JP2002264472A - インクジェット記録シート - Google Patents

インクジェット記録シート

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JP2002264472A
JP2002264472A JP2001065833A JP2001065833A JP2002264472A JP 2002264472 A JP2002264472 A JP 2002264472A JP 2001065833 A JP2001065833 A JP 2001065833A JP 2001065833 A JP2001065833 A JP 2001065833A JP 2002264472 A JP2002264472 A JP 2002264472A
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ink
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ink jet
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JP2001065833A
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Kenji Yabuta
健次 藪田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】市販のアート・コート紙の光沢度を有し、印字
濃度が高く、インク吸収性に優れ、更にはシートが折曲
げられた時に発生するひび割れ強度に優れたインクジェ
ット記録シートを提供する。 【解決手段】支持体上に1層以上のインク受理層、光沢
発現層を順次積層してなり、該光沢発現層の塗被組成物
が、平均粒子径200nm以下の有機ポリマー微粒子、
又は該有機ポリマー微粒子と水溶性接着剤からなり、J
IS Z8741に規定される75度鏡面光沢度が25
%以上であることを特徴とするインクジェット記録シー
ト。特に有機ポリマー微粒子は架橋されていてアニオン
性又はカチオン性であることが好ましい。更にインク受
理層中にカチオン性コロイド粒子、カチオン性顔料分散
剤又はカチオン性染料定着剤が含有されている事がイン
ク吸収性、印字濃度向上に好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インクを用い
て記録を行うインクジェット記録シートに関するもので
あり、インク吸収性に優れ、高い印字濃度が得られ、市
販のアート・コート紙に匹敵する高い光沢度を有するイ
ンクジェット記録シート、更には、それらの特性に加え
てひび割れ強度を備えたインクジェット記録シートに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、インクの微
小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙等の記録シ
ートに付着させ、画像・文字等の記録を行なうものであ
るが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融
通性が大きい、現像及び定着が不要等の特徴があり、漢
字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として、
種々の用途において急速に普及している。更に、多色イ
ンクジェット方式により形成される画像は、製版方式に
よる多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して遜
色のない記録を得ることが可能であり、作成部数が少な
くて済む用途では写真技術によるよりも安価であること
から、フルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつ
ある。
【0003】このインクジェット記録方式で使用される
記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が
明るく鮮やかであること、インクの吸収が早くて印字ド
ットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲
んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要
以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと
等が要求される。
【0004】これらの問題を解決するために、従来より
いくつかの提案がなされてきた。例えば、特開昭52-530
12号公報には、低サイズの原紙に表面加工用の塗料を湿
潤させてなるインクジェット記録用紙が開示されてい
る。又、特開昭55- 5830号公報には、支持体表面にイン
ク吸収性の塗層を設けたインクジェット記録用紙が開示
され、又、特開昭55-51583号公報及び特開昭56-157号公
報には、被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を使っ
た例が、更に、特開昭55-11829号公報には、インク吸収
速度の異なる2層構造を使った塗抹紙の例が開示されて
いる。
【0005】一般に、インクジェット記録シートは、多
孔性顔料を適用したインク吸収特性を有するインク受理
層を設けて、画質を決定する色彩性や鮮鋭性のコントロ
ールを行い、色再現性や画像再現性の向上を図ってい
る。インク吸収性のあるインク受理層は、インクを吸収
し保持するために、インク受理層中の空隙を多く有する
必要がある。しかし、空隙の多いインク受理層は、イン
ク受理層への入射光が散乱されてしまったり、透過が妨
げられるため、不透明になり、空隙に浸透したインクに
光が到達しにくくなるため画像が白っぽくなり、色再現
性及び色濃度が低下する。又、空隙の多いインク受理層
は、多孔質な表面となることから、高い光沢を望むこと
は難しい。
【0006】高い光沢を有するインクジェット記録シー
トとしては、例えば、特開昭61-197285号公報には、透
明な支持体上に多孔質なインク受理層を形成し 、イン
ク受理層に形成した画像を支持体側から観察する方法が
提案されている。特開平3-215081号公報には、透明な支
持体上に多孔性アルミナ水和物からなる染料吸着層、多
孔性微粉シリカからなる溶剤吸収層を順次積層し、染料
吸着層に形成した画像を支持体側から観察する方法が提
案されている。しかし、これらの方法では、画像を印字
する際に、鏡像となるように画像処理する必要があり、
更に、使用する支持体が透明性を有するものに限定され
てしまう。
【0007】又、特開平2-113986号公報には、カチオン
性高分子電解質を含む水溶液で処理した後にキャストす
る方法、特開平2-274587号公報には光沢向上のためにコ
ロイダルシリカを用い、カチオン性高分子電解質を含む
水溶液で処理した後にキャストする方法の提案がなされ
ている。しかし、カチオン性高分子電解質の使用は、印
字した際に表面に存在するカチオン性高分子電解質がイ
ンクに再溶解するために印字部分の表面形状が粗面化さ
れ、印字部分の光沢や画像の鮮明性の低下が生じやすく
なる。
【0008】光沢を付与する目的で、溶解・膨潤により
インクを吸収する樹脂を塗布した記録紙、フィルム等が
あるが、このような樹脂の溶解・膨潤によりインクを吸
収させようとするものは、光沢は得られるものの、イン
クの吸収、乾燥が遅く、インク転写による汚れや滲みの
発生が問題となる。
【0009】光沢を付与する処理は、スーパーカレンダ
ー、グロスカレンダー等のカレンダー装置を用い、圧力
や温度をかけたロール間に通紙することで塗層表面を平
滑化する方法が一般的である。しかしながら、インクジ
ェット記録シートに光沢を付与する目的で、高い線圧下
でカレンダー処理を行うと、光沢は向上するが、塗層の
空隙が減少し、インクの吸収が遅くなり、又、吸収容量
の不足からインクのあふれが発生してしまう問題があ
る。このことから、カレンダー処理は、許容されるイン
ク吸収容量の範囲内で条件を選択せざるを得ず、インク
の吸収と光沢を得るには、現状の技術での対応は難しい
のが現状である。
【0010】又、特開昭60−204390号公報には
気相法によって製造された一次粒子の平均粒径が5〜5
0nmの微細シリカや、特開平3−215082号、同
4−67986号、同5−32037号、特開平6−2
97831号公報等に記載されるように微細なアルミナ
ゾルのような無機顔料超微粒子を水溶性バインダーとと
もに支持体表面に塗工することで透明性を有するインク
ジェット用被記録材を形成する方法が記載されている
が、塗層中における気相法シリカやアルミナゾル(擬ベ
ーマイト)のバインダーに対する比率を高めないとイン
ク吸収性が劣る問題があり、こうした無機顔料比率の高
い塗工層は塗布乾燥の際、塗膜のひび割れが非常に発生
しやすく、さらに塗膜強度が弱いためインクジェット記
録した表面が擦られることで容易に画像が剥離する問題
や、無機顔料超微粒子を使用するので塗膜の耐水性に劣
るという問題があった。
【0011】かかる問題を解決すべく特開平7−101
142号公報には平均粒子径200nm以下のシリカ、
アルミナ等の無機顔料超微粒子と合成高分子ラテックス
からなる光沢発現層を設けることにより、折り割れ強度
