JPH11268405A - インクジェット記録用紙及び製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用紙及び製造方法

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JPH11268405A
JPH11268405A JP10075594A JP7559498A JPH11268405A JP H11268405 A JPH11268405 A JP H11268405A JP 10075594 A JP10075594 A JP 10075594A JP 7559498 A JP7559498 A JP 7559498A JP H11268405 A JPH11268405 A JP H11268405A
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jet recording
ink jet
layer
coating layer
roll
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JP10075594A
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Kanichi Sunakawa
寛一 砂川
Shinichi Asano
晋一 浅野
Shunichiro Mukouyoshi
俊一郎 向吉
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】白紙部および印字部の光沢、白紙部の表面強度
に優れ、インクジェット記録適性に優れたインクジェッ
ト記録用紙を提供する。 【解決手段】基材上に顔料および接着剤を含有する塗工
層を少なくとも1層設けてなり、その白紙部の75°光
沢度(JIS−P8142)が30%以上であるインク
ジェット記録用紙において、塗工層の最外層が一次粒子
の平均粒子径が3nm 以上40nm以下で、二次粒子の平均粒
子径が10nm以上300nm 以下であるシリカ微細粒子を含有
し、最外層を設けた後、鏡面ロールを有する熱カレンダ
ーにより加熱・加圧して仕上げるてなることを特徴とす
るインクジェット記録用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用紙に関し、特に白紙部および印字部の光沢、白紙部
の表面強度に優れ、インクジェット記録適性に優れたイ
ンクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタによる記録は、
騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が
容易なために多方面で利用されている。インクジェット
記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫され
た上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適
用されている。ところで、これらの用紙はすべて表面光
沢の低い、いわゆるマット調のインクジェット記録用紙
が主体であるため、表面光沢の高い、優れた外観を持つ
インクジェット記録用紙が要望されている。一般に、表
面光沢の高い用紙としては、表面に板状顔料を塗工し、
さらに必要に応じてキャレンダー処理を施した高光沢を
有する塗工紙、あるいは湿潤塗工層を鏡面を有する加熱
ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写し
取ることによって得られる、いわゆるキャスト塗工紙が
知られている。 このキャスト塗工紙はスーパーキャレ
ンダー仕上げされた通常の塗工紙に比較して高い表面光
沢とより優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得
られることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されて
いるが、インクジェット記録用紙に利用した場合、種々
の難点を抱えている。
【0003】すなわち、一般に従来のキャスト塗工紙
は、例えばUS5275846号に開示されている。そ
の塗工層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物
質がキャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ること
により高い光沢を得ている。他方、この成膜性物質の存
在によって塗工層の多孔性が失われ、インクジェット記
録時のインクの吸収を極端に低下させる等の問題を抱え
ている。そして、このインク吸収性を改善するには、キ
ャスト塗工層がインクを容易に吸収できるようにポーラ
スにしてやることが重要であり、そのためには成膜性を
減ずることが必要となるが、成膜性物質の量を減らす
と、結果として白紙光沢が低下してしまう。以上の如
く、キャスト塗工紙の表面光沢とインクジェット記録適
性の両方を同時に満足させることが極めて困難であっ
た。上記問題を解決する方法として、顔料および接着剤
を主成分とする下塗り層を設けた原紙上に、エチレン性
不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる40℃以
上のガラス転移点を有する共重合体組成物を主成分とす
る塗工液を塗工してキャスト用塗工層を形成せしめ、該
キャスト用塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面
ドラムに圧接、乾燥して仕上げることにより、優れた光
沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェット記録用キ
ャスト紙が得られることを本発明者等は見出し、特開平
7-89220号として提案した。ところで、近年インクジェ
ット記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化
といった用途の拡大に伴い、さらに強光沢かつ高画質、
高記録濃度の品質が望まれてきており、例えば銀塩方式
の写真用印画紙に匹敵する様な光沢、記録品質が求めら
れているが、このような要求を満たすには、先に提案し
た技術では必ずしも十分ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、特に白紙部および印字部の光沢、白紙部の表
面強度に優れ、印字濃度、インク吸収性、記録画質等の
インクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用
