JP5473679B2 - 記録媒体 - Google Patents
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Description
特許文献1の手法では、高速記録には対応可能であったが、発色性、インク吸収容量、クラックのすべての性能を満足することができないことがあった。すなわち、発色性を良化させようと上層のピーク細孔径を小さくすると、下層のピーク細孔径は更に小さくすることが求められ、インク吸収容量を十分確保するには、塗工量を多くすることが求められ、クラックが発生することがあった。また、インク吸収容量やクラックを満足できるよう下層のピーク細孔径を少し大きくすると、上層は更にピーク細孔径を大きくすることが求められ、十分な発色性を得られない場合があった。
特許文献2の手法では、インク吸収容量やクラックは十分満足できる性能であったが、高速記録において十分満足いく性能を得られないことがあった。
本発明の記録媒体は、支持体、およびその支持体上に多孔質インク受容層を少なくとも2層有する。これら少なくとも2層の多孔質インク受容層のうちの最も表面側の(支持体から最も遠い)多孔質インク受容層を上層と称し、少なくとも2層の多孔質インク受容層のうちの支持体から2番目に遠い多孔質インク受容層を下層と称する。また、前記下層は、前記上層の支持体側に接して配されている。上層の細孔分布曲線は、細孔半径R1に1つのピークを有し、下層の細孔分布曲線は、細孔半径R2およびR3にそれぞれピークを、すなわち合計2つのピークを有する。下層の細孔分布曲線の2つのピークを与える細孔半径のうちの小さい方の細孔半径をR2、前記2つのピークを与える細孔半径のうちの大きい方の細孔半径をR3、すなわちR2<R3とする。この場合、本発明の記録媒体は、R1が8nm以上であり、かつ11nm以下である。また、R2が5nm以上であり、かつR2がR1より小さく、R1とR2との差が2nm以上である。また、R3は、R1以上であり、かつR3とR1との差が3nm以下である。なお、前記下層の細孔分布曲線において、細孔半径がR2のときの細孔容積をVR2と称し、細孔半径がR3のときの細孔容積をVR3と称する。この場合、本発明の記録媒体は、VR3に対するVR2の割合(VR2/VR3)が0.8以上2.4以下である。
また、本発明の記録媒体は、支持体と下層との間に、インクジェット記録媒体等の記録媒体の分野で公知な多孔質インク受容層、および接着層等を有することができる。さらに、上層の上には、本発明の効果を妨げない範囲で、保護層等の他の層を有することができる。
各多孔質インク受容層は、無機顔料およびバインダー等を用いて作製することができる。この際各多孔質インク受容層に用いる無機顔料を適宜選択し、各層の無機顔料とバインダーとの比率を適宜調整することで、上記記載の各層のピーク細孔半径を制御することができる。具体的には、各層に用いる多孔質インク受容層のピーク細孔半径をあらかじめ単独の層でそれぞれ測定し、ピーク細孔半径が既知な層を、下層、上層として組み合わせて2層の多孔質インク受容層を形成することで制御することができる。また、アルミナ水和物と湿式シリカのような異なる物質の無機顔料を混合することで、本発明に用いる下層のように、細孔分布曲線の異なる細孔半径の位置にそれぞれピークを、すなわち合計2つのピークを有することができる。なお、同じ種類の物質同士(例えば、アルミナ水和物とアルミナ水和物)であっても、細孔分布曲線に2つのピークを有し、本発明に用いる下層の他の要件を満たすことができればそれらを混合して用いることができる。また、各ピークに起因する細孔容積は、混合する無機顔料比をコントロールすることで制御することができる。
以下に、本発明において、上層および下層のピーク細孔径、ならびに下層のピーク細孔容積の割合を規定したことによって得られる効果について説明する。
多孔質インク受容層の微細な細孔内には、毛管力が働き、細孔内にインクが浸透する。本発明では、2層の多孔質インク受容層において下層の小さいピーク細孔半径R2が上層のピーク細孔半径R1に比べて小さいため、インクが上層から浸透してきた時に下層の方が毛管力が大きくなり、下層側にインクを浸透しやすくなりインク吸収速度が上昇する。
一方、細孔容積においては、一般的に細孔半径に大きく依存し、細孔半径が小さいほど細孔容積は小さくなる。
本発明では下層の細孔分布曲線は、2つの異なる細孔半径(R2及びR3)にそれぞれピークを有し、これらのピークを与える細孔半径のうちの小さい方の細孔半径(R2)が5nm以上であり、かつ上層のピーク細孔半径(R1)とR2との差が2nm以上である。また、下層の細孔分布曲線の2つのピークを与える細孔半径のうちの大きい方の細孔半径(R3)がR1以上であり、かつR3とR1との差が3nm以下である。また、下層の細孔分布曲線において、各ピークを与える細孔半径に起因する細孔容積の割合(VR2/VR3)が0.8以上2.4以下である。
このため、下層の小さいピーク細孔半径(R2)と上層のピーク細孔半径(R1)との関係より、インク吸収速度の上昇が発現し、また下層に大きなピーク細孔半径(R3)を有することで、高いインク吸収容量が発現している。
R1とR2との差(R1−R2)が2nm未満であると、上下層間での毛管力が十分働かなくなり、その結果十分なインク吸収速度が得られない。また、R1とR2との差(R1−R2)は、3nm以上であることが、インク吸収速度の観点から好ましい。また、R2が5nm未満の場合には、細孔容積が不足し、インク溢れ等を引き起こす。
また、R3とR1との差(R3−R1)が3nmより大きいと、R1とR2の関係で生じる毛管力差によるインク吸収速度の上昇を阻害し、その結果インク吸収速度の低下を引き起こし、十分なインク吸収速度が得られない。
また、下層の各ピーク細孔半径に起因する細孔容積の割合(VR2/VR3)が0.8未満になると、R2の寄与が小さくなり、R1とR2の関係で生じる毛管力差によるインク吸収速度の上昇が十分得られず、その結果十分なインク吸収速度が得られない。また、この割合が2.4より大きいとVR3で得られる高い細孔容積が十分得られず、その結果、細孔容積が不足し、インク溢れ等を引き起こす。
