JP4095192B2 - 被記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録方式によって記録を行う被記録媒体に関するものであり、インク吸収性が良好で、過度な表面反射を低減し適度な観察表面を持ち合わせ、高品位画像を形成できる被記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラ、コンピュータの普及とともに、それらの画像を紙やフィルム等の被記録媒体に記録するハードコピーの技術が急速に発達した。これらのハードコピーの技術は、銀塩写真に、特に色再現性、画像密度、光沢等の面で近づきつつある。ハードコピーの記録方式には昇華型熱転写方式、静電転写型方式、インクジェット方式等多種多様な方式が知られている。
【0003】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであり、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が高い、現像及び定着が不要などの特徴があり、様々な用途において急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のない記録画像を得ることも可能であり、作成部数が少ない場合には通常の多色印刷や印画によるよりも安価に製造できることから、フルカラー画像記録分野まで広く応用されつつある。記録の高速化、高精細化、フルカラー化等の記録特性の向上要求に伴って記録装置、記録方法の改良が行われてきたが、記録用媒体に対しても高度な特性が要求されている。
【0004】
インクジェット記録方式ではノズルから記録用媒体に向けてインク液滴を高速で射出するものであり、インク中には水、水と有機溶剤の混合液といった多量の溶媒を含んでいるので高色濃度を得るためには大量のインクを用いる必要がある。また、インク液滴は連続的に射出されるので、最初の液滴が射出されると、インク液滴が融合してインクのドットが接合するビーディング現象が生じて画像が乱れる。このため、インクジェット記録用媒体には、インク吸収量が大きいこと、更にはインク吸収速度が高いことの両者を兼ね備えていることが要求される。
【0005】
このため、吸収性、発色性、解像度を高めるために特開平2−276670号の様に、基材上にアルミナ水和物とバインダーからなる多孔質層を設けるといった、無機粒子による多孔質層形成による記録媒体が数多く提案されている。また、特開平4−101880号の様に、基材上にインク定着層が透明でインクに含有される溶媒により溶解または膨潤される樹脂が形成されている記録媒体が提案されている。
【0006】
さらに、インクの吸収性、表面性を良好なものとするために種々の二層構成の被記録媒体が提案されている。例えば、特開平6−18318号のように、顔料、水性接着剤及びカチオン性定着剤からなるインク受理層上に実質的に有機高分子接着剤を含まない無機微粒子からなる第2のインク受理層を積層した記録シートが提案されている。また、特開平7−101142号、特開平8−183242号のように、支持体上にインク受理層、光沢発現層を形成した記録シートが提案されている。
【0007】
また、特開平7−76161号、特開平10−166715号のように、基材上に擬ベーマイト多孔質層を、その上にシリカゲル層を有する記録シートが提案されている。更に、特開平8−2087号のように、基材上にアルミナ水和物層、シリカゲルとバインダーとともに密度分布をつけて表面凹凸をつけたシリカゲル層を有する記録シートが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来技術には以下に述べる問題がある。
【0009】
特開平2−276670号に記載のような、アルミナ水和物とバインダーからなる被記録媒体はインク吸収性は良好であるが、表面の光沢が高いため、透明基材を用いた記録物やイラスト画像などの表面にグロスの必要のない記録物を得たい場合には適していなかった。また、耐指紋性が低く、タッキングがあり滑り性が悪いなどの問題があった。
【0010】
また、特開平4−101880号に記載のような、インクの溶媒により溶解または膨潤する樹脂を用いたインク定着層を有する記録媒体は、インクの乾燥速度が遅く、記録後しばらくべたつくという問題がある。
【0011】
二層構成の記録シートに関しては、特開平6−18318号、特開平7−101142号、特開平8−183242号、特開平7−76162号、特開平10−166715号に記載のものはいずれも吸収性に関して良好であり、表面性の改善も見られるが、いずれも表面に光沢を発現するためのものや光沢の高いものであり、透明基材を用いた記録物やイラスト画像などの表面にグロスの必要のない記録物を得たい場合には依然として適していなかった。
【0012】
更に、特開平8−2087号に記載のものは凹凸を形成することにより、滑り性の改善は可能であるが、グラビアロールによる塗工や、塗工後にエンボスロールを押し付けて凹凸を形成するため、微細な凹凸構造の形成には不適当であった。また、このような方法で凹凸を形成した場合には、膜厚が極端に薄い部分が生じたり、エンボスロールで部分的に膜がつぶされるためにインクの吸収性が低下している部分が生じて、滲みの発生など画像に影響を及ぼした。
【0013】
また、上記の従来の方法ではいずれも微妙な凹凸構造をいかにして形成するかについては十分検討されていない。
【0014】
更に、従来塗工層をゲル化させる方法では、塗工液中にゲル化剤を添加する方法が知られているが、塗工液のポットライフや塗工時の経時安定性に改善の必要があった。
