JP3863590B2 - インクジェット記録シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものであり、さらに詳しくは、印字斑が改良され、且つインク吸収性、ドット形状、耐水性、インク受理層の膜強度、印字後カール性に優れた高品質なインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、ディフレクション方式、キャビティ方式、サーモジェット方式、バブルジェット方式、サーマルインクジェット方式、スリットジェット方式およびスパークジェット方式などに代表される種々の作動原理により、インクの微小液滴を飛翔させて紙などのインクジェット記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要などの長所があり、漢字を含め各種図形およびカラー画像などの記録装置として種々の用途において急速に普及している。
【0003】
さらに、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックなどの色素を各々含有させた多色インクを用いるインクジェット方式により形成された画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録画像を得ることが可能であり、作成部数が少なくて済む用途においては、銀塩写真による現像よりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0004】
このインクジェット記録方式で使用されるインクジェット記録シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙やコーテッド紙などの一般紙を用いることができるようにインクジェット記録装置、色素構造やインク組成面などの分野で注力されてきた。
【0005】
しかしながら、高速化・高精細化あるいはフルカラー化などインクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、インクジェット記録シートに対しても、より高度な特性が要求されるようになった。すなわち、インクジェット記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速くて、印字ドットが重なった場合でもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくならないこと、インクドットの形状が真円に近く、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと、白色度が高く、インクドットとのコントラストが大きいことなどの諸要求を満足させる必要があった。
【0006】
従来、これらの条件を満足させるために、種々の無機顔料を、必要によりバインダー樹脂と共に紙表面に塗工し、あるいは内填することが提案されており、例えば無機顔料として合成非晶質シリカまたはその塩、あるいはこれらの混合物を用いること(特開昭57−157786号公報)や、多孔質のカチオン性水和アルミニウム酸化物を含有すること(特開昭60−232990号公報)などが提案されているが、これらの中でも、特に、特開昭60−204390号公報や特開平2−198889号公報などに記載されているような、BETによる比表面積の大きな合成非晶質シリカやカチオン性コロイド粒子であるカチオン性水和アルミニウム酸化物を含有する記録シートは、印字濃度が高く、発色性に優れる利点を有している。
【0007】
一般的なインク受理層は、上記のような無機顔料と、それらを接着するためのバインダー樹脂、インクの色素を定着させるためのカチオン性色素定着剤および種々の添加剤などからなる。バインダー樹脂としては、例えば、特開昭55−51583号公報や同60−171143号公報などに提案されているようなポリビニルアルコール、澱粉、セルロース系などの水溶性樹脂が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、無機顔料の接着性、インク吸収性などに比較的優れるものの、本来バインダーである樹脂自身が水溶性であるために、印字画像部が水に触れたり、高湿条件下に長期間放置されたりすると、インク溢れが生じるなどの問題があった。
【0008】
このような問題を解決するための手段としては、より高重合度の水溶性樹脂を用いる手段の他にも、例えば、特開昭62−242578号公報、同62−268682号公報、同62−278080号公報、同63−176172号公報、同63−176174号公報などでは、上記の水溶性樹脂を架橋剤にて架橋せしめ耐水性を向上させる提案がなされている。
【0009】
しかしながら、このような方法をもってしても未だ十分な耐水性は得られないばかりか、耐水性を発現させる手段が架橋であるために、経時でインク受理性が低下したり、白紙部が黄変化するなどの経時保存性に劣り、さらには印字後のカールが強くなるという問題が新たに生じた。特に昨今のインクジェット記録技術の躍進により、高精細な画像を出力できるようになった反面、インクジェット記録シートの単位面積当たりへのインク打ち込み量が非常に増加したため、インク受理層のみならず支持体にもインク吸収性を持たせて対応しているのが現状である。支持体がセルロース繊維を抄造して造られる紙の場合、インク溶媒の水が浸透することでセルロース繊維間の水素結合が破壊されるために伸延するが、一方、支持体上に設けられたインク受理層は架橋剤により架橋されていて伸延しにくいからインクジェット記録シートはインク受理層を内側にした筒状にカールするといった不都合が生じた。
【0010】
