層塗布液を塗設してなったインク受理層であればよい。
【0052】
第1および第2の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層には気相法シリカまたはコロイダルシリカが好ましく用いることができる。気相法シリカまたはコロイダルシリカを微粒子として使うことで、優れた光沢性を有し、なおかつ水性顔料インクの吸収性が良好なインクジェット記録シートとすることができる。
【0053】
一般にシリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法及び気相法がある。その中で、気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法であり、該気相法で製造された非晶質シリカを気相法シリカという。
【0054】
気相法シリカは、一般には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
【0055】
コロイダルシリカは湿式法で合成された1次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、その形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。各シリカ粒子の表面近傍には、いわゆる電気二重層が形成され、シリカ粒子同士は接近すると反発し合い安定なコロイド状態が保たれる。
【0056】
本発明で用いることができるコロイダルシリカとしては以下のようなものが市販されており入手することができる。例えば、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスS、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックス20L、スノーテックスOL、スノーテックスAK、スノーテックスXS、MA−ST、IPA−ST、EG−ST、DMAC−ST(以上、日産化学工業(株)製)、カタロイドS−20L、カタロイドS−20H、カタロイドS−30L、カタロイドS−30H、カタロイドSI−30、カタロイドSI−40、カタロイドSI−50、カタロイドSI−350、カタロイドSN、カタロイドSA、USB−1、USB−2、USB−3、OSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1622、OSCAL1722(以上、触媒化成工業(株)製)などを挙げることができる。
【0057】
第1および第2の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層にはアルミナ水和物を好ましく用いることができる。アルミナ水和物を用いることにより、より一層優れた光沢性を発現することができるインクジェット記録シートとすることができる。
【0058】
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
【0059】
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、インク受理層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となる。
【0060】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
【0061】
本発明のインクジェツト記録シートには、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、アルミナゾル520(以上、日産化学工業(株)製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル(株)製)などを挙げることができる。
【0062】
本発明において、インク受理層には、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0063】
第1および第2の本発明のインク受理層の塗工量としては、1〜40g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではインク受理層によるインク吸収性が充分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット性能に悪影響が生じることがある。また、40g/m2を越えるとインク受理層と支持体の間の接着強度が低下することがある。
【0064】
第1および第2の本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0065】
第3の本発明であるインクジェット記録シートの製造方法は、ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態でJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とする。塗布時の該インク受理層塗布液の液温を該ゲル化温度より20℃以上高くすると、作製された本発明のインクジェット記録シートのインク吸収性がより一層向上することが判明した。該液温を該ゲル化温度以下とした場合、該インク受理層塗布液はゲル状態となってしまうため塗布は困難となる。また、該液温を該ゲル化温度以上ゲル化温度より20℃を超えない範囲に保ち塗布すると、該液温を該ゲル化温度より20℃以上高く保ち塗布したものと比べインク吸収性の若干劣ったインクジェット記録シートとなることがある。
【0066】
第4の本発明であるインクジェット記録シートの製造方法は、ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、紙の少なくとも一方の面に顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙の顔料層面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とする。第4の本発明のインクジェット記録シートの製造方法でも、塗布時の該インク受理層塗布液の液温を該ゲル化温度より20℃以上高くすると、作製された本発明のインクジェット記録シートのインク吸収性がより一層向上することが判明した。該液温を該ゲル化温度以下とした場合、該インク受理層塗布液はゲル状態となってしまうため塗布は困難となる。また、該液温を該ゲル化温度以上ゲル化温度より20℃を超えない範囲に保ち塗布すると、該液温を該ゲル化温度より20℃以上高く保ち塗布したものと比べインク吸収性の若干劣ったインクジェット記録シートとなることがある。
【0067】
第4の本発明のインクジェット記録シートの製造方法では、該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることが、インクジェット記録シートの印字部の光沢感を向上させ好ましい。
【0068】
本発明において、塗布液温度をゲル化温度以上に保つことができれば、インク受理層塗布液の塗布方法は特に制限されず、任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0069】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分の数量である。なお、30秒サイズ度の測定は、JIS P8140の規定に基づいて行った。
【0070】
実施例1
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.1部(支持体全体に対しての0.095%)、乾燥紙力増強剤として変性ポリアクリルアミド(日本PMC(株) DS401)0.1部、硫酸バンド0.5部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量120g/m2で原紙を抄造し、乾燥した後、該原紙の両面に表面サイズ液として酸化澱粉(日本食品化工(株) MS3800)をインクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量15g/m2で塗布し乾燥して支持体を作製した。該支持体の30秒サイズ度は10g/m2であった。
【0071】
次に、水に下記配合を加えてなるインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。作製は全原料を60℃に加熱した状態で行い、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が60℃を保つように保持した。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が40℃となったところでゲル状態となったことより、該インク受理層塗布液のゲル化温度は40℃と判定される。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 2部
【0072】
次に、該支持体の表面に該インク受理層塗布液をドクターブレードで乾燥後の塗工量が35g/m2となるように塗布し、100℃で5分間乾燥して本発明のインクジェット記録シートを得た。塗布時のインク受理層塗布液の液温は、加温保持時の液温と同じであった。以下の実施例においても同様である。
【0073】
実施例2
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を10g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を20g/m2とした以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0074】
実施例3
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を8g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を30g/m2とした以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0075】
実施例4
