JP2010115914A - インクジェット記録体 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持体が紙ベースでありながらRC支持体を用いた場合と同等の品質のインクジェット記録体を得ることを目指すものである。
【解決手段】原紙に1層以上の顔料塗工層を設けた支持体と、該塗工層上に少なくとも成膜性材料を含有するバリア層と、該バリア層上にインク受容層とを有するインクジェット記録体であって、バリア層が、成膜性材料100部に対し、顔料20部以上250部未満を含有し、更にポリビニルアルコールに対して架橋性を有する材料を含有し、インク受容層が、ポリビニルアルコールを接着剤とし、平均粒子径700nm以下である無機微粒子を主成分とした層であることを特徴とするインクジェット記録体である。
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録方式に適用する記録体に関する。
従来から写真用インクジェット記録材料用の支持体は風合い、平滑や光沢感から、原紙の両面にポリオレフィン系樹脂層を被覆したもの(所謂レジンコート紙、以下RC支持体ともいう。)を用いるのが一般的である。RC支持体上に記録層を設けた記録体は、印字後のコックリングが生じず、光沢感が良好であるが、原紙の両面にポリオレフィン系樹脂被覆層を有するため、インク中の高沸点溶媒は蒸発することなく、記録層内に留まる。記録層内に高沸点溶媒が存在することによって、保管の際に高湿条件になると記録画像が滲み(高湿滲みともいう)やすく、大きな品質問題となっている。
特許文献1、特許文献2、特許文献3などは、紙ベース支持体を用い、キャスト法で写真用インクジェット記録体へのアプローチを行なっている。キャスト法で得られた記録体は、平滑性や光沢感に優れるが、低透気性支持体を使用する必要性から、印字後にインク中の溶媒が短時間に原紙へ浸透し、見た目のコックリングが悪く、また手触り感や風合いも写真と称する品質までには至っていない。
キャスト法でありながら、コックリングの抑制や印字滲み改良の目的で細孔容積の小さい顔料とラテックス接着剤を含有する下塗り層を設ける試み(特許文献4)があるが、キャスト法で光沢性を付与するため、支持体の透気性が不可欠である。生産性から透気度を上げられる限界があり、RC支持体並みにコックリングを抑制することはできず、また風合いも不十分であった。
一方、特許文献5乃至特許文献11では、支持体上にインク受容層を2層以上設け、下層に上層のバインダーを硬化する材料を含有させた記録体が提案されている。これらの方法によれば、ひび割れを抑えて多量の塗工量を得ることができるが、基材が紙の場合は依然としてコックリングが抑制できなかった。
特許文献12では、支持体上にポリビニルアルコール樹脂に対して架橋性を有する材料を含有するバリア層を塗工した記録媒体が提案されている。この方法によれば、紙ベースであるにもかかわらず、コックリングを抑制することが可能であるが、高湿度下で保存すると画像が滲みやすい問題があった。また、バリア層の乾燥前に上層を塗工する必要があり、塗工方法に制約があった。
特開2004−167959 特開2005−199550 特開2005−225070 特開2007−290339 特開2007−69452 特開2007−118529 特開2007−268928 特開2008−114389 特開2000−301828 特開2007−38651 特開2008−73891 特開2008−168493
本発明は、支持体が紙ベースでありながらRC支持体を用いた場合と同等の品質のインクジェット記録体を得ることを目指すものである。
一般的に紙ベースの支持体の場合、RCベース支持体に比べ、高湿滲みは良好である反面、コックリングが生じやすい問題がある。これは紙ベースの支持体がインク溶媒成分を吸収し、色材成分と分離する作用によるものと考えられる。
コックリングを抑制する手段として、前述の特許文献12に挙げられるようにバリア性を有した層を設けることができるが、バリア層の乾燥前に上層を塗工する必要があり、塗工方法に制約があった。特許文献12の構成では、バリア層乾燥後に上層を塗工すると、架橋が不十分でヒビワレの制御ができず、塗工量の確保が困難となる。おそらくこの現象はバリア層に架橋剤が隠蔽されてしまい、その効果を十分に発現できないと考えられる。
本発明者等は前記課題を解決するために検討した結果、バリア層に特定範囲の量の顔料を含有することによって、硬化剤の作用の発現性を促進し、かつコックリングを抑えるのに有効なバリア性を兼ね備えた記録体が得られることを見出した。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
(1)原紙に1層以上の顔料塗工層を設けた支持体と、該塗工層上に少なくとも成膜性材料を含有するバリア層と、該バリア層上にインク受容層とを有するインクジェット記録体であって、バリア層が、成膜性材料100部に対し、顔料20部以上250部未満を含有し、更にポリビニルアルコールに対して架橋性を有する材料を含有し、インク受容層が、ポリビニルアルコールを接着剤とし、平均粒子径700nm以下である無機微粒子を主成分とした層であることを特徴とするインクジェット記録体。
(2)顔料が、炭酸カルシウム、カオリンから選ばれる少なくとも1種である(1)記載のインクジェット記録体。
(3)支持体の塗工層が2層以上である(1)または(2)記載のインクジェット記録体。
(4)バリア層の顔料が、成膜性材料100部に対し、顔料70部以上200部以下含有する(1)〜(3)のいずれか一に記載のインクジェット記録体。
(5)下記条件で測定した伸び率が、0.05%以下である(1)〜(4)のいずれか一に記載のインクジェット記録体。
「測定条件」
温度23℃、湿度50%の条件で調湿した、A4判のインクジェット記録体に、横18cm×縦5cmのグリーンベタ印字を行い、温度23℃、湿度50%の環境下で、印字2分後の横の長さ(Lcm)を測定し、下記式で伸び率を算出する。
