JP3950688B2 - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録に好適に用いられる記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々のインク吐出方式、例えば、静電吸引方式、圧電素子を用いてインクに機械的振動または変移を与える方式、インクを加熱して発泡させその圧力を利用する方式等により、インクの小滴を発生、飛翔させ、それらの一部もしくは全部を紙あるいはインク受容層を塗工したプラスチックフィルムなどの被記録材に付着させて記録を行なうものてあるが、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字の行なえる方式として注目されており、プリンターヘの展開を初めとして、複写機、ワープロ、FAX、プロッター等の情報機器へ展開され急速に普及している。
【0003】
また、近年高性能のデジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナーが安価で提供されつつあり、パーソナルコンピューターの普及と相まって、これらから得られた画像情報をインクジェット記録方式で出力する機会が増えている。このため銀塩系写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色無い画像をインクジェット方式で出力することか求められている。
【0004】
そのために、記録の高速化、高精細化、フルカラー化など記録装置、記録方式の改良が行われてきたが、記録媒体に対しても高度な特性が要求されるようになってきた。
【0005】
また、光沢があり、しかも耐候性に優れた印字物が得られる記録媒体に対する要求も多くなってきている。
【0006】
かかる要求に対して、種々の提案がなされている。たとえば、特開昭59−22683号公報には、インク吸収が良好で光沢のある印刷シートを得るために、最低造膜温度を異にする2種以上の熱可塑性樹脂粒子を基材面に塗布し、乾燥・造膜させて表面にクラツクを生じさせることが記載されている。
【0007】
また特開昭59−222381号公報、特開平6−55870号公報、特開平7−237348号公報及び同8−2090号公報には、画像の耐水性、耐候性を向上させるために、顔料層の表層に水分散性樹脂粒子を含む層を設け、これを熱可塑性樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以下の温度で乾燥させて記録媒体となし、印字後、表層を皮膜化することが記載されている。
【0008】
また、特開平08−099457号公報には、インク定着性などの向上を図るために、バインダーの連続皮膜中に水性樹脂粒子粒子が保持された層を設けた記録媒体が記載されている。
【0009】
また、特開昭62−280067号公報には、溶融温度が50℃以上である被記録材が、特開昭62−140878号公報には、樹脂粒子粒子と結着材を主体とした層を有する被記録材が、特開昭62−271785号公報には、非染着性の粒子と結着剤を主体とした層を有する被記録材が、特開昭62−140879号公報には、熱融着性/圧融着性を有する層を有する被記録材などが記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしなから、特開昭59−22683号公報で開示されている印刷シートはその表面に非常に細かなクラツクが生じるために耐擦過性が不十分であり、また特開昭59−222381号公報等に開示されている記録媒体は、Tg以下で熱処理されているので、基材や粒子間の密着性が不十分であり、水分散性樹脂粒子を含む表層の耐擦過性が十分でないために表層に傷がつきやすく、このため印字後、加熱透明化したとき、必ずしも均一な皮膜にはならず、品位の良好な画像が得られにくいという問題がある。また、特開平08−099457号公報に開示されている記録媒体は、バインダーの連続皮膜中に水性樹脂粒子粒子が保持されている為、擦過性には優れているものの、近年の印刷スピードの高速化には開示されている記録媒体のインク吸収性では十分に対応しきれないという問題がある。
【0011】
特開昭62−280067号公報、特開昭62−140878号公報、特開昭62−271785号公報、特開昭62−140879号公報等に開示されている記録媒体は、記録面の擦過強度や近年言われている画像の鮮明性、表面の光沢度が非常に高い写真画質という両者で決して満足できるものではないという課題がある。
【0012】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、十分なインク吸収性を満足するとともに、耐擦過性に優れた記録媒体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成される。
本発明インクジェット用記録媒体は、最低造膜温度が0℃以上の水分散性樹脂粒子Bと、前記水分散性樹脂粒子Bよりも最低造膜温度が50°C以上高く、かつ前記水分散性樹脂粒子Bの平均粒子径よりも大きい平均粒子径を持つ水分散性樹脂粒子Aとを含有する多孔質樹脂層を、基材上に有し、かつ、前記水分散性樹脂粒子Aと前記水分散性樹脂粒子Bとが互いに部分的に融着しており、前記水分散性樹脂粒子Aの平均粒子径が0.1〜10μmであり、前記水分散性樹脂粒子Bの平均粒子径が、0.01〜0.3μmであり、前記水分散性樹脂粒子A100質量部に対して前記水分散性樹脂粒子Bが1〜20質量部であることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の記録媒体について詳細に説明する。
