JP3751118B2 - インクジェット記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録体に関し、特に、高光沢性、インク吸収性、耐水性、耐候性、高印字濃度、発色性に優れるインクジェット記録体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、ノズルから高速で射出したインク液滴を、被記録材に付着させて記録する方式であり、フルカラー化が容易なことや印字騒音が低い等の特徴を有する。この方式では、使用されるインクは多量の溶媒を含んでいるので、高い記録濃度を得るためには、大量のインクを用いる必要がある。また、インク液滴は連続的に射出されるので、最初の液滴が吸収されないうちに次の液滴が射出され、インク液滴が融合してインクのドットが接合するという不都合が生じやすい。従って、このインクジェット記録方式で使用される記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が速くて印字ドットが重なった場合においてもインクの滲みがないこと等が要求される。
【0003】
一般塗工紙については、塗被層として細孔を有する顔料をインク受容層(1層あるいは多層)として設け、画質を決定する色彩性や鮮鋭性のコントロールを行い、色再現性や画像再現性の向上を図ってきた。たとえば、特公平5−071394号、特開昭62−111782号、特開昭62−169680号、特開昭62−227684号、特開昭63−013776号、特開平1−097678号に開示されたように、細孔を有する一次粒子あるいは二次粒子を顔料(一般にシリカ、アルミナなどが用いられる)として用い、バインダーを添加してインク受容層を設けたインクジェット記録体が挙げられる。
さらに、印字品質を高める目的で、特公昭63−22977号に開示されたように、インク吸収速度を上げるために、インク受容層の最上層に0.2〜10μにピークがある細孔を設け、また、吸収されたインクを孔径0.05μ以下からなる空隙に取り込み、より高画質のインクジェット記録体を提供するものが挙げられる。しかし、インクジェットプリンターの急速な普及に対応して、各種出版物や包装等の用途で、高光沢のある写真並の記録画像が求められている。特に、カラー記録の場合は、ドットの形状(真円状)、ドットのシャープさ、インクの吸収、定着速度、インク吸収容量等のインク受理性の点からフィルムや塗工紙タイプのニーズが高い。上記に示されたインク受容層は多孔性を持たす為に、顔料自身を大きくするか、あるいは2次粒子を大きく(ミクロンオーダー)する必要がある。ところが顔料が大きくなるとインク受容層の表面の平滑性が得られないだけでなく、光の透過が防げられ、インク受容層が不透明になり、高光沢を有し、写真並の記録画像は得られなかった。
【0004】
光沢を付与する目的で、溶解・膨潤によりインクを吸収する樹脂を塗被したインクジェット用記録シートが多く市販されているが、このような樹脂の溶解・膨潤によりインクを吸収させようとするものは、ある程度の光沢は得られるが、インクの乾燥速度が遅く、耐湿・耐水性も良くないのが現状である。
【0005】
平滑性、光沢性を得るため、最近、インク受容層を2層以上にし、上層を光沢発現層にすることが提案されている(たとえば:特開平3−215080号、特開平3−256785号、特開平7−89220号、特開平7−101142号、特開平7−117335号等)。これらの光沢発現層の主成分としてコロイダルシリカあるいはコロイダルシリカの複合体が利用されている。一般に使用される光沢発現層はキャスト処理(光沢発現層が湿潤状態で、加熱された鏡面ロールに圧着して鏡面光沢仕上げされてなる)によって得られる。キャスト面及びインク通過速度を得るために、表面の細孔が比較的大きく(ミクロンオーダー)設けられている。表面細孔が大きくなると、得られたインクのドットの周辺はギザギザになり、真円状からほど遠いものになる。それによって、画像は鮮明さがかなり欠けるものになる。360dpi×360dpiの印字レベルでは特に問題にならないが、720dpi×720dpi以上の高密度記録になるとドットが大きいため、ドットとドットが接合し、繊細な画像が得られなかった。また、このタイプのものの光沢発現層の下にあるインク定着層は数ミクロンの顔料を使用するため、透明性が全くなく、照りのある光沢を得ることができなかった。
【0006】
平滑性、透明性を得るため、インク受容層を擬ベーマイトとバインダーにより構成し、半径40〜100オングストローム未満を有する細孔の全容積が0.1〜0.4cc/gの細孔を設ける等の提案があるが(特開平2−276670号)、使用する顔料が擬ベーマイト粒子であるため、アルミナとの発色性の悪いインク(例えば:アシットレッド52(食用赤色106号)等の赤色)には適さない。また擬ベーマイト層自身も経時的に黄変しやすい問題があった。擬ベーマイトはコストも高いため、一般用途には向かない欠点もある。また、使用する擬ベーマイト粒子は1次コロイド粒子であるため、インク受容層全体の細孔容積が小さく、満足するインク吸収速度、インク吸収容量が得られない。そこで、特開平5ー32037号、特開平6ー199034号に開示されたように、平均粒子径100〜500nmの擬ベーマイトの2次粒子凝集体を使用し、平均細孔半径を30〜100オングストロームにコントロールしてインク受容層を設ける等の工夫が見られるが、使用する顔料が擬ベーマイトであるため、前記の擬ベーマイトの欠点があった。