伸び率(%)=(L−18)×100/L
(6)前記伸び率が、0.03%以下である(5)記載のインクジェット記録体。
(7)前記伸び率が、0.01%以下である(5)記載のインクジェット記録体。
(8)架橋性を有する材料の塗工量が0.1g/m以上になるようにバリア層を設ける(1)〜(7)記載のインクジェット記録体。
(9)架橋性を有する材料がホウ酸および/またはホウ酸塩である(1)〜(8)記載のインクジェット記録体。
本発明のインクジェット記録体は、RC支持体にインク受容層を設けてなる記録体に近いコックリング抑制適性、及び表面光沢感を有する。更に、RC支持体を用いた記録体特有の課題であった高湿滲みをも防止したものである。つまり、RC支持体と紙支持体の長所を備え、短所を克服したインクジェット記録体である。
コックリングは、記録時のインク溶媒がインク受容層から原紙に浸透することにより発生する。一方、高湿滲みは、記録後、時間が経過しても、インク受容層中にインク溶媒が存在することにより発生する。この相反する課題を解決するために、本発明のインクジェット記録体は、原紙に1層以上の塗工層を設けた支持体と、少なくとも成膜性材料と顔料を含有するバリア層を形成する。成膜性の高い層を塗工すると原紙由来の面質が出やすいが、本発明では1層以上の塗工層を有した支持体上を用いることにより緩和することができる。さらに、塗工層を2層以上とすることにより、より平滑な面を得ることが可能である。
更に、バリア層は、バリア層上に形成されるインク受容層に対するひび割れ防止、折り割れ防止を目的とするため、架橋剤を配合する。バリア層の成膜性が高すぎると、架橋剤のインク受容層に対する効果が十分に得られず、バリア層の成膜性が不十分であると、コックリングを防ぐことができない。本発明のインクジェット記録体は、このような課題を解決するため、バリア層の成膜性材料と顔料の配合量を規定することにより、達成できるものである。
以下に本発明の記録体を得るための各層について詳細に説明する。
〔支持体〕
「支持体の原紙」
支持体としては、原紙に1層以上の顔料塗工層を設けたものを使用する。原紙としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができる。一般に、木材パルプと必要に応じ含有する填料を主成分として構成される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P8121)程度である。300〜500ml程度に調整することが好ましい。
填料は、不透明性等を付与する目的で配合し、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。また、製紙工場の排水(製紙スラッジや脱墨フロス)などを乾燥、焼成、粉砕することにより得られた凝集物も使用することができる。特に炭酸カルシウムは、白色度が高い基材となり、インクジェット記録体の光沢感が高まるので好ましい。紙基材中の填料の含有率(灰分)は1〜30%程度が好ましいが、多すぎると紙力が弱くなったりする傾向にあるので、好ましい填料の含有率は5〜20%である。なお、焼成カオリンやシリカも適宜含有するとよい。
その他、原紙には、助剤としてサイズ剤、乾燥および湿潤紙力増強剤、定着剤のほか、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール類、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、コッブ吸水度等を調整できる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物等が挙げられる。前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂等が挙げられる。前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー等が挙げられる。
前記原紙の密度は、0.6〜1.2g/cmの範囲であり、RC支持体の有する風合いを出すためには0.7〜1.0g/cmが好ましく、0.80〜0.95g/cmがより好ましい。前記原紙の厚みは、特に制限はなく、通常50〜500μmである。紙腰、剛度から100〜300μmが好ましく、150〜250μmがより好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく50〜300g/mが好ましく、剛度とのバランスや重量感から100〜250g/mがより好ましい。
「支持体の塗工層」
本発明では、支持体上に成膜性材料を含有するバリア層を設けるが、成膜性の高い層を塗工する場合、支持体由来の面質が出現しやすい。そのため支持体には1層以上の顔料塗工層を設け、バリア層塗工面を平滑にすることにより、最終的に得られる記録体の光沢性を得ることができる。また、支持体が塗工層を有することで、その上に設けるバリア層のバリア性を補助するため、バリア層の塗工量を減量することができる。これら支持体の塗工層の効果は2層以上にすることによりさらに向上する。また、少なくとも1層の塗工層は塗布後に平滑処理が行なわれることが好ましい。
塗工層を形成する顔料としては、印刷用塗工紙などで使用できる公知の顔料が例示できる。例えば、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、プラスチックピグメントなどが例示できる。これらは、複数種を併用することもできる。顔料の粒子径は、特に限定しないが10μm以下が好ましい。さらに好ましくは5μm以下である。1.5μm以下が最も好ましい。粒子径は小さい方がバリア性の発現しやすく、またインク受容層塗布後の平滑性や光沢感がよくなる傾向を示す。一般市販品であれば平均粒子径は0.1μmよりは大きいことが普通であるので、経済合理性からも0.1μm以上とすることが好ましい。これらの顔料を単独で用いるかまたは併用することが可能である。中でも、特に、炭酸カルシウム、カオリン、サチンホワイトは、コックリングを抑制する適性に優れ、白色度の高い塗布層が得られやすいので好ましい。中でも炭酸カルシウム、カオリンが好ましい。なお、インクジェット記録体のインク受容層用として好ましい材料である、無定形シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、ゼオライトなど吸水性に富んだ顔料や微細な顔料を50%以下併用してもよい。