【0015】
本発明は、以上に説明した各従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、インクジェット記録方式による画像形成において、滲み、溢れ、ビーディングなどが生じず、インクの吸収能が高く、優れた階調性が得られ、表面反射の低減が十分にコントロールされた被記録媒体及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面粗さがJISB0601における表面の中心線平均粗さで0.20μm以下の基材上に、少なくとも一層以上の無機顔料及び高分子バインダーを含むインク受容層及び、前記インク受容層上に、前記インク受容層のイオン性と相反するイオン性を有し、イオン性無機顔料、イオン性高分子バインダー及び低級アルコールを含む塗工液を、塗工して形成された表面反射低減層を、有し、前記表面反射低減層は、前記イオン性高分子バインダーのゲル化により形成されたゲル状突起を表面に分散してなることを特徴とする被記録媒体である。
【0017】
また、本発明は、表面粗さがJISB0601における表面の中心線平均粗さで0.20μm以下の基材上に、無機顔料及び高分子バインダーを含む第1塗工液を塗工して少なくとも一層以上のインク受容層を形成後、前記インク受容層上に、前記インク受容層のイオン性と相反するイオン性を有し、イオン性無機顔料、イオン性高分子バインダーおよび低級アルコールを含む第2塗工液を、塗工して、表面に、前記イオン性高分子バインダーのゲル化により形成されたゲル状突起が分散された表面反射低減層を形成することを特徴とする被記録媒体の製造方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0019】
(1)披記録媒体の構成
図1は、本発明の被記録媒体の一例を示す模式的断面図である。この被記録媒体100は基材101上にインク受容層102、表面反射低減層103を積層してなる。
【0020】
本発明においてはインク受容層102のイオン性と表面反射低減層103のイオン性の関係が重要となる。すなわち、本発明ではインク受容層102が下層に相当しており、この下層に対する上層のイオン性が相反することにより、上層が表面反射低減層103の機能をもつものとして形成される。その理由としては予め形成されたインク受容層のイオン性に相反する上層を塗工形成することにより形成された塗工液がイオン的な反発を受けるために微妙なゲル化現象が生じ、その結果、上層の表面には図2に示すようなゲル状突起である凹凸が生じる。このゲル化突起はイオン的な反発を受け、上層として形成された塗工液中の無機顔料と高分子バインダーが相互作用を及ぼして形成されるものである。
【0021】
すなわち、本発明ではインク受容層のイオン性と無機顔料と高分子バインダーよりなる相反するイオン性の層をその上に塗布することによりはじめて下からのイオン的な反発が生じ、塗工して乾燥が完結するまでに層同志、上下層間の無機顔料および/または高分子バインダーのイオン的な反発、特に無機顔料同士のイオン的な反発が進み、形成中の上層の薄膜中で高分子バインダーがゲル化により構造上の変化が起こり、表面に突起物が形成される。そのため、ここでの突起物は無機顔料のみの塗工液や高分子バインダーのみの塗工液で容易に形成されるものではない。また、この凹凸はグラビア塗工時のメッシュの工夫や、塗工後にエンボスロールにより機械的にプレスによって形成されたものとは異なり、微細な凹凸が塗工液の乾燥過程に規則的に形成されるのが特徴であり、この微細な凹凸の形成により記録物の表面の過度な表面反射を画像に影響を及ぼさずに微妙に低減することができる。
【0022】
このゲル状突起である凹凸の平均高さは0.01〜5.0μmの範囲が好ましく、より写真調に近い表面性を維持しながら過度な表面反射を低減するためには0.05〜1.0μmの範囲であることが望ましい。分布率は5〜80%が望ましく、5%以下では表面反射の低減の効果は得られず、80%以上では写真調に近い表面性の維持が難しい。より好ましくは10〜70%の範囲である。ここで、分布率とは被記録媒体を表面上から観察した場合に単位面積中のゲル状突起の面積の占有する率を面積比で示したものである。
【0023】
更に、詳しく本発明における表面反射低減層の形成の効果を述べると以下の二つとなる。第一の効果は基材に下層のインク受容層を形成した時の表面平滑性を微妙な凹凸のある表面層を設ける、すなわち、ゲル状突起の形成により、表面において光の微妙な拡散反射を起こさせることにより、いわゆる鏡面的な反射を低減できるわけである。そのため、ここではインク受容層の表面状態が重要であり、インク受容層はできるだけ均一な表面にすることが望ましい。そして、その後下層の均一な表面性を生かしながら、上層に表面反射低減層を設けることにより、表面反射の度合いを調整する。
【0024】
また、第二の効果は、印字後の表面反射の調整も可能なことである。すなわち、今までのアルミナ水和物を用いた多孔質層のインク受容層は未印字の状態では適度な表面光沢であったが画像を印字することにより、表面光沢が更に高くなり、表面での反射が増加し、画像を鑑賞する角度と光源の関係で反射して見にくくなるが、上層に表面反射低減層を設けることにより、印字後も反射の増加を抑えることができる。
【0025】
ここにおけるイオン性の関係としては、下層のインク受容層はカチオン性もしくはアニオン性のイオン性を有し、それに相反して上層はアニオン性もしくはカチオン性を有することが必要となる。
【0026】