以下に、本発明の記録媒体に用いる材料について詳細に説明する。
支持体としては、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(両面がポリオレフィンなどの樹脂で被覆された樹脂被膜紙)などの紙類を好ましく用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の透明な熱可塑性フィルムなどを好ましく用いることができる。
本発明に用いる多孔質インク受容層は、それぞれ無機顔料、ポリビニルアルコール(PVA)、架橋剤、pH調整剤および各種添加剤を含むことができる。以下にこれらの成分について詳しく説明する。
各多孔質インク受容層に用いる無機顔料としては、アルミナ水和物およびシリカの少なくとも一方が好ましい。これらの無機顔料を各層に単独で用いても良いし、異なる物質を2種以上(例えばアルミナ水和物とシリカ)混合して各層に用いることもできるし、同一物質を2種以上(例えば、アルミナ水和物とアルミナ水和物)混合して各層に用いることもできる。このアルミナ水和物としては例えば、下記一般式(X)により表されるものを好適に利用できる。
Al2O3-n(OH)2n・mH2O・・・・(X)
(上記式中、nは0、1、2および3のいずれかを表し、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下の数を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mH2Oは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数または整数でない値をとることができる。また、この種の材料(アルミナ水和物)を加熱するとmは0の値に達することもあり得る)。
各多孔質インク受容層にはPVA(ポリビニルアルコール)を含むことができるが、PVAの中でも、ケン化度70%以上100%以下のPVAを用いるのが好ましい。各多孔質インク受容層中のPVAの合計含有量は、それぞれ含有する無機顔料100質量部に対して、5質量部以上、13質量部以下とすることが好ましい。また、各多孔質インク受容層中のPVAの合計含有量は、それぞれ7質量部以上、12質量部以下となるようにすることがより好ましい。PVAの平均重合度は1500以上5000以下のものが好ましい。上記PVAは、単独で各層に用いても、2種以上を併用して各層に用いてもよい。
各多孔質インク受容層に好適に使用できる架橋剤としては、前記PVAと架橋反応を起こして硬化可能なものが好ましく、本発明の効果を損なわないものを適宜使用できる。架橋剤としては、特にホウ酸が好ましい。この際、使用できるホウ酸としては、オルトホウ酸(H3BO3)だけでなく、メタホウ酸や次ホウ酸等も挙げられるが、各塗工液の経時安定性と、クラック発生の抑制効果の点からオルトホウ酸を用いることが好ましい。
各多孔質インク受容層形成用の塗工液中には、pH調整剤として、例えば、下記の酸をそれぞれ適宜、添加することができる。
蟻酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸。
イソフタル酸、テレフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピメリン酸、スベリン酸、メタンスルホン酸。
塩酸、硝酸、燐酸等の無機酸。
各多孔質インク受容層用の塗工液の添加剤として、顔料分散剤、堅牢性向上剤等を、各多孔質インク受容層形成後の多孔質インク受容層表面の純水に対する接触角が大きく変化しない範囲で適宜、使用することができる。
本発明の記録媒体の製造方法として、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、無機顔料、ポリビニルアルコール(PVA)、架橋剤、pH調整剤、各種添加剤および水を混合した多孔質インク受容層形成用塗工液を各層毎に調製する。前記支持体(他の層を支持体上に有する場合は、その他の層)に下層形成用塗工液を塗布(塗工)および乾燥して下層の多孔質インク受容層を形成する。続いて、下層に上層形成用塗工液を塗布および乾燥して上層の多孔質インク受容層を形成し、本発明の記録媒体を得ることができる。なお、各多孔質インク受容層に用いるこれらの材料(無機顔料、PVA、架橋剤、pH調整剤、各種添加剤および水など)の種類、使用量等は本発明の要件を満たすように適宜選択して用いることができる。
各多孔質インク受容層用の塗工液の塗工には適正な塗工量が得られるように、例えば、下記の塗工方法を使用でき、オンマシン、オフマシンで塗工する。
・各種カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター。
・スライドホッパー方式を用いたコーター。
なお、塗工時に、各塗工液の粘度調製等を目的として、各塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温することも可能である。
<支持体>
下記条件にて支持体を作製した。まず、下記組成の紙料を固形分濃度が3質量%となるように水で調製した。
・パルプ 100質量部
(濾水度450mlCSF(Canadian Standard Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)(80質量部)、
および濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)(20質量部))。
・カチオン化澱粉 0.60質量部。
・重質炭酸カルシウム 10質量部。
・軽質炭酸カルシウム 15質量部。
・アルキルケテンダイマー 0.10質量部。
・カチオン性ポリアクリルアミド 0.030質量部。