塗工層を形成するバインダーは、印刷用塗工紙などで使用できる公知の水分散性ラテックス(所謂、水分散性樹脂)を用いる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、スチレン系共重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体ラテックス等のような各種バインダーが、単独にあるいは2種以上混合して使用される。水分散性ラテックスがコックリング抑制効果に優れるため、結着剤の主成分として使用される。特にスチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、(ポリ)ウレタン系重合体エマルションは、結着力や保存性の点で良好である。また、結着剤のガラス転移温度は特に限定はないが、ガラス転移温度の低い結着剤は平滑性が得られやすく、バリア性も発現しやすいため好ましい。ガラス転移温度が−40〜+40℃程度のものが好ましく、−30〜+30℃がさらに好ましい。最も好ましい範囲は−20〜+20℃である。結着力アップや塗工適性改良などから、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)を顔料100部に対して20部以下を配合することが可能である。
塗工層の顔料/バインダーの比率(以下P/B比と称す)は、原紙由来のボコツキを抑えるには、好ましくは100/5〜100/100、さらに好ましくは100/10〜100/50である。P/B比が100/5より顔料成分が多いと塗膜強度が弱くなり、紙粉が出やすく、塗膜剥がれが発生する虞がある。一方、100/100よりバインダー成分が多いとブロッキングの虞がある。
支持体の塗工層の塗工量は特に制限はないが、10〜70g/m程度である。20〜55g/mが好ましい。10g/mより少ないと原紙由来のボコツキが抑えられず、70g/mより多いと平滑性を得るための効果が飽和し、生産性、経済性が低下する。
塗工層は塗布乾燥後に平滑化処理されることが好ましい。本発明の支持体表面の王研式平滑度(J.TAPPI No.5B)の測定値は2000秒以上が好ましく、5000秒以上がより好ましい。平滑処理の方法は特に限定しないが、例えば、カレンダー処理、キャストコート処理などが挙げられるが、カレンダー処理がより好ましい。塗工面がカレンダーロール金属面と接するようにカレンダー処理することが最も好ましい形態の一つである。カレンダー圧(線圧)は50〜400Kg/cmが好ましく、100〜300Kg/cmはさらに好ましく、150〜250Kg/cmは最も好ましい範囲である。カレンダー圧が低すぎると平滑性が得られにくく、高すぎると塗工面がカレンダーロールに貼り付く虞がある。より高い平滑性を得るためには、カレンダー直前の支持体の紙面温度は20〜90℃、より好ましくは30〜50℃の範囲にすると良い。紙面温度が低すぎるとラテックスが軟化しにくく、平滑化の効果が得にくい。一方、紙面温度が高すぎると、カレンダーロールに貼り付く問題が生じる虞がある。前記カレンダー金属ロールの表面温度は、5℃〜60℃が好ましく、10℃〜45℃がより好ましい。その他、カレンダー処理速度は100〜1200m/minの範囲が好ましく、200〜700m/minがより好ましい。カレンダー速度が遅いとカレンダーロールに貼りつきやすく、塗工層が剥がれる虞があるが、速すぎると平滑化の効果が低下する。
〔バリア層〕
本発明では前述の支持体の塗工層上にバリア層を設ける。バリア層は少なくとも成膜性材料、顔料、及びポリビニルアルコールに対して架橋性を有する材料(以下、架橋剤ともいう。)を含有し、かつ、成膜性材料100部に対し、顔料20部以上250部未満を含有する。
バリア層の顔料は、塗工層として前述した顔料を適宜選択使用されるが、特に、炭酸カルシウム、カオリンが好ましい。両者とも平滑性が得られやすいだけでなく、バリア層に含有する架橋剤の架橋効果が発現しやすい。より高平滑性を得るためには、炭酸カルシウムの平均粒径は0.1〜2μmが好ましく、0.2〜1μmがより好ましい。カオリンについては90%以上の粒子が2μm以下の粒径であることが好ましく、95%以上の粒子が2μm以下であれば更に好ましい。一般的にカオリンは白色度が低いため、白色度は88%以上を選択することが好ましく、90%以上がより好ましい。また、見た目をRC支持体の記録体に近づけるために酸化チタンを含有することもできる。含有量は全顔料の1〜20%程度、好ましくは2〜10%である。最終的に得られる記録体の平滑性を損なわないためには、酸化チタンの平均粒径は0.01〜2μmの範囲が好ましく、0.02〜1μmの範囲がより好ましい。また、コロイダルシリカは、一次粒子であるため吸収性は低く、接着性を高める作用を有するので、使用することができる。なお、インクジェット記録体の受容層としてよく使用される湿式シリカ、乾式シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナなどは、吸水性が高いため、バリア性を損なう傾向にあり、使用する場合は本発明の効果を損なわない範囲にとどめる必要がある。