を改良する試みが開示されているが、合成高分子ラテッ
クスの使用は親水性に富む水溶性接着剤に比べて水性イ
ンクとの親和性が悪く、印字濃度低下を起こすと云う問
題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水性
インクによる印字において、インク吸収性に優れ、高い
印字濃度と光沢を有し、色再現性と画像再現性に優れ、
更にひび割れ強度を確保したインクジェット記録シー
ト、特に、光沢感が要望されるフルカラー記録用インク
ジェット記録シートを得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、本発明のインクジェット記録シートを発明
するに至った。
【0014】即ち、第1の発明のインクジェット記録シ
ートは、支持体上にインク受理層を設けたインクジェッ
ト記録シートにおいて、支持体上に少なくとも1層以上
のインク受理層、主成分として平均粒子径200nm以
下の有機ポリマー微粒子からなる光沢発現層を順次積層
してなり、JIS Z8741に規定される75度鏡面
光沢度が、25%以上であることを特徴とするものであ
る。
【0015】更に、本発明のインクジェット記録シート
は、75度鏡面光沢度が、30〜70%であることが好
ましい。
【0016】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、光沢発現層の塗被組成物は、架橋されていて、しか
もアニオン性又はカチオン性である平均粒子径200n
m以下の有機ポリマー微粒子を主成分とすることが好ま
しい。
【0017】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、インク受理層の塗被組成物は、1.0μm以下の粒
子径を30体積%以上有する無機顔料を主成分とするこ
とが好ましい。
【0018】更に、該無機顔料が、カチオン性コロイド
粒子であることを特徴とする。
【0019】又、インク受理層中には、カチオン性顔料
分散剤又はカチオン性染料定着剤を含有することが好ま
しい。
【0020】第2の発明のインクジェット記録シート
は、支持体上にインク受理層を設けたインクジェット記
録シートにおいて、支持体上に少なくとも1層以上のイ
ンク受理層、主成分として平均粒子径200nm以下の
有機ポリマー微粒子及び水溶性接着剤からなる光沢発現
層を順次積層してなり、JIS Z8741に規定され
る75度鏡面光沢度が、25%以上であることを特徴と
する。
【0021】更に、本発明のインクジェット記録シート
は、75度鏡面光沢度が、30〜70%であることが好
ましい。
【0022】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、水溶性接着剤が、特にポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール類及びセルロース誘導体より選ばれる
水溶性接着剤であると、インク吸収性に優れるので好ま
しい。
【0023】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、インク受理層の塗被組成物は、1.0μm以下の粒
子径を30体積%以上有する無機顔料を主成分とするこ
とが好ましい。
【0024】更に、該無機顔料が、カチオン性コロイド
粒子であることを特徴とする。
【0025】又、インク受理層中には、カチオン性顔料
分散剤又はカチオン性染料定着剤を含有するものである
と好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェット記
録シートについて、詳細に説明する。一般に、インクジ
ェット記録シートの特徴である良好なインク吸収性や染
料定着性を得るために、多孔性無機顔料を主成分とした
塗層を塗設する方法が採られている。しかし、該無機顔
料は、2次粒子として存在するために、粒子径が大き
く、官能的に光沢感を生じさせることは難しく、高温、
高線圧条件にてカレンダー処理を行い平滑性の向上を図
っても、本発明の目的に見合った光沢が得られないばか
りか、空隙が減少し、インク吸収性が低下してインクジ
ェット記録シートの特徴を失うことになる。
【0027】しかしながら、本発明のインクジェット記
録シートでは、該記録シートの印字面が、インク受理層
(少なくとも1層以上)と光沢発現層の2層構造の塗層
とすることにより、光沢性の向上とインク吸収性確保と
いう相反する特性をバランスさせることが可能となっ
た。
【0028】本発明のインクジェット記録シートにおい
て、記録面に水性インクが与えられた時、水性インクが
光沢発現層を透過し、光沢発現層の下に位置するインク
受理層で速やかにインク吸収させることができる。即
ち、光沢発現層ではインクの殆どを透過させる機能を、
インク受理層ではインク吸収性や染料定着性の機能を持
たせ、2層構造の機能分離化によって光沢発現層の光沢
性を特長づけることができる。
【0029】光沢性の向上については、粒径の小さな顔
料により得られることから、有機ポリマー微粒子をイン
ク受理層の組成物として適用する方向で検討した。しか
し、有機ポリマー微粒子を主成分とする塗被組成物をそ
のまま支持体にインク受理層として塗工してもインク吸
収容量が少ないため、インク溢れの問題が生じる。又、
木材パルプを主成分とする支持体においては、パルプ繊
維の壁面に沿ってインクが拡散するフェザリングの発生
やインクが裏面までに達して生じるインク抜けの発生、
印字濃度の低下があり、更には、目的とする光沢を得る
ことは出来なかった。
【0030】これらの知見から、有機ポリマー微粒子を
主成分とする塗被組成物をインク受理層面上に光沢発現
層として設けることにより、上記の問題点を回避し、光
沢が発現すること、該インク受理層の鮮鋭性や色彩性に
依存した特性の得られることが判った。
【0031】本発明のインクジェット記録シートは、J
IS Z8741に規定して測定される75度鏡面光沢
度が25%以上であり、好ましくは30〜70%であ
る。インクジェット記録シートの記録面における75度
鏡面光沢度が25%以上では、市販のアート・コート紙
レベル以上に相当し、官能的に認識される光沢感として
良好である。
【0032】本発明のインクジェット記録シートは、イ
ンク受理層上に光沢発現層を塗設し、乾燥した時点で、
既に高い光沢を有するが、更にカレンダ処理により高い
光沢を付与することが可能であり、該処理も高線圧・高
温での条件は必要なく、インク吸収性を悪化させるほど
塗層中の空隙を低下させることはないため、本発明の目
的に合致したインクジェット記録シートを得ることが出
来る。
【0033】本発明に係る光沢発現層に適用される有機
ポリマー微粒子は、平均粒子径が、200nm以下と極
めて小さい為、特に可視光の低波長領域(400nm程
度)の光を散乱させることがほとんどないことから、得
られる画像の透明性も向上しており、また光沢度とイン
ク吸収性の特性を両立させるために通常使用される気相
法シリカやアルミナ微粒子等の無機顔料超微粒子の光沢
発現層への添加では光沢性及びインク吸収性を改良する
為に添加量を増やすと塗層の剥がれを生じたり耐水性の
劣化を招くが、そのような欠点もなく画質も優れたもの
である。
【0034】上記平均粒子径200nm以下の有機ポリ
マー微粒子は、架橋されている事が好ましく、更にアニ
オン性又はカチオン性であることが好ましい。このよう
な有機ポリマー微粒子は、通常アクリル酸アルキルエス
テル、メタクリル酸アルキルエステル、スチレン及びス
チレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の
モノマーを、分子中に炭素−炭素二重結合を1個又は2
個以上(好ましくは2個以上)有する乳化剤を用いて乳
化重合することにより得ることができる。このような有
機ポリマー微粒子としては、特開平5−254251号
公報に記載されているミクロゲルを好適に使用すること
ができる。なお、この公報には、ミクロゲルを感熱記録
紙に使用することで耐スティッキング性や耐湿性が改良
される旨の記載がされているが、感熱記録は、本発明の
ようにインクを記録シートに噴射することにより印字す
るのではなく、加熱により印字するものであり、異なる
技術分野に属する。
【0035】アクリル酸アルキルエステルおよびメタク
リル酸アルキルエステルの例としては、アルキルの炭素
原子数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピ
ル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)ア
クリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸ステアリルを挙げることができる。スチレン
及びスチレン誘導体の例としては、スチレン、α−メチ
ルスチレン及びビニルトルエンを挙げることができる。
【0036】上記モノマー以外に、上記モノマーと共重
合可能なモノマーを全モノマー量の50重量%以下の量
で使用しても良い。例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、無水マレイン、スチレンスルホン酸、2−アクリル
アミド−2−メチルプロパンスルホン酸のアニオン性ビ
ニルモノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよ
び第4級アンモニウム塩を有するビニルモノマー等のカ
チオン性ビニルモノマー;及び(メタ)アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピルおよび(メタ)アクリロイルオキシフォスフェ
ート等のノニオン性ビニルモノマーを挙げることができ
る。
【0037】上記モノマーに加えて更に、架橋性ビニル
モノマーを全モノマー量の5重量%以下の量で使用して
も良い。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビ
ニルベンゼン等の二官能性モノマー;1,3,5−トリ
アクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン及びトリア
リルイソシアヌレート等の三官能性モノマー;テトラメ
チロールメタンテトラアクリレート及びN,N,N’,
N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン等の四官
能性モノマーを挙げることができる。
【0038】上記分子中に炭素−炭素二重結合を1個又
は2個以上(好ましくは2個以上)有する乳化剤の、そ
の炭素−炭素二重結合の例としては、(メタ)アリル
基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル
基、ビニル基、イソプロペニル基及び(メタ)アクリロ
イル基を挙げることができる。これらの中で(メタ)ア
クリロイル基が好ましい。上記乳化剤の、疎水基と共に
乳化作用を示すためのカチオン性基またはアニオン性基
(親水性基)を有している。カチオン性基は、インクの
色材を保持する機能が大きいため、インク受容層の耐水
性が向上するので好ましい。カチオン性基またはアニオ
ン性基(親水性基)としては、−COOH、−COO
M、−OSO3M、−N(R1)(R2)(R3)、−O
H、−PO(OM)2 、(−O)3P、(−O)2P(O
H)−、−OP(OH)2 、−OPO(OM)2 、(−
O)2PO(OM)、(−O)3PO及び−(OR)−
[但し、MはNaまたはKを表わし、R1、R2及びR3
はそれぞれ独立に水素原子、アルキル、アラルキル又は
ヒドロキシアルキルを表わし、そしてRはエチレンまた
はプロピレンを表わす]を挙げることができる。これら
の中で、−N(R1)(R2)(R3)[R1、R2及びR3
はそれぞれ独立に水素原子、アルキル又はヒドロキシア
ルキルを表わし、少なくとも1個の基はアルキル又はヒ
ドロキシアルキルである]で表されるカチオン性基が好
ましい。上記乳化剤は、通常の乳化剤の役割と重合性
(架橋性)モノマーの役割を担っており、したがって得
られる有機ポリマー微粒子の表面は上記のようなカチオ
ン性基またはアニオン性基が存在している。勿論有機ポ
リマー微粒子の内部に存在する場合もある。
【0039】乳化剤の例としては、上記炭素−炭素二重
結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチレンアル
キルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、上記炭素−
炭素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチ
レンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、上記炭素−炭
素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸塩、上記
炭素−炭素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル
塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系分散剤、
オリゴエステル(メタ)アクリレートのリン酸エステル
もしくはそのアルカリ塩、及び親水性アルキレンオキサ
イド基を有するポリアルキレングリコール誘導体のオリ
ゴエステルポリ(メタ)アクリレートを挙げることがで
きる。これらの市販されている製品としては、KAYA
MER PM−2(日本化薬(株)製)、ニューフロン
ティアA−229E(第一工業製薬(株)製)、ニュー
フロンティアN−250Z(第一工業製薬(株)製)等
を挙げることができる。
【0040】上記分子中に炭素−炭素二重結合を2個以
上有する乳化剤を使用する場合は、分子中に炭素−炭素
二重結合を1個有する乳化剤を全乳化剤の60重量%以
下の割合で含んでいても良い。また、上記分子中に炭素
炭素二重結合を1個又は2個以上有する乳化剤は、通常
のアニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳
化剤を含んでいても良い。上記分子中に炭素−炭素二重
結合を1個又は2個以上有する乳化剤の添加量は、前記
全モノマー量100重量部に対して、通常1〜20重量
部であり、3〜10重量部が好ましい。
【0041】本発明の有機ポリマー微粒子は、上記モノ
マーを用いて、公知の乳化重合法により得ることができ
る。例えば、反応容器に上記乳化剤及び水を投入し、こ
れに前記モノマーを加えて乳化した後、ラジカル重合開
始剤を加え、攪拌下に加温してモノマーを重合させるこ
とにより上記有機ポリマー微粒子を得ることができる。
ビニルモノマーの添加は、一括滴下、分割滴下のいずれ
でも良い。また、このようなモノマーの濃度は、最終的
に得られる反応液(分散液)中の固形分濃度が、通常2
0〜50重量%となるように、好ましくは30〜45重
量%となるように調整される。反応時のpHは3〜9の
範囲が好ましく、反応温度は、重合開始剤が活性化する
温度であれば良く、通常40〜90℃であり、50〜8
0℃が好ましい。反応時間は通常30分〜2時間であ
る。
【0042】上記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸
カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水
素、水溶性のアゾ系の開始剤等の水溶性のラジカル重合
開始剤;あるいは上記過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウ
ム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせたレ
ドックス系重合開始剤を挙げることができる。レドック
ス系重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤の添加
量は、全モノマー量の0.05〜5重量%が好ましく、
特に0.1〜3重量%が好ましい。また得られる有機ポ
リマー微粒子を透明性の超微粒子にするため、重合促進
剤として遷移金属イオンの存在下に上記重合を行なうこ
とが好ましい。このようにして得られる上記乳化剤によ
り有機ポリマー微粒子は、表面に上記乳化剤が重合によ
り粒子に結合した状態で存在しており、このため、その
表面にはアニオン性基、カチオン性基(親水性基)が存
在することになる。従って、インク中の染顔料をその表
面で容易に吸着することができ、アニオン性基、カチオ
ン性基等が有効に働くことができる。このような親水性
基は、使用する乳化剤の種類、量、そして反応方法によ
り有機ポリマー微粒子の内部にも存在することになる。
【0043】光沢発現層の塗工量は、インク受理層の平
滑性、光沢発現層の乾燥条件、有機ポリマー微粒子の粒
子径によっても影響されるが、2g/m2以上あれば、
本発明の目的とする光沢度が得られる。
【0044】更に、本発明の光沢発現層に適用される有
機ポリマー微粒子において、その表面にはアニオン性
基、カチオン性基(親水性基)が存在することにより、
電気的な相互作用によってインク中の染料成分を光沢発
現層にて定着させることが可能となる。更に、有機ポリ
マー微粒子自体には溶媒成分を吸収するだけの容量がな
いことから、溶媒成分は光沢発現層を透過して、インク
受理層に浸透することになる。インク受理層において
は、溶媒成分の面方向への拡散や深さ方向への浸透が生
じても染料成分が含まれていないために色彩性や鮮鋭性
に影響が無く、従って、インクの吸収と定着を同時に機
能させるために必要な空隙量は不要となる。しかしなが
ら、インク受理層における溶媒成分の浸透が遅くなる
と、光沢発現層においてインクが滞留してインクの拡散
が生じることになるから溶媒成分の浸透は速くなければ
ならない。
【0045】浸透の速度は、インク受理層の塗層構造と
関係しており、更に塗層構造は適用される無機顔料の粒
子径に依存し、該粒子径に比例して無機顔料間に形成さ
れる空隙径が小さくなることから、インクの浸透は速く
なる。本発明で云うインク受理層が1次粒子径が数nm
〜数百nmの粒子が凝集或いは会合してなる多孔性無機
顔料を主成分とする塗被組成物からなるものであると十
分な浸透の速度を確保することが可能となる。特に、光
沢発現層中の有機ポリマー微粒子がカチオン性又はアニ
オン性である場合には、インク受理層へのインク中の溶
媒成分の浸透のみを考えれば良く、該粒子径1.0μm
以下の粒子が30体積%以上である無機顔料を主成分と
することにより、十分な溶媒の浸透速度を確保すること