上記支持体上に、下層及び上層用の塗工液を順次塗工、乾燥して2層の多孔質インク受容層を形成した。この際の、各塗工液の組成及び塗工方法等は、以下の通りである。
純水中に、無機アルミナ水和物としてアルミナ水和物:Disperal HP14(商品名、サソール社製)を固形分濃度が30質量%となるように添加した。次に、このアルミナ水和物100質量部に対して、1.5質量部となるようにメタンスルホン酸を加えて、攪拌し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルをアルミナ水和物の固形分濃度が27質量%となるように適宜、純水で希釈してコロイダルゾルAを得た。
純水中に、無機アルミナ水和物としてアルミナ水和物:Disperal HP10(商品名、サソール社製)を固形分濃度が30質量%となるように添加した。次に、このアルミナ水和物100質量部に対して、2.5質量部となるようにメタンスルホン酸を加えて、攪拌し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルをアルミナ水和物の固形分濃度が27質量%となるように適宜、純水で希釈してコロイダルゾルBを得た。
純水中に、無機アルミナ水和物としてアルミナ水和物:Disperal HP18(商品名、サソール社製)を固形分濃度が30質量%となるように添加した。次に、このアルミナ水和物100質量部に対して、1.2質量部となるようにメタンスルホン酸を加えて、攪拌し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルをアルミナ水和物の固形分濃度が27質量%となるように適宜、純水で希釈してコロイダルゾルCを得た。
シリカ粉体:X−37(商品名、トクヤマ(株)製)の固形分濃度が25質量%となるように、純水中にポリ塩化アルミニウム:タキバイン#1500(商品名、多木化学(株)製)をシリカ100質量部に対して2質量部となるように添加した溶液中に添加した。これを、高圧ホモジナイザーで分散し、コロイダルゾルを得た。得られたコロイダルゾルを前記シリカ粉体の固形分濃度が21質量%となるように適宜、純水で希釈してコロイダルゾルDを得た。また、高圧ホモジナイザーでの分散条件を変更した以外は、コロイダルゾルDと同様にシリカを分散し、さらに固形分濃度を21質量%に調整し、コロイダルゾルEを得た。
シリカ粉体:X−37をシリカ粉体:BY−400(商品名、東ソーシリカ(株)製)に変更した以外は、コロイダルゾルDと同様の作製方法でコロイダルゾルFを得た。また、シリカ粉体:X−37を、シリカ粉体:X−37B(商品名、トクヤマ(株)製)、シリカ粉体:AY−601(商品名、東ソーシリカ(株)製)、シリカ粉体:AZ−400(商品名、東ソーシリカ(株)製)、およびシリカ粉体:BY−601(商品名、東ソーシリカ(株)製)にそれぞれ変更した。それ以外は、コロイダルゾルEと同様の作製方法でコロイダルゾルG、H、IおよびJをそれぞれ得た。
コロイダルゾルB及びコロイダルゾルDを各ゾルの無機顔料固形分質量比で75:25となるように混合した。混合したゾル(混合ゾル)にポリビニルアルコール:PVA235(商品名、クラレ(株)製)の濃度8質量%水溶液を混合ゾルの無機顔料固形分100質量部に対して、PVA固形分換算で10質量部となるよう混合した。
コロイダルゾルAにポリビニルアルコール:PVA235(商品名、クラレ(株)製)の濃度8質量%水溶液を、コロイダルゾルAのアルミナ水和物100質量部に対して、PVA固形分換算で10質量部となるよう混合した。
支持体上に、下層用の塗工液を乾燥後の塗工量が、30g/m2となるように塗工後、50℃で乾燥させ下層を作製した。次いで、前記下層に上層用の塗工液を乾燥後の塗工量が、10g/m2となるように塗工後、50℃で乾燥させ、インクジェット記録媒体1を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルDをコロイダルゾルIに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体2を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルDをコロイダルゾルGに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体3を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルBを各ゾルのアルミナ水和物の固形分質量比で25:75になるように混合したゾルに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体4を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルC及びコロイダルゾルJを各ゾルの無機顔料固形分質量比で35:65になるように混合したゾルに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体5を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から70:30に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体6を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から78:22に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体7を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から65:35に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体8を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から80:20に