JP4794830B2 - インクジェット記録用インク・記録方法及び記録装置 - Google Patents
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Description
また、印字品質の高画質化及び高速印字を達成するために、最近ではインクを小滴化する傾向にあり、そのためにノズル径も小径化される方向にある。
従って着色剤として顔料を使用し、かつノズル径の小径化されたプリンタでの吐出安定性を確保することはかなり難しく、インクの他の特性と両立させる試みがこれまで多々なされているが、充分な対応はなされていないのが現状である。
全インク重量に対する水分蒸発量が30%よりも低いところで増粘するインクは吐出安定性が悪く、また45%を超えるところで増粘するインクは、インクが紙に着弾した時点での粘度が低いため、滲みを生じやすい。また急激に増粘する点においても平均粒径の変化を小さく押さえられるようにインクを設計することで、短期および長期の信頼性が確保される。
(ここでいう平均粒径とは、体積累積パーセント50%の値をさす。体積累積パーセント50%の値を測定するには、例えば、インク中のブラウン運動を行なっている粒子にレーザー光を照射し、粒子から戻ってくる光(後方散乱光)の振動数(光の周波数)の変化量から粒子径を求める動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)といわれる方法を用いることができる。)
例えば、前記「30〜45%の水分蒸発で急激に増粘」するように処方する方策の一例を説明すると、水に比し沸点も粘度もかなり高い湿潤剤と、沸点も粘度もある程度高い湿潤剤とを適正量ずつ使い分け、水とこれら湿潤剤を配合することが有用(無論、これは本発明の理解を助けるための単なる一例であってこれに限る訳ではない)であるが、これだけでなく、液相での配位性や水素結合性、平衡水分量が高いものを用いることが効果的であり、また、着色剤の添加量や各分散媒成分との親和性、界面活性剤や浸透剤添加の影響等を考慮することも望ましい。したがって、湿潤剤としては、従来から多用されているエチレングリコールのような低級グリコールや低級アルコール等を、沸点も粘度も極めて高い他の湿潤剤と併用することなく、湿潤剤全体の80%以上用いることは好ましくない場合がある。
着色剤については、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調調整の目的で同時に染料を耐候性を劣化させない範囲内で含有しても構わない。
顔料としては無機顔料・有機顔料を問わず、また自己分散型でも、界面活性剤及びまたは高分子分散剤により分散されたものでも、またエマルジョンタイプのものでも、また自己分散型の顔料を樹脂被覆して分散させたものでもよい。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
例えば、酸性染料及び食用染料として
C.I.アシッド・イエロー17、23、42、44、79、142
C.I.アシッド・レッド1、8、13、14、18、26、27、35、37、42、52、82、87、89、92、97、106、111、114、115、134、186、249、254、289
C.I.アシッド・ブルー9、29、45、92、249
C.I.アシッド・ブラック1、2、7、24、26、94
C.I.フード・イエロー2、3、4
C.I.フード・レッド7、9、14
C.I.フード・ブラック1、2
直接性染料として
C.I.ダイレクト・イエロー1、12、24、26、33、44、50、120、132、142、144、86
C.I.ダイレクト・レッド1、4、9、13、17、20、28、31、39、80、81、83、89、225、227
C.I.ダイレクト・オレンジ26、29、62、102
C.I.ダイレクト・ブルー1、2、6、15、22、25、71、76、79、86、87、90、98、163、165、199、202
C.I.ダイレクト・ブラック19、22、32、38、51、56、71、74、75、77、154、168、171
塩基性染料として
C.I.ベーシック・イエロー1、2、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、40、41、45、49、51、53、63、465、67、70、73、77、87、91
C.I.ベーシック・レッド2、12、13、14、15、18、22、23、24、27、29、35、36、38、39、46、49、51、52、54、59、68、69、70、73、78、82、102、104、109、112
C.I.ベーシック・ブルー1、3、5、7、9、21、22、26、35、41、45、47、54、62、65、66、67、69、75、77、78、89、92、93、105、117、120、122、124、129、137、141、147、155
C.I.ベーシック・ブラック2、8
反応性染料として
C.I.リアクティブ・ブラック3、4、7、11、12、17
C.I.リアクテイブ・イエロー1、5、11、13、14、20、21、22、25、40、47、51、55、65、67
C.I.リアクティブ・レッド1、14、17、25、26、32、37、44、46、55、60、66、74、79、96、97
C.I.リアクティブ・ブルー1、2、7、14、15、23、32、35、38、41、63、80、95
等が使用できる。これらのなかで特に好ましいのは、酸性染料及び直接性染料である。
そのような多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられるが、特にグリセリンは、水分蒸発に伴い粘度が急激に上昇するが、着色剤の凝集を押さえ、粒径が大きくなるのを防ぐ効果が高いため、湿潤剤全体の20%以上添加することが重要である。また平衡水分量等の面からも、グリセリンは好ましい。