が可能となる。又、該無機顔料には、1次粒子径が数百
nm以下の多孔性無機顔料が包含されることは勿論、後
述する公知の顔料の中から、本発明に該当する顔料を1
種類以上用いることが出来る。
【0046】該無機顔料を主成分とする塗被組成物から
なる該インク受理層は、光沢発現層に隣接して支持体と
の間に塗設されるものであり、インク中の溶媒成分を吸
収する塗層である。インク受理層により該溶媒成分が光
沢発現層から除去され、染料定着性を速めて、インク溢
れの問題を回避することが出来る。
【0047】又、本発明におけるインク受理層に適用さ
れる上記無機顔料のうちでも、カチオン性コロイド粒子
が好ましい。有機ポリマー微粒子を主成分とする塗被組
成物からなる光沢発現層には、インクを十分に吸収する
容量がないから、光沢発現層に隣接してインクを吸収す
るインク受理層があると、インクは光沢発現層を透過し
て、インク受理層に移動することになる。しかしなが
ら、インク受理層がカチオン性コロイド粒子を主成分と
する塗被組成物からなるものであると、インク中の染料
成分は該コロイド粒子に捕獲・定着し、溶媒成分はイン
ク受理層の下の支持体に移動する。従って、支持体が木
材パルプを主成分とする組成物からなるものであると、
該パルプによって形成される空隙にてインクを吸収する
ことが可能となる。特に木材パルプは親水性であるか
ら、インクを速やかに吸収することが可能となる。
【0048】該インク受理層は、カチオン性コロイド粒
子が1.0g/m2以上となるように設けることによ
り、インク定着性を発現することが可能であり、カチオ
ン性コロイド粒子と併用して従来公知の無機顔料を適用
することも可能である。塗工量はインクジェット記録シ
ートの風合いにも関係しており、コート紙の風合いが望
まれる場合には、インク受理層の塗工量を増やすことに
よりその風合いを得ることが可能となる。又、原紙や一
般紙の風合いを得るために塗工量を減じる場合、或いは
色彩性のコントロールを目的として、各色のインク中の
染料成分を特定に捕獲する場合には、カチオン性顔料分
散剤又はカチオン性染料定着剤を併用することも可能で
ある。
【0049】更に、インク受理層に、2級アミン、3級
アミン、4級アンモニウム塩からなるカチオン性顔料分
散剤又はカチオン性染料定着剤を使用することにより、
インクの染料分である水溶性直接染料や水溶性酸性染料
中のスルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基等と不溶
の塩が形成するため、インクはインク受理層中の空隙部
で定着し、インク色彩性の向上が図られる。又、不溶の
塩の形成により、水の滴下や吸湿によるインクの流れ出
し(耐水性)を抑制する機能を有する。
【0050】本発明に係るインク受理層には、水溶性接
着剤があると好ましい。該接着剤があると、光沢発現層
とインク受理層との界面の接着性が発現し、該界面にお
ける接着性が向上する。この接着性の発現の理由は定か
でないが、インク受理層の塗被組成物は、分散媒とし
て、水が使用されているから、光沢発現層を塗設した際
に、該分散媒がインク受理層に浸透し、インク受理層中
の水溶性接着剤を再溶解させて、光沢発現層と接着し、
該界面での強度を確保すると考えられる。
【0051】インク受理層中の水溶性接着剤の配合量
は、無機顔料100重量部に対して、3〜70重量部、
好ましくは5〜50重量部であり、3重量部未満ではイ
ンク受理層中の塗層強度が不足するし、70重量部を越
えると光沢発現層を透過して浸透するインクの吸収性が
低下する。インク受理層の塗工量としては、要求される
光沢、インク吸収性、支持体の種類により異なるが、5
g/m2以上である。又、インク受理層と支持体との間
に更に1層以上の塗層を設けることも可能である。
【0052】本発明に係るインク受理層に配合される水
溶性接着剤とは、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エ
ステル化澱粉等の澱粉誘導体;カルボキシメチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコ
ール又はその誘導体;ポリビニルピロリドン、無水マレ
イン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメ
タクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共
重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル
酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体
等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル
共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或はこれら各
種重合体のカルボキシ基等の官能基含有単量体による官
能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等
の熱硬化合成樹脂等の水性接着剤;ポリメチルメタクリ
レート等のアクリル酸エステル;メタクリル酸エステル
の重合体又は共重合体樹脂;ポリウレタン樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマ
ー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹
脂系接着剤等を挙げることができる。
【0053】更に、インク受理層には、添加剤として、
染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡
剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色
顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐
剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増
強剤等を適宜配合することもできる。
【0054】又、本発明の光沢発現層は、有機ポリマー
微粒子と併用して公知の白色無機顔料を1種類以上用い
ることが出来るが、該白色無機顔料は一般に粒子径が大
きく不透明性が生じるため、該白色無機顔料の粒子径に
もよるが、該有機ポリマー微粒子/該白色無機顔料の重
量比を80/20以上、より好ましくは90/10以上
とする必要がある。
【0055】光沢発現層及びインク受理層に併用可能な
白色無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、
重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜
鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケ
イソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非
晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、
水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライ
ト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグ
ネシウム等の白色無機顔料が挙げられる。
【0056】又、カール適性を付与するために、支持体
を挟んだインク受理層側の反対面にバックコート層を塗
設することも可能であり、その際の顔料としては、平板
状顔料や加水ハロイサイトが好ましい。
【0057】第2の発明のインクジェット記録シート
は、インク吸収性に優れ、高い印字濃度と光沢を有し、
色再現性と画像再現性に優れた特長に加えて、ひび割れ
強度を確保したインクジェット記録シートである。
【0058】インク受理層に微細な無機顔料微粒子が含
まれていると、ひび割れ強度の点に問題が残り、それを
回避するために、光沢発現層には接着剤が必要となる。
可撓性のある合成樹脂ラテックスはひび割れ回避には有
効だが、より親水性に優れる水溶性接着剤に比べて印字
濃度低下の問題があり、本願の如く有機ポリマー微粒子
と水溶性接着剤の併用で光沢発現層を構成することによ
り、インク吸収性、印字濃度、光沢、ひび割れのバラン
スが改良される。
【0059】本発明に係る光沢発現層に接着剤を配合す
る場合には、インク受理層に用いられる上記の水溶性接
着剤が適用できるが、特にポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルアルコール類及びセルロース誘導体がインク吸収
性の点から好ましい。例えば、ポリビニルアルコール、
カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビ
ニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ポリビニ
ルピロリドン(誘導体、共重合体を含む)、カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
