JP2000335103A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

インクジェット記録用紙

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JP2000335103A
JP2000335103A JP11153270A JP15327099A JP2000335103A JP 2000335103 A JP2000335103 A JP 2000335103A JP 11153270 A JP11153270 A JP 11153270A JP 15327099 A JP15327099 A JP 15327099A JP 2000335103 A JP2000335103 A JP 2000335103A
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gloss
ink jet
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JP11153270A
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Masahiro Morie
正博 森江
Shinichi Asano
晋一 浅野
Kanichi Sunakawa
寛一 砂川
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、キャスト塗被紙等の高光沢、高平滑
性を有し、優れたインクジェット適性を備えた記録用紙
であり、さらにプリンタ搬送性に優れたインクジェット
記録用紙を提供する。 【解決手段】必要に応じ下塗り層を設けた支持体に光沢
層を設けたインクジェット記録用紙において、支持体裏
面にデンプン粒子を含む塗工液を塗工、乾燥してなるこ
とを特徴とするインクジェット記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用紙に関し、特に表面光沢、インクジェット記録適性
に優れ、かつインクジェットプリンタ記録時のプリンタ
搬送性に優れたインクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタによる記録は、
騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が
容易なために多方面で利用されている。インクジェット
記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫され
た上質紙や、表面に多孔性顔料を塗被した塗被紙等が適
用されている。ところで、これらの用紙はすべて表面光
沢の低い、いわゆるマット調のインクジェット記録用紙
が主体であるため、表面光沢の高い、優れた外観を持つ
インクジェット記録用紙が要望されている。一般に、表
面光沢の高い用紙としては、表面に板状顔料を塗被し、
さらに必要に応じてキャレンダー処理を施した高光沢を
有する塗被紙、あるいは湿潤塗被層を鏡面仕上げされた
加熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を
写し取ることで得られる、所謂キャスト塗被紙が知られ
ている。このキャスト塗被紙はスーパーキャレンダー仕
上げされた通常の塗被紙に比較して高い表面光沢とより
優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られるこ
とから、高級印刷物等の用途に専ら利用されているが、
インクジェット記録用紙に利用した場合、種々の難点を
抱えている。
【0003】すなわち、一般に従来のキャスト塗被紙
は、例えばUS5275846号に記載されている。そ
の塗被層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物
質がキャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ること
により高い光沢を得ているが、この成膜性物質の存在に
よって塗被層の多孔性が失われ、インクジェット記録時
のインクの吸収を極端に低下させる等の問題を抱えてい
る。そして、このインク吸収性を改善するには、キャス
ト塗被層がインクを容易に吸収できるようにポーラスに
してやることが重要であり、そのためには成膜性を減ず
ることが必要となるが、成膜性物質の量を減らすことに
より、結果として白紙光沢が低下する。以上の如く、キ
ャスト塗被紙の表面光沢とインクジェット記録適性の両
方を同時に満足させることが極めて困難であった。上記
問題を解決する方法として、顔料及び接着剤を主成分と
する下塗り層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結合
を有するモノマーを重合させてなる40℃以上のガラス
転移点を有する共重合体を主成分とする塗被液を塗被し
てキャスト用塗被層を形成せしめ、該キャスト用塗被層
が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾
燥して仕上げることにより、優れた光沢とインク吸収性
を兼ね備えるインクジェット記録用キャスト紙が得られ
ることを本発明者等は見出し、特開平7-89220号として
提案した。
【0004】また、上記問題を解決するもう一つの方法
として、基材にキャスト塗工層を設けたインクジェット
用紙において、キャスト塗工層が、1次粒子の平均粒子
径が3nm以上40nm以下で、2次粒子の平均粒子径
が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を
含有することにより、優れた光沢とインク吸収性を兼ね
備えるインクジェット記録用キャスト紙が得られること
を本発明者等は見出し、特願平10-131532号として提案
した。しかしながら、上記方法における問題点として、
キャスト表面と裏面を重ねた際にべた付きが生じたり、
インクジェット記録用キャスト紙裏面とキャスト表面間
の滑りが悪いためにインクジェットプリンタで印字する
際、搬送しなかったり、連続記録を行なう際に複数枚の
記録用紙が重なって搬送されてしまう(重送)、という
問題があることが明らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように光沢性に優
れた表面層を有する場合、積層された記録用紙の裏面と
密着するためか、重送される欠点があった。本発明は、
上記の問題を解決し、キャスト塗被紙等の高光沢、高平
滑性を有し、優れたインクジェット適性を備えた記録用
紙であり、さらにプリンタ搬送性に優れたインクジェッ
ト記録用紙を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の態様を含
む。 [1]必要に応じ下塗り層を設けた支持体に光沢層を設
けたインクジェット記録用紙において、支持体裏面にデ
ンプン粒子を含む塗工液を塗工、乾燥してなることを特
徴とするインクジェット記録用紙。 [2]デンプン粒子が小麦デンプン粒子であることを特
徴とする[1]記載のインクジェット記録用紙。 [3]支持体裏面に塗工する塗工液が、デンプン粒子と
接着剤を含有し、接着剤100重量部に対してデンプン
粒子50重量部〜300重量部であることを特徴とする
[1]または[2]記載のインクジェット記録用紙。 [4]必要に応じ下塗り層を設けた支持体に光沢層を設
けたインクジェット記録用紙において、支持体裏面に顔
料と接着剤を含有するインクジェット記録層を設け、該
インクジェット記録層上にデンプン粒子を含む塗工液を
塗工、乾燥してなることを特徴とする[1],[2]ま
たは[3]記載のインクジェット記録用紙。 [5]光沢層がシリカ微細粒子又はコロイダルシリカを
含有することを特徴とする[1],[2],[3]また
は[4]記載のインクジェット記録用紙。
【0007】[6]光沢層中に含まれるシリカ微細粒子
の平均1次粒子径が3nm〜40nm、平均2次粒子径
が10nm〜400nm、又はコロイダルシリカの平均
粒子径が200nm以下であることを特徴とする[5]
記載のインクジェット記録用紙 [7]支持体裏面に塗工する塗工液の乾燥固形分が0.
