JP2006232586A - 気相法シリカ分散液の製造方法および記録材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が高く、分散後すぐに使用しても塗布適性が良好な色材受容層塗液を得ることが可能な気相法シリカ分散液の製造方法を提供する。また、こうして得た気相法シリカ分散液を使用することで、色材受容層のひび割れがなく面質が良好で、光沢、色材吸収性に優れた記録材料を提供する。
【解決手段】気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で水系分散媒中に分散して気相法シリカ分散液を製造する方法において、該分散液の製造工程中もしくは製造後に該分散液のpHを0.1以上上昇させる操作を行う。気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる操作が、pKaが1.0以上の酸とアルカリ金属との塩の添加により行われると好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生産性、安定性が高い気相法シリカ分散液の製造方法に関する。さらには、その気相法シリカを用いた記録材料の製造方法に関するものである。特に、インクジェット記録、熱転写記録および電子写真記録等により画像を形成するための記録材料の製造方法に関する。
近年、情報産業の急速な発展に伴い、種々の情報処理システムが開発され、また、それぞれの情報システムに適した記録方法及び装置も開発され、採用されている。このような記録方法の中で、インクジェットあるいはプロッターを用いたインク記録、及び溶融型色材あるいは昇華型色材を用いた感熱転写記録においては、使用する装置が、軽量かつコンパクト化され、騒音もなく、操作性、保守性にも優れたものとなっている。さらに、このような記録方法で使用される装置はカラー化も容易であることから、最近広く使用されている。また、従来の電子写真方式においてもカラー化が進み高解像度でフルカラーのプリンター、複写機が開発され商品化されてきている。
インクジェット方式は各種の方式が開発されているが、物性的には大きく分けて、水溶性色素を含む色素溶液あるいは水性媒体中に色材顔料が分散された色材分散液(水性インク)を用いる方法、及び油溶性色素を含む色素溶液(油性インク)を用いる方法、そして色素を含有した低融点固形ワックス(ワックスインク)を熱溶融させて用いる方法の三種がある。主流は水性インクを使用するタイプである。何れにしてもインク記録材料に液状の微粒滴を吐出させて画像を形成する方法である。
感熱転写方式は、大きくわけて二種の方式があり、第1の方式は支持体上に塗工された熱溶融性のインクを支持体側から熱印加し熱印加したパターン状に溶融させて被記録材料に転写させて画像を得る方法(溶融熱転写)であり、第2の方式は支持体上に高軟化点の樹脂と昇華性染料からなる感熱記録材料に前者と同様に支持体側から熱印加し、熱印加したパターン状に昇華染料を昇華させ被記録材料に転写させて画像を得る方法(昇華熱転写)である。電子写真方式は帯電した光導電層に光パターンを与えて静電潜像を形成し、トナー現像後に被記録材料に転写し、熱でトナーを溶融定着する方法が主流である。
これらの記録方式に使用される記録材料として、通常の紙支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性バインダーからなる多孔質の色材受容層を設けてなる記録材料が知られている。
例えば、特開昭55−51583号、特開昭56−157号、特開昭57−107879号、特開昭57−107880号、特開昭59−230787号、特開昭62−160277号、特開昭62−184879号、特開昭62−183382号、及び特開昭64−11877号公報等に開示のごとく、シリカ等の含珪素顔料を水溶性バインダーと共に紙支持体に塗布して得られる記録材料が提案されている。
特公平3−56552号、特開平2−188287号、特開平10−81064号、特開平10−119423号、特開平10−175365号、特開平10−203006号、特開平10−217601号、特開平11−20300号、特開平11−20306号、特開平11−34481号公報等公報には、気相法による合成シリカ微粒子(以降、気相法シリカと称す)を用いた記録材料が開示されている。また、特開平11−321079号(特許文献1)、特開2001−80204号公報には、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で分散したスラリーを用いることが開示されている。
この気相法シリカは、一次粒子の平均粒子径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られるという特徴がある。近年、フォトライクの記録シートが要望される中、益々光沢性が重要視されてきており、ポリオレフィン樹脂被覆紙(紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)やポリエステルフィルム等の耐水性支持体上に気相法シリカを主体とする色材受容層が塗設された記録材料が提案されている。
上記のごとき、光沢の高い、フォトライクな記録材料を得るために、気相法シリカ等の無機微粒子は、水等の分散媒体中で、粗粒がなく、微細かつ均一に分散されている必要がある。こうした気相法シリカ等の無機微粒子の分散方法として、例えば、特開2002−274018号公報、特開2004−267991号公報等に開示されている。これらの文献には、無機微粒子を最終的に均一化する以前の粗分散物を得る工程(一次分散工程)、これら一次分散液を高圧ホモジナイザー、超音波分散機等を用いて、より微細かつ均一な微粒子に分散する工程(二次分散工程)により、目的とする分散液を得ることができることが開示されている。
一方、カチオン性化合物の存在下で分散した気相法シリカ分散物は、分散直後はシリカ表面の活性が高いせいか、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子と混合し、色材受容層塗液を調液したときに、著しく増粘を起こす問題が生じていた。色材受容層塗液を希釈すれば、各種コーターで塗工可能であるが、生産性に劣る。分散後数日経過すると、こうした水溶性高分子と混合した際の増粘は発生しにくくなり、色材受容層塗液をそれほど希釈することなく各種コーターで塗工することが可能となるが、それまでの間タンク等で分散液を保管しておかなければならず、分散後の保管時間の短縮が望まれているのが実情である。
特開平11−321079号公報(第2〜12頁) 特開2004−267991号公報(第2〜7頁)
従って、本発明の目的は、生産性が高く、分散後すぐに使用しても塗布適性が良好な色材受容層塗液を得ることが可能な気相法シリカ分散液の製造方法を提供すること、さらには、こうした気相法シリカ分散液を使用することで、色材受容層のひび割れがなく、面質が良好で、光沢、色材吸収性に優れた記録材料を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の発明によって達成された。
1)気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で水系分散媒中に分散して気相法シリカ分散液を製造する方法において、該分散液の製造工程中もしくは製造後に該分散液のpHを0.1以上上昇させる操作を行うことを特徴とする気相法シリカ分散液の製造方法。
2)前記気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる操作が、pKaが1.0以上の酸とアルカリ金属との塩の添加により行われる上記1)記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