本発明の記録媒体は、多孔質樹脂層が、少なくとも最低造膜温度が50℃以上の水分散性樹脂粒子Aと最低造膜温度が0℃以上の水分散性樹脂粒子Bの2成分を必須成分とし含有するものであり、付与されたインクがこの多孔質樹脂層を介してインク吸収性を有する基材あるいは多孔質インク受容層に到達し、そこに画像を形成する。本発明の記録媒体は、上記した特定の多孔質樹脂層を有するため、耐擦過性、インク吸収性に優れるものである。
【0015】
水分散性樹脂粒子が1種類のみの場合には、水分散性樹脂粒子の多孔質構造を形成するものの、水分散性樹脂粒子の粒子同士の結着力が弱く、耐擦過性が悪い。
【0016】
複数種類の水分散性樹脂粒子を使用する場合、2種類の水分散性樹脂粒子の最低造膜温度に差がないとインク吸収性と耐擦過性両者の特性に優れる多孔性の樹脂層を得る事が難しい。最低造膜温度の低い方の水分散性樹脂粒子が0℃未満の最低造膜温度を有する場合には、多孔質になるものの、インク吸収性が低下する。この理由は定かではないが、水分散性樹脂粒子Aと水分散性樹脂粒子Bとか結着するよりも水分散性樹脂粒子Bの造膜スピードの方が早く、十分な空孔が形成されない為であると思われる。
【0017】
多孔質の樹脂層がより好ましい状態となる為には、水分散性樹脂粒子Aと水分散性樹脂粒子Bの最低造膜温度の差が50℃以上、さらには60℃以上、特に70℃以上あることが好ましい。水分散性樹脂粒子Aと水分散性樹脂粒子Bの最低造膜温度の差が小さすぎる場合には、水分散性樹脂粒子の粒子同士の結着力が弱く、多孔質樹脂層の耐擦過性が悪くなる傾向にある。
【0018】
優れた擦過性とインク吸収性を両立する為に、水分散性樹脂粒子AおよびBの混合層は、部分的に融着している事が好ましい。
【0019】
本発明でいう水分散性樹脂粒子AおよびBが部分的に融着している状態とは、図1に模式的に示すように、隣接する水分散性樹脂粒子1の少なくとも2つの水分散性樹脂粒子1が加熱により溶融し、互いにビーズ状あるいはアレイ状に結合している状態を指す。また水分散性樹脂粒子1間の結合状態としては、その結合断面積が、水分散性樹脂粒子1の平均粒子径をrとしたとき、πr/400〜πrの範囲であることが好ましい。
【0020】
部分的に融着している状態をさらに好ましい状態とする為に、水分散性樹脂粒子Aと水分散性樹脂粒子Bの含有量は、水分散性樹脂粒子A100質量部に対して水分散性樹脂粒子Bが1〜20質量部が好ましい。水分散性樹脂粒子Bの含有量が水分散性樹脂粒子Aに比べ少なすぎると水分散性樹脂粒子同士の融着度合いが低下し、擦過性が低下する場合がある。逆に、水分散性樹脂粒子Bの含有量が水分散性樹脂Aに比べ多すぎる場合には、水分散性樹脂粒子同士の融着度合いは向上し、擦過性の向上がはかれるものの、多孔性が減少する為、インク吸収性が低下する傾向がある。
【0021】
また、水分散性樹脂粒子の平均粒子径は、擦過性、インク吸収性の双方を満足する部分的な融着構造を得る為に、相対的に最低造膜温度の高い水分散性樹脂粒子Aの平均粒子径は、相対的に最低造膜温度の低い水分散性樹脂粒子Bの平均粒子径より大きい。水分散性樹脂粒子Aの平均粒子径は0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜8μmにすると良い。また、水分散性樹脂粒子Bの平均粒子径は、0.01〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μmにすると良い。
【0022】
本発明で使用する水分散性樹脂粒子A及びBとしては、塩化ビニル、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、ウレタン、ポリエステル等多数列挙することができるがもちろんこれらに限定されない。
【0023】
耐擦過性とインク吸収性を両立する為に、本発明で使用する水分散性樹脂粒子Aとしては塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、ウレタン、ポリエステル、エチレンいずれかの共重合体およびその変性物のいずれかであることが好ましい。より好ましくは、塩化ビニル−酢酸ビニル、塩化ビニル−アクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸、スチレン−アクリル酸いずれかの2元以上の共重合体およびその変性物のいずれかであるとよい。
【0024】
水分散性樹脂粒子Bとしては、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、ウレタン、ポリエステル、エチレンいずれかの共重合体およびその変性物のいずれかであることが好ましい。より好ましくは、アクリル酸又は塩化ビニル−酢酸ビニル、塩化ビニル−アクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸、スチレン−アクリル酸いずれかの2元以上の共重合体およびその変性物のいずれかであるとよい。
【0025】