紙を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の態様を含
む。 〔1〕基材上に顔料および接着剤を含有する塗工層を少
なくとも1層設けてなり、その白紙部の75°光沢度
(JIS−P8142)が30%以上であるインクジェ
ット記録用紙において、塗工層の最外層が一次粒子の平
均粒子径が3nm 以上40nm以下で、二次粒子の平均粒子径
が10nm以上300nm 以下であるシリカ微細粒子を含有し、
最外層を設けた後、鏡面ロールを有する熱カレンダーに
より加熱・加圧して仕上げるてなることを特徴とするイ
ンクジェット記録用紙。 〔2〕熱カレンダーの鏡面ロール表面温度が50℃以上
250℃以下であることを特徴とする〔1〕記載のイン
クジェット記録用紙。 〔3〕熱カレンダーが鏡面ロールとゴムロールの組み合
わせを含み、両ロール間のニップの線圧が10kg/cm 以
上500kg/cm 以下であることを特徴とする〔1〕また
は〔2〕記載のインクジェット記録用紙。 〔4〕最外層が、塗工層用塗液を塗布し、湿潤状態で加
熱された鏡面ドラムに圧接・乾燥して仕上げてなり、さ
らに鏡面ロールを有する熱カレンダーにより加熱・加圧
して仕上げてなることを特徴とする〔1〕、〔2〕また
は〔3〕記載のインクジェット記録用紙。 〔5〕基材上に顔料および接着剤を含有する塗工層を少
なくとも1層設けてなり、その白紙部の75°光沢度
(JIS−P8142)が30%以上であるインクジェ
ット記録用紙の製造方法において、塗工層の最外層が一
次粒子の平均粒子径が3nm 以上40nm以下で、二次粒子の
平均粒子径が10nm以上300nm 以下であるシリカ微細粒子
を含有し、最外層を設けた後、鏡面ロールを有する熱カ
レンダーにより加熱・加圧して仕上げることを特徴とす
るインクジェット記録用紙の製造方法。
【0006】〔6〕熱カレンダーの鏡面ロール表面温度
が50℃以上250℃以下であることを特徴とする
〔5〕記載のインクジェット記録用紙の製造方法。 〔7〕熱カレンダーが鏡面ロールとゴムロールの組み合
わせを含み、両ロール間のニップの線圧が10kg/cm 以
上500kg/cm 以下であることを特徴とする〔5〕また
は〔6〕記載のインクジェット記録用紙の製造方法。 〔8〕最外層が、塗工層用塗液を塗布し、湿潤状態で加
熱された鏡面ドラムに圧接・乾燥して仕上げてなり、さ
らに鏡面ロールを有する熱カレンダーにより加熱・加圧
して仕上げてなることを特徴とする〔5〕、〔6〕また
は〔7〕記載のインクジェット記録用紙の製造方法。
〔9〕最外層が、塗工層用塗工液を塗工して半乾燥した
後、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げてな
り、さらにその後鏡面ロールを有する熱カレンダーによ
り加熱・加圧して仕上げることを特徴とする〔5〕〜
〔8〕のいずれかに記載のインクジェット記録用紙の製
造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる基材としては、特
に限定されるものではなく、一般の塗工紙に使用される
酸性紙、あるいは中性紙等の紙基材や、合成紙、樹脂フ
ィルム等が適宜使用される。キャスト法で最外層を形成
する態様では、乾燥性、操業性等の点で、透気性の支持
体が好ましく、具体的には紙基材、透気性樹脂フィルム
等である。紙基材は木材パルプを主成分として、必要に
応じて顔料等を添加して構成される。木材パルプは、各
種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用するこ
とができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整
するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプ
の叩解度(フリーネス )は特に限定しないが、一般に250
〜550ml(CSF:JISP−8121)程度であ
る。顔料(填料)は不透明性等を付与したり、インク吸
収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、焼成カ
オリン、シリカ、酸化チタン等が使用できる。この場
合、配合量は1〜20%程度が好ましい。多すぎると紙
力が低下するおそれがある。助剤としてサイズ剤、定着
剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、
蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機
のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルア
ルコール、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強
度、サイズ度等を調整できる。サイズ度は1〜200秒
程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生
する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収
性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著し
くなる場合がある。紙基材の坪量は、特に限定されない
が、20〜400g/m2 程度である。
【0008】基材上に設けられる塗工層の少なくとも最
外層は、前記特定粒径のシリカ微細粒子と接着剤を主成
分として構成される。以下に塗工層が1層よりなる場合
について説明する。これは多層構成の場合の最外層(イ
ンクが付与される面の表層)にも相当する組成である。
特定のシリカ微細粒子について説明する。シリカ微細粒
子(実質的に2次粒子が主体)の平均粒子径は、10n
m以上300nm以下であり、好ましくは、15nm以
上150nm以下、より好ましくは20nm以上100
nm以下に調整される。シリカ微細粒子の2次粒子の平
均粒子径が300nmを越えると、塗工層の透明性が低
下し、塗工層中に定着された染料の発色性が低下し、所
望とする印字濃度が得られない。また、2次粒子の平均
粒子径が極めて小さいシリカ微細粒子を使用すると、イ
ンキ吸収性が低下し、所望とする画像品位を得ることが
出来ない。また、シリカ微細粒子の1次粒子の平均粒子
径は、3nm以上40nm以下に調整する必要があり、
好ましくは5nm以上30nm以下、より好ましくは7
nm以上20nm以下である。この1次粒子径が3nm
未満になると1次粒子間の空隙が著しく小さくなり、イ
ンキ中の溶剤やインキを吸収する能力が低下し、所望と
する画像品位を得ることが出来ない。また、1次粒子径
の平均が40nmを越えると、凝集した2次粒子が大き