また、上記したような水溶性樹脂をバインダー樹脂として用いたインクジェット記録シートでは、広範囲のベタ印字などを行った場合に印字斑が発生した。300dpiを超えるような高解像度な画像を要求される用途では、多少の印字斑でも著しく画像の品質を損ねたものとなり、市場のニーズに応えることはできない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記したような印字斑が改良され、且つインク吸収性、ドット形状、耐水性、インク受理層の膜強度、印字後カール性に優れた高品質なインクジェット記録シートを得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、インクジェット記録シートにおける上記の問題について鋭意検討を重ねた結果、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂のみをバインダー樹脂として用いたようなインク受理層では、塗工した際に該水溶性樹脂がマイグレーションしてインク受理層内部よりも該層の表面近傍に多く分布するためにインク吸収性が不均一となり、印字斑が発生したりドット形状が悪化することを見いだした。
【0013】
水溶性樹脂をバインダー樹脂として用いる場合、インク受理層の皮膜強度、耐水性などを向上させるためにはできるだけ高重合度の樹脂を用いることが好ましい。このような高重合度の樹脂であればマイグレーションしにくくて良化の方向にあるものの、該樹脂を用いたインク受理層塗工液は一般的に粘度が非常に高くなって脱泡が困難となり、また、レベリング性の低下を招くため、インク受理層の塗工斑が悪化する。この時、該塗工液の粘度を低下させて製造効率を向上しようとすれば、該樹脂のマイグレーションを誘発することになる。さらに、いくら高重合度の水溶性樹脂を用いても、要望されているような耐水性を得ることはできない。
【0014】
また、例えば、特開昭62−242578号公報、同62−268682号公報、同62−2708080号公報、同63−176172号公報などには、ポリビニルアルコールに代表される水溶性樹脂を種々の架橋剤を用いて架橋することが提案されているが、このような水溶性樹脂の架橋によって耐水性を向上させる方法は、経時でインク受理性が低下したり、白紙部の黄変を助長したり、印字後にカールを発生する場合があり問題となる。
【0015】
一方、本発明者らはバインダー樹脂として、特定の保護コロイドを有してなる酢酸ビニル系のエマルジョンを用いると、該エマルジョンのマイグレーションが少なく印字斑が改良され、且つインク吸収性、ドット形状に優れるインクジェット記録シートの得られることを見いだした。またこのようなバインダー樹脂を用いた場合には十分な耐水性および膜強度を得ることができた。
【0016】
ここで、インク吸収性に優れたインクジェット記録シートとは、十分なインク吸収容量を有し、且つインク吸収速度が速いことを意味する。特にインク吸収速度は、インクとインク受理層との親和性が重要であり、従来公知の水性インクにおいては親水性の高いインク受理層が好ましい。一方、基本的にインク受理層の耐水性は、インク受理層を疎水化することで向上させることができる。したがって、インク吸収性と耐水性の改良は相反する方向にあり両立させることは困難であった。
【0017】
すなわち、本発明のインクジェット記録シートは、支持体の少なくとも片面に、主に無機顔料とバインダー樹脂からなるインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該バインダー樹脂が、保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂であることを特徴とするインクジェット記録シートである。
【0018】
また、保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であることを特徴とするインクジェット記録シートである。
【0019】
保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂が、エチレンを共重合成分として含有することを特徴とするインクジェット記録シートである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のインクジェット記録シートを詳細に説明する。
本発明におけるインクジェット記録シートのインク受理層を構成する無機顔料とは、BET法による比表面積が100m2/g以上であり、さらに好ましくは150m2/g以上の無機顔料である。このような比表面積の無機顔料を使用することにより、高い印字濃度および優れた発色性を発現させることができる。無機顔料のBET比表面積が100m2/g未満であると、十分な印字濃度および優れた発色性が得られない。
【0021】
このような無機顔料としては、従来公知の白色顔料を1種以上を単独で、あるいは混合して用いることができ、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
【0022】
本発明におけるインクジェット記録シートには、上記の無機顔料の中でも、特に合成非晶質シリカを用いることが好ましく、印画濃度、インク吸収性、印字画像の鮮鋭性などに優れるインクジェット記録シートを得ることができる。このような合成非晶質シリカとは、例えば、特開昭57−157786号公報、同61−141584号公報、同61−230979号公報、同62−292476号公報などに記されているような、ケイ酸のゲル化により、SiO2の三次元構造を形成させた、微多孔性、不定形微粒子であり、その代表的な物性値範囲としては、平均粒子径10nm〜20μm程度、ハンター白色度90以上、細孔径10〜2000オングストローム程度を有する。
【0023】