このような界面活性剤としては特に限定はなく、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能であるが、色材の分散安定性と画像品質との関係から、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリエキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド添加物等のノニオン系の界面活性剤が望ましく用いられる。また、処方によってはフッ素系の界面活性剤やシリコーン系の界面活性剤を併用(もしくは単独使用)することも可能である。中でも特に望ましいのが、下記一般式(1)で示されるノニオン系界面活性剤である。
画質の面から、Rは好ましくは炭素数10以上のアルキル基であり、またmは7〜9の範囲が好ましい。
インク組成物中でのこれら界面活性剤の添加量は0.01重量%〜5.0重量%であり、好ましくは0.5重量%〜3重量%である。0.01重量%未満では添加した効果はなく、5.0重量%より多い添加では記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けの発生といった問題が発生する。
一般式(1)の具体例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが、具体例として挙げられる。
これらのなかで最も望ましいものは2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及びまたは2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
実施例1インク
ブラックインク:
KM−9036(東洋インキ、自己分散型顔料) 50重量%
グリセリン 10重量%
1,3−ブタンジオール 15重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
2−ピロリドン 2重量%
界面活性剤(1−9) 1重量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例1インクを得た。
ポリマー溶液Aの調整
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
ポリマー溶液A28gとC.I.ピグメントイエロー97を26g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水13.6gを充分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、イエローポリマー微粒子の水分散体を得た。
イエローポリマー微粒子分散体 40重量%
グリセリン 8重量%
1,3−ブタンジオール 20重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量%
界面活性剤(1−8) 1.5重量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例2インクを得た。
顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調整
顔料種をC.I.ピグメントレッド122に変えた他は同様にして、マゼンタポリマー微粒子の水分散体を得た。
マゼンタインク:
マゼンタポリマー微粒子の分散体 50重量%
グリセリン 10重量%
1,3−ブタンジオール 18重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量%
界面活性剤(1−8) 1.5重量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例3インクを得た。
顔料含有ポリマー微粒子水分散体の調整
顔料種をC.I.ピグメントブルー15:3に変えた他は同様にして、シアンポリマー微粒子の水分散体を得た。
シアンインク:
シアンポリマー微粒子分散体 40重量%
グリセリン 8重量%
1,3−ブタンジオール 20重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量%
界面活性剤(1−8) 1.5重量%
シリコーン消泡剤KS508(信越化学社製) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例4インクを得た。
A社市販品のイエローインクカートリッジから抜き取ったインクを比較例1インクとした。
A社市販品のマゼンタインクカートリッジから抜き取ったインクを比較例2インクとした。
A社市販品のシアンインクカートリッジから抜き取ったインクを比較例3インクとした。
A社市販品のブラックインクカートリッジから抜き取ったインクを比較例4インクとした。
評価(1):水分蒸発に伴う粘度上昇率及び粒径変化の測定
実施例インク及び比較例インク一定量を50℃10%の環境中に放置し、一定時間放置後のインク重量変化を測定し、またその時点でのインクの粘度(25℃)及び粒径を測定した。粘度の測定には東機産業(株)社製の粘度計RL−500を、粒径の測定にはマイクロトラック社製の粒度分布測定器UPA150を使用し、希釈倍率500倍で測定した。
水分蒸発量%とインクの粘度の関係(25℃)を図1に、水分蒸発量%とインクの平均粒径の関係を図2に示す。
平均粒径に関しては実施例インクは増粘する点においても、初期の5倍以下の平均粒径を維持しており、これは比較例インクと同じである。
実施例インクについては後述する記録装置を用い、また比較例インクについては市販品Aに適したプリンタを用い、カラー画像を印字速度が同じレベルのモードで印字した。印字した画像の文字滲み、及び色境界滲みについて目視で評価を行なった。評価用紙は普通紙を使用した。
評価は、滲みがないを◎、滲みがほとんどないを○、滲みが若干あるを△、滲みが明確を×とした。
実施例1インクセットからを界面活性剤及び浸透剤を抜いたほかは同様にして、比較例5インクセットを作製した。
実施例1インクセットから浸透剤を抜いたほかは同様にして、比較例6インクセットを作製した。