下層と上層がそれぞれのイオン性を有するためには、それぞれの層を構成するための構成成分をイオン性を考慮して選択する必要がある。
具体的には
1)それぞれの層に含まれる無機顔料成分をカチオン性またはアニオン性のイオン性を有するものを選択する。
2)高分子バインダー成分をカチオン性またはアニオン性のイオン性を有するものを選択する。
3)カチオン化、アニオン化するための添加剤を加えるなどの方法がある。
これらの組合せにより、それぞれの層のイオン性をコントロールし、下層と相反するイオン性の上層を形成することにより、上層の塗工時にゲル化現象を生じさせ、ゲル状突起を形成する。
【0027】
(2)基材の構成
本発明に用いる基材101としては、従来より知られる各種の部材が使用できるが、表面平滑性を高めることによりインク受容層を均一な塗膜として形成することが可能となる。表面平滑性としてはJISB0601における表面の中心線平均粗さで0.20以下のものを用いることにより均一なインク受容層を形成することが可能となる。
【0028】
例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ETFE等の各種プラスチック類、また、銀塩写真等に用いられる印画紙、レジンコート紙などの特殊加工した紙などが使用可能である。このような表面性の高い基材を用いることにより被記録媒体の表面の高い平滑性が得られ写真調に必要な表面性がえられ、更に、本発明のゲル状突起による効果が顕著に発現される。
【0029】
具体的には60度鏡面光沢度で25〜75%の範囲での調整が好ましく、30〜60%の範囲がより好ましい。ここで、鏡面光沢度は反射光強度をもって表現されるものであり、本発明では未印字部及び印字後の画像部の光沢測定を行うことが重要なため60度光沢度を採用した。
【0030】
(3)インク受容層の構成
インク受容層102は本質的にインクジェット記録によって飛翔、着弾された後、インクの溶媒を吸収し、染料などの色材を定着する機能を有するものである。本発明において、インク受容層はインクの吸収能を有し、より滲み、溢れ等を低減し、写真調の画像を得るためには、均一な膜質を形成することが必要となる。
【0031】
具体的には無機顔料及び高分子バインダーからなる多孔質無機顔料層がインクの吸収能が高いために好適である。吸収量を十分に確保するためには多孔質無機顔料層としての細孔直径を調整する必要がある。この時、平均細孔半径は10nm以下であり、10nmを超えると光散乱が生じて、透明性が損なわれるとともに、印字した場合に形成された画像が白っぽくなるので望ましくない。また、インク吸収能を得るためには2nm以上が好ましく、4nm以上で吸収を速くすることができより好ましい。尚、細孔径分布の測定は窒素吸着脱離法による。
【0032】
更に、吸収量を調整するために多孔質無機顔料層の全細孔容積は0.1〜1.0cc/gの範囲が望ましい。更に好ましい範囲は0.4〜0.6cc/gである。多孔質無機顔料層の細孔容積が上記範囲より大きい場合には多孔質無機顔料層形成時にひび割れ、粉落ちが発生し、上記範囲より小さい場合にはインクの吸収が悪くなる。また、多孔質無機顔料層の面積単位の細孔容積は8cc/m2以上であることが望ましい。上記の範囲以下では特に多色印字を行なった場合に多孔質無機顔料層で担うインクの吸収能が不十分であり、インクが溢れて画像に滲みが発生する。
【0033】
多孔質無機顔料層としては無機顔料をバインダーで結合した層として基材上に形成されている構成が望ましい。
【0034】
無機顔料としては、例えば炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタニア、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、ケイ酸アルミニウム、アルミナ水和物、ケイ酸、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、シリカなど挙げられ、これらを単独または混合して使用することが可能である。これらの顔料は殆どアニオン性のものであるが、カチオン性のものとしてはアルミナ水和物や、特殊な処理を施されたシリカやチタニア等がある。
【0035】
インク吸収性や解像性などの画像適性の観点から好ましい顔料としては、シリカ、アルミナ水和物である。シリカとしては、天然シリカ、合成シリカ、非晶質シリカなどや化学修飾されたシリカ系化合物を用いることができる。
【0036】
アルミナ水和物は前述したようにカチオン性であり、正電荷を持っているためインク中の染料の定着が良く、高光沢、発色の良い画像が得られ、また、他顔料を用いたインク受容層に比べ、低ヘイズで透明性も高くなり、インク受容層に用いる顔料としてはより好ましい。
【0037】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、下記一般式により表されるものである。
【0038】
Al2O3−n(OH)2n・mH2O
【0039】
式中、nは0、1、2または3の整数の内のいずれかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の値を表す。mH2Oは多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、この種のアルミナ水和物をか焼するとmは0の値に達することがありうる。
【0040】
本発明の実施に好適なアルミナ水和物としては、X線回折法による分析で非晶質のアルミナ水和物であり、特に、特願平5−125437号、同5−125438号、同5−125439号、同6−114571号に記載のアルミナ水和物を用いるのが好ましい。