バリア層の成膜性材料は、少なくともポリビニルアルコールを除き、かつ、ポリビニルアルコールに対する架橋剤によって架橋され難い材料を選択する。塗料の安定性及び最終的なインクジェット記録シートの折り割れを防止する観点から、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックスなどの水分散性高分子はとりわけ好ましく用いられる。さらに該水分散性高分子のガラス転移温度は−50〜50℃であることが好ましく、−30〜30℃であることがより好ましい。
「架橋剤」
バリア層に含有するポリビニルアルコールに架橋性を有する材料(以下架橋剤)としては、その上に塗工されるインク受容層塗液に接着剤として含有されるポリビニルアルコールに対して架橋性を有する材料が選ばれる。この様な架橋剤としては、必ずしも以下に限定するものではないが、ホウ素化合物、エポキシ化合物、グリシジル化合物、ジルコニウム化合物、チタネート化合物、アルミニウム化合物、クロム化合物等が挙げられる。これら架橋剤の中でも、上塗り層であるインク受容層の接着剤としてポリビニルアルコールと組み合わせた場合、増粘またはゲル化の進行が速いことから、ホウ素化合物が好ましく、ホウ酸および/またはホウ酸塩がより好ましく用いられる。
ホウ酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸等が挙げられる。またホウ酸塩としては、これらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、オルトホウ酸と四ホウ酸二ナトリウムが好ましい。四ホウ酸二ナトリウム(組成:Na)は、ホウ砂(ナトリウムの含水ホウ酸塩鉱物、組成:Na・10HO)として使用される。
また、これらの架橋剤は、バリア層上に形成されるインク受容層に対するひび割れ防止、折り割れ防止の効果、その他の性能に応じて二種以上を併用することもできる。特にホウ酸とホウ砂を混合することにより高濃度溶解が可能となるため、併用することが好ましい。
架橋剤の塗工量は固形分換算で0.1g/m以上になるように調整することが好ましい。0.1g/m未満であると、インク受容層中のポリビニルアルコールの架橋が不十分となり、塗膜にヒビワレが生じやすくなる。
バリア層は、少なくとも成膜性材料100部に対して顔料20部以上250部未満の範囲で含有する。より好ましくは40部以上230部以下、さらに好ましくは70部以上200部以下である。顔料の配合量が少なくなると、バリア性が高くなる傾向にある。この場合、バリア層の成膜性が高くなり、架橋剤がバリア層内に封じ込められてしまい、インク受容層の架橋効果が発現し難くなる。顔料の配合量が更に少なくなると、バリア層の成膜性がフィルムレベルに近くなり、記録後、時間が経過しても溶媒成分が支持体へ浸透せずインク受容層に残るため、画像の高湿滲みが悪化する虞がある。一方、顔料の配合量が多すぎると、バリア性が不十分となり、コックリングが生じやすくなる。本発明は、上記範囲で配合することにより、RC支持体に近いレベルまでコックリング抑止でき、インク受容層の成膜性が優れ、且つRC支持体では解決できなかった記録後の画像の高湿滲みをも改良することができる。
バリア層の乾燥固形分塗布量には、制限はないが、1〜20g/m程度である。2〜15g/mが好ましく、より好ましくは3〜10g/mである。下限値以上にすることにより、バリア性が十分となり、コックリングが生じ難くなる。一方、上限値以下とすることにより架橋剤の効果が発現しやすくなり、更にインクジェット記録後の高湿滲みを改善できる。因みに、塗工量が過剰の場合、インク受容層を塗布した際に、バリア層中の架橋剤がインク受容層へ移動し難くなり、架橋剤の効果が発現し難くなる。また、過剰な塗工量は、記録後の溶媒成分が経時的に支持体へ浸透せずインク受容層に残り、画像が高湿条件で保管された際の滲みが発生し易くなる。
本発明は、顔料塗工層上にバリア層を設けるため、原紙に直接バリア層を形成する場合に比べ、バリア層の塗工量が軽減できるため、架橋剤の効果が効率よく発現し、また、高湿条件で保管された画像の滲みを防ぐことができる。
〔その他の材料〕
支持体の塗工層およびバリア層において、他の成分として、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤、蛍光染料、着色剤、紫外線吸収剤等の各種助剤が適宜添加される。特に見かけの白色度を上げるために、着色剤(蛍光増白剤、有色顔料、染料等)を配合することができる。
〔塗工方法〕
支持体の塗工層およびバリア層は、公知の塗工方法により塗工できる。例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、スライドビード、スライドホッパー、およびスロットダイなどのダイコーター等、各種公知の塗工装置が選択できる。平滑性と生産性を高めるためには、ブレードコーターが最適である。
〔裏面層〕
本発明の支持体は、製品カール、搬送性、手触り、風合い調整などから裏面層を有することが好ましい。裏面層は、顔料/バインダーから構成される塗布層、樹脂塗布層などの一般塗布層や樹脂のラミネート層により構成される。中でも顔料/ラテックスバインダーを主成分とする塗布層が特に好ましい。裏面層を構成する顔料やバインダーは上述したものから適宜選ばれる。手触り、風合いをよりRC支持体を使用したインクジェット記録体に近づけるために、発明者らが鋭意に検討した結果、顔料はカオリン、クレー、炭酸カルシウム、バインダーはラテックスを主成分にした方がより効果的である。カール、ブロッキング、搬送性、手触り、風合いを考慮すると、P/B比は100/5〜100/100程度である。100/10〜100/60がより好ましい。塗布量は2〜40g/m程度、5〜30g/mがより好ましく、10〜25g/mが最も好ましい範囲である。例えば、裏面層は本発明の支持体の塗工層塗布液を使うことができる。また、裏面は、搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理のために、帯電防止剤やブロッキング防止剤などで更に、処理してもよい。該処理は、インク受容層を形成する前でも後でも可能である。