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が70℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は70℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を90℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を90℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA110) 20部
ほう酸 1部
【0076】
実施例5
気相法シリカをコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0077】
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積及びBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
【0078】
実施例6
気相法シリカを合成したアルミナ水和物に変更した以外は実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0079】
実施例7
顔料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株) タマパールTP−123)100部、結着剤のうち水溶性接着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)5部、ラテックス系接着剤としてゲル含有量が36%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株)P9505)10部、湿潤剤としてアセチレングリコール(日信化学工業(株)サーフィノール465)0.2部を、水に加えて顔料層塗布液を固形分濃度35%で作製した。
【0080】
次に、濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉10部、硫酸バンド0.5部を水に加え、スラリーを調成後、長網抄紙機を用いて坪量80g/m2で抄造し、市販酸化澱粉をインクラインドサイズプレスで乾燥付着量5g/m2を付着させて乾燥して顔料塗工紙の支持体を得た。該支持体の一方の面に、作製した顔料層塗布液を乾燥後の塗工量が20g/m2となるようにワイヤーバーで塗布して、乾燥し、顔料塗工紙を作製した。
【0081】
次に、水に下記配合を加えてなるインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。作製は全原料を60℃に加熱した状態で行い、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が60℃を保つように保持した。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が40℃となったところでゲル状態となったことより、該インク受理層塗布液のゲル化温度は40℃と判定される。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 2部
【0082】
次に、該顔料塗工紙の顔料層上に該インク受理層塗布液をドクターブレードで乾燥後の塗工量が35g/m2となるように塗布し、100℃で5分間乾燥して本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0083】
実施例8
軽質炭酸カルシウムを合成非晶質シリカ(水澤化学工業(株) ミズカシルP78D)に変更した以外は実施例7と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、顔料層塗布液の固形分濃度は17%であった。
【0084】
実施例9
ラテックス系接着剤をゲル含有量が40%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) P9222)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0085】
実施例10
ラテックス系接着剤をゲル含有量が80%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) SNX4205)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0086】
実施例11
ラテックス系接着剤をゲル含有量が85%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) SN335)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0087】
実施例12
ラテックス系接着剤をゲル含有量が89%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) PA1317)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0088】
実施例13
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が70℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は70℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を90℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を90℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA110) 20部
ほう酸 1部
【0089】
実施例14
気相法シリカをコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL、平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0090】
実施例15
気相法シリカを合成したアルミナ水和物に変更した以外は実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0091】
比較例1
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を18g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を8g/m2とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0092】
比較例2
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を4g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を34g/m2とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0093】
比較例3
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が30℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は30℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を50℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を50℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 0.5部
【0094】
比較例4
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を8g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を20g/m2とした以外は比較例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0095】
比較例5
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が30℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は30℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を50℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を50℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
酸処理ゼラチン 20部
【0096】
比較例6
顔料として合成非晶質シリカ(水澤化学工業(株) ミズカシルP78D)100部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)20部、湿潤剤としてアセチレングリコール(日信化学工業(株)サーフィノール465)0.2部を、水に加えて顔料層塗布液を固形分濃度17%で作製した。顔料層塗布液を上記顔料塗布液とした以外は実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0097】
比較例7
結着剤を、ゲル含有量が36%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) P9505)に変更した以外は比較例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0098】
比較例8
結着剤を、ゲル含有量が80%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) SNX4205)に変更した以外は比較例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0099】