1g/m2〜20g/m2であることを特徴とする[1],
[2],[3],[4],[5]または[6]記載のイ
ンクジェット記録用紙。 [8]必要に応じ下塗り層を設けた支持体に、樹脂およ
び必要に応じ顔料を含有する塗工液を塗工し、この塗工
層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧
接、乾燥することにより光沢層を設けたことを特徴とす
る[1],[2],[3],[4],[5],[6]ま
たは[7]記載のインクジェット記録用紙。 [9]支持体表面にインクジェット記録層を設けたイン
クジェット記録用紙において、該支持体裏面に顔料と接
着剤を含有する裏面のインクジェット記録層を設け、該
裏面のインクジェット記録層上にデンプン粒子を含む塗
工液を塗工、乾燥してなることを特徴とするインクジェ
ット記録用紙。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では上記のように支持体裏
面へデンプン粒子を塗工する。本発明者等は、光沢層を
有するインクジェット用紙のブロッキングを抑え、滑り
性を向上させ、プリンタ搬送性を改善するために、各種
滑剤を支持体裏面に塗工する方法を検討した。脂肪族炭
化水素系滑剤、高級脂肪族系アルコール系滑剤、高級脂
肪酸系滑剤、脂肪酸エステル系滑剤、脂肪酸アマイド系
滑剤、金属石鹸系滑剤、各種無機顔料、ポリオレフィ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリ
ル、ポリスチレン等の有機微粒子の検討を行なったが、
これらはブロッキング防止や滑り性向上に対する十分な
効果が得られず、配合量を増加させることによりある程
度の効果は得られるものの、滑剤が支持体裏面から光沢
層表面に転写し、表面光沢の低下、インク吸収性の低
下、及び記録濃度の低下を招き、十分な品質を得られる
ものはなかった。
【0009】そこでさらに検討を進めた結果、滑剤とし
てデンプン粒子、特に小麦デンプン粒子を支持体裏面に
塗工することにより極めて高い効果が得られることが分
かった。すなわち、ブロッキングを抑え、プリンタ搬送
性に優れ、かつ他の記録用紙と積層されても表面の高い
光沢性を低下させることがないインクジェット用紙を得
ることができた。さらに支持体の表面だけでなく、裏面
にもインクジェット記録を実施する場合に、デンプン粒
子を塗工した場合、印字品位の低下が少ないことが明ら
かになった。特に、裏面へのインクジェット記録適性を
付与するため、裏面にインクジェト記録層を設けること
ができるが、この場合、記録層に通常の滑剤を塗工する
と、裏面の印字品位が著しく低下する場合が多いのに対
し、デンプン塗工の場合、印字品位の低下が少ない。
尚、裏面にインクジェト記録層を設ける場合、後に記載
する下塗り層と同様の、顔料及び接着剤の処方が使用で
きる。
【0010】支持体裏面にデンプン粒子を塗工した光沢
層を有するインクジェット用紙がプリンタ搬送性に優れ
る理由は必ずしも明らかではないが、デンプン粒子は塗
工層表面に露出しやすく、滑剤としての効果が出易い、
と推定される。何故なら、光沢層を有する記録用紙の搬
送性が劣り易いのは、表面に凹凸が少ないため、用紙裏
面と密着することが一因となっていると思われ、デンプ
ン粒子が密着を妨げる効果があると推測できる。またデ
ンプン粒子の中でも特に小麦デンプンが高い効果が得ら
れる理由としては、小麦デンプン粒子自体の粒度が揃っ
ているため、紙間摩擦を低減し、安定した滑り性が得ら
れる、と推定される。このような理由で少量の使用でも
滑剤としての効果が高いため、光沢層へのデンプン粒子
の転移が少なく、また転移したとしてもインクジェット
印字への悪影響が少ないため、高い画質と安定した搬送
性の両方を同時に実現することが可能となった。尚、通
常、接着剤として利用されるデンプンは粒子ではない糊
化されたデンプンであり、このようなデンプンでは本発
明特有の効果は得られない。
【0011】本発明においてデンプン粒子は、デンプン
粒子および好ましくは接着剤を含有する塗工液として支
持体裏面に塗工される。使用するデンプンの平均粒子径
は、5μm〜40μm程度であり、好ましくは10μm
〜35μmの範囲である。平均粒子系が5μm未満であ
ると紙間摩擦が十分に低減せず、搬送不良(重送、不送
り)を引き起し易くなる。また40μmを超えると、逆
に紙間摩擦が増大し、搬送不良を引き起こす可能性があ
る。さらに塗工層から脱落し易くなるおそれがある。塗
工液中のデンプン粒子の配合部数は、接着剤100重量
部に対して、50重量部〜300重量部程度、好ましく
は70重量部〜250重量部の範囲である。配合部数が
50重量部より少ないと、紙間摩擦が十分に低減せず、
搬送不良を引き起こす可能性がある。また300重量部
を超えると接着剤が十分に作用せず、支持体裏面からデ
ンプン粒子が脱落しやすくなり、用紙を重ねて置いた際
にデンプン粒子の光沢面への転写が著しくなり、印字品
質やプリンタ搬送性を損なう可能性がある。
【0012】塗工液中の接着剤としては、カゼイン、大
豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、澱粉や酸化澱粉など
の各種澱粉類、ポリビニルアルコール類、カルボキシメ
チルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘
導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリ
レート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテ
ックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビ
ニル共重合体などのビニル系重合体ラテックス等、一般
に塗工紙用として用いられている従来公知の接着剤が単
独、もしくは併用して用いられる。また塗工液中には、
一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、
消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加す
ることができる。塗工液の塗工量は、乾燥重量にして
0.1g/m2〜20g/m2程度、好ましくは0.15g/m2
〜10g/m2さらに好ましくは0.15g/m2〜2g/m2
範囲である。塗被量が0.1g/m2未満であると搬送性を
向上させる効果が得られ難い。多い場合は、特に弊害は
ないが、裏面にインクジェットプリンタでの印字を目的
とする記録層を設けた場合は、インク発色性の低下やニ
ジミの悪化等印字品位が低下する可能性があるため、2
g/m2未満が好ましい。
【0013】本発明で用いる基材としては、特に限定さ
れるものではなく、一般の塗被紙に使用される酸性紙、
あるいは中性紙等の紙基材が適宜使用される。また透気
性を有する樹脂シート類も用いることができる。紙基材