2次粒子を使用することによりインク吸収容量がある程度改善されたが、擬ベーマイトの2次粒子より得られたインク受容層の細孔容積がまだ十分ではなく、プリンターから吐出されたインク量が多い720dpi×720dpi以上の高精細印字のとき、インクを完全に吸収させることが困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは先に、コロイダルシリカを用い、細孔直径を2〜100nmにコントロールすることによって、高光沢を有するインクジェット記録体が得られる報告(特願平7−343835号)を行った。コロイダルシリカは1次粒子であるため、インクを吸収する部分が粒子間しかなく、高いインク吸収容量を得る場合には高塗布量とする必要があり、塗膜のひび割れの恐れもあり、塗工工程も複雑化する問題もあった。
【0008】
本発明は上記の問題を解決し、よりインクとの発色性がよく、耐候性、耐水性、インク吸収性、高光沢、高印字濃度が得られるインクジェット記録体を提供する。
本発明はインク吸収速度が速く、インク吸収容量が大きく、インク定着性、印字適性とも良好な高光沢インクジェット記録体を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
塗布条件によってインク受容層には多少の気泡などが混入することがあり、また、測定機器のバラツキもあるため、細孔半径分布曲線上に40nmを越える所にピークが出ることがあるが、これらはいずれも40nm以下のピークに比べると小さいものである。細孔半径が約6μmを越える領域では小さなピークが認められることもあるが、本発明のインク受容層細孔半径分布曲線では、40nm以下にピークを有し、40nmを越えて6μまでの領域にはピークは実質的に存在しない微粒子を用いる。
ここで得られる細孔半径40nm以下の細孔容積は少なくとも全インク受容層の細孔容積の40%以上、好ましくは65%以上を有する。本発明でいう細孔分布曲線のピークは細孔分布曲線上の最大ピークの高さの略10%以上を有するピークのことであり、それ以下のものは測定バラツキなどの影響があり、細孔ピークから除外する。
【0010】
一般市販のシリカは直径数ミクロンの粉体であり、インク吸収性は高いが、透明性が全くなく、一般塗工紙としては使用可能だが、高印字濃度と印字光沢を出すことが不可能である。また、粒径が大きいため、表面がかなりザラツキ、平滑化することも困難である。本発明では、インク受容層の顔料として平均粒子径10〜150nmの2次粒子よりなるシリカ、アルミナシリケート微粒子を用い、接着剤として水溶性樹脂を選択し、且つ塗布して得られたインク受容層細孔半径分布曲線のピークを40nm以下にコントロールすることによって、光沢、透明性が良好で、インク吸収容量、インク吸収速度も優れ、且つ得られたドットが真円である多孔質層を設計することに成功した。特に、本発明はシリカ、アルミナシリケートを用いたため、擬ベーマイトが有しない発色性、耐候性、高インク吸収性が得られる。
【0011】
本発明のシリカ、アルミナシリケート微粒子は、実質的に1次粒子が凝集してできた2次粒子からなるコロイド粒子である必要があり、このような構成によって比較的大きな細孔を有する2次粒子間に吸収されたインクが比較的小さい細孔を有する1次粒子間に再吸収され、インク吸収速度、インク吸収容量とも優れるインクジェット記録体を得ることが可能である。1次粒子が単分散したようなコロイド粒子(例えば:一般市販のコロイダルシリカ)の場合、基材に塗布して得られる多孔質層が比較的緻密なものになり、インクは1次粒子間にしか吸収されず、インク吸収速度、インク吸収容量をもたすためには大きな1次粒子を使用する必要がある。粒径が大きくなると、透明性を失いやすく、インク吸収性をもたすためには高塗布量が避けられない。高塗布量になると、塗膜にひび割れが入りやすく、また塗布工程も煩雑になりやすい。勿論、本発明の微粒子中に部分的に1次粒子が含まれても構わない。
【0012】
好ましくはインク受容層の細孔の合計容積を0.6ml/g以上、より好ましくは0.7ml/g以上とし、且つ細孔半径が3〜20nmの範囲内にある細孔の合計容積を0.3ml/g以上、より好ましくは0.4ml/g以上にすると、インク受容層の透明性が著しく向上し、インク吸収容量、インク吸収速度が優れた高印字濃度、高光沢のインクジェット記録体が得られる。インク受容層細孔容積に上限はないが、2.5ml/g程度までは得られる。また細孔半径3〜20nm範囲の細孔容積に関しても上限はないが、2.0ml/g程度までは得られる。
また、インク受容層全体が透明であるため、OHP用シート等としても使用が可能である。さらに、本発明のインク受容層を成型面に塗被成膜した後、中間層を介して支持体上に転写すると、光沢が著しく向上し、より高平滑、高光沢のインクジェット記録体が得られる。
【0013】
本発明のインクジェット記録体は、支持体と、その上に設けられたインク受容層とを有し、
前記インク受容層が、その記録表面を形成する上層と、この上層と前記支持体との間に配置された下層とを含み、
前記インク受容上層が、合成無定形シリカ粒子及び/又は合成アルミナシリケート粒子の凝集体を水系媒体中において、機械的手段により細分化して得られ、かつ平均粒子径3〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径10〜150nmの2次粒子からなるシリカ微粒子及び/又はアルミナシリケート微粒子、並びに水性樹脂を含有し、かつ、この上層の水銀圧入法により得られた細孔半径分布曲線ピークは実質的に40nm以下にあるものであり、