等のセルロース誘導体が印字濃度が高く、好適に使用で
きる。配合量としては、2〜30重量部が好ましい。適
用量としては、ひび割れ強度の確保及びインク吸収速度
の点から、有機ポリマー微粒子100重量部に対して、
2〜30重量部が好ましく、30重量部を超えると該イ
ンク受理層へのインクの浸透が遅くなり、インクジェッ
ト装置の種類によっては、インクが溢れる現象の生じる
場合がある。
【0060】又、塗被組成物の塗工量は、塗工後の平坦
化処理方法や要求する光沢により異なるが、2g/m2
以上必要である。光沢発現層は、インク受理層上に積層
されるものであり、2層以上のインク受理層の上に積層
することも可能である。
【0061】更に、上記光沢発現層で水溶性接着剤と併
用可能な、或はインク受理層に配合される接着剤として
は、前述したとおりである。
【0062】本発明で使用される支持体としては、LB
KP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RM
P、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パル
プ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプと従来公知
の顔料を主成分として、バインダー及びサイズ剤や定着
剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各
種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄
紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置で製造された
原紙、更に原紙に、澱粉、ポリビニルアルコール等での
サイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それ
らの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャス
トコート紙等の塗工紙も含まれる。この様な原紙及び塗
工紙に、そのまま本発明に係る塗層を設けても良いし、
平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、
TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置
を使用しても良い。又、該支持体の坪量としては、通常
40〜200g/m2であるが、特に制限されるもので
はない。
【0063】又、支持体としては、上記の原紙上にポリ
オレフィン樹脂層を設けても良いし、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポ
リウレタン等の合成樹脂やこれらの混合物のフィルム材
や、該合成樹脂を繊維化して成型したシートへの適用も
可能である。
【0064】本発明に係る光沢発現層及びインク受理層
を塗工又は含浸する方法は、各種ブレードコータ、ロー
ルコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドブ
レードコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコー
タ、サイズプレス等の各種装置をオンマシン或いはオフ
マシンで用いることができる。又、塗工又は含浸後に
は、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレ
ンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置を用いて
仕上げることも可能である。
【0065】本発明で云う水性インクとは、下記着色剤
及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体である。
【0066】着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩
基性染料、反応性染料あるいは食品用色素等の水溶性染
料である。
【0067】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性
の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルア
ルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアル
コール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコー
ル、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等
の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセト
ン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコ
ール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2,6 −ヘキサントリオール、チ
オジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレング
リコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリ
コール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエー
テル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エー
テル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の
多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられ
る。
【0068】これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、
ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコ
ールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アル
キルエーテルは好ましいものである。
【0069】その他の添加剤としては、例えばpH調節
剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整
剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤、等が挙げられ
る。
【0070】本発明に係るインクジェット記録シート
は、インクジェット記録シートとしての使用に留まら
ず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記
録シートとして用いてもかまわない。
【0071】又、本発明に係るインクジェット記録シー
トは、記録装置における搬送をカットシートで行うこと
は勿論のこと、ウェブ(巻取)として連続に行うことも
可能である。
【0072】
【作用】光沢の発現は、塗層を構成する顔料の粒子径と
関係しており、粒子径が200nm程度が最大となる傾
向がある。従って、コートタイプのインクジェット記録
シートに一般的に適用されている多孔性顔料は、2次或
いは3次凝集粒子として存在するため、粒子径が103
nm以上のものが多く、 本発明が目的とする市販され
るアート・コート紙の光沢を得ることは出来ない。 し
かし、多孔性顔料は、顔料自体で空隙構造を有するため
に、インクジェット記録特性に要求されるインク吸収性
の確保には不可欠な素材であり、現状の技術でこの相反
する特性である光沢とインクジェット記録特性を両立す
ることは難しい。
【0073】光沢は、自明のことながら、表面における
光の反射率であり、表面の粗さにより、その程度が決定
される。このことから、本発明者等は、表面は平滑であ
り、内部でインクジェット記録特性を確保することを考
え、特定の有機ポリマー微粒子を適用して、光沢発現層
とインク受理層という2層構造のインクジェット記録シ
ートにより、本発明の目的が完成するに至ることが判っ
た。特に、支持体が木材パルプを主体とする組成物であ
ると、インク中の溶媒成分が吸収されるため、インク吸
収性の確保が可能となる。
【0074】光沢発現層の主体成分である有機ポリマー
微粒子は、該粒子の表面が負或いは無帯電であるとイン
クを捕獲して定着させる機能がないため、インクは隣接
する層に移動する。このため、最表層としての光沢発現
層には透明性が要求され、粒子径200nm以下の有機
ポリマー微粒子を適用することにより、透明性の確保が
可能となり、インク受理層に定着したインクを覆い隠す
ことなく、印字濃度の高い画像を得ることができる。
又、有機ポリマー微粒子の表面が正に帯電していると、
インクは光沢発現層にも捕獲され定着させることができ
るが、該粒子の粒子径が200nmを超えると定着性が
低下するために、インクは隣接するインク受理層に移動
し、光沢発現層には不透明性が発現するために、印字濃
度の低下が顕著となる。
【0075】インク受理層は、インクを定着させる機能
を有する一方で、インク受理層の主体成分として、1.