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体9を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から60:40に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体10を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から82:18に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体11を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルJを各ゾルの無機顔料固形分質量比で30:70になるように混合したゾルに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体12を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルA、コロイダルゾルB及びコロイダルゾルGを各ゾルの無機顔料固形分質量比で10:40:50になるように混合したゾルに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体13を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルDをコロイダルゾルIに変更した。また、実施例1の上層用の塗工液に用いたコロイダルゾルAを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルBを各ゾルのアルミナ水和物の固形分質量比で70:30となるように混合したゾルに変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体14を作製した。
実施例1の上層用の塗工液に用いたコロイダルゾルAを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルCを各ゾルのアルミナ水和物の固形分質量比で75:25となるように混合したゾルに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体15を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルJを各ゾルの固形分質量比で35:65になるように混合したゾルに変更した。また、実施例1の上層用の塗工液に用いたコロイダルゾルAをコロイダルゾルA及びコロイダルゾルBを各ゾルのアルミナ水和物の固形分質量比で30:70となるように混合したゾルに変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体16を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルDをコロイダルゾルEに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体17を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルDをコロイダルゾルHに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で作製し、インクジェット記録媒体18を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルC及びコロイダルゾルFを各ゾルの無機顔料固形分質量比で35:65になるように混合したゾルに変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体19を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルDを各ゾルの無機顔料固形分質量比で55:45になるように混合したゾルに変更した。また実施例1の上層用の塗工液に用いたコロイダルゾルAを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルCを各ゾルのアルミナ水和物の固形分質量比で75:25となるように混合したゾルに変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体20を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から55:45に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体21を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いた混合ゾルのコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの各ゾルの無機顔料固形分質量比を75:25から84:16に変更した。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体22を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの混合ゾルをコロイダルゾルBの単独ゾルに変更し、下層用塗工液にコロイダルゾルDは加えなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体23を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの混合ゾルをコロイダルゾルCの単独ゾルに変更し、下層用塗工液にコロイダルゾルBおよびDは加えなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体24を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルB及びコロイダルゾルDの混合ゾルをコロイダルゾルAの単独ゾルに変更し、下層用塗工液にコロイダルゾルBおよびDは加えなかった。それ以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体25を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルBとコロイダルゾルDとの混合ゾルを、コロイダルゾルA及びコロイダルゾルJを各ゾルの固形分質量比で35:65になるように混合したゾルに変更した。また、実施例1の上層用の塗工液に用いたコロイダルゾルAをコロイダルゾルBに変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体26を作製した。
