JP3835476B2 - インクジェット記録用紙の製造方法 - Google Patents
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〔1〕基材にキャスト塗工層を設けたインクジェット記録用紙の製造方法において、基材に顔料および接着剤を含有する下塗り層を少なくとも1層設け、さらに該下塗り層上にキャスト塗工層が設けられており、該下塗り層がエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重合体樹脂とコロイダルシリカとの複合体を含有し、且つ、キャスト塗工層が、1次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、2次粒子の平均粒子径が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
〔3〕下塗り層の顔料が平均2次粒子径2μm〜8μmの無定形シリカ粒子を含有することを特徴とする〔1〕または〔2〕記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
〔4〕キャスト塗工層が、カチオン性化合物を含有することを特徴とする〔1〕、〔2〕または〔3〕記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
〔6〕キャスト塗工層が、基材に若しくは基材に設けた下塗り層に、キャスト塗工層用塗工液を塗工し、半乾燥した後に、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げてなる〔1〕、〔2〕、〔2〕または〔4〕記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
顔料は不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カオリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。この場合、配合量は1〜20%程度が好ましい。多すぎると紙力が低下するおそれがある。助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。
下塗り層中の顔料は、カオリン、クレー、焼成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカともいう)、合成非晶質シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタルサイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料を1種もしくはそれ以上、併用することが出来る。これらの中でも、インク吸収性の高い無定形シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分として使用するのが好ましい。
本発明に用いるシリカ微細粒子の調製方法は特に限定するものではないが、例えば、一般的に市販されている合成非晶質シリカ(例えば平均2次粒子径は数ミクロン程度のもの)を機械的手段により強い力を与えて平均2次粒子径を小さくすることにより得ることが出来る。この機械的手段としては、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体撹拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー等があげられる。このようにして処理されたシリカ微細粒子は、一般に固形分濃度が5〜20%程度の水分散体(スラリーあるいはコロイド粒子)として得られる。
接着剤としては、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種接着剤が単独あるいは併用して使用される。
接着剤の配合量は顔料100重量部に対し1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部の範囲で調節される。ここで接着剤の量が少ないと、塗工層の強度が弱くなり表面が傷つきやすくなったり、粉落ちが発生する場合がある。逆に接着剤の量が多いと、インク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなる場合がある。
キャスト方式とは、塗工層を、平滑性を有するキャストドラム(鏡面仕上げした金属、プラスチック、ガラス等のドラム)、鏡面仕上げした金属板、プラスチックシートやフィルム、ガラス板等上で乾燥し、平滑面を塗工層上に写し取ることにより、平滑で光沢のある塗工層表面を得る方法である。鏡面等の平滑面は好ましくは表面粗さ(JIS B−0601)は、Raが0.5μm以下であり、より好ましくは0.05μm以下である。
キャスト塗工層を設ける方法としては加熱下で平滑面と接することにより平滑な塗工層を得ることが好ましい。例えば、上記のキャスト塗工層用塗工液を下塗り層上に塗工して、該塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、あるいは一旦乾燥後再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)等が例示できる。一般にウェットキャスト法の方が光沢、インク吸収性に優れるものとなり易く、リウェットキャスト法の方が生産性に優れたものとなり易い。
加熱温度は例えば40〜200℃、好ましくは70〜150℃で、鏡面ドラム等に接する時間も限定しないが、例えば1〜60秒程度である。
キャスト塗工層用塗工組成物と同様の組成物を、下塗り層上に塗工し乾燥または半乾燥した後、該塗工層上にさらにキャスト塗工層用塗工組成物を塗工し、キャストドラム上で乾燥することもできる。
「紙基材の作製」
木材パルプ(LBKP;ろ水度500mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハードミネラル社製)10部、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて坪量120g/m2 の紙基材を製造した。この紙基材のステキヒトサイズ度は10秒であった。本発明の実施例、比較例ではすべてこの紙基材を用いた。
[シリカ微細粒子A]
合成非晶質シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−45、平均2次粒子径4.5μm、平均1次粒子径15nm)の水分散液を用い、圧力式ホモジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式ホモジナイザーGM−1)を用いて粉砕の操作を繰り返した(加圧500kg/cm2 )。処理後の分散液中のシリカの平均2次粒子径は50nm、固形分濃度は12%であった(平均1次粒子径は15nmのまま)。
[シリカ微細粒子B]
合成非晶質シリカ(日本シリカ工業社製、商品名:Nipsil LP、平均2次粒子径9μm、平均1次粒子径16nm)の水分散液を用い、圧力式ホモジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式ホモジナイザーGM−1)を用いて粉砕の操作を繰り返した(加圧500kg/cm2 )。処理後の分散液中のシリカの平均2次粒子径は500nm、固形分濃度は12%であった(平均1次粒子径は16nmのまま)。