さらに、理想的な部分的な融着構造を成す多孔質層を形成する為に、水分散性樹脂粒子A及びBの好ましい組み合わせとしては、水分散性樹脂粒子A/水分散性樹脂粒子Bが、塩化ビニル−酢酸ビニル/アクリル酸、塩化ビニル−酢酸ビニル/アクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル/塩化ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−酢酸ビニル/酢酸ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−アクリル酸/スチレン−アクリル酸、アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル、アクリル酸エステル/塩化ビニル−酢酸ビニル、塩化ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル、スチレン−アクリル酸/塩化ビニル−アクリル酸などが挙げられる。
【0026】
より好ましい組み合わせとしては、水分散性樹脂粒子A/水分散性樹脂粒子Bが塩化ビニル−酢酸ビニル/塩化ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−酢酸ビニル/酢酸ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−アクリル酸/スチレン−アクリル酸、塩化ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル、酢酸ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル、スチレン−アクリル酸/塩化ビニル−アクリル酸などのように水分散性樹脂粒子A及びBに含まれる成分の一部が重複しているような組み合わせが良い。
【0027】
もちろん3元以上の共重合体においても同様で、水分散性樹脂粒子A/水分散性樹脂粒子Bが、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸/酢酸ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸/スチレン−アクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸、塩化ビニル−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸、スチレン−アクリル酸/塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸のように水分散性樹脂粒子A及びBに含まれる成分が重複しているような組み合わせが良い。
【0028】
これは、水分散性樹脂粒子A及びBが混在した中で部分的な融着構造を成す過程で全く同じ成分同士、或いは全く異なった成分同士に比べ、水分散性樹脂粒子A及びBが適度な相溶性を有する為、理想的な部分的な融着構造を形成し、擦過性、インク吸収性に優れるものと考えられる。
【0029】
本発明の効果を妨げない範囲において、水分散性樹脂粒子A及びBの部分的な融着を容易にするために、ごく微量のバインダーを含ませても良い。
【0030】
水分散性樹脂粒子A及びBの粒子は、初めは上記したように多孔質構造を有するが、印刷後、該多孔質構造を熱処理などの手段で非孔質化(透明化)し、印刷部に耐候性や光沢を持たせるようにするとよい。その際、多孔質層にインクに含まれる染料や顔料といった染着成分がとどまってしまうと光沢が損なわれる恐れが有る。そのため、水分散性樹脂粒子A及びBは、少なくとも一方が非染着性の粒子であることがよく、最も好ましい形態としては、水分散性樹脂粒子A及びB両者共に非染着性の粒子であると良い。
【0031】
多孔質の樹脂層は、水分散性樹脂粒子A及びBの混合液の固形分が10〜50質量%になるように調製した塗料を、基材に塗布し、熱処理、乾燥して得ることができる。
【0032】
水分散性樹脂粒子A及びBの混合液の塗工量としては、印字後の処理により表面光沢を持たせ且つ干渉色を発現させず、また保護膜としての機能を充分に発揮する程度の厚さが必要であり、通常乾燥後の膜厚が2〜30μmになるように塗工されるのが好ましい。
【0033】
乾燥後の膜厚が2μmより少ない場合には、保護膜としての機能を十分に発揮しきれないばかりか、インク吸収性が低下し、異色境界でのインクにじみなどが発生する。また、乾燥後の膜厚が30μmより多い場合には、多孔質層でインクが拡散してしまい異色境界でのインクにしみや真円で濃度ムラのないドット形状を得る事が難しくなる。
【0034】
本発明で使用される基材としては、透明、不透明のいずれの基材でも使用でき、たとえは、上質紙、中質紙、アート紙、ボンド紙、レジンコート紙、バライタ紙、コート紙などの紙類、ポリエチレンテレフタレート、ジアセテート、トリアセテート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアクリレートなどのプラスチックからなるフィルムなどが使用できる。但し、多孔質樹脂層を熱可塑性樹脂粒子を含む多孔質層のみで構成する場合、基材としては、インク吸収性のある紙や多孔性樹脂粒子を用いることが好ましい。
【0035】
また、多孔質樹脂層と基材の間にインク受容層を形成しても良い。この場合、付与されるインクは多孔質樹脂層を介してインク受容層に到達し、そこに画像を形成する。インク受容層は、顔料を含有する多孔質のものである。
【0036】
使用される顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ水和物等が挙げられるが、その中でも染料定着性、透明性の点からアルミナ水和物がとりわけ好ましい。
【0037】