くなり、塗工層の透明性が低下し、塗工層中に定着され
た染料の発色性が低下し、所望とする印字濃度が得られ
ない。
【0009】平均粒径は例えばで電子顕微鏡(SEMと
TEM)で観察して求めることができる(「微粒子ハン
ドブック」、朝倉書店、p52、1991年)。塗工層
中の全顔料におけるシリカ微細粒子の比率は、塗工層
(記録層ともいう)の透明性を維持するために、50%
以上が望ましい。全顔料中のシリカ微細粒子の比率が5
0%未満になると透明性の低下が著しく、印字濃度等の
画像品位が低下する場合もある。
【0010】接着剤としては、例えばポリビニルアルコ
ール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性
ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白
質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチ
ルセルロース等のセルロース誘導体等の水溶性樹脂、ス
チレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−
ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテック
ス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合
体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水
性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂等その他一
般に塗工紙分野で公知公用の各種接着剤を、本発明の効
果を阻害しない範囲で配合することができる。上記した
接着剤の中でも、水性ポリウレタン樹脂を少なくともそ
の一部として含有するのが好ましい。得られた記録用紙
は、インク吸収性、印字濃度、耐水性、表面強度、光沢
に優れたものとなる。
【0011】本発明の好ましい態様ではキャスト法によ
り塗工層を平滑化し、光沢の優れた層を形成するが、水
性ポリウレタン樹脂を含有させることにより、キャスト
ドラムからの離型性に優れたものとなりやすい。ポリウ
レタン樹脂とは、ポリイソシアネート化合物と活性水素
含有化合物との反応から得られる比較的多くのウレタン
結合および尿素結合を含む高分子化合物であると定義づ
けられる。ポリイソシアネート化合物としては、特に限
定するものではないが、例えばトリレンジイソシアネー
ト、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳
香族系、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート等の脂肪、脂環族系のものが挙げられ
る。
【0012】活性水素含有化合物としては、一般に水酸
基やアミン基を持つ化合物が用いられ、高分子量のもの
としてはポリエステルジオール、ポリエーテルジオー
ル、ポリカーボネートジオール等が挙げられ、低分子量
のものとしては、エチレングリコール、1 ,4 ブタンジ
オール、1 ,6 ヘキサンジオール等のグリコール類、イ
ソプロピルジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジア
ミン類等が挙げられる。水性ポリウレタン樹脂は、分散
粒子の粒子径が0.001〜20μm程度であり、その
外観が透明、半透明のコロイダル分散液のものから、乳
白色のエマルジョンに属するものがあり、一括して水性
ポリウレタン樹脂と表現する。水性ポリウレタン樹脂
は、乳化剤の存在下で高い機械的せん断力で強制乳化し
た強制乳化型と、分子鎖中にイオン基を導入し親水性を
賦与して、乳化剤の助力なしに水中に安定に分散させた
自己乳化型、さらに水中に溶解させた溶解型に分類され
る。この内でも自己乳化型が光沢、耐水性等に優れやす
く好ましい。自己乳化型の中には、導入するイオン基に
より、カチオン型、アニオン型、ノニオン型に分類され
る。この中では、三級アミノ基等のカチオン基を導入し
それを酸で中和または四級化したカチオン型のものが、
水性インクの定着性に優れ、さらにインク定着剤として
のカチオン化合物を配合する場合、混和性に優れるた
め、特に好ましい。
【0013】水性ポリウレタン樹脂がカチオン性の場
合、インク吸収性、印字濃度に特に優れたものとなりや
すく、後述するように、水性インク定着剤としてのカチ
オン性化合物を配合する場合、混和性に優れる。水性ポ
リウレタン樹脂等のガラス転移温度は0℃以上の場合、
熱カレンダー処理する際の操業性、および後述するキャ
スト方式による塗工の際のキャストドラムからの離型性
に優れ、好ましい。ガラス転移温度は60℃以上の場合
更に好ましい。
【0014】接着剤の配合量は顔料100重量部に対し
1〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部
の範囲で調節される。ここで接着剤の量が少ないと、所
望の効果が得られにくく、さらに塗工層の強度が弱くな
り表面が傷つきやすくなったり、粉落ちが発生する場合
がある。逆に多いと、インク吸収性が低下し、所望のイ
ンクジェット記録適性が得られなくなる場合がある。塗
工層には、インク中の染料成分を定着させる目的等で、
カチオン性化合物を配合するのが好ましい。配合の方法
は、前記シリカ微細粒子に混合すれば良いのだが、シリ
カ微細粒子は一般にアニオン性であり、混合の際凝集が
起こる場合がある。この場合、一般的に市販されている
非晶質シリカ(数ミクロンの二次粒子径を有する) を機
械的手段により強い力を与えて微細粒子にする際、処理
前の無定形シリカにカチオン性化合物(最外層に配合す
るカチオン性化合物の全量または少なくともその一部)
を一緒に混合分散してから機械的手段により分散・粉砕
するか、あるいは微細化したシリカ2次粒子分散体に混
合し、一旦増粘・凝集させた後、再度機械分散・粉砕す
る方法等をとることができる。
【0015】カチオン性化合物としては、カチオン樹脂
や低分子カチオン性化合物(例えばカチオン性界面活性
剤等)が挙げられる。印字濃度向上の効果の点ではカチ
オン樹脂が好ましく、水溶性樹脂あるいはエマルジョン
として使用できる。更にカチオン樹脂を架橋等の手段に
より不溶化し粒子状の形態としたカチオン性有機顔料と
しても使用できる。このようなカチオン性顔料は、カチ
オン樹脂を重合する際、多官能性モノマーを共重合し架
橋樹脂とする、あるいは反応性の官能基(水酸基、カル
ボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等)を有する
カチオン樹脂に必要に応じ架橋剤を添加し、熱、放射線