前記インク受容下層が、0.5μm以上の平均粒径を有する顔料粒子と、接着剤とを含むものである、
ことを特徴とするものである。
【0014】
本発明のインクジェット記録体において、前記インク受容上層の細孔容積が0.6ml/g以上であり、かつ3〜20nmの半径を有する細孔の合計容積が0.3ml/g以上であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、インク受容層が成型面に塗布成膜された後、粘着性もしくは接着性を有する中間層を介して、支持体に転写されてなることが好ましい。
【0015】
本発明のインクジェット記録体において、水性樹脂がポリビニールアルコールであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、インク受容層中にカチオン性樹脂を含有することが好ましい。
【0016】
本発明のインクジェット記録体において、インク受容層が細孔半径分布曲線のピークを40nm以下に少なくとも二つを有し、且つ一つのピークが5nm以下にあることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、中間層が熱可塑性樹脂、接着剤と感圧接着剤より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録体において、成型面は高平滑面を有するフィルム、ラミネート紙、グラシン紙、無機ガラスまたは金属表面であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で云う細孔半径分布の測定について説明する。本発明は支持体の影響を避けるために、インク受容層をフィルムに設けた後、カッター等でインク受容層を剥がし取り測定に用いた。或いはインク受容層をフィルムに設けそのまま測定できる。この場合は、フィルム自体の細孔分布が無視できるフィルムを用いる。細孔分布は例えばマイクロメトリックス ポアサイザー9320(島津製作所製)を用い、水銀圧入法により求めた空隙量分布曲線から細孔分布(微分曲線)を計算して求めることができる。水銀圧入法による細孔径の測定は細孔の断面を円形と仮定して導かれた下記の式(1)を使って計算した。
R=−2γCOSθ/P
ただし、式中でそれぞれR:細孔半径、γ:水銀の表面張力、θ:接触角、P:圧力を示す。
【0018】
水銀の表面張力は482.536dyn/cmとし、使用接触角は130°とし、水銀圧力を低圧部(0〜30psia、測定細孔半径:180〜3μ)と高圧部(0〜30000psia、測定細孔半径:3μ〜3nm)にて測定した。インク受容層の細孔容積は予め測定したインク受容層の重量と空隙量分布曲線から計算される。
【0019】
本発明において、支持体としては、例えば、セロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、含浸紙、蒸着紙、水溶性紙等の紙類、金属フォイル、合成紙などのシート類が適宜使用される。
【0020】
次に、本発明のインク受容層について詳細説明する。
まず、本発明のインク受容層を構成するシリカ、アルミナシリケート微粒子を主成分とする層について説明する。
【0021】
本発明に用いるシリカ微粒子は一般市販の合成無定型シリカ(数ミクロン)を機械的手段で強い力を与えて細分化することにより得られる。つまり、breaking down法(塊状原料を細分化する方法)によって得られる。勿論、本発明のシリカ微粒子はコロイド粒子であっても、スラリーの状態であってもよい。シリカはアルミナなどのカチオン性化合物により変性したカチオン変性シリカであってもよい。
本発明のアルミナシリケート微粒子はアルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された複合体微粒子であり、粒子中にアルミナ(Al2 O3 )成分とシリカ成分(Si O2 )とを個別に取り出すことができない状態に含有してなるものである。アルミナ成分とシリカ成分のモル比率は略6:2であるが、非晶質な構造であるため1:4〜4:1の範囲でも合成することが可能であり、これらも本発明で使用し得る。またはアルミナとシリカ以外の各種金属アルコキシドを適宜加えて3成分からなる各種金属アルコキシドを製造して本発明のアルミナシリケート微粒子として使用することもできる。本発明に用いるアルミナシリケート微粒子はアルコール雰囲気で合成されるが、合成反応が完了した後、ミクロンオーダーの凝集体(2次粒子)として得られる。平均粒子径10〜150nmの2次粒子分散体を得るためには、例えば前記凝集体を水系溶液中で機械的手段で細分化して得ることができる。
【0022】