【0041】
前記アルミナ水和物は、製造過程において細孔物性の調整がなされるが、前記インク受容層のBET比表面積、細孔容積を満たすためには、細孔容積が0.1〜1.0ml/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましい。アルミナ水和物の細孔容積が上記範囲外ではインク受容層の細孔容積を前記規定範囲内にすることが困難になる。
【0042】
BET比表面積については、40〜500m2/gであるアルミナ水和物を用いることが好ましい。アルミナ水和物のBET比表面積が、上記範囲外では、インク受容層の比表面積を前記規定範囲にすることが困難になる。
【0043】
上記顔料と組み合わせて使用するバインダーとしては、水溶性、水分散性、アルコール等の溶剤分散性の高分子物質が好ましい。例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉またはその変性体(酸化、エーテル化)、ゼラチンまたはその変性体、カゼインまたはその変性体、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体、アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。これらのバインダーは通常アニオン性もしくはノニオン性のものが多いが、必要な場合、これらの中でカチオン性のものを選択して用いるとよい。これらのバインダーは、単独であるいは複数種混合して用いることができる。
【0044】
多孔質無機顔料層のBET比表面積、細孔容積が前記の範囲を満たす限りにおいては、前記顔料とバインダーの混合比は重量比で1:1〜30:1、好ましくは5:1〜20:1の間で任意に選択できる。バインダーの量が上記範囲よりも少ない場合はインク受容層の機械的強度が不足して、クラックや粉落ちが発生し、上記範囲よりも多い場合は細孔容積が少なくなってインクの吸収が悪くなる。
【0045】
また無機顔料粒子としては、多孔質粒子状のものが好適であり、その粒径としては、20〜500nmのものが好ましい。例えば、この範囲よりも小さな粒径のものを用いた場合、クラックが発生し易くなる場合があり、また、この範囲よりも大きな粒径のものを用いた場合には光の散乱により、ヘイズが高くなり画像が全体に白っぽくなる場合がある。
【0046】
上記無機顔料粒子とバインダーを用いて塗工液が得られ、これを基材上に塗膜形成することにより、多孔質無機顔料層を形成することができる。
【0047】
塗工液には、更に、本発明の目的を損なわない範囲で、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡剤、剥離剤、防ばい剤などを添加することができる。
【0048】
塗工液の基材上への塗工は、例えば、ブレードコート方式、エアナイフコート方式、ロールコート方式、フラッシュコート方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、エクストルージョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式、スプレー方式等を用いた方法により行うことができる。
【0049】
塗工液の基材上への塗工量は所望とする用途などに応じて、適宜選択すればよい。すわなち、薄すぎるとインクを十分に吸収できず、上層の表面反射低減層への滲みを生じてしまうため好ましくない。逆に厚すぎると多孔質無機粒子層の強度が低下したり、塗工及び乾燥時に塗膜欠陥を生じるため、部分的に十分なインク吸収量が確保できない部分が生じる。また、透明性が減少して記録物の透明性や画像の鮮明度が損なわれるおそれがあり、好ましくない。そのため、吸収量の確保と全体的な膜としての強度を保つために多孔質無機顔料層の好ましい厚さは5〜50μmである。
【0050】
基材上に設けられた塗工層上に、必要に応じた加熱による乾燥処理を行うことで多孔質無機顔料層が得られる。乾燥処理により、水性媒体(分散媒)が蒸発するとともに、アルミナ水和物粒子とバインダーの架橋または融着による結合により造膜が起きる。乾燥処理の条件は用いる塗工液の組成に応じて適宜決定できる。乾燥は一般に用いられる熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉などが単独でまたは組合せで行われる。乾燥の度合としては完全に溶媒分を乾燥させることが望ましいが、上層を形成時の乾燥を考慮して半乾燥状態にして、上層の乾燥時に乾燥を完了してもよい。
【0051】
(4)表面反射低減層の構成
上層である表面反射低減層103は本質的に本発明の被記録媒体の表面性を決定するものであり、その他に着弾されたインクの溶媒分の吸収、インクの色材の定着、透過などの機能を有することが望まれる。具体的には無機顔料及び高分子バインダーからなる多孔質無機顔料層がインクの吸収能が高いために好適である。
【0052】
本発明の上層に用いる無機顔料は前述したインク受容層(下層)の構成成分に用いているものが同様に使用できるが、下層のイオン性と相反するイオン性を得られるような選択が好ましい。
【0053】
すなわち、インク受容層の構成にアルミナ水和物のようなカチオン性のものを用いて下層をカチオン性の層とした場合には、上層の構成成分としてはアニオン性の無機顔料を用いることが好ましい。
また、インク受容層の構成に通常のシリカ等のアニオン性のものを用いて下層をアニオン性の層とした場合には、上層の構成成分としてはカチオン性の無機顔料を用いることが好ましい。