比較例9
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例10と同様にしてインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が30℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は30℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を50℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を50℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 0.5部
【0100】
〈試験方法〉
ひび割れ具合
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートのインク受理層面を目視で観察して、ひび割れの発生具合を観察した。インク受理層表面にひび割れが全く観察されないものをひび割れ具合が優、細かなひび割れが僅かに観察されるものをひび割れ具合が並、多数の細かなひび割れや大きなインク受理層の裂けが観察されるものはひび割れ具合が劣と判定した。
【0101】
インク吸収性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)を使い、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクで重色の矩形パターンを印字した。重ねるインク量が各色全て100%の時を300%とし、全90%の時を270%とし、全て60%の時を180%として矩形パターンを作成して印字した。この印字パターンと未印字部分の境界部分を下記の基準に従って、目視にて評価した。
優:300%印字でアフレが認められない。
並:270%印字でアフレが認められない。
劣:180%印字でアフレが認められる。
【0102】
印字部光沢性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)でブラックの矩形パターンを印字した。この印字パターンを目視観察した。際だって光沢性のあるものを印字部光沢性が優とし、十分な光沢性のものを印字部光沢性が並とし、光沢感が劣るものを印字部光沢性が劣とした。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
実施例16
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を65℃に保持したこと以外は実施例2と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は25℃である。
【0106】
実施例17
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を55℃に保持したこと以外は実施例2と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は15℃である。
【0107】
実施例18
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を65℃に保持したこと以外は実施例10と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は25℃である。
【0108】
実施例19
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を55℃に保持したこと以外は実施例10と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は15℃である。
【0109】
〈試験方法〉
水性顔料インク発色性
実施例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株) PM−4000PX 水性顔料インク使用)でシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の100%ベタ印字を行った後、各色の光学濃度(OD値)を光学濃度計(Gretag Machbeth AG SpectroEye)で測定した。数値が高い方が印字濃度は高く良好である
【0110】
【表3】
【0111】
評価:
表1、2より明らかなように、第1の本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層に微細なひび割れが発生せず、さらに、良好なインク吸収性を示していることが判る。さらに、第2の本発明のインクジェット記録シートは、印字部の光沢性も向上している。一方、比較例のインクジェット記録シートではインク受理層の微細なひび割れを解消することができない。
【0112】
また、表3より明らかなように、第3、および第4の本発明のインクジェット記録シートの製造方法を用いることで水性顔料インクに対するインク吸収性も向上している。一方、液温とゲル化温度の差が20℃より低い実施例17,19では、液温とゲル化温度の差が20℃以上の実施例2、16、10、18より発色性が低くなっている。
【0113】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層にひび割れの発生がなく、光沢度とインク吸収性のバランスがとれ、印字濃度が良好であり、さらに、本発明のインクジェット記録シートの製造方法を用いると、水性顔料インクでの発色性が良好となり、有効である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シート及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは塗膜表面の微細なひび割れがなく、光沢性とインク吸収性に優れたインクジェット記録シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。さらに、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
記録材料に要求される特性は、印字濃度、色調の鮮明性、ハジキやムラをなくすためのインク吸収性、汚れをなくすためのインク乾燥性等である。
【0004】
インクジェット記録方式に使用される記録シートとして、通常の紙やインクジェット記録用紙と称される支持体上に非晶質シリカ等の顔料をポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質のインク受理層を設けてなる記録シートが知られている。
【0005】
従来は、シリカ等の含珪素顔料を水溶性バインダーと共に紙を代表とする吸水性支持体に塗布して得られる記録シートが公知である。
【0006】
また、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いることが一般に公知となっている。この気相法シリカは、1次粒子の平均粒子径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の非吸水性支持体上に気相法シリカを主体とするインク受理層が塗設された記録シートが提案されている。
【0007】
また、アルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料も高い光沢が得られることが公知となっている。
【0008】
インクジェット記録シートを分類すると、支持体としては、紙、布帛等の吸水性支持体、樹脂被覆紙、合成樹脂フィルム等の非吸水性支持体に大別される。また、外観的には、光沢タイプとマットタイプに大別される。近年のデジタルカメラの普及により、従来写真店に依頼していたプリント処理を家庭でインクジェットプリンタを使って印字処理し、作製するようになってきた。そのため、より写真に近い光沢タイプのインクジェット記録シートが好まれて使われ、その使用量も増え続けている。
【0009】
しかし、パンフレットとかチラシといった写真並の画質までは要求しないが、全く光沢がなくても見栄えがしないといった商業印刷レベルの需要が増えている。従来は印刷方式により、これらパンフレットやチラシを作製していたが、印刷方式では少部数の作製にはコスト高となってしまい、最近では、少部数の作製はインクジェットプリンタを使用してなされるようになってきた。そのため、パンフレットあるいはチラシ用途に使用されている印刷用コート紙に近い概観のインクジェット記録シート、すなわち半光沢タイプのインクジェット記録シートの需要が増大している。半光沢タイプのインクジェット記録シートの支持体としては、いわゆる紙あるいは紙の少なくとも一方の面に顔料と結着剤からなる顔料層を設けたものが使われている。これら支持体は、支持体自体がインクを吸収するため、インク吸収性に関しては写真用原紙のような非吸水性支持体を用いた写真並画質のインクジェット記録シートより有利である。しかし、インク吸収性を支持体にあまりに依存してしまうとインクジェット記録シートに付着したインクは支持体内部に浸透してしまい印字画像の濃度は低いものとなってしまい、パンフレットあるいはチラシとして見栄えの悪いものとなってしまう。
【0010】
そこで、インク受理層自体に極力インクを止める工夫が必要となり、具体的には、インク受理層自体の塗層厚みを増したり、塗層の空隙率を高める必要がある。しかし、インク受理層の塗層厚みを増すとインク受理層表面に細かなひび割れが発生し、光沢が落ちると共に、インクのフェザリングといった滲みが発生するようになる。また、従来の手法で作製したインク受理層では、その塗層の空隙率はあまり上がらず、インク吸収性も塗層厚みの増加に見合うほど向上しない。
【0011】
一方、従来、支持体として非吸水性支持体の上に、ゼラチン、アミノ基不活性化ゼラチン、寒天等の可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを用い、このバインダーの水溶液が低温ではゲル状態となる機構を利用し、空隙率が高いインク受理層を設けたインクジェット記録シートが公知であるが、これら可逆的にゾルゲル変換可能なバインダーを利用したインク受理層塗布液のゲル化温度は30℃よりも低く、さらに低温での固化、いわゆるコールドセットを行った後、低温で時間をかけてインク受理層の乾燥を行わなければならず、仮に、塗布後高温で乾燥するとインク受理層が大きく割れたり、酷いときは剥がれたりしてしまう(例えば、特許文献1、2参照)。