機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、乳鉢、擂解機(鉢状容器中の被粉砕物を、杵状攪拌棒で磨砕混練する装置)、サンドグラインダー等の機械的手法が挙げられる。本発明でいう平均粒径は電子顕微鏡(SEMとTEM)で観察した粒径である(1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子のマーチン径を測定し平均したもの。「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)。本発明で用いるシリカ、アルミナシリケート(実質的に2次粒子)の平均粒子径は10〜150nmに調整され、好ましくは20〜100nmである。150nmを越えると得られる細孔半径分布曲線のピークが40nmより大きな部分にも現れ、インク受容層の透明感が著しく失われ、印字濃度が著しく低下し、また、ドットの真円度も低下するなどの問題が生じ、所望の印字後の高光沢を有するインクジェット記録体が得られない。
【0023】
インク受容層に使用するシリカ、アルミナシリケート微粒子を構成する1次粒子は平均粒子径3nm〜40nmの範囲に、好ましくは平均粒子径5〜30nmに調整される。平均粒子径3nm未満になると1次粒子間の空隙が極端に小さくなり、インク中の溶剤やインクを吸収する能力が著しく低下する。一方、1次粒子が平均粒子径40nmを越えると、凝集した2次粒子が大きくなり、インク受容層の透明性が低下する。
【0024】
本発明で製造したシリカ、アルミナシリケート自身は成膜性があまりないため、インク受容層として設ける場合は通常、接着剤(バインダー)として水性樹脂を添加する。水性樹脂としては、水溶性樹脂が好ましく、たとえばポリビニルアルコール(以下PVAとも称す)、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成タンパク質類、でんぷん、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。また高分子ラテックス、合成樹脂エマルションなどの水分散性接着剤を添加してもよい。これらは2種以上を併用してもよい。
分散適性、塗料安定性から各種のポリビニルアルコールが最も好ましい。特に分散性、インク吸収性を得るためにはバインダーとして重合度2000以上のPVAが好ましく使用される。また、耐水性を得るためには、ケン化度95%以上のPVAが有効である。
【0025】
本発明で製造したシリカ、アルミナシリケート微粒子と接着剤の固形分重量比は特に限定しないが10/1〜10/10程度、好ましくは10/2〜10/6の範囲に調節される。接着剤の添加量が多いと、粒子間の細孔が小さくなり、インク吸収速度が得られない恐れがある。一方、接着剤が少ないと塗被層にひび割れが入り、細孔半径分布曲線のピークがミクロンオーダーになり、繊細な印字画像が得られない恐れがある。
【0026】
勿論、必要に応じて前記特定のシリカ、アルミナシリケート/接着剤(バインダー)以外に他の顔料を配合してもよい。たとえば、コロイダルシリカ、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗被紙分野で公知公用の各種顔料を本発明の効果を阻害しない範囲で使用できる。ただし、塗工層の表面細孔半径分布曲線のピークを実質的に40nm以下にするには、他の顔料の使用量は前記本発明のシリカかアルミナシリケート微粒子に対して20%以下に調節するのが好ましい。また、インク受容層の透明性を保つためにシリカ及び/またはアルミナシリケートゾル中に併用添加される顔料の平均粒径は2μ以下であることが望ましい。
【0027】
本発明のインク受容層中にカチオン性樹脂を添加して使用してもよい。これによりインク定着性を向上させることができる。
カチオン樹脂としては、例えばポリエチレンアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類、またはその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。なお、カチオン樹脂の添加量としては顔料100重量部に対し、1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部の範囲で調節される。その他、一般塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。
【0028】
塗被量は特に限定するものではないが、1〜100g/m2 程度、好ましくは5〜60g/m2 に調節する。少ないと均一塗膜が得られにくく、多くても効果が飽和し、また、塗膜にひび割れが生じやすい。15g/m2 以上の高塗被量を得るためには、塗被液の増粘の調整や、高濃度化以外に、2回以上の塗被により実現することもできる。
【0029】
本発明のシリカ、アルミナシリケート微粒子を含有する層について説明したが、インク受容層は1層であっても多層であってもよい。インク受容層をシリカ、アルミナシリケート微粒子を含有する層のみにより構成すると、発色性、印字濃度、光沢感、透明性とも最高品質が得られる。優れた光沢を得る目的には前記特定のインク受容層は記録表面側(上層)として設けることが好ましい。
但し、本発明に使用するシリカ、アルミナシリケート微粒子の粒径が小さく、インク吐出量がかなり多い場合、高塗布量(20g/m2 以上)が避けられない。塗布量が多いと塗膜がひび割れる恐れがあるが、その対策としては例えばシリカ、アルミナシリケート塗被層を上層に設け、つまり、塗工層表面の細孔半径分布曲線のピークを実質的に40nm以下にコントロールし、下層に他のインク受容層を設けて2層に分けることにより本発明の目的とする高インク吸収速度、発色性、高印字濃度、高光沢、耐候性、耐水性とも良好なインクジェット記録体が得られる。