このような合成非晶質シリカは、市販のものを好適に用いることができ、例えば、ミズカシルP−526、ミズカシルP−801、ミズカシルNP−8、ミズカシルP−802、ミズカシルP−802Y、ミズカシルC−212、ミズカシルP−73、ミズカシルP−78A、ミズカシルP−78D、ミズカシルP−78F、ミズカシルP−87、ミズカシルP−705、ミズカシルP−707、ミズカシルP−707D、ミズカシルP−709、ミズカシルC−402、ミズカシルC−484(以上水沢化学製)、トクシールU、トクシールUR、トクシールGU、トクシールAL−1、トクシールGU−N、トクシールN、トクシールNR、トクシールPR、ソーレックス、ファインシールE−50、ファインシールT−32、ファインシールX−37、ファインシールX−70、ファインシールRX−70ファインシールA、ファインシールB(以上、徳山ソーダ製)、カープレックスFPS−101、カープレックスCS−7、カープレックス80、カープレックスXR、カープレックス67(以上、塩野義製薬製)、サイロイド63、サイロイド65、サイロイド66、サイロイド77、サイロイド74、サイロイド79、サイロイド404、サイロイド620、サイロイド800、サイロイド150、サイロイド244、サイロイド266(以上、富士シリシア化学製)などが挙げられる。
【0024】
本発明におけるインク受理層には、上記のような無機顔料と併用して、カチオン性コロイド粒子を添加することもできる。ここでカチオン性コロイド粒子とは、水中に懸濁分散してコロイド状をなしているものであり、該粒子表面が正に帯電した粒子を指し、例えば、ベーマイト、擬ベーマイトなどのアルミナゾルやコロイダルアルミナ、あるいは特公昭47−26959号公報に開示されているようにコロイド状シリカ粒子表面をアルミナコーティングした粒子などがあげられる。
【0025】
本発明におけるインクジェット記録シートのインク受理層において、上記の無機顔料を接着するためのバインダー樹脂としては、該バインダー樹脂がマイグレーションしてインク受理層表面近傍に不均一に分布することを抑制するために、保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて、水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂を用いることが好ましい。ここで酢酸ビニル系樹脂とは、酢酸ビニルのみからなるポリ酢酸ビニル樹脂を含み、さらに、例えば、酢酸ビニルモノマーとプリピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、高級第3級ビニルエステル(VeoVa)、塩化ビニル、臭化ビニルなどのビニルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキスル、マレイン酸ブチル、マレイン酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オクチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、エチレングリコールジアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ブトキシメチロールアクリルアミドなどの不飽和カルボン酸アミド、アクリルニトリルなどの不飽和ニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、インタコ酸、マレイン酸酸性エステル、フマル酸酸性エステル、インタコ酸酸性エステルなどの不飽和カルボン酸、酢酸アリル、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリルなどのアリル化合物、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどの含窒素化合物、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホン酸、エチレン、プロピレン、ヘキセン、オクテン、スチレン、ビニルトルエン、ブタジエンなどの炭化水素などに代表される共重合成分の1種以上と共重合して得られる樹脂を指す。
【0026】
これらの樹脂は保護コロイドにて乳化されており、該保護コロイドとしてはシラノール変性ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。ここで、シラノール変性ポリビニルアルコールとは、例えば、Die Angewandte Makromolekulare chemie 81,137(1979)などに記載されている従来公知の合成方法で製造することができるものであり、ビニルトリメトキシシランと酢酸ビニルをメタノール中などで共重合せしめ、次いで水酸化ナトリウムを触媒とするメタノリシスによって酢酸ビニルを鹸化して目的の重合物を得ることができる。シラノール変性ポリビニルアルコールとしては、鹸化度85%以上、重合度500〜2000程度、分子中のシラノール基の含有量が単量体単位として、0.05〜3mol%が好ましい。このようなシラノール変性ポリビニルアルコールは市販のものを好適に用いることができ、例えば、R−1130、R−2105、R−2130(以上、クラレ製)などを挙げることができる。
【0027】
酢酸ビニル系樹脂を乳化重合する場合、保護コロイドとして上記のようなシラノール変性ポリビニルアルコールを用いる以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲でポリビニルアルコールあるいはその他の変性ポリビニルアルコールを併用することができる。ここで、変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、カルボキシル基、カチオン基、チオール基などを含むモノマーをビニルアルコールモノマーと共重合させるか、あるいは、任意の重合度を有するポリビニルアルコールとポリアクリル酸やポリアクリルアミドなどのポリマーと重合させてブロックポリマーを形成させたものであり、また、機能性モノマーをポリビニルアルコールにグラフト重合させたものを挙げることができる。これらの変性ポリビニルアルコールは、市販のものを好適に用いることができ、その一例として、KL−118、KL−318、KL−506、KL−118、KL−618(以上、クラレ製、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール)、C−118、C−506、C−318、CM−318(以上、クラレ製、カチオン変性ポリビニルアルコール)、MP−103、MP−203(以上、クラレ製、片末端パラフィン変性ポリビニルアルコール)、M−115、M−207(以上、クラレ製、末端チオール変性ポリビニルアルコール)などを挙げることができる。