等の手段により架橋樹脂としたものである。
【0016】カチオン性化合物、特にカチオン樹脂は接
着剤としての役割を果たす場合もある。カチオン樹脂は
下記のものが例示できる。具体的には、1)ポリエチレ
ンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリア
ルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級ア
ミン基や第3級アミン基や第4級アンモニウム基を有す
るアクリル樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルア
ミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物
に代表されるジシアン系カチオン樹脂、5)ジシアンジ
アミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポ
リアミン系カチオン樹脂、6)エピクロルヒドリン−ジ
メチルアミン付加重合物、7)ジメチルジアリルアンモ
ニウムクロライド−S02 共重合物、8)ジアリルアミ
ン塩−S02 共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニ
ウムクロライド重合物、10)アリルアミン塩の重合
物、11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト4級塩重合物、12)アクリルアミド−ジアリルアミ
ン塩共重合物等のカチオン性化合物。カチオン性化合物
は、さらに印字画像耐水性を向上させる効果も有する。
【0017】塗工層に配合するカチオン性化合物の量は
顔料100重量部に対し、1〜100重量部、より好ま
しくは5〜50重量部の範囲で使用することができる。
配合量が少ないと印字濃度向上の効果が得られにくく、
多いと逆に印字濃度が低下したり、画像のニジミが発生
する場合がある。塗工層用塗工組成物中には白色度、粘
度、流動性等を調節するために、一般の印刷用塗工紙や
インクジェット用紙に使用されている顔料、消泡剤、着
色剤、蛍光増白剤、帯電防止剤、防腐剤及び分散剤、増
粘剤等の各種助剤が適宜添加される。前述した塗工層用
塗工液を基材上に塗工する場合、ブレードコーター、エ
アーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコータ
ー、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビ
アコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテン
コーター等の各種公知の塗工装置が使用できる。
【0018】塗工層の塗工量は、乾燥固形分で1〜30
g/m2 、好ましくは、1.5〜20g/m2 、より好
ましくは、3〜15g/m2 である。ここで、1g/m
2未満では印字濃度や光沢が十分に出ない場合があり、
30g/m2 を越えて多いと効果は飽和し、乾燥に負担
がかかり操業性が低下する恐れがある。本発明の好まし
い態様では湿潤状態の塗工層をキャスト仕上げするが、
キャスト仕上げに関しては、後に説明する。
【0019】本発明では、得られた塗工層に熱カレンダ
ー処理を施し、高光沢のインクジェット記録用紙を得
る。ここで、熱カレンダーとは、鏡面(平滑な面)を有
する金属等の加熱されたロールに塗工層面が当たる様に
して、他のロールとの間に通紙し、圧力をかけてカレン
ダーがけすることを示す。この際、他のロールは通常弾
性を有するロールが用いられるが、金属ロール等でも構
わない。通紙は1ニップまたは2ニップ以上の複数ニッ
プでも良い。金属ロールは、鋼鉄等のロール表面にニッ
ケル、クロム等をメッキしたものが通常使用される。表
面は鏡面光沢を有するように研磨される。弾性ロールと
しては、ウール、コットン、パルプ等の繊維を原材料と
してシート状にした後、鉄芯にはめ込み高圧をかけ研磨
して作製したロール、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミド樹脂等の合成樹脂ロール、アラミド繊維ロール
等が挙げられる。弾性ロールの硬度は一般に70〜10
0(share D )である。熱カレンダーの鏡面ロールの表
面温度は、40℃〜300℃、好ましくは50℃〜25
0℃、より好ましくは70℃〜200℃である。鏡面ロ
ールの表面温度が低いと、光沢に乏しくなる。鏡面ロー
ルの表面温度が高いと、塗工層の成膜が進み、表面の多
孔性が低下し、インクの吸収速度が低下する。また、熱
カレンダーの鏡面ロールとゴムロールのニップ間の線圧
は、10kg/cm 〜500kg/cm 、好ましくは、50kg/c
m 〜300kg/cm である。ニップ間の線圧が低いと、よ
り高い光沢が得られず、逆に線圧が高すぎると、光沢の
低下、および塗工層が潰されインクの吸収性が低下す
る。
【0020】塗工層が2層よりなる場合、上層(最外
層)が前記特定の粒径のシリカ微細粒子を含有する層と
する。それより下の層(支持体側)は前記条件を満たす
シリカ微細粒子を含有する層でもよいし、それ以外の顔
料含有層でも、樹脂主体の層でもよい。本発明におい
て、前記特定のシリカ微細粒子を含有する最外層の下
に、下塗り層を1層以上設け、インク吸収性、光沢等を
更に改良することもできる。好ましい態様において下塗
り層は、顔料と接着剤を主成分として構成される。塗工
層のうちの下塗り層中の顔料は、カオリン、クレー、焼
成クレー、非晶質シリカ(無定形シリカ)、酸化亜鉛、
酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウ
ム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コ
ロイダルシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、セピオ
ライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネ
シウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻
土、スチレン系プラスチックピグメント、ハイドロタル
サイト、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグ
アナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造
分野で公知公用の各種顔料が1種もしくはそれ以上、併
用することが出来る。これらの中でも、インク吸収性の
高い無定形シリカ、アルミナ、ゼオライトを主成分とし