【0012】
さらに、支持体を吸水性支持体とした場合には、インク受理層のひび割れはいっそう酷くなる。しかしながら、吸収性支持体を支持体とし、その上に空隙率が高く、かつひび割れなく光沢感をもったインク受理層を設けてインクジェット記録シートとする従来技術はない。
【0013】
【特許文献1】
特開平6−64306号公報
【特許文献2】
特開2000−27093号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、吸水性支持体を用いたインクジェット記録シートに関して、インク受理層にひび割れの発生がなく、光沢度とインク吸収性のバランスがとれ、印字濃度が良好なインクジェット記録シート及びその製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、以上のような問題点を解決するため鋭意研究の結果、以下の発明に至った。
【0016】
すなわち、吸水性支持体の少なくとも一方の面に平均1次粒子径が50nm以下の微粒子を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体がJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0017】
吸水性支持体の少なくとも一方の面に平均1次粒子径が50nm以下の微粒子を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を該顔料層上に塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0018】
該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0019】
該微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0020】
該微粒子がアルミナ水和物であることを特徴とするインクジェット記録シートの発明である。
【0021】
ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、JIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法の発明である。
【0022】
ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、紙の少なくとも一方の面に顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙の該顔料層面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法の発明である。
【0023】
該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法の発明である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ゲル化温度とはインク受理層塗布液の液温が該ゲル化温度以下となったときに該インク受理層塗布液の粘度が急上昇しB型粘度60rpmで10000mPa・s以上(以下、この状態をゲル状態と称する)を示し、流動性を完全に失う温度と定義する。インク受理層塗布液にゲル化特性を付与する、すなわちゲル化温度を境に低温側でゲル状態とするには、架橋剤あるいはゲル化剤をインク受理層塗布液に添加すればよい。具体的には、該インク受理層塗布液を構成する水溶性バインダーにポリビニルアルコールを用いた場合にはホウ酸、または、メチルセルロースあるいはヒドロキシプロピル・メチルセルロース等を用いることができる。該架橋剤あるいは該ゲル化剤の添加量は特に制限されず、要求されるゲル化温度を実現するために最適な量を適宜加えることができる。
【0025】
第1の本発明のインクジェット記録シートは、吸水性支持体の少なくとも一方の面にゲル化温度が40℃以上のインク受理層塗布液を塗布し、乾燥してインク受理層を設けたものであるが、該吸水性支持体のJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2の紙であることに大きな特徴がある。
【0026】
本発明者は紙のコッブ法による30秒サイズ度に注目し、ひび割れの解消方法を鋭意検討してきた結果、該サイズ度を10〜30g/m2の範囲にすることで、ゲル化温度が40℃以上のインク受理層塗布液を塗布すれば、細かなひび割れがないインク受理層を塗設することができることを発見した。サイズ度が30g/m2を超えると明らかにインク受理層の細かなひび割れが発生し、酷いときは塗膜の大きな割れとなってしまう。一方、サイズ度が10g/m2より低いと、インクの吸収性が低下してしまう。
【0027】
本発明のインクジェット記録シートに係わる支持体としての紙のコッブ法による30秒サイズ度を10〜30g/m2とする手段は、特に制限されず、紙の密度、紙を構成するセルロースパルプの種類、叩解条件、填料の添加量、紙力増強剤等の接着剤の添加量、表面サイズの乾燥付着量、インク受理層の塗布量、インク受理層中の結着剤含有量、カレンダー条件等を挙げることができるが、これらに限定されない。特に、表面サイズの乾燥付着量で30秒サイズ度を調整するのが、容易に微調整がきき有効である。
【0028】
本発明に係わる支持体である紙は、特に制限されず、例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ、と従来公知の填料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙である。
【0029】
本発明に係わる支持体である紙に使用できる填料としては、従来公知のものが使用でき、何ら制限されない。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムのような白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂のような有機顔料などが挙げられる。
【0030】
本発明に係わる支持体である紙に用いる表面サイズ剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。主成分としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、変性澱粉、澱粉誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸ソーダなどの天然高分子類、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、石油樹脂系、ロジンエステル系、スチレン・マレイン酸系共重合体、スチレン・アクリル共重合体系、スチレン・アクリルエマルジョン系共重合体、アクリル系共重合体系、アクリルエマルジョン系、オレフィン・マレイン酸樹脂系共重合体、ウレタン系、アルキルケテンダイマー、スチレン・メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル・ビニルホルマール・アクリル酸エステル共重合体、ロジン系などの表面サイズ剤が挙げられる。
【0031】
本発明に係わる支持体である紙への表面サイズ処理の方法は特に制限されず、従来公知な方法で塗布される。例えば、インクラインドサイズプレス、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、フィルムトランスファーサイズプレス、タブサイズプレスの他、ブレードコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーターなど各種塗工機である。また、サイズプレス液の固形分濃度は特に制限されず、目標とする乾燥付着量を達成するべく調整すればよい。
【0032】
さらに、本発明に係わる支持体である紙に用いる紙力増強剤も、なんら制限されず、例えば、澱粉、酸化澱粉、カルボキシメチル化澱粉、カチオン化澱粉、植物ガム、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド(アニオン性、カチオン性、両性)、変性ポリアクリルアミド等の乾燥紙力増強剤、澱粉、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチロール化ポリアクリルアミド等の湿潤紙力増強剤を挙げることができる。
【0033】
第1の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層に含有する結着剤は、インク受理層塗布液のゲル化を阻害するものでなければ、特に制限されず、如何なるものを用いても構わない。例えば、天然高分子物質として、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、及びコーンスターチ等の澱粉類、ラミナラン、海藻マンナン、ふのり、アイリッシュモス、寒天、及びアルギン酸塩等の藻類から得られるもの、とろろあおい、やまいも、マンナン、クインスシード、ペクチン、トラガントガム、カラヤガム、キサンチンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、アラビアガム、キャロブガム、及びベンゾインガム等の植物性粘質物、デキストラン、グルカン、キサンタンガム、及びレバン等のホモ多糖類、並びにサクシノグルカン、プルラン、カードラン、及びザンタンガム等のヘテロ糖類等の微生物粘質物、にかわ、ゼラチン、カゼイン、及びコラーゲン等のタンパク質等が挙げられる。
【0034】
また、半天然物(半合成品)としては、例えば、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の繊維素誘導体、カルボキシメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、及びヒドロキシエチルグアーガム等の変性ガム、並びに前記天然高分子物質の加工或いは誘導体が挙げられる。