【0028】
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンソルビダンモノアルキレート、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイドブロックコポリマーなどのノニオン系界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルアリルポリエーテルスルホン酸塩などのアニオン系界面活性剤、トリメチルモノドデシルアンモニウムブロマイドなどの第4級アンモニウム塩やフォスホニウム塩などのカチオン系界面活性剤やヒドロキシエチルセルコース、デンプン、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、プルラン、キサンタンなどの多糖類、ポリアクリル酸およびその共重合物、ポリアクリルアミドおよびその共重合物、ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合物、マレイン酸共重合物、ポリビニルピロリドンおよびその共重合物、ポリビニルメチルエーテルおよびその共重合物などの合成高分子などを乳化剤として併用することもできる。
【0029】
ここで、シラノール変性ポリビニルアルコール以外の、ポリビニルアルコールあるいはその他の変性ポリビニルアルコールやアニオン、カチオン、ノニオン系界面活性剤のみを用いて乳化した酢酸ビニル系樹脂では、マイグレーションしやすく、耐水性およびインク受理層の膜強度は極端に低下する。この理由は定かではないが、例えば、日本化学会誌 4,365(1994)や同誌 5,450(1994)に記載されているように、シラノール基と無機顔料との特異的な相互作用の成し得る結果であると推測できる。すなわち、例えば、通常のポリビニルアルコールと無機顔料からなる塗工層では、シリカ粒子が凝集を起こして分散が不均一になり、さらに無機顔料との相互作用が弱いポリビニルアルコールのマイグレーションが進行するため、印字斑が発生し、ドット形状も乱れたものとなる。一方、シラノール変性ポリビニルアルコールは無機顔料との相互作用が強く無機顔料の凝集を抑制して均一化し、且つ水などの溶媒が蒸発する過程においては無機顔料とシラノール変性ポリビニルアルコールとの間で反応が起こり強固に固定するためマイグレーションは起こらない。
【0030】
ところで、本発明のインクジェット記録シートであれば印字後カールも良好なものとなるが、これは、上記した無機顔料とシラノール変性ポリビニルアルコールとの反応において生ずるSi−O−Si結合とC−O−Si結合によると推測される。すなわち、インク溶媒の水によって何等変化しないSi−O−Si結合と容易に切断されるC−O−Si結合が適宜混在し、且つ柔軟な酢酸ビニル系樹脂を含む効果と相まって、伸長しようとする支持体の応力を吸収するためと推測できる。
【0031】
シラノール変性ポリビニルアルコールを保護コロイドとして酢酸ビニル系樹脂を水系乳化重合する場合、保護コロイドの量は酢酸ビニル系樹脂に対して5〜20重量%、より好ましくは8〜15重量%である。
【0032】
また、保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が10℃以下、より好ましくは5℃以下であると、耐水性、インク受理層の膜強度、印字後カール性がより一層向上する。保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂のTgを低下させるためには、酢酸ビニルと上記したような他の共重合成分を共重合することが好ましい。他の共重合成分として特に好ましいものはエチレンであり、酢酸ビニルとエチレンの共重合とすることが最も好ましい。
【0033】
さらに、本発明における保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂には、ジブチルフタレート、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジブチルなどの可塑剤、キシロール、カービトール、セルゾルブ、ベンジルアルコール、ブチルカービトールアセテートなどの溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールなどの凍結融解安定剤、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリエチル−S−トリアジン、チオシアノメチル−チオベンゾチアゾール、2−(4−トリアゾリル)ベンジイミダゾールなどの防腐剤を必要により添加することができる。
【0034】
本発明における保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂は従来公知の乳化重合法などにより製造することができる。安全性、生産性などを考慮すると、非水系での重合は好ましくなく、通常水系での乳化重合が行われる。乳化重合に際し、添加される開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの過酸化物を用いる。過酸化水素を用いる場合には、酒石酸、クエン酸、グルコーズアルデヒド、アルビノーズなどの還元性物質と併用して用いることができる。また、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチルニトリルなどの開始剤は、水溶性開始剤と併用し、モノマーに溶解して使用することもできる。これらの添加剤種類および量などは、共重合成分や保護コロイド類により適宜変更して用いることができる。
【0035】
以下に、ポリ酢酸ビニル樹脂または常圧で共重合可能な共重合成分との共重合体の製造法について具体的な一例を記す。