3)前記気相法シリカ分散液の製造工程が、少なくとも気相法シリカの粗分散物を得る一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散物を微細分散して粒径分布を整える二次分散工程とからなり、前記気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる操作が、一次分散工程の途中あるいは終了後に行われる上記1)記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
4)前記気相法シリカ分散液の製造工程の終了後、気相法シリカ分散液に対し30℃以上の加温処理を施す上記1)記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
5)前記カチオン性化合物がポリジアリルアミン誘導体である上記1)記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
6)前記二次分散工程に、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機から選ばれる少なくとも一つを用いる上記3)記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
7)上記1)〜6)の何れか1項に記載に従って製造された気相法シリカ分散液と水溶性バインダーとを少なくとも含有する塗布液を支持体に塗布する記録材料の製造方法。
本発明の気相法シリカ分散液の製造方法によって、生産性、安定性が高く、分散後すぐに使用しても塗布適性が良好な色材受容層塗液を得ることが可能な気相法シリカ分散液を得ることができる。また、こうして得た気相法シリカ分散液を使用することで、色材受容層のひび割れがなく、光沢、色材吸収性に優れた記録材料を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の気相法シリカの製造方法は、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で水系分散媒中に分散してなり、該分散液の製造工程中もしくは製造後に該分散液のpHを0.1以上上昇させる操作を行うことを特徴とする。本発明において、分散液のpHを0.1以上上昇させるということは、この操作を行わずに製造した分散液に対して、この操作を行って製造した分散液のpHが0.1以上高いことを意味する。従来のカチオン性化合物の存在下で分散した気相法シリカでは、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子と混合した際に、気相法シリカ分散液が著しい増粘を起こす。このような著しい増粘は、気相法シリカ分散液を数日間保管することにより軽減するが、保管のための貯蔵タンクが必要となったり、分散直後にどうしても塗工する必要がある場合には、色材受容層塗液を大幅に希釈したりして塗工することとなり、著しい生産性の低下を招いていた。本発明の方法によれば、こうしたポリビニルアルコール等の水溶性高分子と混合した際の著しい増粘が抑制され、分散後の保管時間を大幅に短縮することが可能となる。
本発明の気相法シリカ分散液の製造方法は、気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で水系分散媒中に分散してなり、該分散液の製造工程中もしくは製造後に該分散液のpHを0.1以上上昇させる操作を行う。このpHを上昇させる操作を行うことが、気相法シリカ分散液とポリビニルアルコール等の水溶性高分子とを混合した際の著しい増粘の抑制、分散後の保管時間の短縮にとって重要である。理由は定かではないが、気相法シリカ分散液のpHを上昇させると、気相法シリカ表面に存在するシラノール基が中和され、アニオン性を発現するものと考えられる。この結果、カチオン性物質の気相法シリカ表面への親和性が高まり、気相法シリカの分散状態の安定化が速まるためではないかと考えられる。
本発明で用いられる気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって製造される。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されており入手することができる。
本発明の気相法シリカのBET法による比表面積は、インクジェット記録材料を製造した際により高い光沢、発色を得るためには、80m2/g以上400m2/g以下であることが好ましく、より好ましくは130m2/g以上400m2/g以下、特に好ましくは200m2/g以上400m2/g以下である。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
本発明の気相法シリカの平均一次粒径は5〜50nmである。光沢や発色性の点で、好ましくは5nm以上30nm以下であり、より好ましくは5nm以上20nm以下、特に好ましくは5nm以上16nm以下である。
本発明の気相法シリカ分散液は、カチオン性化合物を含む水系分散媒に気相法シリカを投入・分散して得られる。ここで、分散液中の気相法シリカの固形分濃度は17質量%以上25質量%以下であることが好ましい。濃度が17質量%以下の場合、本発明に示す分散方法に従わなくとも比較的容易に分散することが可能である一方、気相法シリカ水系分散液を使用してインクジェット記録材料を製造する為の塗液を作製する際、塗液の高濃度化が困難であったり、生産性や運送効率が悪くなる等、工業的に不利である。又濃度が25%を越える場合は気相法シリカ特有の嵩高い2次凝集構造が破壊され、インクジェット記録材料を製造する場合に重要となる効果的な空隙構造が保てなくなる。
本発明の気相法シリカ分散液に用いられるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物が挙げられ、中でもカチオン性ポリマーが好ましく用いられる。本発明に於いて、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを目安とする。これらのカチオン性化合物は、1質量%水溶液の液温25℃におけるpHが2以上5.5以下であるものが好ましく用いられ、より好ましくは2.5以上5以下である。
カチオン性ポリマーとしては、1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基あるいはホスホニウム塩基を有するポリマー等が用いられる。中でも水溶性ポリマーが好ましく、特に平均分子量が5万以下のポリマーが好ましい。特にポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有するカチオンポリマーが好ましく、例えば下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で表される構造を構成単位とするカチオンポリマーが挙げられる。これらの誘導体はジアリルアミン化合物の環化縮合によって得られ、シャロールDC902P(第一工業製薬)、ジェットフィックス110(里田化工)、ユニセンスCP−101〜103(センカ)、PAS−H(日東紡績)として市販されている。
Figure 2006232586
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一般式(1)、(2)、(3)及び(4)において、R1及びR2は各々、水素原子、メチル基、エチル基等のアルキル基、またはヒドロキシエチル基等の置換アルキル基を表し、Yはラジカル重合可能なモノマー(例えば、スルホニル、アクリルアミド及びその誘導体、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等)を表す。また、一般式(3)及び(4)において、n/m=9/1〜2/8、l=5〜10000である。Xはアニオンを表す。