は木材パルプと必要に応じ顔料を主成分として構成され
る。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生
パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙
力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度
を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限
定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JI
S P−8121)程度である。顔料は不透明性等を付
与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸
カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使
用できる。この場合、配合量は1〜20%程度が好まし
い。多すぎると紙力が低下するおそれがある。助剤とし
てサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留
り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができ
る。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デン
プン、ポリビニルアルコール、カチオン樹脂等を塗被・
含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。サイズ
度は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、
塗被時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、
高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコ
ックリングが著しくなる場合がある。
【0014】基材の坪量は、特に限定されないが、20
〜400g/m2 程度である。坪量が低いと、コックリ
ングが著しくなったり、インクの裏写りが著しくなりや
すく、また紙腰が弱くなり取扱い難くなるおそれが生じ
る。坪量が高いと紙腰が強くなり、不送り等のプリンタ
ー走行性が低下するおそれがある。基材上には、直接光
沢層を設けても良いが、インクの吸収容量、吸収速度を
高める目的で、下塗り層を設けるのが好ましい。基材上
に設けられる下塗り層は、顔料と接着剤を主成分として
構成される。下塗り中の顔料は、カオリン、クレー、焼
成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合
成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化
アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸
アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライ
ト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合
成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウ
ム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチッ
クピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラス
チックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピ
グメント等、一般塗被紙製造分野で公知公用の各種顔料
が1種もしくはそれ以上、併用することができる。これ
らの中でも、インク吸収性の高い無定形シリカ、アルミ
ナ、ゼオライトを主成分として使用するのが好ましい。
下塗り層接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋
白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリ
ビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、
シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコ
ール類、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロー
ス等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合
体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役
ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテック
ス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体
ラテックス、等一般に塗被紙用として用いられている従
来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。
顔料と接着剤の配合割合は、その種類にもよるが、一般
に顔料100重量部に対し接着剤1〜100重量部、好
ましくは2〜50重量部の範囲で調節される。
【0015】その他、一般塗被紙の製造において使用さ
れる分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の
各種助剤が適宜添加される。下塗り層中には蛍光染料、
着色剤を添加することもできる。下塗り層中には、イン
クジェット記録用インク中の染料成分を定着する目的
で、カチオン性化合物を配合することもできる。ただ
し、光沢層にカチオン性化合物を配合する場合、インク
染料は下塗り層上に設ける光沢層にできるだけ定着させ
た方が、印字(記録)濃度が高くなるため好ましく、こ
のためには、下塗り層中よりも光沢層中にカチオン性化
合物を多く配合するのが好ましい。さらに好ましくは、
光沢層のみにカチオン性化合物を配合し、下塗り層中に
はカチオン性化合物が実質的に存在しないのが良い。実
質的に存在しないとは、カチオン性界面活性剤等を助剤
的に微量添加することは除外される。光沢層のみにカチ
オン性化合物を配合し、下塗り層中にはカチオン性化合
物が実質的に存在しない場合に、光沢層を設けた際の光
沢が最も発現し易い。
【0016】下塗り層中には、コロイダルシリカとエチ
レン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重
合体樹脂との複合体を配合すると、光沢層を設けた際の