実施例1インクセットから界面活性剤を抜いたほかは同様にして、比較例7インクセットを作製した。
比較例インクセット6、7のBKインクと実施例1インク(BK)の動的表面張力の比較を行なったところ、以下のような結果となった(図3参照)。動的表面張力はクルス社製の動的表面張力測定装置BP−2を使用し、25℃で測定を行なった。浸透剤を添加していないインクでは、10〜100msecでの動的な表面張力が下がらず、また活性剤を添加していないインクでは、1000msec付近の静的な表面張力が下がらないことがわかる。
実施例4インクにおいて、グリセリン量を5重量%、1,3−ブタンジオール量を23重量%に変えたほかは同様にして、参考例1インクを作製した。
実施例4インクにおいて、グリセリン量を23重量%、1,3−ブタンジオール量を5重量%に変えたほかは同様にして、参考例2インクを作製した。
実施例2インクにおいて、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを0.5%添加したほかは、同様にして、実施例5インクを作製した。
実施例4インクにおいて、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを0.5%添加したほかは、同様にして、実施例6インクを作製した。
評価(3):間欠印字試験
評価機として、リコー社製IJプリンタIPSiO Jet 300(ノズル径31μm)を使用し、一定時間吐出を行なわない状態でキャリッジをスキャン(空スキャン)を30秒させた後に、IJ用光沢フィルム上に全ノズル各20滴印字し、その後回復動作(パージ50滴)を行なう評価を10回繰り返した。
評価は20滴の印字中の特に第1滴目のドットのドット噴射方向について拡大写真をとり、目視で判断した。判断基準は以下に示す通りとした。
◎:噴射方向乱れがなく、またドットサイズも正常で1列に並んでいる
○:噴射方向乱れはなく、ドットもほぼ1列に並んでいるが、ドットサイズが若干小さい
△:若干噴射方向が乱れているが、乱れが第2発目の列に及んでいない
×:第1発目のドットが第2発目のドットのラインを超えている
××:吐出していない
湿潤剤中のグリセリンの量が20%未満だと、信頼性が悪くなり、また80%を越えると文字滲みが発生する。また2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールを添加することにより、更に吐出安定性が向上している。
まず下記に示す方法で顔料分散液を作製した。
イエロー顔料分散液
C.I.ピグメントイエロー97 30重量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム 15重量%
エチレングリコール 30重量%
純水 残量
上記成分を混合した後、湿式サンドミルにて分散を行ない、遠心処理にかけて粗大粒子を取り除き、イエロー顔料分散液を得た。
イエロー顔料分散液 20重量%
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
界面活性剤(1−7) 2重量%
シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例7インクを得た。
まず下記に示す方法で顔料分散液を作製した。
マゼンタ顔料分散液
C.I.ピグメントレッド122 30重量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム 15重量%
グリセリン 30重量%
純水 残量
上記成分を混合した後、3本ロールミルにて分散を行ない、遠心処理にかけて粗大粒子を取り除き、マゼンタ顔料分散液を得た。
マゼンタ顔料分散液 25重量%
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
界面活性剤(1−7) 1重量%
シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例8インクを得た。
まず下記に示す方法で顔料分散液を作製した。
シアン顔料分散液
C.I.ピグメントブルー15:3 30重量%
ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウム 15重量%
エチレングリコール 30重量%
純水 残量
上記成分を混合した後、湿式サンドミルにて分散を行ない、遠心処理にかけて粗大粒子を取り除き、シアン顔料分散液を得た。
シアン顔料分散液 15重量%
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2重量%
界面活性剤(1−7) 1重量%
シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例9インクを得た。
まず下記に示す方法で顔料分散液を作製した。
自己分散シアン顔料分散液
C.I.ピグメントブルー15:3を20部に対しスルホラン70部を仕込み、オイルバス中で120℃にした後、スルファミン酸10部を加えて5時間スルホン化を行なった。その後冷却し、遠心分離を行なって粗大粒子を取り除き、自己分散シアン顔料分散液を得た。
自己分散型シアン顔料分散体 50重量%
グリセリン 5重量%
ジエチレングリコール 15重量%
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール 2重量%
界面活性剤(1−7) 1重量%
シリコーン消泡剤KS531(信越化学) 0.1重量%
イオン交換水 残量
上記処方のインク組成物を作製し、室温にて充分に攪拌した後、平均孔径1.2μmのメンブレンフィルターにて濾過を行ない、実施例10インクを得た。
上記実施例7〜8インクについて、評価(1)を行なったところ、いずれも水分蒸発30〜45wt%の間に増粘する点があり、またその点での平均粒径は初期の5倍以内であった。
実施例1、7〜9のインクを実施例2インクセットとた。
実施例1、7、8、10のインクを実施例3インクセットとした。
上記実施例2、3インクセットについて、評価(2)を行なったところ、以下の結果となった。