て使用するのが好ましい。
【0021】下塗り層の接着剤としては、カゼイン、大
豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各
種澱粉類、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビ
ニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等の
変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロー
スやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン
−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジ
エン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリ
ル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体
等のビニル系重合体ラテックス、等一般に塗工紙用とし
て用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併
用して用いられる。顔料と接着剤の配合割合は、その種
類にもよるが、一般に顔料100重量部に対し接着剤1
〜100重量部、好ましくは2〜50重量部の範囲で調
節される。その他、一般塗工紙の製造において使用され
る分散剤、増粘剤、消泡剤、帯電防止剤、防腐剤等の各
種助剤が適宜添加される。下塗り層中には蛍光染料、着
色剤を添加することもできる。
【0022】下塗り層中には、インクジェット記録用イ
ンク中の染料成分を定着する目的で、カチオン性化合物
を配合することもできる。ただし、後で述べる様に、イ
ンク染料は下塗り層上に設ける最外層にできるだけ定着
させた方が、印字(記録)濃度が高くなるため好まし
く、このためには、下塗り層中よりも最外層中にカチオ
ン性化合物を多く配合するのが好ましい。更に好ましく
は、最外層のみにカチオン性化合物を配合し、下塗り層
中にはカチオン性化合物が実質的に存在しないのが良
い。実質的に存在しないとは、カチオン性界面活性剤等
を助剤的に微量添加することは除外される。最外層層の
みにカチオン性化合物を配合し、下塗り層中にはカチオ
ン性化合物が実質的に存在しない場合に、最外層を設け
た際の光沢が最も発現し易い。
【0023】下塗り層中には、コロイダルシリカとエチ
レン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる重
合体樹脂との複合体を配合すると、最外層を設けた際の
光沢がより向上する。この理由は具体的には不明である
が、該複合体の存在が、下塗り層のインク吸収性を維持
したまま、最外層用塗工組成物の下塗り層への浸透を抑
制するためと推定される。エチレン性不飽和結合を有す
るモノマーを重合させてなる重合体樹脂としては、例え
ばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルア
クリレート、2エチルヘキシルアクリレート、ラウリル
アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グ
リシジルアクリレート等のアルキル基炭素数が1〜18
個のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレート等のアルキル基炭素数が1〜18個の
メタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ア
クリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレ
ン、ブタジエン等のエチレン性モノマーを重合して得ら
れる重合体が挙げられる。なお、重合体は、必要に応じ
て2種類以上のエチレン性モノマーを併用した共重合体
であっても良いし、さらに、これら重合体あるいは共重
合体の置換誘導体でも良い。因みに、置換誘導体として
は、例えばカルボキシル基化したもの、またはそれをア
ルカリ反応性にしたもの等が例示される。
【0024】コロイダルシリカとの複合化は、上記のエ
チレン性モノマーをシランカップリング剤等とコロイダ
ルシリカの存在下で重合させ、Si−O−R(R:重合
体成分)結合によって複合体にする、あるいは必要に応
じシラノール基等で変性した重合体樹脂とコロイダルシ
リカを反応させ、Si−O−R(R:重合体成分)結合
によって複合体にする方法が挙げられる。
【0025】上記材料をもって構成される下塗り層用組
成物は、一般に固形分濃度を5〜50重量%程度に調整
し、紙基材上に乾燥重量で2〜100g/m2 、好まし
くは5〜50g/m2 程度、更に好ましくは10〜20
g/m2 程度になるように塗工する。塗工量が少ない
と、インク吸収性向上の効果が少なかったり、光沢層を
設けた際の光沢向上の効果が十分に出なかったりする場
合があり、多いと、印字濃度が低下したり、塗工層の強
度が低下し粉落ちや傷が付き易くなる場合がある。下塗
り層用組成物は、ブレードコーター、エアーナイフコー
ター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレッ
クスコーター、バーコーター、リップコーター、ダイコ
ーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の各種
公知公用の塗工装置により塗工、乾燥される。さらに、
必要に応じて下塗り層の乾燥後にスーパーキャレンダ
ー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
【0026】本発明の好ましい態様では、塗工層のう
ち、最外層をキャスト方式にて形成した後、更に熱カレ
ンダー処理を行う。これにより、さらに光沢に優れたも
のが得られる。キャスト方式で最外層を形成する場合、
通常の印刷用塗工紙や印刷用キャスト紙製造の際に用い
られる離型剤を最外層に含有させることができる。この
様な離型剤としては、ステアリン酸アミド等の高級脂肪
酸アミド、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワッ
クス等のポリオレフィンワックス類、ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カリウム、オレ
イン酸アンモミウム等の高級脂肪酸アルカリ塩類、レシ
チン、シリコーンオイル、シリコーンワックス等のシリ
コーン化合物が挙げられる。離型剤の配合量は、顔料1
00重量部に対し0.1〜50重量部、好ましくは0.