〔インク受容層〕
本発明は、バリア層上にポリビニルアルコールを接着剤とし、平均粒子径700nm以下である無機微粒子を主成分としたインク受容層を形成することによって所望のインクジェット記録体を得ることができる。
インク受容層の無機微粒子としては、一般インクジェット用の無機微粒子であれば選択使用可能だが、少なくとも、光沢・平滑性やインク吸収性を得るために平均粒子径700nm以下のものが選択される。好ましい凝集体顔料は気相法シリカ、メソポーラスシリカ、湿式法シリカ、アルミナ酸化物、アルミナ水和物、アルミナシリケートを挙げられるが、中でも高画質を得るためには、気相法シリカ、アルミナ水和物、酸化アルミナが最も好ましい。無機微粒子は、後で述べる無機媒染剤や有機媒染剤で表面処理を施していてもよい。また、凝集し、平均粒子径が700nmを超える場合は、粉砕処理や分散処理を施すとよい。
ここでいう平均粒子径は、無機微粒子の水分散液を、濃度1%に調整し、25℃の条件で、動的光散乱法により求めた数平均二次粒子径である。
インク受容層には少なくとも、上記無機微粒子とともにポリビニルアルコールが含有される。ポリビニルアルコールは、前記バリア層に含有される架橋剤により架橋される水溶性樹脂であり、例えば、完全鹸化ポリビニルアルコール樹脂、不完全鹸化ポリビニルアルコール樹脂、低鹸化ポリビニルアルコール樹脂に加え、カチオン変性ポリビニルアルコール樹脂、シリル変性ポリビニルアルコール樹脂、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシ変性ポリビニルアルコール樹脂などの変性ポリビニルアルコール樹脂類から一種以上を適宜選択使用できる。
インク受容層に用いられるポリビニルアルコールの重合度としては3000〜5000であることが好ましい。重合度が3000未満では、得られるインク受容層の耐水性が不充分になる傾向にあり、5000を超えるものは、溶液あるいは塗料に対してせん断力が加えられると樹脂分子の結晶化が引き起こされ易くなり、取り扱い性低下の懸念があり、また実用上も入手が困難である。
インク受容層中に使用されるポリビニルアルコールの配合比は、無機微粒子100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部の範囲で適宜調節される。
また、インク受容層中のポリビニルアルコールとバリア層中の架橋剤との比率としては、質量比として好ましくは、20:1〜1:5であり、5:1〜1:1がより好ましい。質量比をこの範囲に調節することにより、ひび割れ及び折れ割れを防止するとともに、インク吸収性及び画質・光沢により優れ、経時による印字の滲みも改善されたインクジェット記録用シートが得られる。
〔架橋剤〕
インク受容層は、塗料の安定性が得られる範囲内で前記バリア層で記載された架橋剤を含むことができる。必要に応じて、架橋剤をバリア層とインク受容層で併用することによって、インク吸収層塗工時のヒビワレが制御しやすくなる。架橋剤としては前述のホウ素化合物が好ましい。
〔媒染剤〕
本発明においては、形成画像の耐水性及び耐経時滲みの向上を図るために、インク受容層に媒染剤が含有されるのが好ましい。媒染剤は、有機媒染剤と無機媒染剤が挙げられる。有機媒染剤及び無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
有機媒染剤は、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤や、アミノ基含有のシランカップリング剤などが挙げられる。これら媒染剤は、色材受容層のインク吸収性良化の観点から、平均分子量が500〜500000の化合物が好ましい。無機媒染剤としては、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。中でも、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族シリーズの金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
媒染剤含有量は、インク受容層の全固形分質量に対して、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
〔光沢発現層〕
高光沢を得るためには、微細な単分散コロイド顔料や2次凝集体コロイド顔料から選択され、単独で又は2種以上混合した顔料を主成分とする光沢発現層をインク受容層上に設けることが可能である。単分散コロイド顔料の平均粒子径は0.01〜0.2μm、吸収性と透明性のバランスから、0.02〜0.1μmが好ましい範囲である。2次凝集体コロイド顔料は平均粒径1μm以下のアルミナ酸化物、アルミナ水和物が好ましい。高光沢を得るためには、平均粒径が0.02〜0.5μmの範囲がより好ましい。光沢発現層の形成方法は、特に限定するものではないが、例えばWO2003−039881号公報に記載された、「光沢発現層をインク受容層上に設けた後、湿潤状態で鏡面を有するニップロールに通過させる方法」や特開2004−306610号公報に記載された「光沢発現層とインク受容層は同時多層塗布により形成する方法」等が有効である。
〔その他の成分〕
前記インク受容層、光沢発現層には、必要に応じて、更に各種の公知の添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、界面活性剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することが可能である。
〔塗工方法〕
インク受容層の塗工には、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター、スライドコーター等の各種塗工装置を用いることができる。多層のインク受容層やインク受容層と光沢発現層など多層構成の場合は多層式スライドコーター、多層式カーテンコーター、多層式ダイコーターを用いると効果的である。