「シリカ微細粒子とカチオン性化合物の混合」
以下の実施例、比較例で、上記したシリカ微細粒子A、またはBとカチオン性化合物を混合する際は、両者を混合分散後、さらに圧力式ホモジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式ホモジナイザーGM−1)を用いて粉砕し(加圧500kg/cm2)、分散液中のシリカの平均2次粒子径が、それぞれもとのシリカ微細粒子の平均2次粒子径になるまで処理した(平均1次粒子径は処理前と同じ)。
紙基材上に、下記下塗り層用塗工液を、乾燥重量で12g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。次に、下記キャスト塗工層用塗工液を、上記の下塗り層上にエアーナイフコーターで塗工し、冷風で20秒乾燥し半乾燥状態にした後(塗工層絶乾量に対する水分率150%)、表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときのキャスト塗工層の塗工量は固形分重量で、5g/m2であった。鏡面ドラムは、鋼鉄ロール表面にニッケルをメッキし、更にその上にクロムをメッキし研磨して鏡面仕上げしたもの。表面粗さRaは0.03μmであった。
合成非晶質シリカ(ファインシールX−60;トクヤマ製、平均2次粒子径6.0μm、平均1次粒子径15nm)80部、ゼオライト(トヨビルダー;トーソー製、平均粒子径1.5μm)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R1130;クラレ製)20部、ガラス転移点75℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体と粒子径30nmのコロイダルシリカとの複合体エマルジョン(共重合体とコロイダルシリカは重量比で40:60、エマルジョンの粒子径は80nm)40部、蛍光染料(WhitexBPSH;住友化学製)2部。
シリカ微細粒子A100部、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(カチオン性化合物:日東紡績社製、商品名;PAS−J−81) 10部、カチオン性アクリル樹脂(XC−2010;星光化学製、四級アミン変性アクリル水性樹脂、Tg85℃)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R1130;クラレ製)10部、離型剤(レシチン)2部。
紙基材上に、実施例1と同様の下塗り層用塗工液を、乾燥重量で12g/m2になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。
次に、実施例1と同様のキャスト塗工層用塗工液を、上記の下塗り層上にエアーナイフコーターで塗工し、直ちに表面温度が90℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときのキャスト塗工層の塗工量は固形分重量で、2g/m2であった。
下塗り層用塗工液として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にし光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。
合成シリカ(ファインシールX−60;トクヤマ製、平均2次粒子径6.0μm、平均1次粒子径15nm)80部、ゼオライト(トヨビルダー;トーソー製)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R1130;クラレ製)20部、蛍光染料(WhitexBPSH;住友化学製)2部。
実施例1と同様のキャスト塗工層用塗工液を、紙基材上に直接(下塗り層を設けず)、エアーナイフコーターで塗工し、冷風で20秒乾燥し半乾燥状態にした後(塗工層絶乾量に対する水分率150%)、表面温度が100℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。この時のキャスト層の塗工量は10g/m2であった。
実施例1で用いたキャスト層用塗工液において、シリカ微細粒子をAからBに変更した以外は、実施例1と同様にして光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。
実施例1の下塗り層上に、ロールコーターを用いて下記のキャスト塗工層用塗工液を塗工した後、直ちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときのキャスト塗工層の塗工量は固形分重量で、6g/m2であった。
ガラス転移点75℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体と粒子径30nmのコロイダルシリカ(一次粒子の分散体であり凝集していない)との複合体エマルジョン(共重合体とコロイダルシリカは、重量比で40:60、エマルジョンの粒子径は80nm)100部、増粘・分散剤(アルキルビニルエーテル・マレイン酸誘導体共重合体)5部、離型剤(レシチン)3部。
実施例1において下塗り層まで設けたものを用いた(キャスト塗工層なし)。
比較例6
紙基材をそのまま用いた。
インクジェットプリンターBJC600J(キヤノン(株)製)を用いて印字を行なった。
シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字部の印字ムラ(濃淡ムラ)を目視にて評価した。
○:印字ムラは全くなく優れたレベル。
○−:印字ムラは殆どなく良好なレベル。
△:印字ムラがあり、実用上やや問題となるレベル。
×:印字ムラが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字部につきインクの乾燥性を評価した。
○:印字直後に指で触れてもまったく汚れない。
×:印字直後に指で触れると汚れる。
黒ベタ印字部分の印字濃度をマクベスRD−914で測定。
JIS−P8142に準じて白紙部の75°光沢を測定した。
光沢感、平滑感を目視により評価
◎:極めて優れる。
○:優れる。
△:やや劣る。
×:劣る。
印字品位、光沢を総合的に評価
5:極めて優れる。
4:優れる。
3:普通。
2:やや劣る。
1:劣る。
Claims (2)
- 基材にキャスト塗工層を設けたインクジェット記録用紙の製造方法において、基材に顔料および接着剤を含有する下塗り層を少なくとも1層設け、さらに該下塗り層上にキャスト塗工層が設けられており、該下塗り層がエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重合体樹脂とコロイダルシリカとの複合体を含有し、且つ、キャスト塗工層が、1次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、2次粒子の平均粒子径が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
- 下塗り層の顔料が、非晶質シリカ、アルミナ、ゼオライトの少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
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