0μm以下の粒子径を30体積パーセント以上有する無
機顔料、その内でも特にカチオン性コロイド粒子は、イ
ンクの定着と共に水分が付着した際に、該粒子の溶解或
いは崩壊がないために、高湿度環境下でのインクの滲み
出しが生じない。更に、インク受理層は、光沢発現層の
光沢の程度を決定する効果を有しており、例えば、木材
パルプを主体とする支持体表面に、インク受理層と光沢
発現層を順次塗設したインクジェット記録シートにおい
ては、インク受理層が、該支持体の表面の平滑化や表面
に存在する空隙を埋めるために、光沢発現層の平滑を向
上させ、光沢を大きく向上させることができる。
【0076】又、本発明のインクジェット記録シートに
おいて、光沢発現層の塗被組成物として、有機ポリマー
微粒子と水溶性接着剤を併用することにより印字濃度を
向上させると同時にひび割れ強度が改善できた。
【0077】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実
施例に於いて示す「部」及び「%」は特に明示しない限
り絶乾重量部及び絶乾重量%を示す。尚、実施例に示す
粒子径は、動的光散乱法により求めた平均粒子径であ
る。
【0078】以下に示す実施例及び比較例において、支
持体はすべて共通とし、次のようにして作製した支持体
を使用した。
【0079】[支持体の作製]支持体は、LBKP(濾
水度400mlcsf)80部とNBKP(濾水度45
0mlcsf)20部からなる木材パルプ100部に対
して、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タル
クの比率が10/10/10の顔料25部、市販アルキ
ルケテンダイマー0.10部、市販カチオン系(メタ)
アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉0.8
0部、硫酸バンド0.40部を調調製後、長網抄紙機を
用いて坪量90g/m2で抄造した。
【0080】なお、各実施例及び比較例で作製したイン
クジェット記録シートについては、以下に示す評価方法
によって評価した。測定及び評価は、JIS P811
1に規定される環境条件下で行った。
【0081】<光沢発現層塗被面及びカレンダー処理後
の光沢度>カレンダー処理する前の光沢発現層塗被面及
びカレンダー処理された後の該塗被面の光沢度は、JI
S Z8741に準じて、日本電色工業株式会社製変角
光沢計(VGS−1001DP)にて測定した。
【0082】<インク吸収性>インクジェット記録装置
(BJC−820J:キヤノン株式会社製)を用いて、
シアンインク、マゼンタインクで重色の矩形パターンを
印字し、このパターンを下記の基準に従い、目視にて評
価を行った。A:矩形パターンに歪みは見られない。
B:矩形パターンが僅かに歪むが、面方向へのインクの
拡散は視認できない。C:矩形パターンが歪み、面方向
へのインクの拡散が見られる。なお、良好なインク吸収
性としてはA又はB評価が必要である。
【0083】<印字濃度>上記のインクジェット記録シ
ートを用いて、ブラックインクでベタパターンを印字
し、印字部をマクベスRD−918型により、光学反射
濃度を測定した。なお、色彩性の劣化が顕著となるの
は、光学反射濃度が1.25未満である。
【0084】<ひび割れ強度>各実施例及び比較例のイ
ンクジェット記録シートを2つ折し、折った部分の塗層
の剥離を下記の基準に従い、目視にて評価を行った。
A:塗層の剥離はない。B:塗層の剥離はないが、折っ
た部分に亀裂が見られる。C:塗層の剥離が見られる。
なお、ひび割れ強度としては、A又はB評価が必要であ
る。
【0085】実施例1 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、合成非晶
質シリカ(ファインシールX37B:徳山曹達株式会社
製)100部、ポリビニルアルコール(PVA117:
クラレ株式会社製)30部、コロイダルシリカ(スノー
テックス−O:日産化学工業株式会社製)30部、カチ
オン性染料定着剤(スミレズレジン1001:住友化学
株式会社製)20部を用い、固形分濃度15%として、
これらを調液した。この塗液をエアーナイフコータによ
り、乾燥塗工量10g/m2となるように支持体に塗工
・乾燥した。
【0086】[光沢発現層の塗工]インク受理層表面
に、光沢発現層を塗設した。光沢発現層の組成物は、有
機ポリマー微粒子として、カチオン性の有機ポリマー微
粒子10重量%水分散液 (平均粒子径:52nm、炭
素−炭素二重結合を2個と4級アンモニウム塩基を有す
る乳化剤により架橋されたポリスチレン微粒子、商品名
「ミストパールC−150」、荒川化学工業(株)製)
100部、接着剤として、ポリビニルアルコール(PV
A117:クラレ株式会社製)5部を主成分とした。こ
の組成物を固形分濃度20%として調液し、エアーナイ
フコータで、乾燥塗工量5g/m2となるように塗工、
乾燥し、該光沢発現層塗被面がチルドロールに接するよ
うに、チルドロール表面温度50℃、線圧100kg/
cmの条件でカレンダー処理を行い、 実施例1のイン
クジェット記録シートを得た。
【0087】実施例2 実施例1と同様にして、支持体上にインク受理層を塗設
した。続いて、光沢発現層をインク受理層表面に塗設し
た。光沢発現層の組成物は、有機ポリマー微粒子とし
て、カチオン性の有機ポリマー微粒子10重量%水分散
液(平均粒子径:73nm、炭素−炭素二重結合を2個
と4級アンモニウム塩基を有する乳化剤により架橋され
たポリスチレン微粒子、商品名「ミストパールC−10
0」、荒川化学工業(株)製)100部、接着剤とし
て、ポリビニルピロリドン(PVPK−80 ISP社
製)5部を主成分とした。この組成物を固形分濃度15
%として調液し、エアーナイフコータで、乾燥塗工量3
g/m2となるように塗工、乾燥し、実施例1と同じ条
件でカレンダー処理を行い、実施例2のインクジェット
記録シートを得た。
【0088】実施例3 実施例1と同様にして、支持体上にインク受理層を塗設
した。続いて、光沢発現層をインク受理層表面に塗設し
た。光沢発現層の組成物は、有機ポリマー微粒子とし
て、平均粒子径が200nmのポリスチレン系有機顔料
(L8999:旭化成社製)100部、接着剤として、
実施例1と同じポリビニルアルコール5部を主成分とし
た。この組成物を固形分濃度25%として、エアーナイ
フコータで、乾燥塗工量10g/m2となるように塗
工、乾燥し、実施例1と同条件でカレンダー処理を行
い、実施例3のインクジェット記録シートを得た。
【0089】実施例4 実施例1と同様にして、支持体上にインク受理層を塗設
した。続いて、光沢発現層をインク受理層表面に塗設し
た。光沢発現層の組成物は、有機ポリマー微粒子とし
て、カチオン性の有機ポリマー微粒子10重量%水分散
液(平均粒子径:73nm、炭素−炭素二重結合を2個
と4級アンモニウム塩基を有する乳化剤により架橋され
たポリスチレン微粒子、商品名「ミストパールC−10
0」、荒川化学工業(株)製)100部、接着剤とし
て、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ
60SH:信越化学工業社製)5部を主成分とした。こ
の組成物を固形分濃度20%として、エアーナイフコー
タで、乾燥塗工量10g/m2となるように塗工、乾燥
し、実施例1と同条件でカレンダー処理を行い、実施例
4のインクジェット記録シートを得た。
【0090】実施例5 実施例1と同様にして、支持体上にインク受理層を塗設
した。続いて、光沢発現層をインク受理層表面に塗設し