バリア層状にインク受容層を塗工する際はオンラインで行なうことができる。バリア層はバインダー成分が多いため、インク受容層塗工せずに巻き取るとブロッキングが生じやすい。
本発明のインクジェット記録体は、下記条件で測定した伸び率が、0.05%以下であることが好ましい。
「測定条件」
温度23℃、湿度50%の条件で調湿した、A4判のインクジェット記録体に、横18cm×縦5cmのグリーンベタ印字を行い、温度23℃、湿度50%の環境下で、印字2分後の横の長さ(Lcm)を測定し、下記式で伸び率を算出する。
伸び率=(L−18)×100/L
伸び率が0.05%以下であると、バリア層がコックリングを抑止するために機能していることが分かり、0.05%を超えると、バリア層のバリア性が不十分であり、コックリングを防ぐことができないと言える。伸び率は、0.03%以下であることがより好ましく、0.01%以下が特に好ましい。なお、伸び率を、印字の2分後としたのは、この2分前後の状態がもっとも原紙の伸びが最大になるためである。因みに、1分後では原紙が伸びる途中であり、4分後では一旦伸びた原紙が縮んだ状態となる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部及び%は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量%を示す。
−シリカ微粒子の調製−
2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、商品名KBE−603)の水溶液(876g、1%)に市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:エアロジルA200)120g、乳酸4gを攪拌しながら添加し、サンドグラインダーにより分散した後、圧力式ホモジナイザーで更に分散し、平均粒子径が0.08μmになるまでサンドグラインダーと圧力式ホモジナイザーの分散操作を繰り返し、水分散液を調製した。
なお、平均粒子径は、水分散液を、濃度1%に調整し、25℃の条件で、動的光散乱法により求めた数平均二次粒子径である。測定装置は、濃厚系粒径アナライザー FPAR−1000(大塚電子株式会社製)を使用した。
−インク受容層用塗液A−
上記シリカ微粒子100部にポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)15部を混合し、13%水分散液を調整した。
−インク受容層用塗液B−
上記シリカ微粒子100部に、ホウ酸1部を添加して溶解した後、ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名:PVA−235、重合度:3500、ケン化度:88.5%)15部を混合し、13%水分散液を調整した。
−光沢発現層用塗液A−
45nmのカチオン性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−AKL)100部に、前記ポリビニルアルコール2部、カチオン離型剤(近代科学社製、商品名:ペルトールN856)1部を混合し、3%水分散液を調整した。
実施例1
−原紙A−
LBKP90部(フリーネス440ml/csf)、NBKP10部(フリーネス510ml/csf)からなるパルプスラリー中に、パルプ固形分に対して填料として軽質炭酸カルシウムを紙灰分で10%となるように添加し、さらに内添サイズ剤としてAKDサイズ剤(商品名:サイズパインK−902、荒川化学工業社製)0.05%および硫酸アルミニウム0.5%をそれぞれ添加して紙料を調成した。このように調成された紙料を用いて、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って成紙(基紙)を得た。次いで、このようにして得られた基紙の両面に2本ロールサイズプレス装置を介して、6%濃度の酸化澱粉糊液(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を両面固形分換算で1.4g/mとなるように塗布、乾燥して米坪が150g/mの原紙Aを得た。
−支持体の形成−
原紙Aの両面に下記顔料塗工層用塗液Aを片面当りの乾燥重量が15g/mとなるように片面ずつブレードコーターを使用して塗工し、乾燥した。表面温度25℃の条件でスーパーカレンダー(8ニップ、線圧100kg/cm、500m/min)に通紙して平滑化し、支持体Aを得た。
「顔料塗工層用塗液A」
市販分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50)0.3部含有水溶液に、顔料として、白色度95%、平均粒子径0.7μmの重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ソフトン3200)100部を添加して分散し、スラリーを調製した。続いて、平均粒子径が85nm、Tg=0℃のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ2000、JSR社製、Tg=10℃)を10部、増粘剤としてエーテル化度が0.70〜0.80のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンWSA)を0.2部、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度が60%の顔料塗工層用塗液Aを調製した。
−バリア層の形成−
支持体の一方の面に、下記バリア層用塗液を乾燥重量が5g/mとなるように、ブレードコータを使用して塗工し、乾燥した。
「バリア層用塗液」