実施例1の下層用の塗工液に用いたコロイダルゾルDをコロイダルゾルEに変更した。また、実施例1の上層用の塗工液に用いたコロイダルゾルAをコロイダルゾルCに変更した。それら以外は、実施例1と同様の方法で、インクジェット記録媒体27を作製した。
測定には下記の装置を用いた。
ピーク細孔半径の測定:(株)島津製作所製 自動比表面積/細孔分布測定装置 TriStar3000(商品名)、
サンプル前処理:(株)島津製作所製 バキュプレップ061(商品名)。
(インク吸収速度)
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:PIXUS iP8600キヤノン製)の専用インクタンクに、顔料インクプリンタ(商品名:PIXUS Pro9500キヤノン製)用インクを詰め替えた。そして、スーパーフォトペーパーモード(標準設定)にて、作製したインクジェット記録媒体の記録面に二次色であるレッド、グリーン、ブルーの0%〜200%Dutyまでの階調バッチを印字した。そして、印字部の目視による観察により、以下の通りに評価した。
A:150%Dutyにおいても、ビーディングが確認されない。
B:135%Dutyにおいて、ビーディングが確認されないが、150%Dutyでは、ビーディングが確認される。
C:120%Dutyにおいて、ビーディングが確認されないが、135%Dutyでは、ビーディングが確認される。
D:120%Dutyにおいても、ビーディングが確認される。
作製したインクジェット記録媒体に上記インク吸収速度の評価方法と同様の階調パッチを同様の方法で印字した。そして、印字部の目視による観察により、以下の通りに評価した。
A:200%Dutyにおいても、インク溢れが確認されない。
B:185%Dutyにおいて、インク溢れが確認されないが、200%Dutyでは、インク溢れが確認される。
C:170%Dutyにおいて、インク溢れが確認されないが、185%Dutyでは、インク溢れが確認される。
D:170%Dutyにおいても、インク溢れが確認される。
インクジェット方式を用いたフォト用プリンタ(商品名:PIXUS iP8600キヤノン製)を用いて、作製したインクジェット記録媒体に、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、の100%Dutyのベタバッチを印字した。この後、25℃,50%R.H.(相対湿度)環境で3日間、保存後、分光光度計・スペクトロリノ(グレタグマクベス社製)を用いて、測色を行いO.D.値(光学濃度)を評価した。なお、この際の評価基準は以下の通りとした。
A:O.D.値が2.20以上であり、高濃度部の階調再現性が非常によい。
B:O.D.値が2.05以上2.20未満であり、Aより高濃度部の階調再現性がやや劣る。
C:O.D.値が2.05未満であり、高濃度部の階調再現性はよくなく、印字濃度が薄い。
Claims (8)
- 支持体と、該支持体上に少なくとも2層の多孔質インク受容層とを有する記録媒体であって、
該多孔質インク受容層のうちの、該支持体から最も遠い層である上層の支持体側に、該支持体から2番目に遠い層である下層が配され、
該上層の細孔分布曲線は、ピークを1つ有し、
該下層の細孔分布曲線は、ピークを2つ有し、
該上層の細孔分布曲線におけるピークを与える細孔半径R1(nm)と、該下層の細孔分布曲線における2つのピークを与える細孔半径R2(nm)およびR3(nm)とが、
R2<R1<R3
8≦R1≦11
5≦R2
2≦R1−R2
R3−R1≦3
の関係を満足し、
該下層の細孔分布曲線において、細孔半径が該R2のときの細孔容積V R2 の、細孔半径が該R3のときの細孔容積V R3 に対する割合(VR2/VR3)が0.8以上2.4以下であることを特徴とする記録媒体。 - 前記R1と前記R3とが、R3−R1≦2の関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
- 前記V R2 のVR3に対する割合(VR2/VR3)が、1.2以上2.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の記録媒体。
- 前記R1が、9nm以上11nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の記録媒体。
- 前記下層の乾燥塗工量が、25g/m 2 以上35g/m 2 以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の記録媒体。
- 前記下層が、無機顔料としてアルミナ水和物とシリカを含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の記録媒体。
- 前記下層における、前記アルミナ水和物と前記シリカの固形分質量比が60:40〜82:18であることを特徴とする請求項6に記載の記録媒体。
- 前記下層における、前記アルミナ水和物と前記シリカの固形分質量比が70:30〜78:22であることを特徴とする請求項6に記載の記録媒体。
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