【0035】
半合成品である加工澱粉としては、例えば、白色デキストリン、黄色デキストリン、及びブリディシュガム等の培焼澱粉、酵素デキストリン及びシャーディンガーデキストリン等の酵素変性デキストリン、可溶化澱粉等の酸分解澱粉、ジアルデヒドスターチ等の酸化澱粉、変性及び無変性アルファー化澱粉等のアルファー化澱粉、リン酸澱粉、脂肪酸澱粉、硫酸澱粉、硝酸澱粉、キサントゲン酸澱粉、及びカルバミン酸澱粉等のエステル化澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉、カルボキシアルキル澱粉、スルホアルキル澱粉、シアノエチル澱粉、アリル澱粉、ベンジル澱粉、カルバミルエチル澱粉、及びジアルキルアミノ澱粉等のエーテル化澱粉、メチロール架橋澱粉、ヒドロキシアルキル架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びジカルボン酸架橋澱粉等の架橋澱粉、澱粉ポリアクリルアミド共重合体、澱粉ポリアクリロニトリル共重合体、カチオン性澱粉ポリアクリル酸エステル共重合体、カチオン性澱粉ビニルポリマー共重合体、澱粉スチレンマレイン酸共重合体、及び澱粉ポリエチレンオキサイド共重合体等の澱粉グラフト共重合体等が挙げられる。
【0036】
合成品としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アリル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、及びポリビニルイソブチルエーテル等で変性した変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸エステル部分けん化物、ポリメタクリル酸塩、及びポリアクリルアマイド等のポリアクリル酸誘導体及びポリメタクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン酢酸ビニル共重合物、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、及び塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上のバインダーは単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
【0037】
第1の本発明のインクジェット記録シートに係わるインク受理層に含有される結着剤の配合量は、該インク受理層のインク吸収性を阻害しない範囲であれば特に制限されない。好ましくは、微粒子100質量部に対して2〜100質量部である。
【0038】
第1の本発明のインクジェット記録シートに係わるインク受理層に含有する微粒子は、その平均1次粒子径が50nm以下であれば特に制限されない。好ましくは2次粒子径が400nm以下の微粒子が用いられる。2次粒子径が400nm以下であれば印字の際のインク吸収性とインク受理層の光沢のバランスが非常によいものができる。例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されている、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0039】
第2の本発明のインクジェット記録シートは、吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であることに特徴がある。該顔料層に含有する結着剤を水溶性接着剤とラテックス系接着剤を併用したものとすること、および、インク受理層塗布液のゲル化温度を40℃以上とすることにより、本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層表面の細かなひび割れを解消することができることが判明した。
【0040】
該顔料層に含有する顔料は、特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、チサンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、気相法シリカ、α,β,γ,δ−等のアルミニウム酸化物、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリスチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂の有機顔料等の白色顔料を一種類以上用いることができる。
【0041】
本発明で使用できる水溶性接着剤としては、例えば、澱粉、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、各種鹸化度のポリビニルアルコール又はそのシラノール変性物、カルボキシル化物、カチオン化物等の各種誘導体、カゼイン、ゼラチン、変性ゼラチン、大豆蛋白等の天然高分子、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等の水溶性合成高分子を用いることができる。
【0042】
本発明で使用できるラテックス系接着剤としては、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ニトリルブタジエン共重合体(NBR)、スチレンアクリル酸エステル共重合体、スチレンマレイン酸共重合体、スチレンクロトン酸共重合体、アクリル酸共重合体、酢酸ビニル共重合体および塩化ビニル含有共重合体等が挙げられる。以上の結着剤は単独または二種以上を組合わせて用いても良い。
【0043】
水溶性接着剤とラテックス系接着剤を合わせた結着剤の、顔料層中の含有量は、顔料100質量部に対して、2〜100質量部が好ましい。より好ましくは、5〜50質量部である。結着剤が2質量部より少なくなると、支持体との接着性が低下することがある。また、100質量部を超えるとインク吸収性が低下することがある。
【0044】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおいて、顔料層に含有する水溶性接着剤とラテックス系接着剤の比率は、該水溶性接着剤10質量部に対して、該ラテックス系接着剤は、5〜30質量部であることが好ましい。
【0045】
第2の本発明に係わる顔料塗工紙の支持体は、紙、不織布、布帛等特に制限されないが、好ましくは紙が用いられる。例えば、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ、およびケナフ、バガス、竹、コットン等の非木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、結着剤、およびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等でのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙、および塗工紙に、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を使用しても良い。又、該支持体の坪量としては、通常40〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。
【0046】
第2の本発明の顔料層の塗工量としては、特に制限されないが、1〜40g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満では支持体の地合ムラがインク受理層まででてインク受理層の面質が悪くなることがあり、40g/m2を越えると顔料層の表面強度が低下することがある。
【0047】
第2の本発明のインクジェット記録シートにおいて、顔料層に含有するラテックス系接着剤をゲル含有率が40〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスとすることで、印字部の光沢感が向上することが判明した。
【0048】
第2の本発明におけるゲル含有量の測定方法に関して詳しく説明する。本発明に係わるラテックス系接着剤のpHを8.0±0.1に調整し、5〜10gをポリエチレンシートに薄く広げ、85℃の乾燥機で4時間以上乾燥する。乾燥後の該接着剤をデシケーターで冷却した後、約10mm×10mmに切り取り、該ポリエチレンシートより剥がし、共栓付三角フラスコに0.23〜0.25gを精秤する(Aグラム)。さらに、該共栓付三角フラスコにトルエン100mlを加え48時間放置する。放置後、質量既知の300メッシュ金網(Bグラム)で濾過し、90℃の真空乾燥機で4時間以上乾燥する。乾燥後、金網に残った残渣ごとデシケーターで冷却し、重量(Cグラム)を測定し、ゲル含有量(%)=(C−B)/A×100よりゲル含有量を算出する。
【0049】
ゲル含有量が85%より高くなるとインク受理層のインク吸収性が低下する傾向が見られることがある。また、40%より低くなると、印字部の光沢感が若干低くなることがある。
【0050】
本発明で使用できるスチレン・ブタジエン系共重合体ラッテクスとしては、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体であれば特に制限されない。例えば、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル共重合体あるいはその変性物の共重合体ラテックスであり、これらを単独あるいは2種類以上のものを併用して用いることもできる。
【0051】
第2の本発明に係わるインク受理層は、第1の本発明に係わるインク受理層と同様に、少なくとも平均1次粒子径が50nm以下の微粒子と結着剤からなり、かつゲル化温度が40℃以上のインク受理層塗布液を塗設してなったインク受理層であればよい。
【0052】
第1および第2の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層には気相法シリカまたはコロイダルシリカが好ましく用いることができる。気相法シリカまたはコロイダルシリカを微粒子として使うことで、優れた光沢性を有し、なおかつ水性顔料インクの吸収性が良好なインクジェット記録シートとすることができる。