アルミナ水和物としては、アルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナトリウムの加水分解などの公知の方法で製造できる。その形状は繊毛状または針状、板状、紡錘状等があり、また、配向性の有無も問わない。但し、無配向性のアルミナ水和物を使用した場合、アルミナ水和物を含む層を比較的薄くしても、インク吸収性に優れ、ビーデイングの発生を抑えることができるというメリットがある。
【0038】
ここでいう配向性の有無とは、インク受容層を形成した時に、以下の方法で確認することができる。
【0039】
つまり、インク受容層の厚み方向の断面を露出させ、該断面中のインク受容層の一部に電子線を入射させたときの透過回折図形が同心円状に並ぶリング状の回折像からなり、各々のリング状の回折像の下記式(1)で表される回折強度変動値δが5%以下であるか否かで配向性の有無を確認することができる。この回折強度変動値δが5%以下であれば無配向である。
【0040】
δ=(Imax−Imin)/(Imax十Imin)×100
(式中、一のリング状の回折像における回折強度の最大値をImaxとし、最小値をIminとする)
アルミナ水和物がインク受容層中で無配向に存在する場合には試料の断面方向によらず、回折強度変動値δが5%以下になるが、配向性の有無は、たとえばインク受容層の厚み方向の直交する2断面を任意に選択して回折像を観察して判断できる。
【0041】
この回折強度変動値δの値は、以下に示す方法で求められる。
【0042】
ポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミナ水和物を含む層を形成し、ミクロトームにて700士100Åの断面薄片を形成して測定用試料とする。アルミナ水和物層の断面の電子線回折を透過型電子顕微鏡(日立製作所製H−800)を用いて測定し、その回折像の回折強度をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)に転写してから、各格子面の回折像の強度分布を測定し、前述の式(1)により求められる。尚、測定時、制限視野回折の制限領域を2000Åφとし、断面の異なる箇所を10箇所測定する。
【0043】
本発明で使用するアルミナ水和物は、工業的に市販されているもの、もしくはそれらの原料から加工されたもの等を使用することができ、これらアルミナ水和物の特徴として透明性、光沢性、染料定着性の高いもので且つ、被膜形成時にクラック等の入らず、塗工性の良いものであればさらに良い。工業的に市販されているものとしては、例えば、触媒化成社製のAS−2(商品名)、AS−3(商品名)、日産化学社製の520(商品名)等が挙げられる。
【0044】
無配向性アルミナ水和物を調製するには、たとえば、アルミニウムアルコキシドの加水分解・解膠法及び硝酸アルミニウムとアルミン酸ナトリウムによる加水分解・解膠法を用いることができる。
【0045】
これらのアルミナ水和物は、通常粒子径が1μm以下と細かいものであり、優れた分散性を有するものであるため、記録媒体に良好な平滑性、光沢性を与えることができる。
【0046】
アルミナ水和物を結着するためのバインダーとしては、水溶性高分子の中から自由に選択することができる。例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、カゼインまたはその変性体、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレートーブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。これらのバインダーは単独あるいは複数種混合して用いることができる。
【0047】
アルミナ水和物とバインダーの混合比は、質量比で、好ましくは1:1〜30:1、より好ましくは5:1〜25:1の範囲から任意に選択できる。バインダーの量が上記範囲よりも少ない場合はインク受容層の機械的強度が不足して、ひび割れや粉落ちが発生し、上記範囲よりも多い場合は細孔容積が少なくなってインクの吸収性が低下する。
【0048】
下層を形成するための塗工液には、アルミナ水和物及びバインダーに加え、必要に応じて分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加することも可能である。
【0049】
アルミナ水和物の基材への塗工量としては、染料定着性を持たせるために、10g/m以上が好ましく、基材としてインク吸収性を有しないものを使用した場合、30〜50g/mの範囲がより好ましく、基材としてインク吸収性を有するものを使用した場合、20〜40 g/mの範囲がより好ましい。
【0050】
塗工・乾燥方法は特に限定されないが、必要に応じてアルミナ水和物及びバインダーに焼成処理を施す等も可能である。かかる焼成処理を施すことにより、バインダーの架橋強度が上がり、インク受容層の機械的強度が向上し、また、アルミナ水和物層の表面光沢が向上する。
【0051】
基材として紙を使用する場合、繊維状物質からなる基紙の記録が行われる側の表面を硫酸バリウムでコートし、表面のベック平滑度を400秒以上で、且つ白色度を87%以上に調整してなる基材を使用することが、銀塩写真に匹敵するような画像が得られるので、とりわけ好ましい。
【0052】
ここで用いる硫酸バリウムとしては、その平均粒子径が0.4〜1.0μmの範囲、より好ましくは0.4〜0.8μmの範囲のものが望ましい。このような範囲の粒子径を有する硫酸バリウムを使用することで、所望の白色度、光沢度、インクの溶媒吸収性を満足させることができる。
【0053】
硫酸バリウムを結着させるためのバインダーとしては、ゼラチンが好ましく、硫酸バリウム100質量部に対して6〜12質量部の割合で用いられる。