2層構造とする場合下層としては前記特定のシリカまたはアルミナシリケート微粒子含有層を設けても良い。また下層として多孔性顔料と接着剤を含有する層を設けても良い。このような態様においても下層は顔料と接着剤を含有することになる。
印字後の光沢、照り感を保つためには、インク受容層全体に対して、シリカ及び/またはアルミナシリケート微粒子を主成分とする層の塗被量が50〜100重量%の範囲に調節されるのが好ましい。50%以上では、写真並の極めて優れた光沢、照り感が得られる。
【0030】
次に、他のインク受容層について具体的に説明する。他のインク受容層に使用される顔料(インク吸収量を得るために、平均粒子径は0.5μ以上が好ましい)としては合成無定型シリカ(合成非晶質シリカともいう)、クレー、アルミナ、スメクタイトなどの一般塗被紙分野で公知公用の各種顔料が適宜使用される。発色性、印字濃度などの観点から、合成無定型シリカが好ましく使用される。接着剤(バインダー)としては、前記したPVA、カゼイン、でんぷん等の水溶性樹脂あるいはラテックス、合成樹脂エマルションなどの水分散性樹脂等従来公知のものがあげられる。接着剤の添加量は顔料100重量部に対し、5〜150重量部、好ましくは10〜50重量部の範囲で調節される。また、インク定着性を向上する目的として使用されるカチオン樹脂は前記したアミン系樹脂などが挙げられる。なお、カチオン樹脂の添加量としては顔料100重量部に対し、1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部の範囲で調節される。その他、一般塗被紙製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤も適宜添加される。
【0031】
他のインク受容層の塗被量は特に限定するものではないが、通常3〜30g/m2 に調整される。少ないとインク受容層を設けた意味が無く、一方、多すぎると効果が飽和し、無意味である。
【0032】
何れのインク受容層を得るための塗被コーターとしてはブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等の各種公知の塗被装置が挙げられる。
【0033】
インク受容層は支持体上に塗被装置により形成することが出来る。また、成型面にインク受容層を形成し、支持体(またはインク受容層)に粘着性若しくは接着性を有する中間層を設け、中間層とインク受容層(または支持体)を接着させ、成型面のみを剥離することによりインク受容層を設けることが出来る。このように成型面を利用してインク受容層を形成すると、より優れた光沢性が得られる。
次に、インク受容層を成型面に塗被成膜し、支持体に中間層を設け、インク受容層と中間層が対面するように貼り合わせ、成型面を剥離する態様を例として詳しく説明する。
接着方法としては、ラミネート法(ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ホットメルトラミネート法、エクストルージュンラミネート法などの公知公用のラミネート法が挙げられる)が有効である。
ウェットラミネート、ドライラミネート、ホットメルトラミネート法では、支持体に接着性樹脂や粘着剤を塗被して中間層を設け、中間層とインク受容層が対面するように貼合せて圧着した後、成型面を剥し、所望のインクジェット記録体が得られる。エクストルージュンラミネート法では溶融押出機中に280〜320℃で加熱溶融されたポリエチレン(他の樹脂を利用する場合は同様の方法を用いる)が支持体の表面に流され、インク受容層を有する成型体と貼合せ、クーリングロールにより冷却圧着した後、成型体を剥し、所望のインクジェット記録体が得られる。
【0034】
中間層として感圧接着剤を利用する場合は、バーコーター、ロールコーター、リップコーター等の公知公用の塗被方法を利用し、支持体に塗被乾燥した後、インク受容層と貼合せてから成型面を剥し、所望のインクジェット用記録シートを得ることができる。
【0035】
中間層の塗被量はインク受容層と支持体が接着できれば特に限定するものではないが、熱可塑性樹脂、接着剤、感圧接着剤の何れを使用する場合でも2〜50g/m2 程度が好ましい。塗被量が少ないと、十分な接着力が得られにくく、一方、多くても効果が飽和し、無意味である。
【0036】
中間層に使用される高分子樹脂としては熱可塑性樹脂(例えば:エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂及びその誘導体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリスチレン及びその共重合体、ポリイソブチレン、炭化水素樹脂、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等の各種公知公用の熱可塑性樹脂が挙げられる)、接着剤(尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリビニールアセタール/フェノール樹脂、ゴム/フェノール樹脂、エポキシ/ナイロン樹脂等の複合ポリマー型接着剤、ラテックス型ゴム基等のゴム基接着剤、でんぷん、膠、カゼイン等の親水性天然高分子接着剤等の各種公知公用の接着剤が挙げられる)、感圧接着剤(溶剤型感圧接着剤、エマルション型感圧接着剤、ホットメルト型感圧接着剤、ディレードタイプ感圧接着剤等の各種公知公用の感圧接着剤が挙げられる)が適宜使用される。