【0054】
上層に用いる無機顔料粒子としては、球形またはそれに近い形状のものが好適であり、その粒径としては、5〜120nmのものが好ましい。例えば、この範囲よりも小さな粒径のものを用いた場合、インクの吸収性が低下したり、クラックが発生し易くなる場合があり、また、この範囲よりも大きな粒径のものを用いた場合には光の散乱により、ヘイズが高くなり画像が全体に白っぽくなる場合がある。より好ましくは10〜100nmの範囲であり、粒子径が小さいものを用いた場合は形成される膜のヘイズが小さくなり透明性が高まり、膜の硬さも固くなる傾向にある。一方、粒子径が大きいものを用いた場合にはインクの吸収性が高まり、膜が適度なヘイズをもち表面の光沢を低減する効果を持つことができる。また、これらの球形の粒子を予め結合させて鎖状としたものを使用可能である。更に、粒子径の異なる2種以上の無機顔料粒子をインク吸収と膜全体の透明性やヘイズ、更には膜の硬さを調整するために混合して用いることも可能である。
【0055】
また、用いる高分子バインダーに関しても、イオン性の選択が重要であり、それぞれの層を構成する無機顔料のイオン性と同じイオン性のものかノニオン性のものを用いる。これは、各層の塗工液製造時に無機顔料と高分子バインダーがイオン性の違いにより反発し、ゲル化が発生してしまい、塗工時に均一な膜が形成できなくなるためである。ここでのゲル化は本発明のゲル化とは異なり、塗工液の調整時に粘度の急激な上昇などが生じ塗工性が損なわれてしまうことを示す。このように、本発明の目的における上層と下層のイオン性の違いを発現するために、用いる高分子バインダーは無機顔料と同じイオン性のものを用いてイオン性を合わせるか、ノニオン性のものを用いて無機顔料のイオン性をそのまま発現させる。
【0056】
また、高分子バインダーとしては、水溶性、水分散性、アルコール等への分散性のものなどが好ましい。前述したインク受容層の構成成分に用いているものが同様に使用できるが、イオン性を調整するためには電荷をもったエマルジョン系の分散タイプのバインダーが好適である。更に、下層に多孔質無機顔料層などの細孔の多い層の上に当該上層を塗工形成する場合には水系の塗工液を塗布する際、水の細孔への浸透が遅いために、塗膜が乾燥中に細孔からの気泡が上層の塗膜中に浮き上がり塗膜欠陥が生じてしまう。予め、湿し水と一般に呼ばれる方法により、水で細孔を埋めることにより気泡の発生を防ぐことができるが、工程の複雑化、液の固形分の調整などから適切とは言えない。そこで、アルコール等の溶剤を塗工液中に含有させることにより塗工液の細孔への溶媒の浸透が早いために気泡の発生が抑えられ塗膜欠陥を低減できる。そのため、アルコール等の溶剤分散タイプのバインダーが好ましく、更には水及びアルコール等の溶剤に分散可能なバインダーが望ましい。具体的には酢ビエマルジョン、エチレン−酢ビエマルジョン、エチレン−酢ビ共重合系エマルジョン、酢ビ−アクリル共重合系エマルジョン、アクリル−スチレンエマルジョン、アクリルエマルジョン、塩化ビニリデン系エマルジョン、ウレタンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン等の合成樹脂エマルジョン、SBRラテックス、MBRラテックス等の合成ゴムラテックスを挙げることができる。
【0057】
これ等の高分子バインダーは通常アニオン性もしくはノニオン性のものが多いが、必要な場合、これ等の中でカチオン性のものを選択して用いるとよい。更に、上述したゲル状突起を得て、かつインク受容能を損なわない表面反射低減層を得るためには、上記バインダーの分子量は5000〜15000の範囲の選択が好ましい。上記範囲以下では突起が十分に形成されず、上記範囲以上では表面反射低減層に十分な細孔が形成されない。また、ガラス転移温度は50〜120℃の範囲が好ましい。上記範囲以下では、形成された膜の白化が生じたり、白もやが生じて透明性が低減し、上記範囲以上では膜の柔軟性が損なわれることがある。更に、バインダーをエマルジョンとして用いる場合には、平均粒子径が10〜500nmのものを用いることにより、塗工液の分散性が高まり、インク透過性および透明性の良好な表面反射低減層が得られる。
【0058】
本発明の上層となる表面反射低減層の形成は上記した無機顔料と高分子バインダーの組合せからなるが、その比としては固形分比で95:5〜5:95の範囲でそれぞれ、無機顔料の種類、及び高分子バインダーの種類によって適宜選択可能である。
【0059】
上記無機顔料は塗工液調整時に上記高分子バインダーを添加撹拌して調製する際に、予め溶媒に分散させたものが分散性が良好であることから望ましく、アルミナゾルやコロイダルアルミナ、コロイダルシリカ等が好適である。
【0060】
上記無機顔料粒子と高分子バインダーを用いて塗工液が得られ、塗工液のインク受容層への塗工量は所望とする用途などに応じて、適宜選択すればよい。
【0061】