【0054】
硫酸バリウムの基材への塗工量としては、インクの溶媒吸収性及び表面の平滑性を持たせるために、20〜40g/mの範囲が好ましい。
【0055】
硫酸バリウム層の平滑度があまり高いとインク吸収性の低下を招きやすいので、その平滑度は好ましくは600秒以下、より好ましくは500秒以下にすることが望ましい。
【0056】
水分散性樹脂粒子A及びBか混合された塗工液には、本発明の効果を妨げない範囲において、必要に応じて分散剤、増結剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加することも可能である。
【0057】
本発明の記録媒体を作成するに当たっては、まず前記組成物を、必要により他の添加剤と共に、水あるいはアルコール、多価アルコール類、または他の適当な有機溶媒に溶解、または分散し、塗工液を調整する。
【0058】
得られた塗工液を、例えば、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコータ一法、ゲートロールコーター法、バーコークー法、サイズプレス法、スプレーコート法、グラビアコーター法、カーテンコーター法などにより基材表面に塗工する。その後、例えは熱風乾燥炉、熱ドラムなどを用いて乾燥し、本発明の被記録媒体が得られる。
【0059】
記録媒体にインクを付与する方法としては、簡便さ、高速印字、高精細印字を可能とする点で、インクに熱エネルギーを作用させてインク滴を形成する方式であるインクジェット方式が好ましい。
【0060】
水分散性樹脂粒子A及びBを含む多孔質層を非孔質化する方法としては、加熱処理が好ましく、かかる処理を施すことで、耐水性、耐光性等の耐候性が良好となり、画像に光沢を付与することができ、印字物の長期保存を可能とする。
【0061】
この時の加熱温度としては、水分散性樹脂粒子の最低造膜温度以上であることが好ましく、水分散性樹脂粒子の種類によっても異なるが、非孔質化後の表面性を考慮すると、70℃〜180℃の範囲が好ましい。
【0062】
70℃より低い温度の場合には、十分な光沢が得られないと共に、保護膜としての性能が十分に発揮されず、耐水性などが不十分となる。180℃より高い温度の場合には、基材の変質などが発生し、記録物として不十分な物となってしまう恐れがある。
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
実施例1
基材として、以下のコート紙を調製した。硫酸バリウムと塩化バリウムから反応させて形成した平均粒子径0.6μmの硫酸バリウム100質量部、ゼラチン10質量部、ポリエチレングリコール3質量部、クロム明欝0.4質量部を配合して塗工液とし、これを坪量130g/mの、ベツク平滑度340秒の基紙に、乾燥厚が20μmになるように塗工した後、スーパーカレンダー処理を行って表面平滑度400秒の基材を得た。
【0065】
この基材上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸(最低造膜温度:130°C、平均粒径:0.75μm)100質量部に対し、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール752、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:30℃、平均粒子径:0.1μm)10質量部を混合し、混合液の固形分を30%に調整し、バーコーターにて塗布し、60℃で10分乾燥し、約20μmの厚さの多孔質層を形成し、本発明の記録媒体を得た。
【0066】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0067】
この記録媒体に対して、下記組成のインクをインクジェットプリンタ(商品名:BJC610JW、キヤノン製)に搭載して画像を形成した後、140℃で熱処理して多孔質層を非孔質化し、写真画質の記録物を得た。
【0068】
使用インク
Figure 0003950688
インク組成
染料 3部
グリセリン 7部
チオグリコール 7部
水 83部
【0069】
この記録物に対して、ブラックの画像濃度、光沢度、耐候性を評価し、また記録媒体に対しては耐擦過性の評価を行った。その結果を表1に示す。
a)画像濃度:マクベス反射濃度計RD−918を用いて評価した。
b)表面光沢度:JIS−P−8142に基づき、デジタル変角光沢計(スガ試験機社製)を用いて20°と75°の光沢度を測定した。
c)耐水性:水を0.03cc滴下しインク流れのないものを○、変化があるものを×とした。
d)耐擦過性:記録媒体上に700gの重りを載せてこすり、傷がつかないものを○、傷が多少つくものを△、傷が多数つくものを×とした。
e)インク吸収性:黄色と赤色の境界部において、インクにじみない物を○、インクにじみあるものを×とした。
【0070】
実施例2
実施例1において、スチレン−アクリル酸エステル共重合体の代わりにアクリル酸のコロイダルシリカ変性物(商品名:モビニール8030、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:30℃、平均粒子径:0.06μm)を使用したほかは実施例1と同様にして本発明の記録媒体を得た。
【0071】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0072】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0073】
実施例3