【0037】
成型面に使用される材料としては、高表面平滑性を有するセロハン、ポリエチレン、ポリプロピレン、軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム類、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、含浸紙、蒸着紙等の紙類、金属フォイル、合成紙等可とう性を有するシート類及び無機ガラス、金属、プラスチック等の高平滑表面を有する板類が適宜使用される。特に、塗被適性及び成型面とインク受容層の剥離適性等の観点から、高分子フィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等)、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙、無機ガラス、金属表面が好ましい。
【0038】
成型面は平滑である方が光沢性の点で好ましい。成型面の表面粗さ(JISB0601)は、Raが0.5μm以下が好ましく、より好ましくはRaが0.05μm以下である。
成型面は無処理のままでもよいが、成型面とインク受容層の剥離性をよくするために、成型面の塗被面にシリコーンやフッ素樹脂等の剥離性を有する樹脂を塗被しても使用可能である。塗被適性(ハジキ等)等の観点から、成型面にコロナ放電やプラズマ処理による表面親水化を行うことも有効である。
【0039】
中間層を介して支持体に転写するときのインク受容層の塗被工程は前記一般塗被工程と逆である。つまり、成型面にインク受容層の最上層を先に塗被し、その上に他のインク受容層を順次塗被する。支持体に転写することによって得られたインクジェット記録体のインク受容層は記録する表面側から最上層、他のインク受容層の順に前記塗被シートと同様の積層順序になる。
【0040】
本発明のインクジェット記録方法で使用されるインクとしては、像を形成するための色素と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調整される。
【0041】
インクに使用される記録剤としては直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種顔料等があげられるが、従来公知のものは特に制限なく使用することができる。このような色素の含有量は、液媒体成分の種類、インクに要求される特性などに依存して決定されるが、本発明におけるインクの場合も、従来のインク中におけるような配合、即ち、0.1〜20重量%程度の割合になるような使用で特に問題はない。
【0042】
本発明で用いられるインクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ重量部及び重量%を示す。本発明で得られたインクジェット記録体はすべてスーパーカレンダー(線圧:20Kg/cm)によって処理した後、評価に用いた。
【0044】
[シリカ微粒子A]2次粒子が平均粒子径2μmの合成無定型シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD、平均1次粒子径:13nm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、超音波ホモジナイザーで更に分散し、2次粒子の平均粒子径が40nmになるまでサンドグラインダーと超音波ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、8%の水溶液を試作した。
[シリカ微粒子B]2次粒子が平均粒子径2.2μmの合成無定型シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil K−300、平均1次粒子径:15nm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、超音波ホモジナイザーで更に分散し、2次粒子の平均粒子径が90nmになるまでサンドグラインダーと超音波ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、12%の水溶液を試作した。
【0045】
[シリカ微粒子C]2次粒子が平均粒子径1.5μmの合成無定型シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil E−1011、平均1次粒子径:24nm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、超音波ホモジナイザーで更に分散し、2次粒子の平均粒子径が120nmになるまでサンドグラインダーと超音波ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、12%の水溶液を試作した。
[シリカ微粒子D]2次粒子が平均粒子径2μmの合成無定型シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil HD、平均1次粒子径:13nm)を用い、サンドグラインダーにより分散した後、超音波ホモジナイザーで更に分散し、2次粒子の平均粒子径が250nmになるまでサンドグラインダーと超音波ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、15%の水溶液を試作した。