実施例1インクにおいて、1,3−ブタンジオールを3−メチル−1,3−ブタンジオールに変えたほかは、同様にして、実施例11インクを作製した。
実施例2インクにおいて使用したC.I.ピグメントイエロー97を、C.I.ピグメントイエロー74に変更した顔料含有ポリマー微粒子水分散体を使用し、また1,3−ブタンジオールを3−メチル−1,3−ブタンジオールに変えたほかは、同様にして、実施例12インクを作製した。
実施例3インクにおいて、1,3−ブタンジオールを3−メチル−1,3−ブタンジオールに変えたほかは、同様にして、実施例13インクを作製した。
実施例4インクにおいて、1,3−ブタンジオールを3−メチル−1,3−ブタンジオールに変えたほかは、同様にして、実施例14インクを作製した。
上記実施例11〜14インクについて、評価(1)を行なったところ、いずれもインク全重量に対する水分蒸発量が30〜45wt%の間に増粘する点があり、またその点での平均粒径は初期の5倍以内であった。
実施例11〜14のインクを実施例4インクセットとした。
上記実施例4インクセットについて、評価(2)を行なったところ、以下の結果となった。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含む。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
前記インク飛翔工程は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明の記録用インクに、刺激を印加し、該記録用インクを飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、該インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmが好ましい。
記録ヘッド(134)を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを記録用インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。サブタンク(135)には、図示しない記録用インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部(105)に装填された本発明のインクカートリッジ(1’)から本発明の前記記録用インクが供給されて補充される。
このとき、帯電ローラ(156)によって搬送ベルト(157)が帯電されており、用紙(142)は、搬送ベルト(151)に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ(133)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(134)を駆動することにより、停止している用紙(142)にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙(142)を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙(142)の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙(142)を排紙トレイ(103)に排紙する。
そして、サブタンク(135)内の記録用インクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ(1’)から所要量の記録用インクがサブタンク(135)に補給される。
図10は本発明を適用したインクジェットヘッドの要素拡大図、図11は同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、図示されていないインク供給口と共通液室(1−2)となる彫り込みを形成したフレーム(1)と、流体抵抗部(2−1)、加圧液室(2−2)となる彫り込みとノズル(3−1)に連通する連通口(2−3)を形成した流路板(2)と、ノズル(3−1)を形成するノズル板と、凸部(6−1)、ダイヤフラム部(6−2)およびインク流入口(6−3)を有する振動板(6)と、振動板に接着層(7)を介して接合された積層圧電素子(5)と、積層圧電素子(5)を固定しているベース(4)を備えている。ベース(4)はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子(5)を2列配置して接合している。
積層圧電素子(5)は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層(図示せず)と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層(図示せず)とを交互に積層している。内部電極層(図示せず)は両端で外部電極(図示せず)に接続する。
積層圧電素子(5)はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部(5−6)と支持部(5−7)(非駆動部)として使用する。
外部電極(図示せず)の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極(図示せず)となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており、共通電極(5−5)となる。
駆動部の個別電極(図示せず)にはFPC(8)が半田接合されている。また、共通電極(5−5)は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC(8)のGnd電極に接合している。FPC(8)には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部(5−6)への駆動電圧印加を制御している。
この振動板(6)の島状凸部(6−1)と積層圧電素子(5)の可動部(5−6)、振動板(5)とフレーム(1)の結合は、ギャップ材を含んだ接着層(7)をパターニングして接着している。