一般式(3)又は(4)で示されるポリジアリルアミンの誘導体の具体的な例としては、特開昭60−83882号公報記載のSO2基を繰り返し単位に含むもの、特開平1−9776号公報に記載されているアクリルアミドとの共重合体等が挙げられる。本発明に用いられるポリジアリルアミン誘導体のカチオンポリマーの平均分子量は、2,000〜5万程度がより好ましい。
水溶性多価金属化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、フェノールスルホン酸亜鉛、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
これらの水溶性多価金属化合物の中でも特に水溶性アルミニウム化合物あるいは周期表4A族元素を含む水溶性化合物が好ましい。水溶性アルミニウム化合物は、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物がある。特に、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましい。
前記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式5、6又は7で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6-nm 一般式5
[Al(OH)3nAlCl3 一般式6
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n 一般式7
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物は水溶性で有れば特に制限はないがチタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物が好ましい。例えばチタンを含む水溶性化合物としては塩化チタン、硫酸チタンが、ジルコニウムを含む水溶性化合物としては酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が知られている。
カチオン性化合物の添加量は、好ましくは気相法シリカの0.1〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%である。多すぎると最終の記録材料表面にひび割れが発生しやすく、少なすぎると分散安定性の効果が得られない。
本発明の水系分散媒は主として水が好適に用いられるが、イオン交換水が特に好適である。粘度調整等の目的で必要に応じて水にメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル等の低沸点溶剤を添加することもできる。低沸点有機溶剤を添加する場合の添加量は全分散媒に対して30質量%程度以下が一般的であり、好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
本発明において、気相法シリカ分散液のpHを上昇させる方法としては、pH4〜7の弱酸性化合物を添加する方法、各種無機、有機のアルカリ性化合物を添加する方法があるが、少ない添加量でpH上昇の効果が得られる点で、アルカリ性化合物を添加することが好ましい。アルカリ性化合物としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、アミン類などの窒素化合物、弱酸と強アルカリの塩等を挙げることができる。これらの化合物は単独、又は混合して用いることができる。これらの中で、弱酸と強アルカリの塩、特に25℃におけるpKaが1.0以上の酸とアルカリ金属との塩が、気相法シリカ分散液への添加量の調整がしやすく、添加時のショックが少ないため、好ましく使用される。添加時のショック、およびそれに伴う気相法シリカ微粒子の一時的な凝集は、pH上昇後の分散液の攪拌を十分に行うことで軽減されていくが、ショックが強いと攪拌によっても凝集物の解離が不十分となり、こうした気相法シリカ分散液を使用した色材受容層塗液を塗布した際に、塗面の割れ等の塗布故障の原因となる場合がある。ここで、pKaとは、−log10Kaであり、Kaは酸解離定数を示す。さらに好ましくは、pKaが1.0〜11.0の酸とアルカリ金属との塩である。酸としては、シュウ酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸、フタル酸、ギ酸、酢酸、炭酸、炭酸水素、プロピオン酸、乳酸、ケイ酸等が挙げれるが、これらに限定されるわけではない。これらの中でも、亜硝酸、酢酸、炭酸、炭酸水素、ギ酸、プロピオン酸、乳酸等が好ましい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。
上記化合物の具体例としては、シュウ酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、ギ酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明は、気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる操作を含んでいるが、pHを0.1以上1.0以下上昇させるとより好ましく、特に好ましくは0.2以上0.5以下上昇させると好ましい。本発明の製造方法で製造された気相法シリカ分散液のpHは、分散液の安定性の観点から2.5以上5.0以下であると好ましく、特に好ましくは2.8以上4.0以下である。
本発明の気相法シリカの分散処理について説明する。気相法シリカの分散工程は、分散媒に気相法シリカを添加・混合(予備分散)し、粗分散物をする一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散液を分散装置で微細分散して粒径分布を整える二次分散工程の2工程からなると好ましい。
一次分散工程における予備分散は、通常のプロペラ攪拌、歯状ブレード型分散機、タービン型攪拌、ホモミキサー型攪拌、超音波攪拌等で行うことができる。気相法シリカを水系分散媒に投入する方法としては、カチオン性化合物と水系分散媒の混合物に気相法シリカ粉体を連続的に供給及び分散する方法が好ましい。分散媒に気相法シリカを連続的に供給及び分散する装置としては、フロー式連続吸引混合撹拌機を用いることができる。
本発明において、一次分散工程で得られる気相法シリカの粗分散物とは、一次粒子の平均粒径の数倍〜1万倍以下程度の粒径の凝集物が水系分散媒、及びカチオン性化合物と混合分散された状態であり、好ましい粘度は概略10〜数千mPa・sである。一次分散工程で得られた気相法シリカの粗分散物は、必要であれば更に適度の水、低沸点溶剤等を添加して二次分散工程に適した液性に整えても良い。
本発明では、一次分散工程で気相法シリカ微粒子をより均一に分散することで二次分散工程での分散が容易になり、得られる分散物を使用した記録材料は優れた白紙部光沢性と色材吸収性を有する。特に、一次分散工程で水系分散媒、及びカチオン性化合物中で分散することで二次分散工程で均一な二次粒子の分散が容易になり、得られる分散物を使用した記録材料はより優れた白紙部光沢性と色材吸収性を有する。