た。光沢発現層の組成物は、有機ポリマー微粒子とし
て、カチオン性の有機ポリマー微粒子10重量%水分散
液(平均粒子径:73nm、炭素−炭素二重結合を2個
と4級アンモニウム塩基を有する乳化剤により架橋され
たポリスチレン微粒子、商品名「ミストパールC−10
0」、荒川化学工業(株)製)100部、接着剤とし
て、変成ポリエステル樹脂(NS−63P、高松油脂
製)5部を主成分とした。この組成物を固形分濃度20
%として、エアーナイフコータで、乾燥塗工量10g/
2となるように塗工、乾燥し、実施例1と同条件でカ
レンダー処理を行い、実施例5のインクジェット記録シ
ートを得た。
【0091】比較例1 インク受理層は、実施例1と同様にして得た。 [光沢発現層の塗工]インク受理層の表面に、以下の光
沢発現層を塗設した。光沢発現層の塗被組成物は、顔料
として、ポリメタクリル酸メチル粒子(MR−7G、総
研化学製、平均粒径7.0μm)100部、接着剤とし
て、実施例1に適用したポリビニルアルコールを5部、
固形分濃度35%として、これらを調液した。この塗液
をエアーナイフコータにより、乾燥塗工量10g/m2
となるように上記のインク受理層の表面に塗工・乾燥し
た。その後、該光沢発現層塗被面を実施例1と同じ条件
でスーパーカレンダー処理を行い、比較例1のインクジ
ェット記録シートを得た。
【0092】
【表1】
【0093】表1から明らかなように、支持体表面に平
均粒子径200nm以下の有機ポリマー微粒子を主体と
する光沢発現層を設けた実施例1〜5は、市販のアート
・コート紙に匹敵する光沢を有する一方で、印字濃度が
高く、インク吸収性が優れている。しかし、平均粒子径
が7.0μmと大きいポリマー粒子を用いた比較例1で
は、高い光沢が得られず、インク吸収性、印字濃度も低
かった。
【0094】実施例6 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、カチオン
性コロイド粒子として、アルミナ水和物(カタロイドA
S−3:触媒化成社製;平均粒子径10nm)100
部、接着剤として、ポリビニルアルコール(PVA11
7:クラレ社製)30部を主成分とした。この組成物の
固形分濃度を10%として、エアーナイフコータで、乾
燥塗工量8g/m2となるように塗工、乾燥した。
【0095】[光沢発現層の塗工]インク受理層表面
に、光沢発現層を塗設した。光沢発現層の組成物は、有
機ポリマー微粒子として、カチオン性の有機ポリマー微
粒子10重量%水分散液(平均粒子径:73nm、炭素
−炭素二重結合を2個と4級アンモニウム塩基を有する
乳化剤により架橋されたポリスチレン微粒子、商品名
「ミストパールC−100」、荒川化学工業(株)製)
100部、接着剤として、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース(メトローズ60SH:信越化学工業社製)5
部を主成分とした。この組成物を固形分濃度20%とし
て、エアーナイフコータで、乾燥塗工量5g/m2とな
るように塗工、乾燥し、実施例1と同条件でカレンダー
処理を行い、実施例6のインクジェット記録シートを得
た。
【0096】実施例7 実施例6と同様にして、支持体上にインク受理層を塗設
した。続いて、光沢発現層をインク受理層表面に塗設し
た。光沢発現層の組成物は、有機ポリマー微粒子とし
て、平均粒子径が200nmのポリスチレン系有機顔料
(L8999:旭化成社製)100部、接着剤として、
実施例1と同じポリビニルアルコール5部を主成分とし
た。この組成物を固形分濃度25%として、エアーナイ
フコータで、乾燥塗工量10g/m2となるように塗
工、乾燥し、実施例1と同条件でカレンダー処理を行
い、実施例7のインクジェット記録シートを得た。
【0097】実施例8 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、カチオン
性コロイド粒子として、針状のコロイダルシリカを酸化
アルミニウム水和物により変性した針状のカチオン性コ
ロイダルシリカ(スノーテックスUP−AK(1):日
産化学工業社製;平均粒子径 幅10〜20nm×長さ
50〜200nmの凝集体)100部、接着剤として、
ポリビニルアルコール(PVA117:クラレ社製)3
0部を主成分とした。この組成物の固形分濃度を10%
として、ゲートロールコータで、乾燥塗工量10g/m
2となるように塗工、乾燥した。
【0098】[光沢発現層の塗工]インク受理層表面
に、光沢発現層を塗設した。光沢発現層の組成物は、有
機ポリマー微粒子として、カチオン性の有機ポリマー微
粒子10重量%水分散液 (平均粒子径:52nm、炭
素−炭素二重結合を2個と4級アンモニウム塩基を有す
る乳化剤により架橋されたポリスチレン微粒子、商品名
「ミストパールC−150」、荒川化学工業(株)製)
100部、接着剤として、ポリビニルアルコール(PV
A117:クラレ株式会社製)5部を主成分とした。こ
の組成物を固形分濃度20%として調液し、エアーナイ
フコータで、乾燥塗工量5g/m2となるように塗工、
乾燥し、実施例1と同条件でカレンダー処理を行い、実
施例8のインクジェット記録シートを得た。
【0099】実施例9 実施例8と同様にして、支持体上にインク受理層を塗設
した。続いて、光沢発現層をインク受理層表面に塗設し
た。光沢発現層の組成物は、有機ポリマー微粒子とし
て、カチオン性の有機ポリマー微粒子10重量%水分散
液 (平均粒子径:52nm、炭素−炭素二重結合を2
個と4級アンモニウム塩基を有する乳化剤により架橋さ
れたポリスチレン微粒子、商品名「ミストパールC−1
50」、荒川化学工業(株)製)100部を主成分とし
た。この組成物を固形分濃度25%として、エアーナイ
フコータで、乾燥塗工量3g/m2となるように塗工、
乾燥し、実施例1と同条件でカレンダー処理を行い、実
施例9のインクジェット記録シートを得た。
【0100】比較例2 インク受理層は設けず、実施例7の光沢発現層の塗被組
成物を支持体表面に塗設した。塗工、乾燥、カレンダー
処理は実施例8の光沢発現層を塗設した際の条件と同様
として、比較例2のインクジェット記録シートを得た。
【0101】比較例3 インク受理層は、実施例6と同様にして得た。 [光沢発現層の塗工]インク受理層の表面に、以下の光
沢発現層を塗設した。光沢発現層の塗被組成物は、顔料
として、アルミナゾル(カタロイドAS3:触媒化成株
式会社製)100部、接着剤として、実施例1と同じポ
リビニルアルコール10部とした。この塗被組成物を固
形分濃度10%とし、乾燥塗工量が5g/m2となるよ
うにエアーナイフコータで塗工・乾燥し、その後実施例
1と同じ条件でカレンダー処理を行い、比較例3のイン
クジェット記録シートを得た。
【0102】
【表2】
【0103】表2から明らかなように、支持体表面にカ
チオン性コロイド粒子を主体とするインク受理層と有機
ポリマー微粒子を主体とする光沢発現層からなる実施例
6〜9は、市販のアート・コート紙に匹敵する光沢を有
する一方で、印字濃度が高く、インク吸収性が優れてい
る。
【0104】しかし、支持体表面にインク受理層を塗設
しない比較例2では、印字濃度が低くく、インク吸収性
にも欠けている。
【0105】又、支持体表面にインク受理層を塗設し、
その表面に無機顔料超微粒子を主体とする塗被組成物を
塗設した比較例3では、印字濃度は高く、インク吸収性
も優れるものの、ひび割れが認められて画質の点で問題
があった。
【0106】実施例10 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、1.0μ