光沢がより発揮される。この理由は必ずしも明らかでは
ないが、前述の複合体の存在が、下塗り層のインク吸収
性を維持したまま、光沢層用塗被組成物の下塗り層への
浸透を抑制するためと推定される。さらにその理由は不
明であるがキャスト方式により光沢層を設けた場合、キ
ャストドラムからの離型性が向上する傾向がある。エチ
レン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重
合体樹脂としては、例えばメチルアクリレート、エチル
アクリレートブチルアクリレート、2エチルヘキシルア
クリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアルキ
ル基炭素数が1〜18個のアクリル酸エステル、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキ
シエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタ
クリレート、グリシジルメタクリレート等のアルキル基
炭素数が1〜18個のメタクリル酸エステル、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニ
トリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、アクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミド、エチレン、ブタジエン等のエチレン性モ
ノマーを重合して得られる重合体が挙げられる。なお、
重合体は必要に応じて2種類以上のエチレン性モノマー
を併用した共重合体であっても良いし、さらに、これら
重合体あるいは共重合体の置換誘導体でも良い。因み
に、置換誘導体としては、例えばカルボキシル基化した
もの、又はそれをアルカリ反応性にしたもの等が例示さ
れる。コロイダルシリカとの複合化は、上記のエチレン
性モノマーをシランカップリング剤等とコロイダルシリ
カの存在下で重合させ、Si−O−R結合(R:重合体
成分)によって複合体にする、あるいは必要に応じシラ
ノール基等で変性した重合体樹脂とコロイダルシリカを
反応させ、Si−O−R結合(R:重合体成分)によっ
て複合体にする方法が挙げられる。
【0017】上記複合体の重合体成分のTg(ガラス転
移点)は40℃以上が好ましく、50〜100℃の範囲
がより望ましい。Tgが低いと乾燥の際に成膜が進みす
ぎるためか、インクの吸収が遅くなりにじみが発生する
場合が生じる。さらに、その理由は不明であるが、Tg
が40℃以上の場合、キャスト方式により光沢層(キャ
スト塗被層)を設けた場合のキャストドラムからの離型
性がより向上する傾向がある。上記材料をもって構成さ
れる下塗り層用組成物は、一般に固形分濃度を5〜50
重量%程度に調整し、紙基材上に乾燥重量で2〜100
g/m2 、好ましくは5〜50g/m2 程度、さらに好ま
しくは10〜20g/m2 程度になるように塗工する。
塗工量が少ないと、インク吸収性が劣ったり、光沢層を
設けた際に光沢が十分に出なかったりする場合があり、
多いと、印字濃度が低下したり、塗工層の強度が低下
し、粉落ちや傷が付き易くなる場合がある。下塗り層用
組成物は、ブレードコーター、エアーナイフコーター、
ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコ
ーター、バーコーター、リップコーター、グラビアコー
ター、カーテンコーター等の各種公知公用の塗工装置に
より塗被、乾燥される。さらに、必要に応じて下塗りの
乾燥後に スーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の
平滑化処理を施すこともできる。
【0018】本発明では、基材上にあるいは上記した顔
料と接着剤よりなる下塗り層上にさらに光沢層を設け
る。この光沢層は、接着剤及び必要に応じ顔料を主成分
とする。顔料としては、1次粒子の平均粒子径が3nm
以上40nm以下で、2次粒子の平均粒子径が10nm
以上1μm以下、好ましくは10nm以上400nm以
下であるシリカ微細粒子、又は平均粒子径が200nm
以下のコロイダルシリカを含有するのが好ましい。これ
らを使用することにより、印字品位(記録濃度、インク
吸収性等)に優れ光沢に優れたインクジェット記録用紙
が得られる。本発明に好ましく用いられるシリカ微細粒
子の調整方法は特に限定するものではないが、例えば、
一般的に市販されている合成非晶質シリカ(例えば2次
粒子径は数ミクロン程度のもの)を機械的手段により強
い力を与えて2次粒子径を小さくすることにより得るこ
とができる。この機械的手段としては、超音波ホモジナ
イザー、圧力式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラ
ミル、容器駆動触媒ミル、触媒攪拌ミル、ジェットミ
ル、サンドグラインダー等が挙げられる。このようにし
て処理されたシリカ微細粒子は、一般に固形分濃度が5
〜20%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒
子)として得られる。
【0019】本発明でいう平均粒子径とは、電子顕微鏡
(SEMとTEM)で観察した粒子径である(1万〜4
0万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm四方中の粒子の
マーチン径を測定し、平均したもの。「微粒子ハンドブ
ック」( 朝倉書店) のP52、1991年等に記載され
ている。)。本発明で好ましく用いられるシリカ微細粒
子(実質的に2次粒子が主体)の平均粒子径は、10n
m以上400nm以下が好ましく、より好ましくは、1
5nm以上150nm以下、さらに好ましくは20nm
以上100nm以下に調整される。シリカ微細粒子の2
次粒子の平均粒子径が大きいと、光沢層の透明性が低下
し、光沢層中に定着された染料の発色性が低下し、所望
とする印字濃度が得られ難くなる。また、2次粒子の平
均粒子径が極めて小さいシリカ微細粒子を使用すると、
インキ吸収性が低下し、所望とする画像品位が得られ難
くなる。また、シリカ微細粒子の1次粒子の平均粒径
は、3nm以上40nm以下に調整するのが好ましく、
より好ましくは5nm以上30nm以下、さらに好まし
くは7nm以上20nm以下である。この1次粒子径の
平均が3nm未満になると1次粒子間の空隙が著しく小
さくなり、インキ中の溶剤やインキを吸収する能力が低
下し、所望とする画像品位が得られ難くなる。また、1
次粒子径の平均が40nmを超えると、凝集した2次粒
子が大きくなり、キャスト塗被層等の光沢層の透明性が
低下し、光沢層中に定着された染料の発色性が低下し、
所望とする印字濃度が得られ難くなる。
【0020】光沢層中の全顔料中におけるシリカ微細粒
子の比率は、下塗りの透明性、インク吸収性を維持する
ために、50%以上が望ましい。全顔料中のシリカ微細