攪拌装置、逆流コンデンサー、温度測定装置、原料添加口、製品取り出し口の付属した乳化重合槽に、保護コロイドとしてシラノール変性ポリビニルアルコール水溶液を入れ攪拌を開始する。開始剤と重炭酸ナトリウムなどの重合促進剤およびアセトアルデヒドなどの調整剤を添加し攪拌を継続する。次いで酢酸ビニルを徐々に添加して十分乳化した後、ジャケットの温度を70〜80℃程度に上昇させ、内温を66〜70℃として重合を開始させる。レフラックスが始まった後、ジャケットの温度を低下させ40〜55℃に保つ。レフレックスが穏やかになったところでジェケットの温度を80〜85℃に上昇させ重合を完結させる。ジャケットの温度を低下させ内温が25℃程度になってから、攪拌を中止し内容物を取り出す。
【0036】
本発明におけるインクジェット記録シートのインク受理層は、上記したような無機顔料とバインダー樹脂を含有しつつ、その塗工液粘度として1000rpmのずり速度における粘度が40〜150cps/23℃、より好ましくは60〜120cps/23℃であるとバインダー樹脂のマイグレーションを十分に抑制することができる。ここで、1000rpmのずり速度における粘度とは、例えば、日本機器レオロジー社製、ハイシェアレオメーター NRM−100などを用いて測定できる値であり、固定された円形プレートと、高速回転する円形コーンの間に挟まれた被対象液体に1000〜10000rpm程度の高いずり応力をかけることができる装置である。
【0037】
本発明のインクジェット記録シートのインク受理層におけるバインダー樹脂の添加量としては、無機顔料100重量%に対して3〜70重量%が好ましく、より好ましくは5〜50重量%である。3重量%未満ではインク受理層の塗層強度が不足し、また、70重量%を超えるとインクジェット記録装置の種類によってはインク吸収能が不足するため、インクが溢れ好ましくない。
【0038】
通常、水溶性樹脂を上記のような、いわゆるエマルジョン樹脂に置き換えた場合にはチクソトロピー性の高い液体となり、1000rpmのずり速度における粘度を40cps/23℃以上に保つことが問題として挙げられる場合がある。このような場合には、塗工液の固形分濃度を増加させることにより粘度を向上させることもできるが、例えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコールなど;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体または共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸の重合体または共重合体などのアクリル系重合体ラテックス;あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤を併用し、適切な粘度特性を有する塗工液に改良することができるが、その添加量はできるだけ少ない方が好ましく、無機顔料100重量%に対して30重量%以下、より好ましくは10重量%以下にとどめることが好ましい。
【0039】
特に少量の添加で粘度コントロールができる会合型レオロジーモデファイヤーを用いることも好ましい。会合型レオロジーモデファイヤーの添加量としては、無機顔料100重量%に対して、0.1〜3重量%程度である。種類としては、ウレタン系、アクリル系、アクリルウレタン系、ビニルピロリドン系などがあり、市販のものを好適に用いることができ、例えば、プライマルRM−4、プライマルRM−5、プライマルTT−615、プライマルTT−935、プライマルTT−950、プライマルEXP−300、プライマルQR−708、プライマルRM−825、プライマルRM−870、プライマルRM−1020、プライマルRM−2020、プライマルSCT−200、プライマルSCT−270、プライマルTT−678(以上、ローム&ハース製)などが挙げられる。
【0040】
また、本発明のインクジェット記録シートでは、インク色素の定着性を向上させる目的から、カチオン性色素定着剤を添加することが好ましい。カチオン性色素定着剤としては、従来公知の水溶性カチオン樹脂をいずれも好適に用いることができる。カチオン性色素定着剤の添加量としては、無機顔料100重量%に対して1〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜10重量%である。1重量%未満ではインク色素の定着性は向上せず、20重量%を超えるようであると、カチオン性色素定着剤自身がバインダー樹脂としての役目を果たすため、インク吸収性を阻害するばかりか、マイグレーションが発生して印字斑を引き起こし、また、耐水性が低下してしまう。
【0041】
本発明のインクジェット記録シートにおけるカチオン性色素定着剤は、エマルジョンの形態であると好ましい。このようなエマルジョンとしては、ウレタン系、アクリル系、アクリルウレタン系などの疎水性成分と親水性のカチオン成分を共重合せしめた共重合体などであり、市販のものが好適に用いることができ、例えば、S−3911、S−3931、S−3936、S−3950、S−3951、S−3955、S−3960、S−3961、S−3966、S−3980(以上、住友化学製)が挙げられる。
【0042】
さらに、本発明のインクジェット記録シートでは、インク受理層中に顔料分散剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤および酸化防止剤などを適宜添加することもできる。
【0043】
本発明における支持体としては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプに代表される木材パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1種以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で製造された原紙、さらに原紙に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設けた原紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステルなどの透明、半透明あるいは不透明化された2軸延伸合成樹脂フィルム、さらにコロナ放電処理、下引き層塗設などの加工処理された合成樹脂フィルムも含まれる。この様な原紙、塗工紙あるいはフィルムに、そのまま本発明に係る塗層を設けても良いし、平坦化をコントロールする目的で、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を使用しても良い。また、支持体の坪量としては、通常40〜300g/m2であるが、特に制限されるものではない。