5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲
で調節される。ここで配合量が少ないと、離型性改善の
効果が得られにくく、多いと逆に光沢が低下したり、イ
ンクのハジキや記録濃度の低下が生じる場合がある。
【0027】キャスト方式により、最外層(キャスト
層)を設ける方法としては、上記の最外層用塗工液を基
材または下塗り層上に塗工して、該塗工層(最外層)が
湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラム等に圧接、乾
燥して仕上げる方法(ウェットキャスト法)、あるいは
一旦乾燥後再湿潤した後加熱された鏡面ドラム等に圧
接、乾燥して仕上げる方法(リウェットキャスト法)、
或いはゲル化キャスト法等が挙げられる。一般にウェッ
トキャスト法の方が光沢、インク吸収性に優れるものと
なり易く、リウェットキャスト法の方が生産性に優れた
ものとなり易い。また加熱された鏡面ドラム等に直接最
外層用塗工液を塗工した後、基材または下塗り層面に圧
接、乾燥して仕上げる方法(プレキャスト法)も採用す
ることができる。キャスト方式ではいずれにしても湿潤
状態で加熱された鏡面ドラム(キャストドラム)に圧
接、乾燥されることになる。
【0028】さらに、上記の最外層用塗工液を基材また
は下塗り層上に塗工して、この塗工層をある程度乾燥
し、半乾燥の状態にある間に、加熱されたキャストドラ
ム等に圧接、乾燥して仕上げると、均一な塗工層が形成
されやすく、印字濃度が高く、光沢の優れたものが得ら
れ易いため特に好ましい。ここで半乾燥とは、塗工層の
流動性はほとんど無くなっているが、水分は多く含んで
いる状態を意味し、塗工層絶乾量に対して20〜400
%(即ち塗工層の絶乾重量100重量部に対し20〜4
00重量部の水分を含む)程度とするのが好ましく、よ
り好ましくは50〜200%の範囲で調整される。水分
が少ないとキャストドラムに圧接した際の鏡面の転写が
不十分となり、十分に光沢が発揮されにくく、多いとキ
ャストドラムに圧接した際、塗工層が押しつぶされ均一
で十分な塗工量の塗工層が得られず、印字濃度や光沢が
不十分となり易い。上記最外層用塗工組成物を塗工し乾
燥または半乾燥した後、該塗工層上にさらに同様の塗工
組成物を塗工し、キャストドラム等上で乾燥することも
できる。
【0029】本発明により、光沢およびインクジェット
記録適性に特に優れたインクジェット用紙が得られる理
由としては、以下の如く考えられる。まず、印字品質を
向上させる理由について述べる。最外層に使用するシリ
カ微細粒子の2次粒子径を小さくすると、塗工層の透明
性が増し、塗工層に保持されたインキの発色が、より透
明性の増した塗工層によって妨げられ難くなり、結果と
して、画像品位( 印字濃度) が向上すると思われる。次
に、光沢性と表面強度が向上する理由について述べる。
高温条件で、加圧処理を行なう熱カレンダー処理では熱
カレンダーの加温処理でごく表面の樹脂成分のみを軟化
させた状態で、平滑化処理を行なうため、コート層の空
隙がつぶされること無く、高平滑が得られる。また、こ
の時、ごく表面の樹脂成分がインク吸収性を阻害しない
範囲で成膜するため、表面強度にも優れたものとなる。
このため、熱カレンダー処理を行うと、所望とする光沢
性とインクの吸収性の両方を得ることが出来る。さら
に、塗工層に使用するシリカ微細粒子の2次粒子径が十
分に小さいため、カレンダー処理によって、紙表層のボ
コツキを無くした時、平滑感、鏡面性によりいっそう優
れたインクジェット記録用紙が得られることとなる。
尚、本発明の効果を阻害しない範囲で例えば最外層上に
光沢、吸収性等に悪影響がない範囲の微量の塗工層を設
ける等、の変形を行うことは可能だが、それらも本発明
の範囲内である。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。
また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ
重量部および重量%を示す。 紙基材の作製 木材パルプ(LBKP;ろ水度500mlCSF)10
0部、焼成カオリン(商品名;アンシレックス、エンゲ
ルハードミネラル社製)10部、市販サイズ剤0.05
部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉
0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網式抄紙機に
て坪量120g/m2 の紙基材を製造した。この紙基材
のステキヒトサイズ度は10秒であった。本発明の実施
例、比較例ではすべてこの紙基材を用いた。
【0031】シリカ微細粒子の調製 [シリカ微細粒子A]合成無定形シリカ(トクヤマ社
製、商品名:ファインシールX−45、2次粒子径4.