【0053】
一般にシリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶質シリカがある。非晶質シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法及び気相法がある。その中で、気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法であり、該気相法で製造された非晶質シリカを気相法シリカという。
【0054】
気相法シリカは、一般には火炎加水分解法によって作られる。具体的には、四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化珪素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、例えば、日本アエロジル(株)からアエロジルとして市販されており入手することができる。
【0055】
コロイダルシリカは湿式法で合成された1次粒子径が数nm〜100nm程度の合成シリカであり、その形状は、一般的に球状または球状に近い形状をしている。各シリカ粒子の表面近傍には、いわゆる電気二重層が形成され、シリカ粒子同士は接近すると反発し合い安定なコロイド状態が保たれる。
【0056】
本発明で用いることができるコロイダルシリカとしては以下のようなものが市販されており入手することができる。例えば、スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスS、スノーテックスO、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックス20L、スノーテックスOL、スノーテックスAK、スノーテックスXS、MA−ST、IPA−ST、EG−ST、DMAC−ST(以上、日産化学工業(株)製)、カタロイドS−20L、カタロイドS−20H、カタロイドS−30L、カタロイドS−30H、カタロイドSI−30、カタロイドSI−40、カタロイドSI−50、カタロイドSI−350、カタロイドSN、カタロイドSA、USB−1、USB−2、USB−3、OSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1622、OSCAL1722(以上、触媒化成工業(株)製)などを挙げることができる。
【0057】
第1および第2の本発明のインクジェット記録シートのインク受理層にはアルミナ水和物を好ましく用いることができる。アルミナ水和物を用いることにより、より一層優れた光沢性を発現することができるインクジェット記録シートとすることができる。
【0058】
アルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
【0059】
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、インク受理層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となる。
【0060】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
【0061】
本発明のインクジェツト記録シートには、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アルミナ水和物としては、アルミナゾル520(以上、日産化学工業(株)製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル(株)製)などを挙げることができる。
【0062】
本発明において、インク受理層には、着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤、界面活性剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
【0063】
第1および第2の本発明のインク受理層の塗工量としては、1〜40g/m2の範囲であることが好ましい。塗工量が1g/m2未満ではインク受理層によるインク吸収性が充分ではないため、吸収ムラ等が発生し、インクジェット性能に悪影響が生じることがある。また、40g/m2を越えるとインク受理層と支持体の間の接着強度が低下することがある。
【0064】
第1および第2の本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0065】
第3の本発明であるインクジェット記録シートの製造方法は、ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態でJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とする。塗布時の該インク受理層塗布液の液温を該ゲル化温度より20℃以上高くすると、作製された本発明のインクジェット記録シートのインク吸収性がより一層向上することが判明した。該液温を該ゲル化温度以下とした場合、該インク受理層塗布液はゲル状態となってしまうため塗布は困難となる。また、該液温を該ゲル化温度以上ゲル化温度より20℃を超えない範囲に保ち塗布すると、該液温を該ゲル化温度より20℃以上高く保ち塗布したものと比べインク吸収性の若干劣ったインクジェット記録シートとなることがある。
【0066】
第4の本発明であるインクジェット記録シートの製造方法は、ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、紙の少なくとも一方の面に顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙の顔料層面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とする。第4の本発明のインクジェット記録シートの製造方法でも、塗布時の該インク受理層塗布液の液温を該ゲル化温度より20℃以上高くすると、作製された本発明のインクジェット記録シートのインク吸収性がより一層向上することが判明した。該液温を該ゲル化温度以下とした場合、該インク受理層塗布液はゲル状態となってしまうため塗布は困難となる。また、該液温を該ゲル化温度以上ゲル化温度より20℃を超えない範囲に保ち塗布すると、該液温を該ゲル化温度より20℃以上高く保ち塗布したものと比べインク吸収性の若干劣ったインクジェット記録シートとなることがある。
【0067】
第4の本発明のインクジェット記録シートの製造方法では、該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることが、インクジェット記録シートの印字部の光沢感を向上させ好ましい。
【0068】
本発明において、塗布液温度をゲル化温度以上に保つことができれば、インク受理層塗布液の塗布方法は特に制限されず、任意の方法が用いられ、例えばスライドリップ方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
【0069】
【実施例】
以下に、本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例、及び比較例において「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。なお、配合において示す部数は実質成分の数量である。なお、30秒サイズ度の測定は、JIS P8140の規定に基づいて行った。
【0070】
実施例1
広葉樹パルプ(LBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で320mlの叩解LBKPを得た。針葉樹パルプ(NBKP)をダブルディスクリファイナーで叩解し、カナダ標準ろ水度で350mlの叩解NBKPを得た。叩解LBKP70部と叩解NBKP30部からなる木材パルプ100部に、填料として軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーサイズ剤(荒川化学工業(株) サイズパインK903)0.1部(支持体全体に対しての0.095%)、乾燥紙力増強剤として変性ポリアクリルアミド(日本PMC(株) DS401)0.1部、硫酸バンド0.5部を加え、スラリーを調整後、長網抄紙機を用いて坪量120g/m2で原紙を抄造し、乾燥した後、該原紙の両面に表面サイズ液として酸化澱粉(日本食品化工(株) MS3800)をインクラインドサイズプレスで乾燥片面付着量15g/m2で塗布し乾燥して支持体を作製した。該支持体の30秒サイズ度は10g/m2であった。
【0071】
次に、水に下記配合を加えてなるインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。作製は全原料を60℃に加熱した状態で行い、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が60℃を保つように保持した。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が40℃となったところでゲル状態となったことより、該インク受理層塗布液のゲル化温度は40℃と判定される。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 2部
【0072】
次に、該支持体の表面に該インク受理層塗布液をドクターブレードで乾燥後の塗工量が35g/m2となるように塗布し、100℃で5分間乾燥して本発明のインクジェット記録シートを得た。塗布時のインク受理層塗布液の液温は、加温保持時の液温と同じであった。以下の実施例においても同様である。
【0073】
実施例2
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を10g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を20g/m2とした以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0074】