本発明において、一次分散工程で得られた気相法シリカの粗分散物を微細分散処理する二次分散工程では、例えば、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、薄膜旋回型分散機、ボールミル等が用いられる。好ましくは高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、及び薄膜施回型分散機から選ばれる少なくとも1つを用いる。高圧ホモジナイザーはバルブ/バルブシート間の間隙を高圧・高速で被処理物を通過させる際の剪断力を利用した分散機でゴウリンタイプとして広く知られており、APVゴウリン社、ラニー社、NIRO SOAVI社、(株)日本精機製作所、三和機械(株)等から市販されているものを使用できる。超高圧ホモジナイザーは高圧ホモジナイザーでは達成できないような更に高圧の処理ができる分散機であり、チャンバー中の折れ曲がった細い経路内を高圧・高速で被処理物を通過させる際の剪断力や衝撃力を利用したタイプや、対向するノズルから被処理液を高圧・高速で噴射して被処理液同士を衝突させる際の剪断力を利用した対向衝突型ジェット粉砕タイプが知られており、(株)スギノマシン、みづほ工業(株)、ナノマイザー社等からアルティマイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の商品名で市販されているものを使用できる。超音波分散機は超音波発振器より発生する超音波振動エネルギーを利用した分散機であり(株)日本精機製作所等から市販されているものを使用できる。薄膜施回型分散機はブラシを備えた高速回転軸を有するチャンバー内に被処理液を導入し、被処理液が薄膜となってチャンバー内壁を上部に移動する際のずり応力を利用したタイプであり、特殊機化工業(株)からフィルミックスという商品名で市販されているものを用いることができる。一次分散工程や二次分散工程の剪断により、添加していたカチオン性化合物が劣化して粒子の分散安定化効果が低下するのを補う目的で、必要に応じて二次分散処理を行う前にカチオン性化合物を追加しても差し支えない。
上記のようにして分散された気相法シリカは、数nm〜数十nmの一次粒子が網目構造あるいは鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在する。この凝集粒子の平均粒径が500nm以下になるまで分散される必要があり、好ましくは50nm〜300nm、さらに好ましくは50nm〜200nmになるまで分散される。ここで、凝集粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡による写真撮影で求めることができるが、簡易的にはレーザー散乱式の粒度分布計(例えば、(株)堀場製作所製、LA910)を用いて、個数メジアン径として測定することができる。また、気相法シリカ分散液の好ましい粘度は、ハンドリング性から、概略1000mPa・s以下であり、より好ましくは500mPa・s以下である。また、品質の安静性の観点から経時後の粘度上昇は少ない方が好ましい。
本発明において、好ましい一次分散工程の処理条件や二次分散工程の処理条件は、二次分散工程処理後の気相法シリカ分散物の粒度分布測定、電子顕微鏡観察等ににより粗粒の存在有無を評価したり、粘度測定を行ったり、分散物を使用した記録材料の特性評価により決定される。
本発明において、気相法シリカ分散液のpHを上昇させる操作は、上記分散工程のいずれの工程中でも構わない。例えば、気相法シリカの添加・混合前に、水系媒体中にカチオン性化合物とともにpHを上昇させるための化合物を添加させる方法、気相法シリカを水系媒体中に添加・混合後、一次分散工程の途中でpHを上昇させる方法、一次分散終了後、二次分散を行う前にpHを上昇させる方法、二次分散後にpHを上昇させる方法、およびこれらを組み合わせた方法等を採用することができる。これらの中で、気相法シリカとポリビニルアルコール等の水溶性高分子とを混合した際の著しい増粘の抑制、分散後の保管時間の短縮の効果の点で、一次分散工程の途中あるいは終了後にpHを上昇させる方法が好ましい。
本発明において、気相法シリカの分散工程終了後、気相法シリカ分散液に対し30℃以上の加温処理を施すことが好ましい。加温処理をすることにより、気相法シリカ分散液とポリビニルアルコール等の水溶性高分子と混合した際の著しい増粘がよりいっそう抑制され、分散後の保管時間のさらなる短縮することが可能となる。加温処理温度が高すぎると、気相法シリカ分散液からの水分の蒸発が多くなり、タンク壁面が乾きやすく、気相法シリカの粉体が析出したり、凝集物が発生することがある。好ましい加温処理温度は30℃以上90℃以下、特に好ましくは30℃以上70℃以下、さらに好ましくは30℃以上50℃以下である。加温処理時間は、加温処理温度が高い方が短くなる傾向があり、一該には言えないが、好ましくは30分以上である。
本発明の記録材料は、かかる方法にて分散液とした気相法シリカを主成分とする塗布液を支持体に塗布し、色材受容層を形成することによって得られる。気相法シリカは、色材受容層の主たる割合、すなわち色剤受容層の全固形分に対して気相法シリカを50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上含有することが好ましい。色材受容層には、気相法シリカ固形分を8g/m2以上含有するのが好ましく、10〜35g/m2の範囲で用いるのがより好ましい。この範囲より少ないと色剤吸収性が劣り、多すぎると強度が劣る傾向となる。
本発明における色材受容層は、本発明の製造方法により製造された気相法シリカ微粒子以外の無機微粒子を含有することができる。例えば、湿式法シリカ、コロイダルシリカ等の気相法シリカ微粒子以外のシリカ微粒子、および公知の白色顔料を1種以上用いることができる。白色顔料の例として、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、特開平8−72387公報などに記載されている気相法アルミナ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、コロイダルアルミナ、ヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アルミニウムゾル、酸化アンチモンゾルなどの白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
本発明の記録材料の色材受容層において気相法シリカを結着する目的でバインダーを用いる。バインダーとしては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチンなどのプロテイン、酸化デンプン、エステル化合物デンプン等の水性天然高分子化合物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の水溶性合成高分子化合物や水分散性合成高分子化合物の水系分散物が挙げられるが、透明性が高くインク等色剤のより高い浸透性が得られる水溶性バインダーが好ましく用いられる。水溶性バインダーの使用に当たっては、水溶性バインダーが色材の初期の浸透時に膨潤して空隙を塞いでしまわないことが重要であり、この観点から比較的室温付近で膨潤性の低い水溶性バインダーが好ましく用いられる。特に好ましい水溶性バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度200〜5000のものが好ましい。
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
バインダー量は、気相法シリカに対して40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。このようにバインダーの比率を小さくすることによって、色材吸収性は向上するが、ひび割れや粉落ちが発生しやすく、下限は8質量%である。