粒子の比率が50%未満になると透明性の低下が著し
く、印字濃度等の画像品位が低下する場合もある。
【0021】またコロイダルシリカとは、一般に無水珪
酸の超微粒子(1次粒子)を水等の分散媒に分散せしめ
たコロイド溶液のことを指す。コロイド溶液の分散質の
粒子径は一般に1〜100nmとされるが、ここでは1
00nmを超えるもの(いわゆるシリカゾル)も含める
ものとする。なお、コロイダルシリカは一般に真球状の
ものが多いが、鎖状あるいは数珠状等のものでも良く、
特に限定しない。平均粒子径は200nm以下であるの
が好ましく、より好ましくは100nm以下、さらに好
ましくは50nm以下である。平均粒子径が200nm
を超えると、キャスト塗被層等の光沢層の透明性が低下
し、光沢層中に定着された染料の発色性が低下し、所望
とする印字濃度が得られ難くなる。また、光沢向上の効
果に乏しく、逆に低下する場合も生じる。下述する様
に、光沢層にカチオン性化合物を配合する場合、コロイ
ダルシリカとしてカチオン性コロイダルシリカを使用す
るとカチオン性化合物との混和性に優れ好ましい。光沢
層中の全顔料中におけるコロイダルシリカの比率は、5
%以上50%以下が望ましく、さらに好ましくは10%
以上30%以下である。5%未満では、光沢向上の効果
に乏しく、50%を超えて多いとインク吸収性が低下
し、インクがあふれたり滲んだりする場合が生じる。
【0022】接着剤としては、水溶性樹脂(例えばポリ
ビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコー
ル、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルア
ルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でん
ぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロー
ス等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重
合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の
共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル
共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性
樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性
ポリエステル樹脂等、その他一般に塗被紙分野で公知公
用の各種接着剤が単独あるいは併用して使用される。光
沢層には、下塗層に配合できる材料として前述した、コ
ロイダルシリカとエチレン性不飽和結合を有するモノマ
ーを重合させてなる重合体樹脂との複合体も使用するこ
とができる。光沢層に顔料を配合する場合、接着剤の配
合量は顔料100重量部に対し1〜200重量部、より
好ましくは10〜100重量部の範囲で調節される。こ
こで接着剤の量が少ないと、塗被層の強度が弱くなり表
面が傷つき易くなったり、粉落ちが発生する場合があ
る。逆に接着剤の量が多いと、インク吸収性が低下し、
所望のインクジェット記録適性が得られなくなる場合が
ある。
【0023】光沢層には、インク中の染料成分を定着さ
せる目的で、カチオン性化合物を配合するのが好まし
い。配合の方法は、前述のシリカ微細粒子に混合する場
合は、シリカ微細粒子は一般にアニオン性であり、混合
の際凝集が起こる場合がある。この場合、一般的に市販
されている非晶質シリカ(数ミクロンの2次粒子径を有
する)を機械的手段により強い力を与えて微細粒子にす
る際、処理前の非晶質シリカにカチオン性化合物を一緒
に混合分散してから機械的手段により分散・粉砕する
か、あるいは微細化したシリカ2次粒子分散体に混合
し、一旦増粘・凝集させた後、再度機械分散・粉砕する
方法等をとることができる。カチオン性化合物として
は、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物(例えば
カチオン性界面活性剤等)が例示できる。印字濃度向上
の効果の点ではカチオン性樹脂が好ましく、水溶性樹脂
あるいはエマルジョンとして使用できる。さらにカチオ
ン性樹脂を架橋等の手段により不溶化し粒子状の形態と
したカチオン性有機顔料としても使用できる。このよう
なカチオン性有機顔料は、カチオン性樹脂を重合する
際、多官能性モノマーを共重合し架橋樹脂とする、ある
いは反応性の官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ
基、アセトアセチル基等)を有するカチオン性樹脂に必
要に応じ架橋剤を添加し、熱、放射線等の手段により架
橋樹脂としたものである。カチオン性化合物、特にカチ
オン性樹脂は接着剤としての役割を果たす場合もある。
【0024】カチオン性樹脂は下記のものが例示でき
る。具体的には、1)ポリエチレンポリアミンやポリプ
ロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類
又はその誘導体、2)第2級アミン基や第3級アミン基
や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、3)ポ
リビニルアミン、ポリビニルアミジン類、4)ジシアン
ジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系
カチオン樹脂、5)ジシアンジアミド−ジエチレントリ
アミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹
脂、6)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合
物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−S
02共重合物、8)ジアリルアミン塩−S02共重合
物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合
物、10)アリルアミン塩の重合物、11)ジアルキル
アミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、1
2)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等のカ
チオン性化合物。カチオン性化合物は、さらに印字画像
耐水性を向上させる効果も有する。光沢層に配合するカ
チオン性化合物は顔料100重量部に対し、1〜100
重量部、より好ましくは5〜50重量部の範囲で使用す
ることができる。配合量が少ないと印字濃度向上の効果
が得られにくく、多いと逆に印字濃度が低下したり、画
像のニジミが発生する恐れもある。
【0025】光沢層はキャスト方式にて形成するのが望
ましい。キャスト方式とは、塗工層を、平滑性を有する
キャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、
ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチ
ックシートやフィルム、ガラス板等上で乾燥し、平滑面
を塗被層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗
工層表面を得る方法である。キャスト塗工層を設ける方
法としては、キャスト塗工層用塗工液を基材上又は下塗
り層上に塗工して、該塗工層が湿潤状態にある間に加熱
された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェ
ットキャスト法)、あるいは一旦乾燥後再湿潤した後加
熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(リ
ウェットキャスト法)等が例示できる。また加熱された
鏡面ドラムに直接キャスト塗工層用塗工液を塗工した
後、下塗り層を設けた基材の下塗り層面に圧接、乾燥し
て仕上げる方法(プレキャスト法)も採用することがで
きる。
【0026】さらに、上記のキャスト塗工層用塗工液を
基材上又は下塗り層上に塗工して、このキャスト塗工層
をある程度乾燥し、半乾燥の状態にある間に、加熱され
た鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げると、均一で平滑
の高い塗工層が形成され易く、印字濃度が高く、光沢の
優れた光沢層が得られ易い。ここで半乾燥とは、塗工層
の流動性はほとんどなくなっているが、水分は多く含ん
でいる状態を意味し、塗工層絶乾重量に対して20〜4
00%(すなわち塗工層の絶乾重量100重量部に対し
20〜400重量部の水分を含む)程度とするのが好ま
しく、より好ましくは50〜200%の範囲で調整され
る。水分が少ないと鏡面ドラムに圧接した際の鏡面の転
写が不十分となり、十分に光沢が発揮されにくい。多い
と鏡面ドラムに圧接した際、塗工層が押しつぶされ均一
で十分な塗工量の塗工層が得られず、印字濃度や光沢が
不十分となり易い。さらに、塗工層が鏡面ドラムに転移
付着して光沢が低下したり、鏡面ドラムが汚れて操業上
問題となるおそれが生じる。
【0027】キャスト塗工層用塗工液を基材上又は下塗
り層上に塗工して、下塗り層が湿潤状態にある間に加熱
された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる場合、均一
で十分な塗工量の塗工層を得る目的で、キャスト塗工層
用塗工液の不動化を促進する方法を採ることもできる。
この方法としては例えば、(1)基材中又は下塗り層中
にキャスト塗工層用塗工液の不動化を促進する様なゲル
化剤を配合しておく、(2)基材上又は下塗り層上にキ
ャスト塗工層用塗工液の不動化を促進する様なゲル化剤
を塗工・含浸させる、(3)キャスト塗工層用塗工液を
塗工した後、キャスト塗工層用塗工液の不動化を促進す
る様なゲル化剤を表面に塗工・含浸させる、(4)キャ
スト塗工層用塗工液中に塗工液が乾燥する過程で不動化
が促進されるようなゲル化剤を配合しておくことが挙げ
られる。この様なゲル化剤としては、キャスト塗工層用
塗工液中の接着剤の架橋剤であるほう酸、ぎ酸等及びそ
れらの塩、アルデヒド化合物、エポキシ化合物等が挙げ
られる。キャスト塗工層用塗工組成物と同様の組成物
を、基材上又は下塗り層上に塗工し乾燥又は半乾燥した
後、該塗工層上にさらにキャスト塗工層用塗工組成物を
塗工し、キャストドラム上で乾燥することもできる。
【0028】キャスト塗工層用塗工組成物中には白色
度、粘度、流動性等を調節するために、一般の印刷用塗
工紙やインクジェット用紙に使用されている顔料、消泡
剤、着色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤及び分散
剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添加される。また、キャ
ストドラム等からの離型性を付与する目的で、離型剤を
添加することができる。前述した光沢層用塗工液を下塗
り層上に塗工する場合、ブレードコーター、エアーナイ
フコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャン
プレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター
等の各種公知の塗工装置が使用できる。光沢層の塗工量
は、乾燥固形分で1〜30g/m2 、好ましくは1.5
〜20g/m2 、より好ましくは、3〜15g/m2 であ
る。ここで、1g/m2 未満では印字濃度や光沢が十分
に出ない場合があり、30g/m2 を超えて多いと効果
は飽和し、乾燥に負担がかかり操業性が低下する恐れが
ある。光沢層をキャスト仕上げにより設けた後で、さら
にスーパーカレンダー等により平滑化処理を行なうこと
もできる。尚、製造工程の順は特に限定しないが、表面
の光沢層に傷が入る可能性を少なくする意味では光沢層
は、なるべく後の工程で設けることが好ましい。光沢層
(グロス、及び半光沢型の場合を含む)の光沢度(75
°)は特に限定しないが、好ましくは20%以上好まし
くは40%以上である。グロス型の場合、より好ましく
は50%以上、更に60%以上が好ましい。
【0029】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明をより具体的
に説明するが、もちろんこれらに限定されるものではな
い。また、例中の部及び%は特に断らない限り、それぞ
れ重量部及び重量%を示す。 実施例1 下記の下塗り層塗工液を、米坪140g/m2の原紙(厚
さ;180μ)に乾燥重量で12g/m2になるように、
エアーナイフコーターで塗工し乾燥した。続いて下記の
裏面記録層塗工液を原紙裏面に5g/m2となるように、
エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。次に上記の下
塗り層上に、下記の光沢層塗工液をエアーナイフコータ
ーで塗工し、冷風で20秒乾燥し半乾燥状態にした後
(塗工層絶乾量に対する水分率150%)、表面温度が
100℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、イ
ンクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層は固形
分重量で、6g/m2であった。この後、原紙裏面の裏面
記録層上に下記のデンプン塗工液を乾燥重量で1.0g/
2になるようにエアーナイフコーターで塗工、乾燥し
た。
【0030】[下塗り層塗工液]顔料として合成非晶質
シリカ(ファインシールX−45;トクヤマ製、平均2
次粒子径4.5μm、1次粒子径15nm)80部、ゼ
オライト(トヨビルダー;トーソー製、平均粒子径1.