エッチングで残された部分が加圧液室(2−2)の隔壁(2−4)となる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部(2−1)とした。
このノズルプレート(3)のインク吐出面(ノズル表面側)は、図示しない撥水性の表面処理を施した図示されていない撥水処理層を設けている。PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
図示されていないインク供給口と共通液室(1−2)となる彫り込みを形成するフレーム(1)は樹脂成形で作製している。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室(2−2)内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室(2−2)内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室(1−2)に流入し、共通液室(1−2)からインク流入口(6−3)を経て流体抵抗部(2−1)を通り、加圧液室(2−2)内に充填される。
流体抵抗部(2−1)は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
2’ インク袋
3’ インクカートリッジの筐体
11 第1筐体
12 第2筐体
13 第3筐体
25 インク供給口
82 ネジ部材
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
1 フレーム
1−2 共通液室
2 流路板
2−1 流体抵抗部
2−2 加圧液室
2−3 連通口
2−4 隔壁
3 ノズルプレート(振動板)
3−1 ノズル
4 ベース
5 積層圧電素子
5−5 共通電極
5−6 駆動部(可動部)
5−7 支持部
6 振動板
6−1 島状凸部
6−2 ダイヤフラム部
6−3 インク流入口
7 接着層
8 FPC
Claims (12)
- 水に分散する着色剤3〜15wt%、湿潤剤10〜40wt%、界面活性剤0.01〜5wt%、浸透剤0.1〜4.0wt%を含有するインクジェット記録用インクにおいて、湿潤剤として、温度20℃、相対湿度60%環境中の平衡水分量が25wt%以上である多価アルコールを少なくとも2種以上、浸透剤として、20℃の水に対する溶解度が0.2wt%以上5.0wt%未満のポリオールの少なくとも1種を含有し、さらに顔料凝集防止剤として、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオールを含有し、該インクの水分蒸発に伴う粘度上昇率(mPa・s/%)が、全インク重量に対する水分蒸発量が30wt%までは5.0以下であり、かつ、水分蒸発量が30〜45wt%の間に粘度上昇率が50を越える点を持つように構成され、更に粘度上昇率が50を越える点での、インク中の着色剤の平均粒子径が、初期平均粒子径の5倍以下であり、かつ0.8μm以下となるように処方されたことを特徴とするインク。
- 前記着色剤が、その表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合する処理がなされたことにより、分散剤なしに水に分散可能となった顔料であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- 前記着色剤が、界面活性剤及び/または高分子分散剤によって分散された顔料であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
- 前記着色剤がポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインク。
- 前記多価アルコールの一つが、グリセリンであり、かつグリセリンの含有量が、湿潤剤全体の20wt%以上80wt%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインク。
- 前記ポリオールが2−エチル−1,3−ヘキサンジオールであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- 前記ポリオールが2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のインクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のインクを使用して記録を行なうインクジェット記録方法であって、ノズル近傍での、インク全重量に対する水分蒸発量が30%を越える前に、印字または非印字領域にインクを吐出させることを特徴とする記録方法。
- ノズルより吐出される液滴の大きさが3〜40pl、液滴の速度が6〜20m/s、周波数1KHz以上、解像度が300dpi以上である記録方法であって、請求項1乃至7のいずれかに記載のインクを使用し、ノズル近傍での、インク全重量に対する水分蒸発量が30%を越える前に、印字または非印字領域にインクを吐出させることを特徴とする記録方法。
- 複数の加圧液室、加圧液室に連通する孔径35μm以下のノズル及びインク供給路、振動板、振動板を変位させる電気機械変換手段からなる記録ヘッドを備えた記録装置であって、請求項1乃至7のいずれかに記載のインクが使用され、複数のインク滴を連続して吐出させ記録媒体に着弾する前にマージさせて大きな滴を形成することを特徴とする記録装置。
- 複数の加圧液室、加圧液室に連通する孔径35μm以下のノズル及びインク供給路、振動板、振動板を変位させる電気機械変換手段からなる記録ヘッドを備えた記録装置であって、複数のインク滴を連続して吐出させ記録媒体に着弾する前にマージさせて大きな滴を形成し、かつ、請求項9又は10に記載の記録方法に従ってカラー画像を形成することを特徴とする記録装置。
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