【0046】
[アルミナシリケート微粒子]容量2Lのガラス製反応容器(セバラブルフラスコ、攪拌羽根・温度計付き)に、イソプロピルアルコール100gを仕込み、オイルバスヒーターにより液温を60℃に加熱した。攪拌羽根(直径3cm、3枚羽根)を100rpmで回転させて攪拌しながら、アルミニウムイソプロポキシド(和光純薬工業社製)5gを添加した後、酸触媒として酢酸(和光純薬工業社製)1.0gを添加して、温度を保ちながら24時間環流した。これとは別に、同上のガラス製反応容器にイオン交換水100gを仕込み、60℃に加温した後、オルト珪酸エチル(和光純薬工業社製)1.8gを添加した後、酸触媒として硝酸(和光純薬工業社製)1gを添加して、温度を保ちながら24時間環流した。ついで上述のオルト珪酸エチル−硝酸−イオン交換水溶液を、アルミニウムイソプロポキシド−酢酸−イソプロピルアルコール溶液に加えて、60℃で6時間攪拌を続けてアルミナシリケート微粒子を製造した。ついで60℃に加温してエバポレーターで濃縮し、アルミナシリケートの凝集体を得た。得られた粒子のアルミナ:シリカの組成比は3:2であり、1次粒子の平均粒子径が10nmであった。次に、凝集体に水を添加し、サンドグラインダーにより分散した後、超音波ホモジナイザーで更に分散し、2次粒子の平均粒子径が60nmになるまでサンドグラインダーと超音波ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、8%の水溶液を試作した。
【0051】
実施例1
シリカ微粒子A100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−135H、重合度:3500、ケン化度:99%以上)40部を混合した8%水溶液を、メイヤーバーで、塗被量が10g/m2 となるように、成型面として利用するPETフィルム(東レ社製、75μm、商品名:ルミラーT、表面粗さRa=0.02μm)上に塗布乾燥した。
さらに、シリカ微粒子B100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−135H)40部を混合した12%水溶液をメイヤーバーで塗被量が20g/m2 となるように塗工層の上に塗被乾燥した。
次に、前記ラミネート塗工紙表面にアクリル酸エステル接着剤(日本カーバイド工業社製、商品名:A−02)を塗被量が10g/m2 になるように塗被乾燥した。続いて、接着剤がインク受容層と対面するように貼合せて、線圧20kg/cmのカレンダーにて圧着した。続いてPETフィルムを剥し、本発明のインクジェット記録体を製造した。得られたインク受容層(上層)の細孔半径分布曲線のピークは8nmである。
【0052】
実施例2
シリカ微粒子A100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−135H)40部を混合した8%水溶液をメイヤーバーで塗被量が20g/m2 となるように成型面として利用するPETフィルム(東レ社製、75μm、商品名:ルミラーT、表面粗さRa=0.02μm)に塗被乾燥した。
平均粒子径4.5μmの合成無定型シリカ(トクヤマ(株)社製、商品名:ファインシール X−45,一次粒子径:約15nm)100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−117,重合度:1800,ケン化度:98.5%)40部を混合した15%水溶液をメイヤーバーで塗被量が10g/m2 となるように塗工層の上に塗被乾燥した。
次に、前出のラミネート塗工紙表面にアクリル酸エステル接着剤(日本カーバイド工業社製、商品名:A−02)を塗被量が10g/m2 になるように塗被乾燥した。続いて、接着剤がインク受容層と対面するように貼合せて、線圧20kg/cmのカレンダーにて圧着した。続いてPETフィルムを剥し、本発明のインクジェット記録体を製造した。得られたインク受容層(上層)の細孔半径分布曲線のピークは8nmである。
【0053】
比較例1
シリカ微粒子D100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−135H)40部を混合した12%水溶液をメイヤーバーで塗被量が20g/m2 となるようにラミネート塗工紙の表面に塗被乾燥し、本発明のインクジェット記録体を製造した。得られたインク受容層の細孔半径分布曲線のピークは45nmである。
【0054】
比較例2
2次粒子の平均粒子径4.5μmの合成無定型シリカ(トクヤマ(株)社製、商品名:ファインシール X−45、平均1次粒子径:約15nm)100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−117、重合度:1800、ケン化度:98.5%)40部を混合した15%水溶液を用い、メイヤーバーで塗被量が20g/m2 となるようにラミネート塗工紙上に塗被乾燥し、インクジェット記録体を製造した。得られたインク受容層の細孔半径分布曲線のピークは5nm、0.32μm、1.4μmである。インク受容層の細孔容積は約0.75cc/g、細孔半径4〜20nm範囲の細孔容積は約0.09cc/gであった。
【0055】
比較例3