5μm)20部、接着剤としてシリル変性ポリビニルア
ルコール(R1130;クラレ製)20部、ガラス転移
点75℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共
重合体と粒子径30nmのコロイダルシリカとの複合体
エマルジョン(共重合体とコロイダルシリカは重量比で
40:60、エマルジョンの粒子径は80nm)40
部、蛍光染料(WhitexBPSH;住友化学製)2
部を添加し、固形分濃度17%の下塗り用塗工液を調整
した。 [裏面記録層塗工液]顔料として合成非晶質シリカ(フ
ァインシールX−45;トクヤマ製、平均2次粒子径
4.5μm、1次粒子径15nm)80部、ゼオライト
(トヨビルダー;トーソー製、平均粒子径1.5μm)
20部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール
(R1130;クラレ製)20部、カチオン性樹脂とし
てジシアンアミド系樹脂(ネオフィックスFY;日華化学
工業製)10部、蛍光染料(WhitexBPSH;住
友化学製)2部を添加し、固形分濃度18%の裏面記録
層用塗工液を調製した。
【0031】[光沢層塗工液]シリカ微細粒子(合成非
晶質シリカ(ファインシールX−45;トクヤマ製、2
次粒子径4.5μm、1次粒子径15nm)の水分散液
を用い、圧力式ホモジナイザー(超高圧式ホモジナイザ
ーGM−1;SMT社製)を用いて粉砕の操作を繰り返
した(加圧500kg/cm2 )。処理後分散液中のシ
リカの平均2次粒子径は50nm、固形分濃度は12%
であった(1次粒子径は15nmのまま))80部、コ
ロイダルシリカ(カチオン性コロイダルシリカ;日産化
学工業製、商品名;スノーテックスAK、平均粒子径1
5nm)を20部、接着剤としてカチオン性水性ウレタ
ン樹脂(F−8564D;第一工業製薬製、Tg=73
℃)を25部、カチオン性樹脂としてジアリルジメチル
アンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(日
東紡績社製、商品名;PAS−J−81)10部よりな
る固形分濃度が12%の光沢層塗工液を調製した。 [デンプン塗工液]小麦デンプン(KGデンプン22C;
籠島澱粉製、粒径約15μm、溶解せず粒子のままで使
用した)200部、接着剤として糊化したデンプン溶液
(エースA;王子コーンスターチ製、加熱し溶解して使
用)100部よりなる固形分濃度5%のデンプン塗工液
を調製した。
【0032】実施例2 実施例1において小麦デンプン粒子を冷水に不溶の酸化
デンプン粒子(エースA;王子コーンスターチ製、加熱
せず溶解させないで使用)にする以外は実施例1と同じ
方法で、インクジェット記録用紙を得た。 実施例3 実施例1において裏面記録層を設けなかった以外は実施
例1と同じ法で、インクジェット記録用紙を得た。 実施例4 下記の下塗り用塗工液を、米坪140g/m2の原紙に乾
燥重量で10g/m2になるように、エアーナイフコータ
ーで塗被、乾燥した。次に下記の光沢層塗工液を上記の
下塗り層上にロールコーターを用いて塗工した後、直ち
に表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離
型させ光沢層を形成した。このときの塗工量は固形分重
量で6g/m2であった。この後、原紙の裏面に、デンプ
ン塗工液を実施例1と同様にして設け、インクジェット
記録用紙を得た。 [下塗り層塗工液]顔料として合成非晶質シリカ(ファ
インシールX−45;トクヤマ製、平均2次粒子径4.