市販分散剤(東亞合成社製、商品名:アロンT−50)0.3部含有水溶液に、顔料として、前述の重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ソフトン3200)100部を添加して分散し、スラリーを調製した。続いて、水溶液としたホウ酸とホウ砂の1:1混合物25部を攪拌混合し、前述のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:OJ2000、JSR社製)を100部、増粘剤として前述のカルボキシメチルセルロース・ナトリウム塩(第一工業製薬社製、商品名:セロゲンWSA)を0.2部、および消泡剤、染料などの助剤を添加し、最終的に固形分濃度が55%のバリア層用塗液を調製した。
−インクジェット記録体の形成−
バリア層を形成後、巻き取らず、前記インク受容層用塗液Aを乾燥重量が20g/mになるように塗布し、80℃の乾燥器で乾燥を行い、インクジェット記録体を得た。
実施例2
実施例1のバリア層用塗液において、重質炭酸カルシウム100部を、重質炭酸カルシウム50部と、白色度90%、粒子径2μm以下の粒子が97%であるカオリン(イメリスミネラルズ・ジャパン社製、商品名:Contour Xtreme)50部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例3
実施例1のバリア層用塗液において、重質炭酸カルシウムを、平均1次粒子径12nm、平均2次粒子径約300nmの微細シリカコロイド液(商品名:サイロジェット703A グレース・デヴィソン社製)に変更し、塗料の固形分濃度を25%とした以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例4
実施例1のバリア層用塗液において、重質炭酸カルシウムの部数を25部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例5
実施例1のバリア層用塗液において、重質炭酸カルシウムの部数を200部に変更した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例6
実施例1のインクジェット記録体の形成において、インク受容層塗布液Aをインク受容層塗布液Bに変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例7
実施例1のバリア層用塗液において、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスをアクリル酸共重合体ラテックス(商品名:JK7000,明成化学社製)に変更した以外は実施例5と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例8
実施例1の支持体の形成おいて、原紙Aの両面に、顔料塗工層用塗液Aを片面当りの乾燥重量が15g/mとなるように、片面ずつブレードコーターを使用して塗工し、乾燥した後、さらに同塗液を片面当り10g/mとなるように片面ずつブレードコーターを使用して塗工し、乾燥した。続いて表面温度25℃の条件でスーパーカレンダー(8ニップ、線圧100kg/cm、500m/min)に通紙して平滑化して、支持体を得た。
この支持体を用いた以外は実施例7と同様にしてインクジェット記録体を作製した。
実施例9
実施例8で形成した支持体に、インク受容層用塗液Aと光沢発現層用塗液Aを乾燥重量が20g/mと1g/mとなるようにスライドビードカーテンコータにより同時塗布し、乾燥してインクジェット記録体を得た。
実施例10
支持体を市販塗工紙「SA金藤+」209g/m(王子製紙製)に変更した以外は実施例9と同様にインクジェット記録体を作製した。
実施例11
実施例1において、バリア層の塗工後、乾燥せずに、さらにインク受容層用塗液Aを20g/mになるように塗工し、80℃の乾燥機で乾燥を行った。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録体を得た。
比較例1
実施例1のバリア層用塗液において、重質炭酸カルシウムの部数を10部に変更した以外は実施例1と同様に支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例2
実施例1のバリア層用塗液において、重質炭酸カルシウムの部数を300部に変更した以外は実施例1と同様に支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例3
実施例1のバリア層用塗液において、バリア層用塗液の重質炭酸カルシウムを除き、顔料なしとした以外は実施例11と同様に支持体及びインクジェット記録体を作製した。
比較例4
原紙A上に顔料塗工層を設けなかった以外は実施例1と同様にインクジェット記録体を作製した。
比較例5
実施例1のバリア層用塗液において、ホウ酸とホウ砂の1:1混合物を添加しなかった以外は実施例1と同様に実施したが、インク受容層のワレがひどく、膜にならなかった。
比較例6
原紙Aの代わりに下記RC支持体を使用した以外は実施例1と同様にインクジェット記録体を作製した。
−RC支持体−
LBKP100部(フリーネス400ml/csf)、焼成カオリン(商品名:アンシレックス)5質量部、前記AKDサイズ剤0.05質量部、硫酸バンド1.5質量部、湿潤紙力剤0.5質量部、澱粉0.75質量部よりなる製紙材料を使用し、ハイブリッドタイプのツインワイヤ抄紙機で抄紙、乾燥を行って150g/mの基紙を得た。
上記基紙の両面にコロナ放電処理を施した後、基紙のフェルト面側に塗工量が22g/mとなるようにバンバリーミキサーで混合分散した下記のポリオレフィン樹脂組成物1を、また、基紙のワイヤー面側に塗工量が30g/mとなるようにポリオレフィン樹脂組成物2を、それぞれT型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布した。次いで、基紙のフェルト面側を鏡面のクーリングロールで、また、基紙のワイヤー面側を粗面のクーリングロールで、それぞれ冷却固化した。平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P 8138)が93%のRC支持体を製造した。