【0044】
本発明におけるインク受理層を支持体上に設ける方法としては、水またはアルコールなどの親水性有機溶剤、あるいはこれらの混合溶媒を用いて、例えば、従来公知のエアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により支持体上に塗工することができる。また、インク受理層の塗工後には、マシンカレンダー、温度勾配(TG)カレンダー、スーパカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用いて平滑化処理を行うことができる。
【0045】
本発明における、インク受理層の塗工量は特に制限はないが、1〜30g/m2が好ましい。塗工量が1g/m2未満であると十分な印字濃度およびインク吸収性が得られないため好ましくなく、塗工量が30g/m2を超えるとインクジェット記録シートのカール性が悪化するため好ましくない。また、インク受理層はある一定の塗工量を数回に分けて塗設する事も可能である。特に、多数回に分けてインク受理層を塗工する場合、バインダー樹脂として水溶性樹脂を用いたようなインク受理層では、バインダー樹脂のマイグレーションによる印字斑が酷くなるが、本発明のインクジェット記録シートであれば高品質な印字画像が得られる。
【0046】
また、支持体を挟んだインク受理層の反対面には、カール適性を付与するために、バックコート層を塗設することも可能であり、その際の顔料としては、平板状顔料や加水ハロイサイトが好ましく、バックコートを設けない場合でも、フリューデックスなどの加湿器により水蒸気を噴射することでカール強制を行うこともできる。
【0047】
本発明で云うインクとは、下記の色素、溶媒、その他の添加剤からなる記録液体であり、色素としては、発色性、鮮明性、安定性などが良好な、例えば、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 24、C.I.Direct Yellow 26、C.I.Direct Yellow 44、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 98、C.I.Direct Yellow 100、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct red 1、C.I.Direct red 4、C.I.Direct red 17、C.I.Direct red 28、C.I.Direct red 83、C.I.Direct Orenge 34、 C.I.Direct Orenge 39、C.I.Direct Orenge 44、C.I.Direct Orenge 46、C.I.Direct Orenge 60、C.I.Direct Violet 47、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Blue 6、C.I.Direct Blue 22、C.I.Direct Blue 25、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 86、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Blue 106、C.I.Direct Blue 199、C.I.Direct Black 17、 C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 32、C.I.Direct Black 51、C.I.Direct Black 62、C.I.Direct Black 71、C.I.Direct Black 108、C.I.Direct Black 146、C.I.Direct Black 154などの直接染料、C.I.Acid Yellow 11、C.I.Acid Yellow 17、C.I.Acid Yellow 23、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Acid Yellow 29、C.I.Acid Yellow 42、C.I.Acid Yellow 49、C.I.Acid Yellow 61、C.I.Acid Yellow 71、C.I.Acid red 1、C.I.Acid red 6、C.I.Acid red 8、C.I.Acid red 32、C.I.Acid red 37、C.I.Acid red 51、C.I.Acid red 52、C.I.Acid red 80、C.I.Acid red 85、C.I.Acid red 87、C.I.Acid red 92、C.I.Acid red 94、C.I.Acid red 115、C.I.Acid red 180、 C.I.Acid red 256、C.I.Acid red 317、C.I.Acid red 315、C.I.Acid Orenge 7、C.I.Acid Orenge 19、C.I.Acid Violet 49、C.I.Acid Blue 9、C.I.Acid Blue 22、C.I.Acid Blue 40、C.I.Acid Blue 59、C.I.Acid Blue 93、C.I.Acid Blue 102、C.I.Acid Blue 104、C.I.Acid Blue 113、C.I.Acid Blue 117、C.I.Acid Blue 120、C.I.Acid Blue 167、C.I.Acid Blue 229、C.I.Acid Blue 234、C.I.Acid Blue 254、C.I.Acid Black 2、C.I.Acid Black 7、C.I.Acid Black 24、C.I.Acid Black 26、C.I.Acid Black 31、C.I.Acid Black 52、C.I.Acid Black 63、C.I.Acid Black 112、C.I.Acid Black 118 などの酸性染料やその他にも塩基性染料、反応性染料或は食品用色素などの水溶性染料、あるいは有色顔料などを用いることができる。