すなわち、薄すぎると表面反射低減層としての表面形状を形成できないため好ましくない。逆に厚すぎると塗工及び乾燥時に塗膜欠陥を生じるため、また、ヘイズが高くなり、透明性が減少して記録物の透明性や画像の鮮明度が損なわれるおそれがあり、好ましくない。そのため、十分な表面反射の低減と全体的な膜としての均一性を保つために表面反射低減層の好ましい厚さは0.1〜10μmである。また、表面反射低減層を塗布形成する際、適切な膜厚を得るため、更には均一な塗膜を得るために、固形分及び粘度の調整が必要である。この調整は溶媒の添加量や種類の選択等によって行う。固形分としては上述したような適切な膜厚を均一に得るために、3〜30重量%が適切である。粘度は用いる塗工機の特的性等に応じて調整する必要があるが、具体的には1〜100cpsの範囲で行う。用いる溶媒としては、水が無機顔料や高分子バインダーの良分散媒であることから適切であるが、前述したように下層として多孔質無機顔料層などの細孔の多いものの上に上層を塗工形成する際、水の細孔への浸透が遅いために、塗膜が乾燥中に細孔からの気泡が上層の塗膜中に浮き上がり塗膜欠陥が生じてしまうため、アルコール等の浸透の速い溶媒を単独でもしくは水との混合で用いることが望ましい。具体的にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等、比較的低級アルコールが浸透性が早く、揮発性も高いことから好適である。
【0062】
塗工液には、更に、本発明の目的を損なわない範囲で、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、界面活性剤、消泡剤、耐水化剤、抑泡剤、剥離剤、防ばい剤などを添加することができる。
【0063】
塗工液のインク受容層への塗工は、例えば、ブレードコート方式、エアナイフコート方式、ロールコート方式、フラッシュコート方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、エクストルージョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式、スプレー方式等を用いた方法により行うことができる。
【0064】
また、インク受容層上に設けられた塗工層上に、必要に応じた加熱による乾燥処理を行うことで表面反射低減層が得られる。乾燥処理により、溶媒が蒸発するとともに、無機顔料と高分子バインダーの融着または架橋による結合により造膜が起きる。乾燥処理の条件は用いる塗工液の組成に応じて適宜決定できる。乾燥は一般に用いられる熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉などが単独でまたは組合せで行われる。
【0065】
(5)記録方法
本発明の記録方法において、特にインクジェット方式を用いた記録方法が好適であるが、インクすなわち色素を用いて記録する他の記録方式にも好適である。具体的には本発明で用いられる好適なインクは、画像を形成するための色素と該色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分とし、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、防カビ剤、記録剤の溶解(あるいは分散)安定化剤を添加し調製される。インクに使用する記録剤としては直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料、各種顔料が挙げられるが、従来公知のものは、特に制限なく使用することができる。このような色素の含有量は、液溶媒成分の種類、インクに要求される特性等に依存して決定されるが、0.1〜20重量%を占める割合が好適である。
【0066】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0067】
尚、文中で%と記載しているものは重量基準である。
【0068】
(実施例1)
基材101には透明性で厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製100Q80D、平均表面粗さ0.02μm)を使用し、この基材上にインク受容層102を形成するために、下記の方法で塗工液を作製した。ここでインク受容層102はアルミナ水和物を用いたカチオン性の多孔質無機顔料層とした。
【0069】
まず、アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを作り、このアルミナスラリーをアルミナ水和物固形分が7.9%になるまで水を加えた。次に3.9%の硝酸水溶液を加えてpH調整した後、熟成工程を経て、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを75℃でスプレー乾燥してアルミナ水和物を得た。アルミナ水和物はイオン交換水に分散して15%の溶液とした。次にポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセノールNH18)(ノニオン性)をイオン交換水に溶解して、分散して10%の溶液を得た。上記アルミナ水和物とポリビニルアルコール溶液を重量混合比で10:1になるようにして混ぜ合わせて撹拌して塗工液を得た。
【0070】
この塗工液を不図示のコート機および熱風乾燥炉を用いてダイコート後、乾燥し(乾燥温度140℃)、厚さ35μmの多孔質無機顔料層であるインク受容層102を形成した。
【0071】
次に、表面反射低減層103を形成するために下記の方法で塗工液を作製した。ここで表面反射低減層103は無機顔料にコロイダルシリカ、高分子バインダーにアニオン性ポリエステルエマルジョンを用いたアニオン性の多孔質無機顔料層とした。
【0072】
まず、アニオン性のコロイダルシリカ(球形、粒子径40〜50nm)を100部、次に、アニオン性のポリエステルエマルジョン(分子量10000、ガラス転移温度70℃、平均粒子径51nm)を10部を加え、溶媒としてメタノール200部を加えて固形分を8.0%として撹拌・分散して塗工液を調製した。この塗工液を不図示のコート液及び熱風乾燥炉を用いてダイコート後、乾燥し(乾燥温度120℃)、厚さ3μmの表面反射低減層を形成して被記録媒体100を得た。このとき表面反射低減層の表面を不図示の光学顕微鏡にて観察したところ表面にゲル状突起が配列し、その分布率は45%であり、不図示のレーザー顕微鏡にてその突起の高さを計測したところ、平均で0.10μmであった。