「ポリオレフィン樹脂組成物1」
長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm、メルトインデックス20g/10分)35質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm、メルトインデックス2g/10分)50質量部、アナターゼ型二酸化チタン(石原産業社製、商品名:A−220)15質量部、ステアリン酸亜鉛0.1質量部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商品名:Irganox1010)0.03質量部、群青(第一化成社製、商品名:青口群青No.2000)0.09質量部、蛍光増白剤(チバガイギー社製、商品名:UVITEX OB)0.3質量部。
「ポリオレフィン樹脂組成物2」
高密度ポリエチレン樹脂(密度0.954g/cm、メルトインデックス20g/10分)65質量部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm、メルトインデックス4g/10分)35質量部。
<評価方法>
実施例1〜11および比較例1〜6で得られた記録体のインク受容層の成膜性(塗膜のヒビワレ)、光沢感、伸び率(コックリング)、画像の高湿滲み、リサイクル性を以下に示す方法で評価した。印字は、市販のインクジェットプリンター(CANON社製、機種:PIXUS iP4200、用紙設定:スーパーフォトペーパー、印刷品位:標準)で行った。
−インク受容層の成膜性−
インク受容層のヒビワレの程度を目視により評価した。
○:ヒビワレはまったくみられない。
△:若干ヒビワレがみられるが、実用上問題ないと思われるレベル。
×:ヒビワレが発生し、実用上問題あるレベル。
−光沢感−
ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印字部に対して横の角度から目視し、以下の4段階で評価した。
◎:銀塩写真に近い光沢感。
○:グロス系印刷用紙(ウルトラOK金藤N,王子製紙製、アート紙)よりは優れる光沢感。
△:グロス系印刷用紙(ウルトラOK金藤N,王子製紙製、アート紙)に近い23光沢感。
×:光沢感がほとんどない
−印字伸び率(コックリング)−
温度23℃、湿度50%の条件で調湿した、A4判のインクジェット記録体に、横18cm×縦5cmのグリーンベタ印字を行い、温度23℃、湿度50%の環境下で、印字2分後の横の長さ(Lcm)を測定し、下記式で伸び率を算出した。
伸び率(%)=(L−18)×100/L
伸び率が大きいほどコックリングが悪い傾向であった。0.10%を超えるとコックリングがかなり目立ち、0.05%より小さいとコックリングは良好で、見た目ではRC支持体を使用したインクジェット記録体との違いが分からないレベルであった。
−画像滲み−
インクジェット記録体を30℃、80%の高温高湿条件で24時間調湿後、そのまま条件下でISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字した。印字直後に同じ記録体の裏面と印字された面を重ね、300gの重しを乗せ、そのままの高温高湿条件にて3日間放置後、画像を観察した。
○:画像の滲みはなく良好。
△:若干滲みは認められるが、実用上問題ないレベル。
×:画像の滲みが悪い。
−リサイクル性−
一般塗工紙と同様に、本発明の支持体をアルカリ水溶液中で叩解し、再離解可能かどうかを調べた。再生紙にする可能性を下記の基準で評価した。
○:塗工紙と同レベルで再生紙にすることが可能。
△:再離解が難しく、普通のパルプに少量添加なら再生紙にすることが可能。
×:再離解不可。
Figure 2010115914
表1から明らかなように、本発明は、再生可能な紙ベースの支持体でありながら、RC支持体を用いたインクジェット記録体と同等レベルのコックリングフリーであり、かつ光沢感、画像滲みが良好である。

Claims (5)

  1. 原紙に1層以上の顔料塗工層を設けた支持体と、該塗工層上に少なくとも成膜性材料を含有するバリア層と、該バリア層上にインク受容層とを有するインクジェット記録体であって、バリア層が、成膜性材料100部に対し、顔料20部以上250部未満を含有し、更にポリビニルアルコールに対して架橋性を有する材料を含有し、インク受容層が、ポリビニルアルコールを接着剤とし、平均粒子径700nm以下である無機微粒子を主成分とした層であることを特徴とするインクジェット記録体。
  2. バリア層の顔料が、炭酸カルシウム、カオリンから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のインクジェット記録体。
  3. 支持体の塗工層が2層以上である請求項1または2記載のインクジェット記録体。
  4. バリア層の顔料が、成膜性材料100部に対し、顔料70部以上200部以下含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
  5. 下記条件で測定した伸び率が、0.05%以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録体。
    「測定条件」
    温度23℃、湿度50%の条件で調湿した、A4判のインクジェット記録体に、横18cm×縦5cmのグリーンベタ印字を行い、温度23℃、湿度50%の環境下で、印字2分後の横の長さ(Lcm)を測定し、下記式で伸び率を算出する。
    伸び率(%)=(L−18)×100/L
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