実施例1において、スチレン−アクリル酸エステル共重合体の代わりに酢酸ビニル−アクリル酸(商品名:モビニール630、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:19℃、平均粒子径:0.15μm)を使用したほかは実施例1と同様にして本発明の記録媒体を得た。
【0074】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0075】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0076】
実施例4
実施例3において、酢酸ビニル−アクリル酸を20質量部とした他は実施例3と同様にして本発明の記録媒体を得た。
【0077】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0078】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0079】
実施例5
実施例3において、酢酸ビニル−アクリル酸を5質量部とした他は実施例3と同様にして本発明の記録媒体を得た。
【0080】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0081】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0082】
比較例1
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸(最低造膜温度:130℃、平均粒径:0.75μm)のみを用い、その他は実施例1と同様にして記録媒体を得た。
【0083】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0084】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。その評価結果を表1に示す。
【0085】
この記録媒体は、多孔質層の耐擦過性が十分ではなく、印字時に表面に多数の傷が付き、非孔質化処理してもその傷は消えなかった。
【0086】
比較例2
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:ビニブラン240、日信化学工業株式会社製、最低造膜温度:10℃、平均粒子径:0.6μm)のみを用い、その他は実施例1と同様にして記録媒体を得た。
【0087】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は低かった。
【0088】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。その評価結果を表1に示す。
【0089】
比較例3
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:ビニブラン240、日信化学工業株式会社製、最低造膜温度:10℃、平均粒子径:0.6μm)100質量部にスチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール756、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:0℃未満、平均粒子径:0.06μm)10質量部を混合したものを用い、その他は、実施例1と同様にして記録媒体を得た。
【0090】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は低かった。
【0091】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0092】
比較例4
比較例3において、スチレン−アクリル酸エステル共重合体の代わりに塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体(商品名:ビニブラン270、日信化学工業株式会社製、最低造膜温度:0℃、平均粒子径:0.6μm)を使用したほかは比較例3と同様にして記録媒体を得た。
【0093】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は非常に低かった。
【0094】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0095】
比較例5
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子として、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール752、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:30℃、平均粒子径:0.1μm)100質量部に、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール756、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:0°C未満、平均粒子径:0.06μm)10質量部を混合したものを用い、その他は実施例1と同様にして記録媒体を得た。
【0096】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は非常に低かった。
【0097】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表1に示す。