上記水溶性バインダーを用いる際は架橋剤(硬膜剤)と共に用いることが好ましい。架橋剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機架橋剤等が挙げられる。また、水溶性バインダーとしてアセトアセチル基変成ポリビニルアルコールのごときケト基を有する樹脂バインダー、架橋剤として一級アミノ基を分子内に2個以上有する化合物の組み合わせ等も挙げられる。これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量は色材受容層を構成する水溶性バインダーに対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明の記録材料を構成する色材受容層に色材定着用の媒染剤としてカチオン性化合物を添加することが好ましい。特に、記録材料がインクジェット記録用の場合には好適である。かかるカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、特開昭59−33176号、特開昭59−33177号、特開昭59−155088号、特開昭60−11389号、特開昭60−49990号、特開昭60−83882号、特開昭60−109894号、特開昭62−198493号、特開昭63−49478号、特開昭63−115780号、特開昭63−280681号、特開平1−40371号、特開平6−234268号、特開平7−125411号、特開平10−193776号、WO99/64248号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、特に好ましくは2千〜3万程度である。
水溶性多価金属化合物としては、前記気相法シリカの分散時に使用されるカチオン性化合物で例示した化合物が使用できる。これらの水溶性多価金属化合物の中でも特に水溶性アルミニウム化合物あるいは周期表4A族元素を含む水溶性化合物が好ましい。
また、水溶性多価金属化合物として、アルカリ性化合物を使用することもできる。例えば、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム等が挙げられる。
本発明において、インクの媒染剤として使用するカチオン性化合物の添加量は気相法シリカに対して1〜10質量%が好ましい。カチオン性化合物は2種以上を併用することができる。媒染剤として使用する場合、カチオン性ポリマーと水溶性多価金属化合物を併用するのが好ましい。
本発明において、色材受容層にカチオン性ポリマーや水溶性多価金属化合物等のカチオン性化合物を含有させる時期は、特に限定されないが、色材受容層塗布液を作製時に、本発明の製造方法による気相法シリカ分散液に、バインダー、架橋剤等の添加剤とともに添加されるのが好ましく、特に、塗布直前にインライン添加するのが好ましい。
本発明において、気相法シリカを含有する色材受容層の膜面pHが2〜6であることが好ましく、特に3〜5が好ましい。色材受容層の膜面pHは、J.TAPPI紙パルプ試験方法N0.49に記載の方法に従って、蒸留水を用い、30秒後に測定した表面pHである。
本発明の色材受容層は、更に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは水溶性バインダーに対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
本発明において、色材受容層に界面活性剤を添加することができる。用いられる界面活性剤はアニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系のいずれのタイプでもよく、また低分子のものでも高分子のものでもよい。1種もしくは2種以上界面活性剤を色材受容層塗液中に添加するが、2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用する場合は、アニオン系のものとカチオン系のものとを組み合わせて用いることは好ましくない。界面活性剤の添加量は色材受容層を構成するバインダー100gに対して0.001〜5gが好ましく、より好ましくは0.01〜3gである。
本発明において、色材受容層には更に、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明に用いられる支持体としては、一般紙、アート紙、コート紙等の吸水性支持体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、及び紙の両面にポリオレフィン樹脂をラミネートした樹脂被覆紙等の耐水性支持体が挙げられる。特に樹脂被覆紙が好ましく用いられる。
本発明において好ましく用いられる樹脂被覆紙を構成する原紙は、特に制限はなく、一般に用いられている紙が使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。この原紙には一般に製紙で用いられているサイズ剤、紙力増強剤、填料、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料等の添加剤が配合される。
さらに、表面サイズ剤、表面紙力剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、染料、アンカー剤等が表面塗布されていてもよい。
また、原紙の厚みに関しては特に制限はないが、紙を抄造中または抄造後カレンダー等にて圧力を印加して圧縮するなどした表面平滑性の良いものが好ましく、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
樹脂被覆紙の樹脂としては、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂や電子線や紫外線で硬化する樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテンなどのオレフィンのホモポリマーまたはエチレン−プロピレン共重合体などのオレフィンの2つ以上からなる共重合体及びこれらの混合物であり、各種の密度、溶融粘度指数(メルトインデックス)のものを単独にあるいはそれらを混合して使用できる。
電子線や紫外線で硬化する樹脂として用いることのできる樹脂としてはエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられるが、より具体的には以下の樹脂が挙げられる。
(1)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコール及びポリアルキレングリコールのポリ(メタ)アクリレート
(2)脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族の多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加させた多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート
(3)ポリエステルポリ(メタ)アクリレート
(4)ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート
(5)エポキシポリ(メタ)アクリレート
(6)ポリアミドポリ(メタ)アクリレート
(7)ポリ(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸エステル
(8)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、又は末端に有するビニル系又はジエン系化合物
(9)単官能(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイル化合物
(10)エチレン性不飽和結合を有するシアノ化合物
(11)エチレン性不飽和結合を有するモノあるいはポリカルボン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など
(12)エチレン性不飽和(メタ)アクリルアミド又はアルキル置換(メタ)アクリルアミドおよびその多量体
(13)ビニルラクタムおよびポリビニルラクタム化合物
(14)エチレン性不飽和結合を有するポリエーテルおよびそのエステル
(15)エチレン性不飽和結合を有するアルコールのエステル
(16)エチレン性不飽和結合を有するポリアルコールおよびそのエステル
(17)スチレン、ジビニルベンゼンなど1個以上のエチレン性不飽和結合を有する芳香族化合物
(18)(メタ)アクリロイルオキシ基を側鎖、又は末端に有するポリオルガノシロキサン系化合物
(19)エチレン性不飽和結合を有するシリコーン化合物