【0073】
表面を電子顕微鏡で観察した結果を図2に示した。
また、この被記録媒体100を用いて以下の評価を行った。評価結果を表1に示した。ここで、評価判定は全ての項目で×の評価結果がない場合に合格の判定とした。尚、ここでは印字による画像やパターンの形成にはインクジェットプリンター(キヤノン製BJC−4301)を用いた。
【0074】
(評価)
(1)表面反射
被記録媒体の未印字部と100mm×100mmの範囲で黒インクでベタパターンを形成しパターン部の表面反射の度合いを測るために、日本電色工業製(VGS−300A)を用いて60度鏡面光沢を測定した。
60度鏡面光沢30〜60で○、25〜20及び60〜75で△、25未満及び75以上で×とした。
【0075】
(2)耐指紋性
被記録媒体を素手により指触試験(両親指を被記録媒体の表面に接触するように10秒間保持)をおこない表面への指紋跡の有無を確認した。
指紋跡が確認されない○、指紋が確認される×
(3)印字・画像評価
ブラック、及びカラーの画像を印字し、それぞれインクの滲み、ビーディングの有無がないか確認した。
優れた画像○、若干の滲みやビーディング確認される△、滲み、ビーディング多い×
(4)ハンドリング
被記録媒体の100枚の束から1枚を抜き取る際に貼りつきの度合いを確認した。
全く問題ない○、やや貼りつきがあり扱いにくい△、貼りつきがひどい×
(5)ヘイズ
日本電色工業製「NDH−300A」を用いて測定した。
ヘイズ10未満○、ヘイズ10以上×
(6)耐擦傷性
JIS K5400に準じた鉛筆硬度試験により表面硬さを測定した。
硬度H以上○、硬度F、HB、B△、硬度2B以下×。
【0076】
(比較例1)
実施例1において、上層の表面反射低減層を設けない以外は全て同様にして被記録媒体を得た。このとき、表面を不図示の光学顕微鏡にて観察したところ表面には特に突起状の配列は観察されなかった。この被記録媒体に実施例1と同様にインクジェットプリンターで印字を行い、更に同様の(1)〜(6)の評価を行った。
【0077】
(比較例2)
実施例1において、上層に下層と同じイオン性のカチオン性の層とするために、無機顔料としてカチオン性のアルミナゾル(川研ファインケミカル(株)社製、アルミナゾル−CSA55)を用いて塗工分散液を用いた以外は同様にして被記録媒体を得た。このとき、表面を不図示の光学顕微鏡にて観察したところ表面には特に突起状の配列は観察されなかった。この被記録媒体に実施例1と同様にインクジェットプリンターで印字を行い、更に同様の(1)〜(6)の評価を行った。
【0078】
(比較例3)
実施例1において、上層の塗工液に高分子バインダーとしてポリエステルエマルジョン樹脂を含まないこと以外は実施例1と同様にして被記録媒体を得た。このとき、表面を不図示の光学顕微鏡にて観察したところ表面には特に突起状の配列は観察されなかった。この被記録媒体に実施例1と同様にインクジェットプリンターで印字を行い、更に同様の(1)〜(6)の評価を行った。
【0079】
(比較例4)
比較例2において、上層を形成後、更にエンボスロールを用いて加圧することにより、表面に凹凸を形成した。表面の凹凸の高低差は0.4μmであった。この被記録媒体に実施例1と同様のインクジェットプリンターで印字を行い、更に同様の(1)〜(6)の評価を行った。
【0080】
(実施例2)
実施例1において、上層の高分子バインダーをアニオン性ウレタン樹脂エマルジョン(分子量7000、ガラス転移温度50℃、平均粒子径100nm)とした以外は全て同様にして被記録媒体を得た。このとき表面反射低減層の表面を不図示の光学顕微鏡にて観察したところ表面にゲル状突起が配列し、その分布率は55%であり、不図示のレーザー顕微鏡にてその突起の高さを計測したところ、平均で0.15μmであった。この被記録媒体に実施例1と同様にインクジェットプリンターで印字を行い、更に同様の(1)〜(6)の評価を行った。
【0081】
(実施例3)
実施例1と同様の基材上に下層としてアニオン性のインク受容層を形成し、次に上層にカチオン性の表面層を形成した。まず、アニオン性のコロイダルシリカ(球形、粒子径40〜50nm)とポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)社製、ゴーセノールNH18)をイオン交換水に溶解して、分散して10%の溶液を得た。上記コロイダルシリカとポリビニルアルコール溶液を重量混合比で10:1になるようにして混ぜ合わせて撹拌して塗工液を得た。この塗工液を不図示のコート機および熱風乾燥炉を用いてダイコート後、乾燥し(乾燥温度140℃)、厚さ30μmの多孔質無機顔料層であるインク受容層102を形成した。
【0082】
次に、実施例1で用いた上層の塗工液の無機顔料をカチオン性のアルミナゾル(川研ファインケミカル(株)社製、アルミナゾル−CSA55)にかえ、バインダーをカチオン性のウレタン樹脂エマルジョン(分子量9000、ガラス転移温度52℃、平均粒子径90nm)とした以外は全て同様にして被記録媒体を得た。このとき表面反射低減層の表面を不図示の光学顕微鏡にて観察したところ、表面にゲル状突起が配列し、その分布率は35%であり、不図示のレーザー顕微鏡にてその突起の高さを計測したところ、平均で0.10μmであった。この被記録媒体に実施例1と同様にインクジェットプリンターで印字を行い、更に同様の(1)〜(6)の評価を行った。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【発明の効果】