実施例3
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を8g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を30g/m2とした以外は実施例1と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0075】
実施例4
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が70℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は70℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を90℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を90℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA110) 20部
ほう酸 1部
【0076】
実施例5
気相法シリカをコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0077】
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75℃で24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、硝酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15質量%になるように濃縮し、白色の微粒子状アルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒子径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状の微粒子状アルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積及びBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
【0078】
実施例6
気相法シリカを合成したアルミナ水和物に変更した以外は実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0079】
実施例7
顔料として軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業(株) タマパールTP−123)100部、結着剤のうち水溶性接着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)5部、ラテックス系接着剤としてゲル含有量が36%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株)P9505)10部、湿潤剤としてアセチレングリコール(日信化学工業(株)サーフィノール465)0.2部を、水に加えて顔料層塗布液を固形分濃度35%で作製した。
【0080】
次に、濾水度450mlCSFのLBKP70部、濾水度450mlCSFのNBKP30部から成る木材パルプ100部に、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が30/35/35の顔料5部、市販アルキルケテンダイマー0.1部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉10部、硫酸バンド0.5部を水に加え、スラリーを調成後、長網抄紙機を用いて坪量80g/m2で抄造し、市販酸化澱粉をインクラインドサイズプレスで乾燥付着量5g/m2を付着させて乾燥して顔料塗工紙の支持体を得た。該支持体の一方の面に、作製した顔料層塗布液を乾燥後の塗工量が20g/m2となるようにワイヤーバーで塗布して、乾燥し、顔料塗工紙を作製した。
【0081】
次に、水に下記配合を加えてなるインク受理層塗布液(固形分濃度17%)を作製した。作製は全原料を60℃に加熱した状態で行い、さらに作製した該インク受理層塗布液を塗布される直前までウォーターバス中に液温が60℃を保つように保持した。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が40℃となったところでゲル状態となったことより、該インク受理層塗布液のゲル化温度は40℃と判定される。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 2部
【0082】
次に、該顔料塗工紙の顔料層上に該インク受理層塗布液をドクターブレードで乾燥後の塗工量が35g/m2となるように塗布し、100℃で5分間乾燥して本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0083】
実施例8
軽質炭酸カルシウムを合成非晶質シリカ(水澤化学工業(株) ミズカシルP78D)に変更した以外は実施例7と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、顔料層塗布液の固形分濃度は17%であった。
【0084】
実施例9
ラテックス系接着剤をゲル含有量が40%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) P9222)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0085】
実施例10
ラテックス系接着剤をゲル含有量が80%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) SNX4205)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0086】
実施例11
ラテックス系接着剤をゲル含有量が85%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) SN335)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0087】
実施例12
ラテックス系接着剤をゲル含有量が89%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) PA1317)に変更した以外は実施例8と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。
【0088】
実施例13
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が70℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は70℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を90℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を90℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA110) 20部
ほう酸 1部
【0089】
実施例14
気相法シリカをコロイダルシリカ(日産化学工業(株) スノーテックスOL、平均1次粒子径45nm)に変更した以外は実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0090】
実施例15
気相法シリカを合成したアルミナ水和物に変更した以外は実施例10と同様にして本発明のインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0091】
比較例1
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を18g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を8g/m2とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0092】
比較例2
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を4g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を34g/m2とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。なお、作製したインク受理層塗布液のゲル化温度は40℃であった。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
【0093】
比較例3
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が30℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は30℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を50℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を50℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 0.5部
【0094】
比較例4
支持体の表面サイズの乾燥片面付着量を8g/m2とし、支持体の30秒サイズ度を20g/m2とした以外は比較例3と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0095】
比較例5