1次粒子分散体である平均粒子径10nm×100nmの擬ベーマイトゾル(日産化学社製社製、商品名:AS−520)100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−135H)10部を混合した5%水溶液を用い、メイヤーバーで塗被量が20g/m2 となるようにラミネート塗工紙上に塗被乾燥し、インクジェット記録体を製造した。得られたインク受容層の細孔半径分布曲線のピークは7nmである。
比較例4
1次粒子の分散体である平均粒子径80nmのアニオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:スノーテックス ZL)100部に、PVA(クラレ社製、商品名:PVA−135H)10部を混合した15%水溶液をメイヤーバーで塗被量が20g/m2 となるようにラミネート塗工紙の表面に塗被乾燥し、インクジェット記録体を製造した。得られたインク受容層の細孔半径分布曲線のピークは13nmである。
【0056】
比較例5
光沢発現層とインク定着層を有する市販インクジェット光沢紙GPー101(キヤノン社製)を用いた。得られたインク受容層の細孔半径分布曲線のピークは5μmである。
【0057】
[評価方法]
実施例1〜2、比較例1〜5で得られたインクジェット記録体の塗膜耐水性、インク吸収性、インク吸収容量等は以下に示す方法で評価した。光沢度とインク吸収性については市販のインクジェットプリンター(キヤノン社製、商標:BJC−610J、720dpi×720dpi)で記録を行った場合のベタ部分の光沢度、インク吸収性、印字濃度を示す。
[耐水性]
インクジェット用記録シート上に水滴を落とし、30分後に水滴を拭き取り、水滴に浸漬された部分を手でこすり、耐水性を4段評価した。(◎:インク受理層に全く変化がみられなかった。○:インク受理層がわずかにとれた。△:インク受理層が部分的にとれた。×:インク受理層が完全にとれた。)
【0058】
[インク吸収性]
a.(インク吸収速度)
ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各単色をベタ印字し、印字直後から5秒毎にプリントした印字面に上質紙を貼合せ、インクが上質紙に転写するかどうかを観察する。全く転写しなくなるまでの時間を測定する。測定された秒数を4段評価した(◎:5秒以下、○:5〜10秒、△:10〜30秒、×:30秒以上)。インクが乾燥するまでの時間が10秒以下のものはインク吸収性に優れる。
b.(インク吸収容量)
A4サイズのPPC用紙の真中に10cm×10cm四方の本発明のインクジェット記録体を貼り付け、インク吐出量が30g/m2 となるようにブラックインクを本発明のシートにベタ印字し、インクが塗被層から溢れているかどうかを観察する。印字直後から1分、2分、5分後にプリントした印字面に上質紙を貼合せ、インクが上質紙に転写するかどうかを観察する。全く転写しなくなるまでの時間を測定し、下記のように4段評価をした。
◎:1分未満。
○:1分以上、2分未満。
△:2分以上、5分未満。
×:5分以上。
【0059】
[印字濃度]
黒ベタ部の印字濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth、RD−920)を用いて測定した。表中に示した数字は5回測定の平均値である。
[印字部の光沢感(照り感)]
印字部の光沢感は印字部に対して横の角度から目視し、以下のように4段評価した。
◎:銀塩方式のカラー写真と同レベルの照り感がある。
○:カラー写真よりは劣るが、高い照り感がある。
△:一般コート紙の印刷品並。
×:一般PPC紙並。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の構成により得られたインクジェット記録体はインク吸収性、インク吸収容量が良好で、かつインク受理後、高光沢性、高印字濃度を有し、高精細な画像を得るのに適するインクジェット記録体である。
本発明のインクジェット記録体は高光沢を有し、且つ優れたインク発色性、インクジェット記録(印字)適性、高印字濃度、耐候性を兼ね備えたものである。
Claims (3)
- 支持体と、その上に設けられたインク受容層とを有し、
前記インク受容層が、その記録表面を形成する上層と、この上層と前記支持体との間に配置された下層とを含み、
前記インク受容上層が、合成無定形シリカ粒子及び/又は合成アルミナシリケート粒子の凝集体を水系媒体中において、機械的手段により細分化して得られ、かつ平均粒子径3〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒子径10〜150nmの2次粒子からなるシリカ微粒子及び/又はアルミナシリケート微粒子、並びに水性樹脂を含有し、かつ、この上層の水銀圧入法により得られた細孔半径分布曲線ピークは実質的に40nm以下にあるものであり、
前記インク受容下層が、0.5μm以上の平均粒径を有する顔料粒子と、接着剤とを含むものである、
ことを特徴とするインクジェット記録体。 - 前記インク受容上層の細孔容積が0.6ml/g以上であり、かつ3〜20nmの半径を有する細孔の合計容積が0.3ml/g以上である、請求項1に記載のインクジェット記録体。
- インク受容層が成型面に塗布成膜された後、粘着性もしくは接着性を有する中間層を介して、支持体に転写されてなる、請求項1又は2に記載のインクジェット記録体。
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