(20)上記(1)〜(19)記載の化合物の多量体あるいはオリゴエステル(メタ)アクリレート変性物
これらの樹脂は、単独で使用できるし他の樹脂と混合して使うこともできる。又、無溶剤で塗工することもできるし有機溶剤に溶解して塗工するか、水あるいは不溶解性の有機溶剤に乳化させて塗工、乾燥、硬化して用いることもできる。
また、樹脂被覆紙の樹脂中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010、イルガノックス1076などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えるのが好ましい。
本発明において好ましく用いられる支持体である樹脂被覆紙は、走行する原紙上にポリオレフィン樹脂の場合は、加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる押出コーティング法により製造され、その両面が樹脂により被覆される。また、電子線や紫外線により硬化する樹脂の場合は、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ブレードコーター、キャストコーターなど一般に用いられるコーターにより樹脂を塗布した後、電子線や紫外線を照射し、樹脂を硬化させて被覆する。また、樹脂を原紙に被覆する前に、原紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すことが好ましい。支持体の色材受容層が塗布される面(表面)は、その用途に応じて光沢面、マット面などを有し、特に光沢面が優位に用いられる。裏面に樹脂を被覆する必要はないが、カール防止の点から樹脂被覆したほうが好ましい。裏面は通常無光沢面であり、表面あるいは必要に応じて表裏両面にもコロナ放電処理、火炎処理などの活性処理を施すことができる。また、樹脂被覆層の厚みとしては特に制限はないが、一般に5〜50μmの厚味に表面または表裏両面にコーティングされる。
本発明に用いられる耐水性支持体の色材受容層が塗設される側には、下引き層を設けるのが好ましい。この下引き層は、色材受容層が塗設される前に、予め耐水性支持体の表面に塗布乾燥されたものである。この下引き層は、皮膜形成可能な水溶性ポリマーやポリマーラテックス等を主体に含有する。好ましくは、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース等の水溶性ポリマーであり、特に好ましくはゼラチンである。これらの水溶性ポリマーの付着量は、10〜500mg/m2が好ましく、20〜300mg/m2がより好ましい。更に、下引き層には、他に界面活性剤や硬膜剤を含有するのが好ましい。支持体に下引き層を設けることによって、色材受容層塗布時のひび割れ防止に有効に働き、均一な塗布面が得られる。
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、水溶性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
本発明において、色材受容層の塗布方法は、例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等のいずれの方法であっても、本発明の効果は得られる。本発明において、色材受容層は単一層であっても、複数の層から構成されていても良い。色材受容層が複数の場合は、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等の同時多層塗布方式を用いることが好ましい。
本発明で塗布する色材受容層塗布組成物の塗液粘度は、塗工方式にもよるが、スライドビードコーターやスライドカーテンコーターで塗工する場合、一般的には5〜1000mPa・sであり、好ましくは10〜500mPa・sである。色材受容層塗布組成物の塗布液固形分濃度は、上記の粘度範囲内に調整されるが、一般的には10〜30質量%である。塗布液を高濃度で塗布することで乾燥効率が向上するのに加えて水等が蒸発するときの表面の荒れを抑えることができるので好ましい。
本発明において、記録材料には、気相法シリカを含有する色材受容層に加え、さらに別の色材受容層、色材定着層、中間層、保護層等を設けてもよい。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。また、実施例、比較例で示される部は、断りがない限り乾燥固形部である。また、分散液のpHは断りがない限り液温25℃のときの値である。
「シリカの一次分散工程1」
カチオン性化合物として固形分3.5kg分のカチオン性ポリマー(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、分子量9000)、イオン交換水の混合液388kgをバッチ式分散タンクに仕込み、該混合液をバッチ式分散タンクとフロー式吸引分散攪拌機の間を循環経路を介して循環させながら、フロー式吸引分散攪拌機部より平均一次粒径7nmの気相法シリカ(トクヤマ社製、BET比表面積300m2/g)100kgを徐々に投入した。同時にバッチ式分散タンクに備えたノコギリ歯状ブレードを有する1軸の回転翼式攪拌機を周速20m/秒で運転した。全ての気相法シリカを投入し終わってから60分間、0.025MPaの減圧にて分散を行い、気相法シリカ分が20.5質量%の気相法シリカの粗分散物を得た。
「シリカの二次分散工程1」
一次分散工程で得られたシリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより、処理量1500l/時間、圧力40MPaの条件で2回分散して気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは2.9であった。回転翼式攪拌機で分散液を攪拌しながら、pH上昇剤として2%酢酸ナトリウム水溶液5kg(固形分として0.1kg)を添加し、さらに30分間攪拌を行い、気相法シリカ分が20質量%になるようにイオン交換水で希釈し、気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
「シリカの加温工程」
こうして得た気相法シリカ分散液を35℃で1日加温処理を行い、目的とする気相法シリカ分散液を得た。
「シリカの一次分散工程2」
カチオン性化合物として固形分3.5kg分のカチオン性ポリマー(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、分子量9000)とイオン交換水の混合液388kgをバッチ式分散タンクに仕込み、該混合液をバッチ式分散タンクとフロー式吸引分散攪拌機の間を循環経路を介して循環させながら、フロー式吸引分散攪拌機部より平均一次粒径7nmの気相法シリカ(トクヤマ社製、BET比表面積300m2/g)100kgを徐々に投入した。同時にバッチ式分散タンクに備えたノコギリ歯状ブレードを有する1軸の回転翼式攪拌機を周速20m/秒で運転した。全ての気相法シリカを投入し終わってから30分間、0.025MPaの減圧にて分散を行った。この後、回転翼式攪拌機で分散液を攪拌しながら、pH上昇剤として2%酢酸ナトリウム水溶液5kg(固形分として0.1kg)を添加し、さらに同条件で30分間分散を行った。この分散液を気相法シリカ分が20質量%になるようにイオン交換水で希釈し、気相法シリカの粗分散物を得た。
「シリカの二次分散工程2」
一次分散工程で得られたシリカ粗分散物を高圧ホモジナイザーにより、処理量1500l/時間、圧力40MPaの条件で2回分散し、気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
上記気相法シリカ分散液に「シリカの加温工程」の処理を行い、目的とする気相法シリカ分散液を得た。
「シリカの一次分散工程3」