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が30℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は30℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を50℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を50℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
酸処理ゼラチン 20部
【0096】
比較例6
顔料として合成非晶質シリカ(水澤化学工業(株) ミズカシルP78D)100部、結着剤としてポリビニルアルコール((株)クラレ PVA117)20部、湿潤剤としてアセチレングリコール(日信化学工業(株)サーフィノール465)0.2部を、水に加えて顔料層塗布液を固形分濃度17%で作製した。顔料層塗布液を上記顔料塗布液とした以外は実施例7と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0097】
比較例7
結着剤を、ゲル含有量が36%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) P9505)に変更した以外は比較例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0098】
比較例8
結着剤を、ゲル含有量が80%のスチレン・ブタジエン・アクリル共重合体ラテックス(日本エイアンドエル(株) SNX4205)に変更した以外は比較例6と同様にしてインクジェット記録シートを得た。
【0099】
比較例9
下記配合にてインク受理層塗布液を作製した以外は実施例10と同様にしてインクジェット記録シートを得た。また、作製した該インク受理層塗布液の一部を採取し、冷却したところ液温が30℃となったところでゲル状態となったため、該インク受理層塗布液のゲル化温度は30℃である。なお、該インク受理層塗布液の作製は全原料を50℃に保持した状態で行い、さらに、該インク受理層塗布液は塗布される直前まで液温を50℃に保持した。ゲル化温度と液温の差は20℃である。
気相法シリカ
(日本アエロジル(株) アエロジル380 平均1次粒子径7nm)100部
ポリビニルアルコール ((株)クラレ PVA105H) 20部
ほう酸 0.5部
【0100】
〈試験方法〉
ひび割れ具合
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートのインク受理層面を目視で観察して、ひび割れの発生具合を観察した。インク受理層表面にひび割れが全く観察されないものをひび割れ具合が優、細かなひび割れが僅かに観察されるものをひび割れ具合が並、多数の細かなひび割れや大きなインク受理層の裂けが観察されるものはひび割れ具合が劣と判定した。
【0101】
インク吸収性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)を使い、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクで重色の矩形パターンを印字した。重ねるインク量が各色全て100%の時を300%とし、全90%の時を270%とし、全て60%の時を180%として矩形パターンを作成して印字した。この印字パターンと未印字部分の境界部分を下記の基準に従って、目視にて評価した。
優:300%印字でアフレが認められない。
並:270%印字でアフレが認められない。
劣:180%印字でアフレが認められる。
【0102】
印字部光沢性
実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンタ(キヤノン(株) BJC−420J)でブラックの矩形パターンを印字した。この印字パターンを目視観察した。際だって光沢性のあるものを印字部光沢性が優とし、十分な光沢性のものを印字部光沢性が並とし、光沢感が劣るものを印字部光沢性が劣とした。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
実施例16
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を65℃に保持したこと以外は実施例2と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は25℃である。
【0106】
実施例17
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を55℃に保持したこと以外は実施例2と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は15℃である。
【0107】
実施例18
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を65℃に保持したこと以外は実施例10と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は25℃である。
【0108】
実施例19
該インク受理層塗布液が塗布される直前まで液温を55℃に保持したこと以外は実施例10と同様にして本発明の製造方法にて本発明のインクジェット記録シートを作製した。ゲル化温度と液温の差は15℃である。
【0109】
〈試験方法〉
水性顔料インク発色性
実施例で作製したインクジェット記録シートにインクジェットプリンター(セイコーエプソン(株) PM−4000PX 水性顔料インク使用)でシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK)の100%ベタ印字を行った後、各色の光学濃度(OD値)を光学濃度計(Gretag Machbeth AG SpectroEye)で測定した。数値が高い方が印字濃度は高く良好である
【0110】
【表3】
【0111】
評価:
表1、2より明らかなように、第1の本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層に微細なひび割れが発生せず、さらに、良好なインク吸収性を示していることが判る。さらに、第2の本発明のインクジェット記録シートは、印字部の光沢性も向上している。一方、比較例のインクジェット記録シートではインク受理層の微細なひび割れを解消することができない。
【0112】
また、表3より明らかなように、第3、および第4の本発明のインクジェット記録シートの製造方法を用いることで水性顔料インクに対するインク吸収性も向上している。一方、液温とゲル化温度の差が20℃より低い実施例17,19では、液温とゲル化温度の差が20℃以上の実施例2、16、10、18より発色性が低くなっている。
【0113】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録シートは、インク受理層にひび割れの発生がなく、光沢度とインク吸収性のバランスがとれ、印字濃度が良好であり、さらに、本発明のインクジェット記録シートの製造方法を用いると、水性顔料インクでの発色性が良好となり、有効である。
Claims (8)
- 吸水性支持体の少なくとも一方の面に少なくとも平均1次粒子径が50nm以下の微粒子と結着剤を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体がJIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シート。
- 吸水性支持体の少なくとも一方の面に少なくとも平均1次粒子径が50nm以下の微粒子と結着剤を含有したインク受理層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該吸水性支持体が、紙の少なくとも一方の面に、少なくとも顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙であり、かつ該インク受理層がゲル化温度40℃以上であるインク受理層塗布液を該顔料層上に塗布し、乾燥して設けられたものであることを特徴とするインクジェット記録シート。
- 該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録シート。
- 該微粒子が気相法シリカまたはコロイダルシリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録シート。
- 該微粒子がアルミナ水和物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録シート。
- ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、JIS P8140に規定されるコッブ法による30秒サイズ度が10〜30g/m2である紙の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
- ゲル化温度が40℃以上であるインク受理層塗布液を該ゲル化温度より液温を20℃以上高くした状態で、紙の少なくとも一方の面に顔料と、水溶性接着剤とラテックス系接着剤からなる結着剤より構成する顔料層を塗設した顔料塗工紙の該顔料層面に塗布し、乾燥してインク受理層を設けることを特徴とするインクジェット記録シートの製造方法。
- 該ラテックス系接着剤が、ゲル含有量が40%〜85%であるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録シートの製造方法。
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JP2011062974A (ja) * | 2009-09-18 | 2011-03-31 | Hokuetsu Kishu Paper Co Ltd | 多層抄きインクジェット用光沢はがき用紙 |
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-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003087080A patent/JP2004291402A/ja active Pending
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