5μm、1次粒子径15nm)80部、ゼオライト(ト
ヨビルダー;トーソー製、平均粒子径1.5μm)20
部、接着剤としてシリル変性ポリビニルアルコール(R
1130;クラレ製)20部、カチオン性樹脂としてジ
シアンジアミド系樹脂(ネオフィックスFY;日華化学工
業製)10部、蛍光染料(WhitexBPSH;住友
化学製)2部を添加し、固形分濃度18%の下塗り用塗
工液を調整した。 [光沢層塗工液]ガラス転移点80℃のスチレン-2メ
チルヘキシルアクリレート共重合体とコロイダルシリカ
の複合体(モビニール8055;ヘキスト合成製)100
部、増粘剤としてアルキルビニルエーテル・マレイン酸
誘導体共重合体(ビスマルYK−1S;東邦化学工業製)5
部、離型剤としてレシチン3部よりなる固形分濃度が2
5%の光沢層用塗工液を調整した。
【0033】実施例5 実施例3において、光沢層塗工液を表面温度85℃の鏡
面ドラム上にグラビアコーターで乾燥重量が5g/m2
なるように塗被し光沢層を設け、光沢層の表面(支持体
上の下塗り層を設けた面と接する面)が湿潤状態にある
間に、下塗り層を設けた原紙の下塗り層面に圧接し、乾
燥後、鏡面ドラムを離型させ光沢層を転写した以外は、
実施例3と同様にインクジェット記録用紙を得た。
【0034】実施例6 実施例1において小麦デンプンの配合部数を200部か
ら40部とする以外は実施例1と同じ方法で、インクジ
ェット記録用紙を得た。 実施例7 実施例1において小麦デンプンの配合部数を200部か
ら350部とする以外は実施例1と同じ方法で、インク
ジェット記録用紙を得た。 実施例8 実施例1においてデンプン塗工液の塗工量を乾燥重量で
0.05g/m2とした以外は実施例1と同じ方法で、イ
ンクジェット記録用紙を得た。 実施例9 実施例1において、デンプン塗工液の塗工量が、乾燥重
量で25g/m2とする以外は実施例1と同じ方法で、イ
ンクジェット記録用紙を得た。 実施例10 実施例1において、シリカ微細粒子の代わりに無定型シ
リカ(ファインシールX45;トクヤマ製、4.5μ)
を用いる以外は実施例1と同じ方法で、インクジェット
記録用紙を得た。
【0035】比較例1 実施例1において、裏面にデンプン塗工液を塗工しない
以外は実施例1と同じ方法で、インクジェット記録用紙
を得た。 比較例2 実施例3において、裏面にデンプン塗工液を塗工しない
以外は実施例1と同じ方法で、インクジェット記録用紙
を得た。
【比較例3】実施例4において、裏面にデンプン塗工液
を塗工しない以外は実施例1と同じ方法で、インクジェ
ット記録用紙を得た。
【0036】このようにして得られたインクジェット記
録用紙の白紙光沢、インクジェット記録適性、及び搬送
性の結果を表1にまとめて示した。なお、上記の評価に
ついては下記の如き方法で評価を行った。 [白紙光沢]JIS−P8142に準じて測定した。 [インクジェット記録適性] (インクジェット記録用インクの吸収性)キヤノン(株)製
カラーインクジェットプリンターBJC420J(イン
クジェット記録用装置)にて印字を行ない、インクの乾
燥性を目視で評価した。 ○:印字直後に指で触れてもまったく汚れない。 △:印字直後に指で触れるとわずかに汚れるが、実用上
問題ない。 ×:インクの乾燥不良により、印字中にインクが流れて
実用に耐えない。
【0037】(インクジェット記録用インクの記録後の
印字濃度)キヤノン(株)製カラーインクジェットプリ
ンターBJC−700Jにて黒ベタ印字を行ない、その
部分のインク濃度を目視で評価した。 ○:発色濃度が良好である。 △:発色濃度がやや薄いが実用上問題のないレベルであ
る。 ×:発色濃度が薄く実用に耐えない。 (搬送性)キヤノン(株)製カラーインクジェットプリ
ンターBJC−700Jのオートシートフィーダーにて
A4サイズで50枚の連続印字を行ない、紙詰まりと、
2枚以上の紙が同時に給紙される重送の発生した回数を
カウントした。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明のインクジェット記録用紙は、白
紙光沢、インクの吸収性、印字濃度、連続給紙性に優
れ、紙詰まりや重送がなく、搬送性に優れていた。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA12 BA24 BA32 BA34 BA35 4F100 AA20B AC04 AH06 AJ07C AK12 AK21 AK25 AL01 AL06 AT00A BA03 BA04 BA10B BA10C CA13D CB00C CB00D CC00C DE01B DE01C DG10 EH46 EJ86 GB90 JD14 JK15 JL00 JM01B JN13 JN13H JN21B YY00C 4L055 AG18 AG28 AG47 AG48 AG63 AG64 AG65 AG71 AG77 AG85 AG89 AG94 AG96 AG97 AH02 AH37 AJ04 BE09 EA32 FA13 FA15 FA30 GA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】必要に応じ下塗り層を設けた支持体に光沢
    層を設けたインクジェット記録用紙において、支持体裏
    面にデンプン粒子を含む塗工液を塗工、乾燥してなるこ
    とを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】デンプン粒子が小麦デンプン粒子であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用
    紙。
  3. 【請求項3】支持体裏面に塗工する塗工液が、デンプン
    粒子と接着剤を含有し、接着剤100重量部に対してデ
    ンプン粒子50重量部〜300重量部であることを特徴
    とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用紙。
  4. 【請求項4】必要に応じ下塗り層を設けた支持体に光沢
    層を設けたインクジェット記録用紙において、支持体裏
    面に顔料と接着剤を含有するインクジェット記録層を設
    け、該インクジェット記録層上にデンプン粒子を含む塗
    工液を塗工、乾燥してなることを特徴とする請求項1、
    2または3記載のインクジェット記録用紙。
  5. 【請求項5】光沢層がシリカ微細粒子又はコロイダルシ
    リカを含有することを特徴とする請求項1、2、3また
    は4記載のインクジェット記録用紙。
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