カチオン性化合物として固形分3.5kg分のカチオン性ポリマー(ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド、分子量9000)、pH上昇剤として固形分0.1kg分の酢酸ナトリウム、イオン交換水の混合液400kgをバッチ式分散タンクに仕込み、該混合液をバッチ式分散タンクとフロー式吸引分散攪拌機の間を循環経路を介して循環させながら、フロー式吸引分散攪拌機部より平均一次粒径7nmの気相法シリカ(トクヤマ社製、BET比表面積300m2/g)100kgを徐々に投入した。同時にバッチ式分散タンクに備えたノコギリ歯状ブレードを有する1軸の回転翼式攪拌機を周速20m/秒で運転した。全ての気相法シリカを投入し終わってから60分間、0.025MPaの減圧にて分散を行い、気相法シリカ分が20質量%の気相法シリカの粗分散物を得た。
上記気相法シリカの粗分散物に「シリカの二次分散工程2」の処理を行った。この分散液のpHは3.2であった。さらに、「シリカの加温工程」の処理を行い、目的とする気相法シリカ分散液を得た。
2%酢酸ナトリウム水溶液の添加量を1.5kg(固形分として0.03kg)とした以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.0であった。
2%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに、2%炭酸水素ナトリウム水溶液を5kg(固形分として0.1kg)添加した以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
2%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに、2%乳酸ナトリウム水溶液を5kg(固形分として0.1kg)添加した以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
2%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに、2%リン酸水素二ナトリウム水溶液を5kg(固形分として0.1kg)添加した以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
2%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに、2%炭酸カリウム水溶液を5kg(固形分として0.1kg)添加した以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
2%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに、2%水酸化ナトリウム水溶液を1.5kg(固形分として0.03kg)添加した以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
2%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに、2%アンモニア水溶液を2kg(固形分として0.04kg)添加した以外は、実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
「シリカの二次分散工程2」において、高圧ホモジナイザーに代えて超音波分散機(日本精機製作所社製、循環式超音波ホモジナイザー出力300W)により処理量10l/時間で3回処理した以外は実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
「シリカの二次分散工程2」において、高圧ホモジナイザーに代えて薄膜旋回型分散機(特殊機化工業社製、フィルミックス)により周速40m/秒で処理した以外は実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
「シリカの二次分散工程2」において、高圧ホモジナイザーに代えて対向衝突式の超高圧ホモジナイザー(スギノマシン社製、アルティマイザー)により100MPaで1回処理した以外は実施例2と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
気相法シリカとして平均一次粒径20nmの気相法シリカ(日本アエロジル社製、BET比表面積90m2/g)を用いた以外は実施例1と同様にして目的とする気相法シリカ分散液を得た。この分散液のpHは3.2であった。
比較例1
実施例1において、pH上昇の操作を行わずに気相法シリカ分散液を作製した。なお、分散液は気相法シリカ分が20質量%になるようにイオン交換水で希釈した。分散液のpHは2.9であった。
比較例2
実施例14において、pH上昇の操作を行わずに気相法シリカ分散液を作製した。なお、分散液は気相法シリカ分が20質量%になるようにイオン交換水で希釈した。分散液のpHは2.9であった。
実施例1〜14、比較例1〜2で得られた気相法シリカ分散液について、分散液の濾過性、粘度を評価した。その結果を表1に示す。
A.分散液の濾過性
気相法シリカ分散液をJIS P 3801で規定された保留粒子径が3マイクロμmの濾紙を用い、分散液の濾過を行った。濾過時間、濾紙に残った残留物から、以下の基準で判定した。
◎:濾過時間が短く、濾紙上の残留物はほとんどない。
○:濾過時間は短めだが、濾紙上に小さめの残留物が少し見られる。
△:濾過にやや時間がかかる。あるいは濾紙上に小さめの残留物が目立つ。
×:濾過に時間がかかる。あるいは濾紙上に大小様々な残留物が見られる。
B.気相法シリカ分散液の粘度
気相法シリカ分散液の粘度を、分散終了直後に(株)東京計器製のB型粘度計を用いて25℃にて測定した。好ましくは500mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下である。
実施例1〜14、比較例1〜2で得られた気相法シリカ分散液について、以下の処方にて色材受容層塗液を調製し、粘度を評価した。その結果を表1に示す。
C.色材受容層塗液の粘度
色材受容層塗液の粘度を、調液直後に(株)東京計器製のB型粘度計を用いて40℃にて測定した。好ましくは150mPa・s以下、より好ましくは100mPa・s以下である。
「色材受容層塗液1」
実施例1〜13の気相法シリカ分散液を用い、下記組成の色材受受容層塗液を調製した。塗液の調製は液温40℃で行い、変性エタノールを全塗液質量の5%になるように配合し、塗液の固形分濃度が12%になるようにイオン交換水で希釈した。
気相法シリカ分散物(気相法シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 25部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
「色材受容層塗液2」
比較例1の気相法シリカ分散液を用い、下記組成の色材受容層塗液を調製した。塗液の調製は液温40℃で行い、変性エタノールを全塗液質量の5%になるように配合し、塗液の固形分濃度が12%になるようにイオン交換水で希釈した。
気相法シリカ分散物(気相法シリカ固形分として) 100部
酢酸ナトリウム 0.1部
ポリビニルアルコール 25部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 4部
「色材受容層塗液3」
実施例14の気相法シリカ分散液を用い、下記組成の色材受容層塗液を調製した。塗液の調製は液温40℃で行い、変性エタノールを全塗液質量の5%になるように配合し、塗液の固形分濃度が14%になるようにイオン交換水で希釈した。
気相法シリカ分散物(気相法シリカ固形分として) 100部
ポリビニルアルコール 17部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 3部
「色材受容層塗液4」
比較例2の気相法シリカ分散液を用い、下記組成の色材受容層塗液を調製した。塗液の調製は液温40℃で行い、変性エタノールを全塗液質量の5%になるように配合し、塗液の固形分濃度が14%になるようにイオン交換水で希釈した。