【0098】
実施例6
(アルミナ水和物の調製例)
本発明で使用するアルミナ水和物を以下の通り調製した。
米国特許明細書第4242271号に記載された方法に従ってアルミニウムオクタキシドを合成し、これを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーをアルミナ水和物の固形分が5質量%になるまで水を加えた。次に80°Cに昇温して10時間熟成反応を行った後、このコロイダルゾルをスプレー乾燥してアルミナ水和物を得た。更にこのアルミナ水和物をイオン交換水に混合・分散し、硝酸によりpH10に調整した。熟成時間を5時間としてコロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを脱塩処理した後、酢酸を添加して解膠処理を行った。このコロイダルゾルを乾燥して得たアルミナ水和物をX線回折により測定したところ、擬ベーマイトであった。また透過型電子顕微鏡で観察すると擬ベーマイトは紡錘形状をしていた。
【0099】
上記調製例で得たアルミナ水和物のコロイダルゾルを濃縮して15質量%の溶液を得た。一方、ポリビニルアルコール(商品名:PVA117、クラレ社製)をイオン交換水に溶解して10質量%の溶液を得た。この2種の溶液を、アルミナ水和物の固形分とポリビニルアルコールの固形分が質量比で10:1になるように、混合し、撹拌して分散液を得た。
【0100】
この分散液をポリエチレンテレフタレートフィルム上にダイコートして、擬ベーマイトを含む多孔質インク受容層を形成した。この多孔質インク受容層の厚みは約40μmであった。
【0101】
このインク受容層の断面を透過型電子顕微鏡で観察すると、紡錘形状の擬ベーマイトが無配向に含有されていることがわかり、前記した回折強度変動値δは1.0%であった。
【0102】
得られたインク受容層上に、実施例1と同様の多孔質樹脂層を形成し、本発明の記録媒体を得た。得られた多孔質樹脂層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0103】
この記録媒体に実施例1と同様に記録を行って記録物を作成した。評価結果を表2に示した。
【0104】
実施例7
実施例6の多孔質樹脂層を、実施例2と同様な多孔質樹脂層にかえ、その他は実施例6と同様にして本発明の記録媒体を得た。この記録媒体に実施例1と同様に記録を行って記録物を作成した。評価結果を表2に示した。
【0105】
実施例8
実施例6の多孔質樹脂層を、実施例3と同様な多孔質樹脂層にかえ、その他は実施例6と同様にして本発明の記録媒体を得た。この記録媒体に実施例1と同様に記録を行って記録物を作成した。評価結果を表2に示した。
【0106】
実施例9
実施例6の多孔質樹脂層を、実施例4と同様な多孔質樹脂層にかえ、その他は実施例6と同様にして本発明の記録媒体を得た。この記録媒体に実施例1と同様に記録を行って記録物を作成した。評価結果を表2に示した。
【0107】
実施例10
実施例6の多孔質樹脂層を、実施例5と同様な多孔質樹脂層にかえ、その他は実施例6と同様にして本発明の記録媒体を得た。この記録媒体に実施例1と同様に記録を行って記録物を作成した。評価結果を表2に示した。
【0108】
実施例11
実施例1と同様の基材を用い、この基材に実施例6と同様のインク受容層を設け、さらに、インク受容層上に実施例3と同様の多孔質樹脂層を設けて本発明の記録媒体を得た。
【0109】
この記録媒体に実施例1と同様に記録を行って記録物を作成した。評価結果を表2に示した。
【0110】
比較例6
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸(最低造膜温度:130℃、平均粒径:0.75μm)のみを用い、その他は実施例6と同様にして記録媒体を得た。
【0111】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認された。
【0112】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。その評価結果を表2に示す。
【0113】
この記録媒体は、多孔質層の耐擦過性が十分ではなく、印字時に表面に多数の傷が付き、非孔質化処理してもその傷は消えなかった。
【0114】
比較例7
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:ビニブラン240、日信化学工業株式会社製、最低造膜温度:10℃、平均粒子径:0.6μm)のみを用い、その他は実施例6と同様にして記録媒体を得た。
【0115】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は低かった。
【0116】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。その評価結果を表2に示す。
【0117】
比較例8
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(商品名:ビニブラン240、日信化学工業株式会社製、最低造膜温度:10℃、平均粒子径:0.6μm)100質量部にスチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール756、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:0℃未満、平均粒子径:0.06μm)10重量部を混合したものを用い、その他は、実施例6と同様にして記録媒体を得た。