5μm、1次粒子径15nm)の水分散液を用い、圧力
式ホモジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式ホモ
ジナイザーGM−1)を用いて粉砕の操作を繰り返した
(加圧500kg/cm2 )。処理後の分散液の平均2
次粒子径は50nm、固形分濃度は12%であった。 [シリカ微細粒子B]合成無定形シリカ(日本シリカ工
業社製、商品名:Nipsil LP、2次粒子径9μ
m、1次粒子径16nm)の水分散液を用い、圧力式ホ
モジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式ホモジナ
イザーGM−1)を用いて粉砕の操作を繰り返した(加
圧500kg/cm2 )。処理後の分散液の平均2次粒
子径は500nm、固形分濃度は12%であった。尚、
一次粒子径は、粉砕処理前と同じであった。
【0032】実施例1 紙基材上に、下記下塗り層用塗工液を、乾燥重量で13
g/m2 になるように、エアーナイフコーターで塗工、
乾燥した。 [下塗り層用塗工液(固形分濃度20%、 部は固形分重
量部を示す。)]合成非晶質シリカ(ファインシールX
−45;トクヤマ製、平均二次粒子径4.5μm、一次
粒子径15nm)80部、ゼオライト(トヨビルダー;
東ソー製、平均粒子径1.5μm)20部、シリル変性
ポリビニルアルコール(R1130;クラレ製)20
部、スチレン−アクリル樹脂とコロイダルシリカの共重
合体(モビニール8055;ヘキスト合成、Tg=80
℃)40部、蛍光染料(WhitexBPSH;住友化
学製)2部。
【0033】次に、下記上塗り層用塗工液を、上記の下
塗り層上にエアーナイフコーターで塗工し、冷風で20
秒乾燥し半乾燥状態にした後(塗工層絶乾量に対する水
分率150%)、表面温度が90℃のキャストドラム
(鏡面ドラム)に圧接し、乾燥後、離型させた。このと
きの上塗り層の塗工量は固形分重量で、6g /m2 であ
った。次に、この二層塗工した紙を、鏡面ロール表面温
度が170℃、鏡面ロールとゴムロールのニップ圧が2
50kg/cm の熱カレンダーに通し(1ニップ)、高光沢
タイプのインクジェット記録用紙を得た。
【0034】[上塗り層用塗工液(固形分濃度%、 部は
固形分重量部を示す。)]シリカ微細粒子A100部、
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルア
ミド共重合体(PAS−J−81;日東紡績社製)10
部、カチオン性アクリル樹脂(コロパール2013;星
光化学製、4級アミン変性アクリル水性樹脂)5部、カ
チオン性ポリウレタン樹脂(F−8564D;第一工業
化学製、Tg=73℃)30部、離型剤(ペルトールN
−856;近代化学工業製、ポリエチレンワックス)1
0部。
【0035】実施例2 熱カレンダーの鏡面ロール表面温度を230℃、鏡面ロ
ール温度とゴムロールのニップ圧を400kg/cm とした
以外は、実施例1と同様にして高光沢タイプのインクジ
ェット記録用紙を得た。
【0036】実施例3 熱カレンダーの鏡面ロール表面温度を70℃、鏡面ロー
ル温度とゴムロールのニップ圧を30kg/cm とした以外
は、実施例1と同様にして高光沢タイプのインクジェッ
ト記録用紙を得た。 実施例4 紙基材上に、実施例1と同様の下塗り層用塗工液を、乾
燥重量で13g/m2になるように、エアーナイフコー
ターで塗工、乾燥した。次に、実施例1と同様の上塗り
層用塗工液を、上記の下塗り層上にエアーナイフコータ
ーで塗工、乾燥した。ただし、キャストドラムによる乾
燥はおこなっていない。このときの上塗り層の塗工量は
固形分重量で、6g /m2 であった。次に、この2層塗
工した紙を、実施例1と同条件の熱カレンダーへ通し、
高光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。
【0037】実施例5 実施例1と同様の上塗り層用塗工液を、紙基材上に直接
エアーナイフコーターで塗工し(実施例1の下塗り層塗
工を除いている)、冷風で60秒乾燥し半乾燥状態にし
た後(塗工層絶乾量に対する水分率150%)、表面温
度が90℃のキャストドラム(鏡面ドラム)に圧接し、
乾燥後、離型させた。このときの塗工量は固形分重量
で、実施例1の全コート量にあたる19g /m2 であっ
た。次に、この1層塗工した紙を、実施例1と同条件の
熱カレンダーへ通し、高光沢タイプのインクジェット記
録用紙を得た。
【0038】実施例6 熱カレンダーの鏡面ロール表面温度を280℃、鏡面ロ
ール温度とゴムロールのニップ圧を600kg/cm とした
以外は、実施例1と同様にして高光沢タイプのインクジ
ェット記録用紙を得た。 実施例7 実施例1で用いた上塗り層用塗工液において、バインダ
ーをカチオン性ポリウレタン樹脂からシリル変性ポリビ
ニルアルコール(R1130)に変更した以外は、実施
例1と同様にして高光沢タイプのインクジェット記録用
紙を得た。
【0039】比較例1 紙基材上に、実施例1と同様の下塗り層用塗工液を、乾
燥重量で13g/m2になるように、エアーナイフコー
ターで塗工、乾燥した。次に、実施例1と同様の上塗り
層用塗工液を、上記の下塗り層上にエアーナイフコータ
ーで塗工し、冷風で20秒乾燥し半乾燥状態にした後
(塗工層絶乾量に対する水分率150%)、表面温度が
90℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させた。こ
のときの上塗り層の塗工量は固形分重量で、6g /m2
であった。熱カレンダー処理は行わなかった。