気相法シリカ分散物(気相法シリカ固形分として) 100部
酢酸ナトリウム 0.1部
ポリビニルアルコール 17部
(商品名:PVA235、(株)クラレ製、ケン化度88%、平均重合度3500)
ほう酸 3部
「記録材料の作製」
下記のようにして作製した支持体の下引き層を設けた面に、上記組成の色材受容層塗液を液温40℃に保温した状態でスライドビードコーターで固形分塗工量が25g/m2となるように塗布、乾燥し、記録材料を作製した。
「ポリオレフィン樹脂被覆紙の作製」
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5質量%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0質量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0質量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5質量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の基紙とした。抄造した基紙に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100質量%の樹脂に対して、10質量%のアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、厚さ35μmになるように押出被覆し、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。もう一方の面には密度0.962g/cm3の高密度ポリエチレン樹脂70質量部と密度0.918の低密度ポリエチレン樹脂30質量部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆した。
上記ポリオレフィン樹脂被覆紙の表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成の下引き層をゼラチンが50mg/m2となるように塗布乾燥して支持体を作製した。尚、部とは質量部を表す。
「下引き層」
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸−2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
上記のように作製した記録材料について、面質、光沢度、インク吸収性を評価した。その結果を表1に示す。
D.面質
記録材料の印字前の面質を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:塗布筋や亀裂が無く極めて均斉な膜面である。
○:わずかに塗布筋あるいは亀裂が認められるが、実使用可能なレベルである。
△:塗布筋が目立つ。あるいは比較的大きな亀裂が認められる。
×:著しい塗布筋や塗布ムラ、亀裂が見られ、実使用不能である。
E.光沢度
JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って測定した。
F.インク吸収性
セイコーエプソン社製インクジェットプリンターPM−G800で、Y、M、Cを混色印字し、インクの吸収状態及びモットリング(画像の濃淡むら)の発生状況を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎:速やかにインクが吸収され、モットリングの発生はない。
○:インクの吸収はやや遅いが、モットリングの発生はない。
△:印字面にインクがやや溢れ、僅かにモットリングの発生が認められる。
×:印字面にインクが溢れ、明らかに認められる強いモットリングの発生がある。
Figure 2006232586
上記結果から明らかなように、実施例1〜14に示したような本発明に提案の方法に従った気相法シリカ分散液の分散方法によれば、分散後すぐに使用しても塗布適性が良好な色材受容層塗液を得ることが可能となる。また、こうして得た気相法シリカ分散液を使用した記録材料とすることで、色材受容層のひび割れがなく面質が良好で、光沢、インク吸収性に優れている。気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる工程が、pKaが1.0以上の酸とアルカリ金属の塩の添加により行われる実施例2、5〜8は、水酸化ナトリウム水溶液の添加による実施例9、アンモニア水溶液の添加による実施例10に比べ、気相法シリカ分散液中の凝集物の発生が少なく、記録材料とした場合の色材受容層の面質も良好となり好ましい。また、実施例1〜3の比較から、気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる工程が、一次分散工程の途中あるいは終了後に行われる実施例1、2は、色材受容層塗液の粘度が100mPa・s以下で、塗布適性がいっそう良好となり、得られる記録材料の面質も良好となり好ましい。特に、気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる工程が、一次分散工程の途中に行われる実施例2は、分散液の濾過性も良好で特に好ましい。
これに対して、気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる工程を含まない比較例1、2は、色材受容層塗液の粘度が高く、塗布適性に劣り、得られる記録材料は、塗布筋が目立ち、面質に劣る。
本発明の気相法シリカ分散液はインクジェット記録、熱転写記録および電子写真記録等により画像を形成するための記録材料に利用できる。

Claims (7)

  1. 気相法シリカをカチオン性化合物の存在下で水系分散媒中に分散して気相法シリカ分散液を製造する方法において、該分散液の製造工程中もしくは製造後に該分散液のpHを0.1以上上昇させる操作を行うことを特徴とする気相法シリカ分散液の製造方法。
  2. 前記気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる操作が、pKaが1.0以上の酸とアルカリ金属との塩の添加により行われる請求項1記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
  3. 前記気相法シリカ分散液の製造工程が、少なくとも気相法シリカの粗分散物を得る一次分散工程と、該一次分散工程で得られた粗分散物を微細分散して粒径分布を整える二次分散工程とからなり、前記気相法シリカ分散液のpHを0.1以上上昇させる操作が、一次分散工程の途中あるいは終了後に行われる請求項1記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
  4. 前記気相法シリカ分散液の製造工程の終了後、気相法シリカ分散液に対し30℃以上の加温処理を施す請求項1記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
  5. 前記カチオン性化合物がポリジアリルアミン誘導体である請求項1記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
  6. 前記二次分散工程に、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機から選ばれる少なくとも一つを用いる請求項3記載の気相法シリカ分散液の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載に従って製造された気相法シリカ分散液と水溶性バインダーとを少なくとも含有する塗布液を支持体に塗布する記録材料の製造方法。
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