【0048】
インクの溶媒としては、水および水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトンまたはケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0049】
上記の水溶性有機溶剤の中でも、特にジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0050】
インク中に添加されるその他の添加剤としては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、防錆剤などが挙げられる。
【0051】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り重量部および重量%を示す。
【0052】
実施例および比較例の各インクジェット記録シートは以下のようにして評価した。
(評価方法)
▲1▼印字斑
各インクジェット記録シートに、インクジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2C)でブラックインクのハーフトーンベタ印字を行い、印字斑を目視評価した。
4:印字斑は全く観察されず、良好な画像が得られた。
3:印字斑が極わずかに観察されたが、画像に大きな影響は与えない。
2:印字斑が部分的に発生し、画像の品質を損ねた。
1:印字斑が全体に発生し、著しく画像の品質を損ねた。
【0053】
▲2▼インク吸収性
各インクジェット記録シートに、インクジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2C)でマゼンタとシアンのベタ印字を行った。この時、マゼンタとシアンのベタ部が接するような画像とし、両ベタ印字部の境界における滲みの程度を目視評価した。このような境界滲みは、インク吸収速度およびインク吸収容量に影響される。十分なインク吸収容量を有したインクジェット記録シートであっても、インク吸収速度が遅いと、1色目のインクが乾燥しないうちに2色目のインクが打ち込まれてしまうため、画像が滲む。
4:光学顕微鏡による観察でも境界滲みは全く観察されず良好であった。
3:光学顕微鏡による観察で、極わずかな境界滲みが観察できたが、画像品質には影響しない。
2:裸眼で、わずかな境界滲みが観察できた。
1:境界滲みが酷く、画像品質の低下は避けられない。
【0054】
▲3▼ドット形状係数K
各インクジェット記録シートに、インクジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2C)でブラックインクのドットを印字して、画像解析装置(ニレコ製、ルーゼックス、測定条件:画素数16000、1画素4μm)を用いて下記式によりドット形状係数Kとして評価した。
なお、ドット形状係数Kは100に近づくほど真円に近似することを意味する。
【0055】
【数1】
K=1/4π×PM2/A×100
ここで、PMは周囲長(μm)、Aは面積(μm2)を示す。
【0056】
▲4▼耐水性
各インクジェット記録シートに、インクジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2C)でブラックインクのベタ印字を行い、白紙と印字の境界部分にシリンジを用いて水を1ml滴下後、24時間放置した。放置した後の滲み程度を目視評価した。
4:滲みは全く観察されない。
3:滲みが極わずかに観察された。
2:滲みが発生し、部分的にしみが観察された。
1:滲みが酷く、水滴下全体がしみとなった。
【0057】
▲5▼インク受理層の膜強度
各インクジェット記録シートのインク受理層表面にセロテープ(ニチバン製)を0.5Kg/cm2の強さで圧着した後、25℃、60%で24時間放置した。その後にセロテープを180°の角度で剥離して、セロテープの粘着層表面に付着したインク受理層の多さを目視評価した。
4:インク受理層の付着は全く観察されない。
3:インク受理層の付着が極わずかに観察された。
2:インク受理層の付着が部分的に観察された。
1:インク受理層全体が付着してしまった。
【0058】
▲6▼印字後カール性
各インクジェット記録シートのA4版全面に、インクジェットプリンター(EPSON製、MJ−700V2C)でブラックインクのベタ印字を行い、20℃、65RH%の環境下に1時間放置した後、カール状態を評価した。カール性の評価は、インク受理層を表して机上に置いた場合に、該記録シートの4角が机からどの程度離れているかを測定した。なお、4角の算術平均値として評価した。
【0059】
以下に、バインダー樹脂の合成例を示す。
(合成例)
攪拌装置、逆流コンデンサー、温度測定装置、原料添加口、製品取り出し口の付属した乳化重合槽に、保護コロイドとしてシラノール変性ポリビニルアルコール(クラレ製、R1130)の10%水溶液を200g入れ攪拌を開始した。開始剤(過硫酸アンモニウム)と重合促進剤(亜硫酸塩)を添加し攪拌を2分間行った。次いで酢酸ビニル200gを徐々に添加した後、10分間攪拌して十分乳化した。ジャケットの温度を78℃程度に上昇させ、内温を66℃として重合を開始させ、レフラックスが始まった後、ジャケットの温度を低下させ46℃に保った。レフレックスが穏やかになったところでジェケットの温度を84℃に上昇させ重合を完結させた。ジャケットの温度を低下させ内温が25℃程度になってから、攪拌を中止し内容物を取り出た。このようにして得られたバインダー樹脂(A)は、固形分濃度55%、残存モノマー0.1%、平均粒子径0.5μm、Tg30℃であった。