【0040】比較例2 実施例1で用いた上塗り層用塗工液において、シリカを
シリカ微細粒子Aからシリカ微細粒子Bに変更した以外
は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得
た。
【0041】比較例3 実施例1で用いた上塗り層用塗工液において、シリカを
シリカ微細粒子Aからコロイダルシリカ(商品名:スノ
ーテックスOL,日産化学製、50nmの一次粒子より
なり凝集粒子を形成していない)に変更した以外は実施
例1と同様にして高光沢タイプのインクジェット記録用
紙を得た。 比較例4 熱カレンダーの加熱を行わずに、鏡面ロールの表面温度
を20℃とした以外は実施例4と同様にしてインクジェ
ット記録用紙を得た。
【0042】この様にして得られたインクジェット記録
用紙のインクジェット記録適性、白紙光沢を表1にまと
めて示した。なお、上記の評価については下記の如き方
法で評価を行った。 [インクジェット記録適性]インクジェットプリンター
BJC420J(キヤノン(株)製、フォトインクカー
トリッジBC−22を使用)を用いて印字を行なった。 (ベタ印字部の均一性)シアンインクとマゼンタインク
の2色混合のベタ印字部の印字ムラ(濃淡ムラ)を目視
にて評価した。 ○ :印字ムラは見られず良好なレベル。 ○−:印字ムラは若干あるが、実用上問題とならないレ
ベル。 × :印字ムラが著しく、実用上重大な問題となるレベ
ル。
【0043】(印字ニジミ)ブラック、シアン、マゼン
タ、イエローの各色インクのベタ印字部を、境界部が互
いに接するように印字し、境界でのニジミを目視にて評
価した。 ◎ :ニジミは見られず良好なレベル。 ○ :ニジミが若干あるが、実用上問題とならないレベ
ル。 ○−:ニジミがやや目立ち、実用上やや問題となるレベ
ル。 × :ニジミが著しく、実用上重大な問題となるレベ
ル。 (インクの乾燥性)シアンインクとマゼンタインクの2
色混合のベタ印字部につきインクの乾燥性を評価した。 ○:印字直後に指で触れてもまったく汚れない。 △:印字直後に指で触れると、若干汚れるものの、実用
上まったく問題ない。 ×:印字直後に指で触れると汚れる。
【0044】(インクジェット記録後の印字濃度)黒ベ
タ印字部分の印字濃度をマクベスRD−914で測定。 〔光沢度〕JIS−P8142に準じて白紙部の75°
光沢を測定した。 〔目視の光沢感〕光沢感を目視により評価。 ◎:極めて優れる。 ○:優れる。 △:劣り、実用上問題のあるレベル。 ×:光沢感がない。
【0045】〔目視の平滑感〕紙表面の平滑感を目視に
より評価。 ◎:極めて優れる。 ○:優れる。 △:劣り、実用上問題のあるレベル。 ×:平滑感がない。
【0046】[ 表面強度]紙表面の表面強度を、セロテ
ープ(ニチバン製)剥離試験により、官能評価した。 ◎:表面強度が良好。 ○:若干悪いが実用上問題なし。 △:実用上不十分。 ×:著しく劣る。 〔総合評価〕印字品位、光沢を総合的に評価 5:極めて優れる。 4:優れる。 3:普通。 2:やや劣る。 1:劣る。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明は、特に白紙部および印字部の光
沢、白紙部の表面強度に優れ、印字濃度、インク吸収
性、記録画質等のインクジェット記録適性に優れたイン
クジェット記録用紙であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に顔料および接着剤を含有する塗工
    層を少なくとも1層設けてなり、その白紙部の75°光
    沢度(JIS−P8142)が30%以上であるインク
    ジェット記録用紙において、塗工層の最外層が一次粒子
    の平均粒子径が3nm 以上40nm以下で、二次粒子の平均粒
    子径が10nm以上300nm 以下であるシリカ微細粒子を含有
    し、最外層を設けた後、鏡面ロールを有する熱カレンダ
    ーにより加熱・加圧して仕上げるてなることを特徴とす
    るインクジェット記録用紙。
  2. 【請求項2】熱カレンダーの鏡面ロール表面温度が50
    ℃以上250℃以下であることを特徴とする請求項1記
    載のインクジェット記録用紙。
  3. 【請求項3】熱カレンダーが鏡面ロールとゴムロールの
    組み合わせを含み、両ロール間のニップの線圧が10kg
    /cm 以上500kg/cm 以下であることを特徴とする請求
    項1または2記載のインクジェット記録用紙。
  4. 【請求項4】最外層が、塗工層用塗液を塗布し、湿潤状
    態で加熱された鏡面ドラムに圧接・乾燥して仕上げてな
    り、さらに鏡面ロールを有する熱カレンダーにより加熱
    ・加圧して仕上げてなることを特徴とする請求項1、2
    または3記載のインクジェット記録用紙。
  5. 【請求項5】基材上に顔料および接着剤を含有する塗工
    層を少なくとも1層設けてなり、その白紙部の75°光
    沢度(JIS−P8142)が30%以上であるインク
    ジェット記録用紙の製造方法において、塗工層の最外層
    が一次粒子の平均粒子径が3nm 以上40nm以下で、二次粒
    子の平均粒子径が10nm以上300nm 以下であるシリカ微細
    粒子を含有し、最外層を設けた後、鏡面ロールを有する
    熱カレンダーにより加熱・加圧して仕上げることを特徴
    とするインクジェット記録用紙の製造方法。
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