【0118】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は低かった。
【0119】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表2に示す。
【0120】
比較例9
比較例8において、スチレン−アクリル酸エステル共重合体の代わりに塩化ビニル−アクリル酸共重合体(商品名:ビニブラン270、日信化学工業株式会社製、最低造膜温度:0℃、平均粒子径:0.6μm)を使用したほかは比較例8と同様にして記録媒体を得た。
【0121】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は非常に低かった。
【0122】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表2に示す。
【0123】
比較例10
多孔質樹脂層の水分散性樹脂粒子として、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール752、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:30℃、平均粒子径:0.1μm)100質量部に、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(商品名:モビニール756、ヘキスト合成株式会社製、最低造膜温度:0°C未満、平均粒子径:0.06μm)10質量部を混合したものを用い、その他は実施例6と同様にして記録媒体を得た。
【0124】
得られた多孔質層をSEMで観察したところ、水分散性樹脂粒子が部分的に融着しているのが確認されたが多孔性は非常に低かった。
【0125】
この記録媒体を使用して実施例1と同様にして記録物を作成した。評価結果を表2に示す。
【0126】
【表1】
Figure 0003950688
【0127】
【表2】
Figure 0003950688
【0128】
【発明の効果】
以上本発明によれば、インク吸収性が良好で、しかも擦過性に優れた新規な記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる水分散性樹脂粒子の部分融着の状態を表す図である。
【符号の説明】
1 水分散性樹脂粒子

Claims (10)

  1. 最低造膜温度が0℃以上の水分散性樹脂粒子Bと、前記水分散性樹脂粒子Bよりも最低造膜温度が50°C以上高く、かつ前記水分散性樹脂粒子Bの平均粒子径よりも大きい平均粒子径を持つ水分散性樹脂粒子Aとを含有する多孔質樹脂層を、基材上に有し、かつ、前記水分散性樹脂粒子Aと前記水分散性樹脂粒子Bとが互いに部分的に融着しており、前記水分散性樹脂粒子Aの平均粒子径が0.1〜10μmであり、前記水分散性樹脂粒子Bの平均粒子径が、0.01〜0.3μmであり、前記水分散性樹脂粒子A100質量部に対して前記水分散性樹脂粒子Bが1〜20質量部であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記最低造膜温度の差が60℃以上である請求項に記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記最低造膜温度の差が70℃以上である請求項に記載のインクジェット用記録媒体。
  4. 水分散性樹脂粒子Aが塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、ウレタン、ポリエステル、エチレンいずれかの共重合体およびその変性物のいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
  5. 水分散性樹脂粒子Aが塩化ビニル−酢酸ビニル、塩化ビニル−アクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸、スチレン−アクリル酸いずれかの2元以上の共重合体およびその変性物のいずれかである請求項に記載のインクジェット用記録媒体。
  6. 水分散性樹脂粒子Bが塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル酸、ウレタン、ボリエステル、エチレンいずれかの共重合体およびその変性物のいずれかである請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
  7. 水分散性樹脂粒子Bがアクリル酸又は塩化ビニル−酢酸ビニル、塩化ビニル−アクリル酸、酢酸ビニル−アクリル酸、スチレン−アクリル酸いずれかの2元以上の共重合体およびその変性物のいずれかである請求項に記載のインクジェット用記録媒体。
  8. 水分散性樹脂粒子Aと水分散性樹脂粒子B夫々に含まれる成分の一部が重複していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
  9. 前記多孔質樹脂層と前記基材の間に、インク受容層を有する請求項1乃至8のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
  10. 前記インクジェット用記録媒体が、インクジェット記録後、前記多孔質樹脂層を加熱により非孔質化して用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のインクジェット用記録媒体。
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