m以下の粒子径を30.2体積%有するカオリン(ウル
トラホワイト90:Engelhard社製)100部、 市販の
ポリアクリル酸系分散剤0.1部からなる固形分濃度7
0%の顔料スラリーに、市販のスチレン・ブタジエン系
ラテックス7部を添加して、pH9.5、固形分濃度6
0%に調整した得た。この塗被組成物を乾燥塗工量15
g/m2となるようにブレードコータで塗工・乾燥し
た。
【0107】[光沢発現層の塗工]インク受理層表面
に、光沢発現層を塗設した。光沢発現層の組成物は、有
機ポリマー微粒子として、カチオン性の有機ポリマー微
粒子10重量%水分散液 (平均粒子径:52nm、炭
素−炭素二重結合を2個と4級アンモニウム塩基を有す
る乳化剤により架橋されたポリスチレン微粒子、商品名
「ミストパールC−150」、荒川化学工業(株)製)
100部、接着剤として、ポリビニルアルコール(PV
A117:クラレ株式会社製)5部を主成分とした。こ
の組成物を固形分濃度20%として調液し、エアーナイ
フコータで、乾燥塗工量5g/m2となるように塗工、
乾燥し、実施例1と同条件でカレンダー処理を行い、実
施例10のインクジェット記録シートを得た。
【0108】実施例11 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、1.0μ
m以下の粒子径を73.3体積%有するカオリン(アマ
ゾン88:TheCaulim da Amasonia社製)100部、市
販のポリアクリル酸系分散剤0.2部からなる固形分濃
度70%の顔料スラリーに、市販のスチレン・ブタジエ
ン系ラテックス7部を添加して、pH9.5、固形分濃
度60%に調整した得た。この塗被組成物を乾燥塗工量
15g/m2となるようにブレードコータで塗工・乾燥
した。
【0109】[光沢発現層の塗工]インク受理層表面
に、実施例10と同じ配合を同じ塗工・乾燥条件、カレ
ンダー条件で処理し、実施例11のインクジェット記録
シートを得た。
【0110】実施例12 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗設した。該インク受理層の塗被組成物は、1.0μ
m以下の粒子径を100体積%有する平均粒子径65n
mのコロイダルシリカ(スノーテックスAK−ZL:日
産化学工業社製)100部に市販のスチレン・ブタジエ
ン系ラテックス7部を添加して、pH9.5、固形分濃
度45%に調整した得た。この塗被組成物を乾燥塗工量
15g/m2となるようにエアーナイフコータで塗工・
乾燥した。
【0111】[光沢発現層の塗工]インク受理層表面
に、実施例10と同じ配合を同じ塗工・乾燥条件、カレ
ンダー条件で処理し、実施例12のインクジェット記録
シートを得た。
【0112】実施例13 [インク受理層の塗工]インク受理層は、支持体の表面
に塗工した。インク受理層の塗被組成物は、1.0μm
以下の粒子径を12.3体積%有するのカオリン(ハイ
ドラスパース:Huber社製)100部、市販のポリアク
リル 酸系分散剤0.1部からなる固形分濃度70%の
顔料スラリーに、市販のスチレン・ブタジエン系ラテッ
クス7部を添加して、pH9.5、固形分濃度60%に
調整した得た。この塗被組成物を乾燥塗工量20g/m
2となるようにブレードコータで塗工・乾燥した。
【0113】[光沢発現層の塗工]光沢発現層は、イン
ク受理層の表面に塗工した。光沢発現層の塗被組成物
は、実施例10と同じ条件でインク受理層の表面に塗設
し、実施例13のインクジェット記録シートを得た。
【0114】
【表3】
【0115】表3から明らかなように、光沢発現層の塗
被組成物として、有機ポリマー微粒子を使用し、インク
受理層の塗被組成物として、1.0μm以下の粒子径を
30体積パーセント以上有する無機顔料を主成分とする
塗被組成物とした実施例10〜13では、高い印字濃度
と光沢が得られる。特に、実施例11〜12では、イン
ク吸収性も優れている。実施例13はインク受理層の塗
被組成物として1.0μm以下の粒子径を12.3体積
パーセント有する無機顔料を使用した場合であるが、や
や光沢が低かった。
【0116】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録シートは、
支持体上にインク受理層、光沢発現層を順次積層してな
るものであり、光沢発現層中に平均粒子径200nm以
下のポリマー微粒子を使用することにより、インク吸収
性に優れ、高い印字濃度が得られ、市販のアート・コー
ト紙に匹敵する高い光沢度を有するインクジェット記録
シート、更には、それらの特性に加えてひび割れ強度を
備えたインクジェット記録シートである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にインク受理層を設けたインク
    ジェット記録シートにおいて、支持体上に少なくとも1
    層以上のインク受理層、主成分として平均粒子径200
    nm以下の有機ポリマー微粒子からなる光沢発現層を順
    次積層してなり、JIS Z8741に規定される75
    度鏡面光沢度が、25%以上であることを特徴とするイ
    ンクジェット記録シート。
  2. 【請求項2】 75度鏡面光沢度が、30〜70%であ
    る請求項1記載のインクジェット記録シート。
  3. 【請求項3】 有機ポリマー微粒子が架橋されていて、
    しかもアニオン性又はカチオン性である請求項1又は2
    に記載のインクジェット記録シート。
  4. 【請求項4】 インク受理層の塗被組成物が、1.0μ
    m以下の粒子径を30体積%以上有する無機顔料を主成
    分とする請求項1〜3のいずれか記載のインクジェット
    記録シート。
  5. 【請求項5】 無機顔料がカチオン性コロイド粒子であ
    る請求項4記載のインクジェット記録シート。
  6. 【請求項6】 インク受理層中に、カチオン性顔料分散
    剤又はカチオン性染料定着剤を含有する請求項1〜5の
    いずれか記載のインクジェット記録シート。
  7. 【請求項7】 支持体上にインク受理層を設けたインク
    ジェット記録シートにおいて、支持体上に少なくとも1
    層以上のインク受理層、主成分として平均粒子径200
    nm以下の有機ポリマー微粒子及び水溶性接着剤からな
    る光沢発現層を順次積層してなり、JIS Z8741
    に規定される75度鏡面光沢度が、25%以上であるこ
    とを特徴とするインクジェット記録シート。
  8. 【請求項8】 75度鏡面光沢度が、30〜70%であ
    る請求項5記載のインクジェット記録シート。
  9. 【請求項9】 水溶性接着剤が、ポリビニルピロリド
    ン、ポリビニルアルコール類及びセルロース誘導体より
    選ばれる水溶性接着剤である請求項7又は8記載のイン
    クジェット記録シート。
  10. 【請求項10】 インク受理層の塗被組成物が、1.0
    μm以下の粒子径を30体積%以上有する無機顔料を主
    成分とする請求項7〜9のいずれか記載のインクジェッ
    ト記録シート
  11. 【請求項11】 無機顔料がカチオン性コロイド粒子で
    ある請求項10記載のインクジェット記録シート。
  12. 【請求項12】 インク受理層中に、カチオン性顔料分
    散剤又はカチオン性染料定着剤を含有する請求項7〜1
    1のいずれか記載のインクジェット記録シート。
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