上述したように、本発明により基材上に少なくとも一層以上の無機顔料及び高分子バインダーからなるインク受理層及び、無機顔料及び高分子バインダーからなる表面反射低減層を順次積層してなり、前記光沢低減層が表面上にゲル状突起を散在させることにより、表面の反射を微妙に低減させることができる。しかも印字した後も表面反射が少ないため、記録物に関しても反射の調整されたものが得られる。また、同時にハンドリング性が良好で、指紋跡や傷がつきにくく、低ヘイズで印字・画像特性の優れた被記録媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の被記録媒体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の被記録媒体の表面を観察した電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
100 被記録媒体
101 基材
102 インク受容層
103 表面反射低減層
Claims (16)
- 表面粗さがJISB0601における表面の中心線平均粗さで0.20μm以下の基材上に、少なくとも一層以上の無機顔料及び高分子バインダーを含むインク受容層及び、
前記インク受容層上に、前記インク受容層のイオン性と相反するイオン性を有し、イオン性無機顔料、イオン性高分子バインダー及び低級アルコールを含む塗工液を、塗工して形成された表面反射低減層を、有し、
前記表面反射低減層は、前記イオン性高分子バインダーのゲル化により形成されたゲル状突起を表面に分散してなることを特徴とする被記録媒体。 - 前記ゲル状突起の平均高さが0.05〜1.0μm且つ、分布率が10〜70%であることを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体。
- 前記表面反射低減層の厚みが0.1μm〜10μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の被記録媒体。
- 前記被記録媒体の60度鏡面光沢度が30〜60%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の被記録媒体。
- 前記インク受容層のイオン性がカチオン性で且つ、前記表面反射低減層のイオン性がアニオン性であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の被記録媒体。
- 前記インク受容層の無機顔料がカチオン性無機顔料であって、前記イオン性無機顔料がアニオン性無機顔料であり、かつ、前記イオン性高分子バインダーがアルコール分散可能なアニオン性高分子バインダーであることを特徴とする請求項5に記載の被記録媒体。
- 前記イオン性高分子バインダーが、アニオン性のポリエステルエマルジョン又はアニオン性のウレタン樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項6に記載の被記録媒体。
- 前記インク受容層のイオン性がアニオン性で且つ、前記表面反射低減層のイオン性がカチオン性であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の被記録媒体。
- 前記インク受容層の無機顔料がアニオン性無機顔料であって、前記イオン性無機顔料がカチオン性無機顔料であり、かつ、前記イオン性高分子バインダーがアルコール分散可能なカチオン性高分子バインダーであることを特徴とする請求項8に記載の被記録媒体。
- 前記イオン性高分子バインダーが、カチオン性のウレタン樹脂エマルジョンであることを特徴とする請求項9に記載の被記録媒体。
- 前記イオン性高分子バインダーの分子量が4000〜15000の範囲にあることを特徴とする請求項6または9に記載の被記録媒体。
- 前記イオン性高分子バインダーのガラス転移温度が50〜120℃の範囲にあることを特徴とする請求項6または9に記載の被記録媒体。
- 前記イオン性高分子バインダーの平均粒子径が10〜500nmの範囲にあることを特徴とする請求項6または9に記載の被記録媒体。
- 表面粗さがJISB0601における表面の中心線平均粗さで0.20μm以下の基材上に、無機顔料及び高分子バインダーを含む第1塗工液を塗工して少なくとも一層以上のインク受容層を形成後、
前記インク受容層上に、前記インク受容層のイオン性と相反するイオン性を有し、イオン性無機顔料、イオン性高分子バインダーおよび低級アルコールを含む第2塗工液を、塗工して、表面に、前記イオン性高分子バインダーのゲル化により形成されたゲル状突起が分散された表面反射低減層を形成することを特徴とする被記録媒体の製造方法。 - 第1塗工液中の無機顔料がカチオン性無機顔料であって、第2塗工液中のイオン性無機顔料がアニオン性無機顔料であり、かつ、第2塗工液中のイオン性高分子バインダーがアルコール分散可能なアニオン性高分子バインダーであることを特徴とする請求項14に記載の被記録媒体の製造方法。
- 第1塗工液中の無機顔料がアニオン性無機顔料であって、第2塗工液中のイオン性無機顔料がカチオン性無機顔料であり、かつ、第2塗工液中のイオン性高分子バインダーがアルコール分散可能なカチオン性高分子バインダーであることを特徴とする請求項14に記載の被記録媒体の製造方法。
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