以下、上記の同様な水系乳化重合法で合成例のバインダー樹脂(B)〜(G)および比較合成例のバインダー樹脂(K)〜(N)を作製した。なお合成例のバインダー樹脂(H)〜(J)は特公昭52−34650号公報の例示などを参照にして作製した。
【0060】
【表1】
Figure 0003863590
【0061】
実施例1
LBKP(濾水度400mlcsf)80部とNBKP(濾水度480mlcsf)20部から成る木材パルプ100部に対して、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウム/タルクの比率が10/10/10の顔料20部、市販アルキルケテンダイマー0.10部、市販カチオン系アクリルアミド0.03部、市販カチオン化澱粉1.0部、硫酸バンド0.5部を調製後、長網抄紙機で抄造し、坪量90g/m2の支持体を得た。
【0062】
支持体上に、下記配合のインク受理層塗工液(固形分濃度16%水溶液)をエアーナイフコーターにより乾燥塗工量が18g/m2となるように塗工乾燥して実施例1のインクジェット記録シートを得た。
Figure 0003863590
【0063】
実施例2〜10
インク受理層中の合成例(A)のバインダー樹脂を各々合成例(B)〜(J)のバインダー樹脂に変更した以外は実施例1と同様にして作製し実施例2〜10のインクジェット記録シートを得た。
【0064】
比較例1
インク受理層の配合を下記の通りに変更した以外は実施例1と同様にして作製し比較例1のインクジェット記録シートを得た。
Figure 0003863590
【0065】
比較例2
インク受理層の配合を下記の通りに変更した以外は実施例1と同様にして作製し、比較例2のインクジェット記録シートを得た。
Figure 0003863590
【0066】
比較例3
インク受理層の配合を下記の通りに変更した以外は実施例1と同様にして作製し、比較例3のインクジェット記録シートを得た。
Figure 0003863590
【0067】
比較例4〜7
インク受理層中の合成例(A)のバインダー樹脂を比較合成例(K)〜(N)のバインダー樹脂にした以外は実施例1と同様にして作製し比較例4〜7のインクジェット記録シートを得た。
【0068】
比較例8
インク受理層中のバインダー樹脂としてAE322(JSR製、アクリル系エマルジョンTg0℃)を用いた以外は実施例1と同様にして作製し比較例8のインクジェット記録シートを得た。
【0069】
比較例9
インク受理層中のバインダー樹脂としてSX808(JSR製、アクリル/シリコン系エマルジョンTg<0℃)を用いた以外は実施例1と同様にして作製し比較例9のインクジェット記録シートを得た。
【0070】
比較例10
インク受理層中のバインダー樹脂としてMA1200(東洋紡績製、ポリエステル系エマルジョンTg60℃)を用いた以外は実施例1と同様にして作製し比較例10のインクジェット記録シートを得た。
【0071】
以上、実施例1〜10および比較例1〜10のインクジェット記録シートの評価結果をまとめて表2に示した。
【0072】
【表2】
Figure 0003863590
【0073】
(評価)
実施例1〜10の如く、本発明のインクジェット記録シートは印字斑が改良され、ドット形状、耐水性、インク受理層の膜強度および印字後カールに優れるものであった。特に、実施例5〜7では酢酸ビニル系樹脂のガラス転移温度が10℃以下であったために、ドット形状係数、耐水性、膜強度の向上が確認できた。さらに、実施例8〜10では、酢酸ビニル系樹脂の共重合成分としてエチレンを含有しているために、印字後カールについても改良されていた。
【0074】
しかしながら、比較例1〜3ではポリビニルアルコールのみをバインダー樹脂として用いたために何れの評価項目でも劣った。特にドット形状係数と印字後カールは酷く、ポリビニルアルコールの重合度の増加とともに悪化する傾向があった。比較例4〜7ではシラノール変性ポリビニルアルコールを保護コロイドとして用いずに、他の保護コロイドあるいは界面活性剤のみでバインダー樹脂を作製したために、印字斑、インク吸収性、ドット形状係数、耐水性、膜強度の何れの項目も実施例に比べて劣った。比較例8〜10では、酢酸ビニルを主成分とする樹脂以外の代表的なエマルジョン樹脂を用いたが、何れの場合でも良好な結果は得られなかった。
【0075】
【発明の効果】
以上から明かなように、主に無機顔料とバインダー樹脂から構成されるインク受理層塗工液を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該インク受理層のバインダー樹脂が特定の保護コロイドを用いて乳化した酢酸ビニル系樹脂であると、印字斑、インク吸収性、ドット形状、耐水性、インク受理層の膜強度および印字後カール性に優れたものとなる。

Claims (3)

  1. 支持体の少なくとも片面に、主に無機顔料とバインダー樹脂からなるインク受理層を設けたインクジェット記録シートにおいて、該バインダー樹脂が、保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂であることを特徴とするインクジェット記録シート。
  2. 保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂のガラス転移温度(Tg)が10℃以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録シート。
  3. 保護コロイドとして、シラノール変性ポリビニルアルコールを用いて水系乳化重合することにより得られた酢酸ビニル系樹脂が、エチレンを共重合成分として含有することを特徴とする請求項2記載のインクジェット記録シート。
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